JP3613095B2 - 電源制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の回路ブロックを含むシステムにおいて、各回路ブロック毎の電源のオン、オフを制御する電源制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の回路ブロックを含むシステムにおいて、各回路ブロック毎の電源のオン、オフを制御するには、ユーザーあるいはシーケンサーが、各回路ブロックの電源をオンするかオフするかを決定し、この決定に基づいて、システム全体を制御するCPU等のコントローラが各回路ブロックの電源を制御するものがあった。
【0003】
上記のようなシステムにおいては、まず最初にユーザーあるいはシーケンサーが特定の機能をもった各回路ブロックを使用するかどうかを決定し、使用しない回路ブロックの電源を個別にオフ(パワーダウン)させ、ユーザーあるいはシーケンサーが使用することを決定した回路ブロックを動作させる。ところで、回路ブロックを動作させるには、回路ブロックに入力され、この回路ブロックを動作させるクロック信号の状態等の、回路ブロックの周辺環境が、回路ブロックが動作できる条件を満たしていることが前提となる。
【0004】
この前提が崩れていて、回路ブロックの周辺環境が、回路ブロックが動作できる条件を満たしていなかった場合、例えば回路ブロックに入力され、この回路ブロックを動作させるクロック信号が非活性であった場合には、回路ブロックからユーザーあるいはシーケンサーに、エラーステータス等の情報が返されて、ユーザーあるはシーケンサーは、改めて回路ブロックに動作を中止するよう命令を送り、この命令によって回路ブロックをパワーダウンさせるといった処理がなされていた。なお、クロック信号が非活性な状態とは、例えばクロック信号の電圧レベルが、HレベルまたはLレベルに固定された状態のことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような処理方法では、回路ブロックの周辺環境が、回路ブロックが動作できる条件を満たしていなかった場合、例えば回路ブロックに入力され、この回路ブロックを動作させるクロック信号が非活性であった場合(例えばクロック信号の電圧レベルが、HレベルまたはLレベルに固定されていた場合)に、リアルタイムで、素速く、回路ブロックをパワーダウンさせることができなかった。
【0006】
すなわち、パワーダウンの際に、ユーザーまたはシーケンサーを経由するという手間が必要であった。このため、回路ブロックの周辺環境の条件が満たされていない場合にも、回路ブロックがパワーダウンされるまで、ある程度の時間(遅れ時間)が必要になり、この遅れ時間の間、回路ブロックは動作状態を保ち続ける(パワーダウンされない)ので、無駄な電力が消費されていた。
【0007】
また、逆に、上記従来技術の構成で、回路ブロックをリアルタイムにパワーダウンさせようとすると、クロック信号等の、周辺環境の条件を、CPU等のコントローラによって頻繁に検出しなければならなくなる。
【0008】
上記従来技術のように、回路ブロックに入力されるクロック信号が非活性のときに、素速いパワーダウンができないと、例えばこの回路ブロックが、半導体LSI内のダイナミック回路であった場合には、このダイナミック回路に電源が供給されたまま、ダイナミック回路を動作させるクロック信号が停止された状態となる。すると、ダイナミック回路内のコンデンサの電荷がリークによって放電され、やがてダイナミック回路内のCMOS回路に中間電位となる点ができてしまい、この中間電位によってCMOS回路に貫通電流が流れて、多大な電流が無駄に消費されるばかりでなく、この電流によってLSIが破壊される可能性もある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、回路ブロックの周辺環境が、回路ブロックが動作できる条件を満たしていなかった場合、例えば回路ブロックに入力され、この回路ブロックを動作させるクロック信号が非活性であった場合(例えばクロック信号の電圧レベルが、HレベルまたはLレベルに固定されていた場合)に、リアルタイムで、素速く、回路ブロックをパワーダウンさせることができる電源制御装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、制御対象となる回路ブロックへ入力される所定周期以下で第1の電圧レベルと第2の電圧レベルとを繰り返す信号の電圧レベルに応じてオン、オフするスイッチング手段と、該スイッチング手段と並列に設けられ、該スイッチング手段により充電電流または放電電流が制御されるコンデンサと、前記電源制御装置の外部から入力される外部パワーダウン信号により制御され、該コンデンサに充電電流を供給する充電電流供給手段と、該外部パワーダウン信号が入力された場合あるいは、前記コンデンサの充放電により得られる蓄電電圧値と所定の電圧値とを比較して得られる信号により、前記回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかを判別し、前記入力信号が非活性であると判別された場合に出力されるパワーダウン信号が入力された場合に、前記回路ブロックにパワーダウン信号を出力して、前記回路ブロックを非動作状態に切り替える論理和回路と、前記外部パワーダウン信号が入力された場合に、電源制御装置自身をパワーダウンさせる自己パワーダウン手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、電源制御装置が、回路ブロックへの入力信号が非活性であると判別された場合、すなわち前記回路ブロックが動作できる条件が整っていない場合に、直ちにパワーダウン信号を出力するので、前記回路ブロックを素速くパワーダウンさせることができ、回路ブロックの消費電力を最低限に抑えることができる。
【0012】
また、上記とは逆に、回路ブロックへの入力信号が活性であると判別された場合、すなわち回路ブロックが動作できる条件が整った場合には、直ちにパワーダウン信号が解除されるので、前記回路ブロックの動作をタイムラグなく、直ちに開始させることができる。
【0014】
また、上記構成によれば、電源制御装置が、回路ブロックへの入力信号が非活性であると判別された場合に、直ちにパワーダウン信号を出力するので、前記回路ブロックを素速くパワーダウンさせることができる。
【0015】
また、前記回路ブロックが、例えばLSIに内蔵されたダイナミック回路であった場合に、クロック信号の供給・停止を、スタティック回路と同様の取り扱いで可能とし、ダイナミック回路内の貫通電流等の問題に注意を払う必要がなくなる。すなわち、本発明によれば、ダイナミック回路へのクロック信号を止めると、クロック停止が自動的に検出され、ダイナミック回路がパワーダウンされるので、貫通電流の問題が起きない。
【0019】
また、上記構成によれば、回路ブロックへの入力信号が非活性となったときに、この入力信号の電圧レベルが第1の電圧レベル(例えばHレベル)に固定される場合には、第1の判別部が入力信号の非活性を検出し、第1のパワーダウン信号を出力する。また、回路ブロックへの入力信号が非活性となったときに、この入力信号の電圧レベルが第2の電圧レベル(例えばLレベル)に固定される場合には、第2の判別部が入力信号の非活性を検出し、第2のパワーダウン信号を出力する。そして、出力手段が、前記第1のパワーダウン信号または第2のパワーダウン信号のうち、どちらか一方が出力された場合に、制御対象である回路ブロックへ、最終的な判別結果であるパワーダウン信号を出力する。従って、回路ブロックへの入力信号が非活性のときに、この入力信号の電圧レベルが第1の電圧レベル(例えばHレベル)に固定される場合、および入力信号の電圧レベルが第2の電圧レベル(例えばLレベル)に固定される場合のどちらの場合であっても、回路ブロックへパワーダウン信号を出力することができるので、上記のどちらの場合にも対応できる。
【0021】
また、上記構成によれば、合成手段が、外部パワーダウン信号と、パワーダウン信号とを合成し、合成されたパワーダウン信号を回路ブロックへ出力するので、本発明による電源制御装置の外部から外部パワーダウン信号が送られてきた場合、および電源制御装置内で、回路ブロックへの入力信号が非活性であると判別された場合のどちらの場合にも、回路ブロックへ合成されたパワーダウン信号を出力することができる。
【0022】
例えば、ユーザーまたはシーケンサーが、システム全体を制御するCPU等のコントローラから外部パワーダウン信号を出力させると、この外部パワーダウン信号が本発明による電源制御装置に入力され、この電源制御装置から出力される合成されたパワーダウン信号が、制御対象となる回路ブロックに入力されることにより、この回路ブロックがパワーダウンされる。
【0023】
また、ユーザーまたはシーケンサーが、外部パワーダウン信号を解除すると、これが本発明による電源制御装置によって検出され、この電源制御装置が、合成されたパワーダウン信号の回路ブロックへの出力を停止するので、前記回路ブロックは直ちに動作を開始することができる。さらに、この直後に、本発明による電源制御装置が、回路ブロックへの入力信号の活性・非活性を判別し、入力信号が活性であれば回路ブロックの動作を継続させ、非活性であれば回路ブロックをパワーダウンさせる。
【0024】
また、自己パワーダウン手段が、外部パワーダウン信号が入力された場合に、電源制御装置自身をパワーダウンさせるので、本発明による電源制御装置の外部から、外部パワーダウン信号が送られてきた場合に、電源制御装置自身の消費電力を最小に抑えることができる。
請求項に記載の発明は、前記外部パワーダウン信号が入力された場合に、前記自己パワーダウン手段は、前記パワーダウン信号が前記論理和回路へ出力されることを禁止した上で、電源制御装置自身をパワーダウンさせることを特徴とする請求項に記載の電源制御装置である。
上記構成によれば、システム全体を制御するパワーダウン集中管理装置(CPU等)からパワーダウン指令、すなわち外部パワーダウン信号が発せられ、この外部パワーダウン信号が、本発明による電源制御装置に入力された場合に、自己パワーダウン手段は、電源制御装置が制御対象である回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかを判別した上で生成するパワーダウン信号が、合成手段に送られることを禁止する。換言すれば、外部パワーダウン信号が電源制御装置に入力された場合には、自己パワーダウン手段が、本来この電源制御装置自身が回路ブロックへの入力信号の活性・非活性を判別することによって生成していたパワーダウン信号を、回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかに関わらず、強制的に活性を示す状態(例えば、活性を示す電圧レベル)にする。そして、上記の動作を行った上で、自己パワーダウン手段は、電源制御装置自身をパワーダウンさせる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態の構成を図1を参照して説明する。システム中のある回路ブロック1の入力端子Aに、入力信号Sが入力されている。この入力信号Sの一具体例としては、回路ブロック1を動作させるためのクロック信号Sがある。この入力信号Sが、本発明による電源制御装置2にも入力され、この電源制御装置2の出力すなわちパワーダウン信号Dbが、前記回路ブロック1のパワーダウン端子PDbに入力されている。パワーダウン信号Dbはロー(L)アクティブ、すなわちパワーダウン信号Db=Lのとき回路ブロック1はパワーダウンされる。
【0026】
次に本実施形態の概略の動作を説明する。本発明による電源制御装置2は、本来回路ブロック1のための信号である入力信号Sを分岐させて入力し、この入力信号Sが活性であるか非活性であるかを判別する。そして、入力信号Sが非活性であれば、この電源制御装置2の出力であるパワーダウン信号Dbを直ちにアクティブ、すなわちパワーダウン信号Db=Lとする。このパワーダウン信号Dbは、回路ブロック1のパワーダウン端子PDbに入力され、入力されると回路ブロック1は直ちにパワーダウンされる。
【0027】
上記構成によれば、電源制御装置2は、入力信号Sの非活性の検出から、パワーダウン信号DbとしてLレベルを出力するまでの動作を、従来技術と比較して素速く行うことができる。すなわち、従来技術では、回路ブロック1への入力信号Sが非活性であった場合、回路ブロック1からユーザーあるいはシーケンサーに、エラーステータス等の情報が返されて、ユーザーあるはシーケンサーが、改めて回路ブロック1に動作を中止するよう命令を送り、この命令によって回路ブロック1をパワーダウンさせるといった処理がなされていて、入力信号Sの非活性の検出から、回路ブロック1がパワーダウンされるまでの時間が長かったが、本発明によれば、入力信号Sが非活性になると、これが直ちに電源制御装置2によって検出され、さらに、パワーダウン信号Dbが前記電源制御装置2から回路ブロック1へ直接送られるので、入力信号Sの非活性の検出から、回路ブロック1がパワーダウンされるまでの時間が短くてすむ。
【0028】
次に、上記電源制御装置2の内部構成を、図2の回路図を参照して説明する。なお、図2においては、上記入力信号Sはクロック信号Sであるものとする。また、図2に示した電源制御装置2は、クロック信号Sが非活性時にハイ(H)レベルに固定される場合に対応した構成となっている。
【0029】
クロック信号Sは、Pch−トランジスタ3のゲートPGに入力され、Pch−トランジスタ3のソースPSは電源電位Vccに接続され、Pch−トランジスタ3のドレインPDは、コンデンサ4の一方の端子4aに接続されている。コンデンサ4のもう一方の端子4bは、接地電位Gndに接続されている。
【0030】
コンデンサ4の一方の端子4aは、コンパレータ5の非反転入力端子5aに接続されている。コンパレータ5の反転入力端子5bは、所定の閾値電位Vt1に接続されている。コンパレータ5の出力端子5cからは、パワーダウン信号Dbが出力される。
【0031】
この電源制御装置2の動作を図3のタイミングチャートを参照して説明する。図3の時刻t1からt3までの期間に示すように、クロック信号Sが活性であれば、このクロック信号Sは、Hレベルの状態とLレベルの状態とを交互に繰り返す。このクロック信号Sが、Pch−トランジスタ3のゲートPGに入力されるので、Pch−トランジスタ3はオン、オフを繰り返す。
【0032】
クロック信号SがLレベルになり、Pch−トランジスタ3がオンすると、電源電位VccからPch−トランジスタ3を経由してコンデンサ4に電流が流れ込み、このコンデンサ4が充電され、コンデンサ4の端子4aの電位が上昇する。
【0033】
クロック信号SがHレベルになり、Pch−トランジスタ3がオフすると、コンデンサ4への充電が止まる。さらに、コンデンサ4の電荷がリークすることによって、コンデンサ4が徐々に放電され、コンデンサ4の端子4aの電位が徐々に低下する。この放電はリークによるもののみなので、放電量と充電量とを比較すると、充電量の方が大きく、クロック信号Sが活性な状態で時間が経過すると、コンデンサ4の端子4aの電位は上昇する。そして、やがて、図3の時刻t2に示すように、コンデンサ4の端子4aの電位が、コンパレータ5の閾値電位Vt1を超える。
【0034】
コンデンサ4の端子4aの電位が、閾値電位Vt1を超えると、コンパレータ5の出力、すなわちパワーダウン信号Dbの電圧レベルがLレベルからHレベルに変化する。パワーダウン信号DbがHレベルになると、このパワーダウン信号Dbによって制御される回路ブロック1のパワーダウンが解除され、回路ブロック1は動作状態になる。
【0035】
図3の時刻t3以後に示すように、クロック信号Sが非活性となると、このクロック信号SはHレベルに固定されるので、Pch−トランジスタ3はオフされ、コンデンサ4への充電は行われない。すると、リークによる放電によって、コンデンサ4の端子4aの電位は徐々に低下する。そして、やがて、図3の時刻t4に示すように、コンデンサ4の端子4aの電位は、閾値電位Vt1を下回る。すると、コンパレータ5の出力、すなわちパワーダウン信号DbがHレベルからLレベルに変化し、これにより、回路ブロック1はパワーダウン状態とされる。
【0036】
すなわち、クロック信号Sが非活性になり、このクロック信号Sの電圧レベルがHレベルに固定されると、これが直ちに電源制御装置2によって検出され、さらに、パワーダウン信号Dbが、電源制御装置2から回路ブロック1へ直接送られるので、回路ブロック1を直ちにパワーダウンさせることができる。
【0037】
次に、上記電源制御装置2の別の構成例を、図4の回路図を参照して説明する。図4においても、入力信号Sはクロック信号Sであるものとする。また、図4に示した電源制御装置2は、クロック信号Sが非活性時にロー(L)レベルに固定される場合に対応した構成となっている。
【0038】
クロック信号Sは、Nch−トランジスタ6のゲートNGに入力され、Nch−トランジスタ6のソースNSは接地電位Gndに接続され、Nch−トランジスタ6のドレインNDは、コンデンサ7の一方の端子7aに接続されている。コンデンサ7のもう一方の端子7bは、接地電位Gndに接続されている。さらに、Nch−トランジスタ6のドレインNDは、抵抗8の一方の端子8aに接続され、この抵抗8のもう一方の端子8bは電源電位Vccに接続されている。
【0039】
コンデンサ7の一方の端子7aは、コンパレータ9の反転入力端子9bに接続されている。コンパレータ9の非反転入力端子9aは、所定の閾値電位Vt2に接続されている。コンパレータ9の出力端子9cからは、パワーダウン信号Dbが出力される。
【0040】
この電源制御装置2の動作を図5のタイミングチャートを参照して説明する。図5の時刻t5からt6までの期間に示すように、クロック信号Sが活性であれば、このクロック信号Sは、Hレベルの状態とLレベルの状態とを交互に繰り返す。このクロック信号Sが、Nch−トランジスタ6のゲートNGに入力されるので、Nch−トランジスタ6はオン、オフを繰り返す。
【0041】
クロック信号SがLレベルとなり、Nch−トランジスタ6がオフすると、電源電位Vccから抵抗8を経由してコンデンサ7に電流が流れ込み、このコンデンサ7が充電され、コンデンサ7の端子7aの電位が上昇する。
【0042】
クロック信号SがHレベルとなり、Nch−トランジスタ6がオンすると、コンデンサ7の両端がショートされ、このコンデンサ7に充電された電荷が放電される。
【0043】
従って、クロック信号Sが、HレベルとLレベルとを交互に繰り返せば、コンデンサ7の充電と放電が繰り返され、このコンデンサ7の端子7aの電位は、ある一定の電位、すなわちコンパレータ9の閾値電位Vt2を超えることはない。
【0044】
コンデンサ7の端子7aの電位が、閾値電位Vt2を超えることがなければ、コンパレータ9の出力、すなわちパワーダウン信号Dbの電圧レベルはHレベルとなる。パワーダウン信号DbがHレベルであれば、このパワーダウン信号Dbによって制御される回路ブロック1のパワーダウンは解除され、回路ブロック1は動作状態になる。
【0045】
図5の時刻t6以後に示すように、クロック信号Sが非活性となると、このクロック信号SはLレベルに固定されるので、Nch−トランジスタ6はオフ固定となり、コンデンサ4は、充電のみが行われ、放電が行われない状態となる。すると、この充電によって、コンデンサ7の端子7aの電位は、もっぱら上昇する状態となる。そして、やがて、図5の時刻t7に示すように、コンデンサ7の端子7aの電位は、閾値電位Vt2を超える。すると、コンパレータ9の出力、すなわちパワーダウン信号DbがHレベルからLレベルに変化し、これにより、回路ブロック1はパワーダウン状態とされる。
【0046】
すなわち、クロック信号Sが非活性になり、このクロック信号Sの電圧レベルがLレベルに固定されると、これが直ちに電源制御装置2によって検出され、さらに、パワーダウン信号Dbが、電源制御装置2から回路ブロック1へ直接送られるので、回路ブロック1を直ちにパワーダウンさせることができる。
【0047】
なお、電源制御装置2が、図2に示した回路と、図4に示した回路とを兼ね備えれば、クロック信号Sが非活性になったときに、このクロック信号Sの電圧レベルがHレベルに固定される場合と、Lレベルに固定される場合との両方に対応させることも可能である。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態の構成を図6のブロック図を参照して説明する。第2の実施形態における電源制御装置10は、電源制御部13、インバータ14、AND回路15を内蔵している。
【0049】
第2の実施形態は、システム内に、システム内の各回路ブロックのパワーダウンを集中制御するためのパワーダウン集中管理装置11が設けられていて、このパワーダウン集中管理装置11からの指令によっても、回路ブロック1のパワーダウンが可能な構成となっているシステムの例である。
【0050】
パワーダウン集中管理装置11は、具体的にはCPU等によって構成される。このパワーダウン集中管理装置11の出力は、レジスタ12に入力されている。すなわち、レジスタ12は、パワーダウン集中管理装置11から送られるパワーダウン信号PD2を記憶し、記憶したパワーダウン信号PD2を電源制御装置10へ出力する。パワーダウン信号PD2はハイ(H)アクティブである。すなわちパワーダウン信号PD2=Hのとき、回路ブロック1はパワーダウンされる。
【0051】
電源制御装置10に入力されたパワーダウン信号PD2は、電源制御装置10に内蔵された電源制御部13の入力端子IN2に入力されている。これと同時に、パワーダウン信号PD2は、インバータ14にも入力され、このインバータ14の出力、すなわち反転パワーダウン信号PD2bは、AND回路15が有する2つの入力端子のうちの一方の入力端子に入力されている。AND回路15のもう一方の入力端子には、電源制御部13の出力端子OUT1から出力されるパワーダウン信号Dbが入力されている。このパワーダウン信号Dbは、電源制御装置10の外部にも出力され、ステータスフラグとして前記パワーダウン集中管理装置11に入力されている。
【0052】
AND回路15の出力、すなわちパワーダウン信号PD1bは、電源制御装置10から外部へ出力され、この出力は、パワーダウン制御対象である回路ブロック1のパワーダウン端子PDbに入力されている。
【0053】
また、第1の実施形態と同様に、本来、制御対象である回路ブロック1の入力端子Aに入力されるための入力信号Sが、分岐されて電源制御装置10にも入力されている。電源制御装置10に入力された入力信号Sは、この電源制御装置10に内蔵された電源制御部13の入力端子IN1に入力されている。
【0054】
次に、本実施形態の概略の動作を説明する。システム内の各回路ブロックはブロック単位でパワーダウン可能な構成となっていて、この各回路ブロック個別のパワーダウン制御を、パワーダウン集中管理装置11からの指令によって行うと共に、本発明による電源制御装置10によって、入力信号Sが非活性になったときに自動的に回路ブロックをパワーダウンさせる。
【0055】
すなわち、回路ブロック1は、パワーダウン集中管理装置11からパワーダウンの指令が発せられた場合、および電源制御装置10によって、入力信号Sが非活性になったと判別された場合のどちらの場合にも、パワーダウンされる。
【0056】
かつ、後述するように、パワーダウン集中管理装置11からパワーダウンの指令が発せられた場合には、電源制御装置10自身もパワーダウンされ、これにより、電力消費を最低限に抑えることができる。
【0057】
このため、制御対象である回路ブロック1のパワーダウン端子PDbには、パワーダウン集中管理装置11を発生源とするパワーダウン信号PD2が、インバータ14で反転された反転パワーダウン信号PD2bと、電源制御部13から出力されるパワーダウン信号Dbとの論理積、すなわちパワーダウン信号PD1bが入力される。
【0058】
パワーダウン集中管理装置11からの指令によって回路ブロック1をパワーダウンさせる場合には、パワーダウン集中管理装置11を発生源とするパワーダウン信号PD2がHレベルとされるが、このHレベルのパワーダウン信号PD2が、インバータ14の入力端子に入力されると共に、電源制御部13の入力端子IN2にも入力され、この入力によって電源制御部13自身もパワーダウンされる。電源制御部13自身がパワーダウンされるときには、この電源制御部13の出力端子OUT1からの出力、すなわちパワーダウン信号Dbは、Hレベル、すなわち活性状態を示す電圧レベルにされた上で、パワーダウンされる。
【0059】
電源制御部13は、入力信号Sが非活性のとき、出力であるパワーダウン信号DbをLレベルとする。従って、このパワーダウン信号Dbを入力するAND回路15の出力、すなわちパワーダウン信号PD1bもLレベルとなり、このLレベルとされたパワーダウン信号PD1bが回路ブロック1のパワーダウン端子PDbに入力されるので、この回路ブロック1はパワーダウンされる。
【0060】
従って、入力信号Sが非活性のとき、電源制御部13によって回路ブロック1は自動的にパワーダウンされる。
【0061】
パワーダウン集中管理装置11からの指令で回路ブロック1をパワーダウンさせるときに、電源制御部13が出力するパワーダウン信号DbをHレベル、すなわち活性状態を示すレベルとするのは以下の理由による。
【0062】
前述したように、電源制御部13によって回路ブロック1が自動的にパワーダウンされるので、入力信号Sが非活性であれば、回路ブロック1で消費される電力は削減される。
【0063】
ところが、ユーザーが、電源制御部13による、入力信号Sが活性であるか非活性であるかの自動検出機能を必要としない場合には、電源制御部13自身をもパワーダウンさせ、さらに消費電力を削減したい。すなわち、パワーダウン集中管理装置11からの指令で回路ブロック1をパワーダウンさせるときには、電源制御部13の機能は不要になるので、この電源制御部13自身をもパワーダウンさせる。
【0064】
このとき、もし、電源制御部13の出力であるパワーダウン信号DbをLレベル、すなわち非活性を示すレベルにしておくと、次にパワーダウン集中管理装置11からパワーダウン解除の指令が来たときに、直ちに回路ブロック1を起動させることができなくなる。
【0065】
本発明によれば、パワーダウン集中管理装置11からの指令で回路ブロック1がパワーダウンし、その後同じパワーダウン集中管理装置11からの指令でパワーダウンが解除される場合に、電源制御部13は、この電源制御部13の出力であるパワーダウン信号DbがHレベル、すなわち活性を示す電圧レベルの状態で起動されるので、回路ブロック1も直ちに起動される。
【0066】
そして、回路ブロック1が起動された後に、電源制御部13によって入力信号Sが活性であるか非活性であるかが判別され、活性であれば回路ブロック1はそのまま動作を続け、非活性であれば直ちにパワーダウンされる。
【0067】
入力信号Sが非活性であれば、回路ブロック1は電源制御部13によって直接パワーダウンされるので、パワーダウン集中管理装置11は、従来技術のように、電源制御部13が出力するステータスフラグ、すなわちパワーダウン信号Dbを確認し、この確認に基づいて、改めてパワーダウン信号PD2を発行する必要はない。
【0068】
次に、上記電源制御部13の内部構成を、図7の回路図を参照して説明する。まず、この電源制御部13の構成を説明する。図中のP1〜P5はPch−トランジスタ、N1〜N5はNch−トランジスタ、C1、C2はコンデンサ、R1は抵抗、B1〜B5はインバータ、K1はAND回路である。
【0069】
前記パワーダウン集中管理装置11からレジスタ12を経由して送られるパワーダウン信号PD2は、電源制御部13の入力端子IN2に入力され、入力端子IN2は、インバータB5の入力端子、Pch−トランジスタP3およびNch−トランジスタN3のゲート、Pch−トランジスタP4およびNch−トランジスタN4のゲートに接続されている。
【0070】
インバータB5の出力端子は、Nch−トランジスタN1のゲートに接続され、このNch−トランジスタN1のソースは接地電位Gndに接続され、Nch−トランジスタN1のドレインは、抵抗R1の一方の端子に接続されている。
【0071】
抵抗R1のもう一方の端子は、Pch−トランジスタP1のドレインおよびゲートに接続されると共に、Pch−トランジスタP2およびP5のゲートに接続されている。従って、Pch−トランジスタP1、P2、P5のゲートは同一の電位とされている。また、Pch−トランジスタP1、P2、P5のソースは、いずれも電源電位Vccに接続されている。
【0072】
Pch−トランジスタP2のドレインは、Pch−トランジスタP3のソースと接続され、このPch−トランジスタP3のドレインは、Nch−トランジスタN3のドレインと接続され、このNch−トランジスタN3のソースは接地電位Gndに接続されている。
【0073】
Pch−トランジスタP3のドレインと、Nch−トランジスタN3のドレインとが接続された接続点A1は、Nch−トランジスタN2のドレイン、コンデンサC1の一方の端子C1a、インバータB3の入力端子に接続されている。Nch−トランジスタN2のソース、およびコンデンサC1のもう一方の端子は、接地電位Gndに接続されている。
【0074】
Pch−トランジスタP5のドレインは、Pch−トランジスタP4のソースと接続され、このPch−トランジスタP4のドレインは、Nch−トランジスタN4のドレインと接続され、このNch−トランジスタN4のソースは接地電位Gndに接続されている。
【0075】
Pch−トランジスタP4のドレインと、Nch−トランジスタN4のドレインとが接続された接続点A2は、Nch−トランジスタN5のドレイン、コンデンサC2の一方の端子C2a、インバータB4の入力端子に接続されている。Nch−トランジスタN5のソース、およびコンデンサC2のもう一方の端子は、接地電位Gndに接続されている。
【0076】
また、回路ブロック1への入力信号Sが、この電源制御部13の入力端子IN1にも入力され、この入力端子IN1は、インバータB1の入力端子に接続されている。インバータB1の出力端子は、前記Nch−トランジスタN2のゲートに接続されている。また、インバータB1の出力端子は、インバータB2の入力端子にも接続され、このインバータB2の出力端子は、前記Nch−トランジスタN5のゲートに接続されている。
【0077】
前記インバータB3、B4の出力端子は、AND回路K1の2つの入力端子にそれぞれ接続され、AND回路K1の出力端子は、電源制御部13の出力端子OUT1に接続され、この出力端子OUT1からの出力は、パワーダウン信号Dbとなっている。
【0078】
次に、この電源制御部13の動作を説明する。パワーダウン集中管理装置11から、パワーダウン指令が発せられていないときには、パワーダウン集中管理装置11からレジスタ12を介して電源制御部13の入力端子IN2に送られるパワーダウン信号PD2はLレベルとされる。パワーダウン信号PD2がLレベルのとき、電源制御部13は、以下に説明するように、動作状態となる。
【0079】
Lレベルであるパワーダウン信号PD2が、インバータB5で反転されてHレベルとなり、このHレベルがNch−トランジスタN1のゲートに入力されるので、このNch−トランジスタN1はオンする。Nch−トランジスタN1がオンすると、このNch−トランジスタN1のドレインと、抵抗R1を介して接続されたPch−トランジスタP1、P2、P5のゲートの電位が下がり、これらのPch−トランジスタP1、P2、P5がオンする。すると、Pch−トランジスタP2のドレインからは電流i1が供給可能な状態となり、Pch−トランジスタP5からは電流i2が供給可能な状態となる。
【0080】
さらに、前記Lレベルであるパワーダウン信号PD2は、Pch−トランジスタP3およびNch−トランジスタN3のゲートにも入力されるので、Pch−トランジスタP3はオンされ、Nch−トランジスタN3はオフされる。さらに、前記Lレベルであるパワーダウン信号PD2は、Pch−トランジスタP4およびNch−トランジスタN4のゲートにも入力されるので、Pch−トランジスタP4はオンされ、Nch−トランジスタN4はオフされる。
【0081】
すると、前記Pch−トランジスタP2のドレインから供給可能となっていた電流i1が、オンされたPch−トランジスタP3を経由してコンデンサC1に充電される。また、前記Pch−トランジスタP5から供給可能となっていた電流i2が、オンされたPch−トランジスタP4を経由してコンデンサC2に充電される。
【0082】
ただし、このとき、Nch−トランジスタN2がオンしていると、コンデンサC1への充電電流がNch−トランジスタN2を経由して接地電位Gndへ逃げてしまうので、コンデンサC1への充電は行われない。また、Nch−トランジスタN5がオンしていると、コンデンサC2への充電電流がNch−トランジスタN5を経由して接地電位Gndへ逃げてしまうので、コンデンサC2への充電は行われない。
【0083】
電源制御部13の入力端子IN1に入力される入力信号SがHレベルのときには、このHレベルである入力信号SがインバータB1によって反転されてLレベルとなり、このLレベルであるインバータB1の出力を入力するNch−トランジスタN2のゲートもまたLレベルになり、このNch−トランジスタN2はオフされる。
【0084】
さらに、LレベルであるインバータB1の出力は、インバータB2で再度反転されてHレベルとなり、このHレベルであるインバータB2の出力を入力するNch−トランジスタN5のゲートもまたHレベルになり、このNch−トランジスタN5はオンされる。
【0085】
逆に、入力信号SがLレベルのときには、Nch−トランジスタN2のゲートはHレベルになるので、このNch−トランジスタN2はオンされ、一方、Nch−トランジスタN5のゲートはLレベルになるので、このNch−トランジスタN5はオフされる。
【0086】
すなわち、Nch−トランジスタN2とN5とは、どちらか一方がオンされたときには、もう一方がオフされる。
【0087】
Nch−トランジスタN2がオンされた場合には、コンデンサC1の両端がショートされるので、このコンデンサC1に充電された電荷が短時間で放電され、かつ、前述したように、このコンデンサC1への充電電流i1もNch−トランジスタN2を介して接地電位Gndへ逃げてしまうので、このコンデンサC1の端子C1aの電位は、ほぼ接地電位Gndまで低下する。
【0088】
同様に、Nch−トランジスタN5がオンされた場合には、コンデンサC2の両端がショートされ、このコンデンサC1に充電された電荷が短時間で放電され、かつ、充電電流i2もNch−トランジスタN5を介して接地電位Gndへ逃げるので、このコンデンサC2の端子C2aの電位はほぼ接地電位Gndまで低下する。
【0089】
上述したように、Nch−トランジスタN2とN5とは、どちらか一方がオンされたときに、もう一方がオフされるので、コンデンサC1の端子C1aの電位と、コンデンサC2の端子C2aの電位とは、どちらか一方が、ほぼ接地電位Gndまで低下していて、もう一方が、充電電流によって上昇している。
【0090】
すなわち、入力信号SがLレベルであれば、インバータB1の出力はHレベルとなり、このHレベルがNch−トランジスタN2のゲートに入力されるので、Nch−トランジスタN2はオンされ、このNch−トランジスタN2によってコンデンサC1の電荷が放電される。
【0091】
このとき、インバータB2の出力は、インバータB1の出力とは逆にLレベルとなり、このLレベルがNch−トランジスタN5のゲートに入力されるので、Nch−トランジスタN5はオフされ、コンデンサC2は充電電流i2によって充電される。
【0092】
逆に、入力信号SがHレベルであれば、インバータB1の出力はLレベルとなり、このLレベルがNch−トランジスタN2のゲートに入力されるので、Nch−トランジスタN2はオフされ、コンデンサC1は充電電流i1によって充電される。
【0093】
このとき、インバータB2の出力は、インバータB1の出力とは逆にHレベルとなり、このHレベルがNch−トランジスタN5のゲートに入力されるので、Nch−トランジスタN5はオンされ、このNch−トランジスタN5によってコンデンサC2の電荷が放電される。
【0094】
すなわち、コンデンサC1、C2は、両方同時に充電されることはなく、入力信号Sの電圧レベルによって、どちらか一方のみが充電され、他方は放電される。
【0095】
入力信号Sが活性であれば、この入力信号Sの電圧レベルは定期的にLレベルとHレベルとを繰り返すので、上記コンデンサC1およびC2は、交互に充放電されるので、コンデンサC1の端子C1aの電位は、ある一定の電位を超えることはなく、また、コンデンサC2の端子C2aの電位も、ある一定の電位を超えることはない。
【0096】
ここで、入力信号Sが定期的にLレベルとHレベルとを繰り返すときに、コンデンサC1の端子C1aの電位が、インバータB3の入力端子のスレショルド電位を超えないように、あらかじめ各定数を設定し、また、コンデンサC2の端子C2aの電位が、インバータB4の入力端子のスレショルド電位を超えないように、あらかじめ各定数を設定しておく。すなわち、上述した「ある一定の電位」が、後段のインバータの入力端子のスレショルド電位となるように、あらかじめ各定数を設定しておく。この各定数とは、具体的には、充電電流i1、i2の電流値、コンデンサC1、C2の容量値等であり、これらの定数は、入力信号Sの周波数に応じて決められる。なお、前記充電電流i1、i2は、抵抗R1の抵抗値、Pch−トランジスタP1、P2、P5の抵抗成分によって決まる。
【0097】
従って、入力信号Sが活性で、この入力信号Sが定期的にLレベルとHレベルとを繰り返すときには、インバータB3への入力が、このインバータB3のスレショルド電位を超えることがなく、かつ、インバータB4への入力が、このインバータB4のスレショルド電位を超えることがない。従って、インバータB3およびB4の出力は、どちらもHレベルとなる。
【0098】
インバータB3およびB4の出力が、どちらもHレベルとなれば、これらのHレベルを入力するAND回路K1の出力であるパワーダウン信号DbもHレベルとなる。
【0099】
以上より、電源制御部13の入力端子IN2に入力される、パワーダウン集中管理装置11から送られるパワーダウン信号PD2がLレベル、すなわちパワーダウン集中管理装置11からはパワーダウンの指令は発せられておらず、電源制御装置13のもう一つの入力端子IN1に入力される、回路ブロック1のための入力信号Sが活性、すなわち、この入力信号Sが定期的にLレベルとHレベルとを繰り返すときには、電源制御部13の出力端子OUT1から出力されるパワーダウン信号DbはHレベル、すなわち入力信号Sが活性であることを示す電圧レベルとなる。
【0100】
ところが、入力信号Sが非活性となり、この入力信号Sの電圧レベルがLレベルまたはHレベルに固定されると、コンデンサC1、C2のどちらかが放電されなくなり、充電ばかりが行われる状態となり、もう一方が、放電ばかりが行われる状態になる。
【0101】
例えば、入力信号SがLレベルに固定されると、インバータB1の出力はHレベルとなり、Nch−トランジスタN2はオンの状態に固定される。すると、コンデンサC1の電荷は、オンされたNch−トランジスタN2によって放電され、かつ、充電電流i1も、Nch−トランジスタN2を経由して接地電位Gndに逃がされるので、コンデンサC1の端子C1aの電位は、ほぼ接地電位Gndに固定となる。
【0102】
また、インバータB1の出力がHレベルなので、このインバータB1の後段のインバータB2の出力はLレベルとなり、Nch−トランジスタN5はオフの状態に固定される。すると、コンデンサC2は、充電電流i2によって充電され続け、やがてコンデンサC2の端子C2aの電位は、インバータB4のスレショルド電位を超える。
【0103】
すると、インバータB3の入力は、ほぼ接地電位Gnd、すなわちLレベルに固定されるので、このインバータB3の出力はHレベルに固定される。また、インバータB4の入力は、インバータB4のスレショルド電位を超えた電位、すなわちHレベルになるので、このインバータB4の出力はLレベルとなる。
【0104】
すると、前記インバータB3およびB4の出力を入力しているAND回路K1の出力、すなわちパワーダウン信号Dbは、インバータB3の出力がHレベル、インバータB4の出力がLレベルなので、Lレベル、すなわち入力信号Sが非活性であることを示す電圧レベルとなる。
【0105】
逆に、入力信号SがHレベルに固定されると、Nch−トランジスタN2はオフ、Nch−トランジスタN5はオンに固定されるので、コンデンサC1は充電され、コンデンサC2は放電される。すると、インバータB3の入力はHレベルとなるので、このインバータB3の出力はLレベルとなる。また、インバータB4の入力はLレベルとなるので、このインバータB4の出力はHレベルとなる。
【0106】
インバータB3の出力がLレベル、インバータB4の出力がHレベルとなると、これらを入力しているAND回路K1の出力、すなわちパワーダウン信号Dbは、Lレベル、すなわち入力信号Sが非活性であることを示す電圧レベルとなる。
【0107】
すなわち、入力信号SがLレベル、Hレベルのどちらに固定されても、電源制御部13の出力端子OUT1から出力されるパワーダウン信号DbはLレベル、すなわち入力信号Sが非活性であることを示す電圧レベルとなる。すなわち、この電源制御部13は、入力信号Sが非活性になったときに、HレベルまたはLレベルのどちらの電圧レベルに固定されても、非活性になったことを検出することができる。
【0108】
次に、パワーダウン集中管理装置11からパワーダウン指令が発せられ、電源制御装置13の入力端子IN2に入力されるパワーダウン信号PD2がHレベルになった場合の動作を説明する。パワーダウン信号PD2がHレベルになると、このHレベルであるパワーダウン信号PD2がインバータB5で反転されてLレベルとなるので、このLレベルがNch−トランジスタN1のゲートに入力され、このNch−トランジスタN1はオフされる。
【0109】
Nch−トランジスタN1がオフされると、この電源制御部13内の電源電位Vccから接地電位Gndへの電流のパスの全てが遮断され、電源制御部13内での電流の消費がなくなり、この電源制御部13全体がパワーダウンされる。
【0110】
すなわち、Nch−トランジスタN1がオフされると、このNch−トランジスタN1と抵抗R1を介して接続されたPch−トランジスタP1、P2、P5もオフされる。また、Hレベルであるパワーダウン信号PD2は、Pch−トランジスタP3、Nch−トランジスタN3、Pch−トランジスタP4、Nch−トランジスタN4のゲートにも入力されるので、P3、P4がオフ、N3、N4がオンされる。従って、電源電位Vccから接地電位Gndへの電流のパスの全て、すなわちPch−トランジスタP1を含むパス、P2を含むパス、P5を含むパスが、全て遮断され、電源制御部13内での電流の消費がなくなり、この電源制御部13全体がパワーダウンされる。
【0111】
また、このとき、Nch−トランジスタN3およびN4がオンされるので、Nch−トランジスタN2およびN5のオン、オフに関係なく、コンデンサC1およびC2の両方が放電され、インバータB3およびB4の両方にLレベルが入力され、これらのインバータB3およびB4の出力は、どちらもHレベルとなる。これらのHレベルがAND回路K1に入力されるので、このAND回路K1の出力、すなわちパワーダウン信号DbはHレベル、すなわち活性状態を示す電圧レベルとなる。
【0112】
すなわち、パワーダウン集中管理装置11からパワーダウン指令が発せられ、電源制御装置13の入力端子IN2に入力されるパワーダウン信号PD2がHレベルになった場合には、電源制御装置13の出力端子OUT1から出力されるパワーダウン信号DbがHレベル、すなわち活性状態を示す電圧レベルとされた上で、電源制御装置13自身がパワーダウンされる。
【0113】
なお、本発明における入力信号は、上記に示したクロック信号だけではなく、最低動作周波数がある一定以上あるような信号フォーマット、例えばEIAJ/CP1201のような変調された信号、またはデルタシグマ変調された1ビットストリーム等に適用することもできる。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、制御対象となる回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかを素速く自動的に判別し、かつ、前記入力信号が非活性であると判別された場合には、前記回路ブロックを素速くパワーダウンさせることができる。従って、回路ブロックの消費電力を最小にコントロールでき、しかも、このコントロールのために、ユーザーまたはシーケンサーによる手間のかかる処理は必要ない。
【0115】
例えば、本発明を、ダイナミック回路で構成されたLSI回路のクロック信号入力部に用いれば、ダイナミック回路への動作クロックの供給が突然停止されても、自動的にダイナミック回路をパワーダウンさせる事ができるので、ダイナミック回路の貫通電流等の問題を心配する事なく、このダイナミック回路をスタティック回路と同様に取り扱うことが可能となり、このダイナミック回路の取り扱いを容易にすることができる。
【0116】
また、本発明によれば、回路ブロックへの入力信号が非活性となり、この入力信号の電圧レベルが、HレベルまたはLレベルに固定されると、スイッチング手段がオンまたはオフの状態に固定され、これにより、コンデンサが充電されるか、または放電される状態のどちらかに固定され、このコンデンサの両端の電圧と、基準電圧とを比較しているコンデンサが、所定の時間後に、両電圧の大小関係の反転を検出し、パワーダウン信号を出力するので、制御対象である回路ブロックを素速くパワーダウンさせることができる。
【0117】
また、第1の判別部と第2の判別部とを設け、入力信号が第1の電圧レベルに固定された場合と、第2の電圧レベルに固定された場合との両方を判別すれば、入力信号が、どちらの電圧レベルに固定された場合にも、制御対象となる回路ブロックをパワーダウンさせることができる。
【0118】
また、外部パワーダウン信号によっても回路ブロックがパワーダウンされるシステム構成のときに、この外部パワーダウン信号によって、自己パワーダウン手段が電源制御装置自身をもパワーダウンさせれば、外部パワーダウン信号が発行されたときには不要となる電源制御装置の消費電力を節約することができるので、システム全体での消費電力をさらに抑えることができる。
【0119】
また、外部パワーダウン信号が電源制御装置に入力された場合に、自己パワーダウン手段が、パワーダウン信号が合成手段へ出力されることを禁止した上で、電源制御装置自身をパワーダウンさせれば、システム全体を制御するパワーダウン集中管理装置(CPU等)からパワーダウン指令、すなわち外部パワーダウン信号が発せられ、この外部パワーダウン信号が、本発明による電源制御装置に入力された場合に、自己パワーダウン手段は、電源制御装置が制御対象である回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかを判別した上で生成するパワーダウン信号が、合成手段に送られることを禁止する。
【0120】
換言すれば、外部パワーダウン信号が電源制御装置に入力された場合には、自己パワーダウン手段が、本来この電源制御装置自身が回路ブロックへの入力信号の活性・非活性を判別することによって生成していたパワーダウン信号を、回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかに関わらず、強制的に活性を示す状態(例えば、実施形態中では、活性を示すHレベル)にする。
【0121】
そして、上記の動作を行った上で、自己パワーダウン手段は、電源制御装置自身をパワーダウンさせる。
【0122】
従って、次に外部パワーダウン信号が解除されて、制御対象である回路ブロックのパワーダウンが解除されると共に、電源制御装置自身のパワーダウンも解除されたときに、電源制御装置は、この電源制御装置が生成するパワーダウン信号が活性を示す状態で起動されるので、合成手段が出力する、合成されたパワーダウン信号も直ちに解除される。従って、外部パワーダウン信号が解除されたときに、素速く回路ブロックのパワーダウンを解除し、この回路ブロックを起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図。
【図2】第1の実施形態における電源制御装置2内部の回路図。
【図3】図2に示した回路の動作を示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施形態における電源制御装置2内部の別の構成例を示す回路図。
【図5】図4に示した回路の動作を示すタイミングチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態のブロック図。
【図7】第2の実施形態における電源制御部13内部の回路図。
【符号の説明】
1 回路ブロック 2 電源制御装置
3 Pch−トランジスタ 4 コンデンサ
4a 端子 4b 端子
5 コンパレータ 5a 非反転入力端子
5b 反転入力端子 5c 出力端子
6 Nch−トランジスタ 7 コンデンサ
7a 端子 7b 端子
8 抵抗 8a 端子
8b 端子 9 コンパレータ
9a 非反転入力端子 9b 反転入力端子
9c 出力端子 10 電源制御装置
11 パワーダウン集中管理装置
12 レジスタ 13 電源制御部
14 インバータ 15 AND回路

Claims (2)

  1. 制御対象となる回路ブロックへ入力される所定周期以下で第1の電圧レベルと第2の電圧レベルとを繰り返す信号の電圧レベルに応じてオン、オフするスイッチング手段と、
    該スイッチング手段と並列に設けられ、該スイッチング手段により充電電流または放電電流が制御されるコンデンサと、
    前記電源制御装置の外部から入力される外部パワーダウン信号により制御され、該コンデンサに充電電流を供給する充電電流供給手段と、
    外部パワーダウン信号が入力された場合あるいは、前記コンデンサの充放電により得られる蓄電電圧値と所定の電圧値とを比較して得られる信号により、前記回路ブロックへの入力信号が活性であるか非活性であるかを判別し、前記入力信号が非活性であると判別された場合に出力されるパワーダウン信号が入力された場合に、前記回路ブロックにパワーダウン信号を出力して、前記回路ブロックを非動作状態に切り替える論理和回路と、
    前記外部パワーダウン信号が入力された場合に、電源制御装置自身をパワーダウンさせる自己パワーダウン手段と
    を有することを特徴とする電源制御装置。
  2. 前記外部パワーダウン信号が入力された場合に、前記自己パワーダウン手段は、前記パワーダウン信号が前記論理回路へ出力されることを禁止した上で、電源制御装置自身をパワーダウンさせることを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
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