JP3612925B2 - 光メモリ再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2層の記録層を有する光学式多層記録媒体の信号を再生する光メモリ再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高密度及び大容量の光記憶媒体として、さまざまな仕様の光メモリ装置が提案され規格化されている。高密度化、大容量化の手法としては、さまざまな方法が提案されているが、その手法の一つとして複数の記録層を有する光記録媒体が提案されている。例えばDVD規格(DVD BOOK参照)は二層ディスクについて規格化している。直径12cmのディスクで片面二層の場合、容量は合計8.5GBである。二層の間隔は40μmから70μmで、各記録層の反射率は25%から40%と規定されており、二層間で再生信号の振幅が変化することを許容している。信号再生系の利得を固定にして再生すると、再生振幅が小さすぎたり、逆に大きすぎて信号が飽和してしまう可能性が生じる。このため従来の光メモリ装置では、再生信号の振幅が一定となるような制御を行なっていた。AGC(Automatic Gain Control)と呼ぶものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の光メモリ装置は、再生する層の切り替えをおこなってから、しばらくの間信号の再生ができなくなる場合がある。図15に示すのは記録層1よりも記録層2の方が再生信号の振幅が大きい場合で、フォーカス点の切り替えを行なってから信号が飽和してしまう期間が発生する。この期間は再生信号は正常に読み取れない。この結果、層間の切り替えを行なう時の、目標とするデータへのアクセスタイムが増大してしまうという課題を有する。また、デジタルビデオディスクの場合には、切り替え時間の増大により画面切り替え時間がかかり、ユーザから見て応答性が悪いというような感じをいだくことになる。
【0004】
一方、各記録層で信号再生系の利得を装置立ち上げ時やディスクの交換時に、たとえばディスクの内周側で一度調整して、実際に信号を再生する時には、立ち上げ時に調整した値を使って各層の再生を行なう方法も用いられている。この場合、ディスクの内外周での再生信号の振幅の変動には対応できないので、ディスク全面に渡って安定した再生状態を保てなくなるという課題を有する。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するためのものであり、多層の記録層を有する光記録媒体において、ある層から別の層へ再生を切り替えた時に直ちに再生可能な状態になるように装置の制御をすることを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の構成は、
1)少なくとも2層の記録層を有する光学式多層記録媒体を用いて各層に記録された情報を光学ヘッドを用いて再生する光メモリ再生装置において、記録層中の任意の記録層を再生している状態から他の記録層の再生をするためにフォーカス点を切り替えるフォーカス手段と、光学ヘッドにより記録層から再生された信号を増幅し出力振幅が一定の値になるように制御する自動利得制御回路(以下「AGC回路」という。)を有する信号再生手段と、前記フォーカス手段の動作と、前記信号再生手段の動作を制御する制御手段とを有し、前記フォーカス手段によるフォーカス点の切替え時には、前記制御手段の命令により前記信号再生手段のAGC回路の利得をフォーカス点の切り替え前の値に保持するよう構成したことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記制御手段がフォーカス切り替えの命令を出した時点から、フォーカス点の切り替え後定の時間の経過までの期間、前記AGC回路の利得を保持するよう構成したことを特徴とする。
【0008】
さらに、フォーカス点の切り替え後定の時間とは、フォーカス制御ループの制御帯域と過渡応答性で決まる整定の時間であるように構成したことを特徴とする。
【0009】
もしくは、フォーカス点の切り替え後定の時間とは、フォーカス点の切り替えを行い再生しようとする記録層でフォーカス引き込み制御を始めてから、フォーカスエラー信号の振幅が所定値よりも大きい期間であるように構成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、いずれの場合においても、前記制御手段は前記信号再生手段のAGC回路の利得制御の追従性を制御する手段を有し、前記AGC回路の利得保持を終了させた後に所定期間前記AGC回路の利得制御の追従性を速くするようにすることもできる。
【0012】
2)少なくとも2層の記録層を有する光学式多層記録媒体を用いて各層に記録された情報を光学ヘッドを用いて再生する光メモリ再生装置において、記録層中の任意の記録層を再生している状態から他の記録層の再生をするためにフォーカス点を切り替えるフォーカス手段と、光学ヘッドにより記録層から再生された信号を増幅し、出力振幅が一定の値になるように制御する自動利得制御回路(以下AGC回路と呼ぶ)を有する信号再生手段と、各層の情報を再生した時のAGC回路の利得を記憶する記憶手段と、前記信号再生手段のAGC回路の利得を強制的に設定する制御手段とを有し、前記フォーカス制御手段によるフォーカス点の切り替え後所定の時間、前記制御手段は前記記憶手段に記憶されたフォーカス点切り替え後に再生する記録層におけるAGC回路の利得に強制的に固定するよう構成したことを特徴とする。
【0013】
ここで、フォーカス点の切替え後定の時間とは、フォーカス制御ループの制御帯域と過渡応答性で決まる整定の時間であるよう構成したことを特徴とする。
【0014】
さらに、フォーカス点の切替え後定の時間とは、フォーカス点の切り替えの開始から、再生しようとする記録層でフォーカス引き込み制御を行いフォーカスエラー信号の振幅が所定値よりも大きい期間であるよう構成することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に基づき説明する。
【0016】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における光メモリ再生装置のブロック図である。光ディスク5は光学式多層記録媒体(以下光ディスクと呼ぶ)で、スピンドルモータ6により回転する。光学ヘッド4で光ディスク5の記録層の情報を再生するとともに、焦点合わせの為のフォーカスエラー信号と、データピット列に追従させる為のトラックエラー信号の検出を行なう。フォーカス手段1は制御手段3からの命令で、光学ヘッド4から放射された光ビームを信号を再生したい記録層に集光する制御を行なう。また、図中には示してないが、トラックサーボ手段により、集光された光ビームは記録層中のデータピット列に追従する制御を行なう。光学ヘッド4から信号再生手段2に光ディスク5上のピット列を再生したアナログの再生信号が入力される。信号再生手段2は入力されたアナログ信号を増幅、波形等化処理、ローパスフィルタで不要帯域のノイズ除去、また出力振幅を一定値に保つためのAGC(Automatic Gain Control)制御を行う。多層ディスクである光ディスク5のある記録層から別の記録層へのフォーカス点の切替え時には、制御手段3からの司令によりフォーカス手段1は再生する記録層のフォーカス点の切替えを行い、信号再生手段2中のAGC制御の利得はフォーカス点の切替え前の値に保持されるように動作する。
【0017】
図2は図1の中の信号再生手段2の具体的な実施回路例、また図3は回路の動作を説明するための図2の各部の信号波形図である。以下これらの図を用いてAGC制御の利得制御動作について説明する。
【0018】
図2の中の端子11からは前述したように光学ヘッドにより再生されたアナログ再生信号が入力される。利得制御増幅器(以下AGCアンプと呼ぶ)12は、利得制御信号24の値で定められる利得でアナログ再生信号を増幅する。13は再生信号の不要帯域のノイズ除去を行うローパスフィルタと光ヘッドの周波数特性による高域の周波数の信号振幅劣化を補正する為の波形等化回路である。バッファアンプ14を通して再生信号15が端子16から出力される。また、再生信号15は振幅検出回路17によりその振幅が検出され、アンプ18からアナログスイッチ19を介して抵抗22とコンデンサ23で形成されるローパスフィルタを通り、AGCアンプ12の利得制御信号24がつくられる。再生信号15の振幅が所望の値より小さい時には、AGCアンプ12の利得を大きくするように、逆に再生信号15の振幅が所望の値より大きいときには、AGCアンプ12の利得を小さくするように動作することで、再生信号15の振幅が一定に保たれる。この制御はAGC(Automatic Gain Control)と呼ばれる。
【0019】
通常の追従モードでの応答性は、抵抗22とコンデンサ23で形成されるローパスフィルタで決まる。入力されるアナログ再生信号の振幅変動成分は、個別の光ディスク間の反射率や信号の変調度の違いによるもの、1枚の光ディスク上で半径位置による反射率信号の変調度の変動、さらに同一半径上で一周する間の反射率の変動成分がある。これらの中で変動の周波数成分が一番高いのが、同一半径上で一周する間の反射率の変動であり、光ディスクの回転周期に同期して発生する。たとえば光ディスクの回転数が1800rpmの時には、30Hzを基本周期とした変動となる。AGCは基本周期の3倍くらいまでの変動に追従するように設計するとしても、高々100Hz程度の応答性を持てばよい。
【0020】
端子20より入力される制御信号21によりアナログスイッチ19が開閉される。この実施例においては制御信号21が“L”レベルの時にはアナログスイッチ19は閉となりAGCの制御は追従モードとなるものとする。一方、制御信号21が“H”レベルの時にはアナログスイッチ19は開となる。利得制御信号24の値は、アナログスイッチ19が開となる直前の値がコンデンサ23に保持され、AGCアンプ12の利得も保持されるホールドモードとなる。すなわち、制御信号21の切り替えにより、AGCを追従モードとホールドモードに切り替えることができる。
【0021】
図3に示した波形図では、記録層1から記録層2へのフォーカス点の切替えを始めてから、記録層2でフォーカスサーボを引き込みさらにフォーカスサーボ系が整定するまでの期間は制御信号21は“H”レベルとなり、この期間AGCアンプの利得は記録層1を再生していた時の利得にホールドされる。25はフォーカスエラー信号である。ここで、フォーカスサーボ系の整定時間はサーボ系の帯域とダンピング特性により定められる値で、フォーカスサーボ系の設計値より、予めこの整定時間を制御手段3は記憶しておけばよい。
【0022】
ここで、光ディスクのフォーカスサーボ系等のサーボ制御は、近年デジタルサーボ方式のものが多く、その帯域やダンピング特性はサーボ系のキャリブレーションにより所望の値に精度良く自動調整することができるので、サーボ系の整定時間は設計値をそのまま用いてもよい時間精度が得られる。フォーカスサーボ系の整定するまでの期間、AGCアンプ12の利得のホールドにより、再生波形15は図に示すように切り替え後に飽和することなく再生される。
【0023】
また、図4にはフォーカスエラー信号の振幅を検出して、AGCアンプ12の利得の保持期間を決める場合の制御手段の一実施例を示す。図5は図4の各部の信号波形図である。端子26からはフォーカスエラー信号25が入力され、A/D変換手段27によりアナログ値からデジタル値に変換される。振幅検出手段28によりフォーカスエラーの振幅を検出する。振幅検出手段28ではローパス又はバンドパスフィルタ処理を行い、フォーカスエラー信号にのるノイズ成分の除去をした測定値29を出力する。図5では便宜的に測定値29をアナログ的な表現になっているが、デジタルサーボ系でフォーカスサーボを構成する場合には、デジタルデータ値となる。判手段30は、記録層2へフォーカスサーボを引き込んだ後のフォーカスエラー振幅測定値29とフォーカスサーボが整定したと判別する為の判定値との比較を行う。フォーカスサーボ精度を1μm以内とすると、およそ1.5〜2μmのデフォーカスに相当する値を整定終了の判定値とするのが望ましい。制御信号生成手段31は判定手段30からの判定信号に基づき、AGCアンプの利得を保持する制御信号32を端子33から出力する。
【0024】
図6はAGCの追従性の切替え機能を有する再生手段の他の実施例である。図中、図2と同じものについては同一番号で示してある。この実施例では、AGCアンプ12の利得制御追従性を決める為のコンデンサ23と並列に、もうひとつのコンデンサ36が接続されている。コンデンサ36はアナログスイッチ37を介して接地される。端子34からはアナログスイッチ37の開閉を制御する信号35が入力される。この実施例においては制御信号35が“H”レベルの時にアナログスイッチ37は開となり、逆に“L”の時はアナログスイッチ37は閉となるものとする。
【0025】
まず、制御信号35が“L”の時にはアナログスイッチ37が閉となり、コンデンサ23とコンデンサ36が並列接続され、合成容量は両方の値の和となる。この状態が通常のAGC追従モードであると定義する。一方、制御信号35が“H”の時アナログスイッチ37は開となり、コンデンサ23のみが接地される状態となる。この時、抵抗22とコンデンサ23で決まる時定数はアナログスイッチ37が閉の時よりも小さくなリ、AGCの追従性速くすることができる。
【0026】
図7には図6の各部の信号波形を示す。制御信号21と35は制御手段より与えられる信号である。まず、記録層1から記録層2へフォーカス点の切替えを行い、さらにフォーカスサーボ系の整定するまでの期間は、制御信号21が“H”となっていて、AGCアンプ12の利得をホールドする。その後制御信号35を所定期間“H”にして、AGCの制御追従性を速くすることにより、再生信号15が正常な振幅値に戻るまでの時間を短縮することが可能になり、フォーカス点切り替え後直ちにデータの再生が可能となる。図7では記録層1よりも記録層2の方が反射率または再生信号の変調度が大きい時の例である。逆に、記録層1よりも記録層2の方が反射率または再生信号の変調度が小さい時には、フォーカス点切替え後、再生信号15の振幅が小さくなるが、この場合の各部の波形を図8に示す。
【0027】
(実施例2)
図9に本発明の光メモリ再生装置の第2の実施例のブロック図を示す。図中実施例1と同様のものについては同一番号で示す。まず信号再生回路2の中にあるAGC回路の利得の記憶について説明する。記憶手段7はディスク5の各層の再生をしている時の信号再生手段2の中のAGC回路の利得を記憶する。装置立ち上げ時やディスクが入れ替えられた時、もしくはその他必要な時に、各記録層の再生を行う時の信号再生手段2中のAGC回路の利得の記憶を行う。本実施例では2層の場合について説明する。制御手段8はフォーカス手段1に対しまず第一層の再生を行うよう司令し、さらに図には示していないがトラックサーボ手段によりデータ列に追従し信号を再生できる状態にする。この状態で記憶手段7に対しAGC回路の利得の情報を記憶するよう命令する。続いて、フォーカス手段1に対して、フォーカス点の切り替えを命令し、第2層の再生を行い、この状態でのAGC回路の利得の情報を、記憶手段7に対し記憶するように命令する。
【0028】
次に、実際に信号を再生を行なっている時に、現在再生している記録層から他の記録層にフォーカス点の切り替えをして、信号の再生を行なう場合の動作について説明する。制御手段8はフォーカス手段1に対し、フォーカス点切り替えの命令を出すとともに、フォーカス点の切り替えを行っている期間、記憶手段7に記憶されたフォーカス点切り替え後の記録層でのAGC回路の利得になるように信号再生手段のAGC回路の利得を強制的に固定する。フォーカス点切り替え後は通常のAGC制御ループに戻す。このように制御することによって、フォーカス点切り替え後信号が飽和したり、小さすぎたりすることなく直ちにデータの再生を行うことができる。
【0029】
各層のAGC回路の利得を記憶する制御の流れについて、図10のフローチャートを用いて説明する。端子100から制御が始まり、101のステップで第一層にフォーカスサーボを引き込む。次いで102のステップでトラックサーボをオンして信号の第一層での再生状態にする。103のステップで第一層でのAGC回路の利得を記憶する。次に104のステップで第一層から第二層へのフォーカス点の切り替えを行ない、第2層の再生状態とする。105のステップで第2層でのAGC回路の利得を記憶して、端子106で制御を終了する。
AGCの利得の記憶は、ある記録層を再生してAGCループが通常の追従モードの状態におけるAGCアンプの利得制御信号24を記憶する。記憶する信号はある任意の時点での1個のサンプル値でもよいが、さらに精度向上やノイズ等による誤動作をさけるための方法として、図11に示す回路を用いた場合について説明する。この回路は平均化処理を行なうものである。端子56からはAGCアンプの利得制御信号24がA/D変換手段40に入力され、逐次デジタル値41に変換される。平均化手段57は制御手段より与えられる端子58からの制御信号59の司令によりデジタル値41の平均化処理を行い、出力信号60を記憶手段61に与える。端子63からは記録手段61に記録された信号62が出力される。ここで、平均化の方法には具体的には、以下に述べるような方法が考えられる。
【0030】
AGC制御は、ディスク1回転の間に反射率の変動による再生信号の振幅の変動を抑圧するように動作する。従ってディスク1回転分のデータの平均化を行うのが有効である。さらにノイズや誤動作による誤差を減少させるために、平均化する有効データに上下の限界値を設け、限界値を超えるデータはノイズ等による誤検出であると判断して無視して、平均化処理することによりより精度が向上する。
【0031】
また、ディスクの内周から外周に渡っての反射率や信号変調度の変化に対してもAGC回路は追従するので、ディスクの半径方向で何点か上記の1周分の平均化を行い、さらにそれらの平均化を行う方法も考えられる。たとえば、ディスクの内周、中周付近、外周と3箇所の半径位置で平均化演算を行う。
【0032】
平均化手段57は、デジタル回路を用いてハード的にも実現できるが、制御手段中のCPUがソフト的に演算しても良い。また、記憶手段としては、RAMなどの書き換え可能なメモリを用いるほか、専用のレジスタを用意して使う方法も有る。
【0033】
次に、実際に記録層の切り替えをして、信号の再生を行なう場合の装置の制御の流れについて、図12に示すフローチャートで説明する。端子107から制御が開始される。108のステップで第一層の再生を行なう。109のステップでフォーカス点の切り替えをフォーカスサーボ手段に対し司令する。110のステップでAGC回路のゲインを、これから再生する第2層の値に固定する。この値は前述した記憶手段1に記憶されている値である。次に111のステップでフォーカス点が切り替わり第2層へのフォーカスサーボの整定待ちをする。フォーカスサーボが整定されたと判断すると、112のステップでAGCループを通常の追従モードに戻し、端子113で制御を終了する。
【0034】
図13に具体的な実施回路例を示す。端子11からは光学ヘッドにより再生されたアナログ再生信号が入力される。利得制御増幅器(AGCアンプと呼ぶ)12はアナログ再生信号を利得制御信号54の値で決められる利得で増幅する。13はAGCアンプ出力信号の不要帯域のノイズ除去を行うローパスフィルタと、高周波数の信号振幅劣化を補正する波形等化回路である。バッファアンプ14を通して再生信号15が端子16から出力される。さらに、再生信号15は振幅検出回路17によりその振幅が検出され、アンプ18からアナログスイッチ19を介して抵抗22とコンデンサ23で形成されるローパスフィルタを通り、AGCアンプ12の利得制御信号24がつくられる。再生信号15の振幅が所望の値より小さい時にはAGCアンプの利得を大きくするように、逆に再生信号15の振幅が所望の値より大きいときにはAGCアンプの利得を小さくするように動作する。通常の追従モードでの応答性は、抵抗22とコンデンサ23で形成されるローパスフィルタで決まる。
【0035】
ここで、アナログスイッチ53はAGCのモードを通常の追従モードか強制固定モードかの切り替えを行うためのもので、制御手段8からの信号52により切り替えられる。通常の追従モード時にはAGCアンプ12の利得制御信号54はスイッチ53は信号24側に接続され、強制固定モード時にはD/A変換手段51の出力55側に接続される。 なお、D/A変換手段51は通常のD/A変換器を用いる他に、PWM(Pulse Width Modulation)回路を用いても実現できる。
【0036】
A/D変換手段40は信号24をアナログ値からデジタル値41に変換する。制御手段8からの制御信号42により、第1層の再生時のデジタル値41が第1層利得記憶手段44に記憶される。同様に制御手段8からの制御信号43により、第1層の再生時のデジタル値41が第1層利得記憶手段45に記憶される。セレクタ49は制御信号46により、第1層利得記憶手段の出力48か第2層利得記憶手段の出力47かを選択して、信号50をD/A変換手段51にわたす。
【0037】
図14に図13における各部の信号波形を示す。この例では、記録層2を再生した時の再生信号11の振幅が記録層1を再生した時の振幅より大きい場合で、記録層1から記録層2へフォーカス点の切り替えを行う例を示したものである。まず、制御手段8はセレクタ49に対して制御信号46により第2層利得記憶手段の出力47を選択して信号50をD/A変換手段51に出力するように制御される。さらに、フォーカス点切り替え後から記録層2へ切り替わり、フォーカスサーボ系が整定するまでの期間、スイッチ53に対して制御信号52を“H”にして、D/A変換手段51の出力55をAGCアンプ12に与える。この結果AGCアンプ12の利得は、制御信号52が“H”の期間は強制的に利得が固定される。フォーカス点切り替えを終了してフォーカスサーボ系が整定した後、AGCの制御は通常の追従モードに戻される。従来に比べフォーカス点切り替え後に再生信号が飽和したり振幅が小さ過ぎたりすることなく、記録層2の再生が直ちにできる。
【0038】
制御信号52を“H”にする期間は実施例1中で述べたように、フォーカスサーボ系の整定時間の設計値にする方法や、フォーカスエラー信号の振幅を測定して所定値よりも大きい期間とする方法等がある。
【0039】
以上、再生専用のディスクを例に説明をしてきたが、本発明は再生専用ディスクに限定されることなく、記録再生可能な光ディスク、またディスク形状でなく例えばカード形状の光メモリカードにも適用できるのは言うまでもない。さらに、記録再生可能なものについては、その記録原理は光磁気方式でも、相変化方式でも他の方式でも良い。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次のような効果を有する。
【0041】
1)複数の記録層を持つ光学式多層記録媒体の任意の記録層を再生している状態から、他の記録層の情報を再生するためにフォーカス点の切り替えを行った場合、直ちに情報の再生を開始できるという効果を有する。すなわち、使用者からみて目的のデータへのアクセススピードが従来に比べて高速化するという効果を有する。また、ディスクの種類がデジタルビデオディスクの場合には、層間の切り替え時間の短縮により、画面切り替え時間がスムーズに行なえ、ユーザから見て応答性が良いという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の光メモリ再生装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明における信号再生手段の具体的な実施例の回路図である。
【図3】図2の各部の信号波形図である。
【図4】本発明における制御手段の一実施例を示す図である。
【図5】図4の各部の信号波形図である。
【図6】本発明の実施例における再生手段の他の実施例の回路図である。
【図7】図6の各部の信号波形図である。
【図8】記録層1よりも記録層2の方が反射率または再生信号の変調度が小さい時の図6の各部の信号波形図である。
【図9】本発明の実施例2における、光メモリ再生装置を示す概略構成図である
【図10】各層のAGC回路の利得を記憶する制御の流れを説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2における記憶手段の一実施例の回路図である。
【図12】記録層の切り替えをして信号の再生を行なう場合の装置の制御の流れを説明するフローチャートである。
【図13】本発明の実施例2における具体的な回路図である。
【図14】図13の各部の信号波形図である。
【図15】従来の光メモリ再生装置の動作を説明するための信号波形図である。
【符号の説明】
1 フォーカス手段
2 信号再生手段
3 制御手段
4 光学ヘッド
5 光ディスク
12 AGCアンプ

Claims (8)

  1. 少なくとも2層の記録層を有する光学式多層記録媒体を用いて各層に記録された情報を光学ヘッドを用いて再生する光メモリ再生装置において、記録層中の任意の記録層を再生している状態から他の記録層の再生をするためにフォーカス点を切り替えるフォーカス手段と、光学ヘッドにより記録層から再生された信号を増幅し出力振幅が一定の値になるように制御する自動利得制御回路を有する信号再生手段と、前記フォーカス手段の動作と、前記信号再生手段の動作を制御する制御手段とを有し、前記フォーカス手段によるフォーカス点の切替え時には、前記制御手段の命令により前記信号再生手段の前記自動利得制御回路の利得をフォーカス点の切り替え前の値に保持することを特徴とする光メモリ再生装置。
  2. 請求項1において、前記制御手段がフォーカス切り替えの命令を出した時点から、フォーカス点の切り替え後所定の時間の経過までの期間、前記自動利得制御回路の利得を保持することを特徴とする光メモリ再生装置。
  3. 請求項2において、フォーカス点の切り替え後所定の時間とは、フォーカス制御ループの制御帯域と過渡応答性で決まる整定の時間であることを特徴とする光メモリ再生装置。
  4. 請求項2において、フォーカス点の切り替え後所定の時間とは、フォーカス点の切り替えを行い再生しようとする記録層でフォーカス引き込み制御を始めてから、フォーカスエラー信号の振幅が所定値よりも大きい期間であることを特徴とする光メモリ再生装置。
  5. 請求項1から4のいずれかにおいて、前記制御手段は前記信号再生手段の前記自動利得制御回路の利得制御の追従性を制御する手段を有し、前記自動利得制御回路の利得の保持を終了させた後に所定期間前記自動利得制御回路の利得制御の追従性を速くする事を特徴とする光メモリ再生装置。
  6. 少なくとも2層の記録層を有する光学式多層記録媒体を用いて各層に記録された情報を光学ヘッドを用いて再生する光メモリ再生装置において、記録層中の任意の記録層を再生している状態から他の記録層の再生をするためにフォーカス点を切り替えるフォーカス手段と、光学ヘッドにより記録層から再生された信号を増幅し出力振幅が一定の値になるように制御する自動利得制御回路を有する信号再生手段と、各層の情報を再生した時の前記自動利得制御回路の利得を記憶する記憶手段と、前記信号再生手段の自動利得制御回路の利得を強制的に設定する制御手段を有し、前記フォーカス制御手段によるフォーカス点の切り替え後所定の時間、前記制御手段は前記記憶手段に記憶されたフォーカス点切り替え後に再生する記録層における前記自動利得制御回路の利得に強制的に固定することを特徴とする光メモリ再生装置。
  7. 請求項6において、フォーカス点の切替え後所定の時間とは、フォーカス制御ループの制御帯域と過渡応答性で決まる整定の時間であることを特徴とする光メモリ再生装置。
  8. 請求項6において、フォーカス点の切替え後所定の時間とは、フォーカス点の切り替えの開始から、再生しようとする記録層でフォーカス引き込み制御を行いフォーカスエラー信号の振幅が所定値よりも大きい期間であることを特徴とする光メモリ再生装置。
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