実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による光ディスク装置について、そのブロック図である図1を用いて説明する。
本実施の形態1による光ディスク装置は、1層式DVD,2層式DVD,CD,CD−Rの判別を行うものである。図1において、100はディスクであり、該ディスクはトレイ149に載せられるものである。147は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)であり、これは、ディスク100がトレイ149に載せられると、モータ118を駆動してトレイ149を移動するものであり、これにより、ディスク100はモ−タ101の回転軸102に取り付けられるものである。
移送台104には、レーザ105(波長は650nm),カップリングレンズ106,偏光ビ−ムスプリッタ107,1/4波長板108,全反射鏡109,光検出器111,モータ128,及びアクチュエ−タ112,127が取り付けられており、該移送台104は、例えばリニアモータ等の移送モータ103によって、ディスク100の半径方向に移動せられるように構成されている。
上記移送台104に取り付けられたレ−ザ105より発生した光ビ−ムは、カップリングレンズ106で平行光にされた後に、偏光ビ−ムスプリッタ107,及び1/4波長板108を通過し、全反射鏡109で反射され、集束レンズ110によりディスク100の情報面上に集束して照射される。集束レンズ110,及びアクチュエータ112は、DVDを再生する場合に使用されるものである。
CDを再生する場合は、モータ128を駆動して、上記DVD用のアクチュータ112,及び集束レンズ110に代えて、CD用の集束レンズ126,及びアクチュエータ127に切り換える。従来のCD専用の装置では、CDは波長780nmのレーザを用いているが、上記CD用の集束レンズ126は、波長650nmのレーザ105とし、かつCDの基材厚1.2mmを考慮して設計されている。
ディスク100の情報面により反射された反射光は、集束レンズ110を通過して全反射鏡109で反射され、1/4波長板108,偏光ビ−ムスプリッタ107,検出レンズ113,及び円筒レンズ116を通過して、4分割された光検出器111上に照射される。集束レンズ110は、アクチュエ−タ112の可動部に取り付けられている。アクチュエ−タ112は、フォーカシング用のコイル,トラッキング用のコイル,フォーカシング用の永久磁石,及びトラッキング用の永久磁石により構成されている。したがって、アクチュエ−タ112のフォーカシング用のコイル(図示せず)に電力増幅回路133を用いて電圧を加えると、コイル(フォーカシング用のコイル)に電流が流れ、フォーカシング用の永久磁石(図示せず)から磁気力を受ける。よって、集束レンズ110は、ディスク100の面と垂直な方向(図では上下方向)に移動する。このように、集束レンズ110は、光ビームの焦点とディスクの情報面とのずれを示すフォーカシングエラー信号に基づいて、光ビ−ムの焦点が常にディスク100の情報面に位置するように制御されている。
また、上記アクチュエ−タ112のトラッキング用のコイル(図示せず)に電力増幅回路136を用いて電圧を加えると、該コイルに電流が流れ、トラッキング用の永久磁石(図示せず)から磁気力を受ける。よって、集束レンズ110は、ディスク100の半径方向、すなわちディスク100上のトラックを横切る方向に(図上では左右に)移動する。
上記光検出器111上に照射されたディスクからの反射光は、4分割された光検出器111によってそれぞれ電流に変換され、I/V変換器114,115,119,120に入力される。I/V変換器114,115,119,120は、入力される電流を、その電流レベルに応じて電圧に変換する。加算器121,122,123,124は上記4つのI/V変換器114,115,119,120からの各2つの入力信号を加算して、その各々の出力を2つずつ差動増幅器125,117に送る。差動増幅器117は上記加算器123,124の出力である両入力電圧の差を演算し、演算した値を出力する。
図1に示した光学系は一般に非点収差法と呼ばれるフォーカシングエラー検出方式を構成している。従って、差動増幅器117の出力が、光ビーム150の集束点とディスク100の情報面とのずれを示すフォーカシングエラー信号(以下、FE信号という)となる。このFE信号は、位相補償回路130,スイッチ131,及び加算器132を介して電力増幅回路133に送られ、該電力増幅回路133によりアクチュエータ112のフォーカシング用コイル(図示せず)に電圧が加えられる。このように、位相補償回路130はフォーカシング制御系を安定にするものであり、上記FE信号に応じて集束レンズ110を駆動することにより、あるいは集束レンズ126に切り換えた場合には、集束レンズ126を駆動することにより、光ビームの焦点を常に情報面上に位置するようにするものである。
また、上記差動増幅器125は上記加算器121,122の出力である両入力電圧の差を演算し、該演算した値を出力する。図1に示した光学系は、一般にプッシュプル法と呼ばれるトラッキングエラー検出方式を構成している。従って、差動増幅器125の出力が光ビーム150の集束点とディスク100のトラックとのずれを示すトラッキングエラー信号(以下、TE信号という)となる。TE信号は、スイッチ134,位相補償回路135を介して、電力増幅器136に送られ、該電力増幅器136の出力は、上記アクチュエータ112のトラッキング用コイル(図示せず)に電圧として加えられる。このように、位相補償回路135はトラッキング制御系を安定にするものであり、上記TE信号に応じて集束レンズ110を駆動することにより、あるいは集束レンズを126に切り換えた場合には、集束レンズ126を駆動することにより、光ビームの焦点を常に上記トラック上に位置するようにするものである。
そして、加算器148の出力は、上記全ての光検出器111の出力を加算した信号となり、これはディスクからの全反射光量を示すものである。以下、この出力信号をAS1信号ということとするが、この信号はディスク上のピットの有無に応じて変化する信号である。この全反射光量を示すAS1信号は、エンベロープ検出回路143,及び情報を復調するための信号処理回路(図示せず)に送られる。
上記エンベロープ検出回路143は、ディスク上のピットによって生じた交流成分の信号レベルを出力するもので、以下、この出力信号をENV信号という。
ローパスフィルタ165(以下、LPFという)は、上記AS1信号からディスク上のピットによって生じた交流成分を除去するもので、該LPF165を介したAS1信号を、以下AS1L信号という。上記AS1L信号,ENV信号,及びFE信号は、アナログ・ディジタル変換器142,144,140(以下、A/D変換器という)でディジタル信号に変換され、マイコン147に送られる。
次に、本実施の形態1による光ディスク装置の動作について説明する。
上記マイコン147は、ディスク100がトレイ149に載せられると、モータ118を駆動してディスク100をモータ101の回転軸102に取り付ける。
次に、マイコン147は、ディジタル・アナログ変換器145に所定の値を設定して、電力増幅回路139を介して移送モータ103により移送台104をディスク100の内周に移動させるとともに、モータ128を駆動して、集束レンズ,及びアクチュエータを、DVD用の集束レンズ110,及びアクチュエータ112に切り換える。
さらに、マイコン147は、モータ101を回転させる。モータの回転数は、DVDにおいて内周の情報を再生する場合に規定された回転数とする。モータ101が設定された回転数になると、該モータ101は、マイコン147の端子aにOK信号を送り、マイコン147はこのOK信号が送られてくると、その端子bを介してレーザ駆動回路129に指令を送り、レーザを光を出射する放射状態にする。また、マイコン147は放射強度をD/A変換器146を介してレーザ駆動回路129に設置する。なお、このレーザの放射強度は、CD−Rのディスクが本光ディスク装置に装填された場合でも、該CD−Rディスクの情報が破壊されないような低い値とする。
さらに、上記マイコン147は、D/A変換器141に値を設定して、加算器132,及び電力増幅回路133を介して集束レンズ110を一旦下げた後に徐々に上げる、即ちディスク100から遠ざけた後に、徐々に近づけるようにする。このとき、スイッチ131,134は開いた状態としておき、これにより、FE信号,及びTE信号に応じてアクチュエ−タ112のフォーカシング用のコイル,及びトラッキング用のコイルが駆動されることはないようにする。そして上記マイコン147は、集束レンズ110を移動させている期間に、上記FE信号,AS1L信号,及びENV信号を、A/D変換器140,LPF165とA/D変換器142,及びA/D変換器144を、それぞれ介して取り込み、該マイコン147は、この取り込んだFE信号,AS1L信号,及びENV信号に基づいて、該光ディスク装置に装填されたディスク100が、1層式DVD,2層式DVD,CD,及びCD−Rのいずれかであるかを判別する。
上記判別を行った後に、上記装填されたディスクがCD−Rの場合には、ディスク100に記録された情報を破壊する可能性があるので、上記マイコン147は、上記モータ118を駆動してトレイ149を移動し、ディスク100を装置から排出する。上記装填されたディスクがCDの場合には、上記マイコン147は、モータ128を駆動して、アクチュエータ,及び集束レンズを、CD用のアクチュエータ127,及び集束レンズ126に切り換える。
次に、上記マイコン147は、レーザ駆動回路129を制御して上記レーザ105の放射強度を、装填されているディスクが上記判別を行った結果のCDかDVDのいずれであるかに応じて、CD,又はDVDのそれぞれに応じた値に設定する。そして、D/A変換器141の出力値をゼロにして、加算器132を経て、スイッチ131,134を閉じてこれにより形成される各ループにより、上記アクチュエータ112を電力増幅回路133,136の出力で制御してフォーカシング制御,及びトラッキング制御を行い、ディスク100に記録されている情報を再生する。
このようにマイコン147によるディスクの判別は、モータ101の回転軸102にディスク100が新たに取り付けられた場合にのみ行う。したがって、例えば一時的にディスクの情報の再生を停止した後に、再生を再開するような場合には、ディスクの判別は行わない。従ってこれにより、上記再生を再開した場合の立ち上がり時間を短縮することができるものである。
次にFE信号、AS1L信号、ENV信号について説明する。
本光ディスク装置に1層式DVD(DVD1)が装填された場合に、集束レンズ110を下げた状態から徐々に上げていく際の各信号の波形図を図2(a)〜(e)に示す。図2(a)〜(e)において、縦軸は信号のレベルを示し、横軸は時間を示すが、図2(a)はFE信号を、図2(b)はAS1信号を、図2(c)はAS1L信号を、図2(d)はENV信号を、図2(e)は焦点Fの位置をそれぞれ示す。上記FE信号、AS1信号、AS1L信号、ENV信号の各信号は、ディスクに照射される光ビームの焦点が、情報を記録した面,即ちアルミニウムの反射膜,を通過する際に変化するものであり、上記FE信号は、上記光ビームの焦点の位置とディスクの情報面とが一致した時間t1のときに零になる。ここで、光ビームの焦点がディスクの情報面を通過する時の上記FE信号の波形は、一般にS字カーブと呼ばれる。上記AS1信号は、光ビームの焦点がディスクの情報面に近づくにつれて徐々に増大し、離れるにつれて徐々に減少するもので、これは、ディスク上のピットの有無に応じて変化している。上記AS1L信号は、ディスク上のピットによる上記AS1信号のレベル変化を平均した信号となる。上記ENV信号は、ディスク上のピットの有無による反射光量のレベル変化を示す信号となる。図2(e)の波形に示した光ビームの焦点Fの位置は、マイコン147がD/A変換器141に出力する信号レベルによって決まる。
ここで、マイコン147は、光ビームの焦点Fの位置を、図2(e)の波形に示すように、時間t0から時間t2の期間は遅く動かしている。この理由は、遅く動かす方が、信号レベルの変化が緩やかで、上記FE信号、AS1L信号,及びENV信号の測定を正確に行うことができるからである。なお、時間t0〜時間t2の間の期間は、AS1L信号が基準値Wを越えている期間とする。この期間に上記AS1L信号が基準値Wを越えるのは、この期間には光ビームの焦点がディスクの情報面の近傍にあるからである。従って、このように時間t0〜t2の期間は、光ビームの焦点Fの位置を遅く動かすことにより、各信号の測定を正確に行って、ディスクを判別する時間を短縮することができるものである。
次に、上記FE信号、AS1L信号、ENV信号を検出した結果に基づき、マイコン147が行う,ディスク判別の方式について説明する。
上記マイコン147は、取り込んだ上記FE信号、AS1L信号、及びENV信号の最大値を計算する。
図3(a)〜(d)に、集束レンズ110を徐々に上げた場合の上記ENV信号、及びAS1L信号を示す。図3(a)〜(d)において、縦軸は信号のレベルを示し、横軸は時間を示すが、図3(a)は、1層式DVD(DVD1と記す)の場合、図3(b)は、2層式DVD(DVD2と記す)の場合、図3(c)は、CDの場合、図3(d)は、CD−Rの場合を示す。
図3(a)の波形において、Kenv,及びKasは、集束レンズ110を移動した期間におけるENV信号,及びAS1L信号の最大値であり、図3(b),図3(c),及び図3(d)におけるLenv,Las,Menv,Mas,Nenv,Nasも同様である。
上記ENV信号,及びAS1L信号のレベルは、1層式DVD(DVD1)で最大で、CD−Rで最小となる。2層式DVD(DVD2)のENV信号,及びAS1L信号のレベルLenv,Lasが、1層式DVD(DVD1)のそれら(Kenv,Kas)に比し低いのは、2層式DVD(DVD2)の第1層の反射率,約35パーセントが、1層式DVD(DVD1)の反射率,約90%に比し低いためである。
また、CDのENV信号のレベルMenvが、DVD(DVD1,DVD2)のそれら(Kenv,Lenv)に比べ低いのは、該CDのENV信号を、DVD用の光学系を用いて測定するためである。
さらに、CDとCD−Rの,ENV信号,及びAS1L信号(MenvとNenv、MasとNas)に差があるのは、CD−Rの650nmの吸収率がCDに比し大きいためである。
図3(a)の波形において、Kenv,及びKasは、集束レンズ110を移動した期間におけるENV信号,及びAS1L信号の最大値であり、図3(b),図3(c),及び図3(d)におけるLenv,Las、Menv,Mas、及びNenv,Nasも同様である。
上記FE信号、AS1L信号、及びENV信号の最大値を計算したのち、マイコン147は、Nas<Pas<Mas、Nas<Pas<Las,及びNas<Pas<Kasの関係を満たすPasを予め記憶しており、該Pasと上記AS1L信号の最大値とを比較し、AS1L信号の最大値がPas以下の場合に、装填されたディスクをCD−Rと判別する。該ディスクがCD−Rである場合は、モータ118を駆動してトレイ149を移動し、ディスク100を装置から排出する。
次に、マイコン147は、Kenv/Kas、Lenv/Las、Menv/Mas、Nenv/Nasを演算する。ここで、AS1L信号の最大値でENV信号の最大値を除算する理由は、ENV信号の最大値に対するディスク100の反射率やレーザ105の放射強度のバラツキによる影響を吸収するためである。
この値は、実験によれば、1層式DVD(DVD1),及び2層式DVD(DVD2)では、6程度であり、CDの場合、2程度となる。従って、マイコン147は、上記の値が4以上の場合に、ディスクはDVDであると判断し、4以下の場合に、CDであると判断する。ただし、ASL信号の増幅率とENV信号の増幅率が異なれば、除算の結果は異なることとなるので、この場合、増幅率に応じて比較値を変えるようにする。
本光ディスク装置に装填されたディスクがCDの場合は、マイコン147は、モータ128を駆動して、アクチュエータ,及び集束レンズを、CD用のアクチュエータ127,及び集束レンズ126に切り換える。
本光ディスク装置に装填されたディスクがDVDの場合には、マイコン147は、Lenv<Qenv<Kenvの関係を満たすQenvを予め記憶しており、該Qenvの値と測定したENV信号との比較を行い、その結果により、1層式DVD(DVD1)であるか2層式DVD(DVD2)であるかの判別を行う。
なお本実施の形態1では、1層式DVD(DVD1)と2層式DVD(DVD2)との判別を、ENV信号の最大値を用いて行うものとしたが、これはFE信号の振幅の最大値,又はAS1L信号の最大値を用いて行うこともできる。これは、ENV信号のレベルに差が生じるのと同様の理由で,即ち1層式DVDと2層式DVDは反射率が異なることにより、またFE信号の振幅のレベル,又はAS1L信号のレベルに差が生じるからである。
また、本実施の形態1では、CD−Rの判別をAS1L信号のレベルで行うものとしたが、これは、FE信号のレベル,又はENV信号のレベルで行うこともできる。これは、CD−RのFE信号,またはENV信号のレベルが、CDに比べ、AS1L信号の場合と同じ理由で、即ち、CDとCD−Rとは吸収率が異なることにより、低いからである。
また、本実施の形態1では、CDとDVDの判別を、ENV信号の最大値をAS1L信号の最大値で除算した値に基づいて行うとしたが、実験によると、2層式DVDのENV信号の最大値は、CD用レンズで検出すべきものをDVD用レンズで検出するCDのENV信号の最大値より大きいので、このENV信号の最大値そのものに基づいて、1層式DVD,2層式DVD,CD,及びCD−Rを、1層式DVDと2層式DVDとは反射率の違いにより、DVDとCDとは基板厚に対して最適の検出レンズを使っていないことよりくる検出出力の違いにより、またCDとCD−Rとは吸収率の違いにより、その判別を行うことができる。
また、このようにENV信号の最大値に基づいて判別を行う場合には、除算を行わないので、マイコン147の処理は簡単にこれを行うことができることとなる。
また、本実施の形態1では、レーザ105の放射強度を低くして、CD−Rであるかどうかの判別を行うものとしたが、集束レンズ110の1回目のディスクに対する垂直方向の移動によりCD−Rでないことを確認した後は、レーザ105の放射強度を高くして、集束レンズ110のディスクに対する垂直方向の2回目の移動を行い、DVD、CDの判別を行うようにしてもよい。この場合、レーザの放射強度を高くすることで、検出信号のレベルをノイズに比べ高くすることができるので、判別の精度を大きく向上することができる。
また、本実施の形態1では、DVD用の光学系を用いてディスクの判別を行うものとしたが、これはCD用の光学系を用いて行ってもよい。ただしこの場合、ENV信号、FE信号の大小関係は逆転するので、その判定条件を変更する必要がある。
また、本実施の形態1では、集束レンズ110をディスク100から一旦遠ざけた後に徐々に近づけていき、その時のFE信号,ENV信号,AS1L信号を計測するとしたが、ディスク100に一旦近づけた後に除々に遠ざけた時の上記各信号を計測するようにしてもよく、上記と同様の結果が得ることができる。
以上のように、本実施の形態1による光ディスク装置によれば、AS1L信号,及びENV信号の最大値を測定し、ENV信号の最大値をAS1L信号の最大値で除算した値を、予め決めておいた基準値と比較するように構成したので、基材厚の薄いDVDと基材厚の厚いCDとを判別することができる。
また、AS1L信号の最大値そのものを、予め決めておいた基準値と比較するように構成したので、簡単な構成で、CD−Rのディスクを判別することができる。
また、光ビームの強度をディスクの情報を再生する際の強度より低くしてディスク判別をするように構成したので、装填されたディスクがCD−Rであってもディスクの判別の際にディスクの情報が破壊されることがない。
また、ENV信号振幅の最大値を予め決めておいた基準値と比較するようにしたので、簡単な構成で、上記ENV信号の最大値が所定のレベル以下であることより、1層式DVDと2層式DVDとを判別できる。
また、ENV信号振幅の最大値を測定し、その結果を予め決めておいた基準値と比較するように構成したので、簡単な構成で、基材厚の薄いDVDと基材厚の厚いCDとを判別することができる。
また、基材厚の薄いディスク用の光学系を用いてディスク判別を行うように構成したので、基材厚の薄いディスクが装填された場合にディスクの情報が再生可能になるまでの時間が短縮される。
また、AS1L信号のレベルが基準値W以上になると集束レンズ110の移動速度を遅くするように構成したので、AS1L信号,ENV信号,及びFE信号のレベル変化が緩やかになり、従って、マイコン147はAS1L,ENV信号,及びFE信号の振幅の正確な最大値を得ることができ、ディスク判別の信頼性を向上することができる。
また、本実施の形態1では、CD−Rの判別をAS1L信号の最大値を用いて行うものとしたが、これは、FE信号の振幅の最大値を用いて行うこともできる。これは、CD−RのAS1L信号のレベルがCDのAS1L信号のレベルに比べて低いのと同じ理由により、CD−RのFE信号の振幅のレベルがCDのFE信号の振幅のレベルに比べ低いからである。従って、この場合にも、上記AS1L信号を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
また、1層式DVDと2層式DVDの判別をENV信号の最大値を用いて行うものとしたが、これは、FE信号の振幅の最大値,またはAS1L信号の最大値を用いて行うこともできる。これは、1層式DVDと2層式DVDとでは、ENV信号の振幅のレベルに差が生じるのと同様の理由で、AS1L信号の最大値にも差が生じるからである。従って、この場合にも、上記ENV信号を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
以下本発明の実施の形態2について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置のブロック図を示す。図4において、上記実施の形態1におけると同一符号は同一部分を示す。本実施の形態2では、DVDと、CDの判別を行う(ただし、1層式DVDと2層式DVDとの判別はできない)ものである。
本実施の形態2による光ディスク装置において、上記実施の形態1による光ディスク装置の構成に新たに追加されたものは、バンドパスフィルタ160と、コンパレータ161である。バンドパスフィルタ160は所定の周波数の信号のみを通過させる。コンパレータ161は入力信号のレベルが所定の値を超えた場合にハイレベルの信号を出力する。従って、ディスク100に、バンドパスフィルタ160の通過帯域の信号が記録されているかどうかを、コンパレータ161の出力値がハイレベルになったかどうかで判別することができる。ここで、上記バンドパスフィルタ160の通過帯域は、4MHz近傍に設定されているものである。
次に、本実施の形態2による光ディスク装置の動作について説明する。
上記実施の形態1におけると同様に、マイコン147は、ディスク100がトレイ149に載せられると、モータ118を駆動してディスク100をモータ101の回転軸102に取り付ける。
次に、マイコン147は、D/A変換器145に所定の値を設定して、電力増幅回路139を介して移送モータ103により移送台104をディスク100の内周に移動させるとともに、モータ128を駆動して、集束レンズ,及びアクチュエータを、DVD用の集束レンズ110,及びアクチュエータ112に切り換える。そして、マイコン147は、モータ101を回転させるが、ここで、モータの回転数は、DVDにおいて内周の情報を再生する場合に規定された回転数とする。さらに、マイコン147はD/A変換器141に値を設定して、集束レンズ110をディスク100から一旦遠ざけた後に徐々に近づける。このとき、スイッチ131、134は開いた状態としておき、FE信号,及びTE信号に応じてアクチュエ−タ112のフォーカシング用のコイル,及びトラッキング用のコイルが駆動されることはないようにする。
以上は、上記実施の形態1におけるのと同様である。
次に本実施の形態2におけるディスクの判別方法について説明する。
DVDに記録されている信号の最高周波数は約4MHzであり、また、DVDの線速は約3.3m/sである。CDの場合は、線速は約1.3m/sで、この時再生される信号の最高周波数は約700KHzである。従って、DVDの線速でCDを回転させた場合の最高周波数は、700KHz×(3.27/1.3)=1.8MHzとなる。従って、集束レンズを移動させた時にコンパレータ161の出力がハイレベルになれば、検出信号中には4MHzの信号成分があることがわかり、搭載されたディスクはDVDであることが判る。ディスクの判別を行った後の動作は、上記実施の形態1におけるのと同様である。
なお、本実施の形態2の上記の例では、4MHzの信号成分を通すバンドパスフィルタ160を用い、その出力をコンパレータ161で検出することにより、4MHzの信号成分があるかどうかを検出し、装填されたディスクが、DVDかCDかを判別するようにしたが、これは、このバンドパスフィルタ160の入力信号を2値化し、そのハイレベル,又はローレベルの期間を計測することで、4MHzの信号成分があるかどうかを検出するようにしてもよい。ここで、DVDの場合には、ハイレベル,又はローレベルの期間は、約125nsとなるものである。
図5にこのような構成とした例のブロック図を示す。図4のブロック図と異なる点は、加算器148の出力であるAS1信号を入力とするハイパスフィルタ700(以下、HPF700と記す)、その出力を入力とするコンパレータ701、その出力を入力とする周期計測回路702、及びその出力を入力とするマイコン747である。HPF700は、入力信号の高周波成分のみを通過させるフィルタである。HFP700のカットオフ周波数は、ディスク100に記録された情報がもつ周波数成分を通過させる周波数に設定されている。従って、コンパレータ701には、ディスク100に記録された情報の信号成分が入力される。コンパレータ701は、零レベルを基準に入力信号をハイレベルまたはローレベルに変換する2値化回路である。よって、コンパレータ701の出力は、ディスク100に記録された情報の信号成分を2値化した信号になる。周期計測回路702は、入力信号のハイレベルおよびローレベルの時間を計測し、計測値をマイコン747に送る。マイコン747は、上記周期計測回路702から125ns近傍の計測値が送られてくると、今装填されているディスクがDVDであると判別する。125nsの計測値は、4MHzの信号成分に対応するからである。なお、マイコン747において計測値を取り込みディスクの判別を行う以外の動作は、マイコン147の動作と同じである。
以上のように、本実施の形態2による光ディスク装置によれば、ディスクからの反射光量に応じたAS1信号に所定の周波数成分の信号が含まれているかどうかを、図4に示すバンドパスフィルタ160,及びコンパレータ161で検出できるようにしたので、線記録密度の高いDVDと低いCDとを判別することができる。
また、ディスクからの反射光量に応じたAS1信号に所定の周波数成分の信号が含まれているかどうかを、図5に示すハイパスフィルタ700,コンパレータ701,及び周期計測回路702で同様に検出できるようにしたので、線記録密度の高いDVDと低いCDとを判別することができる。
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3について説明する。
図6は、本実施の形態3による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。上記実施の形態1におけると同一符号は同一部分を示す。本実施の形態3による装置が、上記実施の形態1の装置と異なる点は、アクチュエータ112,127、及び集束レンズ110,126が、アクチュエータ172,集束レンズ170,及びホログラム171に置き換わっている点である。
この光学系について図7の模式図を用いて説明する。ホログラム171は光ビーム150の光軸中心近傍にのみ形成されており、集束レンズ170を通過した光ビーム150はCD用の焦点FCDと、DVD用の焦点FDVDとを結ぶ。CD用焦点FCDは、DVD用焦点FDVDに比べ、集束レンズ170から離れた位置にある。CD用焦点FCDとDVD用焦点FDVDとの距離は、約300μmである。また、焦点の強度は、DVD焦点FDVDがCD用焦点FCDの約2倍になっている。
図6において、上記実施の形態1と同様に、マイコン147は、ディスク100がトレイ149に載せられるとモータ118を駆動してディスク100をモータ101の回転軸102に取り付ける。次に、移送台104を電力増幅回路139を介して移送モータ103によりディスク100の内周に移動させる。そして、マイコン147は、モータ101を回転させる。モータの回転数は、DVDにおいて内周の情報を再生する場合に規定された回転数とする。モータ101が設定された回転数になると、該モータ101は、マイコン147の端子aにOK信号を送り、マイコン147はこのOK信号が送られてくると、D/A変換器141に値を設定して集束レンズ170を一旦下げた後に徐々に上げる。このとき、スイッチ131、134は開いておく。
そしてマイコン147は、集束レンズ170が上限まで移動した後に、ディスクの判別を行う。判別を行った結果、ディスクがCD−Rである場合は、モータ118を駆動してトレイ149を移動しディスク100を装置から排出する。ディスクがCDである場合は、再度集束レンズ170を下げた後に徐々に上げてENV信号が所定のレベルを越え、かつFE信号が最初にゼロクロスしたタイミングで、スイッチ131を閉じてフォーカシング制御を動作させる。
ディスクがDVDである場合は、集束レンズ170をディスク100から徐々に下げながらFE号が最初にゼロクロスしたタイミングでスイッチ131を閉じて、フォーカシング制御を動作させる。
フォーカシング制御を動作させる際に、集束レンズ170の移動方向をCDとDVDで変える理由について、以下に詳細に説明する。
図8に集束レンズ170を一旦下げた後に徐々に上げていく場合のFE信号、ENV信号を示す。横軸は時間を示す。2つの焦点を持つ光学系の場合、CD用焦点FCDとDVD用焦点FDVDによってFE信号,及びENV信号が変化する。
図8(a)に示した1層式DVD,図8(b)に示した2層式DVDの場合、共に、最初CD用焦点FCDでFE信号およびENV信号は変化し(図では左側)、その後にDVD用焦点FDVDでFE信号およびENV信号が変化する(図では右側)。この理由は、CD焦点FCDがDVD焦点FDVDより集束レンズ170から離れた位置にあるからである。従って、DVDの場合は集束レンズ170を一旦上げた後に徐々に下げながら最初に、または2回目に(それぞれ1層式DVD,2層式DVDの場合)FE信号がゼロクロスするタイミング(時間t12,又はt13)でフォーカシング制御系を動作させる。CDの場合は、集束レンズ170を一旦下げた後に徐々に上げながらENV信号が所定のレベルを越え、かつFE信号がゼロクロスする最初のタイミング(時間t11)でフォーカシング制御系を動作させる。ENV信号を条件とするのは、図8(c)のCDの場合のFE信号に点線で示した波形(時間t10)が、基材表面で生じる場合があるためである。
次に、マイコン147が行うディスク判別の方式について説明する。
マイコン147は集束レンズ170を徐々に上げている期間に、FE信号,AS1L信号,ENV信号を取り込み、その最大値を測定する。
図9に集束レンズ170を徐々に上げた場合のENV信号、AS1L信号を示す。縦軸は信号のレベルを示し、横軸は時間を示す。
図9(a)に1層式DVDの場合、図9(b)に2層式DVDの場合、図9(c)にCDの場合、図9(d)にCD−Rの場合を示す。
図9(a)の波形において、Senvは集束レンズ170を移動した期間におけるENV信号の最大値を示す。Sasは、同様にAS1L信号の最大値を示す。
図9(b),(c),(d)の波形の場合も同様である。
ENV信号,及びAS1L信号は、CD用焦点FCD,DVD用焦点FDVDがそれぞれ情報面に一致したときに信号のレベルが高くなる。ENV信号の最大値は、1層式DVD(Senv)が最大で、2層式DVDとCD(Tenv,Uenv)がほぼ等しく、CD−R(Venv)が最小となる。また、AS1L信号の最大値は、1層式DVD(Sas)とCD(Uas)が大きくかつほぼ等しく、2層式DVDのAS1L信号の最大値(Tas)はCD(Uas)に比べ小さく、さらにCD−R(Vas)が最小となる。
2層式DVDのENV信号,及びAS1L信号の最大値(Tenv,Tas)が1層式DVD(Senv,Sas)に比べ低いのは、2層式DVDの第1層の反射率が、1層式DVDの反射率に比べ低いためである。
CDにおいてCD用焦点FCDによるENV信号のレベル(Uenv)が上記1層式DVDのそれ(Senv)に比べ低いのは、CD用焦点FCDの光量がDVD用焦点FDVDに比べ約50%だからである。また、CDにおいてDVD用焦点FDVDによるENV信号のレベル(Uenv)が、1層式DVDにおけるDVD用焦点FDVDによるENV信号のレベル(Senv)に比べ低いのは、DVD用焦点FDVDが0.6mmの基材厚を前提に設計されているので、焦点がぼやけるためである。
CDとCD−RとのENV信号,AS1L信号における差(UenvとVenvとの差,UasとVasとの差)は、CD−Rの650nmの吸収率が、CDに比べ大きいためである。
上記FE信号,AS1L信号,ENV信号の最大値を測定した上記マイコン147は、Vas<Was<Uas、Vas<Was<Tas,及びVas<Was<Sasの関係を満たすWasを予め記憶しており、上記AS1L信号の最大値を該Wasと比較し、該最大値がWas以下の場合に、充填されたディスクをCD−Rと判別する。ディスクをCD−Rであると判定した場合には、モータ118を駆動してトレイ149を移動し、ディスク100を装置から排出する。
そして、マイコン147は、Senv/Sas,Tenv/Tas,Uenv/Uasを演算する。Senv/Sasと、Tenv/Tasは、ほぼ等しくなる。Uenv/Uasは、Senv/SasとTenv/Tasに比べ小さくなる。
マイコン147は、予め所定の値Zを記憶しておき、ENV信号の最大値をAS1L信号の最大値で割った値と、上記値Zとを比較することで、装填されたディスクがDVDかCDかを判別する。
次に、値Zについて説明する。
値Zは、標準のディスクにおいて予めSenv/Sas,Tenv/Tas,Uenv/Uasを測定し、その結果に基づいてこの値Zを決定する。DVD用焦点FDVDの強度を、CD用焦点FCDの強度の約2倍に設定した装置では、このZの値は1層式DVD,及び2層式DVDでは6程度であり、CDの場合、2程度になる。従って値Zは、2と6の間の値となる。ディスクの特性がばらついても正確にディスクを判別できるようにするために、値Zは
6/Z=Z/2
を満たす値に設定する。Zの値は約4となる。図23に、本実施の形態3における,値Zとディスク種別の関係を示す。ENV信号の最大値をAS1L信号の最大値で割った値が4より大きい場合に、DVDと判別し、小さい場合にCDと判別する。但し、ENV信号とAS1L信号の増幅率の差によって除算の結果は異なるので、増幅率を変更した場合には、それに応じて値Zを変える必要がある。
また、DVD用焦点FDVDと、CD用焦点FCDの強度の比率を変えた場合には、強度の比に応じて比較値を変える必要がある。
以上のように、本実施の形態3による光ディスク装置によれば、AS1L信号,及びENV信号の最大値を測定し、ENV信号の最大値をAS1L信号の最大値で除算し、その結果を予め決めておいた基準値と比較するように構成したので、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置であっても、基材厚の薄いDVDと基材厚の厚いCDとを判別することができる。
また、マイコン147が、装填されたディスクが基材厚の厚いCDであると判別すると、D/A変換器141に所定の値を設定することで集束レンズ170をティスク100に近づけるように移動させ、そして、マイコン147はフォーカシング制御を動作させるタイミングを検出すると、スイッチ131を閉じてフォーカシング制御を動作させる。従って、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置であっても、基材厚の厚いCDにおいてフォーカシング制御を正常に動作させることができる。
また、マイコン147が、装填されたディスクが基材厚の薄いDVDであると判別すると、D/A変換器141に所定の値を設定することで集束レンズ170をディスク100から遠ざける方向に移動させる。そして、マイコン147はフォーカシング制御を動作させるタイミングを検出すると、スイッチ131を閉じてフォーカシング制御を動作させる。従って、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置であっても、基材厚にかかわらずフォーカシング制御を正常に動作させることができる。
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4について説明する。
図10に本実施の形態4による光ディスク装置のブロック図を示す。実施の形態3と同じブロックには同じ番号を付して説明を省略する。実施の形態3と異なる点は、光検出器411、マイコン447、I/V変換器450、ローパスフィルタ451、A/D変換器452、461、増幅率が可変の増幅器453、加算器454、462、D/A変換器455である。
光検出器411は、受光面が5分割された光検出器であり、上記実施の形態3における光検出器111に、1個の受光面が追加された構成になっている。図11に、この光検出器411の構成を示す。即ち、上記実施の形態3の光検出器111は、受光面A,B,C,Dの4個の受光面から構成されているのに対し、本実施の形態4における光検出器411は、受光面A,B,C,D,及びEの5個の受光面からなっており、上記光検出器111に受光面Eが追加された構成となっている。上記受光面A,B,C,Dは、光検出器411の内側部を構成し、該内側部の1辺は約200μmである。受光面Eは、光検出器411の外側部を構成し、該外側部の1辺は約2mmである。
ここで、受光面A,B,C,Dの出力信号を加算した値を示す加算器148の出力をAS1信号という。従って、実施の形態1,2,3と同様に、図10に示した差動増幅器117の出力が、光ビーム150の集束点とディスクの情報面とのずれを示すFE信号となる。また、差動増幅器125の出力が、光ビーム150の集束点とトラックとのずれを示すTE信号となる。追加された受光面(E)の出力は、I/V変換器450に送られる。I/V変換器450の出力は、加算回路462とLPF460とに送られる。加算器462の出力信号は、光検出器411の全ての受光面の出力信号を加算した信号であり、この信号を以下ではAS信号という。同様に、LPF451の出力信号をASL信号と、I/V変換器450の出力信号をAS2信号と、LPF460の出力信号をAS2L信号という。上記ASL信号は、A/D変換器461に送られる。マイコン447は、A/D変換器461の出力信号を取り込み、同様にマイコン447は、A/D変換器452を介してAS2L信号を取り込む。I/V変換器450は、I/V変換器120と同様に動作する。同様に、LPF451,及び460、A/D変換器461,及び452は、それぞれLPF165,A/D変換器142と同様に動作する。増幅器453は、マイコン447の指令により増幅率を変える増幅器である。加算器454,D/A変換器455は、それぞれ加算器132,D/A変換器141と同様に動作する。
図10に示した装置の動作を図12に示したフローチャートを用いて説明する。
図10において、実施の形態3と同様に、マイコン447は、ディスク100がトレイ149に載せられると、モータ118を駆動してディスク100をモータ101の回転軸102に取り付ける(ステップS1)。
次に、マイコン447は、D/A変換器145、電力増幅回路139により移送モータ103を駆動して、移送台104をディスク100の内周方向へ移動させる(ステップS2)。そして、マイコン447は、モータ101を回転させる。回転数は、DVDにおいて内周の情報を再生する場合に規定された回転数とする(ステップS3)。
マイコン447は、この状態でディスク100がDVD、CD、またはCD−Rであるかの判別を行う(ステップS4)。このディスク判別の方法については後述する。
ここで、判別の処理が終了した時点での集束レンズ170の位置が、フォーカシング制御が正常に動作している場合の位置よりディスク100に近づいた位置になるように、上記判別の方式は構成されている。
以下では、ディスク100がDVDの場合の動作を説明する。
マイコン447は、判別の処理で測定した値AS1Lp(pは“ピーク”を意味する)に基づいて増幅器453の増幅率を設定する(ステップS5)。次に、D/A変換器141により加算器132,及び電力増幅回路133を介して集束レンズ170を徐々に下げながら、そのとき検出されるFE信号を増幅器453で増幅し、A/D変換器140でA/D変換したその出力値に基づいて、FE信号が最初にゼロクロスしたタイミングを検出する(ステップS6)。このゼロクロスしたタイミングを検出すると、D/A変換器141の出力値を零にするとともに、スイッチ131を閉じて、フォーカシング制御を動作させる(ステップS6)。なお、上記のAS1Lpについては後述する。
以下では、ディスク100がCDの場合の動作を説明する。
マイコン447は、DVDの場合と同様に、判別の処理で測定した値AS1Lpに基づいて、増幅器453の増幅率を設定する(ステップS7)。また、モータ101の回転数を、CDの内周を再生する場合の回転数に設定する。
次に、集束レンズ170を一旦下げた(ステップS8)後に、徐々に上げながら、A/D変換器140の出力値に基づいてFE信号が最初にゼロクロスしたタイミングで、かつ、エンベロープ検出回路143の出力であるENV信号が所定のレベルを越えた最初のタイミングを検出する(ステップS9)。このゼロクロスしたタイミングを検出すると、D/A変換器141の出力値を零にするとともに、スイッチ131を閉じて、フォーカシング制御を動作させる(ステップS9)。
集束レンズ170の移動方向を、CDとDVDで変える理由は上述しているとおりである。従って、DVDが装置に装填された場合には、集束レンズ170を一旦下げるという動作が不要なので、CDが装填された場合に比べ短時間に信号の再生を開始できる。従って、DVDがCDに比べ頻繁に装填される場合には、平均すると、短時間に信号の再生が開始できるという長所を有することとなる。
ディスクがCD−Rである場合は、モータ118を駆動してトレイ149を移動し、ディスク100を排出する(ステップS10)。
次に、上記で後述するとしている,マイコン447が行うディスク判別の方式について説明する。
図13に集束レンズ170を一旦下げた後に、徐々に上げていく場合のFE信号,ENV信号,AS1L信号,ASL信号,及び、ENV信号のレベルをAS1L信号のレベルで除算したENV/ASLの値を示す。縦軸は信号のレベルを示し、横軸は時間を示す。
図13(a)に1層式DVDの場合、図13(b)に2層式DVDの場合、図13(c)にCDの場合を示す。
ENV信号,及びAS1L信号は、CD用焦点FCDと、DVD用焦点FDVDによって信号が変化する。また、FE信号には、上記各焦点FCD,FDVDが情報面を通過する際に、一般にS字カーブと呼ばれるレベルの変化が起こる。
実験によれば、ENV/ASLの値が最大になる状態は、DVDの場合は、DVD用焦点FDVDが情報面と一致した状態である。この理由を説明する。ASL信号は反射光量の低周波成分であるので、ENV/ASLは、ディスクに照射された光ビームがディスク上のピットによって変調される割合を示している。従って、装填されたディスクに好適な焦点がディスクの情報面に位置する状態が、効率的にディスクの情報が再生される状態であるので、DVDの場合は、DVD用焦点FDVDが情報面と一致した状態でENV/ASLは最大となる。1層式DVDでは、図13(a)の波形の時間t31で、ENV/ASLは最大になる。2層式DVDでは、DVD用焦点FDVDが2つの情報面とそれぞれ一致した,図13(b)の波形の時間t32,t33で、ENV/ASLの値がほぼ等しく、かつ最大となる。CDの場合は、CD用焦点FCDと情報面が一致した,図13(c)の波形の時間t30で、ENV/ASLは最大値になる。
なお、本実施の形態4では、ENV信号を光検出器411の全ての受光面A,B,C,D,Eで受光される光量ASLより求めるとしたが、これは受光面A,B,C,Dで受光される光量AS1Lより求めても同様な結果が得られる。また、ENVの値をASLの値で除算しているが、ASLの代わりにAS1Lを用いてもよく、同様な結果が得られる。
このような状況において、ENV/ASLが最大値になる状態において、AS1Lのレベルを、ASLのレベルからAS1Lのレベルを引いた波形であるAS2Lのレベル,で除算したAS1L/AS2Lの値は、1層式DVDの値が、2層式DVDの値,およびCDの値より大きい。即ち、1層式DVDでは、光検出器411の中心部の光ビームの強度が高くなる。
以下、その理由について、図24を用いて説明する。
図24は、本実施の形態4における,ディスク100が1層式DVD,2層式DVD,及びCD、のそれぞれの場合の,ENV/ASLが最大になる状態を示している。図24(a)がDVD用焦点FDVD及びCD用焦点FCD と情報面との位置関係を示し、図24(b)は光検出器411へのディスク100の情報面からの反射ビームを示す。
まず、1層式DVDの場合について説明する。1層式DVDの場合にENV/ASLが最大になるのは、情報面とDVD用焦点FDVDとが一致したときである。情報面からの反射ビームは、検出レンズ113で絞られて円筒レンズ116を介して光検出器411に入射する。従って、DVD用ビームの反射ビームRBDVDは、光検出器411の中心に焦点を結ぶ。CD用ビームの反射光RBCDは、CD用焦点FCDが情報面上にないので、光検出器411の全体に入射し、全体がぼやっとした明るさとなる。
次に、2層式DVDの場合について説明する。2層式DVDの場合にENV/ASLが最大になるのは、第1の情報面,または第2の情報面と、DVD用焦点FDVDとが一致したときである。図では、第1の情報面とDVD用焦点FDVDとが一致した場合を示している。なお、第1の情報面とDVD用焦点FDVDとが一致した時のAS1L/AS2Lと、第2の情報面とDVD用焦点FDVDとが一致したときのAS1L/AS2Lとは、ほぼ同じ値になるものである。
この2層式DVDの場合には、DVD用ビームの第1の情報面からの反射ビームRBDVD1は、光検出器411の中心に焦点を結ぶ。第1の情報面を透過したDVD用ビームとCD用ビームは、ともに第2の情報面で反射されてそれぞれ反射ビームRBDVD2,及び反射ビームRBCDとなり、光検出器411の全体に入射する。この理由は、CD用ビームの焦点FCDと、第1の情報面を透過したDVD用ビームの焦点FDVDが、情報面と一致していないためである。
1層式DVDの情報面の反射率は、2層式DVDの情報面の反射率に比べて高いので、1層式DVDの場合の光検出器411の内側の受光量(反射ビームRBDVDによる)は、2層式DVDの場合の光検出器411の内側の受光量(反射ビームRBDVD1による)に比べて高くなる。2層式DVDの場合、光検出器411の外側にDVDビームの第2の情報面からの反射ビームRBDVD2が入射し、さらにこれにCDビームの第1,及び第2の情報面からの反射ビームRBCD1,2が加わるので、2層式DVDの場合の光検出器411の外側の受光量は、1層式DVDの場合の光検出器411の外側の受光量(反射ビームRBCDによる)に比べて大きくなる。従って、上述したように、AS1L/AS2Lの値は、1層式DVDの値のほうが、2層式DVDの値より大きくなる。
さらに、CDの場合について説明する。CDの場合にENV/ASLが最大になるのは、情報面とCD用焦点FCDとが一致したときである。従って、CD用ビームの反射ビームRBCDは、光検出器411の中心に焦点を結ぶ。DVD用ビームの反射光RBDVDは、DVD用焦点FDVDが情報面上にないので、光検出器411の全体に入射する。
DVD用焦点FDVDの強度は、CD用焦点FCDの強度に比べ高いので、1層式DVDの場合の光検出器411の内側の受光量(反射ビームRBDVDによる)は、CDの場合の光検出器411の内側の受光量(CD用ビームの反射ビームRBCDによる)に比べ大きくなる。CDの場合、光検出器411の外側にDVD用ビームの反射ビームRBDVDが入射するので、CDの場合の光検出器411の外側の受光量は、1層式DVDの場合の光検出器411の外側の受光量(反射ビームRBCDによる)に比べ大きくなる。
従って上述したように、AS1L/AS2Lの値は、1層式DVDの値が、CDの値より大きくなる。
実験によれば、1層式DVDのAS1L/AS2Lの値は、2層式DVD,CDのそれぞれの場合のAS1L/AS2Lの約1.5倍となる。また、ENV/ASLが最大値になる状態でのENV信号のレベルENVpは、上述したように1層式DVDにおけるそのレベルの値の方が、2層式DVD,及びCDのそれぞれにおけるそのレベルの値より大きい。なお、標準の反射率のディスクの場合、ASLの最大値ASLmaxは、ディスクによらず、1層式DVD,2層式DVD,及びCDでほぼ等しくなる。
以下、1層式DVDを判別する方式を説明する。
集束レンズ170をディスクの情報面に垂直な方向に移動させながら、ENV/ASLを計算し、この値が最大値になるタイミングでのAS1Lp,AS2Lp,ASLp,及びENVp、を記憶しておく。また、集束レンズ170を移動させた全期間でのASLの最大値ASLmaxを測定する。以上の値より、次式に従って値Yを計算する。
Y=(ENVp/ASLmax)×AS1Lp/AS2Lp
このYの値は、1層式DVDの値が、2層式DVD,およびCDの値に比べ非常に大きくなる。実験では、1層式DVDの値は、2層式DVD,及びCDの値の約4倍である。従って、1層式DVDの値と、2層式DVD,及びCDの値の中間の値F、を予め計算しておき、これをYと比較することで、ディスクを1層式DVDであると判別することができる。このとき、ASLmaxを用いていることにより、ディスクの反射率等のバラツキがあっても、値Yは影響を受けることがない。
なお、本実施の形態4では、上述の値Yを用いて判別するとしたが、上述した理由により、次式の値Y2を用いても判別することができる。
Y2=AS1Lp/AS2Lp
また、ディスクの反射率のばらつきが小さい場合には、次式の値Y3を用いて判別することもできる。
Y3=ENVp×AS1Lp/AS2Lp
また、本実施の形態4による装置では、1層式DVDと、2層式DVDと、CDとを再生できるとしたが、1層式DVDと,CDの2種類のディスクを対象とする装置の場合には、1層式DVDと,CDとを上述のYの値により判別することができる。即ち、基材厚の薄いディスクと厚いディスクとを、判別することができる。
以下、2層式DVDとCDとを区別する方式を説明する。
集束レンズ170をディスクの情報面に垂直な方向に移動させながら、ENV/ASLを計算し、この値が最大値になるタイミングでのASLの値ASLpを測定する。また、集束レンズ170を移動させた全期間でのASLの最大値ASLmaxを測定する。以上の値より、次式に従って値Zを計算する。
Z=ASLp/ASLmax
このZの値は、2層式DVDの値の方が、CDの値に比べ大きくなる。
これは、2層式DVDでは、DVD用焦点FDVDが第1層情報面と一致した場合に、第1層を透過して第2層で反射した光ビームも、ほぼ光検出器411に入射するためである。これは、第1層と第2層との間隔が、約40μmと短いためである。DVD用焦点FDVDが第2層と一致した場合も同様である。
また、CDにおいて、DVD用焦点FDVDが情報面と一致した場合には、DVD用焦点FDVDの光ビームが情報面で反射し、光検出器411にほぼ全部が入射する。この状態でASLが最大値になる。これは、CD用焦点FCDに比べDVD用焦点FDVDの光量が大きいためである。また、CDにおいて、CD用焦点FCDが情報面と一致した場合に、DVD用焦点FDVDの光ビームが情報面で反射し迷光となり、光検出器411をはみ出してしまう。これは、CD用焦点FCDとDVD用焦点FDVDの距離が約300μmあるためである。従って、DVD用焦点FDVDが情報面と一致した場合に比べ、ASLのレベルは低くなる。
実験によれば、2層式DVDのZの値は約1で、CDの値は約0.5である。
従って、2層式DVDとCDの値の中間の値Gを予め計算しておき、これをZと比較することで、2層式DVDとCDとを区別することができる。
なお、1層式DVDの場合は、CD用焦点FCDに比べDVD用焦点FDVDの光量が大きいので、CD用焦点FCDの反射光が光検出器411をはみ出してもASLpの値はほとんど影響を受けない。従って、Zの値はほぼ1になる。本実施の形態4の上記の説明では、Zの値を用いて2層式DVDとCDとを区別するとしたが、1層式DVDとCDとを区別することもできる。即ち、基材厚の薄いディスクと厚いディスクを、Zの値で判別することができる。
上述した判別におけるマイコン447の動作を、図14および図15のフローチャートを用いて説明する。
マイコン447は変数FODAにLmaxを代入する(ステップS11)。そして、変数FODAの値をD/A変換器141に設定する(ステップS12)。
これにより、集束レンズ170は上に移動する。ここで、Lmaxは、CD用焦点FCD,及びDVD用焦点FDVDがディスクの情報面より上に位置する値とする。次に、点aの後の動作であるが、AS1Lp,AS2Lp,ASLp,ENVp,ASLmax,及びQmaxの各変数をクリアする(ステップS13)。そして、点b以降の動作として、変数FODAからSを引いた値を、変数FODAに代入する(ステップS14)。この変数FODAの値はD/A変換器141に設定される(ステップS15)。ここで、SはLmaxに比べ非常に小さく、かつ正とする。従って、D/A変換器141の出力値は小さくなり、加算器132,電力増幅回路133を介して、集束レンズ170は下方向に微少に移動する。
この状態でマイコン447はENV/ASLを計算し、これを変数Qに代入する(ステップS16)。そして、マイコン447は、変数Qmaxと変数Qの値を比較して(ステップS17)、変数Qmaxが小さい場合には変数Qの値を変数Qmaxに代入する(ステップS18)。また、マイコン447は、AS2Lの値を変数AS2Lpに代入し、同様に、AS1Lの値をAS1Lpに、ENVの値を変数ENVpにそれぞれ代入する(ステップS19)。次に、マイコン447は、変数ASLmaxの値とASLの値とを比較して(ステップS20)、変数ASLmaxの値が小さい場合には、ASLの値を変数ASLmaxに代入する(ステップS21)。
次に、変数FODAの値がLminより大きい場合(ステップS22の判断でNO)には点bに戻る。変数FODAの値がLminより小さい場合(ステップS22の判断でYES)に、次の点c以降の動作に移る。Lminは、CD用焦点FCD,及びDVD用焦点FDVDがディスクの情報面より下に位置する値とする。
点aから点cまでの動作によって、CD用焦点FCD,及びDVD用焦点FDVDがディスクの情報面を1回通過する。点c以降の処理を図15に示す。
点cから点dの処理は、上述した点bから点cの処理とほぼ同様であり、異なる点は、変数FODAにSを加算した値を変数FODAに代入する点(ステップS11a),ステップS12から直接ステップS16に移る点,及び変数FODAの値がLmaxより大きくなった時点(ステップS22aでYES)で処理を終了する点である。点cから点dまでの動作によって、CD用焦点FCD,及びDVD用焦点FDVDがディスクの情報面を1回通過する。従って、点aから点dの処理によってCD用焦点FCD,及びDVD用焦点FDVDがディスクの情報面を2回通過する。これによって、ENV/ASLが最大となるタイミングを正確に検出できる。また、点bから点dの期間に、マイコン447は、D/A変換器455を介して加算器454に正弦波を出力し、これが位相補償回路135,及び電力増幅回路136を介して集束レンズ170に加えられる。これによって、集束レンズ170はトラックと直交する方向に振動する。これにより、焦点がトラックとトラックの中間に常時位置することを防止できるので、トラックに記録された情報が再生されやすくなり、ENV信号の正確なレベルを測定することができる。
図16に、上記動作によるディスクの判別を行う間における集束レンズ170の位置の変化を示す。図中、横軸が時間を示し、縦軸がレンズの位置を示し、その正の方向がディスク100に近いことを示す。図14,及び図15に示した点a,c,dが図16の点a,点c,点dにそれぞれ対応する。判別の処理が終了した時点で、集束レンズ170は上に位置している。ディスクがDVDである場合には、集束レンズ170を徐々に下げながら、最初のFE信号のゼロクロスを検出してフォーカシング制御を動作させる。CDの場合には、集束レンズ170を下げて、その後徐々に上げながら、最初のFE信号のゼロクロスを検出してフォーカシング制御を動作させる。
従って、DVDが装置に装填された場合には、CDが装填された場合に比べ、ディスクの判別の処理の後、短時間に信号を再生できる。
次に、AS1Lpの値に基づいて、増幅器453の増幅率を設定することについて説明する。この増幅率の設定は、フォーカシング制御を動作させるタイミングの検出を、正確にするために行うものである。まず、フォーカシング制御を動作させるタイミングを、図17を用いて説明する。
図17は1層式DVDの場合のFE信号を示す。横軸が時間を示す。集束レンズ170が徐々に下がってDVD用の焦点FDVDが情報面に近づく。FE信号は、最初負になり、情報面と焦点が一致した時点で零となり、その後に正になる。
フォーカシング制御を動作させるタイミングは、情報面と焦点が一致した時点fである。そこでFE信号が比較レベルLcより大きくなったことを検出する。なお、検出タイミングの遅れを少なくするためには、比較レベルLcを零レベルLzに近づける必要がある。しかしながら、FE信号にはノイズ等が含まれるため、完全に零レベルにすることはできない。
従って、比較レベルLcとは零レベルLzではない。図17では、時点fのタイミングがフォーカス制御を動作させるタイミングになる。ところで、FE信号の振幅は、ディスクの情報面の反射率や、ビーム150の強度が低下した場合には低下する。比較レベルLcが同じでもFE信号の振幅が低下すれば、検出の遅れが大きくなる。最悪の場合、FE信号の振幅が比較レベルLcに達しない場合が生じる。振幅の低下したFE信号を図中に点線で示す。この場合には、フォーカス制御を動作させるタイミングを検出することができない。従って、フォーカシング制御を動作させることができなくなる。
ディスクの情報面の反射率や、光ビーム150の強度の変化は、焦点が情報面と一致したときの,AS1Lp信号のレベルの変化となる。即ち、ディスクの情報面の反射率等が低下すれば、それに比例してAS1Lp信号のレベルは低下する。従って、情報面と、装置に装填されたディスクに対応する焦点,即ちDVD用焦点FDVD,あるいはCD用焦点FCD,とが一致した場合のAS1Lpのレベルに応じて、増幅器453の増幅率を設定すれば、ディスクの情報面の反射率等に変化があったとしても、一定の振幅のFE信号が得られる。よってこのようにすることにより、図17に点線で示したようなFE信号の振幅の低下が発生せず、フォーカシング制御を動作させるタイミングを、正確に,かつ確実に検出することができることとなる。
そこで、標準状態でのFD信号の振幅をHとし、AS1LpをJとする。FD信号が低下した場合のその振幅をH/2とする。この場合、AS1LpはFE信号の振幅に比例するので、AS1LpはJ/2となる。マイコン447は、AS1LpがJ/2であり、標準状態の50%であるので、増幅器453の増幅率を2倍にする。するとこれにより、A/D変換器140に入力されるFE信号の振幅はHとなり、標準状態と同じになる。よって、フォーカシング制御を動作させるタイミングを確実に検出することができる。
本実施の形態4では、ENV/ASLの値が最大になるタイミングが、DVD(1層式)の場合は、DVD用焦点FDVDが情報面と一致したタイミングであり、2層式DVDでは、DVD用焦点FDVDが2つの情報面のいずれかと一致したタイミングであり、CDの場合は、CD用焦点FCDと情報面が一致したタイミングであるとした。実験によると、ENV/AS1LもENV/ASLの値と同様の特性を示すので、本発明では、ENV/ASLの代わりにENV/AS1Lを用いるようにしても良い。また本発明では、ENV信号をAS信号より検出するとしたが、これはAS1信号より検出してもよく、同様な特性が得られる。
上記実施の形態4では、5個の受光面からなる1つの光検出器411を用いて説明を行ったが、光学系の構成を変えれば、2つの光検出器を用いて構成することもできる。2つの光検出器を用いたブロック図を図18に示す。図10と同じブロックには同じ番号を付して説明を省略する。図10のブロック図と異なる点は、光検出器111,ハーフミラー601,及び光検出器602である。これらの光検出器111,ハーフミラー601,及び光検出器602は移送台104に取り付けられている。
光検出器111は、図10の光検出器411の受光面Eを取り去り、受光面A,B,C,Dのみで構成される光検出器である。光検出器602は、光検出器411の受光面A,B,C,Dを取り去り、受光面Eのみとした光検出器である。
図19(a)に光検出器111の、図19(b)に光検出器602の模式図を、それぞれ示す。なお、図19(b)の光検出器602では、斜線部が受光面である。これらの光検出器111,602は、光検出器の中心であるP点,及びQ点が、それぞれ入射光の光軸と一致するように取り付けられている。
円筒レンズ116を通過した光ビームは、ハーフミラー601により2つのビームに分けられる。一方の光ビームは、光検出器111に入射する。また、他方の光ビームは、光検出器602に入射する。光検出器602は、ハーフミラー601から光検出器602までの距離と、ハーフミラー601から光検出器111までの距離とが等しくなる位置に取り付けられている。従って、I/V変換器114,115,119,120,及び450の入力信号は、図10に示した構成の場合と同じになる。よって、装置の動作も、図10の構成と同じになる。
以上のように、本実施の形態4による光ディスク装置によれば、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置において、光検出器411によって、中心部の反射光と、周辺部の反射光のそれぞれの強度を検出するようにしたので、その強度の比に基づいて、基材厚の薄いDVDと基材厚の厚いCDとを判別することができる。
また、ENV信号が最大値になるときの光検出器411の受光量を用いることにより、正確にディスクの判別を行うことができる。
また、ENV信号をASL信号のレベルで除算した値が最大値になるときの光検出器411の受光量を用いることにより、ディスク100の反射率がばらついても正確にディスクの判別をすることができる。
また、光検出器411の第1の受光領域の受光量AS1Lpと、第2の受光領域の受光量AS2Lp、及び情報信号の振幅値ENVpを測定し、(AS1Lp×ENVp)とAS2Lpとの比を用いることにより、ディスク判別の精度を向上することができる。
また光検出器411の第1の受光領域の受光量AS1Lp,第2の受光領域の受光量AS2Lp,情報信号の振幅値ENVp,及びASLmaxを測定し、AS1Lp×ENVpとAS2Lp×ASLmaxとの比を用いることにより、ディスクの反射率がばらついても正確にディスクの判別を行うことができる。
また、図10の光検出器411を、図18に示す光検出器111、及び光検出器602で構成した場合にも、上記と同様な効果を得ることができる。
また、本実施の形態4によれば、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置において、光検出器411によって中心部の反射光と、周辺部の反射光の強度を検出することにより、その強度の比に基づいて、1つの情報面を有するディスクと、2つの情報面を有するディスクとを判別することができる。
また、ENV信号が最大値になるときの光検出器411の受光量を用いることにより、正確にディスクの判別をすることができる。
また、ENV信号をASL信号のレベルで除算した値が最大になるときの光検出器411の受光量を用いることにより、ディスク100の反射率がばらついても正確にディスクの判別をすることができる。
また光検出器411の第1の受光領域の受光量AS1Lpと、第2の受光領域の受光量AS2Lp、及び情報信号の振幅値ENVpを測定し、AS1Lp×ENVpとAS2Lpとの比を用いることにより、ディスク判別の精度を向上することができる。
また、光検出器411の第1の受光領域の受光量AS1Lpと、第2の受光領域の受光量AS2lp、情報信号の振幅値ENVp、及びASLmaxを測定し、AS1Lp×ENVpとAS2Lp×ASLmaxとの比を用いるようにしたので、ディスクの反射率がばらついても、正確にディスクの判別を行うことができる。
なお、図10の光検出器411を、図18に示す光検出器111,及び光検出器602で構成した場合にも、上記と同様な効果が得られる。
また、本実施の形態4によれば、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッド装置において、装填されたディスク100に好適な焦点が情報面付近にあるときの受光量ASLpと、焦点を移動させた際の受光量の最大値ASLmaxとを測定し、ASLpとASLmaxの比を求めるようにしたので、この比に基づいて、基材厚の厚いディスクと基材厚の薄いディスクとを判別することができる。
また、ENV信号をASL信号のレベルで除算した値が最大になるときの光検出器411の受光量を用いることにより、ディスク100の反射率がばらついても、好適な焦点が情報面付近にあることを、正確に検出することができる。
また、本実施の形態4によれば、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置において、装填されたディスク100に対して好適な焦点が情報面付近にあることを光検出器411の出力より検出したとき、受光量AS1Lpの値に応じてフォーカシング制御手段における,焦点ずれ検出信号を増幅する増幅率が可変な増幅器453の増幅率を変えるようにしたので、ディスクの反射率がばらついても、FE信号の振幅が一定となり、フォーカシング制御を動作させるタイミングを正確なものにすることができる。
また、増幅器453の増幅率を変えた後に、増幅器453の出力信号が所定のレベルに達したタイミングでフォーカシング制御を動作させるようにしたので、ノイズ等によって間違ったタイミングでフォーカシング制御を動作させてしまうということがない。
また、ENV信号をASL信号のレベルで除算した値が最大になるときの光検出器411の受光量を用いることにより、ディスク100の反射率がばらついても、好適な焦点が情報面付近にあることを正確なタイミングで検出することができる。
また、本実施の形態4によれば、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点が、情報面をそれぞれ2回通過するように構成したので、ディスク100からの反射光量を正確に検出することができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
図20に本発明の実施の形態5による光ディスク装置のブロック図を示す。実施の形態3と同じブロックには同じ番号を付して説明を省略する。上記実施の形態3と異なるものは、信号処理回路500、マイコン547である。
信号処理回路500は、加算器148の出力信号AS1よりディスク100に記録された情報を再生し、ディジタルデータに変換してマイコン547に送る。
なお、信号処理回路500は、CDとDVDの情報を再生できる。動作の切り換えは、マイコン547の指令で行われる。
図20に示した装置の動作を、図21(a),(b)に示した波形を用いて説明する。図21(a)の波形は、集束レンズ170の位置を示す。図21(b)の波形は、差動増幅器117の出力信号であるFE信号を示す。
図20において、マイコン547は、ディスク100がトレイ149に載せられると、モータ118を駆動してディスク100をモータ101の回転軸102に取り付ける。次に移送台104をディスク100の内周に移動させる。そして、マイコン547はモータ101を回転させる。モータ101の回転数は、CDでの内周の回転数に設定する。マイコン547は、図21(a)の波形のt210に示すように、D/A変換器141に値を設定して集束レンズ170を一旦下げる。そしてその後、徐々に上げる。このとき、スイッチ131,134は開いておく。ここで、D/A変換器141の出力信号は、加算回路132,電力増幅器133を介して、アクチュエータ172に送られるので、D/A変換器141の出力信号のレベルは、集束レンズ170の位置に対応するものである。
集束レンズ170を徐々に上げていきながら、ENV信号が所定のレベルを越え、かつFE信号が最初にゼロクロスしたタイミングでスイッチ131を閉じてフォーカシング制御を動作させる。図21(b)の波形のt211のタイミングである。上記実施の形態3で説明したように、ディスク100がCDの場合には、このフォーカシング制御を動作させたタイミングが、CD用焦点FCDがディスクの情報面に位置するタイミングである。従ってCD用の焦点FCDがCDの情報面に位置するようにフォーカシング制御される。そして、マイコン547はスイッチ134を閉じてトラッキング制御を動作させる。また、マイコン547は信号処理回路500を、CDの情報を再生する動作状態に切り換える。従って信号処理回路500は、ディスク100に記録された情報を再生してマイコン547に送る。なお、図21(a),(b)において、点線で示した波形はフォーカシング制御を動作させなかった場合の波形である。即ち、実施の形態3で説明したような波形である。
さらに、上記信号処理回路500について、図21(c)及び図21(d)を用いて説明する。
図21(c)は上記信号処理回路500のブロック図を示し、入力端子601は加算器148に接続されており、AS1信号が入力される。出力端子605はマイコン547に接続されている。CD用情報再生回路602は、CDの情報を再生するための回路である。DVD用情報再生回路603は、DVDの情報を再生するための回路である。スイッチ606は、コントロール端子dのレベルに基づいて端子aまたは端子bの信号を切り換えて端子cに出力する。入力端子604は、スイッチ606のコントロール端子dに接続されている。
図21(d)は、上記CD用情報再生回路602のブロック図を示し、入力端子704には、AS1信号が入力される。出力端子705はスイッチ606に接続されている。ハイパスフィルタ700は、低い周波数成分を除去する。コンパレータ701は、入力信号のレベルが零レベルより高いときにハイレベルの信号を出力し、入力信号のレベルが零レベルより低いときにローレベルの信号を出力する。周期パターン検出回路706は、フレームの先頭にある周期パターンを検出する。ここでフレームとは、CDの信号フォーマットにおけるフレームである。
変換回路702は、17ビットのデータが入力される毎に8ビットのデータに変換して出力する。入力信号のデータを17ビットのデータに分割するための基準のタイミングは、周期パターン検出回路706の出力信号に基づいたタイミングとする。この変換は、CD方式の変調法であるEFM(eight-to-fourteen modulation)に基づいた変換テーブルに従って行われる。EFMでは、17ビットの内の14ビットのデータが情報を持っており、その14ビットのデータが取り得る値は、256通りに制限されている。従って、変換テーブルは256種類の入力データをそれに対応する8ビットのデータに変換する。変換回路702の出力信号は、エラー訂正回路703に送られる。エラー訂正回路703は、CD方式の誤り訂正を実行する。
今、CD用の焦点FCDがCDの情報面に位置しているので、変換回路702に入力されるデータは、変換テーブルにおける256種類のうちの1つのデータとなる。従って、入力データは正しく変換される。よって、ディスク100に記録された情報が再生される。
次に、ディスク100がDVDである場合の動作を説明する。フォーカシング制御を動作させたタイミングは、ディスクがDVDであるにもかかわらず、CD用焦点FCDがディスクの情報面に位置するタイミングとなる。従って、CD用の焦点FCDが情報面に位置するようにフォーカシング制御される。そして、マイコン547は、スイッチ134を閉じてトラッキング制御を動作させる。またマイコン547は、信号処理回路500をCDの情報を再生する動作状態に切り換える。
しかしながら、CD方式の変調法はDVDの変調法と異なる。このために、信号処理回路500の中の変換回路702に入力されるデータは、変換テーブルにおける256種類のデータと異なる。よって、変換回路702はデータを出力しない。従って、エラー訂正回路703が動作しないので、マイコン547に情報を送ることができない。
マイコン547は、信号処理回路500から情報が送られていないことを知ると、ディスク100がDVDであると判断する。そして、スイッチ131,134を開いてフォーカシング制御,及びトラッキング制御を不動作状態にする。以降の動作を、図22(a),(b)に示した波形を用いて説明する。図22(a)の波形は、集束レンズ170の位置を示す。図22(b)の波形は、差動増幅器117の出力信号であるFE信号を示す。
マイコン547は、上述のように、モータ101の回転数を、DVDでの内周の回転数に設定する。そして、図22(a)の波形のt310に示すように、D/A変換器141に値を設定して集束レンズ170をディスク100に一旦近づける。その後、集束レンズ170を徐々に下げながら、FE信号が最初にゼロクロスしたタイミングでスイッチ131を閉じてフォーカシング制御を動作させる。
図22(b)の波形のt311のタイミングである。上記実施の形態3で説明したように、ディスク100がDVDの場合は、このフォーカシング制御を動作させたタイミングが、DVD用焦点FDVDがディスクの情報面に位置するタイミングである。そして、マイコン547は、スイッチ134を閉じてトラッキング制御を動作させる。また、マイコン547は、信号処理回路500をDVDの情報を再生する動作状態に切り換える。従って、信号処理回路500は、ディスク100に記録された情報を再生して、マイコン547に送る。なお、図22に示した点線の波形は、フォーカシング制御を動作させなかった場合の波形である。即ち実施の形態3で説明した様な波形である。
本実施の形態5では、マイコン547は、最初にディスク100がCDであるとして動作を開始するとしたが、最初にディスク100がDVDであるとして動作を開始してもよい。この場合、モータ101の回転数を、DVDでの内周の回転数に設定する。そして、集束レンズ170を一旦上げた後に、徐々に下げながら、FE信号が最初にゼロクロスしたタイミングでフォーカシング制御を動作させ、かつトラッキング制御を動作させる。信号処理回路500は、DVDの情報を再生する動作状態に設定しておく。情報が再生できない場合は、フォーカシング制御,及びトラッキング制御を不動作状態とする。そして、ディスク100がCDであると判断して、モータ101の回転数をCDでの内周の回転数に設定する。マイコン547は、集束レンズ170を一旦下げた後に、徐々に上げていきながら、ENV信号が所定のレベルを越え、かつ、FE信号が最初にゼロクロスしたタイミングで、フォーカシング制御を動作させ、かつ、トラッキング制御を動作させる。信号処理回路500は、CDの情報を再生する動作状態に設定しておく。
以上のように、本実施の形態5による光ディスク装置によれば、基材厚の厚いディスクを再生するための焦点と基材厚の薄いディスクを再生するための焦点の2つの焦点を有する光ヘッドを用いる光ディスク装置において、不適格な焦点を用いてフォーカシング制御を動作させた場合であっても、信号処理回路500によって不適格な焦点を用いてフォーカシング制御を動作させたことを検出することができるので、再度好適な焦点でフォーカシング制御を動作させることができる。