JP3612140B2 - 容量可変圧縮機の容量制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用空調装置などの冷凍サイクル中で冷媒を圧縮するために用いられる容量可変圧縮機の容量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、エンジンにベルトで直結されているので回転数制御を行うことができない。そこで、エンジンの回転数に制約されることなく適切な冷房能力を得るために、冷媒の容量(吐出量)を変えることのできる容量可変圧縮機が用いられている。
【0003】
そのような容量可変圧縮機においては、一般に、気密に形成されたクランク室内で傾斜角可変に設けられた揺動板が回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をする。
【0004】
そして揺動板の揺動運動により往復動するピストンが吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入して圧縮したあと吐出室に吐出し、クランク室内の圧力と吸入室内の圧力との差によって揺動板の傾斜角度を変化させることによって、冷媒の吐出量が変化するようになっている。
【0005】
そのような容量可変圧縮機において、必要に応じて揺動板の傾斜角を変えるために容量制御弁が設けられているが、低吐出圧力(低外気温度)時には、例えば図6に示されるように吸入圧力(Ps)が上昇する傾向となり、蒸発器で水分が取れにくいため、車内の窓に露が付きがちになってしまう。
【0006】
そこで従来は、吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)が所定圧力を下回った時に、主弁体の高圧影響特性を補正するように作動する補正弁体を、主弁体内に設けていた(特開平7−279843号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平7−279843号等に記載された従来の装置は、上述のように弁を二重構造にしなければならない等、構造が複雑になるので、製造コストや動作の安定性等の点で問題があった。
【0008】
そこで本発明は、シンプルな構造により、圧縮機の低吐出圧力時における吸入圧力の上昇を規制して、蒸発器が十分に機能しないことによる車室内の結露発生等を防ぐことができる容量可変圧縮機の容量制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の容量可変圧縮機の容量制御装置は、気密に形成されたクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動により駆動されて揺動運動をする揺動体と、上記揺動体に連結されて往復動することにより吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入して圧縮したあと吐出室に吐出するピストンとを有し、上記クランク室内の圧力(Pc)と上記吸入室内の圧力(Ps)との差圧によって上記揺動体の傾斜角度を変化させて上記冷媒の吐出量を変化させるようにした容量可変圧縮機の容量制御装置において、上記吐出室に連通する高圧室と、上記クランク室に連通する中圧室と、上記吸入室に連通する低圧室とを配置して、上記高圧室と上記中圧室との間に、弁座と、上記高圧室側から上記弁座に対向する弁体とを配置し、上記低圧室内の圧力(Ps)に対応して、その圧力(Ps)が高まると上記弁体を上記弁座に近づける方向に移動させ、上記低圧室内の圧力(Ps)が低くなると上記弁体を上記弁座から遠ざける方向に移動させる弁体駆動手段を設けると共に、上記高圧室内の圧力(Pd)と上記中圧室内の圧力(Pc)との差圧に対応して、その差圧(Pd−Pc)が高まると上記弁座を上記弁体から遠ざかる方向に移動させ、上記差圧(Pd−Pc)が低くなると上記弁座を上記弁体に近づける方向に移動させる弁座駆動手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
なお、上記弁座が可動部材に形成されていて、その可動部材の外周部を介して上記高圧室と中圧室とが連通しないように、可撓性のある薄膜シートが上記可動部材の上記高圧室に面する側の端面からその外側の部分にかけて密着配置されていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図4は、自動車用空調装置の冷凍サイクル中に用いられる容量可変圧縮機10と、その容量制御弁30を示している。
【0012】
11は、気密に構成されたクランク室12内に配置され、駆動プーリ13によって回転駆動される回転軸であり、回転軸11に対して傾斜してクランク室12内に配置された揺動板14が、回転軸11の回転にしたがって揺動する。
【0013】
クランク室12内の周辺部に配置されたシリンダ15内には、ピストン17が往復動自在に配置されており、ロッド18によってピストン17と揺動板14とが連結されている。
【0014】
したがって、揺動板14が揺動すると、ピストン17がシリンダ15内で往復動して、シリンダ15の上流側に形成された吸入室20からシリンダ15内に冷媒を吸入し、その冷媒をシリンダ15内で圧縮した後、下流側の吐出室21に吐出する。
【0015】
30は、シリンダ15から吐出室21に吐出される冷媒の吐出量(容量)を制御するための容量制御弁30であり、図1はその部分の断面が拡大して示されている。
【0016】
容量制御弁30の本体31内には、吐出室21に連通する高圧室32と、クランク室12に連通する中圧室33と、吸入室20に連通する低圧室34とがその順に別れて形成されている。
【0017】
そして、高圧室32と中圧室33との間には、高圧室32側に向いたテーパ面によって形成される弁座35が、本体31内に配置された筒状部材36に形成されている。
【0018】
筒状部材36は、高圧室32と中圧室33との間を連通する孔内に緩く嵌合しており、軸線方向に移動自在である。ただし、本体31には、筒状部材36の軸線方向への移動を規制するための段部37が形成されている。
【0019】
図1に示されるように、高圧室32側において、筒状部材36の端面がその回りの本体31に形成された内端面38と同一平面位置にある時は、中圧室33側において筒状部材36の端面と段部37との間に僅かにクリアランスができるように設定されている。
【0020】
筒状部材36は、中圧室33側から高圧室32側に向けて第1の圧縮コイルバネ39によって付勢されており、高圧室32内の圧力Pdと中圧室33内の圧力Pcとの差圧(Pd−Pc)と釣り合う位置で静止するようになっている。その時の筒状部材36の有効受圧面積は、筒状部材36の外径で囲まれる部分の面積である。
【0021】
そして、筒状部材36の高圧室32側の端面からその外側の本体31の内端面38にかけて、例えばポリイミド樹脂製の薄いシートからなる可撓性のあるシール用シート41が密着配置されている。
【0022】
これによって、筒状部材36の外周部を介して高圧室32と中圧室33とが連通しないようになっている。したがって、弁体43と弁座35との隙間以外の部分を介して高圧室32から中圧室33へ冷媒がリークすることはない。42は、シール用シート41を押さえつけて所定位置に保持すると共に、筒状部材36の高圧室32側への移動を一定範囲に規制するためのストッパである。
【0023】
なお、高圧室32から中圧室33への微量の冷媒リークがあっても許容されるような仕様の場合には、筒状部材36の外周面部の嵌合隙間をできるだけ小さくして、シール用シート41を省略してもよい。
【0024】
43は、高圧室32側から弁座35に対向して配置された球状の弁体であり、中圧室33内と低圧室34内とを貫通して配置されたロッド44の先端に当接している。弁体43をロッド44の先端に溶接してもよい。
【0025】
ロッド44は、筒状部材36内を十分な隙間をあけて通過している。したがって、弁体43と弁座35との間に隙間があるときは、その隙間の大きさに対応して高圧室32から中圧室33側に冷媒が流れ、弁体43が弁座35に密着すると高圧室32と中圧室33との間が遮蔽される。
【0026】
また、ロッド44は、中圧室33と低圧室34との間では、本体31に穿設された孔45内に軸線方向に摺動自在に嵌合している。ただし、中圧室33と低圧室34との間の冷媒のリークを最小限にするために、ロッド44の外周面と孔45との間の隙間はできるだけ狭くしてある。
【0027】
50は、内部がほぼ真空状態にされた真空室であり、吸引孔は密栓51によって塞がれている。52は、可撓性薄膜からなるダイアフラムであり、真空室50と低圧室34との間を気密に仕切っている。
【0028】
ダイアフラム52は、金属製の一対の受け板53,54によって両面から挟みつけられており、真空室50内に配置された方の受け板53は、真空室50内に配置された第2の圧縮コイルバネ55の一端を受けている。
【0029】
また、低圧室34側に配置された方の受け板54には、ロッド44の基端が当接している。したがって、ロッド44の先端に当接する弁体43は、低圧室34内の圧力Psと第2の圧縮コイルバネ55の付勢力とが釣り合う位置で静止する。
【0030】
このように構成された実施の形態の容量可変圧縮機の容量制御装置においては、低圧室34内の圧力の変化、即ち吸入室20の圧力Psの変化によって弁体43が移動する。
【0031】
具体的には、蒸発器の負荷が大きくなってPsが大きくなると、弁体43が弁座35に近づいてPcが低下し、(Pc−Ps)が小さくなるので揺動板14の傾斜角が大きくなり、ピストン17のストロークが大きくなって容量可変圧縮機10の吐出量(容量)が大きくなる。
【0032】
逆に、蒸発器の負荷が小さくなってPsが小さくなると、弁体43が弁座35から遠ざかってPcが高まり、(Pc−Ps)が大きくなるので揺動板14の傾斜角が小さくなり、ピストン17のストロークが小さくなって容量可変圧縮機10の吐出量(容量)が小さくなる。
【0033】
そのようにして、蒸発器の負荷に対応して、吸入室20の圧力Ps変化により容量可変圧縮機10の容量が自動的に変化するのであるが、さらに高圧室32内の圧力Pdと中圧室33内の圧力Pcとの差圧(Pd−Pc)の変化によって筒状部材36が移動し、弁体43に対する弁座35の位置が変化する。
【0034】
即ち、図1の状態より高圧室32内の圧力Pdが大きくなると、筒状部材36が弁体43から遠ざかり(最大限段部37にぶつかるまで)、弁体43と弁座35との間の隙間が広がる。
【0035】
この状態では弁が次第に開き易くなって、図2に示されるように、筒状部材36が段部37にぶつかっている状態では、低圧室34内の圧力(即ち、吸入室20の圧力)Psが図1に示される状態に比べてあまり下がらなくても弁(弁体43と弁座35との隙間)が開く。この状態が、図5における▲1▼の点である。
【0036】
逆に、Pdが小さくなると、図3に示されるように、筒状部材36が弁体43に近づき(最大限ストッパ42によって移動が規制されるまで)、弁体43と弁座35との間の隙間が狭まる。
【0037】
この状態では、弁が次第に開き難い状態になって、弁(弁体43と弁座35との隙間)を開くためには低圧室34内の圧力(即ち、吸入室20の圧力)Psがより低くなる必要がある。
【0038】
その結果、図5に示されるように、吐出圧力Pdが低い時(▲1▼よりPdが低い領域)における吸入圧力Psの上昇を規制することができる。図5の破線部分は、図6に示される従来の特性を示している。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、弁体が吸入室の圧力(Ps)によって駆動されると共に、弁座が吐出室の圧力(Pd)とクランク室内の圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)によって駆動され、その差圧(Pd−Pc)が低くなると弁座が弁体に近づく方向に移動することにより、弁が開き難い状態になって、弁を開くためには吸入室(Ps)がより低くなる必要が生じ、吐出圧力(Pd)が低い時における吸入圧力(Ps)の上昇を規制することができる。
【0040】
その結果、蒸発器が十分に機能しないことによる車室内の結露発生を防ぐことができ、しかもそれを非常にシンプルな構造によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の容量制御装置の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の容量制御装置の吐出圧力が増大した状態の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の容量制御装置の吐出圧力が低下した状態の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の容量可変圧縮機の全体構成略示図である。
【図5】本発明の実施の形態の特性線図である。
【図6】従来例の特性線図である。
【符号の説明】
10 容量可変圧縮機
12 クランク室
14 揺動板
20 吸入室
21 吐出室
30 容量制御弁
32 高圧室
33 中圧室
34 低圧室
35 弁座
36 筒状部材
39 圧縮コイルスプリング
43 弁体
44 ロッド
55 圧縮コイルスプリング
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用空調装置などの冷凍サイクル中で冷媒を圧縮するために用いられる容量可変圧縮機の容量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、エンジンにベルトで直結されているので回転数制御を行うことができない。そこで、エンジンの回転数に制約されることなく適切な冷房能力を得るために、冷媒の容量(吐出量)を変えることのできる容量可変圧縮機が用いられている。
【0003】
そのような容量可変圧縮機においては、一般に、気密に形成されたクランク室内で傾斜角可変に設けられた揺動板が回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をする。
【0004】
そして揺動板の揺動運動により往復動するピストンが吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入して圧縮したあと吐出室に吐出し、クランク室内の圧力と吸入室内の圧力との差によって揺動板の傾斜角度を変化させることによって、冷媒の吐出量が変化するようになっている。
【0005】
そのような容量可変圧縮機において、必要に応じて揺動板の傾斜角を変えるために容量制御弁が設けられているが、低吐出圧力(低外気温度)時には、例えば図6に示されるように吸入圧力(Ps)が上昇する傾向となり、蒸発器で水分が取れにくいため、車内の窓に露が付きがちになってしまう。
【0006】
そこで従来は、吐出圧力(Pd)とクランク室圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)が所定圧力を下回った時に、主弁体の高圧影響特性を補正するように作動する補正弁体を、主弁体内に設けていた(特開平7−279843号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平7−279843号等に記載された従来の装置は、上述のように弁を二重構造にしなければならない等、構造が複雑になるので、製造コストや動作の安定性等の点で問題があった。
【0008】
そこで本発明は、シンプルな構造により、圧縮機の低吐出圧力時における吸入圧力の上昇を規制して、蒸発器が十分に機能しないことによる車室内の結露発生等を防ぐことができる容量可変圧縮機の容量制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の容量可変圧縮機の容量制御装置は、気密に形成されたクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動により駆動されて揺動運動をする揺動体と、上記揺動体に連結されて往復動することにより吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入して圧縮したあと吐出室に吐出するピストンとを有し、上記クランク室内の圧力(Pc)と上記吸入室内の圧力(Ps)との差圧によって上記揺動体の傾斜角度を変化させて上記冷媒の吐出量を変化させるようにした容量可変圧縮機の容量制御装置において、上記吐出室に連通する高圧室と、上記クランク室に連通する中圧室と、上記吸入室に連通する低圧室とを配置して、上記高圧室と上記中圧室との間に、弁座と、上記高圧室側から上記弁座に対向する弁体とを配置し、上記低圧室内の圧力(Ps)に対応して、その圧力(Ps)が高まると上記弁体を上記弁座に近づける方向に移動させ、上記低圧室内の圧力(Ps)が低くなると上記弁体を上記弁座から遠ざける方向に移動させる弁体駆動手段を設けると共に、上記高圧室内の圧力(Pd)と上記中圧室内の圧力(Pc)との差圧に対応して、その差圧(Pd−Pc)が高まると上記弁座を上記弁体から遠ざかる方向に移動させ、上記差圧(Pd−Pc)が低くなると上記弁座を上記弁体に近づける方向に移動させる弁座駆動手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
なお、上記弁座が可動部材に形成されていて、その可動部材の外周部を介して上記高圧室と中圧室とが連通しないように、可撓性のある薄膜シートが上記可動部材の上記高圧室に面する側の端面からその外側の部分にかけて密着配置されていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図4は、自動車用空調装置の冷凍サイクル中に用いられる容量可変圧縮機10と、その容量制御弁30を示している。
【0012】
11は、気密に構成されたクランク室12内に配置され、駆動プーリ13によって回転駆動される回転軸であり、回転軸11に対して傾斜してクランク室12内に配置された揺動板14が、回転軸11の回転にしたがって揺動する。
【0013】
クランク室12内の周辺部に配置されたシリンダ15内には、ピストン17が往復動自在に配置されており、ロッド18によってピストン17と揺動板14とが連結されている。
【0014】
したがって、揺動板14が揺動すると、ピストン17がシリンダ15内で往復動して、シリンダ15の上流側に形成された吸入室20からシリンダ15内に冷媒を吸入し、その冷媒をシリンダ15内で圧縮した後、下流側の吐出室21に吐出する。
【0015】
30は、シリンダ15から吐出室21に吐出される冷媒の吐出量(容量)を制御するための容量制御弁30であり、図1はその部分の断面が拡大して示されている。
【0016】
容量制御弁30の本体31内には、吐出室21に連通する高圧室32と、クランク室12に連通する中圧室33と、吸入室20に連通する低圧室34とがその順に別れて形成されている。
【0017】
そして、高圧室32と中圧室33との間には、高圧室32側に向いたテーパ面によって形成される弁座35が、本体31内に配置された筒状部材36に形成されている。
【0018】
筒状部材36は、高圧室32と中圧室33との間を連通する孔内に緩く嵌合しており、軸線方向に移動自在である。ただし、本体31には、筒状部材36の軸線方向への移動を規制するための段部37が形成されている。
【0019】
図1に示されるように、高圧室32側において、筒状部材36の端面がその回りの本体31に形成された内端面38と同一平面位置にある時は、中圧室33側において筒状部材36の端面と段部37との間に僅かにクリアランスができるように設定されている。
【0020】
筒状部材36は、中圧室33側から高圧室32側に向けて第1の圧縮コイルバネ39によって付勢されており、高圧室32内の圧力Pdと中圧室33内の圧力Pcとの差圧(Pd−Pc)と釣り合う位置で静止するようになっている。その時の筒状部材36の有効受圧面積は、筒状部材36の外径で囲まれる部分の面積である。
【0021】
そして、筒状部材36の高圧室32側の端面からその外側の本体31の内端面38にかけて、例えばポリイミド樹脂製の薄いシートからなる可撓性のあるシール用シート41が密着配置されている。
【0022】
これによって、筒状部材36の外周部を介して高圧室32と中圧室33とが連通しないようになっている。したがって、弁体43と弁座35との隙間以外の部分を介して高圧室32から中圧室33へ冷媒がリークすることはない。42は、シール用シート41を押さえつけて所定位置に保持すると共に、筒状部材36の高圧室32側への移動を一定範囲に規制するためのストッパである。
【0023】
なお、高圧室32から中圧室33への微量の冷媒リークがあっても許容されるような仕様の場合には、筒状部材36の外周面部の嵌合隙間をできるだけ小さくして、シール用シート41を省略してもよい。
【0024】
43は、高圧室32側から弁座35に対向して配置された球状の弁体であり、中圧室33内と低圧室34内とを貫通して配置されたロッド44の先端に当接している。弁体43をロッド44の先端に溶接してもよい。
【0025】
ロッド44は、筒状部材36内を十分な隙間をあけて通過している。したがって、弁体43と弁座35との間に隙間があるときは、その隙間の大きさに対応して高圧室32から中圧室33側に冷媒が流れ、弁体43が弁座35に密着すると高圧室32と中圧室33との間が遮蔽される。
【0026】
また、ロッド44は、中圧室33と低圧室34との間では、本体31に穿設された孔45内に軸線方向に摺動自在に嵌合している。ただし、中圧室33と低圧室34との間の冷媒のリークを最小限にするために、ロッド44の外周面と孔45との間の隙間はできるだけ狭くしてある。
【0027】
50は、内部がほぼ真空状態にされた真空室であり、吸引孔は密栓51によって塞がれている。52は、可撓性薄膜からなるダイアフラムであり、真空室50と低圧室34との間を気密に仕切っている。
【0028】
ダイアフラム52は、金属製の一対の受け板53,54によって両面から挟みつけられており、真空室50内に配置された方の受け板53は、真空室50内に配置された第2の圧縮コイルバネ55の一端を受けている。
【0029】
また、低圧室34側に配置された方の受け板54には、ロッド44の基端が当接している。したがって、ロッド44の先端に当接する弁体43は、低圧室34内の圧力Psと第2の圧縮コイルバネ55の付勢力とが釣り合う位置で静止する。
【0030】
このように構成された実施の形態の容量可変圧縮機の容量制御装置においては、低圧室34内の圧力の変化、即ち吸入室20の圧力Psの変化によって弁体43が移動する。
【0031】
具体的には、蒸発器の負荷が大きくなってPsが大きくなると、弁体43が弁座35に近づいてPcが低下し、(Pc−Ps)が小さくなるので揺動板14の傾斜角が大きくなり、ピストン17のストロークが大きくなって容量可変圧縮機10の吐出量(容量)が大きくなる。
【0032】
逆に、蒸発器の負荷が小さくなってPsが小さくなると、弁体43が弁座35から遠ざかってPcが高まり、(Pc−Ps)が大きくなるので揺動板14の傾斜角が小さくなり、ピストン17のストロークが小さくなって容量可変圧縮機10の吐出量(容量)が小さくなる。
【0033】
そのようにして、蒸発器の負荷に対応して、吸入室20の圧力Ps変化により容量可変圧縮機10の容量が自動的に変化するのであるが、さらに高圧室32内の圧力Pdと中圧室33内の圧力Pcとの差圧(Pd−Pc)の変化によって筒状部材36が移動し、弁体43に対する弁座35の位置が変化する。
【0034】
即ち、図1の状態より高圧室32内の圧力Pdが大きくなると、筒状部材36が弁体43から遠ざかり(最大限段部37にぶつかるまで)、弁体43と弁座35との間の隙間が広がる。
【0035】
この状態では弁が次第に開き易くなって、図2に示されるように、筒状部材36が段部37にぶつかっている状態では、低圧室34内の圧力(即ち、吸入室20の圧力)Psが図1に示される状態に比べてあまり下がらなくても弁(弁体43と弁座35との隙間)が開く。この状態が、図5における▲1▼の点である。
【0036】
逆に、Pdが小さくなると、図3に示されるように、筒状部材36が弁体43に近づき(最大限ストッパ42によって移動が規制されるまで)、弁体43と弁座35との間の隙間が狭まる。
【0037】
この状態では、弁が次第に開き難い状態になって、弁(弁体43と弁座35との隙間)を開くためには低圧室34内の圧力(即ち、吸入室20の圧力)Psがより低くなる必要がある。
【0038】
その結果、図5に示されるように、吐出圧力Pdが低い時(▲1▼よりPdが低い領域)における吸入圧力Psの上昇を規制することができる。図5の破線部分は、図6に示される従来の特性を示している。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、弁体が吸入室の圧力(Ps)によって駆動されると共に、弁座が吐出室の圧力(Pd)とクランク室内の圧力(Pc)との差圧(Pd−Pc)によって駆動され、その差圧(Pd−Pc)が低くなると弁座が弁体に近づく方向に移動することにより、弁が開き難い状態になって、弁を開くためには吸入室(Ps)がより低くなる必要が生じ、吐出圧力(Pd)が低い時における吸入圧力(Ps)の上昇を規制することができる。
【0040】
その結果、蒸発器が十分に機能しないことによる車室内の結露発生を防ぐことができ、しかもそれを非常にシンプルな構造によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の容量制御装置の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の容量制御装置の吐出圧力が増大した状態の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の容量制御装置の吐出圧力が低下した状態の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の容量可変圧縮機の全体構成略示図である。
【図5】本発明の実施の形態の特性線図である。
【図6】従来例の特性線図である。
【符号の説明】
10 容量可変圧縮機
12 クランク室
14 揺動板
20 吸入室
21 吐出室
30 容量制御弁
32 高圧室
33 中圧室
34 低圧室
35 弁座
36 筒状部材
39 圧縮コイルスプリング
43 弁体
44 ロッド
55 圧縮コイルスプリング
Claims (2)
- 気密に形成されたクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動により駆動されて揺動運動をする揺動体と、
上記揺動体に連結されて往復動することにより吸入室の冷媒をシリンダ内に吸入して圧縮したあと吐出室に吐出するピストンとを有し、
上記クランク室内の圧力(Pc)と上記吸入室内の圧力(Ps)との差圧によって上記揺動体の傾斜角度を変化させて上記冷媒の吐出量を変化させるようにした容量可変圧縮機の容量制御装置において、
上記吐出室に連通する高圧室と、上記クランク室に連通する中圧室と、上記吸入室に連通する低圧室とを配置して、
上記高圧室と上記中圧室との間に、弁座と、上記高圧室側から上記弁座に対向する弁体とを配置し、
上記低圧室内の圧力(Ps)に対応して、その圧力(Ps)が高まると上記弁体を上記弁座に近づける方向に移動させ、上記低圧室内の圧力(Ps)が低くなると上記弁体を上記弁座から遠ざける方向に移動させる弁体駆動手段を設けると共に、
上記高圧室内の圧力(Pd)と上記中圧室内の圧力(Pc)との差圧に対応して、その差圧(Pd−Pc)が高まると上記弁座を上記弁体から遠ざかる方向に移動させ、上記差圧(Pd−Pc)が低くなると上記弁座を上記弁体に近づける方向に移動させる弁座駆動手段を設けた
ことを特徴とする容量可変圧縮機の容量制御装置。 - 上記弁座が可動部材に形成されていて、その可動部材の外周部を介して上記高圧室と中圧室とが連通しないように、可撓性のある薄膜シートが上記可動部材の上記高圧室に面する側の端面からその外側の部分にかけて密着配置されている請求項1記載の容量可変圧縮機の容量制御装置。
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-
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