JP3792939B2 - 容量可変圧縮機及び容量制御弁 - Google Patents

容量可変圧縮機及び容量制御弁 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用空調装置などの冷凍サイクル中で冷媒を圧縮するために用いられる容量可変圧縮機及び容量制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる圧縮機は、エンジンにベルトで直結されているので回転数制御を行うことができない。そこで、エンジンの回転数に制約されることなく適切な冷房能力を得るために、冷媒の容量(吐出量)を変えることのできる容量可変圧縮機が用いられている。
【0003】
そのような容量可変圧縮機においては、一般に、気密に形成されたクランク室内で傾斜角可変に設けられた揺動板が回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をし、その揺動板の揺動運動により往復動するピストンが低圧冷媒管路に通じる吸入室からシリンダ内に冷媒を吸入して圧縮したあと高圧冷媒管路に通じる吐出室に吐出し、クランク室内の圧力変化により揺動板の傾斜角度を変化させることによって冷媒の吐出量を変化させるようになっている。
【0004】
そのような自動車用空調装置の冷凍サイクルに用いられる容量可変圧縮機は、冷房能力が必要とされていない状態の時でも、圧縮容量が例えば最大容量の5%程度の最小容量の状態で運転が継続される、いわゆるミニマム運転状態をとるものが一般的である。
【0005】
しかし単純にそのようにすると、冬期のように負荷の小さいときには、例えミニマム運転状態であっても圧縮された冷媒が蒸発器に流されることにより、蒸発器のフィンが凍りついてしまう問題が発生する。
【0006】
そこで、低圧冷媒管路と吸入室との間を全閉にする吸入路開閉弁を設け、ミニマム運転時にはそれを閉じて低圧冷媒が圧縮機に吸い込まれないようにしており、従来は、吸入路開閉弁が揺動板によって開閉駆動されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、低圧冷媒管路と吸入室との間を開閉する吸入路開閉弁を揺動板で機械的に駆動して、ミニマム運転時に吸入路開閉弁を閉じるには、クランク室内に配置された揺動板からクランク室外の吸入路開閉弁にまたがる伝達機構を設けたり、クランク室と吸入路開閉弁との間のシールの問題等があって、機構が複雑になってしまう。
【0008】
そこで本発明は、ミニマム運転時に低圧冷媒管路と吸入室との間を閉塞するための吸入路開閉弁を、クランク室外のみにおいて簡単に駆動することができる容量可変圧縮機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の容量可変圧縮機は、冷媒を低圧冷媒管路に通じる吸入室から吸入して圧縮したあと高圧冷媒管路に通じる吐出室に吐出する容量可変圧縮機であって、電磁制御弁によって制御される調圧室内の圧力変化により上記冷媒の吐出量を変化させるようにした容量可変圧縮機において、上記低圧冷媒管路と上記吸入室との間を連通/閉塞するための吸入路開閉弁を設け、上記電磁制御弁のソレノイドがオフの時には、上記電磁制御弁によって上記冷媒の吐出量が最小状態に制御されると共に上記吸入路開閉弁が閉じ状態にされるようにしたことを特徴とする。
【0010】
なお、上記調圧室が気密に形成されたクランク室であり、そのクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をする揺動体と、上記揺動体に連結されて往復動することにより上記吸入室からシリンダ内に冷媒を吸入して圧縮したあと上記吐出室に吐出するピストンとを有していてもよい。
【0011】
そして、上記電磁制御弁が、上記調圧室内の圧力を上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力の変化に対応して変化させるための弁機構と、上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力の大きさに対応する上記調圧室内の圧力の大きさをシフトさせるためのソレノイドとを有していてもよい。
【0012】
また、上記吸入路開閉弁が上記各部の冷媒の圧力差によって動作する差圧作動弁であり、上記吸入路開閉弁に冷媒の圧力を与える連通路が上記容量制御用の電磁制御弁のオン/オフによって切り換わるようにしてもよい。
【0013】
そして、上記吸入路開閉弁を閉じ方向に付勢する付勢手段が設けられていて、上記吸入路開閉弁に対して、閉じ方向には上記付勢手段による付勢力と上記吸入室内の圧力とが作用し、開き方向には、上記電磁制御弁のソレノイドがオンのとき上記吐出室内の圧力が作用し、上記電磁制御弁のソレノイドがオフのとき上記吸入室内の圧力が作用するようにしてもよい。さらに、上記吸入路開閉弁が上記吸入室内の圧力を両端に受け、上記連通路が上記吸入路開閉弁の中間部分に連通していてもよい。
【0014】
或いは、上記吸入路開閉弁を開き方向に付勢する付勢手段が設けられていて、上記吸入路開閉弁に対して、開き方向には上記付勢手段による付勢力と上記吸入室内の圧力とが作用し、閉じ方向には、上記電磁制御弁のソレノイドがオンのとき上記吸入室内の圧力が作用し、上記電磁制御弁のソレノイドがオフのとき上記吐出室内の圧力が作用するようにしてもよい。
【0015】
そして、上記吸入路開閉弁に、上記吐出室内の圧力に代えて上記調圧室内の圧力が作用するようにしてもよく、また、上記吸入路開閉弁が閉じた状態のときに上記吐出室内と上記低圧冷媒管路内とを連通させるための還流路が設けられていてもよい。また、上記吸入路開閉弁の両端に面する空間どうしを連通させる絞り孔が上記吸入路開閉弁に形成されていてもよい。
【0016】
また、本発明の容量制御弁は、冷媒を低圧冷媒管路に通じる吸入室から吸入して圧縮したあと高圧冷媒管路に通じる吐出室に吐出し、電磁制御弁によって制御される調圧室内の圧力変化により上記冷媒の吐出量を変化させるようにした容量可変圧縮機に用いられる容量制御弁であって、上記調圧室内の圧力を上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力の変化に対応して変化させるための弁機構と、上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力の大きさに対応する上記調圧室内の圧力の大きさをシフトさせるためのソレノイドとを有するものにおいて、上記ソレノイドがオフのときに上記吸入路開閉弁を閉状態にさせるための管路切り換えを行う吸入路開閉弁駆動管路切り換え部を設けたことを特徴とする。
【0017】
なお、上記調圧室が気密に形成されたクランク室であり、そのクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をする揺動体と、上記揺動体に連結されて往復動することにより上記吸入室からシリンダ内に冷媒を吸入して圧縮したあと上記吐出室に吐出するピストンとが上記容量可変圧縮機に設けられていてもよい。
【0018】
そして、上記吸入路開閉弁駆動管路切り換え部が、上記ソレノイドがオンのとき上記吸入路開閉弁の駆動部に上記吐出室内を連通させるようにしてもよく、或いは、上記ソレノイドがオフのとき上記吸入路開閉弁の駆動部に上記吐出室内を連通させるようにしてもよい。
【0019】
そして、上記吸入路開閉弁駆動管路切り換え部が、上記吸入路開閉弁の駆動部に対して、上記吐出室内との連通に代えて上記調圧室を連通させるようにしてもよい。
【0020】
また、上記吸入路開閉弁駆動管路切り換え部が上記ソレノイドによって軸線方向に駆動されるものであり、上記吸入路開閉弁駆動弁部に対して軸線方向に両側から同じ大きさの圧力が作用して相殺されるようにしてもよい。
【0021】
そして、上記吸入路開閉弁駆動管路切り換え部に、上記吐出室と上記吸入路開閉弁の駆動部とを連通させる絞り孔が設けられていて、上記ソレノイドがオフのとき上記吸入路開閉弁の駆動部に上記吸入室内を連通させるようにしてもよい。
【0022】
或いは、上記吸入路開閉弁駆動管路切り換え部に、上記吸入室と上記吸入路開閉弁の駆動部とを連通させる絞り孔が設けられていて、上記ソレノイドがオンのとき上記吸入路開閉弁の駆動部に上記吐出室内を連通させるようにしてもよい。
【0023】
なお、上記弁機構には、上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力と所定の基準圧力との差圧を検出するための感圧部が設けられていて、上記ソレノイドがオフのときには、上記感圧部が上記クランク室内の圧力制御に影響しない状態になるようにしてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図2及び図3は、自動車用空調装置の冷凍サイクル中に用いられる容量可変圧縮機10を示しており、図2は最大容量状態、図3は最小容量状態である。
【0025】
11は、気密に構成されたクランク室(調圧室)12内に配置され、駆動プーリ13によって回転駆動される回転軸であり、回転軸11に対して傾斜してクランク室12内に配置された揺動板14が、回転軸11の回転にしたがって揺動する。
【0026】
クランク室12内の周辺部に配置されたシリンダ15内には、ピストン17が往復動自在に配置されており、ロッド18によってピストン17と揺動板14とが連結されている。
【0027】
したがって、揺動板14が揺動すると、ピストン17がシリンダ15内で往復動して、シリンダ15の上流側に形成された吸入室3からシリンダ15内に冷媒が吸入され、その冷媒がシリンダ15内で圧縮された後、下流側の吐出室4に吐出される。
【0028】
吸入室3には、その上流側の低圧冷媒管路1から低圧冷媒が送り込まれ、吐出室4からはその下流側の高圧冷媒管路2に高圧冷媒が送り出される。5(5a,5b)は、クランク室12と連通する連通路である。また、Peは低圧冷媒管路1内の圧力、Psは吸入室3内の圧力、Pdは吐出室4内の圧力、Pcはクランク室12内の圧力である。
【0029】
揺動板14の傾斜角度はクランク室12の圧力Pcによって変化し、揺動板14の傾斜角度によってシリンダ15からの冷媒の吐出量(即ち、圧縮機10の容量)が変化する。そして、Pc=Psになると図2に示される最大容量状態になり、Pcが大きくなると、図3に示される最小容量状態になる。
【0030】
30は、低圧冷媒管路1内の圧力Peの変化又は吸入室圧力Psの変化に対応してクランク室圧力Pcを自動制御して、圧縮機10の容量を制御する電磁制御の容量制御弁であり、その制御レベルを電磁的に変えることができる。6は、低圧冷媒管路1から容量制御弁30に通じる連通管である。
【0031】
70は、低圧冷媒管路1と吸入室3との間に介挿配置した主弁71によって、低圧冷媒管路1と吸入室3との間を開閉する吸入路開閉弁であり、容量可変圧縮機10がミニマム運転になるように容量制御弁30の状態が切り換わると、それに連動して閉じるようになっている。
【0032】
図4は、本発明の第1の実施の形態の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、まず、容量制御弁30だけを拡大して示す図5を参照して容量制御弁30について説明する。
【0033】
容量制御弁30は一種の電磁制御弁であり、この実施の形態においては低圧冷媒管路1内の圧力Peの変化に対応してクランク室圧力Pcを自動制御して圧縮機10の容量を制御するものであり、最小容量の定常運転(ミニマム運転)状態にすることもできる。図5には、最大容量状態が示されている。
【0034】
容量制御弁30の本体筒31の中間部分には、側孔を通じてクランク室12に連通する第1と第2のクランク室連通部32a,32bが並んで形成されており、それより突端寄りには、側孔を通じて吐出室21に連通する吐出室連通部33が形成されている。
【0035】
第1のクランク室連通部32aと吐出室連通部33とは、本体筒31の軸線位置に形成された弁孔34によって連通しており、その弁孔34を開閉するための弁35が吐出室連通部33内に配置されている。
【0036】
36は、弁35を弁孔34の開口に向かって付勢するガタつき防止用の弱い圧縮コイルスプリングであり、弁35は弁孔34内に緩く挿通された弁駆動ロッド37の先端によって、コイルスプリング36の付勢力に抗して吐出室連通部33内に押し上げられて開状態になる。
【0037】
その状態になると、弁35は吐出室連通部33の反対側の位置に形成された弁座39に当接する。弁座39は、吸入路開閉弁70側と連通する主弁駆動用連通孔72の入口に形成されていて、弁座39から弁35が離れている状態では、吐出室連通部33と主弁駆動用連通孔72とが連通し、主弁駆動用連通孔72内の圧力Ppが吐出室圧力Pdと等圧になる。
【0038】
本体筒31の奥側の半部内には、側孔を通じて低圧冷媒管路1と連通する低圧連通部38が形成されている。低圧連通部38の一端側は第2のクランク室連通部32bに隣接しており、第2のクランク室連通部32bと低圧連通部38との間を仕切る隔壁の軸線位置に形成された貫通孔が、弁駆動ロッド37と一体に設けられた弁棒37aによって開閉される。
【0039】
本体筒31の低圧連通部38が開口する端部(第2のクランク室連通部32bと反対側)にはソレノイド40が連結されている。41はその電磁コイル、42は固定鉄芯である。
【0040】
可動鉄芯44は、低圧連通部38からソレノイド40内にまたがって配置されたスリーブ43内に隙間をもって緩く嵌挿配置されており、弁駆動ロッド37の端面が可動鉄芯44の端面に当接している。
【0041】
可動鉄芯44と固定鉄芯42との間に配置された動作用圧縮コイルスプリング51は、吐出室連通部33内のコイルスプリング36より強いバネ力を有しており、その付勢力が可動鉄芯44と弁駆動ロッド37を介して弁35に伝えられる。
【0042】
その結果、可動鉄芯44と弁駆動ロッド37に対してバネ力以外の他の力が作用していない時は、動作用圧縮コイルスプリング51の付勢力によって、弁35が弁孔34から離れて開いた状態に押し上げられる。
【0043】
これに対して、電磁コイル41に通電すると、図5に示されるように、可動鉄芯44を固定鉄芯42に引き付ける方向に電磁力が作用し、それによって、弁35は弁孔34を閉じる方向に動作する。
【0044】
固定鉄芯42の軸線位置に穿設された貫通孔53内には、一端側が可動鉄芯44に連結された連結ロッド54が緩く挿通されていて、その連結ロッド54の他端側には受圧盤55が取り付けられている。
【0045】
その受圧盤55に面して、固定鉄芯42の外端部分にダイアフラム56が取り付けられており、ダイアフラム56の外表面は大気に開放され、ダイアフラム56の内側の空間57は貫通孔53を介して低圧連通部38に連通している。したがって、その空間57は低圧連通部38の一部であると見ることもできる。低圧連通部38は、連通管6を介して低圧冷媒管路1に連通している。
【0046】
そして、ダイアフラム56の外面側には、ダイアフラム56を外側から基準圧力で押すための加圧機構60が取り付けられている。61は、ダイアフラム56の外表面に当接する可動ピストンであり、固定部材62との間に配置された圧縮コイルスプリング63,64によって付勢力が加えられている。そのうちの微調整用圧縮コイルスプリング64の付勢力は、調整ネジ65によって微調整することができる。
【0047】
このようにして、ダイアフラム56の内表面には低圧冷媒管路1の冷媒圧力Peがかかり、外表面には大気圧と圧縮コイルスプリング63,64の付勢力とが基準圧力として加わっており、その差圧をダイアフラム56を介してその内側に当接する受圧盤55が受圧している。ただし、ダイアフラム56の外表面を密封空間にしてその空間圧力を基準圧力に利用してもよい。
【0048】
その結果、ソレノイド40の電磁コイル41に通電された状態においては、受圧盤55の受圧圧力が連結ロッド54及び可動鉄芯44を介して弁駆動ロッド37に作用して、低圧冷媒管路1の冷媒圧力Peの圧力変化に応じて弁35が開閉制御され、それによってクランク室12内の圧力Pcが制御されて圧縮機10の容量が制御される。
【0049】
そして、電磁コイル41への通電電流値を変化させることによって、弁35の開閉状態を変化させる低圧冷媒管路1の冷媒圧力Peの値がシフトするので、低圧冷媒管路1の冷媒圧力Peの大きさに対応するクランク室12内の圧力Pcの大きさ(即ち、吐出量)がシフトする。
【0050】
このように構成された容量制御弁30において、電磁コイル41への通電を止めると、動作用圧縮コイルスプリング51の付勢力によって、弁35が弁孔34から離れて吐出室連通部33と第1のクランク室連通部32aとが連通し、圧縮機10が最小容量を維持する状態(ミニマム運転状態)になる。それと同時に、弁35が弁座39に押し付けられて、主弁駆動用連通孔72が吐出室連通部33と連通しない状態になる。
【0051】
このミニマム運転状態では、低圧冷媒管路1内の冷媒圧力Peが高まってダイアフラム56が外方に移動した時でも、受圧盤55からダイアフラム56が外方に退避するだけなので、弁35が開いた状態に何ら影響せず、圧縮機10は最小容量の定常運転状態を行う。
【0052】
次に、図4に戻って吸入路開閉弁70について説明をする。
主弁71は、低圧冷媒管路1と吸入室3とを連通する管路の途中に配置されており、その管路を開閉するための弁部71aと駆動用のピストン部71bとが、細い連結部71cにより一体的に連結されている。弁部71aとピストン部71bは同径に形成されていて、中間部分にかかる圧力がキャンセルされるようになっている。
【0053】
ピストン部71bが嵌挿されたシリンダ室74には主弁駆動用連通孔72が連通しており、主弁駆動用連通孔72内の圧力がピストン部71bの背面にかかるようになっている。したがって、容量制御弁30の弁35が主弁駆動用連通孔72に対して開弁状態のときは、シリンダ室74内の圧力Ppは吐出室4の圧力Pdになる(Pp=Pd)。
【0054】
ただし、シリンダ室74は細い絞り孔75を介して吸入室3とも連通しているので、容量制御弁30の弁35が閉じ状態になると、シリンダ室74内は徐々に吸入室3内の圧力Psと等圧になる(Pp=Ps)。
【0055】
主弁71は、シリンダ室74の加圧力と逆方向から圧縮コイルスプリング76によって閉じ方向に付勢されており、弁部71aには、通孔77を通じてシリンダ室74と逆方向から吸入室3内の圧力Psが常時作用している。
【0056】
したがって、主弁71は、〔シリンダ室74内の圧力Ppからの作用力Fp〕と〔圧縮コイルスプリング76の付勢力Fc+吸入室3内の圧力Psからの作用力Fs〕との差圧によって作動し、Fp>Fc+Fsのときは開き状態になるが、Fp<Fc+Fsのときは閉じ状態になって、低圧冷媒管路1と吸入室3との間が閉塞される。
【0057】
ピストン部71bの外周面に形成された円周溝78は、吐出室4から低圧冷媒管路1へ圧力を戻すために形成されている還流孔79を通じさせるためのものであり、主弁71が閉じ状態になったときに還流孔79を開通させる。
【0058】
このように構成された実施の形態の容量可変圧縮機においては、容量制御弁30のソレノイド40がオン(電磁コイル41に通電の意…以下同じ)の状態においては、前述のように、低圧冷媒管路1の冷媒圧力Peの圧力変化に応じて弁35が開閉制御され、それによって圧縮機10の容量が制御される。
【0059】
その間、可動鉄芯44は固定鉄芯42側に吸引されているので、図6に示される最小容量状態になっても、弁35が弁座39に当接せず、したがってシリンダ室74内の圧力Ppは吐出室4の圧力Pdであり、吸入路開閉弁70は開いた状態を維持する。
【0060】
容量制御弁30のソレノイド40がオフ(電磁コイル41に通電なしの意…以下同じ)にされてミニマム運転状態になると、可動鉄芯44が固定鉄芯42に吸引されなくなることによって、弁35が弁座39に当接して吐出室4からシリンダ室74に通じる主弁駆動用連通孔72が閉じられる。
【0061】
その結果、絞り孔75を介してシリンダ室74内の圧力Ppが徐々に吸入室3内の圧力Psになるので、図1に示されるように、主弁71が圧縮コイルスプリング76の付勢力によって閉じ状態に移行し、低圧冷媒管路1と吸入室3との間が閉塞される。ただし、圧縮機10を冷却するための最小限の冷媒を通過させる必要があるので、その閉塞状態は意図的に不完全なものにしてある。
【0062】
また、吸入路開閉弁70が閉じた状態になると、ピストン部71bに形成された円周溝78を介して還流孔79が開通し、吐出室4内の圧力が低圧冷媒管路1側に抜ける状態になる。それによって、低圧冷媒管路1内の圧力が所定圧より下がり過ぎないように維持され、同時に潤滑油の還流も行われる。
【0063】
また、ソレノイド40がオフになると、連結ロッド54と可動鉄芯44との間に隙間ができてダイアフラム56の位置変化が可動鉄芯44側に伝わらなくなり、定常のミニマム運転状態が維持される。これは、以下の各実施の形態においても同様である。
【0064】
このようにして、容量制御弁30のソレノイド40がオフにされると、それによって容量可変圧縮機10が最小容量のミニマム運転状態になるのと連動して、吸入路開閉弁70によって低圧冷媒管路1と吸入室3との間が閉じられて、冬期等の負荷の小さい時に蒸発器(図示せず)のフィンが凍結しない。
【0065】
以下、図7ないし図9に、本発明の第2ないし第4の実施の形態の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示す。それらの容量制御弁30及び吸入路開閉弁70の具体的な構成及び動作は、上述の第1の実施の形態と相違する。
【0066】
しかし、それらはいずれも、容量制御弁30のソレノイド40がオフにされると、それによって容量可変圧縮機10がミニマム運転状態になり、それと連動して吸入路開閉弁70によって低圧冷媒管路1と吸入室3との間が閉じられる点では第1の実施の形態と全く同じである。したがって、以下の各実施の形態の説明は、第1の実施の形態との相違点だけを簡略に行う。
【0067】
図7は、本発明の第2の実施の形態の容量可変圧縮機のミニマム運転状態における容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、吐出室4とクランク室12との間を絞り孔7で直接連通させて、主弁駆動用連通孔72の入口の弁座39を第1の実施の形態の弁孔34の位置に配置してある。
【0068】
その結果、シリンダ室74内の圧力Ppは第1の実施の形態の場合とは逆に、容量制御弁30のソレノイド40がオンの状態ではPp=Psになり、ソレノイド40がオフのミニマム運転状態ではPp=Pdになって、主弁71の移動方向も逆になる。
【0069】
そこで、主弁71の形状もそれに合わせて、圧縮コイルスプリング76が圧縮されたときに低圧冷媒管路1と吸入室3との間が閉塞されるように、シリンダ室74内に嵌挿される部分を長く形成してある。
【0070】
図8は、本発明の第3の実施の形態の容量可変圧縮機のミニマム運転状態における容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、吐出室4とクランク室12との間を絞り孔7で直接連通させた点は第2の実施の形態と同じであるが、主弁駆動用連通孔72の入口の弁座39が第2の実施の形態とは逆向き(第1の実施の形態と同方向)に配置してある。
【0071】
また、低圧冷媒管路1と吸入室3との間には弁座80を形成して、上流の低圧冷媒管路1側から弁座80に向かって主弁71が当接するように配置され、主弁71の後端に連結された受圧盤81がシリンダ室74内に配置されて(主弁71と受圧盤81とで、一つの弁体を構成していると考えることができる)、圧縮コイルスプリング76が、受圧盤81に当接してシリンダ室74内に配置されている。
【0072】
そして、シリンダ室74内が主弁71の軸線位置に形成された通孔82を介して常に吸入室3内の圧力Psになり、その圧力を受ける受圧盤81の反対面と通じる位置に主弁駆動用連通孔72の一端が開口配置されている。
【0073】
その結果、受圧盤81の内側の空間内の圧力Ppは容量制御弁30のソレノイド40がオンの状態ではPp=Pdになって、受圧盤81をシリンダ室74内に押し下げて、主弁71が弁座80から離れた開弁状態になる。
【0074】
ソレノイド40がオフのミニマム運転状態では、受圧盤81の内側の空間内の圧力Ppが、受圧盤81に形成された絞り孔81aを介してPp=Psになり、その結果圧縮コイルスプリング76によって主弁71が弁座80に押し付けられて、低圧冷媒管路1と吸入室3との間が閉塞される状態になる。
【0075】
図9は、本発明の第4の実施の形態の容量可変圧縮機のミニマム運転状態における容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、吐出室4とクランク室12との間を絞り孔7で直接連通させた点は第2及び第3の実施の形態と同じであるが、その他の部分の構成を極力簡略化したものである。
【0076】
構成の簡略化のために、この実施の形態では吸入路開閉弁70の開閉駆動に吐出室4内の圧力Pdを利用することを止め、ミニマム運転状態のときには、シリンダ室74に通じる主弁駆動用連通孔72に対してクランク室12内の圧力Pcが与えられ、それによって第2の実施の形態と同様の構成の主弁71を動作させるようになっている。
【0077】
したがって、容量制御弁30には上記各実施の形態に設けられているような弁35は設けられておらず、可動鉄芯44に直結された弁棒37aに主弁駆動用連通孔72の入口を開閉する機能を与えて、ミニマム運転状態のときに主弁駆動用連通孔72に対してクランク室12内の圧力Pcが与えられるようにしている。
【0078】
図10ないし図12は、本発明の第5の実施の形態の容量可変圧縮機の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、上述の第4の実施の形態をさらに改良した構造である。
【0079】
図13ないし図15はその容量制御弁30だけを拡大して示しており、図10と図13は最大容量状態、図11と図14は中間容量状態、図12と図15は最小容量状態が継続されているミニマム運転状態を示している。
【0080】
この実施の形態の容量可変圧縮機においては、クランク室12に通じる連通路5と吐出室4との間を絞り孔7で直接連通させてあり、この点は第2、第3及び第4の実施の形態と同じである。
【0081】
そして、連通孔45によって連通している一対の円周溝46が可動鉄芯44の外周面に間隔をあけて形成されていて、可動鉄芯44そのものが、主弁駆動用連通孔72と連通路5との間の連通/閉塞を切り換える切換弁になっている。
【0082】
そして、ミニマム運転状態のときには、第4の実施の形態と同様に、吸入路開閉弁70の開閉駆動に吐出室4内の圧力Pdを利用せずに、シリンダ室74に通じる主弁駆動用連通孔72に対してクランク室12内の圧力Pcが与えられ、それによって主弁71が動作する。
【0083】
さらにこの実施の形態においては、可動鉄芯44を軸線方向に貫通する背圧キャンセル連通孔47が可動鉄芯44に設けられている。これによって、可動鉄芯44の両端に常に同じ圧力が作用するだけでなく、ダイアフラム56の内面に常に低圧冷媒管路1内の圧力Peが作用するので、配管系全体での背圧キャンセルが行われ、常に正確に動作する。
【0084】
図16ないし図18は、本発明の第6の実施の形態の容量可変圧縮機の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、第1の実施の形態を改良した構造である。図16は最大容量状態、図17は中間容量状態、図18は最小容量状態が継続されているミニマム運転状態を示している。
【0085】
この実施の形態の吸入路開閉弁70では、第1の実施の形態とは逆に(第2の実施の形態と同様に)、シリンダ室74内の圧力Ppが高いときに吸入路開閉弁70の主弁71が低圧冷媒管路1を閉塞する状態になり、シリンダ室74内の圧力Ppが下がると主弁71が低圧冷媒管路1を開通させる位置に退避する。
【0086】
主弁71には、シリンダ室74内と吸入室3側とを連通させる絞り孔75が形成されている。したがって、シリンダ室74内が高圧になっていても、高圧部と連通していない状態になれば、シリンダ室74内の圧力が徐々に下がって吸入路開閉弁70が開いた状態になる。第1の実施の形態等に設けられている還流孔79は不要になるので設けられていない。
【0087】
ソレノイド40によって駆動される容量制御弁30の弁35は球状に形成されていて、弁駆動ロッド37の先端によって吐出室4と主弁駆動用連通孔72との間を開閉するように動作し、弁駆動ロッド37の中間部分に突設された弁部37bは、クランク室12に連通する連通路5と吐出室4との間を開閉する。
【0088】
ダイアフラム56の内面には、連通管6を介して低圧冷媒管路1内の圧力Peが加わっている。また、クランク室12に通じる連通路5と吸入室3との間が絞り孔8を介して直接連通している。
【0089】
ソレノイド40の電磁コイル41に駆動電流が流されたオン状態では、容量制御弁30の弁35が閉じてシリンダ室74内の圧力Ppが吸入圧Ps(Pp=Ps)になっているので、吸入路開閉弁70が開いている。
【0090】
そして、ダイアフラム56に加わる低圧冷媒管路1内の圧力Peの変化に対応して、図16に示される最大容量状態から図17に示される中間容量状態の範囲での容量変化制御が行われ、その制御レベルを電磁コイル41への通電電流値により任意にシフトさせることができる。
【0091】
なお、図16に示される最大容量状態においては、容量制御弁30の弁部37bが閉状態にあることにより、クランク室12に連通する連通路5内の圧力Pcが絞り孔8を介して吸入圧Psになり(Pc=Ps)、図17に示される中間容量状態においては、弁部37bが開いてクランク室12に連通する連通路5内の圧力Pcが上昇している。
【0092】
ソレノイド40がオフにされると、図18に示されるように弁部37bが大きく開くことによって、クランク室12に連通する連通路5が吐出室4と連通してクランク室12内の圧力Pcが吐出圧Pdになり(Pc=Pd)、容量可変圧縮機10が最小容量状態になる。
【0093】
そして弁35が開状態になることによってシリンダ室74内の圧力Ppが吐出圧Pdになる(Pp=Pd)ので、吸入路開閉弁70が閉状態になってミニマム運転状態になる。
【0094】
図19は、本発明の第7の実施の形態の容量可変圧縮機のミニマム運転状態における容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、ダイアフラム56の内面に連通路106を介して吸入圧Psが加わるようにした点だけが第6の実施の形態と相違し、それよって構造が簡素化されている。機能的には第6の実施の形態と殆ど変わらない。
【0095】
なお、ダイアフラム56は外縁部が固定鉄芯42と加圧機構枠69との間に挟まれて外側からレーザ溶接等によって固着されている。したがってダイアフラム56は金属製である。この構成は他の各実施の形態に適用してもよい。
【0096】
図20と図21は、本発明の第8の実施の形態の容量可変圧縮機の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、図20は中間の容量制御状態、図21は最小容量状態が継続されているミニマム運転状態を示している。
【0097】
この実施の形態の吸入路開閉弁70では、第2、第6及び第7の実施の形態と同様に、主弁71が圧縮コイルスプリング76によって閉じ方向に付勢されていて、シリンダ室74内の圧力Ppが高いとき、図20に示されるように主弁71が低圧冷媒管路1を開通させる位置に退避し、シリンダ室74内の圧力Ppが低いとき、図21に示されるように主弁71が低圧冷媒管路1を閉塞する。
【0098】
また第7の実施の形態と同様に、ダイアフラム56の内面には、連通路106を介して吸入圧Psが加わっており、ダイアフラム56は外縁部が固定鉄芯42と加圧機構枠69との間に挟まれて外側からレーザ溶接等によって固着されている。
【0099】
容量制御弁30の本体筒131に形成された絞り孔132は、主弁駆動用連通孔72に常時連通するように形成された中央側孔133と吐出室4への連通部との間を細い断面積で連通させており、弁棒37aが中央側孔133と吸入室3との間を開閉するように構成されている。
【0100】
このような構成により、図20に示されるように、ソレノイド40がオンで可動鉄芯44に対して固定鉄芯42方向への吸引力が作用している時は、中央側孔133と吸入室3との間が弁棒37aで閉じられているので、絞り孔132を介して吐出室4と連通する中央側孔133内が吐出圧Pdになっている。その結果、主弁駆動用連通孔72を経由してシリンダ室74内の圧力Ppが吐出圧Pdになり(Pp=Pd)、吸入路開閉弁70が開いた状態になる。
【0101】
この状態においては、吸入圧Psと大気圧との差圧によるダイアフラム56の変位によって弁棒37aが微動し、弁35が弁駆動ロッド37により押し開かれると、クランク室12に通じる連通路5が吐出室4と連通してクランク室12内の圧力Pcが上昇し、弁35が弁孔34に押し付けられて閉じると、絞り孔8を介して吸入室3と通じるクランク室12内の圧力Pcが下降し、それによって吐出量(容量)の自動制御が行われる。
【0102】
そして、ソレノイド40の電磁コイル41への通電電流値の大きさに対応して容量制御弁30の弁35の開閉タイミングがシフトするので、吸入圧Psの大きさに対応する吐出量の大きさを任意にシフトさせることができる。
【0103】
ソレノイド40をオフにすると、図21に示されるように、弁35が弁駆動ロッド37によって大きく押し開かれ、クランク室12に通じる連通路5と吐出室4とが完全に連通して、Pc=Pdのミニマム運転状態になる。
【0104】
それと同時に、弁棒37aの移動によって中央側孔133と吸入室3とが連通するので、主弁駆動用連通孔72を介して吸入路開閉弁70のシリンダ室74内の圧力Ppが吸入圧Psになり(Pp=Ps)、吸入路開閉弁70が閉じて低圧冷媒管路1が閉塞された状態になる。
【0105】
ただし、その状態において、吐出室4と吸入室3との間が絞り孔8によって通じているので、第1の実施の形態等に設けられている還流孔79は不要である。このように、第8の実施の形態の装置は構造を非常に簡素化することができる。
【0106】
図22と図23は、本発明の第9の実施の形態の容量可変圧縮機の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を示しており、図22は中間の容量制御状態、図23は最小容量状態が継続されているミニマム運転状態を示している。
【0107】
この実施の形態の構成は、弁35の前後に通じる配管を上述の第8の実施の形態と逆に(第1の実施の形態の容量制御弁30と同様に)したものであり、弁35部分の構造は第1の実施の形態と同じである。
【0108】
したがって、吸入路開閉弁70のシリンダ室74内が、主弁駆動用連通孔72から絞り孔75を介して吸入室3と常時連通しており、容量制御弁30の弁35(前後両面が円錐形状の弁になっている)によって吸入室3とシリンダ室74との間が開閉される。
【0109】
中央側孔133はクランク室12との連通路5に常時連通している。そして、容量制御弁30の本体筒131に形成された絞り孔8が、中央側孔133と吸入室3との間を連通させる状態に形成されている。ダイアフラム56の内面には、連通路106を介して吸入圧Psが加わっている。
【0110】
その結果、図22に示されるように、ソレノイド40がオンで可動鉄芯44に対して固定鉄芯42方向への吸引力が作用している時は、容量制御弁30の弁35が弁座39から離れているので、主弁駆動用連通孔72を経由してシリンダ室74内の圧力Ppが吐出圧Pdになり(Pp=Pd)、吸入路開閉弁70が開いた状態になる。
【0111】
この状態においては、吸入圧Psと大気圧との差圧によるダイアフラム56の変位によって弁35が微動し、弁35が弁孔34から離れると連通路5が吐出室4と通じてクランク室12内の圧力Pcが上昇し、弁35と弁孔34との間が閉じると絞り孔8を通じてクランク室12内の圧力Pcが下降し、それによって吐出量(容量)の自動制御が行われる。
【0112】
そして、ソレノイド40への通電電流値の大きさに対応して弁35の開閉タイミングがシフトし、吸入圧Psの大きさに対応する吐出量の大きさを任意にシフトさせることができる。
【0113】
ソレノイド40をオフにすると、図23に示されるように、弁35が弁孔34から大きく離れて、連通路5と吐出室4とが完全に連通し、Pc=Pdのミニマム運転状態になる。
【0114】
それと同時に、弁35によって弁座39が塞がれるので、主弁駆動用連通孔72と絞り孔75を介して吸入路開閉弁70のシリンダ室74内の圧力Ppが吸入圧Psになり(Pp=Ps)、吸入路開閉弁70が閉じて低圧冷媒管路1が閉塞された状態になる。
【0115】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、要は、容量制御弁30のソレノイド40がオフにされると、それによって容量可変圧縮機10がミニマム運転状態になり、それと連動して吸入路開閉弁70が低圧冷媒管路1と吸入室3との間を閉じる状態にされるものであればよい。
【0116】
また、本発明は上記各実施の形態に記載されている揺動板式の容量可変圧縮機だけでなく、いわゆるロータリー式やスクロール式等の各種の容量可変圧縮機にそのまま適用することができる。
【0117】
図24は、図20及び図21に示される第8の実施の形態の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を、ロータリー式の容量可変圧縮機110の制御に用いた例のミニマム運転状態を示している。
【0118】
図24に示される容量可変圧縮機110は公知のものであり、円形のハウジング111内に、それより小さな円形のローター112が偏心軸113を中心に配置されていて、図示されていないエンジン等によって回転駆動される。
【0119】
ローター112の外面には、図示されていないスプリング等によって外方に向けて付勢された四個のシール片114がハウジング111の内周面に常に接触するように90°間隔で取り付けられている。
【0120】
ハウジング111の内周面に対してローター112の外周面が最も接近する位置では両者はほぼ接していて、その近傍に吐出口119が形成されており、圧縮された冷媒が吐出口119から吐出される。
【0121】
ローター112と並んで、吸入口制御板115がハウジング111に内接して回転可能に配置されている。吸入口制御板115に形成された吸入口115aは吸入室3に通じており、低圧冷媒が吸入口115aを通って容量可変圧縮機110内へ送り込まれる。
【0122】
また、吸入口制御板115には、吸入口制御板115の向きを変える(それによって、吸入口115aが変位する)ための駆動ピン117が突設されていて、容量可変機構130によって駆動される。軸孔116は偏心軸113と干渉が生じないように変円形状に形成されている。
【0123】
容量可変機構130は、吸入口制御板115の向きを制御するために駆動ピン117の位置を制御するものである、シリンダ131中に軸線方向に進退自在にピストン132が配置されている。そして、ピストン132の周面部に形成された溝132aに駆動ピン117が係合していて、ピストン132の移動によって駆動ピン117が変位する。
【0124】
シリンダ131の一方の側は吸入室3に接続されていて、内部の圧力は吸入圧Psになっている。そして、その圧力空間内に調圧スプリング133が配置されていてピストン132を押す方向に付勢している。シリンダ131の他端側が連通路5に連通する調圧室131aになっていて、その内部の圧力(Pc)が容量制御弁30によって制御される。
【0125】
このように構成されたロータリー式の容量可変圧縮機110においては、調圧室131a内の圧力(Pc)に対応して吸入口制御板115の向きが変化することにより吐出量(容量)が変化し、本発明の容量制御弁30と吸入路開閉弁70とによって前述の揺動板式の容量可変圧縮機と全く同様の制御が行われる。
【0126】
そして、前述の各実施の形態の容量制御弁30と吸入路開閉弁70を、ロータリー式とスクロール式のいずれの容量可変圧縮機にも用いることができる。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、低圧冷媒管路と吸入室との間を連通/閉塞するための吸入路開閉弁を設け、容量制御用の電磁制御弁のソレノイドがオフの時には、電磁制御弁によって冷媒の吐出量が最小状態に制御される共に吸入路開閉弁が閉じ状態にされるようにしたことにより、ミニマム運転時に低圧冷媒管路と吸入室との間を閉塞するための吸入路開閉弁を、クランク室の内外にまたがる機構等を設けることなく簡単が構成によって駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図2】本発明の容量可変圧縮機の第1の実施の形態の最大容量状態の全体構成を示す略示図である。
【図3】本発明の容量可変圧縮機の第1の実施の形態の最小容量状態の全体構成を示す略示図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の通常運転時の最大容量状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の通常運転時の最大容量状態のときの容量制御弁の拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の通常運転時の最小容量状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態の最大容量状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態の中間容量状態の容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態の最大容量状態のときの容量制御弁の断面図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態の中間容量状態の容量制御弁の断面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁の断面図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態の最大容量状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態の中間容量状態の容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図19】本発明の第7の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図20】本発明の第8の実施の形態の中間の容量制御状態の容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図21】本発明の第8の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図22】本発明の第9の実施の形態の中間の容量制御状態の容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図23】本発明の第9の実施の形態のミニマム運転状態のときの容量制御弁と吸入路開閉弁部分の断面図である。
【図24】本発明の容量可変圧縮機の第10の実施の形態の最小容量状態の全体構成を示す略示図である。
【符号の説明】
1 低圧冷媒管路
3 吸入室
7 絞り孔
8 絞り孔
10 容量可変圧縮機
12 クランク室(調圧室)
14 揺動板
15 シリンダ
17 ピストン
30 容量制御弁
35 弁
40 ソレノイド
42 固定鉄芯
44 可動鉄芯
45 連通孔
47 背圧キャンセル連通孔
70 吸入路開閉弁
71 主弁
72 主弁駆動用連通孔
74 シリンダ室
75 絞り孔
132 絞り孔

Claims (9)

  1. 冷媒を低圧冷媒管路に通じる吸入室から吸入して圧縮したあと高圧冷媒管路に通じる吐出室に吐出する容量可変圧縮機であって、電磁制御弁によって制御される調圧室内の圧力変化により上記冷媒の吐出量を変化させるようにした容量可変圧縮機において、
    上記低圧冷媒管路と上記吸入室との間を連通/閉塞するための吸入路開閉弁を設け、上記電磁制御弁のソレノイドがオフの時には、上記電磁制御弁によって上記冷媒の吐出量が最小状態に制御され上記吸入路開閉弁が閉じ状態にされるようにすると共に、
    上記吸入路開閉弁が閉じた状態のときに上記吐出室内と上記低圧冷媒管路内とを連通させるための還流路を設けたことを特徴とする容量可変圧縮機。
  2. 上記調圧室が気密に形成されたクランク室であり、そのクランク室内で回転軸に対して傾斜角可変に設けられて上記回転軸の回転運動によって駆動されて揺動運動をする揺動体と、上記揺動体に連結されて往復動することにより上記吸入室からシリンダ内に冷媒を吸入して圧縮したあと上記吐出室に吐出するピストンとを有する請求項1記載の容量可変圧縮機。
  3. 上記電磁制御弁が、上記調圧室内の圧力を上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力の変化に対応して変化させるための弁機構と、上記低圧冷媒管路内の冷媒圧力又は上記吸入室内の冷媒圧力の大きさに対応する上記調圧室内の圧力の大きさをシフトさせるためのソレノイドとを有している請求項1又は2記載の容量可変圧縮機。
  4. 上記吸入路開閉弁が上記各部の冷媒の圧力差によって動作する差圧作動弁であり、上記吸入路開閉弁に冷媒の圧力を与える連通路が上記容量制御用の電磁制御弁のオン/オフによって切り換わる請求項1、2又は3記載の容量可変圧縮機。
  5. 上記吸入路開閉弁を閉じ方向に付勢する付勢手段が設けられていて、上記吸入路開閉弁に対して、閉じ方向には上記付勢手段による付勢力と上記吸入室内の圧力とが作用し、開き方向には、上記電磁制御弁のソレノイドがオンのとき上記吐出室内の圧力が作用し、上記電磁制御弁のソレノイドがオフのとき上記吸入室内の圧力が作用する請求項4記載の容量可変圧縮機。
  6. 上記吸入路開閉弁が上記吸入室内の圧力を両端に受け、上記連通路が上記吸入路開閉弁の中間部分に連通している請求項5記載の容量可変圧縮機。
  7. 上記吸入路開閉弁を開き方向に付勢する付勢手段が設けられていて、上記吸入路開閉弁に対して、開き方向には上記付勢手段による付勢力と上記吸入室内の圧力とが作用し、閉じ方向には、上記電磁制御弁のソレノイドがオンのとき上記吸入室内の圧力が作用し、上記電磁制御弁のソレノイドがオフのとき上記吐出室内の圧力が作用する請求項4記載の容量可変圧縮機。
  8. 上記吸入路開閉弁に、上記吐出室内の圧力に代えて上記調圧室内の圧力が作用する請求項5、6又は7記載の容量可変圧縮機。
  9. 上記吸入路開閉弁の両端に面する空間どうしを連通させる絞り孔が上記吸入路開閉弁に形成されている請求項1ないしのいずれかの項に記載の容量可変圧縮機。
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