JP3611638B2 - ヒトコラゲナーゼ活性阻害剤 - Google Patents

ヒトコラゲナーゼ活性阻害剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飴類、飲料、ガム等の食品、洗口液、歯磨等の口腔用組成物に好適で、歯周病の予防・治療効果が期待でき、しかも安全性の高いヒトコラゲナーゼ活性阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯周病は、歯周組織における種々の病態を含む炎症性疾患の総称であるが、一般に炎症が歯肉部分に限定される歯肉炎と、歯槽骨に達して慢性化する歯周炎とに大別される。歯周炎は歯槽膿漏とよばれていたが、慢性化に伴い歯肉及び歯槽骨の破壊をきたし歯の脱落にいたる。歯を失う原因の50%が歯周病であり、中高年にかけては約80%の人が罹患している。
【0003】
歯周病の原因として、歯周ポケットのプラーク中の特定の細菌群、中でも黒色色素産生性のポルフィロモナス(Porphiromonas ) 菌群病原説が有力視されている(例えば、Journal of Clinical Periodontology、13巻、912 頁、1986年参照)。その歯周組織破壊作用としては、細菌由来の直接作用因子(酵素やエンドトキシン等)や間接作用因子(宿主の免疫応答を介するもの)が関与していると考えられているが、何れにせよ結果的に歯肉および歯槽骨のコラーゲンが分解・吸収される点は共通である(American Journal of Pathology 、92巻、509 頁、1978年参照)。
【0004】
歯周病に関わるコラーゲン分解酵素としては、ポルフィロモナス由来のものと歯肉の線維芽細胞由来のものが注目されている。前者は最近部分精製された、金属とチオールを同時に要求する珍しい酵素であるが、まだ不明な点が多い(Journal of Periodontal Research 、23巻、258 頁、1988年参照)。
【0005】
一方、線維芽細胞由来の間質型コラゲナーゼ(以下断りの無い限りコラゲナーゼと呼ぶ)は詳細に解明され、1次構造も明らかにされている(The Journal ofBiological Chemistry、261 巻、6600頁、1986年参照) 。
【0006】
コラゲナーゼは、結合組織中の間質型コラーゲン(I型、II型、およびIII型コラーゲン)を分解する際の律速酵素であり、コラーゲンの代謝に重要な役割を果たしている。炎症の存在する歯肉ではコラゲナーゼ活性が上昇すること(Journal of Periodontal Research、16巻、417 頁、1981年参照)、またコラーゲンが歯肉炎の初期の段階から減少していること(Archieves of Oral Biology、18巻、899 頁、1973年参照) を考慮すると、歯肉のコラゲナーゼが歯周病の進行に深く関わっていると考えられる。
【0007】
従来、歯周病の予防や治療には、スケーリングやルートプレーニングによる歯周ポケット内のプラークや歯石の除去、歯周ポケットの除去(歯肉切除)等が用いられていた。
【0008】
また、最近薬物療法として抗菌剤ミノサイクリンを配合した治療剤が開発された。ミノサイクリンには、抗菌活性のみならずポルフィロモナスおよび好中球由来コラゲナーゼをイン・ビトロで阻害する活性を有することが報告されている(Journal of the Japanese Association of Periodontology 、30巻、182 頁、1988年参照)。
【0009】
上記公知の方法は、医師の指示に従った物理的、外科的、あるいは薬剤による治療に基づくものである。しかし、歯周病は日常的で罹患率の高い疾病であり、また、医師による治療に至るまでに病状が悪化し易いことを考慮すると、ガム、飴、飲料のような食品や、歯磨剤、洗口剤のような口腔用組成物として、前記の病因を除去し歯周病の予防や治療に役立つ安全性の高い物質を利用することが望まれる。
【0010】
一方、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)はこれまでトリテルペン骨格を持つ化合物として、ホウロクタケ(Tetrahedron Letters 、2811頁、1970年参照) やPolyporus betulinus (Journal of Chemical Society、2548頁、1953年、Journal of Chemical Society 、3070頁、1954年参照) から抽出、精製されたことが報告されているが、ヒトコラゲナーゼ活性を阻害する作用があることは報告されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
かかる事情に鑑み、本発明者等は病因を除去し歯周病の予防や治療に役立つ安全性の高いヒトコラゲナーゼ活性阻害物質の探索を鋭意検討した結果、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を含むキノコ抽出エキス、またはホウロクタケの抽出エキスにヒトコラゲナーゼ活性を特異的に阻害する作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って本発明の目的とするところは、歯周病の予防・治療効果が期待でき、しかも安全性の高いヒトコラゲナーゼ活性阻害剤を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を含むキノコ抽出エキスもしくはその乾燥エキス末、またはホウロクタケの抽出エキスもしくはその乾燥エキス末を有効成分とすることを特徴とするヒトコラゲナーゼ活性阻害剤によって達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の構成について詳説する。
本発明において用いられるポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を含むキノコの抽出エキスもしくはその乾燥エキス末、またはホウロクタケの抽出エキスもしくはその乾燥エキス末は、キノコ子実体等から以下の通り製造することが出来る。
【0014】
本発明に用いられるポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を含むキノコとしては、例えばDaedalea dickinsi(ホウロクタケ)、Fomitopsis pinicola(ツガサルノコシカケ)、Fomitopsis rosea (バライロサルノコシカケ)、Fomitopsis nigra (クロサルノコシカケ)、Polyporus betulinus 等タコウキン科のキノコ、Ganoderma valesiacum(ツガノマンネンタケ)等のマンネンタケ科のキノコ等が挙げられる。
【0015】
本発明のキノコの抽出エキスを製造する方法としては、例えばキノコ子実体の凍結乾燥物に対し重量比で5〜30倍の抽出溶剤を加え、通常15〜50℃で24時間〜1週間浸透して各キノコの抽出液を得る方法等が挙げられる。
また、抽出液をろ過あるいは遠心分離して不溶物を除去し、次いで通常の濃縮手段、例えば減圧濃縮等して濃縮の抽出エキスとして得ることもできる。
【0016】
本発明のキノコの抽出エキスを製造する際の抽出溶剤としては、例えば、水、エタノール等の水溶性有機溶剤あるいはこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0017】
本発明のキノコの乾燥エキス末を製造する方法としては、前記抽出エキスを通常の乾燥手段、例えば減圧乾燥、噴霧乾燥あるいは凍結乾燥等により乾燥エキス末として得る方法等が挙げられる。
【0018】
本発明のポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を単離する方法としては、前記抽出エキスまたは乾燥エキス末を有機溶剤で抽出し、シリカゲルカラム等の分離手段で精製してポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を単離する方法等が挙げられる。
【0019】
本発明のヒトコラゲナーゼ活性阻害剤には、上記のポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、抽出エキスまたはその乾燥エキス末の他、口腔用組成物に通常使用される公知の成分を任意に配合することができる。
【0020】
本発明のヒトコラゲナーゼ活性阻害剤を適用する組成物形態としては、液剤,固形剤,半固形剤等いずれであっても良く、特にチューインガム,飴類,飲料等の食品,あるいは、歯磨剤,洗口剤,トローチ剤,塗布液剤等の口腔用組成物が好ましい。
【0021】
これらの組成物を製造するのに使用される賦形剤または補助剤は、通常同目的に使用されるものから剤形に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば乳糖、ステアリン酸マグネシウム、ソルビット、マンニット、カルボキシメチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、ハイドロキシプロピルメチルセルロース、サッカリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カラギナン、アラビアゴム、エタノール、メントール、脂肪酸、クエン酸、無水ケイ酸、第二リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、二酸化チタン等が使用される。
【0022】
更に、通常食品に用いられる甘味料、着色料、香料、保存料などを適宜使用することもできるし、クロルヘキシジンなどの殺菌剤、ミノサイクリンやアンピシリンなどの抗生物質を配合し、歯周病の予防や改善効果を高めることもできる。
【0023】
本発明のヒトコラゲナーゼ活性阻害剤の組成物配合濃度は、組成物中に占めるポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、またはポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を含有するキノコの抽出エキスもしくはその乾燥エキス末の割合が適用組成物により異なり一概には規定出来ないが、組成物総量を100重量%としたとき、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の濃度として、0.001 〜10.0重量%が好ましく、特に0.005 〜1.0 重量%が好ましい。またキノコの抽出エキスまたはその乾燥エキス末を含有するヒトコラゲナーゼ活性阻害剤を配合する場合には、抽出エキスの乾燥重量として、0.005 〜20.0重量%が好ましく、特に0.05〜5.0 重量%が好ましい。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、歯周病における歯肉および歯槽骨のコラーゲン吸収の原因であるヒトコラゲナーゼに対し優れた阻害活性を有し、歯周病の予防および治療に有用で、且つ配合量の多少に関わらず使用上の安全性も極めて高いコラゲナーゼ活性阻害剤が提供できる。しかも本発明のヒトコラゲナーゼ活性阻害剤は、ヒトコラゲナーゼに特異的に作用するため、他の酵素群に影響を及ぼさずに、歯周病の予防および治療を行うのに適している。
【0025】
【実施例】
以下、試験例及び実施例によって、本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明のヒトコラゲナーゼ活性阻害剤が、メタロプロテアーゼ全般に対するキレーターとして作用するのではなくヒトコラゲナーゼを特異的に阻害することを示すため、ヒトコラゲナーゼと同じメタロプロテアーゼであるところのバクテリアコラゲナーゼ及びアンジオテンシン変換酵素に対する阻害活性を調べた。
【0026】
(試験例−1)ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、およびホウロクタケ抽出エキスのヒトコラゲナーゼ阻害作用
【0027】
1. 試験物質
ホウロクタケの子実体を凍結乾燥させ、その7.35kgを15lの85%エタノールで抽出し、ホウロクタケエキスとした。
そのエキスを濃縮し、酢酸エチル抽出したものをシリカゲルカラム(BW−127ZH)にかけ、クロロホルム:アセトン(8:2)で溶出した。さらに再度シリカゲルカラム(Klesselgel 60)にかけクロロホルム:アセトン(82:18)で溶出したものを、HPLCのODSカラムにかけメタノール:水(86:14)の条件で溶出してポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を6.0mg得た。
【0028】
2. ヒトコラゲナーゼ
ヒトコラゲナーゼとしては、ヒト線維肉腫細胞由来の足場非依存性細胞に、無血清無蛋白質培地中で産生させたヒトプロコラゲナーゼを、CMセファロースTM(ファルマシア社製)および亜鉛キレーティングセファロースTM(ファルマシア社製)により精製して緩衝液に溶解し、これに活性化剤としてトリプシン(シグマ社製,Type12)を添加して、35℃にて5分間インキュベートした後、ダイズトリプシン インヒビター(メルク社製)を添加してトリプシンを失活させたものを用いた。
【0029】
3. ヒトコラゲナーゼ阻害活性の測定
ヒトコラゲナーゼに対するポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)、およびホウロクタケエキスの阻害活性の測定は以下の通り行った。
【0030】
先ずポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の場合は4.0mgのポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を100μlのジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解し原液とし、測定用緩衝液〔0.2M食塩、5mM 塩化カルシウム、0.05容量%Brij−35(ICI社製ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル)、0.02容量%アジ化ナトリウムを含有する50mMトリス塩酸緩衝液、pH7.5 〕で100倍に希釈した。さらにその液を測定用緩衝液にて3〜100倍希釈した。
【0031】
各希釈液と、既知量(0.4 単位; なお1単位は、35℃で1分間に1μgのI型コラーゲンを分解する酵素量を示す)の上記ヒトコラゲナーゼ溶液とを等量混合し、フルオレッセインイソチオシアネートで標識されたI型コラーゲン(コスモバイオ社製)を基質として、永井らの方法(Japanese Journal of Inflamation、4 巻、123 頁、1984年参照)に準じコラゲナーゼ活性を測定することにより、阻害曲線を求め、それより50%阻害するに必要な試験薬量をIC50値として読み取った。
【0032】
ホウロクタケエキスの場合は遠心濃縮機で乾固し秤量後、5.0mgを100μlのジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解し原液とし、測定用緩衝液で25倍に希釈した。
【0033】
希釈液と、既知量(0.4 単位; なお1単位は、35℃で1分間に1μgのI型コラーゲンを分解する酵素量を示す)の上記コラゲナーゼ溶液とを等量混合し、ウシI型コラーゲン(コスモバイオ社製)を基質として、35℃で16時間反応させた。この溶液に等量の試料用緩衝液〔3.2 容量%n−ドデシル硫酸ナトリウム(SDS) 、8容量%β−メルカプトエタノール、16容量%BPB 溶液(0.05 容量%ブロムフェノールブルー、70容量%グリセリン、0.0625M トリス塩酸液、pH6.8)を含有する0.1Mトリス塩酸液、pH6.8 〕を加え3分間煮沸し試料とした。
【0034】
この試料をLaemmliの方法(Nature,227巻,680頁, 1970年参照)に準じたSDS電気泳動に供し、CBB染色液(0.25容量%クマシーブリリアントブルーR−250,45容量%メタノール、10容量%酢酸)で1時間染色後、脱色液(25容量%メタノール、8容量%酢酸)で脱色した。
【0035】
電気泳動ゲルを乾燥後、電気泳動パターンのコラーゲンの切断されたバンドを画像解析装置〔Macintosh 〕(Apple Computer社製)により読み取り、そのバンドの濃さをヒトコラゲナーゼ活性の阻害の指標とした。
【0036】
4. 試験結果
表1および表2に結果を示す。ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)には用量依存的なヒトコラゲナーゼ阻害活性がみられ、IC50値は7.3μg/ml(15.1μM)であった。またホウロクタケの85%エタノール抽出エキスはヒトコラゲナーゼを完全に阻害した。
【0037】
【表1】
Figure 0003611638
【0038】
【表2】
Figure 0003611638
【0039】
(試験例−2)各種キノコエキスのヒトコラゲナーゼ阻害作用
【0040】
1. 試験物質
Fomitopsis pinicola(ツガサルノコシカケ)、Fomitopsis rosea (バライロサルノコシカケ)、Fomitopsis nigra (クロサルノコシカケ)、Ganoderma valesiacum(ツガノマンネンタケ)の子実体を凍結乾燥させ、その2.5gを75mlの85%エタノールで抽出し、キノコエキスとした。
【0041】
2.方法
用いたヒトコラゲナーゼおよびヒトコラゲナーゼ阻害活性の測定方法は試験例−1のホウロクタケエキスの場合の方法と同様に行なった。
【0042】
3.試験結果
表3に結果を示す。検討した4種類のキノコエキスは、いずれもヒトコラゲナーゼを阻害した。
【0043】
【表3】
Figure 0003611638
【0044】
(試験例−3)ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)阻害の特異性
【0045】
1. 試験物質
試験例−1の方法で得たポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を用いた。
【0046】
2. バクテリアコラゲナーゼおよびその活性阻害測定法
バクテリアコラゲナーゼとしては、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼ(シグマ社製,TypeI)を用いた。
【0047】
ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C) 400μg/ml を2倍ずつ12.5μg/ml まで測定用緩衝液で希釈し、0.1 単位(なお1単位は、25℃で1分間に1μmoleの基質を分解する酵素量を示す)のバクテリアコラゲナーゼに対する活性阻害を調べた。バクテリアコラゲナーゼ阻害活性の測定方法は試験例−1のホウロクタケエキスの場合の方法と同様に行なった。同時に 0.4単位のヒトコラゲナーゼに対する活性阻害も調べた。
【0048】
3.アンジオテンシン変換酵素阻害測定法
(a)反応用緩衝液
30mMNaClを含む50mMTris−HCl(pH7.8)
【0049】
(b)アンジオテンシン変換酵素液
アンジオテンシン変換酵素(ウサギ由来、シグマ社製)を60mMNaClを含む100mMTris−HCl(pH7.8)に0.15ミリ単位/mlになるように溶解した。ただし、1単位とは、37℃、pH8.3において1分間に基質ヒップリル−ヒスチジル−ロイシンから1μmolの馬尿酸に分解される量を示す。
【0050】
(c)アンジオテンシンI溶液
アンジオテンシンI(ペプチド研究所製)は、10%アセトニトリル溶液(V/V)にて25mg/mlに溶解後、蒸留水にて1.2mg/mlに希釈した。
【0051】
(d)アンジオテンシン変換酵素阻害活性の測定方法
ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)をジメチルスルフォキシドに4.0mg/mlとなるよう溶解後、反応用緩衝液で適宜希釈し検体とした。
【0052】
先ず上記の検体20μlとアンジオテンシン変換酵素液20μlを混合後、基質アンジオテンシンI溶液を20μl添加し、10分間37℃で反応させ、0.2%トリフルオロ酢酸(V/V)を含む50%アセトニトリル溶液(V/V)を60μl添加し反応を停止した。
【0053】
上記操作で得られた溶液を、高速液体クロマトグラフィーにて、アンジオテンシンII量を測定した。
【0054】
高速液体クロマトグラフィーでのアンジオテンシンIIの溶離条件は、流速1ml、溶離液0.1%トリフルオロ酢酸(V/V)を含む23%アセトニトリル(V/V)溶液、カラムYMC A−312(山村化学研究所製、6×150mm)とした。また、アンジオテンシンII量は、280nmでの吸光度で測定した。(この値をXとする。)
【0055】
一方、コントロールとして、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の代わりに反応用緩衝液のみを20μl添加した群を作り、上記と同様の操作によりアンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定した。なお、アンジオテンシン変換酵素反応液でのアンジオテンシンII量をYとした。
【0056】
また、比較例として、ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の代わりにアンジオテンシン変換酵素阻害薬として知られているカプトプリルを反応用緩衝液にて溶解、希釈して加え、上記と同様の操作によりアンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定した。
【0057】
アンジオテンシン変換酵素の阻害率は、アンジオテンシンII量から数1により求めた。
【0058】
【数1】
Figure 0003611638
【0059】
4.試験結果
表4に結果を示すように、種々の濃度のポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)はヒトコラゲナーゼを濃度依存的に阻害したが、バクテリアコラゲナーゼに対してはいずれの濃度でも阻害作用を示さなかった。
【0060】
またアンジオテンシン変換酵素阻害率を求めた結果を表5に示す。比較例(カプトプリル10nM)は50%を示したが、比較例と比してポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)は、アンジオテンシン変換酵素を阻害しなかった。
【0061】
この結果から、ヒトコラゲナーゼに対するポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の阻害作用は、単なるメタロプロテアーゼに対するキレーターとしての作用ではなく、特異的なものであると考えられる。
【0062】
【表4】
Figure 0003611638
【0063】
【表5】
Figure 0003611638
【0064】
実施例1(練歯磨)
表6に示した処方について常法に従ってポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)(試験例−1の方法で精製した)を0.1重量%含む練歯磨剤を製造した。即ち、水、グリセリン、カラギナン、サッカリン、パラオキシ安息香酸ブチル、クロルヘキシジンジグルコネート、香料、およびポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の処方量を計量し、混合して粘結剤を膨潤させたのち、第2リン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウムを加え、更によく混合し脱泡したのち、チューブに充填して練歯磨剤を得た。
【0065】
【表6】
Figure 0003611638
【0066】
実施例2(練歯磨)
ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の代わりにホウロクタケエキス(試験例−1の方法で抽出した)を用い、その添加量を1. 0重量%とする以外は実施例1と同様にして練歯磨剤を得た。
【0067】
実施例3(トローチ剤)
表7に示した処方について常法に従いポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)(試験例−1の方法で精製した)を0.05重量%含むトローチ剤を製造した。
【0068】
【表7】
Figure 0003611638
【0069】
実施例4(トローチ剤)
ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の代わりにホウロクタケエキス(試験例−1の方法で抽出した)を用い、その添加量を0. 5重量%とする以外は、実施例3と同様にしてトローチ剤を得た。
【0070】
実施例5(洗口剤)
表8に示した処方について常法に従いポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)(試験例−1の方法で精製した)0.1重量%含む洗口剤を製造した。
【0071】
【表8】
Figure 0003611638
【0072】
実施例6(洗口液)
ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)の代わりにホウロクタケエキス(試験例−1の方法で抽出した)を用い、その添加量を1. 0重量%とする以外は実施例5と同様にして洗口液を得た。
【0073】
実施例7(チューインガム)
表9に示した処方について常法に従ってホウロクタケエキス(試験例−1の方法で抽出した)を1.0重量%含むチューインガムを製造した。
【0074】
【表9】
Figure 0003611638
【0075】
即ち、40℃に保温した全量のチューインガムベースおよび全量の水飴を、ニーダーに投入して10分間混練し、粉糖の1/3 量および全量のブドウ糖を投入して5分間、次いで粉糖の1/3 量を投入して5分間混練した。次に、ホウロクタケエキスと香料を残りの1/3 量の粉糖に混合したものを投入し、5分間混練してガムミックスを得た。
【0076】
実施例8(ヌガー)
表10に示した処方について常法に従ってホウロクタケエキス(試験例−1の方法で抽出した)を0.2重量%含むヌガーを製造した。
【0077】
【表10】
Figure 0003611638
【0078】
即ち、まず▲1▼を混合し泡立て、▲2▼は130℃まで煮詰めた。▲1▼に▲2▼を少しずつ加え、更に泡立て、これに、▲3▼を加え混合しながら冷却盤上に広げ成型してヌガーを得た。

Claims (3)

  1. ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を有効成分とすることを特徴とするヒトコラゲナーゼ活性阻害剤。
  2. ポリポレニックアシッドC(Polyporenic acid C)を含むキノコ由来の抽出エキスまたはその乾燥エキス末を有効成分とすることを特徴とするヒトコラゲナーゼ活性阻害剤。
  3. キノコが、ホウロクタケ(Daedalea dickinsi)であることを特徴とする請求項2記載のヒトコラゲナーゼ活性阻害剤。
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