JP3611452B2 - 丸鋸盤の切削粉排出機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、丸鋸盤にて加工材を切断する際に発生する切削粉の排出機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、木材等の加工材を切断する際、丸鋸刃の側方に備えられ前記丸鋸刃を駆動する駆動部と、前記丸鋸刃の上部の周縁を覆う刃物カバーと、前記丸鋸刃の周縁の一部を覆い、前記丸鋸刃の周縁に沿って自在にスライドし、前記刃物カバーと前記丸鋸刃の間に収容可能なスライドカバーとを備えた丸鋸盤が使用されている。
【0003】
かかる丸鋸盤によって加工材を切断すれば切削粉が発生するが、この切削粉を刃物カバー内を通して排出するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6に示すように加工材を切断する際、スライドカバー2が刃物カバー1と丸鋸刃3との間に収容されると、発生した切削粉が矢印aのようにスライドカバー2の先端部21で滞留してしまい、その切削粉が切断部付近に飛び散ってしまい、作業者は加工部分を確認しながら切断することが困難となっていた。また、先端部21に滞留しないで矢印b丸鋸盤Dの後方に切削粉が流れたとしても、切削粉は定盤4に衝突し、作業者に煩わしさを与えていた。
【0005】
そこで、本発明では、簡単な機構でコストをかけることなく刃物カバーの前部に切削粉を滞留させることがない丸鋸盤の切削粉排出機構を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、丸鋸刃(3)の側方に備えられ前記丸鋸刃(3)を駆動する駆動部(5)と、前記丸鋸刃(3)の上部の周縁を覆う刃物カバー(1)と、前記丸鋸刃(3)の周縁の一部を覆い、前記丸鋸刃(3)の周縁に沿って自在にスライドし、前記刃物カバー(1)と前記丸鋸刃(3)の間に収容可能なスライドカバー(2)と、を備えた丸鋸盤(D)の切削粉排出機構において、前記スライドカバーが樹脂材により厚肉に形成され、前記スライドカバー(2)が前記刃物カバー(1)に完全収容された際、前記スライドカバー(2)の前部をなす側の前記スライドカバー(2)の円周方向の先端部(21)の少なくとも一方の側壁(22)の先端部を先細り形状に形成した排出部(23)を備えた。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1〜図3は本発明の切削粉排出機構の1実施形態を示している。丸鋸盤Dは、円盤状の丸鋸刃3と、この丸鋸刃3の側方から丸鋸刃3を回転自在に支持し、筒状に形成されたケース51に駆動モータ(不図示)を内部に備えた駆動部5と、丸鋸刃3に直交する方向に沿って設けられ、加工材の上面を摺動し、丸鋸盤Dを加工材の上面に沿って案内するための平板状の定盤4とを備えている。また、丸鋸刃3の上部の周縁は、ケース51の端部に取り付けられた刃物カバー1によって覆われている。
【0010】
刃物カバー1前部(図1の右側)と定盤4とは、この定盤4の前部(図1の右側)に立設するブラケット41の部分でピンPによって回転可能に連結されている。また、刃物カバー1の後部(図1の左側)には、その内周面に沿って摺動する帯板状の切込調整板7を介して定盤4の後部(図1の左側)に取り付けられている。定盤4は、ピンPを中心に切込調整板7のストローク分だけ回転し、定盤4の下面から突出する丸鋸刃3の突出量を調整する事ができる。
【0011】
刃物カバー1の更に内側には丸鋸刃3の周縁の一部を覆うスライドカバー2が設けられている。このスライドカバー2は、周方向に直交する方向の断面がほぼコの字に、側面視が円弧状に形成されている。そして、スライドカバー2が刃物カバー1に収容される際の進行方向の前部をなす先端部21の側部のうち駆動部5と丸鋸刃3をはさんで反対側(図2の右側)の側部22は外側後方に向けて排出部23が設けられている。
【0012】
このスライドカバー2は丸鋸刃3の周縁に沿ってスライド可能に設けられ、図には示していないが作業を行っていない時は、後端部24を丸鋸盤Dの前方(図1の右側)を向くようにして丸鋸刃3の下部の位置を覆っている。スライドカバー2は樹脂材を使用して形成される。樹脂材によって形成した場合、薄板材によって形成した場合に比して肉厚が厚くなるので、排出部23は、先端部21の側部22を斜めにカットして設けられる。
【0013】
この丸鋸盤Dを用いて加工材を切断するには、定盤4の下面を加工材の上面に当接させ、丸鋸刃3を加工材の端面に突き当てて、ハンドル6を握って丸鋸盤Dを押すようにして前方(図1の右側)へ移動させる。そして、加工材の端面がスライドカバー2の後端部24と当接する位置までくると、スライドカバー2はその後端部24を加工材によって押され、徐々に丸鋸刃3の周縁に沿って押し上げられ、最終的に図1に示すように先端部21が丸鋸盤Dの前方を向くようにして、丸鋸刃3の上部の周縁を覆う位置まで移動する。
【0014】
切断加工の際、丸鋸刃3は、図1に示す状態において反時計回りに回転する。したがって切断の際に発生する切削粉は、刃物カバー1の内部に向かって巻き込まれる。巻き込まれた切削粉は、スライドカバー2の排出部23にぶつかって、丸鋸盤Dの側方に跳ね飛ばされるようにして刃物カバー1の外へ排出される。
【0015】
図4に示すように、刃物カバー1に図示していない集塵機のダクトを連結する集塵口11を側面に設け、集塵機にて切削粉を吸い取ってしまうと切削粉の滞留防止効果が増大する。切断の際に発生し、刃物カバー1の内部に巻き込まれた切削粉は、排出部23だけでは、刃物カバー1の外へ排出しきれない場合であっても、矢印dのように排出部23によってスライドカバー2の外側を通るよう進路が強制的に変更されているので、集塵機による集塵が容易になる。なお、図3及び図4には、スライドカバー2の側壁のうち丸鋸刃3を境に駆動部5とは反対側の側壁22のみに排出部23を設けたものを示しているが、これには限定されず、駆動部5側の側壁25に設けたり、両方の側壁22,25に設けてもよい。
【0016】
次に図5を参照して本発明の別の実施形態について説明する。
【0017】
この図に示すスライドカバー2に設けられた排出部23は、先端が先細りとなるように、傾斜が外側後方に向けて形成されているだけでなく丸鋸刃3の方向に向けても形成されている。このように排出部23を形成すると切断により発生した切削粉の一部は、矢印cのように刃物カバー1の外側(図5の右側)に跳ね飛ばされ、他の一部は矢印eのように丸鋸刃3に向けて跳ね飛ばされる。丸鋸刃3、に向けて跳ね飛ばされた切削粉は、丸鋸刃3の回転によって強制的に丸鋸盤Dの後方に送られるので、刃物カバー1の前部に滞留してしまうことがなくなる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、スライドカバーが樹脂材により厚肉に形成されている場合であっても切断の際に発生する切削粉をスライドカバーの外側に跳ね飛ばすことができる。したがって、刃物カバーの前部に切削粉を滞留させることなく、切削粉を刃物カバーの外側に排出できる。また、スライドカバーの外側に跳ね飛ばすので、刃物カバーの外まで跳ね飛ばされない切削粉は、刃物カバーとスライドカバー間を通過して丸鋸盤の後方へ移動するので、集塵機によって切削粉を吸い取ることが容易になる。よって、刃物カバーの前部に切削粉を滞留させることも、切削粉を飛散させることもなくなる。
【0019】
図5に示したような先細り形状にする場合は、切断の際に発生する切削粉は、刃物カバーの外側または、丸鋸刃に向けて跳ね飛ばされるので、切削粉が刃物カバーの前部に滞留することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切削粉排出機構を備えた丸鋸盤の1実施形態を示す一部断面側面図。
【図2】図1の丸鋸盤の一部切り欠き平面図。
【図3】本発明の切削粉排出機構を備えたスライドカバーの1実施形態を示す斜視図。
【図4】 図1の実施例を示す一部切り欠き平面図。
【図5】 図1とは別の実施形態の切削粉排出機構を備えた丸鋸盤の拡大平面図。
【図6】 従来の丸鋸盤の切削粉の移動経路を示した一部断面側面図。
【符号の説明】
1 刃物カバー
2 スライドカバー
23 排出部
3 丸鋸刃
4 定盤

Claims (1)

  1. 丸鋸刃の側方に備えられ前記丸鋸刃を駆動する駆動部と、前記丸鋸刃の上部の周縁を覆う刃物カバーと、前記丸鋸刃の周縁の一部を覆い、前記丸鋸刃の周縁に沿って自在にスライドし、前記刃物カバーと前記丸鋸刃の間に収容可能なスライドカバーと、を備えた丸鋸盤の切削粉排出機構において、前記スライドカバーが樹脂材により厚肉に形成され、前記スライドカバーが前記刃物カバーに完全収容された際、前記スライドカバーの前部をなす側の前記スライドカバーの円周方向の先端部の少なくとも一方の側壁の先端部を先細り形状に形成した排出部を備えたことを特徴とする丸鋸盤の切削粉排出機構。
JP17321398A 1998-06-19 1998-06-19 丸鋸盤の切削粉排出機構 Expired - Lifetime JP3611452B2 (ja)

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