JP3610626B2 - カラーフィルター用光重合性組成物及びカラーフィルター - Google Patents

カラーフィルター用光重合性組成物及びカラーフィルター Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶の表示装置、CCDなどの個体撮像素子、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレーなどと組み合わせて使用されるカラーフィルターの製造に好適なカラーフィルター用光重合性組成物と、このカラーフィルター用光重合性組成物を用いたカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のカラーフィルターとしては、染色法,印刷法,電着法,顔料分散法などの方法で、ガラス基板上に赤、緑、青などの画素を形成したものが用いられている。
【0003】
従来のカラーフィルターのうち、染色法によるカラーフィルターは、ゼラチンやポリビニルアルコールなどに感光剤として重クロム酸塩を混合した感光性樹脂を用いて画像を形成した後、染色して製造されている。この染色法による場合、多色の画像を同一基板上に形成するためには、防染工程が必須であり、工程が複雑になるという問題点がある。また、染料を使用するため、耐光性に劣る上に、感光剤として用いる重クロム酸は公害防止の観点から使用が望ましくないという問題もある。
【0004】
印刷法によるカラーフィルターは、スクリーン印刷又はフレキソ印刷などの方法で、熱硬化インキ又は光硬化インキをガラス基板に転写させて製造される。印刷法であれば、画像形成、染色が不要であるため、工程が簡略であるが、反面、高精細な画像が得られず、インクの平滑性の点においても問題がある。
【0005】
電着法によるカラーフィルターは、顔料又は染料を含んだ浴に電極を設けたガラス基板を浸し、電気泳動により色相を付着させて製造されている。電着法によるカラーフィルターは、平滑性に優れるが、予め、ガラス基板に電極を設ける必要があるため、複雑なパターンを形成させるのが困難であるという問題がある。
【0006】
顔料分散法によるカラーフィルターは、光硬化性樹脂に顔料を分散させた着色レジストにより画像を形成することにより製造されている。顔料分散法は、高耐熱性のカラーフィルターを製造することができ、また、染色が不要である上に、高精度の画像を形成することができるという利点がある。
【0007】
このため、現在、顔料分散法は、カラーフィルター製造技術の主流となっているが、顔料分散法では、多量の顔料を含む着色レジストにより画像形成を行った際、基板に顔料が残り易く、地汚れが発生するという問題がある。カラーフィルターの製造では、赤、緑、青の色画素を順次形成していくため、地汚れの発生は、カラーフィルターの色再現性、塗膜の平滑性等を劣化させる原因となる。
【0008】
このような地汚れを防ぐために、従来は、現像時間の制御、現像液濃度の調節、ブラシなどによる除去といった方法がとられていた。
【0009】
また、有機カルボン酸を着色レジストに添加する方法(特開平4−369653号公報,同5−343631号公報)、或いは、バインダー樹脂の酸価を高くすることにより溶解性を向上させる方法も提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現像時間の制御、現像液濃度の調節、ブラシなどによる除去では、地汚れの発生を完全に除去することができず、作業性の低下、コストアップ、現像液の廃液処理などにおいても問題を生じていた。また、有機カルボン酸を添加する方法やバインダー樹脂の酸価を高くする方法によっても、地汚れの発生を完全に防止することはできなかった。
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決し、顔料分散法によるカラーフィルターの製造において、地汚れの発生を著しく低減することができるカラーフィルター用光重合性組成物と、このカラーフィルター用光重合性組成物を用いたカラーフィルターを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラーフィルター用光重合性組成物は、バインダー樹脂、光重合開始剤、モノマー、顔料、溶剤、及び、分子量が800以下の有機カルボン酸無水物を含むことを特徴とする。
本発明のカラーフィルターは、このような本発明のカラーフィルター用光重合性組成物を用いて形成された画素を有するものである。
【0013】
以下、本発明のカラーフィルター用光重合性組成物及びカラーフィルターについて詳細に説明する。
【0014】
本発明において、バインダー樹脂としては、酸性基を有するモノマーを少なくとも1種以上含む共重合体が好ましく用いられる。このような共重合バインダー樹脂としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、(o,m又はp)−ポリビニルフェノールなどの酸性基を有するモノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどのコポリマーとを共重合させたバインダー樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル又はメタクリル」を示す。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
【0015】
バインダー樹脂に含有される酸性基の量は、酸価で30〜250(KOH−mg/g)、特に50〜200(KOH−mg/g)であることが好ましい。バインダー樹脂の酸性基の量が少なく、酸価がこの範囲より低いとアルカリ現像液への溶解性が低下し、現像残渣を生じたり、極端な場合は現像不能となる。逆に、酸性基の量が多く、酸価がこの範囲より高い場合には、アルカリ現像液への溶解性が高くなりすぎ、感度低下や現像時の膜荒れが起こり易くなる。
【0016】
また、バインダー樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜50000、特に3000〜30000であることが好ましい。バインダー樹脂の分子量が上記範囲より低いと良好な塗膜が得られにくく、また、乾燥後のベタツキも大きくなる。逆に、バインダー樹脂の分子量が上記範囲より高いと現像性の低下が起こり、パターンの切れが悪くなる。
【0017】
更に、バインダー樹脂は必要に応じて側鎖に重合性二重結合等の重合性基を付加させたものであっても良い。バインダー樹脂の側鎖に重合性二重結合基を付加させることにより、バインダー樹脂の反応性が高まり、感度、耐薬品性を向上させることができる。このような方法としては、特公昭50−34443号公報、特公昭50−34444号公報などに記載の公知の手法が挙げられる。
【0018】
本発明に係る光重合開始剤としては、紫外光により後述するモノマー中のエチレン性不飽和基を重合させるラジカルを発生させることのできる化合物が挙げられる。具体的には、(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−エトキシカルボニル−4−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジ(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(4’−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などのイミダゾール誘導体、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどのアントラキノン誘導体、ベンズアンスロン誘導体、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体、9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジンなどのアクリジン誘導体、9,10−ジメチルベンズフェナジンなどのフェナジン誘導体、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム等のチタニウム誘導体などが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独又は2種以上を組み合わせて使用される。例えば、特公昭53−12802号公報、特開平1−279903号公報、特開平2−48664号公報、特開平4−164902号公報、特開平6−75373号公報などに記載の開始剤との組み合わせ例が挙げられる。
【0019】
モノマーとしては、具体的にイソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ビスフェノールAのEO付加ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ノボラックエポキシのアクリル酸変性物、ノボラックエポキシのアクリル酸及び酸無水物の変性物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリル化イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーのなかでは特に3官能以上のアクリルモノマーが好ましい。これらのモノマーは単独又は2種以上を組み合わせて使用される(なお、EOとはエチレンオキシド、POとはプロピレンオキシドを示す。)。
【0020】
本発明に係る顔料としては、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラックなどの無機顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジスアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリノン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、チオインジゴ系顔料などの有機顔料などが挙げられる。これらのうち特にフタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ジスアゾ系顔料が好ましい。これらの顔料は単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0021】
なお、本発明に使用される顔料を具体的にカラーインデックス(C.I)ナンバーで示すと次の通りである。
【0022】
C.I.赤;9,97,122,123,149,168,177,180,192,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240
C.I.青;15,15;6,22,60,64
C.I.緑;7,36
C.I.黒;7
C.I.黄色;20,24,86,93,109,110,117,125,137,138,147,148,153,154,166,168
C.I.オレンジ;36,43,51,55,59,61
C.I.バイオレット;19,23,29,30,37,40,50
C.I.茶;23,25,26
本発明に係る溶剤としては、具体的に、次のようなものが挙げられる。
【0023】
ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルアセテート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、ソーカルソルベントNo. 1及びNo. 2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、(n,sec又はt)−酢酸ブチル、ヘキセン、シェル TS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどの有機溶剤が挙げられる。
【0024】
これらの溶剤は1種を単独で使用しても良く、また、2種以上を混合して使用することも可能である。
【0025】
なお、溶剤は、沸点が100〜200℃の範囲のもの、特に、120〜170℃の範囲のものを選択して使用するのが好ましい。
【0026】
本発明においては、更に、分子量800以下の有機カルボン酸無水物を配合する。この分子量800以下の有機カルボン酸無水物としては、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には、無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などが挙げられる。これらのなかでは、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸が好ましい。
【0027】
本発明のカラーフィルター用光重合性組成物は、バインダー樹脂100重量部に対し、光重合開始剤を0.05〜50重量部、モノマーを5〜200重量部、顔料を10〜500重量部、溶剤を50〜5000重量部、分子量800以下の有機カルボン酸無水物を0.05〜50重量部の範囲で含有することが好ましい。
【0028】
バインダー樹脂100重量部に対する光重合開始剤の添加量が0.05重量部未満であると十分な感度が得られず、また、50重量部を超えると内部硬化性が悪くなり、場合によっては、光重合開始剤の再結晶が起こり析出することがある。バインダー樹脂100重量部に対するモノマーの添加量が5重量部未満であると露光された画線部の架橋密度が十分でなくなり、良好な画像が得られにくく、また、200重量部を超えると乾燥後のレジスト膜のベタつきが大きくなり作業性に劣るものとなる。バインダー樹脂100重量部に対する顔料の添加量が10重量部未満であるとカラーフィルター作成に必要な色濃度が出しにくくなり、また、500重量部を超えると顔料による光吸収が強くなりすぎ、内部光硬化が起こらなくなって画像を形成し得なくなる。バインダー樹脂100重量部に対する溶剤の添加量が50重量部未満であると感光液が高粘度になりすぎ塗布膜の平滑性が劣るものとなり、また、5000重量部を超えると必要な塗布膜厚が得られなくなる。バインダー樹脂100重量部に対する有機カルボン酸無水物の添加量が0.05重量部未満であると地汚れ改善効果が発揮できず、また、50重量部を超えると基板に対する密着性が低下する。
【0029】
本発明のカラーフィルター用光重合性組成物により本発明のカラーフィルターを形成するには、まず、上記組成からなるカラーフィルター用光重合性組成物を調製し、これをカラーレジスト感光液として、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷などの公知の方法でガラス基板に塗布する。なお、ガラス基板にはクロム、酸化鉛などの金属やカーボンブラックなどでブラックマトリックスが形成されていても良い。この塗布膜厚は乾燥後の膜厚で0.5〜10μmが好ましい。
【0030】
塗布膜は、コンベクションオーブン又はホットプレートを用いて乾燥する。乾燥温度は50〜150℃、乾燥時間は30秒〜60分が好適である。
【0031】
その後、マスクを通して露光することによりレジスト膜に潜像を形成する。この露光には、高圧水銀灯が一般的に用いられる。
【0032】
次いで、未露光部分を溶解させる溶剤で現像することにより画像を形成することができる。
【0033】
ここで、現像液としては、アセトン、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤も使用可能であるが、環境問題からアルカリ現像液の方が好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液などが用いられる。これらの現像液には界面活性剤、消泡剤、pH調整剤などが含有されていても良い。現像液の温度は5〜50℃が適当である。現像方法としては、特に制限はなく、パドル法、ディッピング法、スプレー法など公知の方法を採用することができる。現像時間は現像方法により異なるが、通常、10秒〜5分の範囲が適当である。また、プリウエットを採用しても良い。
【0034】
画像形成後は、現像液の乾燥、レジスト膜の硬化を高める目的で、必要に応じてポストベーク、後光硬化などを採用しても良い。
【0035】
【作用】
分子量800以下の低分子量の有機カルボン酸無水物の配合により、感度や解像度を低下させることなく、非画像部の地汚れを防止することができる。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1〜12,比較例1〜12
表1に示す配合比率でカラーレジスト感光液を調合し、クロムが蒸着されたガラス基板にスピンコーターで塗布した。このサンプルをホットプレートで80℃にて1分間乾燥した。カラーレジストの乾燥膜厚は1.5μmであった。
【0038】
次に、高圧水銀灯によりマスクパターンを通してサンプルを200mj/cm で露光した後、0.05重量%の水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬して現像した。現像後、十分な水でリンスした後、乾燥した。
【0039】
現像されたサンプルの非画線部を顕微鏡により50倍の倍率で観察し、地汚れの有無を判定し、結果を表2に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003610626
【0041】
【表2】
Figure 0003610626
【0042】
表2より、分子量800以下の有機カルボン酸無水物を含有する本発明のカラーレジスト感光液によれば、地汚れが解消されることが明らかである。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のカラーフィルター用光重合性組成物によれば、顔料分散法により赤、緑、青の各色画素及びブラックマトリックスを形成する際に、高感度、高解像性の性能を維持した上で、非画像部の地汚れを著しく低減することができ、色再現性や塗膜の平滑性に優れた高特性カラーフィルターを製造することができる。

Claims (2)

  1. バインダー樹脂、光重合開始剤、モノマー、顔料、溶剤、及び、分子量が800以下の有機カルボン酸無水物を含むことを特徴とするカラーフィルター用光重合性組成物。
  2. 請求項1に記載のカラーフィルター用光重合性組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルター。
JP10100795A 1995-04-25 1995-04-25 カラーフィルター用光重合性組成物及びカラーフィルター Expired - Fee Related JP3610626B2 (ja)

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