JP3609804B2 - インバータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータに入力された直流電圧の利用率向上を図るためのインバータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、例えばリニアシンクロナスモータ(以下「LSM」という)式車両の電力供給系は、図7に示すようになっている。
すなわち、電力系統(商用電力)より供給された三相交流電力が電力変換器20にて受電されると、この三相交流電力は、図示しないコンバータにて一旦直流電力に変換される。そして、インバータ22A、22B、22Cを介してパルス幅変調(PWM)されLSM式車両12の駆動に必要な周波数及び大きさの三相交流電力に変換され、3系統のき電線16を介して地上設備に供給される。
【0003】
この地上設備としては、U相、V相、W相の三相の各コイルを一組とする推進コイル群11が車両進行方向に複数連なって配置されており、これらの推進コイル群11に順次三相交流を供給することで、移動磁界を発生させる。LSM式車両12は、超電導コイルである界磁コイル12aによって発生する磁界と、推進コイル群11に発生する磁界との相互作用により、推進力を得て駆動される。
【0004】
ところで、かかる電力供給系を構成する電力変換器20では、インバータ22A、22B、22Cにおいて変換素子のスイッチングロス等に起因して、入力電圧に対して出力電圧が低下する。つまり、一般に出力電圧が入力電圧の80%程度に低下してしまうため、省電力化及び低コスト化の要請に反するといった問題があった。
【0005】
そこで、インバータにおける直流電圧の利用率向上を図る方法として、例えば線間電圧制御の一種である3次重畳制御が行われた。この3次重畳制御とは、三相交流電圧の各相に適切な振幅・位相の3次調波電圧を加える(重畳する)ことにより、対地電圧のピーク値を下げる制御方式である。
【0006】
具体的には図8に示すように、例えば三相(U相,V相,W相)の基本波(点線)に対して周波数が3倍,振幅が1/6の3次調波(細い実線)を重畳する。すると、基本波の中性点(頂点)が抑えられて同図に示すような出力波形(太い実線)になり、同じ直流電圧の入力に対して出力電圧を上昇させることができ、全体として電圧利用率が向上することになる。この3次重畳制御は線間電圧制御の一種であるため、その直流電圧利用率向上率(=インバータの出力可能電圧/インバータ入力電圧)は、線間電圧制御について一般に知られている2/√3である。
【0007】
しかし、この3次重畳制御方式をとる場合には、LSM式車両12が停止から最高速度に至るまで常に3次調波を加え続けることになる。つまり、出力電圧が小さくそのピーク値を抑える必要がない低速走行時においても3次調波を出し続けることになるため、システムの演算処理に不要な負荷がかかるといった問題があった。また3相の中性点が揺れるため、低速走行時の制御に好ましくないといった問題があった。
【0008】
そこで、このようなインバータ制御においては、直流電圧の利用率を向上させるとともに、好ましくは不要な制御を伴わずに簡易にこれを実現することが要請される。このことは、上述したLSM式車両の制御システム内のインバータに限らず、その他の汎用的なインバータについても同様に言えることである。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みなされたものであり、インバータに入力された直流電圧の利用率を簡易な手法で向上させ、インバータの出力を増強させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、請求項1に記載のインバータ装置は、電力系統より受電されコンバータにて一旦直流に変換された電力を、変換素子のON/OFF制御により、制御対象に供給する所定の三相交流電力に変換するインバータの出力電圧を制御するためのものである。
【0011】
具体的には、制御対象の制御用に演算された三相のいずれかの電圧指令値が、変換素子によって決まる電圧の最大利用率の範囲内で予め設定した閾値を超えた場合に、相電圧分配手段が、この電圧指令値において当該閾値を超えた分の電圧を他の二相に分配し、出力手段が、この相電圧分配手段による分配後の電圧指令値をインバータに対して出力する。
【0012】
尚、ここでいう「変換素子」とは、交流電力を作り出すためのインバータのスイッチング素子のことであり、サイリスタ,GTO,IGBT等種々の素子が該当する(以下同様)。
すなわち、インバータの変換素子によって電圧の最大利用率(インバータの出力電圧/インバータの入力電圧)が決まるため、その最大利用率を超えた電圧出力指令を出してもインバータはその電圧を出力し得ない。このため、本構成では、予め電圧指令値がその最大利用率を超える分については、他の二相に振り分けることにより、電圧を出力可能な範囲で有効に利用することとしたものである。
【0013】
かかる構成は、三相間で電圧制御を行うため線間電圧制御の一種ということになり、その直流電圧利用率向上率は、上記3次重畳制御等の線間電圧制御について一般に知られている2/√3程度となり、電圧利用率向上のための何らの制御も行わない場合に比べ、出力可能電圧は約15%アップすることになる。従って、直流電圧の利用率が向上し、インバータの効率が向上する。また、インバータの効率が向上することにより、変換器設備の容量低減が可能になる。
【0014】
また、本構成は、直流電圧利用率向上率については上述した3次重畳制御と同様ということになるが、電圧指令値が上記閾値を超えたときにその超えた分だけ分配するものであるため、電圧指令値がこの閾値を超えるまでは分配制御を行うことはない。従って、3次重畳制御のように常時3次調波を出し続ける制御よりも制御負担が小さく、システムを効率的に運用することができる。
【0015】
特に、後述する実施例に記載したLSM式車両の制御システムに適用すれば、当該相電圧分配制御は車両の低速走行時には実行されないことになるため、低速走行の安定とシステムの運用コストの低減に寄与する。
尚、この「最大利用率」は、当該相電圧分配制御単独で電圧利用率向上を図る場合には、変換素子の最大変調率に相当することになる。また上記においては、「閾値を最大利用率の範囲内で設定する」としたが、当該閾値を最大利用率に設定するのが、電圧利用率向上の観点から最も好ましい。
【0016】
次に、請求項2に記載のインバータ装置は、2アームからなるフルブリッジで構成され、電力系統より受電されコンバータにて一旦直流に変換された電力を、変換素子のON/OFF制御により、制御対象に供給する所定の三相交流電力に変換するインバータの出力電圧を制御するためのものである。
【0017】
具体的には、制御対象の制御用に演算された三相のいずれかの電圧指令値が、変換素子によって決まる電圧の最大利用率の範囲内で予め設定した閾値を超えた場合に、変調率バイアス手段が、2アームの一方を完全導通状態としてその変調率を1に設定し、他方の変調率を変調率1の電圧と電圧指令値との差分のみバイアスして設定する。そして、出力手段が、この変調率バイアス手段による設定後の電圧指令値を、インバータに対して出力する。
【0018】
ここでいう「変調率」とは、電圧指令値の振幅を直流電圧を基準に±1に正規化したときの値をいい、変換素子のON/OFFの時間間隔により決まる。変換素子がON/OFFできる最小の時間間隔は素子自体の性能で決まっているため、この性能により動作可能な最大の変調率(最大変調率)が決まる。インバータでの出力可能電圧はこの最大変調率により定まるため、上記変換素子の電圧の最大利用率は、この最大変調率により決まることになる。
【0019】
一般に2アームで構成されるインバータの出力可能電圧は、変換素子の最大変調率をMとして、下記式(1)のように表される。
出力可能電圧=直流電圧×(M+M)×1/√2 ・・・(1)
ただし、M<1
一方、本構成によれば、一方のアームを完全導通状態(変調率:1)とするため、出力可能電圧は、下記式(2)のように表される。
【0020】
出力可能電圧=直流電圧×(1+M)×1/√2 ・・・(2)
ただし、M<1
従って、電圧利用率向上率は(M+1)/2Mとなり、出力可能電圧が増大することになる。例えば、変換素子として後述する実施例に記載したGTOを採用した場合、その最大変調率Mは0.862となるため、出力可能電圧は約8%アップすることになる。
【0021】
尚、上記においては、「閾値を最大利用率の範囲内で設定する」としたが、当該閾値を最大利用率に設定する(つまり最大変調率に設定する)のが、電圧利用率向上の観点から最も好ましい。
ところで、上述した相電圧分配制御方式は、三相毎の送電あるを制御する段階で電圧を制御するものであり、また変調率バイアス制御方式は、相毎に制御された電圧を出力する最終段階で出力電圧の最大値に達している場合に電圧を制御するものである。このため、これらの電圧制御方式は相互に干渉することなく、独立に制御することが可能である。そのため、これらの方式を併用することで、各々の制御を個別に使用する場合よりも更に直流電圧の利用率を向上させる余地がある。
【0022】
そこで、請求項3に記載のインバータ制御装置は、2アームからなるフルブリッジで構成され、電力系統より受電されコンバータにて一旦直流に変換された電力を、変換素子のON/OFF制御により、制御対象に供給する所定の三相交流電力に変換するインバータの出力電圧を制御するためのものである。
【0023】
具体的には、まず相電圧分配手段が、制御対象の制御用に演算された三相のいずれかの電圧指令値が、予め設定した第1の閾値を超えた場合に、この電圧指令値において当該閾値を超えた分の電圧を他の二相に分配する。続いて、この相電圧分配手段による分配後の三相のいずれかの電圧指令値が、予め設定した第2の閾値を超えた場合に、変調率バイアス手段が、上記2アームの一方を完全導通状態としてその変調率を1に設定し、他方の変調率を変調率1の電圧とこの分配後の電圧指令値との差分のみバイアスして設定する。そして、出力手段が、この変調率バイアス手段による設定後の電圧指令値を、インバータに対して出力する。
【0024】
ここで、第2の閾値は、変換素子によって決まる電圧の最大利用率の範囲内で予め設定され、第1の閾値は、この第2の閾値に基づいて算出される最大利用率の範囲内で設定される。
すなわち、本構成では、互いに干渉しない上記二つの制御方式を併用することで、出力可能電圧を更に高めることができる。従って、電圧利用率向上率は{(M+1)/2M}×2/√3となり、出力可能電圧が増大することになる。例えば、変換素子として後述する実施例に記載したGTOを採用した場合、出力可能電圧は約24%アップすることになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。本実施例は、本発明のインバータ制御装置をLSM式車両の制御システムに適用したものであり、図1はその概略構成を表すブロック図である。尚、当該制御システムの電力供給系の概略については図7で説明したものと同様であるため、以下において同一構成について同一符号を付す等してその説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、この制御システムは、地上側の軌道に沿って配置された推進コイル11と、この推進コイル11に対向するように車両12に搭載された界磁コイル12aと、速度指令値v*と実速度vとの偏差を比例・積分演算した電流指令値I*を出力する速度制御部13と、この電流指令値I*と推進コイル11を流れるコイル電流Iとの偏差を比例・積分演算して、車両位置を示す位相基準としての位置検知位相θpとの同期をとった正弦波状の電圧指令値V*を演算し、この電圧指令値V*にインバータの電圧利用率を向上させるための処理を施して出力する変換器制御部14と、電力系統からの電力を受電して、この電圧指令値V*に基づいた三相の出力電圧Vをき電線16を介して推進コイル11へ出力する電力変換器20と、推進コイル11を流れるコイル電流Iを検出する電流検出器17と、車両位置情報を得るために軌道に沿って配置された交差誘導線18aと、この交差誘導線18aに生じる信号に基づき、推進コイル11と界磁コイル12aとの相対位置を検出して位置検知位相θpを出力する位置検知装置18と、この位置検知位相θpから速度制御のために必要な実速度vを演算して出力する速度検出器19とを備えている。
【0027】
次に、本発明の主要部である変換器制御部14及び電力変換器20周辺の構成について、図2に基づいて説明する。尚、同図には説明の都合上、インバータ1系1相分の回路が概略的に示されている。
同図に示すように、電力変換器20は、電力系統から受電した三相交流電力を一旦直流電力に変換するコンバータ21と、この直流電力をLSM式車両12の駆動に必要な周波数及び大きさを有する三相交流電力に変換するインバータ22とを備える。
【0028】
インバータ22は、3段多重のインバータユニットからなり、各インバータユニットは、ハーフブリッジインバータを2アーム(UアームとXアーム)組み合わせたフルブリッジインバータとして構成されている。また、これらUアーム及びXアームは、それぞれGTO素子によりスイッチング可能に構成され、平滑用コンデンサがこれに並列に接続されている。尚、同図においては、説明の便宜上、インバータユニットを構成する素子を第3段目についてのみ表記したが、1段目、2段目についても同様の構成となっている。
【0029】
すなわち同図に示すように、GTO素子31及び32が直列に接続されてUアームを構成し、GTO素子33及び34が直列に接続されてXアームを構成する。そして、GTO素子31及び33の各アノードがコンバータ21のプラス端子P(+)に接続され、GTO素子32及び34の各カソードがコンバータ21のマイナス端子N(−)に接続され、GTO素子31とGTO素子32との接続点と、GTO素子33とGTO素子34との接続点がトランス23に接続されている。そして、GTO素子31及び34がON(GTO素子33及び32がOFF)されるとトランス23に正の電圧が供給され、GTO素子33及び32がON(GTO素子31及び34がOFF)されるとトランス23に負の電圧が供給される。
【0030】
変換器制御部14は、各インバータユニットのGTO素子をON/OFF制御してその出力電圧を制御し、この出力電圧が各トランス23を介して出力されるようになっている。この場合、変換器制御部14から出力された電圧指令値は、各インバータユニットにて等分担され、各インバータユニットから各トランス23を介して出力された出力電圧を合成したものが、当該電圧指令値に基づく出力電圧として出力される。
【0031】
各インバータユニットでは、分担された電圧指令値の波形が各アームの信号に分配され、PWMされてゲートパルス信号に変換され、各アームのGTO素子をON/OFFする。変調率はそれぞれのGTO素子のON/OFFの時間間隔に相当し、変調率が大きくなるほどON/OFFの時間間隔が短くなる。本実施例のGTO素子の最大変調率Mは、キャリア周波数300Hzでおよそ0.862である。
【0032】
次に、変換器制御部14が実行するインバータ制御について、図3〜図6に基づいて説明する。図3は変換器制御部14の一部を表す機能ブロック図である。同図に示すように、本実施例のインバータ制御には、相電圧分配制御と変調率バイアス制御との併用方式が採用される。
【0033】
すなわち、変換器制御部14において、所謂dq0回転座標系にて演算されたdq軸電圧指令値(V*d、V*q、V*0)が、三相交流座標系における電圧V*(Vu、Vv、Vw)に変換されると、続いて以下に述べる相電圧分配制御が実行される。
【0034】
この相電圧分配制御は、最大利用率超過分の電圧を他の二相に振り分ける三相間の線間電圧制御である。つまり図4に概念的に示すように、演算されたU相、V相、W相の三相の電圧Vu、Vv、Vw(点線)に対して予め第1の閾値となる出力電圧指令上限値MB(本実施例では0.931)を設定し、この出力電圧指令上限値MBを超過した電圧分(斜線部)を、他の二相に分配する。この場合、振り分けた相で再び相電圧分配制御が行われないように、入力電圧指令上限値MSは、後述する変調率バイアス制御で得られる最大利用率である当該出力電圧指令上限値MBの1/sin60°に制限される。(MS=MB/sin60°)。
【0035】
この相電圧分配制御の処理の流れを図5のフローチャートに基づいて説明すると、以下のようになる。
すなわち、まずU相電圧指令値Vurefについて、出力電圧指令上限値MBに相当する相電圧分配開始電圧Vdist以下であるか否かを判断する(S110)。このとき、U相電圧指令値Vurefが相電圧分配開始電圧Vdist以下であれば(S110:YES)、V相電圧指令値Vvref,W相電圧指令値Vwrefへの分配量ΔVvu,ΔVwuをゼロとする(S120)。
【0036】
一方、U相電圧指令値Vurefが相電圧分配開始電圧Vdistを超えている場合には(S110:NO)、その超過分(Vuref−Vdist)を二等分し、V相電圧指令値Vvref,W相電圧指令値Vwrefへの分配量ΔVvu,ΔVwuとして振り分ける(S130)。続いて、U相電圧指令値Vurefを相電圧分配開始電圧Vdistに置き換える(S140)。
【0037】
次に、V相電圧指令値Vvrefについて、相電圧分配開始電圧Vdist以下であるか否かを判断する(S150)。このとき、V相電圧指令値Vvrefが相電圧分配開始電圧Vdist以下であれば(S150:YES)、W相電圧指令値Vwref,U相電圧指令値Vurefへの分配量ΔVwv,ΔVuvをゼロとする(S160)。
【0038】
一方、V相電圧指令値Vvrefが相電圧分配開始電圧Vdistを超えている場合には(S150:NO)、その超過分(Vvref−Vdist)を二等分し、W相電圧指令値Vwref,U相電圧指令値Vurefへの分配量ΔVwv,ΔVuvとして振り分ける(S170)。続いて、V相電圧指令値Vvrefを相電圧分配開始電圧Vdistに置き換える(S180)。
【0039】
次に、W相電圧指令値Vwrefについて、相電圧分配開始電圧Vdist以下であるか否かを判断する(S190)。このとき、W相電圧指令値Vwrefが相電圧分配開始電圧Vdist以下であれば(S190:YES)、U相電圧指令値Vuref,V相電圧指令値Vvrefへの分配量ΔVuw,ΔVvwをゼロとする(S200)。
【0040】
一方、W相電圧指令値Vwrefが相電圧分配開始電圧Vdistを超えている場合には(S190:NO)、その超過分(Vwref−Vdist)を二等分し、U相電圧指令値Vuref,V相電圧指令値Vvrefへの分配量ΔVuw,ΔVvwとして振り分ける(S210)。続いて、V相電圧指令値Vwrefを相電圧分配開始電圧Vdistに置き換える(S220)。
【0041】
そして、各相の電圧指令値を、下記式(1)〜(3)にて置き換えて一連の処理を終了する(S230)。
Vuref=Vuref−ΔVuv−ΔVuw ・・・(1)
Vvref=Vvref−ΔVvw−ΔVvu ・・・(2)
Vwref=Vwref−ΔVwu−ΔVwv ・・・(3)
以上の処理により得られた二相同時分配での三相電圧指令波形は、図4において実線で示したようになり、どのような場合においても三相平衡出力となる。また、この相電圧分配制御は三相間を制御する線間電圧制御の一種であるため、その出力可能電圧は出力増強制御を行わない従来の出力可能電圧の2/√3倍程度となり、約15%出力電圧を向上させることができる。
【0042】
続いて、各相について変調率バイアス制御が実行される。この変調率バイアス制御は、図6に示すように、電圧指令値が最大変調率M(本実施例ではGTO素子による0.862)を超過する間、Uアーム及びXアームのうち片側のアームを完全導通状態としてその変調率を1とし、もう一方のアームの変調率を変調率1の電圧と電圧指令値との差分のみ減少(バイアス)させることで、Uアーム及びXアームの合計の変調率(出力電圧指令上限値MBに相当)を増加させる(MB=(1+M)/2となる)。すなわち図2において、電圧指令値が最大変調率Mを超過する間、UアームのGTO素子31をONに固定した状態で、XアームのGTO素子34をON/OFFしてバイアスすることで図6に示す正の電圧を生成し、またXアームのGTO素子33をONに固定した状態で、UアームのGTO素子32をON/OFFしてバイアスすることで負の電圧を生成する。
【0043】
この場合、UアームとXアームの変調率を合成すると、図6左段に示す正弦波状の電圧指令値が得られることになるので、フルブリッジ全体としての出力電圧の波形は、変換器制御部14で演算した元の電圧指令値の波形に保たれる。
この変調率バイアス制御により、出力可能な電圧は、インバータユニット1段あたりで、
出力可能電圧=直流電圧×(1+0.862)×1/√2
となる。
【0044】
一方、かかる変調率バイアス制御を行わない通常の制御における出力可能な電圧は、インバータユニット1段あたりで、
出力可能電圧=直流電圧×(0.082+0.862)×1/√2
であるため、変調率バイアス制御により、出力増強制御を行わない従来の出力可能電圧よりも約8%出力電圧を向上させることができる。
【0045】
すなわち、相電圧分配制御と変調率バイアス制御とを併用した本実施例のインバータ制御によれば、出力増強制御を行わない従来の出力可能電圧よりも約24%(=1.15×1.08)の出力可能電圧の向上が可能となる。
尚、図3下段に示される上記出力電圧指令上限値MBは最大変調率Mに基づいて設定されるため、この出力電圧指令上限値MBは、最大変調率Mから逆算して予め設定されることになる。
【0046】
以上に説明したように、相電圧分配制御と変調率バイアス制御とを併用した本実施例のインバータ装置によれば、インバータにおける出力可能電圧を大きく高めることができる。
尚、本実施例において、変換器制御部14が、相電圧分配手段,変調率バイアス手段及び出力手段に該当する。
【0047】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施例では、インバータの変換素子にGTO素子を採用した例を示したが、その他のサイリスタやIGBT等の変換素子であってもよい。
【0048】
また、上記実施例では、本発明のインバータ制御装置をLSM式車両の制御システムに適用した例を示したが、これに限らず、汎用インバータとして構成してもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインバータ制御装置が適用されたLSM式車両の制御システムの概略構成を表すブロック図である。
【図2】インバータ制御装置の要部概略構成を表すブロック図である。
【図3】インバータ制御装置の要部の機能を表すブロック図である。
【図4】相電圧分配制御を表す説明図である。
【図5】相電圧分配制御を表すフローチャートである。
【図6】変調率バイアス制御を表す説明図である。
【図7】LSM式車両の制御システムの電力供給系を表すブロック図である。
【図8】従来のインバータ制御の一例(3次重畳制御)を表す説明図である。
【符号の説明】
12・・・LSM式車両、 13・・・速度制御部、 14・・・変換器制御部、
17・・・電流検出器、 18・・・位置検知装置、 19・・・速度検出器、
20・・・電力変換器、 21・・・コンバータ、 22・・・インバータ、
23・・・トランス、 31,32,33,34・・・GTO素子

Claims (4)

  1. 電力系統より受電されコンバータにて一旦直流に変換された電力を、変換素子のON/OFF制御により、制御対象に供給する所定の三相交流電力に変換するインバータの出力電圧を制御するためのインバータ制御装置であって、
    前記制御対象の制御用に演算された三相のいずれかの電圧指令値が、インバータの入力電圧に対するインバータの出力電圧の比であって前記変換素子によって決まる電圧の最大利用率の範囲内で予め設定した閾値を超えた場合に、該電圧指令値において該閾値を超えた分の電圧を、他の二相に分配する相電圧分配手段と、
    該相電圧分配手段による分配後の電圧指令値を、前記インバータに対して出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とするインバータ制御装置。
  2. 2アームからなるフルブリッジで構成され、電力系統より受電されコンバータにて一旦直流に変換された電力を、変換素子のON/OFF制御により、制御対象に供給する所定の三相交流電力に変換するインバータの出力電圧を制御するためのインバータ制御装置であって、
    前記制御対象の制御用に演算された三相のいずれかの電圧指令値が、インバータの入力電圧に対するインバータの出力電圧の比であって前記変換素子によって決まる電圧の最大利用率の範囲内で予め設定した閾値を超えた場合に、前記2アームの一方を完全導通状態としてその変調率を1に設定し、他方の変調率を変調率1の電圧と前記電圧指令値との差分のみバイアスして設定する変調率バイアス手段と、
    該変調率バイアス手段による設定後の電圧指令値を、前記インバータに対して出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とするインバータ制御装置。
  3. 2アームからなるフルブリッジで構成され、電力系統より受電されコンバータにて一旦直流に変換された電力を、変換素子のON/OFF制御により、制御対象に供給する所定の三相交流電力に変換するインバータの出力電圧を制御するためのインバータ制御装置であって、
    前記制御対象の制御用に演算された三相のいずれかの電圧指令値が、予め設定した第1の閾値を超えた場合に、該電圧指令値において該閾値を超えた分の電圧を、他の二相に分配する相電圧分配手段と、
    該相電圧分配手段による分配後の三相のいずれかの電圧指令値が、予め設定した第2の閾値を超えた場合に、前記2アームの一方を完全導通状態としてその変調率を1に設定し、他方の変調率を変調率1の電圧と該分配後の電圧指令値との差分のみバイアスして設定する変調率バイアス手段と、
    該変調率バイアス手段による設定後の電圧指令値を、前記インバータに対して出力する出力手段と、
    を備え、
    前記第2の閾値が、インバータの入力電圧に対するインバータの出力電圧の比であって前記変換素子によって決まる電圧の最大利用率の範囲内で予め設定され、前記第1の閾値が、該第2の閾値に基づいて算出される最大利用率の範囲内で設定されたことを特徴とするインバータ制御装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載のインバータ制御装置を用いたことを特徴とするリニアシンクロナスモータ式車両の制御システム。
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