JP3609423B2 - 弾性表面波装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

〔技術分野〕
本発明は、弾性表面波装置及びその製造方法に関する。詳細に述べると、本発明は、改良された耐電力性を有する電極膜を備えた弾性表面波装置及びその製造方法に関する。
〔背景技術〕
弾性表面波装置、特に弾性表面波フィルタは、誘電体フィルタに替わって自動車電話・携帯電話等のRF帯フィルタに盛んに利用されるようになってきた。この理由として、弾性表面波装置、特に弾性表面波フィルタは、誘電体フィルタに較べて寸法が小さいこと、又、同じ大きさで比較すると電気特性が優れていることなどが挙げられる。
弾性表面波装置は、少なくとも圧電性基板と、該圧電性基板の表面に形成された金属膜からなる電極パターン、及び該圧電性基板と電極パターンとを収納するパッケージとから構成される。圧電性基板としては、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、水晶などを用いて、その表面にアルミニウム金属膜などからなる電極パターンを形成し、パッケージに収納される。
図5に、一般的な従来の弾性表面波装置の製造工程を示す。先ず、工程(a)において基板洗浄された圧電性基板50上に、工程(b)において電極材として金属膜51を蒸着、又はスパッタリング法で成膜する。その上に、フォトレジストを例えばスピンコート法により塗布する。そして、工程(c)に示すように、所望のパターンを露光機で露光し、現像後、フォトレジストパターン52を得る。その後、工程(d)において、ウェットエッチング、又はドライエッチング法により、金属膜を所望の電極パターン53に形成する。パターン形成に用いたフォトレジストは、工程(e)において剥離液、またはアッシング法で除去する。以上でフォトプロセスと呼ばれる前工程が終了する。その後、工程(f)において、電極パターンが形成された圧電性基板をダイシングで各チップに切断する。次いで、工程(g)において、切断されたチップを接着剤を用いてパッケージに固定した後、工程(h)においてボンディングワイヤーによる配線を行なう。最後に、気密を確保するため、工程(i)において蓋を溶接し、工程(j)において特性検査を行い、後工程が終了する。
弾性表面波装置は、1GHz前後のRF帯で使用する場合、櫛形電極の電極幅及び電極間隔が1μm前後と微細になり、その寿命が短いという課題があった。弾性表面波装置の寿命を決めるのは、主に電極膜の耐電力性である。弾性表面波装置を動作状態にすると、圧電性基板上の電極膜には周波数に比例した繰り返し応力が加わる。この電極膜に加わる繰り返し応力により、電極膜にはマイグレーションによって、ヒロック(突起)やボイド(空乏)といった欠陥が発生し、弾性表面波装置の特性を大きく劣化させる。この電極膜の劣化現象は、高周波になるほど、また、印加電力が大きいほど顕著に現れる。また、設計上、高周波化するほど、電極膜をより薄膜化、電極幅をより微細化しなければならない。これらの要因も加わって、高周波になるほど。電極膜に欠陥を発生し易く、耐電力性を劣化させる。
弾性表面波装置の電極膜には、比重が小さいこと、電気抵抗が小さいこと等の理由から、当初、アルミニウム(Al)が使われていた。しかし、電極膜にアルミニウム(Al)を用いた場合、高周波化に伴う前述の電極膜の劣化が課題となった。このマイグレーションによる電極膜の劣化現象を改善する手段として、アルミニウム(Al)に微量の銅(Cu)等の異種金属を添加したアルミニウムー銅合金(Al−Cu)とすることが、J.I.Latham等により開示されている(Thin Solid Fims 64、pp.9−15、1979年)。このアルミニウムの合金化によって、電極膜のヒロックやボイドの発生を抑さえ、弾性表面波装置の耐電力性を向上させている。
ところで、このアルミニウムのマイグレーションによる劣化は、半導体の分野でも発生が問題となっている。半導体配線におけるアルミニウムのマイグレーションとしては、電流によって生じるエレクトロマイグレーション、及び薄膜の多層化に起因する残留応力によって生じるストレスマイグレーションの主に二つが知られている。弾性表面波装置では、半導体分野での状況とは異なり、前述したように動作周波数に比例した繰り返し応力が加わる。江畑、森下は、電子情報通信学会論文誌Vol.J67−C,No.3,pp.278−285,1984「SAW共振子におけるAl薄膜のメタルマイグレーション」において、アルミニウムのマイグレーションについて詳細に記述している。アルミニウムのマイグレーションは、当初は半導体配線において問題となっていた。半導体配線の場合のマイグレーションは、直流電流によるエレクトロマイグレーション(EM)と多層配線を形成したときに生じる残留応力によるストレスマイグレーション(SM)に大別されている。この論文では、弾性表面波装置において生じるマイグレーションの原因について明快に説明している。この説明によると、シールド電極を2つのすだれ状変換器(IDT)間に電気的に接地され表面弾性波(SAW)の励振や受信がされないように接地し、動作させると、このシールド電極には表面弾性波(SAW)定在波に対応した縞模様ができる。この縞がアルミニウムのマイグレーションによるボイドやヒロックである。この場合、シールド電極には電流が流れておらず、この縞は、表面弾性波の定在波による応力が原因であることが明らかにされている。したがって、弾性表面波装置の場合にアルミニウムに生じるマイグレーションは、電流もしくは残留応力によって発生するEM、SMとは異なる音響的マイグレーションであるといえる。一方、表面弾性波電極には、表面弾性波に対応する繰り返し応力が作用するため、この現象は金属疲労とも呼ぶことができる。この応力値は、ブロック状のアルミニウムの引っ張り応力(疲労限界)と同程度か、もしくはこれを越える値となるといわれている。
携帯電話用RF段間フィルタでは、送信側と受信側とで投入される電力は異なり、一般に送信側に較べて受信側の方が投入電力は小さい。しかしながら、この投入電力の小さい受信側フィルタにおいても、その寿命は、少なくとも0.1W電力投入で、室温25℃において、10年以上であることが要求される。このフィルタを弾性表面波装置、特に多重モード型弾性表面波フィルタで構成した場合には、電極材料として従来の純アルミニウム膜を使用すると、寿命は数年しかなく、寿命10年以上という仕様は満足させることができない。
そこで本願発明者等は、前記に記した耐電力性の高いといわれるアルミニウムー銅合金膜(Al−0.5wt %Cu)を電極材料として用い、多重モード型弾性表面波フィルタの寿命試験を行った。試料としては、ヨーロッパを中心に急速に普及しているGSMシステムの受信側フィルタ(中心周波数947.5MHz)として設計されたものを用いた。なお、寿命試験中において、電極膜にはボイドやヒロックといった欠陥が発生するために、その電極膜の膜抵抗が大きくなりフィルタの挿入損失が増加する。そこで素子寿命にTF(Time to Failure)をとり、挿入損失が、0.5dB増加するまでの時間を素子寿命として、投入電力及び周囲温度の加速を行い寿命試験をした。その結果、GSM仕様である投入電力0.1W、周囲温度室温25℃における素子寿命を見積もると、試料として用いた多重モード型弾性表面波フィルタでは、寿命はおよそ30年となった。
上記の結果より、多重モード型弾性表面波フィルタにおいても、電極材料としてアルミニウムー銅合金膜(Al−0.5wt %Cu)を使用すれば、十分な耐電力性が得られることがわかった。しかし、例えば送信側フィルタや、アンテナ分波器においては比較的大電力が投入されるために、上記電力膜の耐電力性では十分な寿命が得られないという問題があった。
この寿命を改善する手段として、アルミニウムー銅合金膜の耐電力性の検討が田渕他「ポータブル電話分波器用SAWフィルタの耐電力評価」(電子情報通信学会技術報告資料、US87−18)で報告されている。この報告によれば、アルミニウムー銅合金膜において、銅の含有量を増やすことで寿命が改善される。また、この寿命の改善は銅の含有量が2.5wt%までで、それ以上の銅の添加では逆に寿命は悪くなっていく。このように、アルミニウムー銅合金膜からなる電極材料では、銅の含有量が2.5wt%において最も耐電力性に優れることが知られている。しかし、銅の含有量の増大は以下の理由により製造上の問題が生じる。
第一に、アルミニウムと銅の組み合わせでは大きな局部電池が発生し、この局部電池が製造工程中、特にフォトリソグラフィ、エッチング等において、電極膜の腐食を促進してしまうことは良く知られている。また、現在、エッチングにおいては、微細電極を高精度に形成できる塩素系プラズマガスを用いたドライエッチングが一般的に用いられている。このアルミニウムー銅合金膜にドライエッチング技術を適用する場合には、銅の塩化物の沸点が高いためにエッチングが難しく、更に銅の塩化物が残留することもあるため、ドライエッチング後に電極腐食が発生し易いという問題があった。
図7に塩素系ガスプラズマを用いたドライエッチングの後に発生する電極腐食の実験結果を示す。図7において、横軸はアルミニウムー銅合金膜における銅の含有量であり、縦軸は25μm×25μmの面積内に発生した電極腐食の数である。図から分かるように、純アルミニウム膜においては発生しない電極腐食が、銅を添加した合金化によって発生が顕著になる。銅の含有量が0.5wt%までは電極腐食はほとんど発生しないが、それを越えると銅の添加量に対して指数関数的に増加することがわかる。すなわち、アルミニウムー銅合金膜の耐電力性を向上させるために銅の添加量を増やすことは、逆に製造工程中の電極腐食の問題が大きくなってくる。
一方、このアルミニウムー銅合金膜の耐電力性を向上する別の手段として、特開平7−122961号公報に開示された三層構造電極を挙げることができる。この公開公報には、アルミニウムー銅合金を含む一対のアルミニウム膜の間に銅を挿入した構造が開示されている。この公開公報の教示によれば、アルミニウムー銅合金膜・銅・アルミニウムー銅合金膜の三層構造とすることにより、従来のアルミニウムー銅合金膜に較べて、耐電力性を格段に向上させることができる。しかし、この三層構造の構成では、耐電力性は格段に向上させ得るものの、製造容易性という点では課題がある。この構造においては、銅が中間層に存在しているため、上述したアルミニウムと銅による電極腐食の問題は、アルミニウムー銅合金膜におけるものよりも深刻になるのは明らかである。更に、アルミニウム合金と銅とでは、エッチングにおけるエッチャント、すなわちウェットエッチングの場合はエッチング液組成、ドライエッチングの場合はエッチングガス種が異なり、三層構造とすると、これを加工するための装置が非常に大掛かりとなる。また電極材料成膜においても、三層の成膜過程を経ねばならず製造コストが高価となる問題点がある。
〔発明の開示〕
そこで、本発明は、電極材料は従来のアルミニウムー銅合金を用いて、その合金組成、または構成を変えることなく、電極薄膜の耐電力性を向上させた弾性表面波装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、製造容易で電極腐食の問題を伴わず、耐電力性が向上した弾性表面波装置及びその製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、アルミニウム−銅合金に限らず、基質材料に対して添加元素の固溶限界が非常に小さい合金系を電極材料として使用する弾性表面波装置において、簡単な手段により耐電力性を向上させることである。
本発明の一態様においては、上記目的を達成するために、圧電性基板上に銅が添加されたアルミニウム合金膜から成る電極を形成した弾性表面波装置に改良を加える。本発明の弾性表面波装置の特徴とする点は、アルミニウム合金膜における銅の元素濃度が結晶粒内に較べ粒界近傍が高く、結晶粒界近傍に偏析していることにある。換言すると、本発明による弾性表面波装置の電極においては、結晶粒界に析出するアルミニウムとの金属間化合物の形ではなく、銅元素の形で存在する銅の濃度が、結晶粒界近傍において結晶粒内より高く、偏析状態となっていることに特徴がある。ここで、ほとんどの場合、結晶粒界にはアルミニウムと銅の金属間化合物が生成するが、本発明においては、この化合物の形で存在する銅成分の濃度ではなく、銅元素の形態で存在する銅濃度を考慮するものである。
本発明の好ましい実施の形態においては、弾性表面波装置の電極を形成するアルミニウム合金膜の結晶粒内における銅の元素濃度に対する粒界近傍における銅の元素濃度の比は、1.6より大きい。
本発明のさらに好ましい実施の形態においては、弾性表面波装置の電極を形成するアルミニウム合金膜の結晶粒内における銅の元素濃度に対する粒界近傍における銅の元素濃度の比は、2.2以上である。
本発明の一態様においては、弾性表面波装置は、圧電性基板の表面上に、銅が0.5wt%ないし2wt%添加されたアルミニウム合金膜からなる電極が形成されていることが好ましい。
本発明のさらに別の態様においては、弾性表面波装置は、多重モード型弾性表面波フィルタとして構成されることが好ましい。
本発明は又、改良された弾性表面波装置を製造するための方法を提供するものである。この方法は、圧電性基板上に銅が添加されたアルミニウム合金膜からなる電極パターンを形成する過程と、電極パターンが形成された圧電性基板チップをパッケージに収納する過程とを有する弾性表面波装置を製造する工程、及び合金膜をエージング処理する工程を含む弾性表面波装置の製造方法に改良を加えるもので、弾性表面波装置の製造方法においては、エージング処理は、150℃ないし250℃の温度で、100時間より多くない時間(0を含まず)行なうことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、弾性表面波装置の製造方法は、圧電性基板上に銅が添加されたアルミニウム合金膜と形成する過程と、合金膜上にフォトレジストを塗布し、露光して現像後、フォトレジスト−パターンを得る過程と、合金膜をエッチング法で所望の電極パターンに形成する過程と、フォトレジストを除去する過程と、複数の所望の電極パターンが形成された圧電性基板をチップ毎に切断する過程と、チップをパッケージに固定し、ボンディングワイヤで配線する過程と、パッケージに蓋を溶接する気密封止過程とを有する弾性表面波装置を組み立てる工程、及び合金膜をエージング処理する工程を含む弾性表面波装置の製造方法に改良を加える。この弾性表面波装置の製造方法においては、エージング処理は、150℃ないし250℃の温度で、100時間より多くない時間(0を含まず)行なうことを特徴とする。
本発明の弾性表面波装置の製造方法においては、エージング処理は、200℃ないし250℃の温度で、5時間ないし50時間行なうことが好ましく、200℃ないし250℃の温度で5時間ないし25時間エージングすることがさらに好ましい。
本発明の好ましい実施の形態においては、エージング処理は、圧電性基板上に合金膜を形成した後に行うことが好ましい。
本発明の好ましい実施の形態においては、エージング処理は、弾性表面波装置の組み立て後に行うことが好ましい。
さらに、本発明の好ましい別の実施の形態においては、弾性表面波装置は、多重モード型弾性表面波フィルタであることが好ましい。
本発明のさらに別の態様においては、弾性表面波装置の電極は、合金基体材料に対する固溶限界が小さい添加元素を有する合金系を使用する場合において、添加元素が合金結晶粒界に偏析し、添加元素濃度が結晶粒界において結晶粒内より高くなるようにする。
弾性表面波装置における電極薄膜のマイグレーションは、通常の半導体装置の配線におけるエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションと、電極劣化の様子は類似しているものの、そのメカニズムは異なる。通常の半導体装置と弾性表面波装置との差異は、弾性表面波装置の場合は、電極薄膜に大きな繰り返し応力がかかることである。川勝孝治他「SAWデバイスの電極内相当応力のFEM評価」(電子情報通信学会技術報告会資料,US90−70/EA90−83)の報告では、種々の圧電性基板上の電極薄膜にかかる応力の計算結果が示されている。この報告によると、電極内の最大応力値は107Paのオーダーになり、アルミニウム(Al)の引張り強度と同程度か、若しくはこれを越える値となる。弾性表面波装置の場合、印加電力(電流)の他に、このような大きな繰り返し応力がかかることで、電極内にはマイグレーションにより、ボイドやヒロックが発生し、耐電力性を劣化させると考えられている。
上記の電極薄膜の劣化現象を改善するために、電極材料としてアルミニウムー銅合金(Al−Cu)を用いることが知られている。電極材料を合金化することで純アルミニウム(Al)の電極薄膜に比べて耐電力性は向上する。その理由として、定説はないが、その理由に次の二つのことが挙げられる。その一は、アルミニウム(Al)に銅(Cu)等の添加金属を加えることで、結晶粒が微細になり、耐電力性を向上させるというものである。他の理論は、添加金属を加えることでマイグレーションにおけるアルミニウムの粒界拡散を抑圧でき、耐電力性が向上するというものである。
本発明の発明者等は、このアルミニウムの合金化の効果を確認するために、純アルミニウムを電極材料として用いた場合と、アルミニウムー銅合金を電極材料として用いた場合とについての比較試験を行い、電極劣化(マイグレーション)の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し報告した(木村他、第56回応用物理学会学術講演会予稿集、28p−L−11)。その結果、純アルミニウムを用いた場合には、結晶粒界に沿ってボイドの発生が認められるのに対して、アルミニウムー銅合金を用いた場合には、この結晶粒界に沿ったボイドの発生は相当程度抑制され、さらに試験を継続すると結晶粒ごとボイド化することが確認された。このことから、電極材料にアルミニウム・銅合金を用いた弾性表面波装置の場合、合金化のための添加元素が、アルミニウムの粒界拡散を抑圧していると理解される。
また、成膜後に150℃から250℃までの温度範囲で100時間未満のエージング処理を行うことで耐電力性が向上した原因については、エージング前後で膜応力の変化がほとんどなかったこと、エージング前後の結晶粒を観察した限り粒径の変化はみられなかったこと、等から推察すると、エージング処理によって結晶粒内において何らかの変化が生じていると理解される。
アルミニウムに微量の銅を添加したアルミニウムー銅合金(Al−Cu)においては、室温付近における銅の固溶限度が極めて小さい(0.2wt%前後)ことが知られている。しかしながら、非平衡な材料作製条件を用いることにより、この固溶限界を越えた濃度の合金組成をもつ材料を作製することを可能である。すなわち、バルク材料作製における急冷法、薄膜材料作製におけるスパッタ法などが知られており、これら公知の方法のいずれかを採用することにより、固溶限界を越えた銅濃度の合金組成をもつアルミニウムー銅合金を得ることができる。
このような条件で作製されたアルミニウムー銅合金の電極薄膜は、図4(a)に示すように、成膜直後には銅が強制的に固溶している非平衡な状態である。そこで、成膜後に、熱処理すなわちエージング処理等の操作を行なうと、図4(b)に示すように、過剰に添加された銅元素は結晶粒界近傍に偏析する。この状態は準安定であるので、更にエージング処理等の熱処理操作を継続すると、図4(c)に示すように安定相へ移行して結晶粒界に金属間化合物を析出し、安定な状態となる。アルミニウム−銅合金の場合には、この安定相はθ相であり、結晶粒界に析出する金属間化合物はCuAl2である。このθ相には、銅が単体で結晶粒界に析出することはない。
特開平7−122961号公報では、アルミニウムー銅合金膜中の結晶粒界に析出したCuAl2が、結晶粒界を網の目構造に形成することで耐電力性向上に寄与していると述べられている。すなわち、図4(c)に示すような安定な状態であるθ相が耐電力性に寄与しているというのがこの公開公報の説明である。本発明では、この安定なCuAl2が析出する途中に生じる、Cuが偏析する準安定な状態、すなわち図4(b)に示す状態をエージング処理により達成するものである。本発明による弾性表面波装置においては、電極材料の結晶粒界近傍に偏析した銅元素が耐電力性向上に寄与するものと考えられる。換言すれば、結晶粒内においてCuを結晶粒界近傍に偏析されることにより、結晶粒内に較べて結晶粒界近傍のCu濃度が大きくなり、耐電力性に優れた合金電極材料構造とすることができるものと考えられる。
以下、本発明を実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の弾性表面波装置の電極を形成するアルミニウムー銅合金膜における結晶粒内における銅元素濃度に対する結晶粒界近傍の銅元素濃度の比と電極の寿命特性の関係を示す図表である。
図2は、本発明の弾性表面波装置の電極を形成するアルミニウムー銅合金膜におけるエージング処理時間と寿命特性の関係を示す図表である。
図3は、本発明の弾性表面波装置の電極を形成するアルミニウムー銅合金膜におけるエージング処理時間と結晶粒内銅元素濃度に対する結晶粒界近傍の銅元素濃度の比、すなわち添加元素の偏析状態との関係を示す図表である。
図4(a)は、アルミニウム−銅合金膜を形成した直後における結晶粒内の銅元素の分布状態を示す概略図である。
図4(b)は、アルミニウム−銅合金膜にエージング処理を施す場合の中間段階で銅元素が結晶粒界近傍に偏析する状態を示す概略図である。
図4(c)は、さらにエージング処理を継続した場合に、結晶粒界近傍に偏析した銅元素が、さらに安定な金属間化合物として結晶粒構造の三重点に析出する様子を示す概略図である。
図5は、弾性表面波装置の一般的な製造工程を示すフローチャートである。
図6は、耐電力試験用の測定回路を示す概略図である。
図7は、アルミニウムー銅合金膜における銅含有量とドライエッチング後に発生する電極腐食数の関係を示す図表である。
図8は、アルミニウム−銅合金電極におけるエージング時間と金属間化合物の析出量の関係を示す図表である。
〔発明を実施するための最良の形態〕
本実施例の弾性表面波装置は、GSMシステム受信側フィルタ仕様(中心周波数947.5MHz)に設計したニオブ酸リチウム(LiNbO3)圧電性基板の上に0.17μm厚の銅添加アルミニウム合金膜からなる電極を形成した多重モード(縦結合二重モード)型の弾性表面波フィルタである。電極における銅含有量としては、0.5wt%、1.0wt%及び2.0wt%の3種類を作成した。
ここで、本発明による弾性表面波装置の製造方法を説明する。ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の圧電性基板上にスッパタリング装置を用いて、上記添加割合で銅を含むアルミニウム−銅合金の薄膜電極を0.17μmの厚さに成膜した。その後、100、150、200、250、300℃の各温度条件において、5、10、25、50、100時間のエージング処理をした。更に、図5に示す従来の方法にしたがって、フォトリソグラフィ技術により電極のパターンニングを行い、組立工程を経て、弾性表面波フィルタを形成した。
ここで、弾性表面波フィルタの寿命試験、すなわち耐電力性の評価の説明をする。実験周波数としては、フィルタの通過帯域のうち、最も耐電力性の劣る帯域内の周波数の最も高い点を使用した。加速実験条件は、周囲温度80℃、入力電力1Wとした。図6に、実験に用いた耐電力試験用の測定回路を示す。図6において、発信器61から発生した高周波信号は、高周波増幅器62で1Wに増幅され、アイソレータ68を介して80℃恒温槽63内にある弾性表面波フィルタ64に印加される。弾性表面波装置すなわちフィルタ64は、高周波電力計69に接続される。また、電力を印加した時の電気特性を測定するために、ネットワークアナライザ65が方向性結合器70及びアッテネータ71を介して弾性表面波フィルタ64の両端に接続される。発信器61と高周波電力計69、及びネットワークアナライザ65を制御するために、コントローラ67がGP−IBケーブルのようなケーブル66でこれら機器に接続される。なお、素子寿命は、フィルタの挿入損失が0.5dB増加したときの時間をTF(Time to Failure)として求めた。
このアルミニウム−銅合金電極膜の耐電力性の実験結果を図2(a)(b)(c)に示す。各図において、横軸は添加元素を結晶粒界近傍に偏析させるためのエージング時間、縦軸は規格化寿命をそれぞれ示す。ここで、規格化寿命は、エージング処理を施した場合の素子寿命(TFaging)とエージング処理をしない場合すなわちエージング時間が0時間)の場合の素子寿命(TFnon−aging)の比として定義される。この図から明らかなように、エージング時間が5時間から50時間までの間では、エージング処理をすることにより、寿命が数倍に向上することがわかる。特にエージング温度が200℃および250℃では、エージング処理10時間程度で、エージング処理なしの場合の3倍以上の耐電力性を示す。エージング処理時間が10時間を越えると、耐電力性向上の傾向は小さくなる。エージング温度が150℃の場合は、エージング処理時間が20時間を越えると耐電力性の向上がみられることが分かる。エージング温度が150℃より低い場合には、この処理時間内ではエージング処理の効果は現われない。また、エージング温度が300℃の場合は、エージングの初期において、耐電力性向上に効果が認められるが、エージング中または素子をオーブンから取り出す際に、圧電性基板の割れが多く発生し、歩留まりが悪くなる。したがって、この温度は、実用的なエージング温度とはいえない。以上より、本発明において使用されるエージンク温度は、150℃から250℃までの温度範囲が好ましく、エージング時間は、100時間以下、好ましくは50時間以下、より好ましくは30時間以下とすることで、エージングなしの場合と比較して、耐電力性を数倍に向上できることが実験的に見いだされた。
また、アルミニウムに添加される銅の割合も、耐電力性の向上に幾分かの影響をもつ。図2(a)(b)(c)の対比から分かるように、銅の含有量が1wt%の場合には、エージング温度200℃及び250℃でエージング時間30時間以下で、顕著に改善された規格化寿命を示す。銅含有量が2wt%の場合は、エージング温度200℃、エージング時間30時間以下の条件で顕著に改善された規格化寿命を示す。銅含有量が0.5wt%の場合にも改善の効果は認められるが、その程度は幾分低くなる。
以上説明した実施例は、電極材料を成膜後にエージング処理をした場合についてのものであるが、装置組立後にエージング処理しても同等の効果が得られることは当業者にとって明らかであろう。
次に、耐電力性が向上した原因を明らかにするために、エージング処理を施した電極膜の分析を行った。200℃のエージング処理を施した電極膜の結晶粒内及び結晶粒界近傍の金属間化合物でない形態の銅元素のX線強度をEDX(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)分析により測定した結果を図3に示す。図において、縦軸は、結晶粒内の銅元素濃度に対する結晶粒界近傍の銅元素濃度の比として示してある。図2に示した耐電力性試験結果に対応して、寿命の向上が認められるエージング時間である5時間から50時間の間のエージングが施された試料においては、添加元素である銅が結晶粒界近傍に偏析し、図4(b)に示す状態となっており、結晶粒内に較べ銅元素の濃度が高くなっていることがこの分析により明らかになった。エージング時間100時間の試料については、寿命の向上も見られず、添加元素の結晶粒界近傍への偏析も確認されなかった。このことは、エージング処理を過度に進めると、図4(c)に示すように、結晶粒界近傍に偏析した添加元素がさらに安定な金属間化合物、すなわちアルミニウムー銅合金の場合はθ相と呼ばれるCuAl2の形で、結晶粒構造の三重点に析出したためと考えられる。
図8は、200℃の処理温度におけるエージング時間と結晶粒界に析出した金属間化合物であるCuAl2の量との関係を示すものである。CuAl2は量的な測定が困難であるため、15μm四方の面積内の電極膜における結晶粒界(三重点)に析出した当該化合物の面積により求めた。CuAl2の面積は、当該化合物の量に比例するものと考えてよく、図8は、エージング時間と結晶粒界に析出したCuAl2の量との定性的な関係を把握することを意図するものであるから、CuAl2の面積によっても意図する定性的な関係を求めることができると考えられる。Al−Cu合金においては、アルミニウム結晶粒に含まれるCu原子は、エージングが進むにつれてアルミニウム結晶粒の外、すなわち結晶粒界に吐き出され、結晶粒界三重点においてCuAl2金属間化合物として存在するようになる。したがって、この三重点におけるCuAl2金属間化合物の成長の度合いを見ることにより、CuAl2金属間化合物の析出量の目安を得ることが可能になる。図8からわかるように、200℃でのエージング処理によるCuAl2の析出量の変化は、図2(a)(b)(c)に示す200℃の場合の変化とは異なる。一方、図3における200℃でのエージング処理に対するCu偏析量の変化と、図2(a)(b)(c)に示す200℃のエージング処理の場合の変化とは、その変化の様子が極めて良く一致する。すなわち、結晶粒界に析出した金属間化合物(CuAl2)が耐電力性に寄与しているのではなく、図3に示すCuの偏析が耐電力性に大きく寄与していることが実験的に明らかになった。
以上の結果をわかりやすくするために、横軸に結晶粒内の銅元素濃度に対する結晶粒界近傍の銅元素濃度の比をとり、縦軸に素子の規格化寿命をとった場合の実験結果を示す。この図から明らかなように、結晶粒内の銅元素濃度に対する粒界近傍の銅元素濃度の比が1.6より大きくなると、規格化寿命に向上がみられることがわかる。特に、この比が2.2ないし2.9の範囲においては、2倍から3倍に近い耐電力性の向上がみられる。以上のべたことから明らかなように、結晶粒内と結晶粒界近傍とで、添加元素濃度を違え、添加元素の濃度が結晶粒界近傍で高くなるようにした合金をを電極材料として使用することにより、弾性表面波装置の寿命、すなわち電極材料の耐電力性を数倍に向上できることが実験的にも見出された。
以上説明した実施例は、電極材料を成膜後に、熱的なエージング処理をして結晶粒内と結晶粒界とで添加元素濃度を変えた場合についてのものであるが、本発明はこの実施例で説明した方法によるもののみに限定されない。また、本発明においては、電極材料として、アルミニウム−銅合金以外の合金を用いることもできる。例えば、アルミニウムーチタン合金、その他、室温付近における固溶限界が非常に小さな合金類においても、上述したのと同様の方法により同様の効果が得られることは当業者にとって明らかであろう。本発明により、従来より使用されたアルミニウム合金薄膜を電極材料として用い、その合金中の微細構造を制御することにより、弾性表面波装置の耐電力性をさらに向上することができる。
以上実施例をもとに説明したように、本発明の弾性表面波装置は、アルミニウム合金膜中の銅の元素濃度を結晶粒内に較べ粒界近傍に偏析させることにより、弾性表面波装置の耐電力性を数倍に向上できる。また、アルミニウム−銅の金属間化合物の生成、すなわち結晶粒界への析出を抑制するような方法でエージング処理を行うことにより、アルミニウム合金膜の銅を結晶粒界近傍に偏析するように微細構造を制御して、耐電力性を数倍に向上できる。
以上、本発明を特定の実施例に基づいて図示し、説明したが、本発明はこの実施例の細部に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した装置及び方法内と認められる範囲での変更や修正を広く含むものである。

Claims (12)

  1. 圧電性基板と、前記圧電性基板の表面に形成され銅が添加されたアルミニウム合金膜からなる電極とを含む弾性表面波装置であって、
    前記電極は、200℃ないし250℃の温度で、5時間から50時間エージング処理を行うことによって、前記電極のアルミニウム合金膜に金属間化合物でない形態での銅が存在し、該銅の元素濃度が、結晶粒内に較べ粒界近傍において高く、銅元素が結晶粒内より結晶粒界近傍に偏析している状態とされたものであることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 請求項1に記載した弾性表面波装置であって、
    前記アルミニウム合金膜における結晶粒内の銅元素濃度に対する粒界近傍の同元素濃度の比は、1.6より大きいことを特徴とする弾性表面波装置。
  3. 請求項1又は2のいずれか1項に記載した弾性表面波装置であって、
    前記アルミニウム合金膜における結晶粒内の銅元素濃度に対する粒界近傍の同元素濃度の比は、2.2以上であることを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した弾性表面波装置であって、
    前記アルミニウム合金膜は、銅が0.5wt%から2wt%の範囲で添加されたアルミニウム合金膜であることを特徴とする弾性表面波装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した弾性表面波装置であって、
    前記弾性表面波装置は、多重モード型弾性表面波フィルタであることを特徴とする弾性表面波装置。
  6. 圧電性基板上に銅が添加されたアルミニウム合金膜からなる電極パターンを形成する過程と、該電極パターンが形成された圧電性基板をパッケージに収納する過程とを有する弾性表面波装置を組み立てる工程、及び、
    前記合金膜をエージング処理する工程、
    を含む弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記エージング処理は、150℃ないし250℃の温度で、5時間から50時間行うことによって、前記電極パターンのアルミニウム合金膜を、金属間化合物でない形態での銅が存在し、該銅の元素濃度が、結晶粒に比べ粒界近傍において高く、銅元素が結晶粒内より結晶粒界近傍に偏析して、該アルミニウム合金膜における結晶粒内の銅元素濃度に対する粒界近傍の銅元素濃度の比が1.6より大きくなる状態とする弾性表面波装置の製造方法。
  7. 圧電性基板の表面上に銅が添加されたアルミニウム合金膜を形成する過程と、
    該合金膜状にフォトレジストを塗布し、露光し、現像することによってフォトレジストパターンを得る過程と、
    前記合金膜をエッチング処理して所望の電極パターンを形成する過程と、
    前記フォトレジストを除去する過程と、
    複数の所望の電極パターンが形成された圧電性基板をチップ毎に切断する過程と、
    該チップをパッケージに固定し、ボンディングワイヤで配線する過程と、
    前記パッケージに蓋を溶接する気密封止過程と、
    を有する弾性表面波装置を組み立てる工程、及び
    前記合金膜をエージング処理する工程、
    を含む弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記エージング処理は、150℃ないし250℃までの範囲の温度で、5時間から50時間行うことによって、前記アルミニウム合金膜を、金属間化合物でない形態での銅が存在し、該銅の元素濃度が、結晶粒に比べ粒界近傍において高く、銅元素が結晶粒内より結晶粒界近傍に偏析した状態とする弾性表面波装置の製造方法。
  8. 圧電性基板の表面上に銅が添加されたアルミニウム合金膜を形成する過程と、
    該合金膜状にフォトレジストを塗布し、露光し、現像することによってフォトレジストパターンを得る過程と、
    前記合金膜をエッチング処理して所望の電極パターンを形成する過程と、
    前記フォトレジストを除去する過程と、
    複数の所望の電極パターンが形成された圧電性基板をチップ毎に切断する過程と、
    該チップをパッケージに固定し、ボンディングワイヤで配線する過程と、
    前記パッケージに蓋を溶接する気密封止過程と、
    を有する弾性表面波装置を組み立てる工程、及び
    前記合金膜をエージング処理する工程、
    を含む弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記エージング処理は、150℃ないし250℃までの範囲の温度で、5時間から30時間行うことによって、前記アルミニウム合金膜を、金属間化合物でない形態での銅が存在し、該銅の元素濃度が、結晶粒に比べ粒界近傍において高く、銅元素が結晶粒内より結晶粒界近傍に偏析した状態とする弾性表面波装置の製造方法。
  9. 圧電性基板上に銅が添加されたアルミニウム合金膜からなる電極パターンを形成する過程と、該電極パターンが形成された圧電性基板をパッケージに収納する過程とを有する弾性表面波装置を組み立てる工程、及び、
    前記合金膜をエージング処理する工程、
    を含む弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記エージング処理は、200℃から250℃までの温度で、5時間から25時間行うことによって、前記電極パターンのアルミニウム合金膜を、金属間化合物でない形態での銅が存在し、該銅の元素濃度が、結晶粒に比べ粒界近傍において高く、銅元素が結晶粒内より結晶粒界近傍に偏析した状態とする弾性表面波装置の製造方法。
  10. 請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載した弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記エージング処理は、圧電基板上に合金膜を形成後に行うことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  11. 請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載した弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記エージング処理は、弾性表面波装置の組立後に行うことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  12. 請求項6から請求項11までのいずれか1項に記載した弾性表面波装置の製造方法であって、
    前記弾性表面波装置は、多重モード型弾性表面波フィルタであることを特徴とする弾性表面波装置の製造方法
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