JP3609204B2 - ガス放電表示パネルの階調表示方法 - Google Patents

ガス放電表示パネルの階調表示方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多階調に画像を表示するプラズマディスプレイパネル等ガス放電表示パネルの階調駆動方法及びその表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)等を用いた平面型画像表示装置が将来の高度情報化システムに対応する表示デバイスとして注目されている。このような平面型画像表示装置の特徴とするところは、従来のCRT画像表示装置に比べ、薄型化・軽量化が可能であること、視野角度が広範囲であること、高い輝度が得られること等である。
また、PDPのような表示体は、駆動入力電圧と表示出力との関係、即ち電圧輝度特性は非線形性がきわめて強いものであり(ある一定の電圧を越えなければ放電が行われず、デジタル表示に適合する)、1フレームを点灯期間(輝度に比例)の相対比の異なる複数のサブフィールド(以下、SFという)で構成し、かつ、受信した映像信号を上記各SFの数のビット数のディジタル信号に変換し、この変換されたビットデータに基づいて相応する画素を適宜のSF(1SF又は複数SF)で所定期間点灯させて所要階調の画像を表示させている。例えば、64階調の画像表示を行う場合には受信した映像信号を6ビットの映像信号データ、256階調の画像表示を行う場合には受信した映像信号を8ビットの映像信号データに変換する。
【0003】
そして、このような駆動方法によって画像の表示行う画像表示装置では、例えば、各フレームをSFの輝度の相対比がSF1から昇順となるように駆動シーケンスを構成した場合、やや暗い背景の前をやや明るい画像が移動する画面では、やや明るい画像の進行方向側の縁に暗い帯状の偽輪郭が視認される場合がある。これは、上述のように、PDP等ガス放電表示装置の画像表示が点灯期間の異なる複数のSFを時間的につなぎ合わせて行われるのに対し、人間の視線も表示された画像の動きに追従し、時間的に表示された画像を網膜上で次々につなぎ合わせることにより画像認識を行うという時間的要素を有し、この時間的要素の相違により生じる現象であり、例えば、暗い背景の前を明るい画像が移動した場合には、この移動に伴い明るい画像の右端に連続する暗い部分が偽輪郭として視認される。
また、カラー画像を表示するPDP等の場合は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各画素に異なる複数の映像信号が入力されていることもあり、例えば人間の皮膚等のように緩やかに階調(輝度又は明るさ)が変化する画像が画面内を移動した場合には、単色の場合と異なり、その移動した画像上に複数色の帯状の偽輪郭が発生し、表示された画像の画質を著しく劣化させていた。
【0004】
図13はなだらかに(ほぼ直線的に)階調が変化する状態を表示した画像が表示画面30内を左右に移動した場合に偽輪郭が認識される様子を説明するための説明図であり、図13(a)において、画像31は階調が左から右に向かって0から63に緩やかに変化している状態を示している。また、図13(b)は画像31が左(矢印A)方向に移動し、それを人の視線が追従した場合における網膜の知覚量を示す説明図、図13(c)は逆に、画像31が右(矢印B)方向に移動した場合における網膜の知覚量を示す関係図である。
図13(b)及び図13(c)に示すように、画像31が右(矢印)方向に移動し、それを人の視線が追従した場合には網膜上SFが重なり合い、16階調、32階調及び48階調の近辺において明るい輪郭成分が知覚され、逆に画像31が左(矢印)方向に移動した場合には網膜上SF間の隙間ができ、16階調、32階調及び48階調の近辺において暗い輪郭成分が知覚される。
【0005】
また、図14はnフレームにおいて26階調から37階調まで緩やかに変化した画像が次の(n+1)フレームで1画素分右方向に移動した状態を示す説明図であり、このような画像の移動を人間が見た場合、例えば、nフレームの32階調を示すフレームが(n+1)フレームで31階調に変化する部分ではSF6の発光部分がSF5の発光部分に繰り下がり、網膜への刺激量が大きい部分と隣接して網膜上知覚され、偽輪郭として視認される。
【0006】
例えば、特開平7−175439号公報には、この偽輪郭の発生を緩和・防止するディスプレイ装置の駆動方法に関し、複数のサブフィールドのうち、サスティン期間(維持動作期間)の最も長いサブフィールドを2以上に分割し、かつこれら各サブフィールドの走査順序を表示期間と非表示期間とが短時間で、かつ等間隔に切り替わるように並べ替え、駆動させる方法が開示されている。
しかし、実際にこの方法を用いて画像を表示させた場合(サブフィールドを2分割し、かつ走査順序を並べ替えて駆動させた場合)、ある程度偽輪郭の発生を緩和できるものの、改善の程度はそれほど顕著ではなく、カラー画像を表示した場合には依然はっきりとした偽輪郭が視認される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のPDP等の階調駆動方法は、以上のように駆動シーケンスが構成されていたので、ビットの繰り上がり、繰り下がりに対応した偽輪郭の発生はある程度緩和できるものの実際に画像を表示させた場合にはその効果はそれほど顕著ではなく、特にカラー画像を表示させる場合において、なだらかに階調が変化する画像がディスプレイ画面上を移動する場合(動画像の場合)には、依然はっきりとした偽輪郭が視認され、表示画像の画質が著しく劣化するものであった。
【0008】
また、SFを分割し、走査順序を並べ替えるという従来の方法では、偽輪郭の発生防止効果を上げるために分割の対象となる、例えばSF6の分割数をいくつかに増加させた場合には、1フレームにおけるアドレス期間の占める割合が増加することにより最大輝度が低下し、またSF数が増加した分走査回数が増えることになりアドレス電極を駆動するドライバ回路などの消費電力が増加して、回路に余分な負荷がかかるという問題があった(ドライバ回路の負荷を低減させることは、この技術分野における重要な課題でもある。)。
【0009】
また、1フレーム内におけるSFの数が増加すると、1秒間に60フレーム分の画像表示をすることが規格によって定められているこの種の画像表示装置においては(即ち1フレームの映像信号が16.7msで駆動処理される。)、その分1SFの走査速度が高速とならざるを得ず、使用デバイス上の観点からも制限を受けるという問題があった。
【0010】
この発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、動画像、特に緩やかに階調が変化する画像が表示画面上を移動する場合に画質劣化の原因である偽輪郭の発生を抑制し、カラー画像の表示を行う場合にも画質劣化の少ない高品質な画像表示が実現できる新規なガス放電表示パネルの階調駆動方法及びガス放電表示装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るガス放電表示パネルの階調表示方法は、ディジタル変換された映像信号データに対応した輝度の相対比の異なる複数のサブフィールドにより表示体を駆動して所望階調を表示するガス放電表示パネルの階調表示方法において、同一の輝度レベルを、上記映像信号データのビット数に応じた所定数のサブフィールドの第1の組み合わせと、上記所定数のサブフィールド及び冗長サブフィールドの第2の組み合わせとを選択して表示するとともに、上記冗長サブフィールドの相対輝度をフレーム毎に変更することを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明に係るガス放電表示パネルの階調表示方法は、第1の発明に係るガス放電表示パネルの階調表示方法において特に、上記第1及び第2の組み合わせを画素(ドット)単位で使い分けることを特徴とするものである。
【0013】
第3の発明に係るガス放電表示パネルの階調表示方法は、ディジタル変換された映像信号データに対応した輝度の相対比の異なる複数のサブフィールドにより表示体を駆動して所望階調を表示するガス放電表示パネルの階調表示方法において、上記映像信号データの中から動画像を表示する動画部分を検出し、上記動画部分以外の静止画部分については、上記映像信号データのビット数に応じた所定数のサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行い、上記動画部分については、上記所定数のサブフィールドと冗長サブフィールドとの組み合わせによって、上記静止画部分と同一階調数で階調表示を行うことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施形態について図1及び図2を用いて説明する。図1はこの発明のガス放電表示パネルの階調表示方法を実現するための回路構成図であり、このようなガス放電表示装置の動作原理は、例えば2枚のガラス板により挟まれた放電空間にプラズマ放電を生じさせ、このプラズマ放電により発生した紫外線をR(赤)、G(緑)、B(青)の各蛍光体に当てカラー画像を表示させる。なお、本実施形態では64階調のカラー画像を表示するガス放電表示装置について説明するが、駆動原理は256階調表示を行う場合等も同様である。
図1において、1は受信信号から分離された映像信号(RGB)が入力される映像信号入力端子、2は映像信号入力端子1から入力された映像信号(RGB)をディジタル映像信号(RGB)4に変換するA/D変換部、1フレームのサブフィールド(以下、SFという)数に対応するビット数、例えば64階調の画像表示を行う場合には通常6ビットのディジタル信号にディジタル変換するA/D変換部、3はディジタル映像信号4が入力されると共に、後述する冗長サブフィールド(SFex)の輝度レベルaを設定する減算器、5はディジタル映像信号4と減算器3により減算されたデータとがそれぞれ入力され、かつ、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用の選択指示に基づいて出力する映像信号データを切り替るデータ変換部、6はデータ変換部5から出力された6ビットの映像信号データと冗長SF用に出力された映像信号データexとを1フレーム分、ビット毎に設けられた各メモリにそれぞれ記憶するフレームメモリ部(第1ビット目のデータはメモリ6−1、第2ビット目のデータはメモリ6−2・・・、冗長SF用のデータexは冗長ビットメモリ6−exにそれぞれ対応して記憶される。)、7はフレームメモリ部6に記憶された1フレームの映像信号データを予め設定された駆動シーケンスに従って各ビット毎に読み出すSF切替用セレクタ回路、8はアドレス信号により指定されたプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)9のアドレス部分(指定画素)に、SF切替用セレクタ回路7により読み出された第1ビットのデータに基づいて第1サブフィールド(SF1)、第2ビットのデータに基づいて第2サブフィールド(SF2)・・・、冗長SF用のデータに基づいて冗長サブフィールド(SFex)の階調表示を順次行う駆動部、10はPDP9の指定アドレス部分に壁電荷を形成するための書込動作信号、11は壁電荷形成後、PDP9の全画面に一斉に加えられプラズマ放電を発生させる維持動作信号である。
なお、SF切替用セレクタ回路7は、駆動部8を駆動する駆動シーケンスが設定されており、この設定された駆動シーケンスに基づいてフレームメモリ部6に記憶された映像信号データを読み出す。本実施形態では下位のビットbit1から昇順に映像信号データが読み出され、点灯期間(維持放電動作期間)が最も長いサブフィールドSF6に対応した第6ビット目の映像信号データが読み出された後に冗長ビットデータexが読み出される。この駆動シーケンスについては後述する(第3図)。
【0019】
12は制御信号入力端子13から入力されるクロック信号、同期信号等の制御信号に基づき回路全体に対しタイミング信号を与えたり、フレームメモリ部6に記憶される映像信号データの書き込み又は読み出しのタイミングを制御したりするコントローラ部、14はフレームメモリ部6に対して書き込み用のアドレス信号15を出力し、この書き込み用のアドレス信号15に従ってデータ変換部5から出力された映像信号データ4をフレームメモリ部6の各メモリに記憶させる書込み制御部、16はフレームメモリ部6に対して読み出し用のアドレス信号17を出力し、この読み出し用のアドレス信号17に従ってフレームメモリ部6に記憶された映像信号データ4をSF切替用セレクタ回路7に読み出させる読出し制御部、18は後述するように、データ変換部5に対して冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を指示する冗長SF選択信号19の出力タイミングを制御すると共に、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用の選択に基づいてフレームメモリ部6の冗長SF用メモリ6−exに冗長SF用の映像信号データを出力する冗長SF選択部、20は書込み制御部14、読出し制御部16及び冗長SF選択部18を制御する制御プログラム、駆動部8、PDP9を駆動制御する制御プログラム等を有し、これら各種制御プログラムに基づいて回路全体の動作制御を行う主制御部である。
【0020】
また、図2は本発明に係るガス放電表示パネルの概略構成図であり、図1に示すガス放電表示装置の画像表示部分であるPDP9の電極配列とこれら各電極群の駆動ドライバとを示す。図2において、22は透明電極であるW電極群(W1、W2、・・・Wk)、Y電極群(Y1、Y2、・・・Yn)、X電極群(X1、X2、・・・Xn)をそれぞれ内部に配置したガラス基板、23はそれぞれが画素であり、これら各画素は列方向に設けられたW電極とこのW電極と垂直に設けられた行方向のY電極、X電極とによってそれぞれ形成されている。また、8−1、8−2はアドレス電極群であるW電極群(W1、W2、・・・WK)を駆動するWドライバ回路、8−3は走査電極群であるY電極群(Y1、Y2、・・・Yn)を駆動するYドライバ回路、8−4は維持電極群であるX電極群(X1、X2、・・・Xn)を駆動するXドライバ回路であり、W−X電極によって書き込み動作を行い、この書き込み動作に指定アドレスに壁電荷を形成し、その後Y−X電極によって維持放電を行い画像表示を行う。
なお、書き込み動作に必要な書込動作信号10の書き込み電圧は、例えば20V〜100V程度、維持放電に必要な維持動作信号11の維持電圧は、例えば150V〜200V程度である。
【0021】
次に、本発明の階調表示方法を実現するための放電表示パネルの駆動シーケンスについて図3及び図4を用いて詳細に説明する。図3は本発明の階調表示方法を実現するための駆動シーケンスを示し、図3(a)は冗長ビットデータexが1のときに駆動される駆動シーケンス図、図3(b)は冗長ビットデータexが0のときに駆動される駆動シーケンス図である。また、本駆動シーケンスは64階調の画像表示を行う場合について示している。
本駆動シーケンスは1フレームが6ビットの映像信号データに対応する6つのサブフィールドSF1〜SF6と冗長SF選択部18によりその使用又は不使用がそれぞれ選択される冗長ビットに対応した冗長サブフィールド(SFex)とによって構成され、1つのサブフィールド(SF)はリフレッシュした1画面分のデータの書き込みを行う書込み(アドレス)動作期間とそのサブフィールド(SF)の輝度レベルを決める維持動作期間で構成されている。そして、1フレームで1つの階調が表示され、6つのサブフィールドSF1〜SF6と冗長サブフィールド(SFex)との組み合わせ又は6つのサブフィールドSF1〜SF6のみの組み合わせによって64階調の画像表示を行う。なお、図3(b)においては冗長ビットデータがのときは冗長サブフィールド(SFex)は無表示期間となり、その期間は書き込み動作、維持動作ともに行われない。
これら各サブフィールドの配列順序は任意であるが、図3に示すようにSF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6の順に各SFが走査される場合には、冗長サブフィールドは、維持動作期間が最も長い(最も輝度が高い)サブフィールド(以下、MSBという)の近傍に配置した方がより効果的である。
また、図3(a)、(b)において、横方向は時間の推移を示し、縦方向は走査線を示す。書込み動作期間の斜めの直線は線順次に書き込み(アドレス)動作を行うことを示し、図ではPDP9のn本の走査線(ライン1〜ラインl、ただしl=n)を順次駆動する様子を示している。また、書込み動作期間に引き続いて長方形で示される期間はn本の走査線上のすべてのonセル(指定画素)を同時に維持放電動作させる状態を示しており、維持放電動作の単位時間当りの発光強度が一定であれば各SFの輝度レベルは維持動作の継続時間に比例し、継続時間を制御することにより容易に所望の輝度レベルを分配することが可能である。
冗長サブフィールド(SFex )の輝度レベルはa(整数)で表わしており、必ずしも2のべき乗の数値をとる必要はなく、偽輪郭成分の拡散の程度や表示画像の輝度(明るさ)等から適宜決定し、SF切替用セレクタ7で調整しておけばよい。また、後述するように、SF切替用セレクタ7で輝度レベルaの値を走査ライン毎、ドット毎に可変とすることができるよう構成されており、図示していないが例えば、主制御部20によりこの可変とするタイミングが制御される。
そして、本発明は後述のように、冗長ビットに対応する冗長サブフィールド(SFex)を用いて表示画像の階調表示を行うことにより、SF駆動法において本質的に発生する動画偽輪郭を拡散させ、観察者に視認されにくい画像表示ができるガス放電表示装置を提供する。
【0022】
また、冗長SF用メモリ6−exに冗長ビットデータ1が記憶されるのは、冗長SF選択部18から出力される冗長SF選択信号19(s=1)がデータ変換部5に対して出力された場合であって、この冗長SF選択信号19(s=1)がデータ変換部5に入力されると、データ変換部5はA/D変換部2より出力された映像信号データを冗長ビットを用いた映像信号データに変換し、フレームメモリ部6に対して変換したその映像信号データを出力する。
例えば、後述する図4のデータ変換表において、32階調を示す映像信号データを冗長ビットを用いた映像信号データに変換する場合について説明すると、まず、冗長SF選択部18からデータ変換を指示する冗長SF選択信号19(s=1)がデータ選択部5に出力され、かつ、冗長SF選択部18からフレームメモリ部6の冗長SF用メモリ6−exに対して冗長ビットデータであるex=1出力される、そして冗長SF選択信号19(s=1)が入力されたデータ選択部5はA/D変換部2から出力された映像信号データ100000を010110に変換して、フレームメモリ部6に出力する。つまり、フレームメモリ6のメモリ6−1には0、メモリ6−2には1、メモリ6−3には1、メモリ6−4には0、メモリ6−5には1、メモリ6−6には0、そして冗長SF用メモリ6−exには1がそぞれ記憶される。
【0023】
図4は本発明に係る64階調(0〜63階調)の映像信号データを示したデータ変換表であり、10進法表示(0〜63)に対して冗長ビット不使用の場合の映像信号データを左欄に、冗長ビットを使用した場合の映像信号データをその右欄に示す。これら2種類の映像信号データのいづれかがフレームメモリ部6に記憶され、この記憶された映像信号データに基づき一連の階調表示がなされる。
なお、図4は減算器3のa(輝度レベル)の値を10に設定した場合を示している。
【0024】
次に、本発明の階調表示方法について詳細に説明する。
以上のとおり、図1に示す本発明に係るガス放電表示装置において、冗長SF選択部18により冗長サブフィールドの使用を選択指示する冗長SF選択信号19(s=1)がデータ変換部5に出力された場合には、フレームメモリ部6には図4に示すようにコード変換された映像信号データが記憶されることになる。そして駆動部8によってこのような映像信号データに基づく図3(a)の階調駆動が行われると、偽輪郭の発生原因でビットの繰り上がり、繰り下がりに対応した偽輪郭の発生はほぼ防止することができる。
即ち、冗長サブフィールド(SFex)が選択された場合には、ある階調を表示するフレームとその次に駆動されるフレームとの間で1フレーム期間以上点灯しない期間(非表示期間)が生じることをなくすことができ、この非表示期間が短い時間で分散されることにより、偽輪郭が発生してもほとんど目立たなくなる。
【0025】
また、冗長サブフィールド(SFex)を使用するだけではその規則性により、ある場合には偽輪郭発生防止の効果が顕著に得られない場合が生じる恐れが考えられるが、以下、このような規則性を取り除き、冗長サブフィールド(SFex)使用による偽輪郭発生防止の効果を上げる方法について説明する。具体的には、サブフィールドを分割する(増加させる方向)といものではなく、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を例えば、走査ライン毎あるいはドット毎に切り替えるというものである。
【0026】
図5は冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を走査ライン毎に選択して切り替える場合について示す説明図であり、図5において、22はPDP等の表示画面、24は上述したX電極群及びY電極群の各電極と対応した走査ラインである。走査ライン数はX電極群又はY電極群の電極数に対応する。また、走査ライン24のうち斜線部分は冗長ビットが使用され、その冗長ビットに対応した冗長サブフィールド(SFex)の駆動が行われる走査ラインであり、図5は冗長ビットの使用又は不使用が1ライン毎に切り替えられている状態を示している。以上によれば、冗長ビット使用による規則性が失われ、偽輪郭成分の拡散効果を更に向上させることができる。
また、冗長ビットの使用又は不使用を切り替えるタイミングは、主制御部20から出力された制御信号によって与えられるが、切り替えタイミングは全くランダムに切り替わるようにしておいてもよく、例えば、1ラインおき、2ラインおきと変化させるものであってもよい。表示された動画像の不自然さを軽減させるためには、1ライン毎にsの値を入れ替える操作を加えることが有効である。これらの操作により、冗長ビット不使用(s=0)のラインと冗長ビット使用(s=1)のラインとが画面上混在することになり、上位ビットの繰り上がり、繰り下がりの起こる階調レベルが異なり、偽輪郭成分が走査ラインごとに拡散される。
【0027】
図6は図5に示されるように、走査ライン1ライン毎に冗長ビットの使用又は不使用を切り替えた場合における偽輪郭成分の発生状態を示した説明図であり、図6によれば、図14に示す従来の方法に比べて偽輪郭成分の発生がより拡散されていることが認識できる。なお、図6はMSBにおけるビットの繰り上がり、繰り下がりにおける偽輪郭成分の拡散状態を示すものであるが、冗長ビットを用いて偽輪郭成分の拡散を行わせるという本発明によれば、MSBより下位のビットにおける偽輪郭成分の拡散効果も十分に得ることができる。
【0028】
図7(a)は図5に示されるように、走査ライン1ライン毎に冗長ビットの使用又は不使用を切り替えた場合であり、MSBより下位のビットにおける偽輪郭成分の拡散状態を示した説明図、図7(b)は従来の方法によって得られた偽輪郭成分の拡散状態を示す説明図である。図7(a)と図7(b)との比較からも分かるように、本発明によれば、MSBの部分だけでなく、MSBより下位のビットにおいても偽輪郭成分が十分に拡散され、広範囲な階調表示において偽輪郭成分による画質の劣化を防止することができる。
また、図8は偽輪郭の発生が分散されて網膜に対する知覚量が平均化された状態を示す説明図であり、図8(a)に示すように冗長ビットが不使用の走査ライン、例えば走査ラインLでは32階調の近辺で強い輪郭が発生し、また、図8(b)に示すように冗長ビット使用の走査ライン、例えば走査ライン(L+1)では42階調の近辺で強い輪郭が発生し、この2つのパターンが交互に発生することによって偽輪郭成分が拡散され、図8(c)に示すように偽輪郭の知覚量が弱められた状態で網膜に知覚される。さらに、フレーム毎に冗長ビットの使用又は不使用を反転させても良い。
【0029】
以上のように、本発明ではサブフィールドをいくつかに分割し、走査順序を並べ替えるという従来の方法に比べて、サブフィールド数の増加に伴う輝度レベルの低下等種々の弊害を生じさせることなく偽輪郭成分の拡散効果を向上させることができる。
【0030】
次に、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用をドット毎に選択して切り替える場合について説明する。上述したような冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を走査ライン毎に選択して切り替える方法は、動画像の移動方向が水平方向である場合にはかなり有効であるが、実際の動画像水平方向だけでなく、垂直方向に移動する場合があり、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用をドット毎に選択して切り替える方法はこのような垂直方向に移動する動画像に対しても偽輪郭成分の拡散効果を十分に得ることができる。
図9は冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用をドット毎に選択して切り替えて階調表示をした場合を示す説明図であり、25は図示しないリブ等によってそれぞれ区分けされたドット(画素)である。図9において冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用は1ドット毎に切り替えており、冗長ビットが使用されたドットは斜線で表示されて部分である。この方法では、フレームメモリ部6に入力されるサブフィールド毎の映像信号データはドットごとに冗長サブフィールド(SFex) を使用(s=1)又は不使用(s=0)が設定される。即ち、フレームメモリ部6の冗長SF用メモリ6−exには1ドットおきに冗長SF選択部から出力された冗長ビットデータexが記憶される。
また、図10は図9に示されるように、1画素(ドット)毎に冗長ビットの使用又は不使用を切り替えた場合における水平1ライン上での偽輪郭成分の発生状態を示した説明図であり、図10においても偽輪郭成分の発生が十分に拡散されていることが認識できる。なお、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用切り替えはまったくランダムでよく、同色ドットでの1ドットおき、2ドットおきのように冗長ビットの使用を選択してもよい。より画像の不自然さを軽減させるためには次に続く走査ラインではドット毎にsの値を入れ替える操作を加えることが有効である。
【0031】
また、その他の方法として、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用をフレーム毎に切り替えることが考えられる。フレーム毎に冗長サブフィールド(SFex) の使用又は不使用を選択指示した場合には、偽輪郭成分がフレーム毎に異なる位置に現れ、動画像として時間的な拡散がなされる。また、冗長サブフィールド(SFex)を使用(s=1)又は不使用(s=0)とするタイミングはまったくランダムでもよいし、1フレームおき、2フレームおきのように切り替えてもよい。
【0032】
以上のように、冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を切り替える種々の方法について説明を行ってきたが、本発明ではサブフィールドをいくつかに分割し、走査順序を並べ替えるという従来の方法に比べて、サブフィールド数の増加に伴う輝度レベルの低下を防止でき、また、冗長ビットを使用しない(s=0)の場合には冗長サブフィールド(SFex)の分、まったく書き込み動作、維持放電動作が生じないので、これら冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用をうまく切り替えることにより図1に示す回路全体の消費電力を低減させることが可能となる。
【0033】
実施の形態2.
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態.1では減算器3の輝度レベルaの値が常に一定(図4はa=10の場合を示す)であることを前提として説明しているが、原理的には必ずしも減算器3の輝度レベルaをフレーム毎に共通としておく必要はない。つまり、輝度レベルaが一定である上記実施形態.1においては、偽輪郭成分、すなわち冗長SFを用いることによって分散された偽輪郭は、輝度レベルaが一定(規則的)であることによる出現しやすい階調を依然としてもっており、場合によっては、これを解消するために輝度レベルaを可変としてさらに偽輪郭成分の出現位置を分散させる必要がある。
図11は輝度レベルaが可変可能なガス放電表示装置を示す回路構成図であり、図11において、26は主制御部20から与えられた輝度レベル指定信号27(a)と映像信号データ4(b)とからデータ変換部5に対して出力する輝度レベルの値を演算する減算器である。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示し、詳細な説明は省略する。図1と異なるところは減算器26の入力が2入力となり、映像信号データ4(b)と輝度レベル信号27(a)との2つの入力信号からb−aの演算を行い、この演算に基づいて新たに輝度レベルaの値を決定する点である。図示はしていないが、この減算器26により演算された新たな輝度レベルaの値に応じて図3(a)に示された冗長SF(SFex)の 維持動作シーケンスも新たな輝度レベルaに応じた期間のもので駆動される。
【0034】
次に、輝度レベルaを可変とする場合について説明する。この輝度レベルaの変更は、上述したように走査ライン毎、ドット毎又はフレーム毎に行うことが考えられる。第1の方法としては、まず冗長サブフィールド(SFex) の輝度レベルとしてa1を選択し、かつ、データ変換部5において走査ライン毎に冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を切り替えるように設定する。そして、次のフレームではa2を選択し、順にanまで選択使用した後、再びa1に戻す。走査ライン毎の冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用の切り替えはまったくランダムでもよいし、1ラインおき、2ラインおきのように変更してもよい。
【0035】
第2の方法は、まず冗長サブフィールド(SFex) の輝度レベルとしてa1を選択し、かつ、データ変換部5において画素(ドット)毎に冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用を切り替えるように設定する。つまり、冗長サブフィールド(SFex) の輝度レベルにa1を選択し、データ変換部5においてドット毎にs=1とs=0とを切り替えることにより、フレームメモリ部6に記憶されるSF毎のビットデータを、ドット毎に冗長サブフィールド(SFex) を使用しない場合と使用する場合に設定する。 次のフレームではa2を選択し、順にanまで使用した後、再びa1に戻す。冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用の切り替えはまったくランダムでもよいし、同色ドットでの1ドットおき、2ドットおきのように変更してもよい。
【0036】
第3の方法は、フレーム毎にs=0、s=1の設定を切り替えることにより、フレームメモリ部6に記憶されるSF毎の映像信号データをフレーム毎に冗長サブフィールド(SFex)の使用又は不使用に設定する。その際、sを1にする場合には輝度レベルaの値を例えば前の輝度レベルaの値akからak+1に変更する。また、sを0にするか1にするかはまったくランダムでもよいが、この場合はs=0とs=1とを交互に指示し、かつ、a1,a2,・・・anのフレームを続けた後、s=0のフレームに戻る方法は効果が高い。
いずれの方法においても、輝度レベルa1,a2,・・・anの値は必ずしも昇順、降順になる必要はない。隣り合うフレーム間では輝度レベルaの差は1より大きく、MSBより小さい場合に偽輪郭成分の拡散効果を高めることができる。
【0037】
実施の形態3.
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記各実施形態においては、フレーム毎に冗長サブフィールド(SFex)使用(s=1)又は不使用(s=0)の切り替え、または輝度レベルaの値の変更を行う場合について説明したが、全画面にわたって階調表示方法を規則的に変化させた場合、サブフィールドの配列の規則的な変化に応じて階調表示するサブフィールドが時間的に集中を起こすような画像が表示される場合には、わずかに画面上にフリッカーという現象が視認される場合がある。
このフリッカー対策としては、画像の動き部分(動画部分)だけを検出し、この動画部分の速度、面積、肌色との色合いの近さから偽輪郭の顕著な速い動き、または大きい動き部分、緩やかに階調が変化する画像の有無から冗長ビットの使用又は不使用を選択するsの値、輝度レベルaの値の調整を自動的に行う。
【0038】
図12は動き検出部28を用いて動きのある部分の画像データについて、選択的にsの値の切り替えを行う書込み電極の駆動回路の回路構成図である。動き検出部28で検出された動き検出データ29は主制御部20に出力され、主制御部20によって関連の制御処理が行われる。例えば、動き検出データ29が主制御部20に入力されると、その検出された動画部分にのみ冗長ビットの使用が選択されるように冗長SF選択信号19(s=1)の出力を制御する制御信号が冗長SF選択部18に対して出力される。その結果、データ変換部5では、動きのある動画部分の映像信号データだけを冗長ビット使用時の映像信号データにコード変換してフレームメモリ部6に出力する。
【0039】
また、動いている画像は過渡的な情報であり、かつ、動いている画像に対する観察者の視力は静止画に比べて低下しており、冗長ビットの使用によりフリッカーが生じても実際にはフリッカーとして煩わしさを感じるほどには視認されることはない。逆に本発明によれば、静止画に対して冗長ビットが使用されることによるフリッカーの発生を防止することができるので、高品質の画像表示の観点からはきわめて有効な手段である(フリッカーは動画よりも静止画の方で顕著に現れる。)。
【0040】
【発明の効果】
第1の発明によれば、ディジタル変換された映像信号データに対応した輝度の相対比の異なる複数のサブフィールドにより表示体を駆動して所望階調を表示するガス放電表示パネルの階調表示方法において、同一の輝度レベルを、上記映像信号データのビット数に応じた所定数のサブフィールドの第1の組み合わせと、上記所定数のサブフィールド及び冗長サブフィールドの第2の組み合わせとを選択して表示するとともに、上記冗長サブフィールドの相対輝度をフレーム毎に変更するので、なだらかに階調が変化する画像が表示画面上を移動する場合に画質劣化の原因である偽輪郭の発生を抑制し、カラー画像の表示を行う場合にも画質劣化の少ない高品質な画像表示が実現できる。
【0041】
第2の発明によれば、上記第1及び第2の組み合わせを画素(ドット)単位で使い分けるので、垂直及び水平方向の偽輪郭成分の発生が有効に拡散され、高品質の画像を得ることができる。
【0042】
第3の発明によれば、ディジタル変換された映像信号データに対応した輝度の相対比の異なる複数のサブフィールドにより表示体を駆動して所望階調を表示するガス放電表示パネルの階調表示方法において、上記映像信号データの中から動画像を表示する動画部分を検出し、上記動画部分以外の静止画部分については、上記映像信号データのビット数に応じた所定数のサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行い、上記動画部分については、上記所定数のサブフィールドと冗長サブフィールドとの組み合わせによって、上記静止画部分と同一階調数で階調表示を行うので、偽輪郭成分の影響が顕著な動画像においては偽輪郭成分を有効に拡散でき、フリッカー現象の影響が顕著に認識される静止画ではフリッカー現象が発生せず、高品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1.に係るガス放電表示装置を示す回路構成図である。
【図2】図1に示すガス放電表示装置のガス放電表示パネルを示す概略図である。
【図3】この発明の階調駆動方法を実現するための駆動シーケンス図である。
【図4】図1に示すガス放電表示装置のフレームメモリ部に記憶される映像信号データのデータ変換表を示す説明図である。
【図5】この発明の階調駆動方法の一例を示す説明図である。
【図6】図5に示す階調駆動方法によりMSB近傍の偽輪郭の発生が抑制された状態を示す説明図である。
【図7】図5に示す階調駆動方法によりMSBより下位ビットの偽輪郭の発生が抑制された状態を示す説明図である。
【図8】図5に示す階調駆動方法により偽輪郭の発生が分散された状態を示す説明図である。
【図9】この発明の階調駆動方法の他の例を示す説明図である。
【図10】図9に示す階調駆動方法によりMSB近傍の偽輪郭の発生が抑制された状態を示す説明図である。
【図11】この発明の実施形態.2に係るガス放電表示装置を示す回路構成図である。
【図12】この発明の実施形態.3に係るガス放電表示装置を示す回路構成図である。
【図13】従来のガス放電表示装置において偽輪郭が発生する原理を説明するための説明図である。
【図14】従来のサブフィールド(SF)法により偽輪郭が発生した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
2 A/D変換部、3 減算器、4 映像信号データ、5 データ変換部、
6 フレームメモリ部、7 SF切替用セレクタ回路、8 駆動部、
9 放電表示パネル、10 書込み動作信号、11 維持動作信号、
12 コントローラ部、14 書込み制御部、15 書込み制御信号、
16 読出し制御部、17 読出し制御信号、18 冗長SF選択部、
19 冗長SF選択信号、20 主制御部。

Claims (3)

  1. ディジタル変換された映像信号データに対応した輝度の相対比の異なる複数のサブフィールドにより表示体を駆動して所望階調を表示するガス放電表示パネルの階調表示方法において、
    同一の輝度レベルを、上記映像信号データのビット数に応じた所定数のサブフィールドの第1の組み合わせと、上記所定数のサブフィールド及び冗長サブフィールドの第2の組み合わせとを選択して表示するとともに、
    上記冗長サブフィールドの相対輝度をフレーム毎に変更することを特徴とするガス放電表示パネルの階調表示方法。
  2. 上記第1及び第2の組み合わせを画素(ドット)単位で使い分けることを特徴とする、請求項1に記載のガス放電表示パネルの階調表示方法。
  3. ディジタル変換された映像信号データに対応した輝度の相対比の異なる複数のサブフィールドにより表示体を駆動して所望階調を表示するガス放電表示パネルの階調表示方法において、
    上記映像信号データの中から動画像を表示する動画部分を検出し、上記動画部分以外の静止画部分については、上記映像信号データのビット数に応じた所定数のサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行い、上記動画部分については、上記所定数のサブフィールドと冗長サブフィールドとの組み合わせによって、上記静止画部分と同一階調数で階調表示を行うことを特徴とするガス放電表示パネルの階調表示方法。
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