JP3608547B2 - ラジアル玉軸受 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明に係るラジアル玉軸受は、例えば各種回転軸を支持する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車用変速機、或は各種産業機械用の変速機として、図3〜4に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内面、或はこのケーシング内に設けられた支持ブラケットには、前記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6が設けられている。
【0003】
各トラニオン6、6は、両端部外側面に前記枢軸5、5を設けている。又、各トラニオン6、6の中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、前記枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させる事により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン6、6に支持された変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、各パワーローラ8、8を、前記入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。
【0004】
入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、ほぼ前記枢軸5を中心とする円弧形の凹面をなしている。そして、球面状の凸面に形成された各パワーローラ8、8の周面8a、8aは、前記内側面2a、4aに当接させている。
【0005】
前記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、前記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧している。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により保持された複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成されている。前記カム板10の片側面(図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面13を形成し、又、前記入力側ディスク2の外側面(図3〜4の右側面)にも、同様のカム面14を形成している。そして、前記複数個のローラ12、12を、前記入力軸1の中心に対して放射状に配置している。
【0006】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、カム面13によって複数個のローラ12、12が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14に押圧される。この結果、前記入力側ディスク2が前記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、前記1対のカム面13、14と複数個のローラ12、12との噛合に基づいて、前記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0007】
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。
【0008】
反対に、増速を行なう場合には、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を、図3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得る事ができる。
【0009】
図3〜4には、トロイダル型無段変速機の基本構造のみを示しているが、自動車用変速機等としてより具体化した構造も、例えば実願昭61−87523号(実開昭62−199557号)のマイクロフィルムに記載されている様に、従来から種々知られている。
【0010】
ところで、上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時に前記各パワーローラ8、8は、入力側ディスク2及び出力側ディスク4からのスラスト荷重を受けつつ、高速で回転する。この為、これら各パワーローラ8、8と前記各トラニオン6、6との間には、図5に示す様なスラスト玉軸受15を設けている。
【0011】
前記スラスト玉軸受15は、第一の軌道輪である内輪としての機能を兼ね備える前記パワーローラ8と、複数の玉16、16と、これら複数の玉16、16を転動自在に保持する為の保持器20と、前記パワーローラ8と同じ中心軸αを有する、第二の軌道輪である外輪17とから構成されている。尚、前記パワーローラ8、玉16、16、外輪17は、それぞれ軸受鋼、浸炭鋼等の軸受用鋼により形成されている。又、前記パワーローラ8の軸方向片面(図5の上面)には第一の軌道である内輪軌道18を、前記外輪17の軸方向片面(図5の下面)で前記内輪軌道18と対向する部分には第二の軌道である外輪軌道19を、それぞれ形成している。これら各軌道18、19は、それぞれ断面が円弧形で全体が円環状とされている。尚、従来のスラスト玉軸受15の場合には、内輪軌道18の断面の曲率半径R18と外輪軌道19の断面の曲率半径R19とは互いに等しく(R18=R19)している。前記各玉16、16の転動面は、これら内輪軌道18と外輪軌道19とに転接する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実際にトロイダル型無段変速機に組み込まれてパワーローラ8を支承するスラスト玉軸受15の場合には、次に述べる様な解決すべき点がある。即ち、内輪としての機能を兼ね備えるパワーローラ8には、直径方向反対側に存在する入力側ディスク2との接触点と出力側ディスク4との接触点との2点から荷重が加わるが、この2点から円周方向に90度ずれた点では荷重が加わらない。従って前記パワーローラ8の円周方向に亙る荷重分布は不均一になり、このパワーローラ8は、曲げ応力が作用する様な応力場に置かれる。これに対して外輪17は、円周方向に亙って均等に配置された玉16、16により、円周方向に亙ってほぼ均一な荷重を受ける。
【0013】
又、前記パワーローラ8は、トロイダル型無段変速機の変速比を確保すべくその設置位置を規制する必要上、厚さ寸法T8 を十分に大きくする必要がある。この為、スラスト玉軸受15の内輪として機能する前記パワーローラ8の応力拡大係数が大きくなる応力場にあり、このパワーローラ8の寿命に関しては、モード2だけでなくモード1も関与してくる。このうち、面内剪断形のモード2は、一般的なスラスト玉軸受でも疲れ寿命として問題となるフレーキング発生による転がり疲労に関するもので、トロイダル型無段変速機用スラスト玉軸受に限らず、一般の玉軸受でも問題となる。一方、開口形のモード1は、内輪割れに結び付く曲げ疲労に関するものであり、厚さ寸法の大きなパワーローラ8に不均一な荷重を受ける、トロイダル型無段変速機用スラスト玉軸受独特な疲労として問題となる。
【0014】
従って、トロイダル型無段変速機用スラスト玉軸受の耐久性を確保する為には、一般的なモード2の転がり疲労だけでなく、モード1の曲げ疲労に就いても考慮しなければならない。モード1の曲げ疲労による割れの発生を防止し、軌道輪の長寿命化を図る為には破壊靱性値K1cが大きな材料によりこの軌道輪を造れば良い。ところが、この破壊靱性値K1cが大きな材料が、モード2の転がり疲労を防止するのに有効であるとは限らず、モード2による転がり疲れ寿命を長くできない場合がある。例えば、浸炭SCr 材を用いてこの転がり疲れ寿命を長くする為には、この材料(鋼)の炭素含有率(C%)を或る程度高く、且つ、浸炭深さを或る程度深くする必要がある。ところが、C%を高くしたり、或は浸炭深さを深くしたりすると、前記破壊靱性値K1cが小さくなってしまう。この事から明らかな通り、同一材質に異なる組成と熱処理とを施した2種類の材料A、Bを考慮した場合には、材料Aの方が材料Bよりもモード1による曲げ疲労に対しては強いが、材料Bの方が材料Aよりもモード2による転がり疲労に対しては強いと言う事があり、材料の選定に大きな影響力を及ぼす。
【0015】
破壊靱性値K1cを大きくするには、例えば、
(1) 材料の組織の結晶粒径を小さくする。
(2) 微細炭化物を結晶粒内に分布させる。
(3) 焼き戻し温度を高くして硬さを小さくする。
(4) 浸炭、窒化、高周波焼き入れ等の表面硬化鋼では、表面硬化深さを浅くしたり、芯部の硬さを小さくする。
等が考えられる。
(4) から、表面硬化鋼は完全焼き入れ鋼よりは破壊靱性値が大きくなる。又、形状、使用条件等に就いては、逆に、(a) 部材寸法の増加、(b) 環境温度の低下、(c) 荷重速度の増加、は同一材質の部品では破壊靱性値の低下を招く。
【0016】
トロイダル型無段変速機用のスラスト玉軸受15を構成するパワーローラ8の様に、形状的な制約から破壊靱性値K1cの低い材料を使用できない(モード1による曲げ疲労に対する強度を確保する必要がある)場合には、モード2による転がり疲労に対して弱い、破壊靱性値K1cの高い材料を使用せざるを得ない。従って、そのままではパワーローラ8に形成した内輪軌道18にフレーキングが発生し易くなる。破壊靱性値K1cの高い材料を使用して、しかもフレーキングを発生しにくくする為には、前記内輪軌道18の断面の曲率半径R18を小さくし(玉16、16の外径の1/2に近づけ)、玉16、16の転動面と内輪軌道18との接触点の面積を大きくし、この接触点の最大接触面圧を低く抑える事が効果がある。ところが、軌道面の断面の曲率半径を小さくする事は、当該軌道面と玉16、16の転動面との転がり抵抗の増大の原因となる。
【0017】
一方、前述の様に従来のスラスト玉軸受15の場合、内輪軌道18の断面の曲率半径R18と外輪軌道19の断面の曲率半径R19とが同じ(R18=R19)であった。従って、単にこれら各軌道18、19の断面の曲率半径R18、R19を小さくした場合には、前記スラスト玉軸受15の転がり抵抗が増大し、このスラスト玉軸受15を組み込んだトロイダル型無段変速機の動力損失を増大させてしまう。この様な問題は、トロイダル型無段変速機用のスラスト玉軸受15に限らず、ラジアル玉軸受の場合も、使用条件によっては発生する。即ち、ラジアル玉軸受の場合、使用状態によっては外輪又は内輪が、不均一なラジアル荷重に基づいて、モード1による割れを発生する可能性がある。
本発明のラジアル玉軸受は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0018】
【課題を解決する為の手段】
本発明のラジアル玉軸受は何れも、従来から知られたラジアル玉軸受と同様に、第一の軌道輪と、この第一の軌道輪の周面に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第一の軌道と、前記第一の軌道輪と同心に配置された第二の軌道輪と、この第二の軌道輪の周面で前記第一の軌道と対向する部分に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第二の軌道と、それぞれの転動面を前記第一、第二の両軌道に当接させた複数の玉とを備えている。そして、使用時に前記第一の軌道輪の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係数よりも大きくなる応力場におかれる。
【0019】
特に、本発明のラジアル玉軸受に於いては、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくしている。
この様に、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくする為に、請求項1に記載したラジアル玉軸受の場合には、前記第一の軌道輪を表面硬化鋼製とし、前記第二の軌道輪を完全硬化鋼製としている。
又、請求項2に記載したラジアル玉軸受の場合には、前記第一、第二の軌道輪を表面硬化鋼製とし、このうちの第一の軌道輪の表面硬化深さを第二の軌道輪の表面硬化深さよりも小さくしている。
又、請求項3に記載したラジアル玉軸受の場合には、前記第一、第二の軌道輪を表面硬化鋼製とし、このうちの第一の軌道輪の芯部硬さを第二の軌道輪の芯部硬さよりも小さくしている。
更に、請求項4に記載したラジアル玉軸受の場合には、前記第一の軌道輪の表面硬さを前記第二の軌道輪の表面硬さよりも小さくしている。
これと共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よりも小さくしている。
【0020】
【作用】
上述の様に構成される本発明のラジアル玉軸受の場合には、第一の軌道輪を破壊靱性値の大きな材料により造っている為、この第一の軌道輪にモード1の曲げ疲労による割れが発生しにくくなる。又、この第一の軌道輪に形成した第一の軌道と玉との最大接触面圧が小さい事に基づき、この第一の軌道に、モード2の転がり疲労によるフレーキングが発生しにくくなる。
【0021】
一方、モード1による曲げ疲労をあまり考慮する必要のない第二の軌道輪は、破壊靱性値の大きな材料により造る必要がなく、モード2による転がり疲労に対して強い材料により造れる。従って、この第二の軌道輪に形成した第二の軌道と玉との最大接触面圧を小さくする必要がなく、この第二の軌道と玉との転がり抵抗の増大を防止できる。この結果、ラジアル玉軸受全体としての転がり抵抗の増大も少なく抑える事ができる。
【0022】
尚、曲げ疲労や転がり疲労に対する強度を確保すべく、破壊靱性値を適正値にする為には、各軌道輪を構成する軸受用鋼に施す熱処理として、例えば浸炭処理、浸炭窒化処理、高周波焼き入れ処理等の表面硬化処理を行なう。
【0023】
【実施例】
図1は、本発明の第一実施例を示している。本実施例は、本発明を深溝型のラジアル玉軸受21に適用したものである。この様なラジアル玉軸受21の使用状態では、内輪22は軸23に外嵌され、外輪24はハウジング25に内嵌される。この様なラジアル玉軸受21の場合、使用状態によっては外輪24が、ハウジング25から加わる不均一なラジアル荷重に基づいて、モード1による割れを発生する可能性がある。
【0024】
そこで、この様な使用状態の場合には、前記外輪24を破壊靱性値K 1c ´の大きな材料により造る事で、この外輪24に割れが発生する事を防止する。一方、ラジアル玉軸受21の場合には、内輪軌道26の断面の曲率半径を外輪軌道27の断面の曲率半径よりも極端に小さくしない限り、円周方向に亙る曲率半径が比較的小さく、しかも円周方向に亙って凸に弯曲した内輪軌道26と玉28、28との最大接触面圧P max が、円周方向に亙る曲率半径が比較的大きいが、円周方向に亙って凹に弯曲した外輪軌道27と玉28、28との最大接触面圧P max ´よりも大きく(P max >P max ´)なる。そこで、最大接触面圧P max が大きくなる内輪軌道26を有する内輪22は、破壊靱性値K 1c が小さくても、モード2による転がり疲労に対して強い材料により造る。
【0025】
【0026】
外輪24の破壊靱性値K1cを内輪22より大きくした組み合わせとしては、前述の様に破壊靱性値を大きくする方法で述べた事から、
(1) 外輪24を表面硬化鋼とし、内輪22を完全硬化鋼とする。
(2) 外輪24の浸炭深さを内輪22よりも浅くするか、外輪24の芯部硬さを内輪22より小さくする。
(3) 外輪24の硬さを内輪22より小さくする。
等が考えられる。
【0027】
上述の様に構成される本発明のラジアル玉軸受の場合には、ハウジング25から加わる不均一なラジアル荷重を受け、応力拡大係数K 1 が大きい応力場にある外輪24を、破壊靱性値の大きな材料により造っている。この為、応力拡大係数K1 が大きいにも拘らず、上記外輪24にモード1の曲げ疲労による割れが発生しにくくなる。又、この外輪24に形成した外輪軌道27と玉28、28との最大接触面圧Pmax が小さい事に基づき、この外輪軌道27に、モード2の転がり疲労によるフレーキングが発生しにくくなる。
【0028】
一方、内輪22は、応力拡大係数K1 ´が前記外輪24よりも小さい応力場にある。従って、この内輪22に関しては、モード1による曲げ疲労をあまり考慮する必要がない。即ち、この内輪22は、破壊靱性値K1c´の大きな材料により造る必要がなく、破壊靱性値K1c´が小さくても、モード2による転がり疲労に対して強い材料により造れる。従って、この内輪22に形成した内輪軌道26と玉28、28との最大接触面圧Pmax ´を小さくする必要がない。より具体的には、前述した様に、円周方向に亙る曲率半径が比較的小さく、しかも円周方向に亙って凸に弯曲した内輪軌道26と玉28、28との最大接触面圧P max を、円周方向に亙る曲率半径が比較的大きいが、円周方向に亙って凹に弯曲した外輪軌道27と玉28、28との最大接触面圧P max ´よりも大きく(P max >P max ´)する。この結果、ラジアル玉軸受全体としての転がり抵抗の増大も少なく抑える事ができる。
【0029】
【0030】
【0031】
次に、図2は、本発明の第二実施例を示している。本実施例は、本発明を内輪回転の高速回転(高dmn )で使用されるアンギュラ型のラジアル玉軸受29に適用したものである。この様なラジアル玉軸受29の場合には、遠心力や発熱の為、内輪30と回転軸31との嵌合部からこの内輪30に荷重が加わり、この内輪30に割れを発生する場合がある。即ち、内輪30の応力拡大係数K1 が外輪33の応力拡大係数K1 ´よりも大きく(K1 >K1 ´)なる応力場におかれている。一方、高速回転に伴う遠心力によって玉32、32は、外輪33内周面の外輪軌道34に押し付けられる。従って、玉32、32の転動面と外輪軌道34との最大接触面圧Pmax ´が、この転動面と内輪30外周面の内輪軌道35との最大接触面圧Pmax よりも大きく(Pmax ´>Pmax )なる。
【0032】
そこで、この様な使用状態の場合には、前記内輪30を破壊靱性値K1cの大きな材料により造る事で、この内輪30に割れが発生する事を防止する。一方、最大接触面圧Pmax ´が大きくなる外輪軌道34を有する外輪33は、破壊靱性値K1c´が小さくても、モード2による転がり疲労に対して強い材料により造る。
【0033】
【発明の効果】
本発明のラジアル玉軸受は、以上に述べた通り構成され作用する為、回転抵抗をあまり増大させる事なく、何れの軌道輪の寿命も確保できる。従って、ラジアル玉軸受を組み込んだ各種装置の性能を低下させる事なく、このラジアル玉軸受の耐久性向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す断面図。
【図2】同第二実施例を示す断面図。
【図3】スラスト玉軸受を組み込んだトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減 速時の状態で示す側面図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図5】トロイダル型無段変速機に組み込まれたスラスト玉軸受の断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
7 変位軸
8、8A パワーローラ
8a 周面
9 押圧装置
10 カム板
11 保持器
12 ローラ
13、14 カム面
15 スラスト玉軸受
16 玉
17 外輪
18 内輪軌道
19 外輪軌道
20 保持器
21 ラジアル玉軸受
22 内輪
23 軸
24 外輪
25 ハウジング
26 内輪軌道
27 外輪軌道
28 玉
29 ラジアル玉軸受
30 内輪
31 回転軸
32 玉
33 外輪
34 外輪軌道
35 内輪軌道
Claims (4)
- 第一の軌道輪と、この第一の軌道輪の周面に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第一の軌道と、上記第一の軌道輪と同心に配置された第二の軌道輪と、この第二の軌道輪の周面で上記第一の軌道と対向する部分に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第二の軌道と、それぞれの転動面を前記第一、第二の両軌道に当接させた複数の玉とを備え、使用時に前記第一の軌道輪の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係数よりも大きくなる応力場におかれるラジアル玉軸受に於いて、前記第一の軌道輪を表面硬化鋼製とし、前記第二の軌道輪を完全硬化鋼製とする事により、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくすると共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よりも小さくした事を特徴とするラジアル玉軸受。
- 第一の軌道輪と、この第一の軌道輪の周面に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第一の軌道と、上記第一の軌道輪と同心に配置された第二の軌道輪と、この第二の軌道輪の周面で上記第一の軌道と対向する部分に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第二の軌道と、それぞれの転動面を前記第一、第二の両軌道に当接させた複数の玉とを備え、使用時に前記第一の軌道輪の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係数よりも大きくなる応力場におかれるラジアル玉軸受に於いて、前記第一、第二の軌道輪を表面硬化鋼製とし、このうちの第一の軌道輪の表面硬化深さを第二の軌道輪の表面硬化深さよりも小さくする事により、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくすると共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よりも小さくした事を特徴とするラジアル玉軸受。
- 第一の軌道輪と、この第一の軌道輪の周面に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第一の軌道と、上記第一の軌道輪と同心に配置された第二の軌道輪と、この第二の軌道輪の周面で上記第一の軌道と対向する部分に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第二の軌道と、それぞれの転動面を前記第一、第二の両軌道に当接させた複数の玉とを備え、使用時に前記第一の軌道輪の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係数よりも大きくなる応力場におかれるラジアル玉軸受に於いて、前記第一、第二の軌道輪を表面硬化鋼製とし、このうちの第一の軌道輪の芯部硬さを第二の軌道輪の芯部硬さよりも小さくする事により、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくすると共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よりも小さくした事を特徴とするラジアル玉軸受。
- 第一の軌道輪と、この第一の軌道輪の周面に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第一の軌道と、上記第一の軌道輪と同心に配置された第二の軌道輪と、この第二の軌道輪の周面で上記第一の軌道と対向する部分に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第二の軌道と、それぞれの転動面を前記第一、第二の両軌道に当接させた複数の玉とを備え、使用時に前記第一の軌道輪の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係数よりも大きくなる応力場におかれるラジアル玉軸受に於いて、前記第一の軌道輪の表面硬さを前記第二の軌道輪の表面硬さよりも小さくする事により、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくすると共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よりも小さくした事を特徴とするラジアル玉軸受。
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