JP2002195275A - ラジアル玉軸受 - Google Patents

ラジアル玉軸受

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JP2002195275A JP2001351475A JP2001351475A JP2002195275A JP 2002195275 A JP2002195275 A JP 2002195275A JP 2001351475 A JP2001351475 A JP 2001351475A JP 2001351475 A JP2001351475 A JP 2001351475A JP 2002195275 A JP2002195275 A JP 2002195275A
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浩年 高田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転抵抗を増大させる事なく、パワーローラ
8A及び外輪17aの寿命を確保する。そして、スラス
ト玉軸受15aを組み込んだトロイダル型無段変速機の
性能を低下させる事なく、このスラスト玉軸受15aの
耐久性向上を図る。 【構成】 パワーローラ8Aを構成する材料の破壊靱性
値K1cを、前記外輪17aを構成する材料の破壊靱性値
1c´よりも大きく(K1c>K1c´)する。又、内輪軌
道18aと前記各玉16、16との最大接触面圧Pmax
を、前記外輪軌道19aと前記各玉16、16との最大
接触面圧Pmax ´よりも小さく(Pmax <Pmax ´)す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る玉軸受は、例えば
トロイダル型無段変速機を構成するパワーローラに加わ
るスラスト荷重を支承する為のスラスト玉軸受として、
或は各種回転軸を支持する為のラジアル玉軸受として利
用する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用変速機、或は各種産業機
械用の変速機として、図4〜5に略示する様なトロイダ
ル型無段変速機を使用する事が研究されている。このト
ロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−7146
5号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力
側ディスク2を支持し、出力軸3の端部に出力側ディス
ク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めた
ケーシングの内面、或はこのケーシング内に設けられた
支持ブラケットには、前記入力軸1並びに出力軸3に対
して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動する
トラニオン6、6が設けられている。
【0003】各トラニオン6、6は、両端部外側面に前
記枢軸5、5を設けている。又、各トラニオン6、6の
中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、前記枢軸
5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させる事
により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在として
いる。各トラニオン6、6に支持された変位軸7、7の
周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支
持している。そして、各パワーローラ8、8を、前記入
力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。
【0004】入力側、出力側両ディスク2、4の互いに
対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、ほぼ前
記枢軸5を中心とする円弧形の凹面をなしている。そし
て、球面状の凸面に形成された各パワーローラ8、8の
周面8a、8aは、前記内側面2a、4aに当接させて
いる。
【0005】前記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧
装置9によって、前記入力側ディスク2を出力側ディス
ク4に向け、弾性的に押圧している。この押圧装置9
は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11
により保持された複数個(例えば4個)のローラ12、
12とから構成されている。前記カム板10の片側面
(図4〜5の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であ
るカム面13を形成し、又、前記入力側ディスク2の外
側面(図4〜5の右側面)にも、同様のカム面14を形
成している。そして、前記複数個のローラ12、12
を、前記入力軸1の中心に対して放射状に配置してい
る。
【0006】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回
転すると、カム面13によって複数個のローラ12、1
2が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14
に押圧される。この結果、前記入力側ディスク2が前記
複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、前記
1対のカム面13、14と複数個のローラ12、12と
の噛合に基づいて、前記入力側ディスク2が回転する。
そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパ
ワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達さ
れ、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転す
る。
【0007】入力軸1と出力軸3との回転速度を変える
場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう
場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6
を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが
図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心
寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部
分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜さ
せる。
【0008】反対に、増速を行なう場合には、各パワー
ローラ8、8の周面8a、8aが図5に示す様に、入力
側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディ
スク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接
する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、
7の傾斜角度を、図4と図5との中間にすれば、入力軸
1と出力軸3との間で、中間の変速比を得る事ができ
る。
【0009】図4〜5には、トロイダル型無段変速機の
基本構造のみを示しているが、自動車用変速機等として
より具体化した構造も、例えば実願昭61−87523
号(実開昭62−199557号)のマイクロフィルム
に記載されている様に、従来から種々知られている。
【0010】ところで、上述の様なトロイダル型無段変
速機の運転時に前記各パワーローラ8、8は、入力側デ
ィスク2及び出力側ディスク4からのスラスト荷重を受
けつつ、高速で回転する。この為、これら各パワーロー
ラ8、8と前記各トラニオン6、6との間には、図6に
示す様なスラスト玉軸受15を設けている。
【0011】前記スラスト玉軸受15は、第一の軌道輪
である内輪としての機能を兼ね備える前記パワーローラ
8と、複数の玉16、16と、これら複数の玉16、1
6を転動自在に保持する為の保持器20と、前記パワー
ローラ8と同じ中心軸αを有する、第二の軌道輪である
外輪17とから構成されている。尚、前記パワーローラ
8、玉16、16、外輪17は、それぞれ軸受鋼、浸炭
鋼等の軸受用鋼により形成されている。又、前記パワー
ローラ8の軸方向片面(図6の上面)には第一の軌道で
ある内輪軌道18を、前記外輪17の軸方向片面(図6
の下面)で前記内輪軌道18と対向する部分には第二の
軌道である外輪軌道19を、それぞれ形成している。こ
れら各軌道18、19は、それぞれ断面が円弧形で全体
が円環状とされている。尚、従来のスラスト玉軸受15
の場合には、内輪軌道18の断面の曲率半径R18と外輪
軌道19の断面の曲率半径R19とは互いに等しく(R18
=R19)している。前記各玉16、16の転動面は、こ
れら内輪軌道18と外輪軌道19とに転接する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実際にトロ
イダル型無段変速機に組み込まれてパワーローラ8を支
承するスラスト玉軸受15の場合には、次に述べる様な
解決すべき点がある。即ち、内輪としての機能を兼ね備
えるパワーローラ8には、直径方向反対側に存在する入
力側ディスク2との接触点と出力側ディスク4との接触
点との2点から荷重が加わるが、この2点から円周方向
に90度ずれた点では荷重が加わらない。従って前記パ
ワーローラ8の円周方向に亙る荷重分布は不均一にな
り、このパワーローラ8は、曲げ応力が作用する様な応
力場に置かれる。これに対して外輪17は、円周方向に
亙って均等に配置された玉16、16により、円周方向
に亙ってほぼ均一な荷重を受ける。
【0013】又、前記パワーローラ8は、トロイダル型
無段変速機の変速比を確保すべくその設置位置を規制す
る必要上、厚さ寸法T8 を十分に大きくする必要があ
る。この為、スラスト玉軸受15の内輪として機能する
前記パワーローラ8の応力拡大係数が大きくなる応力場
にあり、このパワーローラ8の寿命に関しては、モード
2だけでなくモード1も関与してくる。このうち、面内
剪断形のモード2は、一般的なスラスト玉軸受でも疲れ
寿命として問題となるフレーキング発生による転がり疲
労に関するもので、トロイダル型無段変速機用スラスト
玉軸受に限らず、一般の玉軸受でも問題となる。一方、
開口形のモード1は、内輪割れに結び付く曲げ疲労に関
するものであり、厚さ寸法の大きなパワーローラ8に不
均一な荷重を受ける、トロイダル型無段変速機用スラス
ト玉軸受独特な疲労として問題となる。
【0014】従って、トロイダル型無段変速機用スラス
ト玉軸受の耐久性を確保する為には、一般的なモード2
の転がり疲労だけでなく、モード1の曲げ疲労に就いて
も考慮しなければならない。モード1の曲げ疲労による
割れの発生を防止し、軌道輪の長寿命化を図る為には破
壊靱性値K1cが大きな材料によりこの軌道輪を造れば良
い。ところが、この破壊靱性値K1cが大きな材料が、モ
ード2の転がり疲労を防止するのに有効であるとは限ら
ず、モード2による転がり疲れ寿命を長くできない場合
がある。例えば、浸炭SCr 材を用いてこの転がり疲れ寿
命を長くする為には、この材料(鋼)の炭素含有率(C
%)を或る程度高く、且つ、浸炭深さを或る程度深くす
る必要がある。ところが、C%を高くしたり、或は浸炭
深さを深くしたりすると、前記破壊靱性値K1cが小さく
なってしまう。この事から明らかな通り、同一材質に異
なる組成と熱処理とを施した2種類の材料A、Bを考慮
した場合には、材料Aの方が材料Bよりもモード1によ
る曲げ疲労に対しては強いが、材料Bの方が材料Aより
もモード2による転がり疲労に対しては強いと言う事が
あり、材料の選定に大きな影響力を及ぼす。
【0015】破壊靱性値K1cを大きくするには、例え
ば、 (1) 材料の組織の結晶粒径を小さくする。 (2) 微細炭化物を結晶粒内に分布させる。 (3) 焼き戻し温度を高くして硬さを小さくする。 (4) 浸炭、窒化、高周波焼き入れ等の表面硬化鋼では、
表面硬化深さを浅くしたり、芯部の硬さを小さくする。 等が考えられる。(4) から、表面硬化鋼は完全焼き入れ
鋼よりは破壊靱性値が大きくなる。又、形状、使用条件
等に就いては、逆に、(a) 部材寸法の増加、(b) 環境温
度の低下、(c) 荷重速度の増加、は同一材質の部品では
破壊靱性値の低下を招く。
【0016】トロイダル型無段変速機用のスラスト玉軸
受15を構成するパワーローラ8の様に、形状的な制約
から破壊靱性値K1cの低い材料を使用できない(モード
1による曲げ疲労に対する強度を確保する必要がある)
場合には、モード2による転がり疲労に対して弱い、破
壊靱性値K1cの高い材料を使用せざるを得ない。従っ
て、そのままではパワーローラ8に形成した内輪軌道1
8にフレーキングが発生し易くなる。破壊靱性値K1c
高い材料を使用して、しかもフレーキングを発生しにく
くする為には、前記内輪軌道18の断面の曲率半径R18
を小さくし(玉16、16の外径の1/2に近づけ)、
玉16、16の転動面と内輪軌道18との接触点の面積
を大きくし、この接触点の最大接触面圧を低く抑える事
が効果がある。ところが、軌道面の断面の曲率半径を小
さくする事は、当該軌道面と玉16、16の転動面との
転がり抵抗の増大の原因となる。
【0017】一方、前述の様に従来のスラスト玉軸受1
5の場合、内輪軌道18の断面の曲率半径R18と外輪軌
道19の断面の曲率半径R19とが同じ(R18=R19)で
あった。従って、単にこれら各軌道18、19の断面の
曲率半径R18、R19を小さくした場合には、前記スラス
ト玉軸受15の転がり抵抗が増大し、このスラスト玉軸
受15を組み込んだトロイダル型無段変速機の動力損失
を増大させてしまう。この様な問題は、トロイダル型無
段変速機用のスラスト玉軸受15に限らず、ラジアル玉
軸受の場合も、使用条件によっては発生する。本発明の
玉軸受は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0018】
【課題を解決する為の手段】本発明の玉軸受は、従来か
ら知られた玉軸受と同様に、第一の軌道輪と、この第一
の軌道輪の片面に形成された断面が円弧状で全体が円環
状の第一の軌道と、前記第一の軌道輪と同心に配置され
た第二の軌道輪と、この第二の軌道輪の片面で前記第一
の軌道と対向する部分に形成された断面が円弧状で全体
が円環状の第二の軌道と、それぞれの転動面を前記第
一、第二の両軌道に当接させた複数の玉とを備えてい
る。そして、使用時に前記第一の軌道輪の応力拡大係数
が前記第二の軌道輪の応力拡大係数よりも大きくなる応
力場におかれる。
【0019】特に、本発明の玉軸受に於いては、前記第
一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第二の軌
道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくしてい
る。これと共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接
触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よ
りも小さくしている。
【0020】
【作用】上述の様に構成される本発明の玉軸受の場合に
は、第一の軌道輪を破壊靱性値の大きな材料により造っ
ている為、この第一の軌道輪にモード1の曲げ疲労によ
る割れが発生しにくくなる。又、この第一の軌道輪に形
成した第一の軌道と玉との最大接触面圧が小さい事に基
づき、この第一の軌道に、モード2の転がり疲労による
フレーキングが発生しにくくなる。
【0021】一方、モード1による曲げ疲労をあまり考
慮する必要のない第二の軌道輪は、破壊靱性値の大きな
材料により造る必要がなく、モード2による転がり疲労
に対して強い材料により造れる。従って、この第二の軌
道輪に形成した第二の軌道と玉との最大接触面圧を小さ
くする必要がなく、この第二の軌道と玉との転がり抵抗
の増大を防止できる。この結果、玉軸受全体としての転
がり抵抗の増大も少なく抑える事ができる。
【0022】尚、曲げ疲労や転がり疲労に対する強度を
確保すべく、破壊靱性値を適正値にする為には、各軌道
輪を構成する軸受用鋼に施す熱処理として、例えば浸炭
処理、浸炭窒化処理、高周波焼き入れ処理等の表面硬化
処理を行なう。
【0023】
【実施例】図1は、本発明の第一実施例として、本発明
をトロイダル型無段変速機用のスラスト玉軸受15aに
適用した例を示している。このスラスト玉軸受15a
は、前述の図6に示した従来から知られたスラスト玉軸
受15と同様に、第一の軌道輪である内輪としての機能
を備えるパワーローラ8Aを備える。このパワーローラ
8Aの軸方向片面(図1の上面)には、第一の軌道であ
る、断面が円弧状で全体が円環状の内輪軌道18aを形
成している。この様なパワーローラ8Aと同心に、第二
の軌道輪である外輪17aを配置している。この外輪1
7aの軸方向片面(図1の下面)で、前記内輪軌道18
aと対向する部分には、第二の軌道である、断面が円弧
状で全体が円環状の外輪軌道19aを形成している。そ
して、これら外輪軌道19aと内輪軌道18aとの間に
複数個の玉16、16を設け、各玉16、16の転動面
を、前記外輪軌道19a及び内輪軌道18aに当接させ
ている。これら各玉16、16は、保持器20により転
動自在に保持している。
【0024】この様に構成されるトロイダル型無段変速
機用のスラスト玉軸受15aの場合には、内輪として機
能するパワーローラ8Aの厚さ寸法T8Aが外輪17aの
厚さ寸法T17a よりも大きい事に伴って、使用時に前記
パワーローラ8Aの応力拡大係数K1 が前記外輪17a
の応力拡大係数K1 ´よりも大きく(K1 >K1 ´)な
る。
【0025】この様な応力拡大係数K1 、K1 ´の相違
に伴って、本実施例のスラスト玉軸受15aに於いて
は、前記パワーローラ8Aを構成する材料の破壊靱性値
1cを、前記外輪17aを構成する材料の破壊靱性値K
1c´よりも大きく(K1c>K1c´)している。これと共
に、前記内輪軌道18aと前記各玉16、16との最大
接触面圧Pmax を、前記外輪軌道19aと前記各玉1
6、16との最大接触面圧Pmax ´よりも小さく(P
max <Pmax ´)している。この為に本実施例の場合に
は、前記内輪軌道18aの断面の曲率半径R18a を、前
記外輪軌道19aの曲率半径R19a よりも小さく(R
18a <R19a )している。
【0026】パワーローラ8Aの破壊靱性値K1cを外輪
17aより大きくした組み合わせとしては、前述の様に
破壊靱性値を大きくする方法で述べた事から、 (1) パワーローラ8Aを表面硬化鋼とし、外輪17aを
完全硬化鋼とする。 (2) パワーローラ8Aの浸炭深さを外輪17aよりも浅
くするか、パワーローラ8Aの芯部硬さを外輪17aよ
り小さくする。 (3) パワーローラ8Aの硬さを外輪17aより小さくす
る。 等が考えられる。
【0027】上述の様に構成される本発明の玉軸受の場
合には、入力側ディスク及び出力側ディスクとの接触部
で円周方向に亙って不均一な荷重を受け、しかも厚さ寸
法T 8Aが大きい為に応力拡大係数K1 が大きい応力場に
あるパワーローラ8Aを、破壊靱性値の大きな材料によ
り造っている。この為、応力拡大係数K1 が大きいにも
拘らず、このパワーローラ8Aにモード1の曲げ疲労に
よる割れが発生しにくくなる。又、このパワーローラ8
Aに形成した内輪軌道18aと玉16、16との最大接
触面圧Pmax が小さい事に基づき、この内輪軌道18a
に、モード2の転がり疲労によるフレーキングが発生し
にくくなる。
【0028】一方、外輪17aは、前記各ディスクとは
直接接触せず、均等に配置された玉により円周方向に亙
りほぼ均一な荷重を受け、しかも厚さ寸法T17a があま
り大きくない為、応力拡大係数K1 ´が前記パワーロー
ラ8A(内輪)よりも小さい応力場にある。従って、こ
の外輪17aに関しては、モード1による曲げ疲労をあ
まり考慮する必要がない。即ち、この外輪17aは、破
壊靱性値K1c´の大きな材料により造る必要がなく、破
壊靱性値K1c´が小さくても、モード2による転がり疲
労に対して強い材料により造れる。従って、この外輪1
7aに形成した外輪軌道19aと玉16、16との最大
接触面圧Pmax ´を小さくする必要がない。より具体的
には、この外輪軌道19aの断面の曲率半径R19a を、
前記内輪軌道18aよりも大きくして、各玉16、16
の転動面と前記外輪軌道19aとの接触面積を小さくで
きる。従って、この外輪軌道19aと玉16、16との
転がり抵抗の増大を防止できる。この結果、玉軸受全体
としての転がり抵抗の増大も少なく抑える事ができる。
【0029】次に、図2は本発明の第二実施例を示して
いる。本実施例は、本発明を深溝型のラジアル玉軸受2
1に適用したものである。この様なラジアル玉軸受21
の使用状態では、内輪22は軸23に外嵌され、外輪2
4はハウジング25に内嵌される。この様なラジアル玉
軸受21の場合、使用状態によっては外輪24が、ハウ
ジング25から加わる不均一なラジアル荷重に基づい
て、モード1による割れを発生する可能性がある。
【0030】そこで、この様な使用状態の場合には、前
記外輪24を破壊靱性値K1c´の大きな材料により造る
事で、この外輪24に割れが発生する事を防止する。一
方、ラジアル玉軸受21の場合には、内輪軌道26の断
面の曲率半径を外輪軌道27の断面の曲率半径よりも極
端に小さくしない限り、円周方向に亙る曲率半径が比較
的小さく、しかも円周方向に亙って凸に弯曲した内輪軌
道26と玉28、28との最大接触面圧Pmax が、円周
方向に亙る曲率半径が比較的大きく、しかも円周方向に
亙って凹に弯曲した外輪軌道27と玉28、28との最
大接触面圧Pma x ´よりも大きく(Pmax >Pmax ´)
なる。そこで、最大接触面圧Pmax が大きくなる内輪軌
道26を有する内輪22は、破壊靱性値K1cが小さくて
も、モード2による転がり疲労に対して強い材料により
造る。
【0031】次に、図3は本発明の第三実施例を示して
いる。本実施例は、本発明を内輪回転の高速回転(高dm
n )で使用されるアンギュラ型のラジアル玉軸受29に
適用したものである。この様なラジアル玉軸受29の場
合には、遠心力や発熱の為、内輪30と回転軸31との
嵌合部からこの内輪30に荷重が加わり、この内輪30
に割れを発生する場合がある。即ち、内輪30の応力拡
大係数K1 が外輪33の応力拡大係数K1 ´よりも大き
く(K1 >K1 ´)なる応力場におかれている。一方、
高速回転に伴う遠心力によって玉32、32は、外輪3
3内周面の外輪軌道34に押し付けられる。従って、玉
32、32の転動面と外輪軌道34との最大接触面圧P
max ´が、この転動面と内輪30外周面の内輪軌道35
との最大接触面圧Pmax よりも大きく(Pmax ´>P
max )なる。
【0032】そこで、この様な使用状態の場合には、前
記内輪30を破壊靱性値K1cの大きな材料により造る事
で、この内輪30に割れが発生する事を防止する。一
方、最大接触面圧Pmax ´が大きくなる外輪軌道34を
有する外輪33は、破壊靱性値K1c´が小さくても、モ
ード2による転がり疲労に対して強い材料により造る。
【0033】
【発明の効果】本発明の玉軸受は、以上に述べた通り構
成され作用する為、回転抵抗をあまり増大させる事な
く、何れの軌道輪の寿命も確保できる。従って、玉軸受
を組み込んだ各種装置の性能を低下させる事なく、この
玉軸受の耐久性向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す断面図。
【図2】同第二実施例を示す断面図。
【図3】同第三実施例を示す断面図。
【図4】スラスト玉軸受を組み込んだトロイダル型無段
変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面
図。
【図5】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図6】トロイダル型無段変速機に組み込まれたスラス
ト玉軸受の断面図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8、8A パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面 15、15a スラスト玉軸受 16 玉 17、17a 外輪 18、18a 内輪軌道 19、19a 外輪軌道 20 保持器 21 ラジアル玉軸受 22 内輪 23 軸 24 外輪 25 ハウジング 26 内輪軌道 27 外輪軌道 28 玉 29 ラジアル玉軸受 30 内輪 31 回転軸 32 玉 33 外輪 34 外輪軌道 35 内輪軌道
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月21日(2001.11.
21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ラジアル玉軸受
【特許請求の範囲】
請求項2】 第一の軌道輪が表面硬化鋼製であり、第
二の軌道輪が完全硬化鋼製である、請求項1に記載した
ラジアル玉軸受。
請求項3】 第一、第二の軌道輪が表面硬化鋼製であ
り、第一の軌道輪の表面硬化深さが第二の軌道輪の表面
硬化深さよりも小さい、請求項1に記載したラジアル玉
軸受。
請求項4】 第一、第二の軌道輪が表面硬化鋼製であ
り、第一の軌道輪の芯部硬さが第二の軌道輪の芯部硬さ
よりも小さい、請求項1に記載したラジアル玉軸受。
請求項5】 第一の軌道輪の表面硬さが第二の軌道輪
の表面硬さよりも小さい、請求項1に記載したラジアル
玉軸受。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係るラジアル玉軸受
は、例えば各種回転軸を支持する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用変速機、或は各種産業機
械用の変速機として、図3〜4に略示する様なトロイダ
ル型無段変速機を使用する事が研究されている。このト
ロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−7146
5号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力
側ディスク2を支持し、出力軸3の端部に出力側ディス
ク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めた
ケーシングの内面、或はこのケーシング内に設けられた
支持ブラケットには、前記入力軸1並びに出力軸3に対
して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動する
トラニオン6、6が設けられている。
【0003】各トラニオン6、6は、両端部外側面に前
記枢軸5、5を設けている。又、各トラニオン6、6の
中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、前記枢軸
5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させる事
により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在として
いる。各トラニオン6、6に支持された変位軸7、7の
周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支
持している。そして、各パワーローラ8、8を、前記入
力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。
【0004】入力側、出力側両ディスク2、4の互いに
対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、ほぼ前
記枢軸5を中心とする円弧形の凹面をなしている。そし
て、球面状の凸面に形成された各パワーローラ8、8の
周面8a、8aは、前記内側面2a、4aに当接させて
いる。
【0005】前記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧
装置9によって、前記入力側ディスク2を出力側ディス
ク4に向け、弾性的に押圧している。この押圧装置9
は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11
により保持された複数個(例えば4個)のローラ12、
12とから構成されている。前記カム板10の片側面
図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であ
るカム面13を形成し、又、前記入力側ディスク2の外
側面(図3〜4の右側面)にも、同様のカム面14を形
成している。そして、前記複数個のローラ12、12
を、前記入力軸1の中心に対して放射状に配置してい
る。
【0006】上述の様に構成されるトロイダル型無段変
速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回
転すると、カム面13によって複数個のローラ12、1
2が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14
に押圧される。この結果、前記入力側ディスク2が前記
複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、前記
1対のカム面13、14と複数個のローラ12、12と
の噛合に基づいて、前記入力側ディスク2が回転する。
そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパ
ワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達さ
れ、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転す
る。
【0007】入力軸1と出力軸3との回転速度を変える
場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう
場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6
を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが
図3に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心
寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部
分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜さ
せる。
【0008】反対に、増速を行なう場合には、各パワー
ローラ8、8の周面8a、8aが図4に示す様に、入力
側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディ
スク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接
する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、
7の傾斜角度を、図3図4との中間にすれば、入力軸
1と出力軸3との間で、中間の変速比を得る事ができ
る。
【0009】図3〜4には、トロイダル型無段変速機の
基本構造のみを示しているが、自動車用変速機等として
より具体化した構造も、例えば実願昭61−87523
号(実開昭62−199557号)のマイクロフィルム
に記載されている様に、従来から種々知られている。
【0010】ところで、上述の様なトロイダル型無段変
速機の運転時に前記各パワーローラ8、8は、入力側デ
ィスク2及び出力側ディスク4からのスラスト荷重を受
けつつ、高速で回転する。この為、これら各パワーロー
ラ8、8と前記各トラニオン6、6との間には、図5
示す様なスラスト玉軸受15を設けている。
【0011】前記スラスト玉軸受15は、第一の軌道輪
である内輪としての機能を兼ね備える前記パワーローラ
8と、複数の玉16、16と、これら複数の玉16、1
6を転動自在に保持する為の保持器20と、前記パワー
ローラ8と同じ中心軸αを有する、第二の軌道輪である
外輪17とから構成されている。尚、前記パワーローラ
8、玉16、16、外輪17は、それぞれ軸受鋼、浸炭
鋼等の軸受用鋼により形成されている。又、前記パワー
ローラ8の軸方向片面(図5の上面)には第一の軌道で
ある内輪軌道18を、前記外輪17の軸方向片面(図5
の下面)で前記内輪軌道18と対向する部分には第二の
軌道である外輪軌道19を、それぞれ形成している。こ
れら各軌道18、19は、それぞれ断面が円弧形で全体
が円環状とされている。尚、従来のスラスト玉軸受15
の場合には、内輪軌道18の断面の曲率半径R18と外輪
軌道19の断面の曲率半径R19とは互いに等しく(R18
=R19)している。前記各玉16、16の転動面は、こ
れら内輪軌道18と外輪軌道19とに転接する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実際にトロ
イダル型無段変速機に組み込まれてパワーローラ8を支
承するスラスト玉軸受15の場合には、次に述べる様な
解決すべき点がある。即ち、内輪としての機能を兼ね備
えるパワーローラ8には、直径方向反対側に存在する入
力側ディスク2との接触点と出力側ディスク4との接触
点との2点から荷重が加わるが、この2点から円周方向
に90度ずれた点では荷重が加わらない。従って前記パ
ワーローラ8の円周方向に亙る荷重分布は不均一にな
り、このパワーローラ8は、曲げ応力が作用する様な応
力場に置かれる。これに対して外輪17は、円周方向に
亙って均等に配置された玉16、16により、円周方向
に亙ってほぼ均一な荷重を受ける。
【0013】又、前記パワーローラ8は、トロイダル型
無段変速機の変速比を確保すべくその設置位置を規制す
る必要上、厚さ寸法T8 を十分に大きくする必要があ
る。この為、スラスト玉軸受15の内輪として機能する
前記パワーローラ8の応力拡大係数が大きくなる応力場
にあり、このパワーローラ8の寿命に関しては、モード
2だけでなくモード1も関与してくる。このうち、面内
剪断形のモード2は、一般的なスラスト玉軸受でも疲れ
寿命として問題となるフレーキング発生による転がり疲
労に関するもので、トロイダル型無段変速機用スラスト
玉軸受に限らず、一般の玉軸受でも問題となる。一方、
開口形のモード1は、内輪割れに結び付く曲げ疲労に関
するものであり、厚さ寸法の大きなパワーローラ8に不
均一な荷重を受ける、トロイダル型無段変速機用スラス
ト玉軸受独特な疲労として問題となる。
【0014】従って、トロイダル型無段変速機用スラス
ト玉軸受の耐久性を確保する為には、一般的なモード2
の転がり疲労だけでなく、モード1の曲げ疲労に就いて
も考慮しなければならない。モード1の曲げ疲労による
割れの発生を防止し、軌道輪の長寿命化を図る為には破
壊靱性値K1cが大きな材料によりこの軌道輪を造れば良
い。ところが、この破壊靱性値K1cが大きな材料が、モ
ード2の転がり疲労を防止するのに有効であるとは限ら
ず、モード2による転がり疲れ寿命を長くできない場合
がある。例えば、浸炭SCr 材を用いてこの転がり疲れ寿
命を長くする為には、この材料(鋼)の炭素含有率(C
%)を或る程度高く、且つ、浸炭深さを或る程度深くす
る必要がある。ところが、C%を高くしたり、或は浸炭
深さを深くしたりすると、前記破壊靱性値K1cが小さく
なってしまう。この事から明らかな通り、同一材質に異
なる組成と熱処理とを施した2種類の材料A、Bを考慮
した場合には、材料Aの方が材料Bよりもモード1によ
る曲げ疲労に対しては強いが、材料Bの方が材料Aより
もモード2による転がり疲労に対しては強いと言う事が
あり、材料の選定に大きな影響力を及ぼす。
【0015】破壊靱性値K1cを大きくするには、例え
ば、 (1) 材料の組織の結晶粒径を小さくする。 (2) 微細炭化物を結晶粒内に分布させる。 (3) 焼き戻し温度を高くして硬さを小さくする。 (4) 浸炭、窒化、高周波焼き入れ等の表面硬化鋼では、
表面硬化深さを浅くしたり、芯部の硬さを小さくする。 等が考えられる。(4) から、表面硬化鋼は完全焼き入れ
鋼よりは破壊靱性値が大きくなる。又、形状、使用条件
等に就いては、逆に、(a) 部材寸法の増加、(b) 環境温
度の低下、(c) 荷重速度の増加、は同一材質の部品では
破壊靱性値の低下を招く。
【0016】トロイダル型無段変速機用のスラスト玉軸
受15を構成するパワーローラ8の様に、形状的な制約
から破壊靱性値K1cの低い材料を使用できない(モード
1による曲げ疲労に対する強度を確保する必要がある)
場合には、モード2による転がり疲労に対して弱い、破
壊靱性値K1cの高い材料を使用せざるを得ない。従っ
て、そのままではパワーローラ8に形成した内輪軌道1
8にフレーキングが発生し易くなる。破壊靱性値K1c
高い材料を使用して、しかもフレーキングを発生しにく
くする為には、前記内輪軌道18の断面の曲率半径R18
を小さくし(玉16、16の外径の1/2に近づけ)、
玉16、16の転動面と内輪軌道18との接触点の面積
を大きくし、この接触点の最大接触面圧を低く抑える事
が効果がある。ところが、軌道面の断面の曲率半径を小
さくする事は、当該軌道面と玉16、16の転動面との
転がり抵抗の増大の原因となる。
【0017】一方、前述の様に従来のスラスト玉軸受1
5の場合、内輪軌道18の断面の曲率半径R18と外輪軌
道19の断面の曲率半径R19とが同じ(R18=R19)で
あった。従って、単にこれら各軌道18、19の断面の
曲率半径R18、R19を小さくした場合には、前記スラス
ト玉軸受15の転がり抵抗が増大し、このスラスト玉軸
受15を組み込んだトロイダル型無段変速機の動力損失
を増大させてしまう。この様な問題は、トロイダル型無
段変速機用のスラスト玉軸受15に限らず、ラジアル玉
軸受の場合も、使用条件によっては発生する。即ち、ラ
ジアル玉軸受の場合、使用状態によっては外輪又は内輪
が、不均一なラジアル荷重に基づいて、モード1による
割れを発生する可能性がある。本発明のラジアル玉軸受
は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0018】
【課題を解決する為の手段】本発明のラジアル玉軸受
は、従来から知られたラジアル玉軸受と同様に、第一の
軌道輪と、この第一の軌道輪の周面に形成された断面が
円弧状で全体が円環状の第一の軌道と、前記第一の軌道
輪と同心に配置された第二の軌道輪と、この第二の軌道
輪の周面で前記第一の軌道と対向する部分に形成された
断面が円弧状で全体が円環状の第二の軌道と、それぞれ
の転動面を前記第一、第二の両軌道に当接させた複数の
玉とを備えている。そして、使用時に前記第一の軌道輪
の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係数より
も大きくなる応力場におかれる。
【0019】特に、本発明のラジアル玉軸受に於いて
は、前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前
記第二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大き
くしている。これと共に、前記第一の軌道と前記各玉と
の最大接触面圧を前記第二の軌道と前記各玉との最大接
触面圧よりも小さくしている。
【0020】
【作用】上述の様に構成される本発明のラジアル玉軸受
の場合には、第一の軌道輪を破壊靱性値の大きな材料に
より造っている為、この第一の軌道輪にモード1の曲げ
疲労による割れが発生しにくくなる。又、この第一の軌
道輪に形成した第一の軌道と玉との最大接触面圧が小さ
い事に基づき、この第一の軌道に、モード2の転がり疲
労によるフレーキングが発生しにくくなる。
【0021】一方、モード1による曲げ疲労をあまり考
慮する必要のない第二の軌道輪は、破壊靱性値の大きな
材料により造る必要がなく、モード2による転がり疲労
に対して強い材料により造れる。従って、この第二の軌
道輪に形成した第二の軌道と玉との最大接触面圧を小さ
くする必要がなく、この第二の軌道と玉との転がり抵抗
の増大を防止できる。この結果、ラジアル玉軸受全体と
しての転がり抵抗の増大も少なく抑える事ができる。
【0022】尚、曲げ疲労や転がり疲労に対する強度を
確保すべく、破壊靱性値を適正値にする為には、各軌道
輪を構成する軸受用鋼に施す熱処理として、例えば浸炭
処理、浸炭窒化処理、高周波焼き入れ処理等の表面硬化
処理を行なう。
【0023】
【実施例】図1は、本発明の第一実施例を示している。
本実施例は、本発明を深溝型のラジアル玉軸受21に適
用したものである。この様なラジアル玉軸受21の使用
状態では、内輪22は軸23に外嵌され、外輪24はハ
ウジング25に内嵌される。この様なラジアル玉軸受2
1の場合、使用状態によっては外輪24が、ハウジング
25から加わる不均一なラジアル荷重に基づいて、モー
ド1による割れを発生する可能性がある。
【0024】そこで、この様な使用状態の場合には、前
記外輪24を破壊靱性値K1c´の大きな材料により造る
事で、この外輪24に割れが発生する事を防止する。一
方、ラジアル玉軸受21の場合には、内輪軌道26の断
面の曲率半径を外輪軌道27の断面の曲率半径よりも極
端に小さくしない限り、円周方向に亙る曲率半径が比較
的小さく、しかも円周方向に亙って凸に弯曲した内輪軌
道26と玉28、28との最大接触面圧Pmax が、円周
方向に亙る曲率半径が比較的大きいが、円周方向に亙っ
て凹に弯曲した外輪軌道27と玉28、28との最大接
触面圧Pmax ´よりも大きく(Pmax >Pmax ´)な
る。そこで、最大接触面圧Pmax が大きくなる内輪軌道
26を有する内輪22は、破壊靱性値K1cが小さくて
も、モード2による転がり疲労に対して強い材料により
造る。
0025
【0026】外輪24の破壊靱性値K1c内輪22より
大きくした組み合わせとしては、前述の様に破壊靱性値
を大きくする方法で述べた事から、 (1) 外輪24を表面硬化鋼とし、内輪22を完全硬化鋼
とする。 (2) 外輪24の浸炭深さを内輪22よりも浅くするか、
外輪24の芯部硬さを内輪22より小さくする。 (3) 外輪24の硬さを内輪22より小さくする。 等が考えられる。
【0027】上述の様に構成される本発明のラジアル
軸受の場合には、ハウジング25から加わる不均一なラ
ジアル荷重を受け、応力拡大係数K1 が大きい応力場に
ある外輪24を、破壊靱性値の大きな材料により造って
いる。この為、応力拡大係数K1 が大きいにも拘らず、
上記外輪24にモード1の曲げ疲労による割れが発生し
にくくなる。又、この外輪24に形成した外輪軌道27
と玉28、28との最大接触面圧Pmax が小さい事に基
づき、この外輪軌道27に、モード2の転がり疲労によ
るフレーキングが発生しにくくなる。
【0028】一方、内輪22は、応力拡大係数1 ´が
前記外輪24よりも小さい応力場にある。従って、この
内輪22に関しては、モード1による曲げ疲労をあまり
考慮する必要がない。即ち、この内輪22は、破壊靱性
値K1c´の大きな材料により造る必要がなく、破壊靱性
値K1c´が小さくても、モード2による転がり疲労に対
して強い材料により造れる。従って、この内輪22に形
成した内輪軌道26と玉28、28との最大接触面圧P
max ´を小さくする必要がない。より具体的には、前述
した様に、円周方向に亙る曲率半径が比較的小さく、し
かも円周方向に亙って凸に弯曲した内輪軌道26と玉2
8、28との最大接触面圧Pmax を、円周方向に亙る曲
率半径が比較的大きいが、円周方向に亙って凹に弯曲し
た外輪軌道27と玉28、28との最大接触面圧Pmax
´よりも大きく(Pmax >Pmax´)する。この結果、
ラジアル玉軸受全体としての転がり抵抗の増大も少なく
抑える事ができる。
0029
0030
【0031】次に、図2は、本発明の第二実施例を示し
ている。本実施例は、本発明を内輪回転の高速回転(高
dmn )で使用されるアンギュラ型のラジアル玉軸受29
に適用したものである。この様なラジアル玉軸受29の
場合には、遠心力や発熱の為、内輪30と回転軸31と
の嵌合部からこの内輪30に荷重が加わり、この内輪3
0に割れを発生する場合がある。即ち、内輪30の応力
拡大係数K1 が外輪33の応力拡大係数K1 ´よりも大
きく(K1 >K1 ´)なる応力場におかれている。一
方、高速回転に伴う遠心力によって玉32、32は、外
輪33内周面の外輪軌道34に押し付けられる。従っ
て、玉32、32の転動面と外輪軌道34との最大接触
面圧Pmax ´が、この転動面と内輪30外周面の内輪軌
道35との最大接触面圧Pmax よりも大きく(Pmax ´
>Pmax )なる。
【0032】そこで、この様な使用状態の場合には、前
記内輪30を破壊靱性値K1cの大きな材料により造る事
で、この内輪30に割れが発生する事を防止する。一
方、最大接触面圧Pmax ´が大きくなる外輪軌道34を
有する外輪33は、破壊靱性値K1c´が小さくても、モ
ード2による転がり疲労に対して強い材料により造る。
【0033】
【発明の効果】本発明のラジアル玉軸受は、以上に述べ
た通り構成され作用する為、回転抵抗をあまり増大させ
る事なく、何れの軌道輪の寿命も確保できる。従って、
ラジアル玉軸受を組み込んだ各種装置の性能を低下させ
る事なく、このラジアル玉軸受の耐久性向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す断面図。
【図2】同第二実施例を示す断面図。
【図3】スラスト玉軸受を組み込んだトロイダル型無段
変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面
図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図5】トロイダル型無段変速機に組み込まれたスラス
ト玉軸受の断面図。
【符号の説明】 1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 7 変位軸 8、8A パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 10 カム板 11 保持器 12 ローラ 13、14 カム面15 スラスト玉軸受 16 玉17 外輪18 内輪軌道19 外輪軌道 20 保持器 21 ラジアル玉軸受 22 内輪 23 軸 24 外輪 25 ハウジング 26 内輪軌道 27 外輪軌道 28 玉 29 ラジアル玉軸受 30 内輪 31 回転軸 32 玉 33 外輪 34 外輪軌道 35 内輪軌道
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
フロントページの続き Fターム(参考) 3J051 AA03 BA03 BB02 BD02 BE09 CB07 EC03 3J101 AA03 AA32 AA42 AA52 AA53 AA54 AA62 BA53 BA54 BA55 BA56 DA02 FA31 GA11

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の軌道輪と、この第一の軌道輪の片
    面に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第一の軌
    道と、上記第一の軌道輪と同心に配置された第二の軌道
    輪と、この第二の軌道輪の片面で上記第一の軌道と対向
    する部分に形成された断面が円弧状で全体が円環状の第
    二の軌道と、それぞれの転動面を前記第一、第二の両軌
    道に当接させた複数の玉とを備え、使用時に前記第一の
    軌道輪の応力拡大係数が前記第二の軌道輪の応力拡大係
    数よりも大きくなる応力場におかれる玉軸受に於いて、
    前記第一の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値を前記第
    二の軌道輪を構成する材料の破壊靱性値よりも大きくす
    ると共に、前記第一の軌道と前記各玉との最大接触面圧
    を前記第二の軌道と前記各玉との最大接触面圧よりも小
    さくした事を特徴とする玉軸受。
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