JP3608432B2 - 車両用障害物監視装置 - Google Patents

車両用障害物監視装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両周辺の障害物を検出し、運転者に障害物の接近を知らせて衝突を未然に防止する車両用障害物監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用の障害物への衝突防止のための警報装置においては、音波や光を放射してから反射波を受信するまでの伝搬時間を測定し、車両に最も近い障害物までの距離を計算してその距離に応じてブザーの発音間隔を狭めたり、発光ダイオード等の発光素子の色や点滅間隔を変えるなどの警報を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来装置では、障害物と車両の距離値に基づいて警報が行われているので、例えば車両が壁と平行に走行する場合のように障害物である壁と車両が衝突する可能性がない状況においても、車両と壁との距離が所定の基準値以下であると警報が行われていた。また、運転者の死角領域に障害物が存在する場合に、障害物を回避することができるか否かが運転者に判り難く、障害物の位置を確認するために降車したり、何度も切り返しをしなければならないといった問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり、不必要な警報を行わず、車両の切り返し等の操作を低減させて操縦性を向上することが可能な車両用障害物監視装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、車両に設置されて車両周辺の障害物までの距離と角度から障害物の位置を検出する障害物位置検出手段と、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、車両の有するステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段と、進行方向検出手段並びに操舵角検出手段の検出結果に基づいて車両の進行軌跡を算定する進行軌跡算定手段と、障害物位置検出手段によって検出された障害物の位置が進行軌跡算定手段によって算定された進行軌跡内に在るか否かを判定する衝突判定手段と、衝突判定手段により障害物の位置が進行軌跡内に在ると判定された場合に運転者に衝突の危険があることを報知する報知手段と、少なくとも進行軌跡算定手段により算定された進行軌跡、並びに障害物位置検出手段により検出された障害物の位置を表示するとともに、操舵角検出手段の検出結果に応じて進行軌跡の表示を更新する表示手段とを備え、衝突判定手段は、障害物の位置が進行軌跡内に在る場合にステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避可能であると判断すれば操舵角検出手段の検出結果が障害物を回避可能なステアリングの操舵角に達するまでステアリングの操作方向を運転者に指示するとともに、ステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避不可能であると判断すれば運転者に車両の停止を指示し、障害物の位置が進行軌跡内にない場合に現在のステアリングの操舵角にて障害物を回避可能であることを運転者に教示することを特徴とし、障害物の位置が車両の進行しようとする進行軌跡内にない場合には運転者に対して衝突の危険を報知しないから、衝突の可能性がない障害物に対する不必要な警報が行われなくなり、車両の切り返し等の操作を低減させて操縦性を向上することができる。しかも、現在のステアリングの操舵角に対応した進行軌跡と障害物の位置とが表示手段に表示されるため、運転手の死角領域に障害物が存在した場合でも表示手段によって障害物の位置が即座に分かり、現在のステアリング操舵角を維持したまま障害物を回避可能であるか否か、回避不可能な場合にはステアリングを左右どちらの方向に操作すれば良いかが分かり、死角領域の障害物を回避する為に降車して障害物の位置を確認する等の手間が省けて操縦性が向上する。さらに、車両の周辺に障害物が在る場合に、運転手が障害物との衝突を回避するためにす べき操作、すなわち、現在のステアリングの操舵角の維持、または障害物を回避するためのステアリングの操作、あるいは切り返しが即座に運転者に分かるため、不要な切り返しを避けることができて操縦性が向上する。
【0006】
請求項の発明は、請求項の発明において、衝突判定手段が、障害物の位置が進行軌跡内に在る場合にステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避可能であると判断すれば障害物が回避可能となるステアリングの操作方向及び操舵角を運転者に指示することを特徴とし、請求項の発明の作用に加えて、障害物を回避する際のステアリング操作が容易に行われ、操縦性が向上する。
【0007】
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、衝突判定手段にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリングを操作することで障害物を回避することが可能であると判断された場合に、進行軌跡算定手段によって算定される進行軌跡内に障害物の位置がなくなるまでステアリングを回動する回動手段を備えたことを特徴とし、請求項1又は2の発明の作用に加えて、障害物の回避行動が確実かつ容易に行われ、安全性及び操縦性が向上する。
【0008】
請求項の発明は、請求項1〜の何れかの発明において、衝突判定手段にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリングの操舵角を最大にしても障害物を回避することが不可能であると判断された場合に、車両を停止するようにエンジン及びブレーキを制御する制御手段を備えたことを特徴とし、請求項1〜の何れかの発明の作用に加えて、障害物へ衝突する危険性が低減する。
【0009】
請求項の発明は、請求項1〜の何れかの発明において、衝突判定手段にて障害物の衝突の可能性に応じた危険度を設定し、この危険度が高くなるに従って車両の最高速度又は最高加速度を低減するように車両のエンジン及びブレーキを制御する制御手段を備えたことを特徴とし、請求項1〜の何れかの発明の作用に加えて、障害物に衝突する危険度が高い場合の幅寄せや接近操作時のアクセル操作誤りによる急激な加速時の衝突を防止し、障害物への接近操縦時の安全性が向上する
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の車両用障害物監視装置は、図1に示すように、自動車の車両が前後のどちらに進むのかを判定するためにオートマチックトランスミッションのシフトレバーの位置(例えば、パーキング,リバース,ニュートラル,ドライブ,2nd,1st等)を検知するシフト位置センサ1と、車両の有するステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ2と、シフト位置センサ1及び操舵角センサ2の検出結果に基づいて車両の進行軌跡を算定する進行軌跡算定手段3と、車両に設置されて車両周辺の障害物までの距離と角度から障害物の位置を検出する障害物位置検出手段たる2次元超音波センサ4と、2次元超音波センサ4によって検出された障害物の位置が進行軌跡算定手段3によって算定された進行軌跡内に在るか否かを判定する衝突判定手段5と、衝突判定手段5により障害物の位置が進行軌跡内に在ると判定された場合に運転者に衝突の危険があることを報知する報知手段たるブザー7と、少なくとも進行軌跡算定手段3により算定された進行軌跡並びに2次元超音波センサ4により検出された障害物の位置を表示するとともに操舵角センサ2の検出結果に応じて進行軌跡の表示を更新する液晶ディスプレイ等から成る表示器6とを備えている。なお、進行軌跡算定手段3や衝突判定手段5は、マイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータで実行されるソフトウェア(プログラム)等で実現されるものである。また、操舵角センサ2は従来周知の構成を有するものであって、ステアリングが取り付けられているステアリングシャフトに共動して回転する円盤(図示せず)と、この円盤に設けられた孔の両側に対向配置される発光部及び受光部(図示せず)とを備え、発光部からの光を円盤の上記孔を通して受光部で受光したときの受光光量に応じて出力されるHレベル/Lレベルのパルス信号をカウントして、円盤の回転角度からステアリングの操舵角を検出するものである。
【0011】
2次元超音波センサ4は、図2に示すように車両の前方(フロント側)に設けられたバンパーに4箇所埋め込まれ、車両の後方(リア側)に設けられたバンパーに同じく4箇所埋め込まれている。なお、2次元超音波センサ4の取付位置及び取付数はこれに限られるものではない。
【0012】
2次元超音波センサ4と障害物との位置関係は、図3に示すパラメータを用いて表現される。すなわち、Hは2次元超音波センサ4の平面であり、2次元超音波センサ4において超音波を送波/受波する開口が形成される開口面である。Vは超音波センサ4の法線であり、2次元超音波センサ4において超音波を送波/受波する開口の略中心Oを通り、後述する超音波センサ4a、4bの垂直二等分線を構成する。Lは開口の略中心Oから障害物までの距離であり、φは法線Vと障害物とのなす角である。
【0013】
2次元超音波センサ4は、図4並びに図5に示すように、送波/受波兼用の超音波センサ4aと、受波専用の超音波センサ4bと、それらを駆動する駆動回路(図示せず)とにより構成され、以下に示す方法により、障害物の位置関係を特定する。
【0014】
それぞれの超音波センサ4a,4bは距離Lsを隔てて同一平面上に配置される。超音波センサ4aには、図6に示すように、送波信号(パルス波形の信号)が印加され、送波信号がHレベルである間に超音波を送波するようになっている。送波信号がLレベルになった後も超音波センサ4aを構成する超音波振動子の振動が停止するまでに所定の時間を要するために残響現象が生じ、超音波信号がしばらく放射され続ける(図6(b)参照)。
【0015】
なお、図6(d)は超音波センサ4bの受信信号であり、その中で左側の信号(時間的に先に受波する信号)は超音波センサ4aの送波信号を直接受信した波形であり、右側の信号(時間的に後から受波する信号)は障害物からの反射波を示している。また、図6(b)及び(d)に示す受波信号は超音波振動子の振動波形(約40KHz)の包絡線を示しており、その振幅が一定のレベル以上である場合にLレベルになり、一定レベル以下である場合にHレベルになるように整形される(図6(c)及び(e)参照)。2次元超音波センサ4a及び4bでは、これら整形された信号(以下、「整形信号」という)a及びbのHレベルからLレベルへの立ち下がりを検出することで、受信された信号が反射波であることを認識するようになっている。
【0016】
超音波センサ4aから放射された超音波が近接物体に当たって反射すると、図6(b)及び(d)に示すように、超音波センサ4a,4bにおいて反射波が観測されることになる。超音波は空気中を音速c(=340m/s程度)で移動するので、近接物体までの距離は超音波の送波開始から反射波の受信までの時間を測定することで計算することが可能になる。
【0017】
反射波が超音波センサ4a,4bで受信される時間は、それぞれの超音波センサ4a,4bが離れて配置されているため、近接物体の位置によって変わる。例えば、超音波センサ4a,4bが配置されている法線Vよりも近接物体が超音波センサ4a側に位置していれば、図7(c)に示すように超音波センサ4aが先に反射波を受波し(ta<tb)、超音波センサ4b側に位置していれば、図7(d)に示すように超音波センサ4bが先に反射波を受波する(tb<ta)。すなわち、図4及び図5に示すように超音波センサ4aから超音波が送波されてから超音波センサ4a,4bが反射波を受信するまでの時間ta,tbを測定することにより、法線Vと近接物体との角度φ及び開口の略中心Oから障害物までの距離L(=tb×c/2)を計算することができる。
【0018】
ただし、超音波センサ4aの残響により、超音波を送波してからしばらくの間は反射波を受波することができない。したがって、例えば、図7(b)に示すように反射波の検出タイミングによっては、残響時間以内に反射波が受波されるような距離に障害物が存在すると、超音波センサ4bでしか反射波が観測されない。この場合は、角度φの計算は行わず、距離Lの情報しか得られないので角度φは0であると近似する。
【0019】
以上のように、2次元超音波センサ4により、近接物体までの距離Lと角度φとが求められる。上述の手続により車両に取り付けられた全ての2次元超音波センサ4から得られる情報から車両の周囲に存在する障害物が検出されるのである。
【0020】
なお、本実施形態にあっては障害物位置検知手段として2次元超音波センサ4を用いているが、測距式の超音波センサアレイや、あるいはレーザ又はマイクロ波を用いて障害物を検出するものを用いてもよい。また、シフト位置センサ1により、車両が前進しようとしているか、後退しようとしているかを判断することが可能になるため、前進しようとしている場合は車両の前方に取り付けられた2次元超音波センサ4だけを用いるようにし、後退しようとしている場合は後方に取り付けられた2次元超音波センサ4だけを用いるようにすることで、消費電力の低減を図るようにしてもよい。
【0021】
進行軌跡算定手段3は、シフト位置センサ1及び操舵角センサ2から一定時間毎にその検出値を読み込み、車両の進行軌跡を以下のように計算する。
【0022】
ここで、低速走行時の車両の進行軌跡は、ステアリングの操舵角を0度で一定に保持している状態、すなわち車両が直進している場合には直線となり、ステアリングの操舵角が0度でない状態、すなわち車両が直進していない場合(例えば、右折又は左折している場合)には略円形となる。そのため、車両が直進しているか否かをステアリングの操舵角が略0度か否かで判定を行い、操舵角が略0度で車両が直進している場合には進行軌跡を車体側面の延長線から成る直線とする。また、操舵角が略0度でなく車両が直進していない場合には操舵角に応じて進行軌跡(以下、「軌跡円」という)の半径を計算する。なお、ステアリングの操舵角と上記軌跡円の関係は車両のホイールベースやボディ形状、あるいは4隅のコーナ部の形状等に依存するため、車両に応じて予め測定してあり、マイクロコンピュータ内部の記憶装置にテーブルとして操舵角と軌跡円半径の関係を記録してある。
【0023】
一方、衝突判定手段5は上記2次元超音波センサ4より一定時間毎に障害物の位置(距離L及び角度φ)の情報を読み込み、図8(b)に示すように2次元超音波センサ4の検出領域D内に障害物Xの存在を検出した場合、その障害物Xの位置が上記軌跡円Sの内部に含まれていれば衝突の可能性が有ると判定し、同図(a)に示すように障害物Xの位置が軌跡円Sの内部に含まれなければ衝突の可能性が無いと判定する。
【0024】
ところで上述のように衝突の可能性が有ると判定した場合、衝突判定手段5はブザー7を鳴動して運転者に警報を行う。このとき、車両から障害物Xまでの距離Lに応じてブザー7の音量や周波数を変えたり、あるいは距離Lに応じて断続音の間隔を短くして所定の距離以下の場合には連続音にする等、警報の仕方を変えることで衝突の危険度を運転者に知らせるようにしても良い。なお、衝突の可能性がないと判定した場合には、衝突判定手段5はブザー7による警報を行わないが、このような場合でも障害物の存在を運転者に知らせるために上記警報時とは異なる音量や周波数でブザー7を鳴動させて、衝突の可能性がある場合と区別して報知(警報)するようにしても良い。あるいは、音声によって障害物の位置や衝突の可能性の有無を報知するようにしてもよい。
【0025】
上述のように進行軌跡算定手段3で算定した車両の進行軌跡の内部に、2次元超音波センサ4で検出した障害物位置が在るか否かに基づいて障害物への衝突の可能性を判定しているので、例えば車両が壁と平行に走行する場合のように障害物である壁と車両が衝突する可能性がない状況においては警報が行われず、衝突の可能性がない障害物に対する不必要な警報が行われなくなり、車両の切り返し等の操作を低減させて操縦性を向上することができる。
【0026】
また、表示器6においては、進行軌跡算定手段3並びに2次元超音波センサ4からの情報に基づき、図9に示すように車両Kと進行軌跡Mと障害物位置Pの画像を生成して画面に表示する。ここで、図9〜図11に示すように進行軌跡算定手段3から順次送られてくる情報に基づいて表示器6が進行軌跡Mの表示を更新しているので、運転者においては、障害物位置Pが進行軌跡Mの内部に存在しなくなるまでステアリングを回転させた後で車両を前進または後退させることにより、表示器6の画面を見て障害物を回避するために必要なステアリング操作を知ることができる。而して、運転手の死角領域に障害物が存在した場合でも、表示器6によって障害物の位置が即座に分かり、現在のステアリングの操舵角を維持したまま障害物を回避可能であるか否か、回避不可能な場合にはステアリングを左右どちらの方向に操作すれば良いかが分かり、死角領域の障害物を回避する為に降車して障害物の位置を確認する等の手間が省けて操縦性が向上するという利点がある。
【0027】
また、衝突判定手段5では、現在のステアリングの操舵角に基づいて車両が障害物に衝突する可能性が有ると判定した場合には、仮想的に最大操舵角に達するまでステアリングを切った場合の衝突可能性を逐次判定し、衝突可能性が無くなった時点での操舵角と現在の操舵角の差分及びステアリングの操作方向を表示器6の画面に表示する。例えば、図9に示すように現在の操舵角が略0度であって車両が直進しており、進行軌跡M内部に障害物位置Pが在るような場合、表示器6の画面下部にステアリングの操作方向(この場合には右方向)を示す矢印及び進行軌跡M内部に障害物位置Pが無くなるまで切るべきステアリングの操舵角(例えば、510度)を表示し、図10に示すように運転者がステアリングを右に切って車両の進行軌跡Mが変われば、そこからさらに切るべきステアリングの操舵角(例えば、180度)を表示する。そして、図11に示すように進行軌跡M内部に障害物位置Pが無くなれば、ステアリングの操作方向の表示を停止するとともにステアリングの操舵角の表示を0度とする。なお、衝突判定手段5にてステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避不可能であると判定されれば、図12及び図13に示すように表示器6の画面に停止を促す表示(「STOP」の表示)が行われるようになっている。
【0028】
このように表示器6には障害物を回避するために必要なステアリングの操作方向と操舵角の値が表示されるので、車両の周辺に障害物が在る場合に、運転手が障害物との衝突を回避するためにすべき操作、すなわち、現在のステアリングの操舵角の維持、または障害物を回避するためのステアリングの操作、あるいは切り返しが即座に運転者に分かるとともに、障害物が回避可能となるステアリングの操作方向及び操舵角を運転者に指示するため、不要な切り返しを避けることができるとともに障害物を回避する際のステアリング操作が容易に行われ、操縦性が向上するという利点がある。なお、本実施形態では車両前部で右折した場合を示したが、左折や、後退時も同様に車両の進行軌跡内部に障害物が存在した場合には衝突可能性有りとし、警報、及びステアリングの操作方向の指示と操舵角の表示を行うことはいうまでもない。また操舵角の表示は数値でなくレベルメータ等による表示であっても良い。また、本実施形態の車両用障害物監視装置は、駐車場や狭い場所での低速走行(停止を含む)時における運転者の補助を目的とし、車両が停止又は低速走行している場合にシフト位置センサ1及び操舵角センサ2の検出結果から車両の進行軌跡を算定しているので、車速が所定値以上になった場合にはシフト位置センサ1や操舵角センサ2並びに2次元超音波センサ4等の動作を停止して消費電力の低減を図っている。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態の車両用障害物監視装置は、図14に示すように、ステアリング8が取り付けられたステアリングシャフト9を回動するモータ10と、衝突判定手段5により制御されてステアリング8を回動するようにモータ10を駆動するステアリング駆動回路11とを備えており、その他の構成は実施形態1と共通するので、共通する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
本実施形態においては、衝突判定手段5で衝突回避の可能性が有ると判定されると衝突を回避可能なステアリング8の操舵角(目標角度値)が計算され、その目標角度値が衝突判定手段5からステアリング駆動回路11に出力される。ステアリング駆動回路11は、ステアリング8の操舵角が受け取った目標角度値と一致するようにモータ10を駆動し、ステアリングシャフト9を回転させる。
【0031】
而して、本実施形態によれば、衝突判定手段5にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリング8を操作することで障害物を回避することが可能であると判断された場合に、進行軌跡算定手段3によって算定される進行軌跡内に障害物の位置がなくなるまでステアリングを回動するモータ10及びステアリング駆動回路11を備えたので、障害物の回避行動が確実かつ容易に行われ、安全性及び操縦性が向上するという利点がある。
【0032】
(実施形態3)
本実施形態の車両用障害物監視装置は、図15に示すように、自動車のエンジン12を制御するエンジン制御回路13と、自動車のブレーキ14を制御するブレーキ制御回路15とを備えており、その他の構成は実施形態1と共通するので、共通する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
衝突判定手段5では、障害物との衝突の可能性を段階的に判定し、例えば、そのまま進行すれば衝突回避の可能性が無い状況を危険度3、ステアリングを操作することで衝突回避が可能な状況を危険度2、現在のステアリングの操舵角のままで衝突回避が可能な状況を危険度1、障害物が検出されていない状況を危険度0と設定するとともに、各危険度3〜0に応じて許容される車両の最高速度値、例えば危険度3では0〔km/h〕、危険度2では5〔km/h〕、危険度1では10〔km/h〕というように危険度が高いほど小さな値にそれぞれ設定し、危険度0では最高速度値を設定しない。そして、衝突判定手段5は、危険度3〜1の場合に各危険度に応じた最高速度値に車両の速度を制限するようにエンジン制御回路13並びにブレーキ制御回路15に制御信号を出力する。
【0034】
制御信号を受け取ったエンジン制御回路13及びブレーキ制御回路15は、それぞれ制御信号に基づいてエンジンの回転数を制御するとともにブレーキを作動させて車両の速度が最高速度値以下となるように制御する。なお、危険度3の場合には車両を停止させる。
【0035】
而して、本実施形態によれば、衝突判定手段5にて障害物の衝突の可能性に応じた危険度を設定し、この危険度が高くなるに従って車両の最高速度値を低減するように車両のエンジン12及びブレーキ14を制御するエンジン制御回路13並びにブレーキ制御回路15を備えたので、障害物に衝突する危険度が高い場合の幅寄せや接近操作時のアクセル操作誤りによる急激な加速時の衝突を防止し、障害物への接近操縦時の安全性が向上するという利点がある。なお、最高速度値の代わりに最高加速度値や車輪回転速度、エンジン回転数等の上限値を設定することにより、障害物が近くに存在する危険な状態での急発進や速度の出し過ぎを抑制するようにしてもよい
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明は、車両に設置されて車両周辺の障害物までの距離と角度から障害物の位置を検出する障害物位置検出手段と、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、車両の有するステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段と、進行方向検出手段並びに操舵角検出手段の検出結果に基づいて車両の進行軌跡を算定する進行軌跡算定手段と、障害物位置検出手段によって検出された障害物の位置が進行軌跡算定手段によって算定された進行軌跡内に在るか否かを判定する衝突判定手段と、衝突判定手段により障害物の位置が進行軌跡内に在ると判定された場合に運転者に衝突の危険があることを報知する報知手段と、少なくとも進行軌跡算定手段により算定された進行軌跡、並びに障害物位置検出手段により検出された障害物の位置を表示するとともに、操舵角検出手段の検出結果に応じて進行軌跡の表示を更新する表示手段とを備え、衝突判定手段は、障害物の位置が進行軌跡内に在る場合にステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避可能であると判断すれば操舵角検出手段の検出結果が障害物を回避可能なステアリングの操舵角に達するまでステアリングの操作方向を運転者に指示するとともに、ステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避不可能であると判断すれば運転者に車両の停止を指示し、障害物の位置が進行軌跡内にない場合に現在のステアリングの操舵角にて障害物を回避可能であることを運転者に教示するので、障害物の位置が車両の進行しようとする進行軌跡内にない場合には運転者に対して衝突の危険を報知しないから、衝突の可能性がない障害物に対する不必要な警報が行われなくなり、車両の切り返し等の操作を低減させて操縦性を向上することができ、しかも、現在のステアリングの操舵角に対応した進行軌跡と障害物の位置とが表示手段に表示されるため、運転手の死角領域に障害物が存在した場合でも表示手段によって障害物の位置が即座に分かり、現在のステアリング操舵角を維持したまま障害物を回避可能であるか否か、回避不可能な場合にはステアリングを左右どちらの方向に操作すれば良いかが分かり、死角領域の障害物を回避する為に降車して障害物の位置を確認する等の手間が省けて操縦性が向上し、さらに、車両の周辺に障害物が在る場合に、運転手が障害物との衝突を回避するためにすべき操作、すなわち、現在のステアリングの操舵角の維持、または障害物を回避するためのステアリングの操作、あるいは切り返しが即座に運転者に分かるため、不要な切り返しを避けることができて操縦性が向上するという効果がある。
【0037】
請求項の発明は、衝突判定手段が、障害物の位置が進行軌跡内に在る場合にステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避可能であると判断すれば障害物が回避可能となるステアリングの操作方向及び操舵角を運転者に指示するので、請求項の発明の効果に加えて、障害物を回避する際のステアリング操作が容易に行われ、操縦性が向上するという効果がある。
【0038】
請求項の発明は、衝突判定手段にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリングを操作することで障害物を回避することが可能であると判断された場合に、進行軌跡算定手段によって算定される進行軌跡内に障害物の位置がなくなるまでステアリングを回動する回動手段を備えたので、請求項1又は2の発明の効果に加えて、障害物の回避行動が確実かつ容易に行われ、安全性及び操縦性が向上するという効果がある。
【0039】
請求項の発明は、衝突判定手段にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリングの操舵角を最大にしても障害物を回避することが不可能であると判断された場合に、車両を停止するようにエンジン及びブレーキを制御する制御手段を備えたので、請求項1〜の何れかの発明の効果に加えて、障害物へ衝突する危険性が低減するという効果がある。
【0040】
請求項の発明は、衝突判定手段にて障害物の衝突の可能性に応じた危険度を設定し、この危険度が高くなるに従って車両の最高速度又は最高加速度を低減するように車両のエンジン及びブレーキを制御する制御手段を備えたので、請求項1〜の何れかの発明の効果に加えて、障害物に衝突する危険度が高い場合の幅寄せや接近操作時のアクセル操作誤りによる急激な加速時の衝突を防止し、障害物への接近操縦時の安全性が向上するという効果がある
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上における2次元超音波センサの車両への設置個所を説明するための説明図である。
【図3】同上における2次元超音波センサと障害物との位置関係を表示するパラメータの説明図である。
【図4】同上における障害物の位置を検出する過程の説明図である。
【図5】同上における障害物の位置を検出する過程の説明図である。
【図6】同上における2次元超音波センサの送受波信号のタイムチャートである。
【図7】同上における2次元超音波センサの送受波信号を整形した整形信号のタイムチャートである。
【図8】(a)及び(b)は同上の動作説明図である。
【図9】同上における表示器の表示画面の一例を示す説明図である。
【図10】同上における表示器の表示画面の一例を示す説明図である。
【図11】同上における表示器の表示画面の一例を示す説明図である。
【図12】同上における表示器の表示画面の一例を示す説明図である。
【図13】同上における表示器の表示画面の一例を示す説明図である。
【図14】実施形態2を示すブロック図である。
【図15】実施形態3を示すブロック図である
【符号の説明】
1 シフト位置センサ
2 操舵角センサ
3 進行軌跡算定手段
4 2次元超音波センサ
5 衝突判定手段
6 表示器
7 ブザー

Claims (5)

  1. 車両に設置されて車両周辺の障害物までの距離と角度から障害物の位置を検出する障害物位置検出手段と、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、車両の有するステアリングの操舵角を検出する操舵角検出手段と、進行方向検出手段並びに操舵角検出手段の検出結果に基づいて車両の進行軌跡を算定する進行軌跡算定手段と、障害物位置検出手段によって検出された障害物の位置が進行軌跡算定手段によって算定された進行軌跡内に在るか否かを判定する衝突判定手段と、衝突判定手段により障害物の位置が進行軌跡内に在ると判定された場合に運転者に衝突の危険があることを報知する報知手段と、少なくとも進行軌跡算定手段により算定された進行軌跡、並びに障害物位置検出手段により検出された障害物の位置を表示するとともに、操舵角検出手段の検出結果に応じて進行軌跡の表示を更新する表示手段とを備え、衝突判定手段は、障害物の位置が進行軌跡内に在る場合にステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避可能であると判断すれば操舵角検出手段の検出結果が障害物を回避可能なステアリングの操舵角に達するまでステアリングの操作方向を運転者に指示するとともに、ステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避不可能であると判断すれば運転者に車両の停止を指示し、障害物の位置が進行軌跡内にない場合に現在のステアリングの操舵角にて障害物を回避可能であることを運転者に教示することを特徴とする車両用障害物監視装置。
  2. 衝突判定手段は、障害物の位置が進行軌跡内に在る場合にステアリングの操舵角が最大になるまでに障害物が回避可能であると判断すれば障害物が回避可能となるステアリングの操作方向及び操舵角を運転者に指示することを特徴とする請求項1記載の車両用障害物監視装置。
  3. 衝突判定手段にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリングを操作することで障害物を回避することが可能であると判断された場合に、進行軌跡算定手段によって算定される進行軌跡内に障害物の位置がなくなるまでステアリングを回動する回動手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用障害物監視装置。
  4. 衝突判定手段にて障害物の位置が進行軌跡内に在り且つステアリングの操舵角を最大にしても障害物を回避することが不可能であると判断された場合に、車両を停止するようにエンジン及びブレーキを制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用障害物監視装置。
  5. 衝突判定手段にて障害物の衝突の可能性に応じた危険度を設定し、この危険度が高くなるに従って車両の最高速度又は最高加速度を低減するように車両のエンジン及びブレーキを制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用障害物監視装置
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