JP3608069B2 - 焼却灰類の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却灰、焼却飛灰および熔融飛灰などの灰類(これらを総称して以下 焼却灰類 と記すことがある)の処理方法に関し、さらに、詳細には、重金属成分を含有する焼却灰類から重金属成分を分離する焼却灰類の処理方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
家庭および事業所などから廃棄されるごみにはポリ塩化ビニルなどが多量に含有されているのが一般である。このようなごみは焼却されるが、この焼却に際して、ごみに含有されていたポリ塩化ビニルに起因して、排気には多量の塩素化合物が含有され、環境汚染の原因となるので、排気中の塩素化合物は除去されなければならない。
【0003】
焼却排気中の塩素化合物を除去するには、通常は、焼却前のごみに、および/または排気に過剰量の消石灰を添加して、これらの塩素化合物を塩化カルシウムに変化せしめ、この塩化カルシウムを、たとえば、各種の集塵機などの固気分離手段によって分離し、分離された塩化カルシウム含有物は焼却飛灰とされている。従って、この焼却飛灰はアルカリ性であることが通常である。
【0004】
このようにして分離された焼却飛灰は、特別監理一般廃棄物の指定によって、さらに熔融処理、セメント固化、薬剤処理および酸抽出などの最終処理のうちのいずれかによって処理されなければ、廃棄することはできないとされている。なお、これらの廃棄物は通常は所定の場所の野外に堆積されたり、土中に埋没されるだけであり、この最終処分物には雨水ならびに浸透水および地下水などに溶出する、たとえば、重金属成分などの有害物質は含有されていてはならないとされている。
【0005】
また、たとえば、焼却飛灰の熔融処理においては、焼却飛灰中の塩化カルシウムなどの塩素化合物から塩化水素および/または塩素ガスを発生し、この塩化水素および/または塩素ガスは排気とともに排出される。この塩化水素および/または塩素ガスを除去するために、この塩化水素および/または塩素ガスを含有する排気と消石灰とを混合して、この塩化水素および/または塩素ガスを、再度、塩化カルシウムに変化せしめて熔融飛灰として回収している。
【0006】
熔融飛灰も廃棄に先立ってセメント固化および薬剤処理などの最終処理に付され最終処理物とされなければならないが、これらの最終処理物のそれぞれにおいても、前記の焼却飛灰におけると同様に多量の塩素分および重金属成分が溶出するので、この重金属成分の溶出を防止するために、セメントおよび薬剤を多量使用しなければならず、これは、物質の浪費および廃棄物の増加をもたらすことになり好ましくないとされている。
【0007】
このようにして、これらの焼却飛灰および熔融飛灰ならびに焼却灰などの焼却灰類には、たとえば、重金属の塩化物および酸化物のような重金属成分が含有されており、これらの重金属は環境汚染などの危険性があり、これらの最終処理のみによっては所期の最終処分物は得にくく環境を汚染し公害問題が発生することになる。
【0008】
これらの焼却灰類に含有されている重金属成分を焼却灰類から分離回収する方法として、特開平7−109533号公報、特開平8−141539号公報、特開平8−240310号公報および特開平8−35017号公報のそれぞれに記載されている。
特開平7−109533号公報には、熔融飛灰の懸濁液をアルカリ性として、亜鉛、鉛、カドミウムおよび銅などを、これらの金属の水酸化物として沈殿せしめる方法が記載されている。
【0009】
特開平8−141539号公報には、1段乃至4段の工程からなり、最終的に亜鉛など重金属を水酸化物とし、その他の金属を硫化物として飛灰類から分離する方法が記載されている。
特開平8−240310号公報には、飛灰または熔融飛灰を熔融した際の排ガスを洗浄液で冷却洗浄し、冷却洗浄で得られた固形分含有液から固形分を除去した濾液を電解して重金属単体を電極表面に析出せしめて分離する方法が記載されている。
【0010】
特開平8−35017号公報には、廃自動車、廃家電製品などからのシュレッダーダストを焼却減容した際の飛灰を炭酸アンモニウムで溶出して、該飛灰に含有されていた銅および亜鉛をこれらのアンモニウム錯体として選択的に溶出せしめ、該溶出液から銅単体および亜鉛単体を電気化学的に回収する方法が記載されている。
【0011】
さらに、鍍金排液には重金属成分および貴金属成分などが含有されているが、鍍金排水から重金属成分および貴金属成分をそれぞれの金属単体として分離するために水素化ほう素ナトリムなどのほう素含有還元剤が使用されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来技術のうちの前二者においては、飛灰類から分離される重金属はそれらの水酸化物または硫化物などの重金属化合物の沈殿である。しかして、分離された鉛などの重金属の化合物の沈殿はシリカおよびアルミナが同伴しているので、鉛などの重金属のみを分離するためには、シリカおよびアルミナを除去するための精製工程を必要とするとの欠点があった。
【0013】
前記の従来技術のうちの後二者においては、飛灰類から分離される重金属は単体ではあるが、電気化学的手段を執っているために装置が複雑となり、また貴重な電力資源を使用しなければならないとの欠点があった。
従って、飛灰類に含有されている重金属成分を、単純な操作で、かつ、貴重な電力資源を使用することなく、重金属を分離する方法の開発が強く要望されていた。
【0014】
さらに、鍍金排液に水素化ほう素ナトリウムなどを添加して鍍金排液からこれに含有されている重金属成分および貴金属成分をそれぞれ金属単体として分離回収する方法を、飛灰類からこれらに含有されている重金属成分を重金属単体として分離回収するために適用することが予測される。
【0015】
しかしながら、鍍金排液においては固形物が殆ど含有されていないので、鍍金排液に水素化ほう素ナトリウムを添加して、該鍍金排液に溶存している重金属成分乃至貴金属成分をそれぞれ金属単体に変換して不溶化せしめ、不溶化せしめられた金属を分離するだけで、純度の高い重金属単体分乃至貴金属単体を容易に分離することができた。
【0016】
他方、飛灰類には、通常は、多量のシリカおよび/またはアルミナなどが含有されているために、この飛灰の懸濁液には前記のシリカおよびアルミナなどが固形物として懸濁せしめられており、溶存している重金属成分乃至貴金属成分を金属単体に変換し不溶化せしめて分離する際に、シリカおよびアルミナなどの固形物が多量に同伴するので、この方法だけでは焼却灰類からの重金属分離に適用することはできないとされている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研鑚を重ねた結果、焼却灰類に含有されている重金属成分は中性付近では溶解性は小さいが、酸性およびアルカリ性のそれぞれにおいては溶解性が大きくなり、かつ、たとえば、重金属の塩化物のような溶存重金属成分にほう素を含有する還元剤(以下 ほう素含有還元剤 と記すこともある)を反応せしめて還元することにより重金属成分を金属単体に変換せしめて効率よく析出せしめることができるとの新知見を得た。
【0018】
また、鉛単体は酸またはアルカリと接触せしめられると、鉛単体粒子表面が不動態で覆われて鉛の溶出を妨げるものとされていたが、このように不動態で被覆された鉛単体粒子を含有する残渣または懸濁液を剪断攪拌することによって鉛単体表面の不動態を剥離して鉛単体の溶出を促進せしめ得、さらにこの剪断攪拌によって、ほう素含有還元剤の不存在下の場合には鉛の不動態は殆ど剥離されないが、ほう素含有還元剤の存在下では、鉛の不動態は容易に剥離されるとの新知見を得た。 本発明者らは、これらの新知見に基づいて本発明に到達した。
なお、鉛の不動態は鉛管である、たとえば、水道管などの内周面に形成され、水道管などの腐食を防止していることで広く知られているような極めて難溶な物質である。
【0019】
すなわち、本第一発明は、重金属成分を含有している焼却灰類から重金属成分を分離する焼却灰類の処理方法におて、焼却灰類に含有されている重金属成分にほう素を含有する還元剤を作用せしめて該重金属成分を重金属単体に変換せしめて不溶化することを特徴とする焼却灰類の処理方法である。
【0020】
本第二発明は、少なくとも鉛を包含する重金属成分を含有する焼却灰類の処理方法において、焼却灰類と水とを混合して焼却灰類懸濁液を得、該焼却灰類懸濁液に中性乃至アルカリ性下でほう素を含有する還元剤を作用せしめ、該重金属成分を還元せしめて重金属単体に変換せしめることを特徴とする焼却灰類の処理方法である。
【0021】
本第三発明は、少なくとも鉛を包含する重金属成分を含有する焼却灰類の処理方法において、焼却灰類と水とを混合して焼却灰類懸濁液を得、該焼却灰類懸濁液に中性乃至アルカリ性下でほう素を含有する還元剤を作用せしめ、該重金属成分を還元せしめて重金属単体に変換せしめ、該重金属単体を含有する残渣を液から分離する第一工程ならびに第一工程からの重金属単体を含有する残渣を酸性下またはアルカリ性下で剪断攪拌し、次いで再度懸濁液とし、該懸濁液中の重金属単体を可溶化、溶出せしめて少なくともシリカおよび/またはアルミナを含有する不溶物と分離する第二工程を有することを特徴とする焼却灰類の処理方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において、処理される焼却灰類は、少なくとも重金属成分を含有してさえいればよく特に制限はないが、その代表例として焼却灰、焼却飛灰および熔融飛灰などを挙げることができる。
これらの焼却灰類に含有されている重金属成分としては、たとえば、鉛、亜鉛、錫、カドミウム、鉄、およびニッケルなどの重金属の塩化物のような水溶性重金属成分および重金属酸化物のような不溶性のいずれであってもよい。
これらの焼却灰類には、通常は、重金属成分とともに多量のシリカおよび/またはアルミナが含有されている。
【0023】
焼却灰類は水と混合されて懸濁液(以下 焼却灰類懸濁液 と記すこともある)とされる。
ここで使用される水は、通常、工業用原料水として使用されている水であって、ほぼ中性の水であるが、微酸性または微アルカリ中性の水であってもよく、少量の夾雑を含有していてもよい。その代表例として市水、工業用水および各種の処理を経た循環水などを挙げることができる。
【0024】
焼却灰類に対する水の量は得られた混合物が液状であればよく、特に制限はないが、実用上、焼却灰類(乾物重換算)に対して重量比で1〜10倍程度が好ましく、2〜4倍程度が特に好ましい。
また、焼却灰類とたとえば、水酸化ナトリウム水溶液などのようなアルカリ水溶液とを混合してアルカリ性の焼却灰類懸濁液とすることもできる。
【0025】
焼却灰類懸濁液に中性乃至アルカリ性下でほう素を含有する還元剤(以下 ほう素含有還元剤 と記すこともある)を作用せしめる。
焼却灰類懸濁液に中性乃至アルカリ性下でほう素含有還元剤を作用せしめるには、(イ) 中性乃至アルカリ性の焼却灰類懸濁液とほう素含有還元剤とを混合する(ロ) 焼却灰類懸濁液を中性乃至アルカリ性に調整した後にほう素含有還元剤と混合する、および、(ハ) 焼却灰類懸濁液とほう素含有還元剤とを混合した液を中性乃至アルカリ性に調整するのいずれによってもよい。
【0026】
焼却灰類懸濁液またはほう素含有還元剤と混合された液は、最終的には中性乃至アルカリ性、好ましくはpH7〜11である。このpHの範囲内では、ほう素含有還元剤の作用は最大限に発揮せしめられる。また、重金属成分の溶解度を最小とするためにはpH6〜9とすることが好ましい。
【0027】
従って、重金属成分を金属単体として効率よく不溶化せしめるには焼却灰類懸濁液のpHを7〜9に調整することが最も好ましい。
焼却灰類懸濁液のpH調整時の温度は、重金属単体を効率よく不溶化するためには、通常は、低温程好ましく、0〜40℃程度とされ、冷却することが好ましいが、常温乃至室温で行なうことを妨げない。
【0028】
焼却灰類懸濁液をアルカリ性に調整するために、アミンのような有機塩基ならびにアルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土金属の水酸化物のような無機アルカリ性物質を使用し得るが、水酸化ナトリウムが最も好ましい。
中性乃至アルカリ性に調整された飛灰懸濁液(以下 調整焼却灰類懸濁液 と記すこともある)にほう素含有還元剤に添加される。
【0029】
ほう素含有還元剤は、水の存在下で水素分子を発生し得るほう素化合物であればよく、特に制限はないが、たとえば、水素化ほう素カリウム、水素化ほう素ナトリウムおよびジメチルアミンボリン((CHNH・BH)などが好ましい 。
水素化ほう素カリウムには、カリウムジボラン(K)、テトラボランカリウム(K10)およびペンタボランカリウム(K)があるが、就中、カリウムジボランが最も好ましい。
【0030】
水素化ほう素ナトリウムには、テトラヒドロほう酸ナトリウム(NaBH)の他にナトリウムジボラン(Na)テトラボランナトリウム(Na10)およびペンタボランナトリウム(Na)などがあるが、就中、テトラヒドロほう酸ナトリウムが最も好ましい。
これらのほう素含有還元剤は、それ自体を添加することができるし、また、水溶液として添加することもできる。
【0031】
ほう素含有還元剤の使用量は、ほう素含有還元剤添加後の調整焼却灰類懸濁液の酸化還元電位が−900〜−500ミリボルト(mV)となるような量とされ、調整焼却灰懸濁液に溶存している重金属成分の種類および使用されるほう素含有還元剤の種類などによって異なり一概に特定し得ないが、通常は、調整焼却灰類懸濁液に含有されている重金属の含有量に対して、1〜10倍当量程度、好ましくは、1〜3倍当量程度とされる。
【0032】
調整焼却灰類懸濁液とほう素含有還元剤とを混合することにより、該調整焼却灰類懸濁液に溶存している重金属成分は還元されて金属単体が析出せしめられる。
なお、本発明において、ほう素含有還元剤以外の還元剤は、還元力が弱く、取り扱いに危険性があるので、使用することはできない。
【0033】
前記のほう素含有還元剤とともに、亜硫酸水素アルカリ金属および/またはアルカリ土金属水酸化物を併用することが好ましい。
亜硫酸水素アルカリ金属としては、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)が最も好ましい。アルカリ土金属水酸化物としては水酸化カルシウムが最も好ましい。
【0034】
亜硫酸水素アルカリ金属および/またはアルカリ土金属水酸化物の使用量は、ほう素含有還元剤、亜硫酸水素アルカリ金属およびアルカリ土金属水酸化物のそれぞれの種類などによって一概に特定し得ないが、調整焼却灰類懸濁液100重量部に対して、0.01〜0.5重量部程度が好ましく、0.05〜0.5重量部程度が特に好ましい。
【0035】
ほう素含有還元剤とともに亜硫酸水素アルカリ金属および/またはアルカリ土金属水酸化物を併用することにより、調整焼却灰類懸濁液に溶存していた重金属成分の還元が促進され、ほう素含有還元剤の使用量を節減できるので好ましい。調整焼却灰類懸濁液とほう素含有還元剤ならびに亜硫酸水素アルカリ金属および/またはアルカリ土金属水酸化物との混合の際の温度は、通常は、0〜40℃程度の低温で行われ、冷却下で行われるが、常温乃至室温で行なうことを妨げない。
【0036】
重金属単体が析出せしめられた焼却灰類懸濁液から固形物を除去するには、沈降、濾過または遠心分離などの通常の固液分離手段を使用することができるが、濾過または遠心分離が好ましい。
この固形分離時の温度は前記の焼却灰類懸濁液のpH調整時の温度と同様とされる。
沈降を促進するために各種の凝集剤を使用することができる。
【0037】
凝集剤としては、アニオン系凝集剤が好ましく、その代表例として、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルローズ・ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリムおよびマレイン酸共重合物塩などを挙げることができる。
このようにして分離回収された重金属単体にはシリカおよび/またはアルミナが同伴している。
なお、この重金属単体が分離された後の濾液には水溶性の金属成分などが含有されている。
【0038】
焼却灰類のpH調整、ほう素含有還元剤の添加および重金属単体の分離の工程を第一工程と記すことがある。
第一工程で得られた重金属単体を含有する残渣を酸性、好ましくはpH6以下またはアルカリ性、好ましくはpH9以上に調整する(以下 調整残渣 と記すこともある)。
前記の残渣は、通常は、流動性が比較的大きい液状なので、この残渣のpH調整は、この残渣に、酸性物質またはアルカリ性物質を添加して、攪拌、混合することによって可能である。
【0039】
酸性物質として、通常は、有機酸自体、無機酸自体およびこれらの酸の水溶液を使用することができるが、無機酸が好ましく、硝酸が特に好ましい。
アルカリ性物質として、通常は、たとえば、アミンのような有機塩基ならびにアルカリ金属水酸化物およびアルカリ土金属水酸化物のような無機アルカリ性物質を使用し得るが、水酸化ナトリムが最も好ましい。
【0040】
調整残渣の液分は、通常は、20〜90重量%が好ましく、30〜60重量%が特に好ましい。
調整残渣の温度は、金属成分の溶存量を多くするためには、80℃程度に加熱することが好ましいが、常温乃至室温とすることも妨げない。
【0041】
調整残渣は剪断攪拌される。
本発明において、「剪断攪拌」は鉛単体粒子表面の不動態を剥離除去できさえすればよく、たとえば、捏和、混捏、混練および/擂潰などの手段によることができる。
その、攪拌強さは、通常は、攪拌翼先端の周速度が0.1〜1メートル/秒程度とされる。
また、攪拌機には、特に制限はないが、たとえば、「ニーダー」が好適に使用される。
【0042】
調整残渣がほう素含有還元剤の存在下で剪断攪拌されることにより、調整残渣に含有されている鉛単体は該調整残渣のような酸性またはアルカリ性ではその粒子表面に形成され溶解しないとされている不動態が該粒子表面から剥離され、鉛単体も可溶化せしめられて溶出が促進されるに至る。
【0043】
前記の調整残渣に含有されていた重金属単体の溶出量をさらに増大せしめるために、該調整残渣に水を補充して再懸濁せしめた懸濁液(以下 第二調整焼却灰類懸濁液 と記すこともある)とし、これを加熱することが好ましい。
補充される水の量には特に制限はないが、重量で前記の調整残渣の固形分量の50〜200倍程度が好ましい。
温度は高い程、好ましいが、装置および機器などの強度および腐食防止などの見地から60〜100℃程度が好ましい。
【0044】
第二調整焼却灰類懸濁液において、重金属成分の溶解度は増大せしめられるので残渣に含有されている重金属単体は可溶化せしめられて、該懸濁液中に溶存せしめられる。
他方、残渣に含有されていたシリカ/アルミナは不溶物のまま該懸濁液中に浮遊している。
【0045】
第二調整焼却灰類懸濁液は、沈降、濾過および遠心分離などの通常の固液分離手段、好ましくは、後二者によって固液分離される。
残渣には、少なくともシリカおよび/またはアルミナなどの不溶物が含有されており、濾液にはシリカおよび/またはアルミナは実質的に含有されておらず、少なくとも重金属成分が含有されている。
第一工程で得られた重金属単体を含有する残渣のpH調整および剪断攪拌、再懸濁液化および固液分離を包含する一連の工程を第二工程と記すこともある。
【0046】
前記の第二工程からの濾液に溶存せしめられている重金属成分は常法によって回収される。
たとえば、この濾液に前記のほう素含有還元剤を添加することにより、該濾液にに溶存せしめられていた重金属単体を還元して不溶化して析出せしめて分離回収するか、または、この濾液を蒸留などによって濃縮し冷却して重金属成分を析出せしめて分離回収される。
【0047】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
塵芥をストーカー式焼却炉で焼却した際の炉底の焼却灰をプラズマ式熔融炉で熔融処理し、この際に発生せしめられた熔融飛灰を実施例に供した。
該熔融飛灰の組成を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003608069
【0049】
前記の熔融飛灰1000重量部と水3000重量部とを混合して熔融飛灰懸濁液とし、この熔融飛灰懸濁液を硝酸および水酸化ナトリウムのそれぞれで所定のpHに調整した。その後、所定のpHに調整された熔融飛灰懸濁液を濾過して得られた濾液の重金属濃度(以下 重金属溶存量 と記すこともある)を分析した。
熔融飛灰懸濁液のpHと濾液の重金属濃度との関係を図1に示す。
【0050】
図1において横軸および縦軸は、それぞれ熔融飛灰懸濁液のpHおよび該懸濁液からの濾液の重金属濃度を示す。
図1から、中性近辺では濾液の重金属濃度は低かったが酸性域およびアルカリ性域では濾液の重金属濃度は高くなり、pHが低くなり、または高くなるに伴って濾液の重金属濃度は高くなり、濾液の重金属成分の溶存量を少なくしたい場合には、濾液を中性、好ましくは、pHを約6より高く乃至は約9未満の範囲に調整すればよく、濾液の重金属成分の溶存量を多くしたい場合には、濾液を酸性、好ましくは、pHを約6以下、特に好ましくはpHを約3以下またはアルカリ性、好ましくはpHを約9以上、特に好ましくはpHを約11以上に調整すればよいことが判る。
【0051】
実施例2
第一工程
実施例1におけると同様な熔融飛灰1000重量部と水3000重量部とを混合して得られた熔融飛灰懸濁液にほう素含有還元剤として、40重量%水酸化ナトリウム水溶液にテトラヒドロほう酸ナトリウムをその含有率が12重量%となるように溶解せしめた溶液840重量部を添加し、さらに濃硝酸700重量部を添加して、pH7.6に調整した。なお、この液の酸化還元電位は−700mVであった。また、このときの懸濁液を24℃に60分間保った。
【0052】
なお、テトラヒドロほう酸ナトリウムの量はこの熔融飛灰懸濁液に含有されている重金属成分量の1.27倍当量に相当する。
次いで、この懸濁液中の固形物を遠心分離機で分離されたケーキを3000重量部の水で洗浄して、脱水ケーキ1872重量部と6668重量部の濾液を得た(第一工程で得られた脱水ケーキおよび濾液のそれぞれを以下 第一脱水ケーキおよび第一濾液 と記すこともある)。
第一脱水ケーキおよび第一濾液のそれぞれの組成を表2および表3に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0003608069
【0054】
【表3】
Figure 0003608069
【0055】
第二工程
前記の第一脱水ケーキの全量と濃硝酸1270重量部とを混合してpHを0.97に調整した。調整後の含水率は63.1%であった。次いで、ニーダーで剪断力を加えながら周速0.8メートル/秒で攪拌した。攪拌中は脱水ケーキの温度を66℃に保持した。
剪断攪拌された脱水ケーキ全量と水19930重量部とを混合してスラリーとし、該スラリーをその温度を80℃に保持しながら攪拌した。
【0056】
攪拌後のスラリーを遠心分離機にかけて、脱水ケーキ1306重量部と濾液21766重量部とを得た(第二工程で得られた脱水ケーキおよび濾液のそれぞれを以下 第二脱水ケーキおよび第二濾液 と記すこともある)。
このようにして得られた第二脱水ケーキの組成ならびに第二濾液の重金属成分の組成および回収率を表4および表5にそれぞれ示す。
【0057】
【表4】
Figure 0003608069
【0058】
【表5】
Figure 0003608069
【0059】
表4および表5から、表1に示された熔融飛灰に含有されていたシリカおよびアルミナならびに重金属成分は高い回収率で第二工程における脱水ケーキおよび濾液のそれぞれに含有されていることが判る。
【0060】
実施例3
実施例2と同様にして得られた熔融飛灰懸濁液の全量にほう素含有還元剤として、40重量%水酸化ナトリウム水溶液にテトラヒドロほう酸ナトリウムをその含有率が12重量%となるように溶解せしめた溶液690重量部および亜硫酸水素ナトリウム8重量部を添加した(この液の酸化還元電位は−700mV)以外は実施例2と同様にして行って、第二脱水ケーキ125重量部および第二濾液22955重量部を得た。
なお、前記のテトラヒドロほう酸ナトリウムの量はこの熔融飛灰懸濁液に溶存している重金属成分量の1.04倍当量に相当する。
第二濾液の重金属成分の組成および回収率を表6に示す。
【0061】
【表6】
Figure 0003608069
【0062】
表6から、ほう素含有還元剤であるテトラヒドロほう酸ナトリウムとともに亜硫酸水素ナトリウムを併用した場合には、テトラヒドロほう酸ナトリウムの使用量を実施例2におけるよりも少なくしたにも拘わらず、実施例2におけると同様に高い回収率で重金属成分を回収することができ、亜硫酸水素ナトリウムが重金属成分に対するテトラヒドロほう酸ナトリウムの還元作用を促進していることが判る。
【0063】
実施例4
実施例2と同様にして得られた熔融飛灰懸濁液の全量にほう素含有還元剤として、40重量%水酸化ナトリウム水溶液にテトラヒドロほう酸ナトリウムをその含有率が12重量%となるように溶解せしめた溶液750重量部および水酸化カルシウム3重量部を添加した以外(この液の酸化還元電位は−700mV)は実施例2と同様にして行って、第二脱水ケーキ135重量部および第二濾液23015重量部を得た。
なお、前記のテトラヒドロほう酸ナトリウムの量はこの熔融飛灰懸濁液に溶存している重金属成分量の1.13倍当量に相当する。
第二濾液の重金属成分の組成および回収率を表7に示す。
【0064】
【表7】
Figure 0003608069
【0065】
表7から、ほう素含有還元剤であるテトラヒドロほう酸ナトリウムとともに水酸化カルシウムを併用した場合には、テトラヒドロほう酸ナトリウムの使用量を実施例2におけるよりも少なくしたにも拘わらず、実施例2におけると同様に高い回収率で重金属成分を回収することができ、水酸化カルシウムが重金属成分に対するテトラヒドロほう酸ナトリウムの還元作用を促進していることが判る。
【0066】
実施例5
実施例2と同様にして得られた熔融飛灰懸濁液の全量にほう素含有還元剤として、カリウムジボランを熔融飛灰懸濁液に溶存している重金属成分量の1.27倍当量に相当する144重量部を添加した(この液の酸化還元電位は−700mV)以外は実施例2と同様に行って、第二脱水ケーキ142重量部および第二濾液22615重量部を得た。この液の酸化還元電位は−700mVであった。
第二濾液の重金属成分の組成および回収率を表8に示す。
【0067】
【表8】
Figure 0003608069
【0068】
表8から、カリウムジボランもテトラヒドロほう酸ナトリウムと同様に、重金属成分を還元して重金属単体に変換せしめる作用があることが判る。
【0069】
【発明の効果】
本発明によって、焼却灰、焼却飛灰および熔融飛灰などの各種の焼却灰類に含有されていた重金属成分を、効率よく、容易に分離でき、しかも分離された重金属成分はシリカおよび/またはアルミナなどを実質的に含有せず高純度である。
【図面の簡単な説明】
【図1】調整焼却灰類懸濁液のpHと第一濾液中の重金属溶存量との関係を示す。

Claims (5)

  1. 重金属成分を含有している焼却灰類から重金属成分を分離する焼却灰類の処理方法におて、焼却灰類に含有されている重金属成分にほう素を含有する還元剤を作用せしめて該重金属成分を重金属単体に変換せしめて不溶化することを特徴とする焼却灰類の処理方法。
  2. 少なくとも鉛を包含する重金属成分を含有する焼却灰類の処理方法において、焼却灰類と水とを混合して焼却灰類懸濁液を得、該焼却灰類懸濁液に中性乃至アルカリ性下でほう素を含有する還元剤を作用せしめ、該重金属成分を還元せしめて重金属単体に変換せしめることを特徴とする焼却灰類の処理方法。
  3. 少なくとも鉛を包含する重金属成分を含有する焼却灰類の処理方法において、焼却灰類と水とを混合して焼却灰類懸濁液を得、該焼却灰類懸濁液に中性乃至アルカリ性下でほう素を含有する還元剤を作用せしめ、該重金属成分を還元せしめて重金属単体に変換せしめ、該重金属単体を含有する残渣を液から分離する第一工程ならびに第一工程からの重金属単体を含有する残渣を酸性下またはアルカリ性下で剪断攪拌し、次いで再度懸濁液とし、該懸濁液中の重金属単体を可溶化、溶出せしめて少なくともシリカおよび/またはアルミナを含有する不溶物と分離する第二工程を有することを特徴とする焼却灰類の処理方法。
  4. ほう素を含有する還元剤とともに亜硫酸水素アルカリ金属および/またはアルカリ土金属水酸化物を使用する請求項1乃至3のいずれか1項記載の焼却灰類の処理方法。
  5. ほう素を含有する還元剤が、水素化ほう素アルカリ金属またはジメチルアミンボリンである請求項1乃至4のいずれか1項記載の焼却灰類の処理方法。
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