JP2007105561A - 重金属含有粉末の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む飛灰等の重金属含有粉末から、水分量の少ない鉛及び亜鉛の固形分を得る処理方法を提供する。
【解決手段】(A)重金属含有粉末をpH9〜12の液性下で水洗した後、固液分離して固形分を得る工程と、(B)工程(A)の固形分と硫酸溶液を混合し、pH2〜4のスラリーを得た後、固液分離し、硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、亜鉛及び銅を含む液分を得る工程と、(C)工程(B)の固形分とアルカリ水溶液を混合し、pH13.5以上のスラリーを得た後、固液分離し、水酸化カルシウムを含む固形分と、鉛を含む液分を得る工程と、(D)工程(B)の液分に金属亜鉛を浸漬し、金属銅と、亜鉛を含む液体を得る工程と、(E)工程(C)の液分に工程(D)の液分を徐々に添加し、pH9〜12の混合液を得た後、固液分離し、硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分を得る工程を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴミ焼却設備等で発生する飛灰の如き、カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む重金属含有粉末から、カルシウムと、鉛及び亜鉛と、銅を分別して回収し、再資源化するための処理方法に関する。
ゴミ焼却設備で発生する飛灰等の重金属含有粉末は、ナトリウム、カリウム、塩素分等の水洗で除去可能な水溶性成分の他、カルシウム、鉛、亜鉛、銅等を含む。
このうち、カルシウムは、カルシウム化合物として分別回収すれば、セメント原料として利用することができる。また、鉛、亜鉛、銅等は、これら金属元素を含む化合物または金属元素単体として分別回収すれば、非鉄精錬原料として利用することができる。
そこで、飛灰等の重金属含有粉末を処理して、カルシウム化合物等を分別回収し、再資源化するための方法が、提案されている。
例えば、(A)カルシウム及び重金属含有物(例えば、飛灰等)と、水とを硫酸の存在下で混合してスラリーとした後、該スラリーを固液分離して、鉛及びカルシウムを含む固形分と、上記カルシウム及び重金属含有物から溶出した銅及び亜鉛を含む液分を得る硫酸処理工程と、(B)工程(A)で得られた固形分と、水と、アルカリ化剤とを混合して、アルカリ性のスラリーを得た後、該スラリーを固液分離して、カルシウムを含む固形分と、鉛を含む液分とを得るカルシウム回収工程と、(C)工程(A)で得られた液分に亜鉛を添加して、銅からなる固形分と、亜鉛を含む液分を得る銅回収工程と、(D)工程(B)で得られた液分と工程(C)で得られた液分を混合した後、得られた混合液のpHを鉛及び亜鉛の共沈領域に調整し、その後、該混合液を固液分離して、鉛及び亜鉛を含む固形分と、液分を得る鉛及び亜鉛回収工程を含むことを特徴とするカルシウム及び重金属含有物の処理方法が、提案されている(特許文献1)。
特開2005−177757号公報
特許文献1に記載された技術では、工程(D)において、工程(B)で得られた鉛を含む液分と、工程(C)で得られた亜鉛を含む液分を急激に混合すると、混合後に固液分離で得られる鉛及び亜鉛を含む固形分の水分含有率は、80質量%程度になる。該水分含有率が大きいと、固液分離の効率が低下し、また、鉛及び亜鉛を含む固形分を山元還元の工場に運搬する際の輸送上の負荷が増大する。
そこで、本発明は、飛灰の如き、カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む重金属含有粉末から、カルシウムと、鉛及び亜鉛と、銅を分別して回収するに際して、鉛及び亜鉛を含む固形分の水分含有率を大幅に減少させることのできる処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上述の特許文献1に記載された処理方法の工程(D)において、工程(B)で得られた鉛を含む液分に対して、工程(C)で得られた亜鉛を含む液分を徐々に添加すれば、鉛及び亜鉛を含む固形分の水分含有率を大幅に減少させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] (A)カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む重金属含有粉末と、水を混合し、かつ、必要に応じてpH調整用薬剤を用いて、pHが9.0〜12.0であるスラリーを得た後、該スラリーを固液分離して、カルシウム、鉛、亜鉛及び銅を含む固形分と、塩素分を含む液分を得る水洗工程と、(B)工程(A)で得られた固形分と、硫酸溶液を混合して、pHが2.0〜4.0である酸性スラリーを得た後、該酸性スラリーを固液分離して、硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、溶出成分である亜鉛及び銅を含む酸性の液分を得る酸浸出工程と、(C)工程(B)で得られた硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、アルカリ水溶液を混合して、pHが13.5以上のアルカリ性スラリーを得た後、該アルカリ性スラリーを固液分離して、水酸化カルシウムを含む固形分と、溶出成分である鉛を含むアルカリ性の液分を得るアルカリ浸出工程と、(D)工程(B)で得られた亜鉛及び銅を含む酸性の液分に対して、金属亜鉛を浸漬して、金属銅からなる固体と、溶出成分である亜鉛を含む酸性の液体を得る銅回収工程と、(E)工程(C)で得られた鉛を含むアルカリ性の液分に対して、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分を徐々に添加し、pHが9.0〜12.0であるアルカリ性の混合液を得て、その後、該アルカリ性の混合液を固液分離して、硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分と、液分を得る重金属回収工程、を含むことを特徴とする重金属含有粉末の処理方法。
[2] 工程(E)において、前記の鉛を含むアルカリ性の液分に対して、さらに硫酸を加える前記[1]の重金属含有粉末の処理方法。
[3] 工程(E)において、前記のアルカリ性の混合液の液温を30℃以上に保つ前記[1]又は[2]の重金属含有粉末の処理方法。
[4] 工程(E)において、工程(C)で得られたアルカリ性の液分に対する、工程(D)で得られた酸性の液分の添加に要する時間を、前記の硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分の水分含有率が60質量%以下になるように定める前記[1]〜[3]のいずれかの重金属含有粉末の処理方法。
本発明の処理方法によれば、飛灰の如き、カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む重金属含有粉末から、カルシウムと、鉛及び亜鉛と、銅を分別して回収するに際して、鉛及び亜鉛を含む固形分の水分含有率を大幅に減少させることができる。また、この固形分は、固液分離を効率的に行いうる性状を有する。
したがって、本発明の処理方法によれば、鉛及び亜鉛を含む固形分の回収手段としての固液分離装置の小型化や、該固液分離装置における処理の効率化や、鉛及び亜鉛を含む固形分の山元還元先への輸送の負荷の軽減等を図ることができる。
以下、本発明の重金属含有粉末の処理方法を詳しく説明する。図1は、本発明の処理方法の実施形態の一例を示すフロー図である。
[(A)水洗工程]
本工程は、カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む重金属含有粉末と、水を混合し、かつ、必要に応じてpH調整用薬剤を用いて、pHが9.0〜12.0であるスラリーを得た後、該スラリーを固液分離して、カルシウム、鉛、亜鉛及び銅を含む固形分と、塩素分を含む液分を得る工程である。
ここで、重金属含有粉末の例としては、煤塵や、焼却炉の炉底等に焼却残渣として残る焼却灰等が挙げられる。煤塵としては、例えば、焼却炉から発生する飛灰(焼却飛灰)や、焼却灰等の溶融炉から発生する飛灰(溶融飛灰)や、セメント製造工程から抽気されて捕集される粉末や、エコセメントの製造時に得られるバグフィルターに捕集される粉末等が挙げられる。
重金属含有粉末の一例として、エコセメント製造時に得られるバグフィルターに捕集される粉末が挙げられる。この粉末の成分組成の一例は、酸化物換算の質量割合で、カルシウム2%、カリウム13%、ナトリウム32%、鉛2%、亜鉛1%、銅2%、塩素38%である。
本発明で処理対象となる重金属含有粉末は、各元素毎の含有割合の相違はあるものの、概ね、前記のバグフィルターに捕集される粉末に含まれる元素(Ca、K、Na、Pb、Zn、Cu、Cl)と同様の元素を含むものである。
本工程において、スラリーのpHは、9.0〜12.0、好ましくは9.0〜11.0の範囲内に調整される。
該pHが9.0未満では、pHの低下に伴い、鉛、亜鉛、銅の溶出量が次第に増大する。pHが12.0を超えると、鉛の溶出量が大きくなる。pHが13.0を超えると、亜鉛の溶出量が大きくなる。したがって、pHが9.0〜12.0であると、鉛、亜鉛、銅のいずれも溶出しなくなり、後工程におけるこれら重金属の回収率を高めることができる。
pHを上記数値範囲内に調整するためのpH調整用薬剤としては、塩酸、硫酸等の無機酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリ化剤が用いられる。
なお、pH調整用薬剤を用いなくても、スラリーのpHが前記の好ましい範囲内に収まることがある。この場合、pH調整用薬剤の添加によってpHを調整する必要はない。
スラリーの固液比(溶液1リットル中の重金属含有粉末の質量)は、好ましくは100〜600g/リットル、より好ましくは150〜400g/リットルである。該固液比が100g/リットル未満では、スラリーの固液分離に要する時間が増大するなど、処理効率が低下する。該固液比が600g/リットルを超えると、塩素分等を十分に溶出させることができないことがある。
スラリーは、通常、所定時間(例えば、10〜40分間程度)攪拌される。
攪拌後のスラリーは、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、固形分と液分とに分離される。
このうち、液分は、水溶性成分(K、Na、Cl等)を含むものであり、所定の処理工程でこれら水溶性成分を除去した後、系外に排出される。
固形分(脱塩ケーキ)は、鉛、亜鉛、銅、カルシウム等を含むものであり、解砕した後、工程(B)で処理される。
[(B)酸浸出工程]
本工程は、上述の前処理工程で得られた固形分と、硫酸溶液を混合して、pHが2.0〜4.0、好ましくは2.5〜3.5である酸性スラリーを得た後、該酸性スラリーを、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて固液分離して、硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、溶出成分である亜鉛及び銅を含む酸性の液分を得る工程である。
酸性スラリーのpHが4.0を超えると、工程(A)で得られた固形分に含まれる亜鉛及び銅の液中への溶出が不十分になる。
酸性スラリーのpHが2.0未満であると、SiO2やAl23が液中に溶出し、後工程で回収される鉛、亜鉛、銅の各重金属含有固体分の品位が低下する。
[(C)アルカリ浸出工程]
本工程は、工程(B)で得られた硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、アルカリ水溶液を混合して、pHが13.5以上のアルカリ性スラリーを得た後、該アルカリ性スラリーを、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて固液分離して、水酸化カルシウムを含む固形分と、溶出成分である鉛を含むアルカリ性の液分を得る工程である。
ここで、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液等が用いられる。
アルカリ性スラリーのpHが13.5未満では、水酸化カルシウムの生成量及び液中への鉛の溶出量が小さくなる。
なお、アルカリ性スラリーのpHが12.5である場合、鉛の溶出割合は20%程度に留まる。アルカリ性スラリーのpHが13.5である場合、該割合は70%程度以上になる。
本工程で得られた水酸化カルシウムを含む固形分は、セメント原料として用いることができる。
[(D)銅回収工程]
本工程は、工程(B)で得られた亜鉛及び銅を含む酸性の液分に対して、銅よりもイオン化傾向の大きい金属亜鉛を浸漬して、金属銅からなる固体と、溶出成分である亜鉛を含む酸性の液体を得る工程である。
浸漬した金属亜鉛は、析出する銅に代わり、液中に溶出する。液中の溶出成分となった亜鉛は、重金属含有粉末に由来する液中の既存の亜鉛と共に、工程(E)において酸化亜鉛として回収される。
金属亜鉛の形態の一例として、亜鉛粉末を挙げることができる。金属亜鉛が粉末であれば、金属亜鉛の液中への溶解と、該溶解と同時に起きる液中の銅の金属銅としての析出を迅速に進行させることができる。
亜鉛粉末の添加量は、亜鉛及び銅を含む酸性の液分中の銅に対して、好ましくは1.0〜1.3倍当量である。
また、金属亜鉛の形態の他の例として、亜鉛板を挙げることができる。この場合、亜鉛板の表面から亜鉛が液中に徐々に溶出するとともに、液中の銅が亜鉛板の表面に金属銅として析出する。金属銅を十分に析出させた後、金属銅が析出してなる亜鉛板を液中から引き上げれば、銅を除去した液分を得ることができる。
亜鉛板の質量は、亜鉛及び銅を含む酸性の液分中の銅に対して、好ましくは1.0倍当量以上である。
なお、本明細書において、「浸漬」の語は、亜鉛粉末を液中に添加する場合と、亜鉛板を液中に沈下する場合の両方を含む意で用いられる。
[(E)重金属回収工程]
本工程は、工程(C)で得られた鉛を含むアルカリ性の液分に対して、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分を徐々に添加し、pHが9.0〜12.0であるアルカリ性の混合液を得て、その後、該アルカリ性の混合液を固液分離して、硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分と、液分を得る工程である。
アルカリ性の混合液のpHは、9.0〜12.0、好ましくは10.5〜11.5である。該pHが9.0未満では、鉛及び亜鉛の溶出量が増大し、本工程における鉛及び亜鉛の回収率が低下する。該pHが12.0を超えると、鉛の溶出量が増大し、本工程における鉛の回収率が低下する。該pHが13.0を超えると、亜鉛の溶出量が増大し、本工程における亜鉛の回収率が低下する。
固液分離の手段としては、フィルタープレス等が挙げられる。
本工程において、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分と共に、硫酸を用いることができる。硫酸を用いることによって、混合液のpHを確実に9.0〜12.0の範囲内に調整することができる。なお、硫酸の代わりに塩酸等の他の無機酸を用いることは、本工程で得られる硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分に塩素分等を混入させることになるので、好ましくない。
硫酸は、工程(C)で得られた鉛を含むアルカリ性の液分に対する、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分の添加後に、添加することが好ましい。この場合、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分を徐々に添加する過程で、主にpH12.0〜13.0の範囲内で、水分含有率の小さい酸化亜鉛が生成する。その後、硫酸を添加すれば、pHを確実に12.0以下に低下させることができ、pH9.0〜12.0の範囲内で硫酸鉛を生成させることができる。なお、pHが9.0未満では、pHの低下に伴って、水分含有率の大きい水酸化亜鉛の生成量が増大する。
一方、硫酸を添加した後に、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分を添加すると、硫酸を後で添加する場合と比べて、水分含有率の小さい酸化亜鉛の生成量が少なくなる。
本工程においては、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分を徐々に添加することが必須である。徐々に添加することによって、水分含有率の小さい酸化亜鉛の生成量を増大させることができる。その結果、本工程で得られる硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分の水分含有率が小さくなり、かつ、該固形分の性状が固液分離に好適なものとなるので、前述の本発明の効果を得ることができる。
本発明の手順とは異なる手順、例えば、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分に対して、工程(C)で得られた鉛を含むアルカリ性の液分を徐々に添加した場合や、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分と、工程(C)で得られた鉛を含むアルカリ性の液分を急激に混合した場合には、得られる混合液中の沈澱物の性状が、固液分離の困難なゲル状になるとともに、この混合液を固液分離して得られる固形分中の水分含有率が80質量%程度になる。
工程(C)で得られたアルカリ性の液分への工程(D)で得られた酸性の液分の添加に要する時間は、これら2つの液分の混合液を固液分離した後の固形分の水分含有率が、特定の値以下(例えば、50質量%以下)になるように適宜定めることができる。
具体的な添加時間は、2つの液分の液量や液温等の条件によっても異なるが、好ましくは20分間以上、より好ましくは30分間以上である。添加時間が10分間程度では、混合液を固液分離して得られる固形分中の水分含有率が、75質量%程度になることがある。なお、添加時間が60分間を超えると、固形分の水分含有率の低下が頭打ち傾向になることがある。
工程(C)で得られたアルカリ性の液分と、工程(D)で得られた酸性の液分との混合液の液温は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上である。該液温が高いほど、混合液を固液分離した後の固形分の水分含有率を減少させることができる。ただし、液温が60℃を超えると、該水分含有率の低下が頭打ち傾向になることがある。
該液温の上限値は、特に限定されないが、熱エネルギーの節減の観点から、好ましくは60℃以下である。
混合液は、固液分離前にしばらく放置することが望ましい。所定の時間放置することによって、混合液中の固体分の性状が良好なものになり、本発明の効果(固液分離性等)をさらに向上させることができる。
放置時間は、特に限定されないが、好ましくは10分間以上、より好ましくは20分間以上である。
混合液は、フィルタープレス等の固液分離手段を用いて、硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分と、液分とに分離される。
混合液を固液分離して得られる固形分の水分含有率は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。
なお、本明細書中において、「固形分の水分含有率(質量%)」とは、[(乾燥前の固形分の質量)−(乾燥後の固形分の質量)]÷(乾燥前の固形分の質量)×100で算出される値をいう。
硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分は、精錬工場に運搬されて、山元還元され、再資源化される。
[実施例1]
セメント製造設備で生じる飛灰(成分組成:Ca:3質量%、K:17質量%、Na:21質量%、Cl:40質量%、Cu:1質量%、Pb:2質量%、Zn:1質量%)30kgを、水100リットルを貯留した水槽中に投入して、スラリー(pH:12.5)を得た後、塩酸を加えて、スラリーのpHを10.5に調整し、攪拌混合した。
このスラリーをフィルタープレスで固液分離し、固形分6.0kgを得た。この固形分を解砕した後、2モル/リットルの硫酸を添加しながら水24リットルと混合して攪拌し、pH3.2のスラリーを得た。このスラリーをフィルタープレスで固液分離し、硫酸カルシウム、硫酸鉛等を含む固形分3.9kgと、亜鉛、銅等を含む濾液20.7リットルを得た。
このうち、亜鉛、銅等を含む濾液については、亜鉛粉末0.352kgを添加した後、フィルタープレスで固液分離し、析出した金属銅を含む固形分0.336kgと、亜鉛を含む濾液19.6リットルを得た。この濾液の液温は、35℃であった。
一方、硫酸カルシウム、硫酸鉛等を含む固形分に対して、水酸化ナトリウムを添加しながら水39リットルと混合して攪拌し、pH13.8のスラリーを得た。このスラリーをフィルタープレスで固液分離し、水酸化カルシウム等を含む固形分2.5kgと、鉛を含む濾液35リットルを得た。
この鉛を含む濾液(液温:35℃)に対して、上述の亜鉛を含む濾液(液温:35℃)を40分間に亘って徐々に添加しながら攪拌混合して、pH12.3の混合液を得た後、この混合液に硫酸を添加して、pH10.5の混合液を得た。この混合液を20分間放置後、フィルタープレスで固液分離し、硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分0.42kgと、濾液を得た。
このうち、固形分は、乾燥後に、Zn:45質量%、Pb:29質量%、Ca:1質量%の成分組成を有していた。また、固形分の水分含有率は、45質量%であった。
[比較例1]
亜鉛を含む濾液に対して、30分間に亘って徐々に、鉛を含む濾液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分と濾液を得た。
この固形分は、乾燥後に、Zn:45質量%、Pb:29質量%、Ca:1質量%の成分組成を有していた。また、固形分の水分含有率は、82質量%であった。
[比較例2]
亜鉛を含む濾液と、鉛を含む濾液を急激(約10秒間)に混合したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分と濾液を得た。
この固形分は、乾燥後に、Zn:45質量%、Pb:29質量%、Ca:1質量%の成分組成を有していた。また、固形分の水分含有率は、83質量%であった。
本発明の重金属含有粉末の処理方法の実施形態の一例を示すフロー図である。

Claims (4)

  1. (A)カルシウム、鉛、亜鉛、銅及び塩素分を含む重金属含有粉末と、水を混合し、かつ、必要に応じてpH調整用薬剤を用いて、pHが9.0〜12.0であるスラリーを得た後、該スラリーを固液分離して、カルシウム、鉛、亜鉛及び銅を含む固形分と、塩素分を含む液分を得る水洗工程と、
    (B)工程(A)で得られた固形分と、硫酸溶液を混合して、pHが2.0〜4.0である酸性スラリーを得た後、該酸性スラリーを固液分離して、硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、溶出成分である亜鉛及び銅を含む酸性の液分を得る酸浸出工程と、
    (C)工程(B)で得られた硫酸カルシウム及び硫酸鉛を含む固形分と、アルカリ水溶液を混合して、pHが13.5以上のアルカリ性スラリーを得た後、該アルカリ性スラリーを固液分離して、水酸化カルシウムを含む固形分と、溶出成分である鉛を含むアルカリ性の液分を得るアルカリ浸出工程と、
    (D)工程(B)で得られた亜鉛及び銅を含む酸性の液分に対して、金属亜鉛を浸漬して、金属銅からなる固体と、溶出成分である亜鉛を含む酸性の液体を得る銅回収工程と、
    (E)工程(C)で得られた鉛を含むアルカリ性の液分に対して、工程(D)で得られた亜鉛を含む酸性の液分を徐々に添加し、pHが9.0〜12.0であるアルカリ性の混合液を得て、その後、該アルカリ性の混合液を固液分離して、硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分と、液分を得る重金属回収工程、
    を含むことを特徴とする重金属含有粉末の処理方法。
  2. 工程(E)において、前記の鉛を含むアルカリ性の液分に対して、さらに硫酸を加える請求項1に記載の重金属含有粉末の処理方法。
  3. 工程(E)において、前記のアルカリ性の混合液の液温を30℃以上に保つ請求項1又は2に記載の重金属含有粉末の処理方法。
  4. 工程(E)において、工程(C)で得られたアルカリ性の液分に対する、工程(D)で得られた酸性の液分の添加に要する時間を、前記の硫酸鉛及び酸化亜鉛を含む固形分の水分含有率が60質量%以下になるように定める請求項1〜3のいずれか1項に記載の重金属含有粉末の処理方法。
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