JP3607804B2 - 積層鉄芯製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモーターやトランス等の鉄芯製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電磁鋼板を用いてモーターやトランス等の積層鉄芯を製造する場合には、電磁鋼板を剪断加工あるいは打抜きによって単位鉄芯とした後積層し、さらにボルト締め、カシメ、溶接あるいは接着等により固着するものである。積層鉄芯は固着後、巻線コイルの組込み工程などを経て、最終的にトランスが組み立てられるものである。
積層鉄芯の固着が弱く、積層がずれたり単位鉄芯に解けたりするとコイルの巻線作業の能率が落ちたりすることから積層鉄芯は強く固着せしめる必要がある。
【0003】
ところが、ボルト締めにより固着する場合には、ボルトを通す貫通孔を積層鉄芯に設けることが必要であり、積層鉄芯に貫通孔を設けた場合には積層鉄芯の磁気特性が劣化することがあり、同様に溶接により積層鉄芯を固着する場合には溶接部に熱的歪みが入ることにより積層鉄芯の磁気特性が劣化することがある。
【0004】
また接着剤により固着する場合には鋼板と鋼板との間に毛細管現象を利用して液体接着剤を流し込み、しかる後固着するのであるが、接着剤を均一に流し込むのが困難であったり、さらに鉄芯の積層断面に残存した接着剤の処理が難しいといった問題がある。
【0005】
そこで、現在では打抜きと同時に積層鉄芯の固着が可能であるカシメによる固着が一般的である。しかし、カシメでは強力な固着が難しく、トランスの組み立て中に積層鉄芯がずれたり、カシメにより磁気特性が劣化することがある。
【0006】
ところで、鋼板の表面に接着能を持たせた絶縁被膜であるいわゆる接着被膜を施した電磁鋼板を打抜きあるいは剪断加工した後、積層し、加熱加圧により積層鉄芯を固着した場合には、溶接等に見られる磁気特性の劣化もなく、また鋼板同士の接合力も大きいため強固に固着した鉄芯が得られるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来接着被膜を有する電磁鋼板を用いて積層鉄芯を固着する場合には、加熱加圧するため加熱炉中で加圧する必要があったことから固着作業に長時間を要し、作業性が劣るという問題点があった。また、加熱炉を用いた場合には、鉄芯の外側の温度が設定温度に到達しても、内部の温度は低いといった温度ムラが発生して均一に加熱することが困難であった。接着被膜を施した電磁鋼板を用いて鉄芯を強固に固着させるには、接着被膜全体を均一に加熱することが重要である。
【0008】
本発明者らは、このような接着被膜を有する電磁鋼板を用いて鉄芯を製造する際の作業性について鋭意検討した結果、加熱炉を使用することなく、短時間で均一に接着被膜を加熱し、強固に固着した積層鉄芯を得られる方法を見出だし、本発明に到達したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その要旨は以下の通りである、
(1) 表面に加熱加圧することによりエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ウレタンのいずれかの有機樹脂を主成分とする接着能を発揮する膜厚10μm以下の絶縁被膜の施された電磁鋼板を単位鉄芯に打抜き、得られた単位鉄芯を所定枚数積層した後に加熱加圧して一体化する積層鉄芯の製造方法において、高周波誘電加熱装置の電極板の間に積層鉄芯を配置し、かつ電極板と積層鉄芯との間には電気絶縁層を介在させ、積層鉄芯を加圧すると共に高周波誘電加熱装置によって単位鉄芯の絶縁被膜を誘電加熱して積層鉄芯を一体化することを特徴とする積層鉄芯製造方法。
(2) 電気絶縁層が電気絶縁物であり、電極板と電気絶縁物とを介して積層鉄芯を加圧することを特徴とする前記(1)記載の積層鉄芯製造方法。
(3) 電気絶縁層の一部又は全部が電気絶縁物であり、電気絶縁物を介して積層鉄芯を加圧することを特徴とする前記(1)記載の積層鉄芯製造方法。
) 高周波誘電加熱装置の印加電圧が100〜10000Vであり、かつその周波数が3〜300MHzであることを特徴とする前記(1)記載の積層鉄芯製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で鉄芯に供する電磁鋼板としては、表面に加熱及び加圧により接着能を発揮する絶縁被膜、すなわち接着被膜を有する電磁鋼板を使用する。接着被膜は必ずしも鋼板両面の全面に施されている必要はなく、部分的であってもよい。また、本発明で鉄芯に供する電磁鋼板は、無方向性電磁鋼板でも方向性電磁鋼板でもよく、一般的な鋼板を電磁鋼板として使用しても構わない。
【0011】
接着被膜の構成は、特に限定するものではないが、絶縁被膜として使用されることから誘電体であることは当然必要があり、具体的にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ウレタン等の有機樹脂を主成分とするのが一般的である。
【0012】
本発明は、以上のような接着性被膜を有する電磁鋼板を単位鉄芯に加工して積層した後、主に接着被膜部分を加熱して被膜の接着能を発現せしめ、同時に加圧することにより積層した単位鉄芯を強固に固着させるものである。本発明において電磁鋼板を単位鉄芯に加工する方法としては、例えば打抜き、機械剪断、レーザー剪断等の方法を用いることができる。
【0013】
以下、本発明において積層鉄芯の接着被膜部分を加熱して被膜の接着能を発現せしめる方法について説明する。
本発明者らは、従来行われていた加熱炉を用いて積層鉄芯の加熱を行う方法に代えて、電波領域の高周波を用いて加熱を行うことを検討した。一般に、電波領域の高周波を用いた加熱方法には、高周波誘導加熱、高周波誘電加熱、マイクロ波誘電加熱がある。高周波誘導加熱では数10kHz〜数MHz、高周波誘電加熱では数MHz〜数百MHz、マイクロ波誘電加熱では数百MHz〜数百GHzの周波数帯が使用される。そして、高周波誘導加熱方式では金属のような導体が加熱され、高周波誘電加熱方式とマイクロ波誘電加熱方式では電流が流れない誘電体が加熱される。
【0014】
従って、高周波誘電加熱方式とマイクロ波誘電加熱方式とは誘電体である接着被膜のみを加熱することが可能であり、導電体である鋼板を加熱する高周波誘導加熱方式と比較すると少ないエネルギーロスで接着能を発揮する温度まで接着被膜を加熱することが可能な点で優れている。
【0015】
そして、マイクロ波誘電加熱方式では均一な電解強度を得ることが困難であり、モーター等のコアに供される積層鉄芯はティース部などに非常に複雑な形状を有しており積層鉄芯全体を均一に加熱して接着することが難しいことから、本発明では加熱手段として高周波誘電加熱方式を用いるものである。
【0016】
しかし、高周波誘電加熱方式において印加される数MHz〜数百MHzの電界中に導体を設置すると放電が起こりやすい。特に、モーターコアのティース部のように細長い形状の先端部では放電が起こりやすいため、従来は高周波誘電加熱方式は導体である鋼板から構成されている積層鉄芯の加熱には使用できなかった。
【0017】
これに対して本発明者らは、高周波誘電加熱装置の電極板と積層鉄芯との間に電気絶縁層を設けることによって、電界中に積層鉄芯を設置した場合でも放電を抑制でき、積層鉄芯中の接着被膜のみを均一に加熱できることを見出だした。
【0018】
すなわち、高周波誘電加熱方式で用いられる電界中に誘電体を設置した場合、
W=K・f・(V/d)2・ε・tanδ (W/m)・・・(1)
の熱量Wが発生する。ここで、K:定数、f:周波数、V:印加電圧、d:電極間距離、ε:誘電体の誘電率、tanδ:誘電体の誘電正接である。
さらに電界Eは、次の式で表わされる。
E=V/d (V/m)・・・・・(2)
ここで、V:電極間に印加される電圧、d:電極間距離である。
【0019】
本発明のように接着被膜を有する単位鉄芯からなる積層鉄芯に高周波誘電加熱を行う場合、誘電率と誘電正接とは使用する接着被膜により決定されることから、(1)式より印加電圧の大きさと周波数に比例して熱量が得られることがわかる。
【0020】
ところが、高周波誘電加熱方式の周波数は数MHz〜数百MHzの間に限定され、短時間に接着被膜を加熱して接着しようとする場合、実用的には数百Vから数kV以上の大電圧を印加する必要がある。
【0021】
しかし、鋼板表面の接着被膜は、鉄芯に占める鉄の割合が低下することで鉄芯の磁束密度が減少することを避けるため薄く塗布する必要があり、通例数〜十数μmの膜厚である。一方、誘電加熱方式で発生する放電は電界Eが標準の気象状態(20℃、1気圧)で約3000kV/m(波高値)以上の時に発生する。ここで本発明者等は、積層鉄芯に数kVの電圧を印加した場合には有効な電極間距離が単位鉄芯に塗布された接着被膜の膜厚の総計しか確保できず、鉄芯のティース部等の電界の集中し易いところでは印加される電界が約3000kV/mを大幅に超過し、その結果放電が発生することを見出した。
【0022】
本発明者等は、高周波誘電加熱方式による被加熱物が導体と誘電体から構成される場合には、電極間距離のうち誘電体の占める部分である有効電極間距離という概念が必要であることを見出し、電極間に印加される電圧とこの有効電極間距離とを制御することによって高周波誘電加熱方式に伴なう放電の発生を抑制できるという結論を得た。
【0023】
すなわち、高周波誘電加熱装置の一対の電極間距離を、通常の誘電体のみから構成される被加熱物に応じた電極間距離と同じだけ積層鉄芯に対して確保しても、鋼板は導体であることから有効電極間距離は各単位鉄芯に塗布された接着被膜の厚みの総計分のみであり、電極間に印加された電圧から発生する電界は極めて大きく容易に放電限界を超えているのである。そこで本発明では、電極と積層鉄芯との間にさらに電気絶縁層を設置することで有効電極間距離を拡大し、電界を小さくして放電の発生を抑制することとした。
【0024】
以下、この点について具体的に説明する。
例として、10μmの接着被膜が両面に塗布された0.5mm厚の電磁鋼板を、200枚積層して積み厚100mmとした積層鉄芯を高周波誘導加熱装置の電極板で挟み、3kVの電圧を印加して高周波誘電加熱をした場合を想定する。この場合、電極間距離は100mmであるが有効電極間距離は100mmではなく、(10+10)×200=4000μm、すなわち有効電極間距離は僅か4mmに過ぎず、平均電界は750kV/mと極めて高い電界が印加されることになる。ここで、ティース部などの単位鉄芯のエッジ部に電界が集中する係数を5倍と見積もると、このような部分に印加される電界は3750kV/mとなる。この値は放電の発生を招く電界の下限値(以下、放電発生限界値とする)である3000kV/mを超えており、実際このような条件で積層鉄芯の加熱を行えば放電が生じるものである。
【0025】
これに対して本発明では、電極と積層鉄芯との間にさらに電気絶縁層を設置して放電の発生を抑制するものである。すなわち、本発明で使用される電気絶縁層には、有効電極間距離を確保し、積層鉄芯の突起部へ電界が集中してもその値が放電発生限界値を超えないように印加電界を抑制できるだけの厚みが必要とされる。なお、本発明でいう電気絶縁層とは、必ずしも通常の電気絶縁物である必要は無く、電気の不導体であれば気体や液体でも何等問題は無い。
【0026】
また、本発明者等は、接着被膜を施した電磁鋼板を用いてモーターコアのように複雑な形状の単位鉄芯を積層し高周波誘電加熱した場合には、電極板付近の電界が不均一になり極めて放電が生じ易くなることを見出だした。これに対して本発明では、積層鉄芯と電極板の間に電気絶縁層を設置しており、電極板付近における不均一電界の影響を排除し、積層鉄芯を均一に加熱することが可能である。
【0027】
電気絶縁層の一部又は全部を電気絶縁物としてもよい。具体的な電気絶縁物としては、テフロン、ナイロン、ポリエチレン、ベークライトなどのいわゆるプラスチック板あるいはシート状のもの、シリコンゴム、クロロプレンゴムなどのゴムシート、ベニヤ板等の合板、紙などが使用できる。電気絶縁物の厚みや大きさについては特に限定するものでは無いが、あまり厚いと電気絶縁物自体の電界減少が大きく経済的で無く、薄すぎる場合には取り扱い時破れたりすることから、数百ミクロンから数センチメートル程度の厚みが良い。さらに、上記電気絶縁物を表面層に施した表面処理鋼板のようなものであっても、電気絶縁層が十分確保されていれば何等問題無い。電気絶縁物の大きさは加熱する積層鉄芯よりも大きいことが好ましいが、積層鉄芯の形状や取り扱い易さ等により適宜決定される。
【0028】
また、積層鉄芯を構成する単位鉄芯と単位鉄芯との間に不均一な隙間があると、高周波誘電加熱の際に印加電界が積層鉄芯の内部で不均一に減少するため接着被膜を均一に加熱できないことがある。これに対して本発明では、加圧によって単位鉄芯と単位鉄芯との間の隙間がほとんど無くなった状態で高周波誘電加熱を行うため、積層鉄芯の内部で印加電界が不均一に減少することもなく、接着被膜を均一に加熱することができる。
【0029】
本発明では、電気絶縁層を上述の電気絶縁物として、電極板と電気絶縁物とを介して積層鉄芯を加圧するようにしてもよい。このような場合には、積層鉄芯を電気絶縁物によって挟み、さらにこれらを電極板によって挟持して、電極板ごと加圧シリンダー等によって加圧しつつ、高周波誘電加熱を行う。また、電気絶縁層の一部又は全部を電気絶縁物とし、電気絶縁物を介して積層鉄芯を加圧するようにしてもよい。このような場合には、積層鉄芯を電気絶縁物によって挟持して、電気絶縁物ごと加圧シリンダー等によって加圧しつつ、電気絶縁物の外側に配置した電極板によって高周波誘電加熱を行う。
【0030】
そして、本発明では電極板の背面に磁力発生装置を設け、積層鉄芯に磁力を作用させて磁力発生装置側に吸引することによって加圧しつつ、高周波誘電加熱を行うようにしてもよい。なお、ここでいう電極板の背面とは、電極板の積層鉄芯が面している面の反対側をいうものとする。
【0031】
一方、高周波誘電加熱装置の電極板が電気絶縁物を介して積層鉄芯に接する場合、特に電気絶縁物が薄い場合には電極板に熱が移行することにより積層鉄芯の温度が上昇し難いことがある。このような場合には断熱部材を電極板と積層鉄芯の間に設置することにより、積層鉄芯の温度を容易に確保することが可能である。また、電気絶縁物に断熱部材の機能を有する材料を用い、積層鉄芯の温度が電極板に移行するのを妨げる効果を奏するものとすれば、取り扱いも簡便になりさらに好ましい。
【0032】
次に、高周波誘電加熱装置が使用する周波数は3MHzから300MHzとする。これは、3MHz未満では加熱効率が劣っており、接着能が発揮される温度まで加熱するのに時間がかかり過ぎ、300MHz超ではマイクロ波の発生が無視できず、均一加熱が難しくなるためである。また、印加電圧を100Vから10000Vに限定した理由は、100V未満では加熱効率が劣るためであり、10000V超では放電を起し易くなり安定して加熱することが難しいためである。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
モーターコア素材を積層し、加圧しながら接着している状態を図1に示す。表面にエポキシ樹脂を主成分とする接着能を有する絶縁被膜を片面に8μm厚ずつ施された板厚0.5mmの無方向性電磁鋼板をモーターコアの単位鉄芯形状に打抜き50枚積層したモーターコア素材1を高周波誘電加熱装置の電極板3と電気絶縁物5ではさみ込み、受け台4の上に積層する。加圧シリンダー2によって電極板3と電気絶縁物5ごとモーターコア素材1を加圧し、同時に電極間に電圧3000V、周波数13MHzの高周波を印加し絶縁被膜を加熱する。電気絶縁物5として5mm厚のテフロンシートを用いた。高周波の印加時間を2分、加圧力20kg/cmで積層鉄芯を加熱加圧し一体化させた。積層鉄芯を1mの高さからコンクリート面に落下させる衝撃試験を行った結果、割れや剥離の発生は無く十分な接着強度があり、固着した積層鉄芯を分割して接着面を観察したところ、全面接着していることが判明した。本実施例の有効電極間距離は10.8mm、平均電界は278kV/mであり、突起部への電界の集中する係数を5倍と仮定したときでも1390kV/mで放電しないことが明らかである。
【0034】
[実施例2]
モーターコア素材を積層し、加圧しながら接着している状態を図2に示す。表面にエポキシ樹脂を主成分とする接着能を有する絶縁被膜を片面に8μm厚ずつ施された板厚0.5mmの無方向性電磁鋼板をモーターコアの単位鉄芯形状に打抜き100枚積層したモーターコア素材6を高周波誘電加熱装置の電極板7と電気絶縁物8ではさみ込み、受け台9の上に積層する。電気絶縁物8は板厚5mmの鋼板の両面にそれぞれ1mm厚のシリコンシートを張り付けて絶縁性を持たせたものを使用した。加圧シリンダー10によって電気絶縁物8とモーターコア素材6を加圧し、同時に電極間に電圧2500V、周波数40MHzの高周波を印加し絶縁被膜を加熱する。高周波の印加時間を4分、加圧力20kg/cmで積層鉄芯を加熱加圧し一体化させた。積層鉄芯を1mの高さからコンクリート面に落下させる衝撃試験を行った結果、割れや剥離の発生は無く十分な接着強度があり、固着した積層鉄芯を分割して接着面を観察したところ、全面接着していることが判明した。本実施例の有効電極間距離は5.6mm、平均電界は446kV/mであり、突起部への電界の集中する係数を5倍と仮定したときでも2230kV/mで放電しないことが明らかである。
【0035】
[実施例3]
モーターコア素材を積層し、加圧しながら接着している状態を図3に示す。表面にエポキシ樹脂を主成分とする接着能を有する絶縁被膜を片面に4μm厚ずつ施された板厚0.5mmの無方向性電磁鋼板をモーターコアの単位鉄芯形状に打抜き50枚積層したモーターコア素材11を高周波誘電加熱装置の電極板12をはさみ下方の電極板と積層鉄芯の間にのみ電気絶縁物13を設置し、受け台14の上に積層する。電気絶縁物13として10mm厚のテフロン板を使用した。磁力発生装置15によって下方の電極板と電気絶縁物13を介してコア素材11を吸引してコーターコア素材11を加圧し、同時に電極間に電圧2500V、周波数40MHzの高周波を印加し絶縁被膜を加熱する。高周波の印加時間を4分で積層鉄芯を加熱加圧し一体化させた。積層鉄芯を1mの高さからコンクリート面に落下させる衝撃試験を行った結果、割れや剥離の発生は無く十分な接着強度があり、固着した積層鉄芯を分割して接着面を観察したところ、全面接着はしていないものの積層鉄芯全体として均等に接着していることが判明した。本実施例の有効電極間距離は10.4mm、平均電界は240kV/mであり、突起部への電界の集中する係数を5倍と仮定したときでも1200kV/mで放電しないことが明らかである。
【0036】
[比較例1]
表面にエポキシ樹脂を主成分とする接着被膜を塗布された無方向性電磁鋼板をモーターコア形状に打抜いた後積層し、厚さ10mmの一対の鋼板ではさみ込んだ後、鋼板同士をボルトで連結し加圧力が20kg/cmになるようトルクレンチで締め込んだ。次に、250℃に設定した熱風炉に入れ加熱したところ、積層鉄芯の中心部の表面温度が200℃に到達するのに30分かかった。さらに、熱風炉から取り出し接着被膜の強度が十分発現する100℃以下に積層鉄芯が冷えるまで30分かかった。積層鉄芯を1mの高さからコンクリート面に落下させる衝撃試験を行った結果、割れや剥離の発生は無く接着強度としては十分あるものの、固着した積層鉄芯を分割して接着面を観察したところ、部分的に接着していないところがあることが判明した。
【0037】
[比較例2]
上記実施例1の積層鉄芯と装置を用い、電気絶縁物を使用せずに実施例1と同条件の高周波を積層鉄芯に印加し、加熱を試みたところ、積層鉄芯のエッヂ部にて放電が発生し加熱できなかった。本比較例での有効電極間距離は0.8mm、平均電界は3750kV/mであり、放電限界を越えていることが明らかである。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、接着被膜を有する電磁鋼板を用いて積層鉄芯を均一に固着することが可能であり、従来の加熱炉を用いた固着では無いので、短時間に接着被膜を有する電磁鋼板を固着でき、鉄芯の固着工程の作業性が大幅に向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極板と電気絶縁物とを介して積層鉄芯の加圧を行う装置の一実施例を示す図面である。
【図2】本発明の電気絶縁物を介して積層鉄芯の加圧を行う装置の一実施例を示す図面である。
【図3】本発明の電極板の背面に配置した磁力発生装置を用いて積層鉄芯の加圧を行う装置の一実施例を示す図面である。
【符号の説明】
1,6,11 積層状態の単位鉄芯
2,10 加圧プレスのエアシリンダー
3,7,12 高周波誘電加熱装置の平行電極板
4,9,14 受け台
5,8,13 電気絶縁物
15 磁力発生装置

Claims (4)

  1. 表面に加熱加圧することによりエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ウレタンのいずれかの有機樹脂を主成分とする接着能を発揮する膜厚10μm以下の絶縁被膜の施された電磁鋼板を単位鉄芯に打抜き、得られた単位鉄芯を所定枚数積層した後に加熱加圧して一体化する積層鉄芯の製造方法において、高周波誘電加熱装置の電極板の間に積層鉄芯を配置し、かつ電極板と積層鉄芯との間には電気絶縁層を介在させ、積層鉄芯を加圧すると共に高周波誘電加熱装置によって単位鉄芯の絶縁被膜を誘電加熱して積層鉄芯を一体化することを特徴とする積層鉄芯製造方法。
  2. 電気絶縁層が電気絶縁物であり、電極板と電気絶縁物とを介して積層鉄芯を加圧することを特徴とする請求項1記載の積層鉄芯製造方法。
  3. 電気絶縁層の一部又は全部が電気絶縁物であり、電気絶縁物を介して積層鉄芯を加圧することを特徴とする請求項1記載の積層鉄芯製造方法。
  4. 高周波誘電加熱装置の印加電圧が100〜10000Vであり、かつその周波数が3〜300MHzであることを特徴とする請求項1記載の積層鉄芯製造方法。
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