JP3607783B2 - 無段変速装置の油圧制御回路 - Google Patents

無段変速装置の油圧制御回路 Download PDF

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
    • F16H61/66Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing specially adapted for continuously variable gearings
    • F16H2061/6604Special control features generally applicable to continuously variable gearings
    • F16H2061/6608Control of clutches, or brakes for forward-reverse shift

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  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路内の圧力変動によって生じるサージ音等の回路内騒音の低減と、回路内設定圧力の切換タイミングの最適化を図る無段変速装置の油圧制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、発進クラッチとしてトルクコンバータを利用し、且つ前後進切換装置としてプラネタリギヤ式前後進切換装置を採用すると共に、上記トルクコンバータに、ある運転条件下では必要に応じてエンジンの出力を上記トルクコンバータの流体を介さずに無段変速機側へ出力するロックアップクラッチを併設する無段変速装置では、エンジン駆動式オイルポンプから吐出される油圧により、無段変速機のプーリ制御圧を確保し、又、このプーリ制御圧のドレーン圧を利用して上記前後進切換装置、上記ロックアップクラッチに対するクラッチ制御圧、及び機械部分の潤滑へ供給する潤滑圧を得ている。
【0003】
ところで、エンジン駆動式オイルポンプの吐出流量は、上記無段変速機の変速制御の際の最大必要流量に基づいて設定されている場合が多い。すなわち、無段変速機を変速制御するときに大量の油量を必要とする場合があり、この状態に対応して上記オイルポンプの容量が設定されている。又、無段変速機が変速動作をしていないときのオイルポンプの吐出流量は、このときのトランスミッション自体の必要潤滑油量も少なくなるので、少なくて良く、従って、機械効率を考えた場合、エンジン駆動式オイルポンプのポンプ容量は上記最大必要流量を満足した上で、できるだけ小さく設定することが望ましい。
【0004】
しかし、このポンプ容量を通常の運転条件下における無段変速機の最大必要変速速度等に基づいて設定した場合、急ブレーキ等、特殊な走行条件においては無段変速機の変速制御を行うに十分な油量を確保することが困難になる場合がある。すなわち、走行中に急ブレーキなどの操作によりエンジンに大きな負荷が係ると、エンジン回転数が低下し、エンジン駆動式オイルポンプの吐出流量が減少するため、上記無段変速機へ供給されるプーリ制御圧が低下してしまい、無段変速機の変速制御に支障を来すことになる。
【0005】
更に、上記オイルポンプの吐出流量が減少すると上記プーリ制御圧からのドレーン流量が減少し、該ドレーン流量が減少すると、例えば、上記クラッチ制御圧と上記潤滑圧とが、上記プーリ制御圧のドレーン圧を利用して調圧されている場合には、少なくともクラッチ制御圧が低下してしまうことが考えられる。その結果、このクラッチ制御圧を作動油圧として利用する各種クラッチ、ソレノイド弁等が正常に動作せず、クラッチ滑り、弁動作不良等が生じて正常な変速制御に支障を来してしまう。
【0006】
又、エンジン駆動式オイルポンプの吐出流量を無段変速機の最大必要変速速度等に基づいて設定した場合、アイドル運転のように、エンジン回転数が低い状態では、上記オイルポンプの吐出流量を十分得ることができず、作動油の供給不足が生じる場合がある。例えば、ニュートラルからDレンジにセレクトして前進走行状態へ移行するとき、上記前後進切換装置に対してクラッチ制御圧を供給し、フォワードクラッチを係合させて該前後進切換装置を一体回転させる際に、作動油の必要流量が瞬間的に増大し、一時的な流量不足となり、作動遅れや作動不良を招く場合がある。
【0007】
その対策として、例えば、特開平4−357357号公報には、クラッチ制御圧を流通する油圧回路と潤滑圧を流通する油圧回路とを分離し、クラッチ制御圧のドレーン圧を調圧して潤滑圧を設定することで、特定の運転条件下でエンジン駆動式オイルポンプの吐出流量が少なくなり、一時的な流量不足が生じた場合でも、クラッチ制御圧に対しては必要最低限の流量、圧力を確保することのできる技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図7に示すように、上記無段変速機に対するプーリ制御圧、クラッチ制御圧、及び潤滑圧には、オイルポンプの脈動、或いは流れの乱れ等の影響でほぼ一定幅の圧力変動fp(例えば 潤滑圧では、0.3 Kgf/cm)が生じており、上記プーリ制御圧とクラッチ制御圧、及び該クラッチ制御圧と潤滑圧とが近接した圧力に設定されている場合、互いの干渉によりサージ音等の通路内作動音が発生し易くなるばかりでなく、圧力変動幅が増幅されて回路内の油圧制御に支障を来す可能性がある。
【0009】
ところで、上記プーリ制御圧、クラッチ制御圧の必要特性について述べると、上記プーリ制御圧は、無段変速機のベルトの保持圧力(セカンダリ圧力)と変速制御圧力(プライマリ圧力)とからなり、ベルトとプーリ間のフリクションロス、及び所定のプーリ制御圧を得るためのポンプ駆動力が動力損失となって燃費に影響を与えるため、オイルポンプの必要駆動力が低いときは上記プーリ制御圧も下げる必要がある。
【0010】
しかし、発進クラッチとしてトルクコンバータを採用している場合、トルク比tsがエンジン出力軸の停止点である失速点で最大となり、ロックアップクラッチが結合したとき最小(ts=1.0)となるため、上記プーリ制御圧は、失速点における最大トルク比の状態であってもベルトに滑りを生じさせない圧力を確保しなければならず、従って、上記トルク比tsに応じて高圧から低圧まで広範囲な圧力設定が必要になる。
【0011】
一方、クラッチ制御圧は、駆動力が大きいときは圧力を高く設定する必要がある。尚、クラッチの結合力を確保する手段として、クラッチ制御圧を高くすること以外に、クラッチ枚数を増加することが考えられる。しかし、この技術では、クラッチ制御圧を低いままで結合力を確保することは可能であるが、クラッチ枚数を増加させることはコストが嵩み、しかもクラッチを収納するための十分なスペースを確保することが難しい。この点、駆動力に応じてクラッチ制御圧を設定する技術では、例えばトルクコンバータにロックアップ機構が併設されている場合、ロックアップクラッチが結合されているときは最小トルク比となり、その分、クラッチ必要圧力を低く押さえることが可能となる。
【0012】
上述した上記プーリ制御圧、クラッチ制御圧の必要特性を考慮して、ロックアップ結合時、無段変速機のプーリ圧力を機械損失を低く抑えるために低下させる際に、クラッチ制御圧を失速点の最大トルク比に対応した高い圧力のままで保持することは、このプーリ制御圧と、このプーリ制御圧のドレーン圧を調圧して設定したクラッチ制御圧と、このクラッチ制御圧のドレーン圧を調圧して設定した潤滑圧と間の圧力が互いに近接してしまい、前述したようなサージ音等、回路内騒音の発生を招来する可能性がある。
【0013】
従来、このサージ音などの回路内騒音を低減する手段として、回路内にアキュムレータを介装したり、制御弁の材質を変更するなどの対策が講じられているが、アキュムレータを収納するスペースを確保することが困難なばかりか、コストが嵩むなどの問題がある。同様に、回路内にソレノイドなどを追加して回路内騒音を低減することは別の制御系を増設する必要があるため、コストの大幅な増加を招く結果となり実現性に乏しい。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み、コストの高騰を招くことなく、簡単な構成で、回路内騒音を低減すると共に、制御圧の切換タイミングをロックアップクラッチの結合或いは解除に応じて最適に制御することのできる無段変速装置の油圧制御回路を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による第1の無段変速装置の油圧制御回路は、駆動系にロックアツプクラッチ付発進クラッチと前後進切換装置と無段変速機とを備え、エンジン駆動式オイルポンプからの吐出圧を調圧して上記無段変速機に対するプーリ制御圧を上記ロックアップクラッチが結合時には低く、該ロックアップクラッチが解除時には高く設定する第1の圧力制御弁と、上記プーリ制御圧のドレーン圧を調圧して上記発進クラッチに設けたロックアップクラッチのアプライ側及び上記前後進切換装置の動作クラッチに対するクラッチ制御圧を設定する第2の圧力制御弁と、上記クラッチ制御圧のドレーン圧を調圧して上記ロックアップクラッチのリリース側及び要潤滑部へ供給する潤滑圧を設定する第3の圧力制御弁とを備えるものにおいて、前記各圧力制御弁により上記プーリ圧と上記クラッチ制御圧、及び該クラッチ制御圧と上記潤滑圧との圧力差を互いに干渉しない値に設定すると共に、上記クラッチ制御圧が流通する第1の油圧回路と上記ロックアップクラッチのアプライ側に対する上記クラッチ制御圧の供給遮断を行うロックアップ制御弁のロックアップ作動室に連通する第2の油圧回路とを、上記ロックアップクラッチを結合するときは連通し解除するときは遮断すると共に上記第2の油圧回路をドレーン油路へ導く流路切換手段を介して連通自在にし、上記第2の油圧回路に供給されるクラッチ制御圧と上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給される潤滑圧との圧力差に応じ上記第2の圧力制御弁と第3の圧力制御弁とに供給する作動油圧の供給排除のタイミングを可変制御してロックアップクラッチが結合したとき上記潤滑圧を上記クラッチ制御圧に対して同等或いは早いタイミングで圧力を低下させ、又ロックアップクラッチが解除したとき上記クラッチ制御圧が上記潤滑圧より同等或いは早いタイミングで圧力を高くする第4の圧力制御弁を設けたことを特徴とする。
【0016】
第2の無段変速装置の油圧制御回路は、第1の無段変速装置の油圧制御回路において、前記クラッチ制御圧と前記潤滑圧との圧力差が1.5Kgf/cm以上であることを特徴とする。
【0017】
第3の無段変速装置の油圧制御回路は、第1の無段変速装置の油圧制御回路において、前記第4の圧力制御弁の圧力切換動作が前記ロックアップクラッチが結合するときは、少なくとも該ロックアップクラッチのアプライ側に供給されるアプライ圧と、上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給されるリリース圧との圧力差に応じて行われることを特徴とする。
【0018】
第1の無段変速装置の油圧制御回路では、エンジン駆動式オイルポンプからの吐出圧を第1の圧力制御弁により、発進クラッチに設けたロックアップクラッチの状態に応じて調圧して無段変速機に対するプーリ制御圧を設定し、次いで第2の圧力制御弁により上記プーリ制御圧のドレーン圧を調圧して上記ロックアップクラッチのアプライ側及び上記前後進切換装置の動作クラッチに対するクラッチ制御圧を設定し、その後、該クラッチ制御圧のドレーン圧を第3の圧力制御弁により調圧して上記ロックアップクラッチのリリース側及び要潤滑部へ供給する潤滑圧を設定するに際し、上記第1の圧力制御弁と上記第2の圧力制御弁とにより上記プーリ圧と上記クラッチ制御圧との圧力差が互いに干渉しない値に設定し、又、上記第2の圧力制御弁と第3の圧力制御弁とにより上記クラッチ制御圧と上記潤滑圧との圧力差が互いに干渉しない値に設定する。そして、上記ロックアップクラッチを結合させるときは、上記流路切換手段が上記クラッチ制御圧を流通する第1の油圧回路と第2の油圧回路とを連通させ、上記クラッチ制御圧を元圧とする作動油圧を第2の油圧回路に流入する。すると、この作動油圧がロックアップクラッチに対する上記クラッチ制御圧の供給遮断を行うロックアップ制御弁に設けたロックアップ作動室に供給され、上記クラッチ制御圧が上記ロックアップ制御弁を介してロックアップクラッチのアプライ側に供給され、一方リリース側に供給されている潤滑圧がドレーンされてロックアップクラッチが結合される。ロックアップが結合されると上記ロックアップクラッチのリリース側に供給されている潤滑圧が低下するため、該リリース側に供給されている潤滑圧と上記第2の油圧回路に流入するクラッチ制御圧との圧力差で切換え動作する第4の圧力制御弁が上記第2の圧力制御弁と第3の圧力制御弁とに対する作動油圧の供給排除のタイミングを可変制御し、上記クラッチ制御圧に対し上記潤滑圧を同等或いは早いタイミングで低下させる。又、ロックアップクラッチを解除するときは上記流路切換手段が第2の油圧回路に供給されているクラッチ制御圧をドレーンする。すると、上記ロックアップ制御弁が切換え動作して上記ロックアップクラッチのアプライ側に供給されているクラッチ制御圧をドレーンすると共に、リリース側に上記潤滑圧を供給する。すると、上記第4の圧力制御弁が切換え動作し、第2の圧力制御弁と第3の圧力制御弁とに対する作動油圧の供給排除のタイミングを可変制御し、クラッチ制御圧を潤滑圧と同等或いは早いタイミングで高くする。
【0019】
第2の無段変速装置の油圧制御回路では、第1の無段変速装置の油圧制御回路において、前記クラッチ制御圧と前記潤滑圧との圧力差を互いの干渉を回避する値として少なくとも1.5Kgf/cmとする。
【0020】
第3の無段変速装置の油圧制御回路では、第1の無段変速装置の油圧制御回路において、前記第4の圧力制御弁の圧力切換動作が、ロックアップクラッチが結合するときは、少なくとも該ロックアップクラッチのアプライ側に供給されるアプライ圧と、上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給されるリリース圧との圧力差に応じて行うことで、上記第4の圧力制御弁ではロックアップクラッチが実際に結合した後に、上記クラッチ制御圧及び潤滑圧を低下させる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1〜図5に本発明の第1実施の形態を示す。
【0022】
図4の符号1はエンジンで、このエンジン1の出力軸2が無段変速装置3、終減速装置4を介して駆動輪5を支承する駆動軸6に連設されている。又、上記無段変速装置3が、入力側から発進クラッチの一例であるトルクコンバータ7、プラネタリギヤ式前後進切換装置8、無段変速機9で構成されている。
【0023】
又、上記エンジン1の出力軸2が上記トルクコンバータ7のインペラ7aに連設され、このトルクコンバータ7のタービン7bが上記前後進切換装置8の入力軸8aに連設されている。尚、このトルクコンバータ7にはロックアップクラッチ7cが併設されており、このロックアップクラッチ7cが結合すると上記エンジン1の出力軸2と上記タービン7bとが流体を介さず直結状態になる。
【0024】
上記前後進切換装置8はダブルピニオン式プラネタリギヤ10を備え、このプラネタリギヤ10のサンギヤ10aに上記入力軸8aが連設されている。又、このサンギヤ10aとキャリヤ10bとがフォワードクラッチ11を介して係脱自在にされ、更に、リングギヤ10cとトランスミッションケース3aとがリバースブレーキ12を介して係脱自在にされている。
【0025】
上記フォワードクラッチ11が係合すると上記プラネタリギヤ10が一体回転し、又、上記リバースブレーキ12が係合すると逆転した動力を上記無段変速機9の入力軸9aへ伝達する。そして、上記フォワードクラッチ11とリバースブレーキ12との双方が開放された状態では、上記プラネタリギヤ10がニュートラル状態となり、駆動系における動力の伝達が遮断される。
【0026】
上記前後進切換装置8のキャリヤ10bに連設する上記無段変速機9の入力軸9aにプライマリプーリ9bが軸着され、このプライマリプーリ9bに対設するセカンダリプーリ9cが出力軸9dに軸着され、この両プーリ9b,9cがベルト9eを介して連設されている。上記各プーリ9b,9cの可動シーブ側にプライマリ油圧室9f、セカンダリ油圧室9gが設けられており、この各油圧室9f,9gに供給される作動油圧により、上記両プーリ9b,9cの溝幅を反比例状態に設定して変速制御を行う。又、上記無段変速機9の出力軸9dが上記終減速装置4の減速歯車群4aを介して、上記駆動軸6に軸着されているデファレンシャル装置4bに連設されている。
【0027】
次に、上記ロックアップクラッチ7c、フォワードクラッチ11、リバースブレーキ12、及び無段変速機9の各油圧室9f,9gに作動油圧を供給する油圧制御回路について説明する。
【0028】
図1の符号21はエンジン駆動式オイルポンプであり、メインポンプ21aとサブポンプ21bとを備え、両ポンプ21a,21bの吸入口がオイルパン22に連通されている。又、メインポンプ21aの吐出口がライン圧油路23に直接連通され、一方、サブポンプ21bの吐出口が切換弁24を介して上記ライン圧油路23に連通されている。この切換弁24は切換ソレノイド弁25から供給される制御圧によりスイッチ動作するもので、この切換ソレノイド弁25が制御ユニット26(図3参照)からの制御信号に基づいて制御動作される。
【0029】
例えば、高速での定常運転等のようにポンプ流量が比較的多いときは切換ソレノイド弁25を介して上記切換弁24を閉弁動作させ、上記ライン圧油路23に対してメインポンプ21aのみから油圧を供給する。一方、発進加速時など要求流量が比較的多いときは上記切換弁24を開弁し、上記ライン圧油路23に対しメインポンプ21aとサブポンプ21bとの双方から油圧を供給する。
【0030】
上記ライン圧油路23へ供給される上記オイルポンプ21からの吐出圧が、第1の圧力制御弁である油圧制御装置27のプライマリ圧制御弁27aに併設するライン圧制御弁27bにて比較的高圧のライン圧Psに調圧され、この調圧されたライン圧Psが無段変速機9のセカンダリプーリ9cのセカンダリ油圧室9g、上記プライマリ圧制御弁27a等に供給される。このプライマリ圧制御弁27aでは上記ライン圧Psを減圧して、上記無段変速機9のプライマリプーリ9bに設けたプライマリ油圧室9fにプライマリ圧Pp(Pp≦Ps)を供給する。
【0031】
上記ライン圧Ps及びプライマリ圧Ppは、制御ユニット26(図3参照)で設定される。この制御ユニット26ではトルクコンバータ7に併設するロックアップクラッチ7cが結合状態にあるときは、該トルクコンバータのトルク比がts=1.0 の最小値となり、エンジントルクは増幅されずに伝達するため、上記ライン圧Ps及びプライマリ圧Ppを比較的低圧の範囲で制御することで燃費の向上を図る。一方、上記ロックアップクラッチ7cが解除された状態では、トルク比tsが大きくなる要素が高く増幅された大きなトルクがベルトに伝達されるため、失速点となる最大トルク比を考慮した高い圧力範囲で上記両圧力Ps,Ppを制御する。
【0032】
図3に示すように、上記油圧制御装置27に設けた各制御弁27a,27bは上記制御ユニット26からの制御信号に従い制御動作するプライマリ圧制御用ソレノイド弁27cとライン圧制御用ソレノイド弁27dの動作量に従いプライマリ圧Pp、ライン圧Psを設定する。尚、上記無段変速機9では、セカンダリプーリ9cに供給されるライン圧Psにてベルト9eの張力を保持し、上記プライマリ圧Ppによりプライマリプーリ9bの溝幅を可変設定することで変速制御を行う。
【0033】
又、上記油圧制御装置27のライン圧制御弁27bのドレーンポートに第1の油圧回路であるクラッチ制御圧油路28が連通されている。このクラッチ制御圧油路28に供給される上記ライン圧制御弁27bからの油圧は第2の圧力制御弁であるクラッチ制御圧制御弁29にて所定のクラッチ制御圧Pcに調圧される。
【0034】
上記クラッチ制御圧油路28及び上記ライン圧油路23には、セイフティロック弁30、図示しないセレクトレバーと連動するマニュアル弁31を介して、フォワードクラッチ11に連通するフォワードクラッチ油路32とリバースブレーキ12に連通するリバースクラッチ油路33とが連通自在にされている。
【0035】
又、上記セイフティロック弁30は前進走行中にセレクトレバーを誤ってRレンジにセレクトしたり、或いは急ブレーキやそれに伴うタイヤのロック等、駆動輪5から無段変速機9に対し、該無段変速機9の許容変速速度を越える急激な回転変動が伝達される場合に、上記フォワードクラッチ11と上記リバースブレーキ12とに供給されている作動油圧を直ちにドレーンすることで、上記前後進切換装置8を強制的にニュートラル状態にするもので、このセイフティロック弁30の切換え動作が、上記セイフティロック弁30の作動室と上記クラッチ制御圧油路28とを連通する制御圧通路34aに介装されているセイフティロックソレノイド弁34で行われる。
【0036】
このセイフティロックソレノイド弁34は通常は閉弁状態にあり、従って、上記セイフティロック弁30の作動室にはクラッチ制御圧油路28を流通するクラッチ制御圧Pcを元圧とする作動油圧が供給されておらず、上記フォワードクラッチ油路32と上記リバースブレーキ油路33とを各々流通自在な状態に保持している。上記セイフティロックソレノイド弁34に対するON信号は上記制御ユニット26から出力され、このセイフティロックソレノイド弁34へON信号が出力されると、このセイフティロックソレノイド弁34からセイフティロック弁30の作動室にクラッチ制御圧Pcを元圧とする作動油圧が供給され、このセイフティロック弁30は上記フォワードクラッチ11側とリバースブレーキ12側とに各々連通するフォワードクラッチ油路32とリバースクラッチ油路33とを共に、上記セイフティロック弁30の中央に開口するドレーンポート33aに連通させ、上記フォワードクラッチ11とリバースブレーキ12とを共に解除する。
【0037】
又、上記マニュアル弁31に連動するセレクトレバーがニュートラル(N)レンジ、或いはパーキング(P)レンジにセレクトされているとき、該マニュアル弁31がフォワードクラッチ油路32とリバースブレーキ油路33とに流入するライン圧Ps、クラッチ制御圧Pcを共にドレーンし、又、ドライブ(D)レンジにセレクトされているときは上記クラッチ制御圧油路28を上記フォワードクラッチ油路32に連通させると共に、リバースブレーキ油路33に流入するライン圧Psをドレーンさせる。一方、リバース(R)レンジにセレクトされているときは上記ライン圧通路23を上記リバースブレーキ油路32に連通すると共に上記クラッチ制御圧油路28に流入するクラッチ制御圧Pcをドレーンさせる。
【0038】
又、上記フォワードクラッチ油路32と上記リバースブレーキ油路33のマニュアル弁31の下流にオリフィス35と上記フォワードクラッチ11、上記リバースブレーキ12から上記セイフティロック弁30への流通のみを許容する逆止弁36とが並列に介装されている。
【0039】
更に、上記フォワードクラッチ油路32と上記リバースブレーキ油路33の上記フォワードクラッチ11と上記リバースブレーキ12の直上流に、このフォワードクラッチ11とリバースブレーキ12に供給する作動油圧の変動を緩衝するアキュムレータ37,38が接続されている。
【0040】
又、符号40は上記トルクコンバータ7に設けたロックアップクラッチ7cの結合、解除を制御するロックアップ制御弁であり、このロックアップ制御弁40の流入側に上記クラッチ制御圧油路28と上記クラッチ制御圧制御弁29のドレーンポートに連通するリリース側潤滑圧油路41とが接続され、又、吐出側に上記ロックアップクラッチ7cのアプライ側に連通するアプライ圧油路42とリリース側に連通するリリース圧油路43とが接続されている。尚、上記アプライ圧油路42にはリリーフ弁44が連通されている。
【0041】
更に、上記ロックアップ制御弁40の作動室に第2の油圧回路である作動圧油路45が連通され、又、このロックアップ制御弁40の上記作動室に対向して配設するバイアス室にバイアスばねが介装されていると共にクラッチ制御圧油路28が接続されている。
【0042】
又、上記作動圧油路45に流路切換手段の一例であるロックアップ制御用ソレノイド弁46を介して上記クラッチ制御圧油路28が連通自在にされている。図2に示すように、このロックアップ制御用ソレノイド弁46には、上記クラッチ制御圧油路28に連通する流入ポート46aと上記作動圧油路45に連通する供給ポート46bと、ドレーン通路51に連通するドレーンポート46cとが開口されており、内蔵する弁体46dが上記制御ユニット26からの制御信号に従い、上記供給ポート46bを上記流入ポート46aと上記ドレーンポート46cとに対して選択的に連通させる。
【0043】
すなわち、ロックアップ結合時にはクラッチ制御圧油路28と作動圧油路45とを連通し(図2の状態)、上記クラッチ制御圧油路28を流通するクラッチ制御圧Pcを元圧とする作動油圧POを上記作動圧油路45に供給し、又ロックアップ解除時には上記クラッチ制御圧油路28と上記作動圧油路45とを遮断すると共に、該作動圧油路45をドレーン通路51へ導く。
【0044】
上記クラッチ制御圧制御弁29のドレーンポートには上記リリース側潤滑圧油路41と、無段変速装置3の機構部等、各要潤滑部へ潤滑油を導く潤滑油路49とが接続されており、このリリース側潤滑圧油路41と潤滑油路49とを流通する潤滑圧PLが第3の圧力制御弁である潤滑圧制御弁50により調圧され、この潤滑圧制御弁50のドレーンポートが上記オイルポンプ21の吸入側に連通されている。
【0045】
又、上記作動圧油路45に第4の圧力制御弁であるタイミング弁55の作動室が連通されている。このタイミング弁55の上記作動室の対向端部に設けたバイアス室にバイアスばねが介装されていると共に上記リリース圧油路43が連通されている。このタイミング弁55の流入側に上記クラッチ制御圧制御弁29を介して上記クラッチ制御圧油路28に連通するクラッチ制御圧流入油路28aと上記リリース側潤滑圧油路41に連通する潤滑圧流入油路41aとが連通され、又、供給側に上記クラッチ制御圧制御弁29の作動室に連通するクラッチ制御圧作動油路28bと上記潤滑圧制御弁50の作動室に連通する潤滑圧作動油路41bとが連通されている。更に、上記タイミング弁55の上記作動室の対向端部に設けたバイアス室にバイアスばねが介装されていると共に上記リリース圧油路43にリリース圧流入油路43aを介して連通されている。
【0046】
このタイミング弁55では、上記作動室に流入される作動油圧POによる力と、上記バイアス室に流入されるリリース圧PR及びバイアスばねによるバイアス圧PB1との力の釣り合いにより、上記クラッチ制御圧流入油路28aを上記クラッチ制御圧作動油路28bとドレーン通路56aとに選択的に連通すると共に、上記潤滑圧流入油路41aを上記潤滑圧作動油路41bとドレーン通路56bとに対して選択的に連通する。又、このタイミング弁55の切換タイミングが、該タイミング弁55の作動室に供給される作動油圧POにより弁体55aが図1の右方向へ移動するロックアップ結合時には、先ず潤滑圧流入油路41aと潤滑圧作動油路41bとが連通され、次いで、クラッチ制御圧流入油路28aとクラッチ制御圧作動油路28bとが連通される。一方、ロックアップ解除時は、上記タイミング弁55の作動室に供給されている作動油圧がドレーンされて上記弁体55aが図1の左側へスライドし、最初にクラッチ制御圧流入油路28aとクラッチ制御圧作動油路28bとが遮断されると共にクラッチ制御圧作動油路28bがドレーン通路56aに連通され、次いで潤滑圧流入油路41aと潤滑圧作動油路41bとが遮断されると共に潤滑圧作動油路41bがドレーン通路56bに連通される。
【0047】
又、上記ロックアップ制御弁40は、その作動室に供給される作動油圧POによる力と、その対向端部に設けたバイアス室に流入するクラッチ制御圧Pc及びバイアスばねによるバイアス圧PB2との押力差により切換え動作される。すなわち、上記作動室に供給される作動油圧POが上昇し、上記バイアス圧PB2による押力よりも大きくなると、押力差によりスライドし上記クラッチ制御圧油路28を上記アプライ圧油路42に連通して、上記ロックアップクラッチ7cのアプライ側にクラッチ制御圧Pcを元圧とするアプライ圧PAを供給すると共にリリース圧油路43をドレーンポートに連通して上記リリース圧PRを排出し、ロックアップクラッチを結合させる。又、上記リリース側潤滑圧油路41はドレーン通路47に連通され、オイルクーラ48を介してドレーンされる。
【0048】
一方、上記ロックアップ制御弁40の作動室に供給されている作動油圧POが減衰し、この作動室に対向配設するバイアス室に流入されている潤滑圧PLとバイアスばねとによるバイアス圧PB2による力よりも小さくなると、流路が切換えられ、図1に示すように、上記リリース側潤滑圧油路41をリリース圧油路43に接続して、ロックアップクラッチ7cのリリース側に上記潤滑圧PLを元圧とするリリース圧PRを供給すると共に、アプライ圧油路42をドレーン通路47に連通させて、アプライ側に供給されているアプライ圧PAPを排出させ、ロックアップクラッチ7cを解除する。
【0049】
又、上記クラッチ制御圧制御弁29と上記潤滑圧制御弁50は、その作動室に供給される作動油圧POと、該作動室の対向端部に設けたバイアス室に介装したバイアスばねとの釣り合いでドレーン流量を可変設定する。すなわち、各制御弁29,50の作動室に供給される上記作動油圧POが、その対向端部に設けられているバイアスばねの付勢力よりも高くなると、各制御弁29,50がバイアスばねの付勢力に抗してスライドし潤滑油のドレーン流量を増大させる。一方、上記作動室に供給される作動油圧POが減少し、上記バイアスばねの付勢力よりも低くなると、上記各制御弁29,50がバイアスばねの付勢力を受けて反対方向へスライドし、潤滑油のドレーン流量を減少させる。上記各制御弁29,50のドレーン流量が減少すると、クラッチ制御圧油路28、リリース側潤滑圧油路41を流通するクラッチ制御圧Pc、潤滑圧PLが上昇し、又、上記各制御弁29,50のドレーン流量が増加すると、上記クラッチ制御圧Pc、上記潤滑圧PLが相対的に低くなる。
【0050】
尚、上記ライン圧Psとクラッチ制御圧Pcとの間、及び該クラッチ制御圧Pcと潤滑圧PLと間の圧力差Pdは、オイルポンプ21の脈動、流れの乱れ等による圧力変動の影響を受けて互いに干渉しない値、本実施の形態では、少なくとも1.5Kgf/cmに設定されている。
【0051】
次に、本実施の形態の作用について説明する。エンジン駆動式オイルポンプ21はメインポンプ21aとサブポンプ22bとを備え、エンジン運転中はメインポンプ21aがオイルパン22に貯留されている潤滑油をライン圧通路23へ常時供給し、又、サブポンプ21bがエンジン運転状態に応じ切換弁24を介して上記ライン圧通路23に潤滑油を適宜供給する。そして、このライン圧通路23に供給される潤滑油が油圧制御装置27のライン圧制御弁27bにて調圧されて高圧のライン圧Psが設定される。
【0052】
そして、上記ライン圧制御弁27bからのドレーン圧がクラッチ制御圧油路28に流入される。このクラッチ制御圧油路28に流入された上記ライン圧制御弁27bからのドレーン圧は、クラッチ制御圧制御弁29にて調圧され、所定のクラッチ制御圧Pcに設定される。
【0053】
又、上記クラッチ制御圧制御弁29からのドレーン圧がリリース側潤滑圧油路41及び潤滑油路49に流入する。そして、このリリース側潤滑圧油路41及び潤滑油路49に流入されたドレーン圧が潤滑圧制御弁50にて調圧されて潤滑圧PLに設定され、更に、この潤滑圧制御弁50からのドレーン油が上記オイルポンプ21の吸入側へ還流される。
【0054】
上記ライン圧通路23を流通するライン圧Ps、クラッチ制御圧油路28を流通するクラッチ制御圧Pc、潤滑圧油路41を流通する潤滑圧PLは、上記ライン圧制御弁27b、クラッチ制御圧制御弁29、潤滑圧制御弁50により、互いに近接する制御圧間の圧力差Pdが、少なくとも1.5Kgf/cmに設定されているため、オイルポンプ21の脈動、流れの乱れ等による圧力変動の影響を受けて、互いに干渉することが無く、従って、サージ音等の回路内騒音を低減することができる。
【0055】
無段変速機9では、そのセカンダリプーリ9cに設けたセカンダリ油圧室9gに上記ライン圧Psが供給され、このセカンダリプーリ9cにトルク伝達に必要な張力を付与する。一方、プライマリプーリ9bに設けたプライマリ油圧室9fには、上記油圧制御装置27のプライマリ圧制御弁27aにて調圧されたプライマリ圧Ppが供給され、このプライマリ圧Ppによりプーリの溝幅を可変することで変速制御が行われる。
【0056】
このプライマリ圧Pp及びライン圧Psが制御ユニット26で設定され、トルクコンバータ7に併設するロックアップクラッチ7cが結合される状態では、該トルクコンバータのトルク比が 1.0であるため、ベルトにスリップが発生し難く、上記ライン圧Ps及びプライマリ圧Ppを比較的低圧の範囲で制御する。一方、上記ロックアップクラッチ7cが解除された状態では、失速点の最大トルク比を考慮した高い圧力で上記両圧力Ps,Ppを制御する。従って、上記両圧力Ps,Ppはロックアップクラッチ7cが結合状態では低い範囲で、解除状態では高い範囲で制御される。
【0057】
上記ロックアップクラッチ7cの結合或いは解除は上記制御ユニット26で設定される。
【0058】
ロックアップクラッチ7cを結合させるときはロックアップ制御用ソレノイド弁46に制御信号を出力し、該ロックアップ制御用ソレノイド弁46の弁体46dを突出動作させ、上記クラッチ制御圧油路28を上記作動圧油路45に連通させる。
【0059】
すると、上記クラッチ制御圧油路28を流通するクラッチ制御圧Pcを元圧とする作動油圧POが上記作動圧油路45に流入され、この作動油圧POがロックアップ制御弁40の作動室、及びタイミング弁55の作動室に供給される。
【0060】
上記ロックアップ制御弁40の作動室に供給された作動油圧POによる力が、該作動室の対向端部に設けたバイアス室に介装されているバイアスばね、及びこのバイアス室に流入するクラッチ制御圧Pcとの共働によるバイアス圧PB2による力よりも大きくなると、その力の釣り合いにより図1の右方向へスライドし、上記クラッチ制御圧油路28を上記アプライ圧油路42に接続し、又、リリース圧油路43をドレーンポートに連通し、更に、上記リリース側潤滑圧油路41を上記ドレーン通路47に連通させる。
【0061】
その結果、上記ロックアップクラッチ7cのアプライ側にクラッチ制御圧Pcを元圧とするアプライ圧PAが供給され、又、リリース側に供給されているリリース圧PRがドレーンされ、ロックアップクラッチ7cが結合する。
【0062】
一方、上記タイミング弁55の上記作動室の対向端部に設けたバイアス室にはリリース圧油路43を流通するリリース圧PRが供給されているため、この作動室に上記作動油圧POが供給され始めた初期の段階では、上記タイミング弁55は切換え動作せず、クラッチ制御圧Pc、及び潤滑圧PLは高い圧力が保持されている。従って、上記ロックアップクラッチ7cを確実に結合させることができる。
【0063】
そして、上記ロックアップ制御弁40が上記作動油圧POの付勢力によりスライドし、上記ロックアップクラッチ7cのリリース側に供給されているリリース圧PRがリリース圧油路43を介してドレーンすると、同時に上記タイミング弁55のバイアス室に供給されているリリース圧PRも上記リリース圧油路43を経てドレーンされ、このタイミング弁55の弁体55aが上記作動油圧POの付勢力を受けて、図1の右方向へスライドし、最初に潤滑圧流入油路41aと潤滑圧作動油路41bとを連通し、次いで、クラッチ制御圧流入油路28aとクラッチ制御圧作動油路28bとを連通する。
【0064】
上記潤滑圧流入油路41aと潤滑圧作動油路41bとが連通すると、潤滑圧制御弁50の作動室に潤滑圧PLを元圧とする作動油圧が供給され、この潤滑圧制御弁50をバイアスばねの付勢力に抗してスライドさせ、上記潤滑圧油路41を流通する潤滑圧PLのドレーン流量を増量し、該潤滑圧PLを低下させる。
【0065】
又、上記クラッチ制御圧流入油路28aとクラッチ制御圧作動油路28bとが連通すると、クラッチ制御圧制御弁29の作動室にクラッチ制御圧Psを元圧とする作動油圧が供給され、このクラッチ制御圧制御弁50をバイアスばねの付勢力に抗してスライドさせ、上記クラッチ制御圧油路28を流通するクラッチ制御圧Pcのドレーン流量を増量し、該クラッチ制御圧Pcを低下させる。
【0066】
その結果、ロックアップクラッチ7cが結合後、先ず潤滑圧PLが低圧側へ切換り、次いでクラッチ制御圧Pcが低圧側へ切換る。ロックアップ結合時の上記ライン圧Psの低下に追従して、先ず潤滑圧PL、次いでクラッチ制御圧Pcが低下するので、互いの圧力差が近接することが無く、圧力干渉が回避され、サージ音等の回路内騒音を低減することができる。
【0067】
又、ロックアップクラッチ7cを解除するときは、上記ロックアップ制御用ソレノイド弁46の弁体46dを後退させ、上記クラッチ制御圧油路28と上記作動圧油路45とを遮断すると共に、該作動圧油路45をドレーン通路51に連通させる。
【0068】
すると、上記ロックアップ制御弁40及び上記タイミング弁55の各作動室に供給されている作動油圧POが上記ドレーン通路51から排出される。
【0069】
上記ロックアップ制御弁40の作動室に供給されている作動油圧POによる力がバイアス室のバイアス圧PB2による力よりも小さくなると、図1に示すように、上記リリース側潤滑圧油路41がリリース圧油路43に接続され、又、アプライ圧油路42がドレーン通路47に連通され上記ロックアップクラッチ7cのアプライ側に供給されているアプライ圧PAPがドレーンされると共に、上記リリース側潤滑圧油路41を流通する潤滑圧PLを元圧とするリリース圧PRが上記リリース圧油路43に流入される。
【0070】
このリリース圧PRの一部がリリース圧流入油路43aを経てタイミング弁55のバイアス室に流入される。このタイミング弁55の作動室に流入されている作動油圧POは既にドレーンされているため、このタイミング弁55の弁体55aは上記リリース圧PRの付勢力を受けて、図1の左方向へスライドし、先ず潤滑圧流入油路41aと潤滑圧作動油路41bとを遮断すると共に、該潤滑圧作動油路41bをドレーン通路56bに連通する。次いで、クラッチ制御圧流入油路28aとクラッチ制御圧作動油路28bとを遮断すると共に、該クラッチ制御圧作動油路28bをドレーン通路56bに連通する。
【0071】
すると、最初にクラッチ制御圧制御弁29のドレーン流量が絞られ、クラッチ制御圧Pcが高圧側に切換えられ、次いで、潤滑圧制御弁50のドレーン流量が絞られて潤滑圧PLが高圧側へ切換えられる。
【0072】
一方、上記リリース圧流入通路43に流入したリリース圧PRが上記ロックアップクラッチ7cのリリース側に供給され、又アプライ側に供給されているアプライ圧PAPがドレーンされているため、ロックアップクラッチ7cが解除される。このとき、供給する油量の差から上記ロックアップクラッチ7cの解除が完了する前に、上記タイミング弁55が動作して、クラッチ制御圧Pcと潤滑圧PLとが高圧状態に切換えられているため、上記ロックアップクラッチ7cのリリース側に供給されるリリース圧PRは、ロックアップを解除するに十分な圧力となる。又、ロックアップ解除時の上記ライン圧Psの上昇に追従して、クラッチ制御圧Pc及び潤滑圧PLの双方が上昇するので、互いの圧力間の干渉が回避され、サージ音等の回路内騒音を低減することができる。
【0073】
このように、本実施の形態によれば、クラッチ制御圧Pcと潤滑圧PLとを、ロックアップ結合時と解除時において圧力切換設定されるライン圧Psに追従して、互いの圧力差Pdが少なくとも1.5Kgf/cmになる範囲で圧力を切換るようにしたので、オイルポンプ21の容量を増大させることなく、サージ音等の回路内騒音を低減することができる。又、ロックアップ結合時と解除時における上記クラッチ制御圧Pcと潤滑圧PLとの圧力切換を、タイミング弁55により行うようにしたので、上記圧力Pc,PLの切換タイミングを最適な状態に設定することができる。
【0074】
ところで、ロックアップ解除時、上記ロックアップ制御弁40及び上記タイミング弁55が流路を切換え動作している間は、この各弁40,55がアキュムレータとして機能するので、図5に示すように、ロックアップ解除時にドレーンされる作動油圧POに対し、タイミング弁55のバイアス圧PB1をロックアップ制御弁40のバイアス圧PB2に対して高い値に設定しておくことで、ロックアップ解除時において、上記タイミング弁55をロックアップ制御弁40よりも早く切換作動するように設定することが可能になる。
【0075】
図6に本発明の第2実施の形態を示す。本実施の形態では、タイミング弁55に第1作動室55bと第2作動室55cとの2つの作動室を設け、第1作動室55bに作動圧油路45を連通し、第2動作室55cにアプライ圧流入通路42aを介してアプライ圧油路42を連通したものである。
【0076】
ロックアップ結合時、ロックアップ制御用ソレノイド弁46がクラッチ制御圧油路28と作動圧油路45とを連通すると、上記タイミング弁55の上記第1作動室55bと、ロックアップ制御弁40の作動室とに上記クラッチ制御圧油路28を流通するクラッチ制御圧Pcを元圧とする作動油圧POが供給される。
【0077】
このとき、上記タイミング弁55のバイアス室にはリリース圧通路43を流通するリリース圧PRがリリース圧流入油路43aを介して供給されており、上記弁体55aはリリース圧PRにより、図6の状態が維持されている。そして、上記作動圧POにより上記ロックアップ制御弁40がスライドし、クラッチ制御圧油路28とアプライ圧油路42とを連通すると共に、潤滑圧油路41とリリース圧通路43とを遮断し、更にこのリリース圧通路43をドレーン通路に連通すると、上記タイミング弁55のバイアス室に供給されているリリース圧PRがドレーンされ、同時に上記第2作動室55cにクラッチ制御圧Pcを元圧とするアプライ圧PAPが供給される。
【0078】
すると、第1作動室55bに供給されている作動油圧PO及び上記第2作動室55cに供給されるアプライ圧PAPと、バイアス室内の徐々にドレーンされているリリース圧PRとの力の釣り合いで、弁体55aが図6の右方向へ徐々にスライドし、上述した第1実施の形態と同様、最初に潤滑圧流入油路41aと潤滑圧作動油路41bとを連通し、次いで、クラッチ制御圧流入油路28aとクラッチ制御圧作動油路28bとを連通する。
【0079】
このように、本実施の形態では、ロックアップ結合時の上記タイミング弁55の切換え動作を、アプライ圧油路42にアプライ圧PAPが流入された後、上記リリース圧PAPとの力の釣り合いによりタイミング弁55を切換え動作するようにしたので、クラッチ制御圧Pcはロックアップクラッチ7cが実際に結合する迄、高い圧力を保持することができる。尚、ロックアツプ解除時は、タイミング弁55のバイアス室に供給されるリリース圧PRにより弁体55aが切換え動作するように設定しておくことで、実際にロックアップクラッチ7cが解除される前に、上記タイミング弁55の切換を動作を完了させることができる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、無段変速機に対するプーリ制御圧を設定する第1の圧力制御弁と、該プーリ制御圧のドレーン圧を調圧してロックアップクラッチ及び前後進切換装置の動作クラッチに対するクラッチ制御圧を設定する第2の圧力制御弁と、該クラッチ制御圧のドレーン圧を調圧して上記ロックアップクラッチのリリース側及び要潤滑部へ供給する潤滑圧を設定する第3の圧力制御弁とを備え、該各圧力制御弁により上記プーリ制御圧とクラッチ制御圧、及び該クラッチ制御圧と上記潤滑圧との圧力差を互いに干渉しない値に設定したので、オイルポンプの脈動、流れの乱れ等の影響で生じるサージ音等の回路内騒音を低減することができる。又、上記クラッチ制御圧が流通する第1の油圧回路と上記ロックアップクラッチのアプライ側に対する上記クラッチ制御圧の供給遮断を行うロックアップ制御弁のロックアップ作動室に連通する第2の油圧回路とを、上記ロックアップクラッチを結合するときは連通し解除するときは遮断すると共に上記第2の油圧回路をドレーン通路へ導く流路切換手段を介して連通自在にし、上記第2の油圧回路に供給されるクラッチ制御圧と上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給される潤滑圧との圧力差に応じ上記第2の圧力制御弁と第3の圧力制御弁とに供給する作動油圧の供給排除のタイミングを可変制御してロックアップクラッチが結合したとき上記潤滑圧を上記クラッチ制御圧に対して同等或いは早いタイミングで圧力を低下させ、又ロックアップクラッチが解除したとき上記クラッチ制御圧が上記潤滑圧より同等或いは早いタイミングで圧力を高くする第4の圧力制御弁を設けたので、トルクコンバータのトルク比の小さくなるロックアップ結合時と、トルク比の大きくなるロックアップ解除時における上記クラッチ制御圧と上記潤滑圧とを、ロックアップ解除時とロックアップ結合時とにおいて変化するプーリ制御圧に対応し、しかも互いの圧力間に干渉を生じさせることなく、最適なタイミングで切換えることができる。
【0081】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、上記圧力差を1.5Kgf/cm以上とすることで、回路内騒音をより一層低減することができる。
【0082】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記第4の圧力制御弁を前記ロックアップクラッチが結合するときは、少なくとも該ロックアップクラッチのアプライ側に供給されるアプライ圧と、上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給されるリリース圧との圧力差に応じて切換え動作することで、ロックアップクラッチが実際に結合された後に、上記第4の圧力制御弁を作動させて、クラッチ制御圧及び潤滑圧を最適なタイミングで低圧側へ切換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態による無段変速装置の油圧回路図
【図2】同、ロックアップ制御用ソレノイドの断面図
【図3】同、電子制御ユニットの出力系を示すブロック図
【図4】同、無段変速装置の駆動系を示す模式図
【図5】同、タイミング弁の切換え動作のタイミングを示す図表
【図6】本発明の第2実施の形態による無段変速装置の油圧回路図
【図7】オイルポンプの脈動等により生じる油圧回路内の圧力変動を示す波形図
【符号の説明】
7…ロックアップクラッチ付発進クラッチ(トルクコンバータ)
7c…ロックアップクラッチ
8…前後進切換装置
9…無段変速機
11…動作クラッチ(フォワードクラッチ)
21…エンジン駆動式オイルポンプ
27…第1の圧力制御弁(油圧制御弁)
28…第1の油圧回路(クラッチ制御圧通路)
29…第2の圧力制御弁(クラッチ制御圧制御弁)
40…ロックアップ制御弁
45…第2の油圧回路(作動圧油路)
46…流路切換手段(ロックアップ制御用ソレノイド弁)
50…第3の圧力制御弁(潤滑圧制御弁)
55…第4の圧力制御弁
Pd…圧力差
Pc…クラッチ制御圧
PL…潤滑圧
PO…作動圧
Ps…プーリ制御圧(ライン圧)

Claims (3)

  1. 駆動系にロックアツプクラッチ付発進クラッチと前後進切換装置と無段変速機とを備え、
    エンジン駆動式オイルポンプからの吐出圧を調圧して上記無段変速機に対するプーリ制御圧を上記ロックアップクラッチが結合時には低く、該ロックアップクラッチが解除時には高く設定する第1の圧力制御弁と、
    上記プーリ制御圧のドレーン圧を調圧して上記発進クラッチに設けたロックアップクラッチのアプライ側及び上記前後進切換装置の動作クラッチに対するクラッチ制御圧を設定する第2の圧力制御弁と、
    上記クラッチ制御圧のドレーン圧を調圧して上記ロックアップクラッチのリリース側及び要潤滑部へ供給する潤滑圧を設定する第3の圧力制御弁とを備える無段変速装置の油圧制御回路において、
    前記各圧力制御弁により上記プーリ圧と上記クラッチ制御圧、及び該クラッチ制御圧と上記潤滑圧との圧力差を互いに干渉しない値に設定すると共に、
    上記クラッチ制御圧が流通する第1の油圧回路と上記ロックアップクラッチのアプライ側に対する上記クラッチ制御圧の供給遮断を行うロックアップ制御弁のロックアップ作動室に連通する第2の油圧回路とを、上記ロックアップクラッチを結合するときは連通し解除するときは遮断すると共に上記第2の油圧回路をドレーン油路へ導く流路切換手段を介して連通自在にし、
    上記第2の油圧回路に供給されるクラッチ制御圧と上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給される潤滑圧との圧力差に応じ上記第2の圧力制御弁と第3の圧力制御弁とに供給する作動油圧の供給排除のタイミングを可変制御してロックアップクラッチが結合したとき上記潤滑圧を上記クラッチ制御圧に対して同等或いは早いタイミングで圧力を低下させ、又ロックアップクラッチが解除したとき上記クラッチ制御圧が上記潤滑圧より同等或いは早いタイミングで圧力を高くする第4の圧力制御弁を設けたことを特徴とする無段変速装置の油圧制御回路。
  2. 前記クラッチ制御圧と前記潤滑圧との圧力差が1.5Kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の無段変速装置の油圧制御回路。
  3. 前記第4の圧力制御弁の圧力切換動作が前記ロックアップクラッチが結合するときは、少なくとも該ロックアップクラッチのアプライ側に供給されるアプライ圧と、上記ロックアツプクラッチのリリース側に供給されるリリース圧との圧力差に応じて行われることを特徴とする請求項1記載の無段変速装置の油圧制御装置。
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