JP3607709B2 - 皮膚外用保湿剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、サフラン抽出物を有効成分とする皮膚外用保湿剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧料、医薬品などの皮膚外用剤の中には皮膚の保湿効果を高めることを目的としているものが数多く見受けられる。これらは、正常な皮膚保湿性を保つことや、乾燥や洗剤使用による肌荒れによる保湿能力の低下を補うことを目的にしている。これまで、保湿効果を有するものとして、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの動物抽出物質などが使用されていた。
一方、サフランは内服薬として月経不順、冷え性などの婦人用薬や保健薬に使用されているほか、近年、抗血液凝固作用などが報告されているが、その抽出物の保湿作用、特に皮膚外用剤における保湿作用についてはこれまで知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来用いられていた保湿剤には次のような欠点があった。例えば、多価アルコール類では使用感の面でベタツキがあり、効果的な濃度を製剤中に配合することは困難であった。また、動物抽出物質は高価である一方、高分子物質であることから経皮吸収性が悪く、十分満足できるものとは言えなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、効果はもちろん、安全性や使用感など全ての面で優れた保湿剤を開発すべく、主に植物抽出物について研究を行った結果、サフラン抽出物に優れた保湿作用があることを発見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明はサフラン抽出物を有効成分とする皮膚外用保湿剤である。本発明において、サフラン抽出物とは、サフランの柱頭,花柱上部の成分を抽出したものを指し、その調製方法としては例えばサフランの柱頭及び花柱上部を乾燥したものに溶媒(例えば、水、30〜70重量%のエタノール水溶液、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロパノールなど)を加え、室温で数日間(例えば、5〜8日間)抽出した液をろ過して調製すればよい。
【0005】
前記サフラン抽出物の配合量は、例えばサフランの柱頭100gに30%エタノール水溶液200mlを加え、室温で5日間放置した液を濾過して製した場合、製剤全量に対して0.1〜5重量%である。
【0006】
本発明の皮膚外用保湿剤は、クレンジングクリーム、クレンジングローション、石鹸などの洗浄剤、各種化粧水、エモリエントクリーム、マッサージクリーム、サンスクリーンクリーム、リップクリームなどのクリーム剤、エモリエントローション、モイスチュアローション、ミルキィローション、ナリシングローション、マッサージローションなどのローション・乳液類、ヘアトニック、養毛剤、整髪料などの頭髪用剤、角質軟化剤、抗真菌剤(いわゆる水虫治療剤)、にきび治療剤、抗炎症剤(ステロイド外用剤)などに配合してヒトの皮膚に適用することができる。また、製剤の目的によって、副腎皮質ホルモン(例えば、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロニルチゾン)、抗ヒスタミン剤(例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イソチベンジルなど)、局所麻酔剤(例えば、塩酸ジブカイン、塩酸リドカインなど)、末梢血管拡張剤(例えば、ビタミンEアセテート、ニコチン酸ベンジル、オタネニンジンエキス、センブリ抽出エキス、トウガラシチンキ、塩化カルプロニウム、ミノキシジルなど)、抗炎症剤(例えば、グリチルレチン酸、グアイアズレンなど)、角質溶解剤(例えば、尿素、サリチル酸など)、殺菌剤(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ヒノキチオールなど)、抗真菌剤(例えば、クリトリマゾール、硝酸ミコナゾールなど)などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0007】
本発明の皮膚外用保湿剤は、1日に数回(好ましくは2〜3回)、適量を皮膚に塗布する。
【0008】
【発明の効果】
本発明により、効果、使用感共に優れた保湿剤を提供することが可能になった。
【0009】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例及び試験例で使用したサフラン抽出物は、サフランの柱頭100gに30%エタノール水溶液200mlを加え、室温で5日間放置した液を濾過して製したものである。
実施例1(クレンジングクリーム)
パラフィン5重量部、セタノール1.5重量部、流動パラフィン28重量部、ワセリン18重量部、モノステアリン酸グリセリン3重量部、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸エステル3重量部を加熱しながら撹拌して溶解した。あらかじめサフラン抽出物0.2重量部、プロピレングリコール2重量部、パラオキシ安息香酸エチル0.1重量部、精製水39.2重量部を加熱しながら撹拌して溶解した液を前記溶液に加え、撹拌乳化してクレンジングクリームを調製した。
【0010】
実施例2(エモリエントクリーム)
グリセリンモノステアレート2重量部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル2重量部、ミツロウ6重量部、セタノール5重量部、還元ラノリン8重量部、スクワラン35.3重量部、セチルアルコール2重量部、ステアリルアルコール2重量部、ビタミンEアセテート0.2重量部を加熱しながら撹拌して溶解した。あらかじめ、サフラン抽出物0.5重量部、エデト酸4ナトリウム、0.05重量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.05重量部、精製水36.9重量部を加熱して撹拌溶解した液を前記溶液に加え、撹拌、乳化してエモリエントクリームを調製した。
【0011】
実施例3(エモリエントローション)
エタノール15重量部にパラオキシ安息香酸エチル0.1重量部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル1.5重量部、オレイルアルコール0.1重量部、サフラン抽出物0.3重量部、コウジ酸0.1重量部、ビタミンCリン酸エステルマグネシウム塩0.2重量部、エテト酸4ナトリウム0.05重量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.05重量部を加えて溶かし、精製水82.6重量部を加えて均一とし、エモリエントローションを調製した。
【0012】
実施例4(皮膚炎群用軟膏)
ステアリルアルコール3重量部、サラシミツロウ8重量部、白色ワセリン70重量部を加熱、融解して混合し、これにコレステロール3重量部を加えて溶解した。加熱をやめ、かきまぜながら冷却した後、あらかじめ白色ワセリン13.6重量部とサフラン抽出物0.1重量部、酢酸ヒドロコルチゾン0.1重量部、塩酸ジフェンヒドラミン1重量部、塩酸クロルヘキシジン0.1重量部、ビタミンEアセテート0.1重量部、ソルビタンモノオレイン酸エステル1重量部を均一に混合したものを加え、均一になるまでかき混ぜ、油性軟膏剤を調製した。
【0013】
実施例5(養毛トニック)
センブリエキス3重量部、ヒノキチオール0.2重量部、β−エストラジオール0.0008重量部、ビタミンEアセテート0.2重量部、1−メントール0.5重量部、サフラン抽出物1重量部、エタノール55重量部、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル2重量部、エテト酸4ナトリウム0.05重量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.05重量部、精製水37.9992重量部を混合、溶解し、トニックタイプの養毛剤を調製した。
【0014】
試験例
実施例2に準じ、表1に示す処方で試料1〜4及び比較として、保湿効果を有するとされているプロピレングリコール、グリセリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウムを配合した処方で試料5〜8を調製した。試料1〜8について、保湿効果の評価として一般的に採用されているインピーダンスメーターを用いた方法で保湿効果の目安となるコンダクタンス(単位:u▲モ−▼,表2及び表3において同じ)を求めた。試験条件は以下に示す。
被験者:健常人7名(女性4名、男性3名)
塗布部位:左右上腕部内側、約10cm
塗布量:約30mg
測定環境:23+1℃、50+5%RH
インピーダンスメーター:IBS社製Model1B−354型
保湿効果の測定結果を表2及び表3に示した。また、試料4〜8の結果を図1にあわせて示した。これらの結果から、サフラン抽出物は従来品より優れており、特に、保湿効果に持続性がみられる。
【0015】
【表1】
Figure 0003607709
【0016】
【表2】
Figure 0003607709
【0017】
※1 表中の値は平均値±標準偏差を表す。
【0018】
【表3】
Figure 0003607709
【0019】
※2 表中の値は平均値±標準偏差を表す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサフラン抽出物含有製剤と市販保湿剤含有製剤の保湿効果を比較したグラフである。図中、縦軸は導電率を、横軸は時間を示す。

Claims (3)

  1. サフラン抽出物を有効成分とし、その含有量が0 . 1〜5質量%である皮膚外用保湿剤。
  2. サフラン抽出物が、サフランの柱頭及び柱頭上部を乾燥したものに溶媒を加えて抽出されたものである請求項第1項記載の皮膚外用保湿剤。
  3. 洗浄剤、各種化粧水、クリーム剤、ローション・乳液類、頭髪用剤、角質軟化剤、抗真菌剤、にきび治療剤または抗炎症剤に配合するものである請求項第1項記載の皮膚外用保湿剤。
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