JP3606900B2 - 低酸素窒化硅素質セラミックス成形体、繊維及びその製造方法 - Google Patents

低酸素窒化硅素質セラミックス成形体、繊維及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規な高強度の低酸素窒化硅素質セラミックス成形体、繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化硅素系セラミックスは共有結合性が強く、物理的及び化学的に安定で、高温強度、耐熱衝撃性、耐酸化性に優れているため、ガスタービンエンジン、ディーゼルエンジン等の高温構造材料として、あるいは切削用バイトなどとして、省エネルギー、省資源に多大な寄与をなし得る高性能材料の一つとして注目を集めている。
【0003】
そこで、窒化硅素系セラミックスの特性を更に高めたり、新たな特性を発現させる目的で、窒化硅素に種々の金属類を導入する試みが多数なされている。この一例としては、以下のものが挙げられる。
▲1▼有機及び無機のポリシラザンに金属アルコキシドを反応させることによって、分子鎖内に種々の金属を含んだポリメタロシラザンを合成することが知られている。
本発明者らも、先に、焼成することによってSi−N−O−M系成型体が得られるようなポリメタロシラザン及びその製造方法(米国特許第4,886,860号明細書)、焼成することによってSi−N−Al−O系成型体が得られるようなポリアルミノシラザンの製造方法(特開昭63−191832号公報)、焼成することによってSi−N−Ti−O系成型体が得られるようなポリチタノシラザンの製造方法(特開昭63−81122号公報)等を提案した。
▲2▼ポリチタノカルボシラン及びポリジルコノカルボシランを焼成して得られるSi−Ti−C、Si−Zr−C系成型体が提案されている(特開昭56−88877号、特開昭56−134567号各公報)。
▲3▼シラザンをアルキル金属、ハロゲン化金属等の酸素を含まない金属化合物と反応させて、シラザンが−MR−結合によって架橋しているポリメタロシラザンポリマー及びこれから得られるセラミックス体が提案されている(特開昭63−90535号公報)。
▲4▼ポリシラザンと酸素を含む、又は含まないボロン化合物を反応させたポリボロシラザンポリマーが提案されている(特開平2−84437号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような窒化硅素系ポリマー及びセラミックスには、以下の問題がある。
▲1▼の有機及び無機のポリシラザンに金属アルコキシドを反応させる方法によって得たポリマーには、Mの導入によって、窒化珪素の耐熱性を高めることが可能であるが、アルコキシ基に起因する酸素が必然的に生成ポリマー内に多量に取り込まれる。このようなポリマーは、焼成する際に、1,200℃以上の高温下で、SiOガスとして構造の一部が飛散することにより、すきまの多いセラミックスとなり、強度低下が起こる。
▲2▼の方法では、ポリチタノカルボシラン及びポリジルコノカルボシランが焼成時に溶融するため、セラミックス成型体の製造には不融化工程が不可欠である。このため、製造工程が複雑となり、また、不融化工程中に多量の酸素が混入して成型体の機械的強度及び耐熱性が劣化するといった難点がある。
▲3▼の方法では、アルキル金属、ハロゲン化金属等の酸素を含まない試薬を使用するため、酸素含有量の少ないセラミックスが生成するが、アルキル金属、ハロゲン化金属等の試薬は危険であり、実用的でなく、コストがかかる。
▲4▼では、酸素を含むホウ素化合物あるいは酸素を含まないホウ素化合物をポリシラザンと反応させ、これを成型、焼成することによってSi−N−B−(O)系成型体を得ている。酸素を含むホウ素化合物をホウ素源として用いた場合には、▲1▼と同様に酸素を含んだポリマーの生成及び焼成時のSiOの飛散によるすきまの多いセラミックスの生成により、機械的強度及び耐熱性が劣化の問題がある。一方、酸素を含まないホウ素化合物は、原料ポリシラザンと反応しにくいため、反応の制御が容易な温度域ではホウ素の導入量に限界がある。
【0005】
従って、本発明は上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、酸素含有量の少ない、耐熱性の優れた高強度の窒化硅素質セラミックス成形体及び繊維並びに反応性のよい安価な金属アルコキシドを使用しながらも、耐熱性と強度に優れた成形体と繊維が得られる製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、有機又は無機シラザンと金属アルコキシドとをケイ素化合物の共存下に反応させることによって得た低酸素ポリメタロシラザンを原料とし、これを形成した後熱分解することによって、高強度で且つ耐熱性に優れた低酸素窒素硅素質セラミックス成形体と繊維が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明によれば、有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
( OR ) (I)
(式中、Mは元素の周期表で II a及び III 〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、
【化1】
Figure 0003606900
Si、N及びM(Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属元素を表わす)各原子を必須成分とし、これらを原子比率で下記の範囲で含み、且つC及びO各原子を任意成分として下記の範囲で含み、しかも不活性ガス雰囲気中1,600℃で10時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、更に3点曲げ強度が2MPa以上であることを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス成形体が提供される。
N/Si:0.05〜3
M/Si:0.05〜3
O/M :1以下
C/Si:1以下
【0008】
また、本発明によれば、有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
( OR ) (I)
(式中、Mは元素の周期表で II a及び III 〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、
【化1】
Figure 0003606900
Si、N及びM(Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属元素を表わす)各原子を必須成分とし、これらを原子比率で下記の範囲で含み、且つC及びO各原子を任意成分として下記の範囲で含み、しかも不活性ガス雰囲気中1,500℃で1時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、更に引張強度が100kgf/mm以上であることを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス繊維が提供される。
N/Si:0.05〜3
M/Si:0.05〜3
O/M :1以下
C/Si:1以下
【0009】
更に、本発明によると、有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
M(OR)n (I)
(式中、Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを成形し、これを加圧下又は加圧せずに400〜1,800℃に加熱し、この温度で更に48時間以内保持して熱分解することを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス成形体及び繊維の製造方法が提供される。
【0010】
【化1】
Figure 0003606900
【0011】
なお、本発明でいうSi、N、M、O、C等の原子比率は、Si,Mについてはアルカリ溶融後ICP(Inductive Coupled PlasmaEmition Spectrometory;誘導結合プラズマ発光分光分析)法にて、N,Oについては、堀場製EM6A−2800型窒素、酸素同時分析計にて、Cについては、ヘラウス社製CHN Rapid炭素、水素、窒素同時分析計にて、測定を行なったものである。
また、本発明でいう非晶質とは、焼成後に得られたセラミックス成形体を10μmから100μmの範囲の大きさになるように粉砕し、これを不活性ガス中、1,600℃で10時間加熱した後、該試料をX線回折分析して評価したものである。
また、本発明でいう3点曲げ強度とは、荷重支点数が3点ある通常の万能試験機にて、測定試験片を両支点間に横たえ、上部から荷重をかけてゆき破断時の応力値から算出したものである。なお、試験条件は、試験片は断面積4mm〜7mm、スパン10mm、荷重速度1mm/分である。
更に、本発明でいう引張強度とは、島津製作所製オートグラフAG−2000Cを用いて測定したものである。
【0012】
以下、本発明について詳しく説明する。本発明の窒化硅素質セラミックス成形体は、有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、Si及びN成分以外に元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属成分Mを含有し、しかも(1)それらを原子比率でN/Si=0.05〜3、M/Si=0.05〜3、O/M≦1及びC/Si≦1の範囲で含むこと、(2)不活性ガス雰囲気中1,600℃で10時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示すこと、及び(3)3点曲げ強度が2MPa以上であること、を特徴とする。また、本発明の窒化硅素質セラミックス繊維は、有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、Si及びN成分以外に元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属成分Mを含有し、しかも(1)それらを原子比率でN/Si=0.05〜3、M/Si=0.05〜3、O/M≦1及びC/Si≦1の範囲で含むこと、(2)不活性ガス雰囲気中1,500℃で1時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示すこと、及び(3)引張強度が100kgf/mm以上であること、を特徴とする。
( OR ) (I)
(式中、Mは元素の周期表で II a及び III 〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)
【化1】
Figure 0003606900
【0013】
本発明のセラミックス成形体と繊維は耐熱性/強度が高い。ここで言う耐熱性/強度とは、不活性ガス雰囲気下の1,600℃を超える高温下に、成形体、繊維をさらした後の室温強度(3点曲げ強度、引張強度)のことである。この特徴は珪素及び窒素成分以外に金属成分Mを含有し、酸素、炭素含有量が少ないことによるものと考えられる。耐熱性と強度を低下させる主な要因は、以下の2点である。1点目は結晶の生成である。本発明のセラミックス成形体と繊維は非晶質であるが、もし非晶質の成形体又は繊維の中に結晶が生成するとこの結晶が破壊起点となり、成形体及び繊維の強度を著しく低下させる。一般に結晶の生成は高温になるほど容易に起こる。従って、本発明で言うところの耐熱性/強度を高めるためには、なるべく高温まで結晶の生成を抑える必要がある。本発明のセラミックスは珪素と窒素が主体元素であり、1,300℃以上の温度では窒化珪素の結晶の生成が始まる。本発明のセラミックスの必須成分である金属Mは、窒化珪素の結晶化温度を高める効果がある。2点目は分解ガスの飛散である。ポリメタロシラザンを焼成して得られるSi−N−O−M系成形体(米国特許4,886,860号明細書)や、新規ポリボロシラザンを焼成して得られるSi−N−B−O系成形体(特開平3−50161号公報)での例のように、窒化珪素の金属成分Mを添加したものは同時に多くの酸素を含んでいる。セラミックス中の酸素は、1,200℃以上の温度でSiOガスとして飛散する。また、炭素を同時に含むものは、CO,COガスとして同様に飛散し、セラミックスの母体を分解する。以上のように、本発明で言うところの耐熱性/強度を高めるためには、原料ポリマーの段階から既に珪素、窒素及び金属成分Mを必須とし、且つ酸素及び炭素量をできるだけ低減することが望ましい。
【0014】
具体的には、成形体中のM成分の含有量は、原子比率でM/Siが下限で0.05以上、上限で3以下の範囲内で任意に選択され、特にその好ましい範囲はMの種類により異なるが、通常はM/Siが下限で0.05以上、上限で3以下、更に好ましくは1以下である。また、成形体中の酸素及び炭素含有量については、原子比率でO/Mが上限で1以下、更に好ましくは0.5以下、C/Siが上限で1以下、更に好ましくは0.2以下である。なお、金属Mは少なすぎると、セラミックスの耐熱性/強度への効果がなくなる。Mが多すぎると、セラミックスとしてなりたたなくなってしまう(セラミックスでなくなってしまう。)
【0015】
なお、本発明のセラミック成形体中に含有される金属成分Mは、前記したように元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属元素である。この金属元素としては、例えばBe、Mg、Ca、Sr及びBaのIIa族金属:Sc、Y、ランタノイド元素及びアクチニド元素のIIIa族金属:Ti、Zr及びHfのIVa族金属:V、Nb及びTaのVa族金属:B、Al、Ga、In及びTlのIIIb族金属:Si、Ge、Sn及びPbのIVb金属及びAs、Sb及びBiのVb族金属がある。これらの中でも、Ti、Al、Zn、B及びYが好ましい。
【0016】
また、本発明の低酸素窒化硅素質セラミックス成形体の製造方法は、有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
M(OR) (I)
(式中、Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを前駆体ポリマーとして使用し、該ポリメタロシラザンを成形した後、これを加圧下又は加圧せずに400〜1,800℃に加熱し、この温度で更に48時間以内保持して熱分解することを特徴とする。
【0017】
【化1】
Figure 0003606900
【0018】
本発明の方法において使用される前記低酸素前駆体ポリマーは、有機溶剤への溶解性が高いので成形が容易であって、比較的温和な温度、圧力下で自由な形状のセラミックス成形体を得ることができるし、また該前駆体ポリマーは自己架橋性を有するため、酸化などによる不融化処理を施す必要がなく、低酸素量のセラミックス成形体を得ることができる。
【0019】
(前駆体ポリマー)
本発明において前駆体ポリマーとして使用される低酸素ポリメタロシラザンは、ポリシラザンの全骨格中の少なくとも一部の窒素原子に結合した水素原子と金属アルコキシドとが反応して、その窒素原子が金属アルコキシドと縮合した側鎖基あるいは環状、架橋構造を有し、金属/ケイ素原子比が下限で0.001、好ましくは0.01、上限で3、好ましくは2.5、更に好ましくは2.0の範囲にあり、且つ数平均分子量が200〜500,000(好ましくは400〜300,000)の範囲にあり、しかもケイ素−酸素結合を有しないものである。なお、このポリメタロシラザンの構造に関しては、その骨格中にケイ素−酸素結合を有しない点を除いて、米国特許第4,886,860号明細書の記載が適用される。
【0020】
分子鎖内に種々の金属を含有するポリメタロシラザンは、米国特許第4,886,860号明細書に述べられているように、有機及び無機のポリシラザンに金属アルコキシドを反応させることによって得られるが、有機及び無機のポリシラザンと金属アルコキシドを反応させると、次の反応式(I)に示されるように、N−Metal結合の形で分子鎖内に種々の金属を含んだポリメタロシラザンが生成すると共に、アルコールが副生する。
【0021】
【化2】
Figure 0003606900
(式中、R、R、R、M及びnは以下のものを表わす。
、R:それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基。
R:同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基。
M:元素の周期表でIIa及びIII〜V族の範囲にある金属元素。
n:Mの原子価数。)
【0022】
この副生アルコール(ROH)は原料ポリシラザン又は生成ポリメタロシラザンと容易に反応して、例えば次の反応式(II)に示されるように、ポリシラザン又はポリメタロシラザンの分子鎖を切断すると共に、その分子鎖中に−OR基が取り込まれる。
【0023】
【化3】
Figure 0003606900
(式中、R、R及びRは前記と同じ。)
【0024】
ところが、前記一般式(II)で表わされるケイ素化合物を、上記の反応系に共存させると、これらのケイ素化合物は、ポリシラザン及びポリメタロシラザンよりも、アルコールとの反応性が高く、例えば次の反応式(III)に示されるように、前記副生アルコール(ROH)と反応する。
【0025】
【化4】
Figure 0003606900
【0026】
しかも、この場合の反応生成物は比較的安定であるためポリシラザン及びポリメタロシラザンとの反応を起こさない。従って、前記ケイ素化合物を反応系に添加して得られたポリメタロシラザンは、副生成物のアルコールが反応系内に存在するポリシラザン又はポリメタロシラザン分子鎖を切断し、Si−OR基の形で酸素が分子鎖中に取り込まれるのを防止し、酸素含有量の少ないものとなる。
【0027】
本発明で前駆体ポリマーとして使用されるのポリメタロシラザンは、前記のように、N−Metal結合の形で種々の金属元素、詳しくは元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた金属元素を含む。この金属元素としては、例えばBe、Mg、Ca、Sr及びBaのIIa族金属:Sc、Y、ランタノイド元素及びアクチニド元素のIIIa族金属:Ti、Zr及びHfのIVa族金属:V、Nb及びTaのVa族金属:B、Al、Ga、In及びTlのIIIb族金属:Si、Ge、Sn及びPbのIVb金属及びAs、Sb及びBiのVb族金属がある。これらの中でも、Ti、Al、Zn、B及びYが好ましい。
【0028】
本発明で前駆体ポリマーの出発原料として用いられる有機又は無機シラザンは、主として下記一般式(III)で表わされる構造単位からなる骨格を有するものである。即ち、分子内に少なくともSi−H結合、あるいはN−H結合を有するシラザンであればよく、シラザン単独は勿論のこと、シラザンと他のポリマーとの共重合体やシラザンと他の化合物との混合物でも利用できる。また、このシラザンには、鎖状、環状、あるいは架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これらは単独でもあるいは混合物でも利用できる。
【0029】
【化5】
Figure 0003606900
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表わす。)
【0030】
前記一般式(III)において、R及びRとして好ましいのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、アリール基、炭素数1〜4のアルキルシリル基、炭素数1〜5のアルキルアミノ基、及び炭素数1〜5のアルコキシ基である。これらの中でも、特に水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基である。なお、この出発原料シラザンとしては、数平均分子量が100〜500,000のものが好ましい。
【0031】
また、本発明で用いる前記一般式(I)で表わされる金属アルコキシドに特に制約はないが、前記シラザンとの反応性の点から、前記一般式(I)におけるRとしては、水素原子、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキル基、及びアリール基から選択される。具体的に言うと、水素原子、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基及びトリル基から選ばれたものである。出発原料シラザンと金属アルコキシドとの混合比は、M/Si原子比が下限で0.001、好ましくは0.01更に好ましくは0.05に、上限が60、好ましくは5、更に好ましくは2.5になるように加える。金属アルコキシドの添加量をこれより増やすと金属アルコキシドが未反応のまま回収され、また、少ないと顕著な高分子量化が起こらない。
【0032】
本発明では、出発原料シラザンと金属アルコキシドとの反応系に、前記ケイ素化合物が添加されるが、この場合のケイ素化合物としては、出発原料シラザンよりもアルコールとの反応性に富み、且つアルコールと反応して生成したアルコキシ化合物が、反応系内に存在する出発原料シラザン又はポリメタロシラザンと、反応しないか又は非常に反応しにくいような化合物であれば良く、例えばアルキルシラザン、アルキルジシラザン、アルキルハロシラン、アルキルシラン、アルキルジシラン等が用いられる。具体的な化合物名を挙げると、アルキルシラザンとしては、トリメチルシラザンMeSiNH、トリメチルジメチルシラザンMeSiNMe、ジメチルアミノシラザンMeSiNH等、アルキルジシラザンとしては、ヘキサメチルジシラザンMeSiNHSiMe、ヘプタメチルジシラザンMeSiNMeSiMe、テトラメチルジシラザンMeSiHNHSiHMe等、アルキルハロシランとしては、トリメチルクロロシランMeSiCl、ジクロロシランSiHCl、ジメチルジクロロシランMeSiCl、モノメチルジクロロシランMeSiHCl、トリメチルブロモシランMeSiBr、トリメチルヨードシランMeSiI等、アルキルジシランとしては、ヘキサメチルジシランMeSiSiMe、テトラメチルジシランMeSiHSiHMe等が好ましい。一般的に置換基は炭素数の少ないメチル基のようなアルキル基が好ましい。
なお、このケイ素化合物の添加量は、出発原料シラザンと等モル以上、望ましくは金属アルコキシドのn倍モル以上(nは金属の原子価数を示す)とするのが好ましい。
【0033】
ポリメタロシラザン形成の反応は、無溶媒で行なうこともできるが、有機溶媒を使用する時に比べて、反応制御が難しく、ゲル状物質が生成する場合もあるので、一般に有機溶媒を用いた方が良い。溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル類が使用できる。好ましい溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、n−ヘキサン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0034】
反応温度は広い範囲にわたって変更することができ、例えば有機溶媒を使用する場合には、その有機溶媒の沸点以下の温度に加熱してもよいが、数平均分子量の高い固体を得るには、引続き有機溶媒の沸点以上に加熱して有機溶媒を留去させて反応を行なうこともできる。反応温度は、ポリメタロシラザンの熱分解よるゲル化を防ぐため、一般に400℃以下にするのが好ましい。
【0035】
反応は大気圧付近で行なうのが好ましい。反応は高圧下で行なうのは良いが、減圧下で行なうと、低分子量成分が系外に流出するため収率が低下するので好ましくない。反応時間は通常約30分〜1日程度であるが、ポリメタロシラザンの分子量を増加させるためには、更に反応時間を延長することが好ましい。また、原料ポリシラザン、金属アルコキシド及び生成ポリメタロシラザンの酸化ないし加水分解を防止するために、反応に対して不活性な雰囲気、例えば、窒素、アルゴン等の雰囲気中において反応を行なうことが好ましい。
【0036】
生成物のポリメタロシラザンと原料の金属アルコキシドとは、金属アルコキシドの減圧留去あるいはゲルパーミエーションクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーによって分離することができる。
【0037】
本方法によると、出発原料シラザンの一部の窒素−水素結合が金属アルコキシドと縮合して、新たに窒素−酸素−金属結合又は窒素−金属結合を形成した構造を有し、しかもその骨格中にケイ素−酸素結合を有しない、金属/ケイ素原子比が0.001〜3で数平均分子量が200〜500,000であるポリメタロシラザンが容易に得られる。なお、このポリメタロシラザンは有機溶媒に可溶である。
【0038】
(固化工程)
以上のようにして得られた前駆体ポリマーは、まず固化成形される。このポリマーの固化は、ポリマー単独でもあるいは硬化剤やセラミックス粉末を混合させてもよい。固化工程の条件、即ち温度、圧力、雰囲気ガス及び保持時間等は、硬化剤やセラミックス粉末の有無あるいは使用量によって適宜選定される。
【0039】
例えば、ポリマー単独の場合には、これを炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類等の有機溶媒に溶解させ、これを任意の形状の成形型に充填する。次に、常圧下で使用した有機溶媒の沸点以上の温度で加熱するか、あるいは減圧下で加熱し有機溶媒を除去することによって固化することができる。なお、高濃度のポリマー溶液をノズルから押し出して巻き取ることにより、繊維状に成形することが可能である。濃度の調整は、ロータリーエバポレーター等を用いて、溶媒をポリマー溶液が充分に曵糸性を示すまで減圧除去する手法によって行なうことができる。ポリマー濃度は紡糸溶液が曵糸性を示せばよく、ポリマーの平均分子量、分子量分布、分子構造によって異なるが、通常50〜98%で良い結果が得られる。濃度調整を終了したポリマー溶液を室温〜120℃、乾燥窒素又は空気雰囲気で1時間〜18時間静置して、ポリマー溶液内の気泡を除去する。紡糸を行なうには乾式紡糸が好ましいが、遠心紡糸、吹き出し紡糸等も用いることができる。乾式紡糸においては、紡糸溶液をノズルから紡糸筒内に吐出して繊維化し巻き取ることで、連続的に繊維を得ることができる。一般的にはノズル直径:0.035〜0.5mm、巻取速度:30〜5000m/minである。紡糸筒内の雰囲気は、乾燥空気、不活性気体、アンモニアの中から選ばれる少なくとも1種類のガスである。紡糸溶液の温度は通常1℃〜300℃、紡糸筒内の温度は20〜300℃である。乾式紡糸して巻き取った繊維中には紡糸溶液が残存しているので、通常の大気、乾式空気、アンモニア、不活性気体から選ばれる少なくとも1種の気体条件又は真空条件下で繊維の乾燥を行なう。以上のように、ポリマーを繊維状に成形することが可能である。また、ポリマー溶液を金属、セラミックスなどの表面にディップコート、スピンコートなどの方法で塗布した後、溶媒を飛散させることにより薄膜状に成形することもできる。
【0040】
また、液体状のポリマーを使用する場合には、これを任意の形状の成形型に充填した後、真空下あるいは後記する種々のガス雰囲気下、常圧から10気圧で室温から400℃の任意の温度に昇温し、その温度に保持することによって固化される。固化時間は0.5時間から72時間の範囲である。更に、固体状のポリマーを任意形状の成形型に充填し、常温から400℃において前記雰囲気ガス下で常圧から10気圧の範囲で保持する方法でもよい。
雰囲気ガスとしては、窒素、アルゴン等の不活性ガス、アンモニア、水素、メチルアミン、ヒドラジン等の還元性ガス、空気、酸素、オゾン等の酸化性ガスあるいはこれらの混合ガスが使用できる。
【0041】
また、硬化剤としてはアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン類、シュウ酸無水物、マロン酸無水物等のカルボン酸無水物、アルキルイソシアネート、ジメチルシリルジイソシアネート等のイソシアネート類、ブタンジチオール、ベンゼンジチオール等のチオール類、マロン酸イミド、コハク酸イミド等のカルボキシイミド類、元素の周期表第IIa族及び第III族〜第V族から選択される金属を含む金属アルコキシド類、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、金、水銀、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、インジウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウム、ホウ素、リン等のハロゲン化物等が使用される。
また、クラック発生防止及び強度の増大を目的として、必要に応じて添加されるセラミックス粉末としては、各種金属の窒化物、炭化物、酸化物などが挙げられる。
【0042】
成形型としては従来公知のものが任意に使用できるが、成形体の取り出し性や成形体の表面を保護するために成形型内に離型剤、例えばシリコーンをベースとした化合物などを塗布したり、あるいはグリースを薄く塗布するか、有機溶剤に分散したグリースをスプレー又は刷毛塗等の塗布手段により塗布しておくことが好ましい。
【0043】
(焼成工程)
前記固化工程で得られた成形体は、続いて前記した不活性ガス、還元性ガス、酸化性ガスあるいはこれらの混合ガス、好ましくは不活性ガス、還元性ガスあるいはこれらの混合ガスの存在下で、加熱焼成される。この焼成は、20℃/min以下好ましくは5℃/min以下で400℃から1,800℃に加熱昇温させ、この温度で更に48時間以内保持することにより行なう。場合によっては、ホットプレス等の加圧焼成により良好な結果が得られる。
【0044】
本発明の低酸素窒化硅素質セラミックスは1,800℃の高温まで結晶の成長が抑制される。これは同セラミックスが前記の低酸素ポリメタロシラザンを経由して合成されたことによるものと考えられる。焼成温度が400℃未満であるとセラミックスかが不十分となり、また十分な硬度を付与できない。また、温度が1,800℃を越えると好ましくない結晶の成長が顕著になり、強度低下が大きくなる。
本発明のセラミックス成形体は前記の様な方法によって製造されるが、焼成後のセラミックス成形体に前記のポリマーを含浸させ、固化、焼成を繰り返し行なえば、良好なセラミックスを得ることもある。
【0045】
なお、結晶性の評価及び成形体と繊維の強度測定は、以下に示す方法によって行なった。
▲1▼結晶性・・・焼成後に得られたセラミックス成形体を10μmから100μmの範囲の大きさになるように粉砕し、これを不活性ガス中、1,600℃で10時間加熱した後、X線回折分析する。
▲2▼3点曲げ強度・・・これはセラミックス材料が静荷重に対してどの程度耐えるかを評価するものである。試験装置は一般の万能試験機で、荷重支点数が3点ある。測定試験片を両支点間に横たえ、上部から荷重をかけてゆき破断時の応力値から強度を算出する。試験条件は、試験片は断面積4mm〜7mm、スパン10mm、荷重速度1mm/分である。
▲3▼引張り強度・・・試料繊維を島津製作所製オートグラフAG−2000Cを用いて測定する。
【0046】
なお、本発明の窒化珪素質セラミックス成形体及び繊維の好ましい態様としては、下記のものが挙げられる。
(1)主として下記一般式(III)
【化5】
Figure 0003606900
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表わす。)
で表わされる構造単位からなる骨格を有するポリシラザンと、下記一般式(I)M(OR)n (I)
(式中、Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)
で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させて得られたポリメタロシラザンを、成形、焼成してなる低酸素窒化珪素質セラミックス成形体であって、Si、N及びM成分を原子比率で下記の範囲で含み、且つC及びO各原子を任意成分として下記の範囲で含み、しかも不活性ガス雰囲気中1,600℃で10時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、更に3点曲げ強度が2MPa以上であることを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス成形体。
【化1】
Figure 0003606900
N/Si:0.05〜3
M/Si:0.05〜3
O/M :1以下
C/Si:1以下
【0047】
(2)主として下記一般式(III)
【化5】
Figure 0003606900
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表わす。)
で表わされる構造単位からなる骨格を有するポリシラザンと、下記一般式(I)
M(OR)n (I)
(式中、Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)
で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させて得られたポリメタロシラザンを、成形、焼成してなる低酸素窒化珪素質セラミックス繊維であって、Si、N及びM成分を原子比率で下記の範囲で含み、且つC及びO各原子を任意成分として下記の範囲で含み、しかも不活性ガス雰囲気中1,500℃で1時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、更に引張強度が100kgf/mm以上であることを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス繊維。
【化1】
Figure 0003606900
N/Si:0.05〜3
M/Si:0.05〜3
O/M :1以下
C/Si:1以下
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定されるものではない。
【0049】
参考例1[反応原料:ペルヒドロポリシラザンの合成]
内容積1lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これを氷冷した。次にジクロロシラン51.9gを加えると、白色固体状のアダクト(SiHCl・2CN)が生成した。反応混合物を氷冷し、撹拌しながら水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して精製したアンモニア51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。
【0050】
反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下で濾過して濾液850mlを得た。濾液5mlから溶媒を減圧除去すると、樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン0.102gが得られた。
【0051】
得られたポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1120であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥o−キシレン;ペルヒドロポリシラザンの濃度:10.2g/l)は、図12に示すように波数(cm−1)3350(見かけの吸光係数ε=0.557 lg−1cm−1)、及び1175のN−Hに基づく吸収:2170(見かけの吸光係数ε=3.14 lg−1cm−1)のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収を示している。1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトル(60MHz、溶媒CDCl/基準物質TMS)は、図13に示すようにいずれも幅広い吸収を示している。即ち、δ4.8及びδ4.4(br.,Si−H);δ1.5(br.,N−H)の吸収が観測された。
【0052】
参考例2[反応原料:ポリメチル(ヒドロ)シラザンの合成]
内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CHSiHCl 24.3g、0.221mol)と乾燥ジクロロメタン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、撹拌しながら乾燥アンモニア20.5g(1.20mol)を窒素ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行なった。
【0053】
反応終了後、反応混合物を遠心分離した後、濾過した。濾液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得た。生成物の数平均分子量を凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、310であった。
【0054】
内容積100mlの四つ口フラスコにガス導入管、温度計、コンデンサー及び滴下ロートを装着し、反応系内をアルゴンガスで置換した。四つ口フラスコにテトラヒドロフラン12ml及び水酸化カリウム0.189g(4.71mol)を入れ、磁気撹拌を開始した。滴下ロートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラザン5.00g及び乾燥テトラヒドロフラン50mlを入れ、これを水酸化カリウムに滴下した。室温で1時間反応させた後、滴下ロートにヨウ化メタン1.60g(11.3mmol)、及び乾燥テトラヒドロフラン1mlを入れ、これを反応溶液に滴下した。室温で3時間反応させた後、反応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n−ヘキサン40mlを加えて遠心分離し、濾過した。濾液の溶媒を減圧除去すると、ポリメチル(ヒドロ)シラザン白色粉末として4.85g得られた。
【0055】
生成物の数平均分子量は1060であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥o−キシレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザンの濃度:43.2g/l)は、図14に示すように波数(cm−1)3380(見かけの吸光係数ε=0.249 lg−1cm−1)、及び1160のN−Hに基づく吸収:2120(見かけの吸光係数ε=0.822 g−1cm−1)のSi−Hに基づく吸収:1255のSi−CHに基づく吸収を示している。1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトル(60MHz、溶媒CDCl/基準物質TMS)を図15に示す。δ4.7(Si−H,0.56H);δ2.4(N−CH,0.15H);δ0.7(N−H,0.51H);δ0.2(Si−CH,3H)の吸収が観測されたことから、生成物は(CHSiHNH)0.51(CHSiN)0.44(CHSiHNCH)0.05なる組成を有することが確認された。
【0056】
実施例1
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのベンゼン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:4.57重量%)110gを入れ、撹拌しながらトリメチルボレート[B(OMe)]29.0g(279mmol)を乾燥ベンゼン6.5mlに溶解させたものを、注射器を用いて加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]134.8g(837mmol)を、注射器を用いて加えた。これを160℃で反応させると反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると淡黄色の固体が得られた。収率は95重量%であった。
【0057】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1,810であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図1に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、CH及びOCH(2960及び2850cm−1)、B−O及びB−N(1300〜1540cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:46.3;N:28.3;B:4.5;O:3.8;C:9.6;H:7.5であった。
【0058】
得られたポリマーの一部をトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスのの元素組成分析結果(重量%)は、Si:50.2;N:39.1;B:5.1;O:4.1;C:1.5であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは5.6MPaであった。
【0059】
また、以下の方法で繊維状のセラミックスを得た。先に得られたポリマーの一部をキシレンに溶解し、ロータリーエバポレーターで溶媒を徐々に除去した。溶液が充分に曵糸性を示すようになったとき、減圧除去を中止した。この溶液を乾式紡糸装置の脱泡容器に移送して紡糸溶液とした。約2時間、60℃で静置、脱泡後、30℃で直径0.1mmのノズルから、130℃の乾燥空気雰囲気下の紡糸筒内に吐出し、300m/minの速度で巻取り、平均直径12μmの繊維を得た。次いで、前記紡糸繊維に500g/mmの張力を作用させながら、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で1時間焼成することにより、繊維状のセラミックスを得た。このセラミックス繊維の元素組成分析結果(重量%)は、Si:50.0;N:38.1;B:5.0;O:5.4;C:1.5であった。このセラミックス繊維の引張強度は、130〜450kgf/mm(平均200kgf/mm)であった。
【0060】
実施例2
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのベンゼン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:4.57重量%)110gを入れ、撹拌しながらトリメチルボレート[B(OMe)]29.0g(279mmol)を乾燥ベンゼン6.5mlに溶解させたものを、注射器を用いて加えた。次に、トリメチルクロロシラン[(CHSiCl]90.8g(837mmol)を注射器を用いて加えた。これを160℃で反応させると、反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、淡黄色の固体が得られた。収率は94重量%であった。
【0061】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1,900であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図2に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、CH及びOCH(2960及び2850cm−1)、B−O及びB−N(1300〜1540cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:45.1;B:4.4;N:27.2;O:4.1;C:11.7;H:7.2であった。
【0062】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:49.1;N:39.6;B:4.6;O:4.2;C:2.5であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは4.3MPaであった。
【0063】
実施例3
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのベンゼン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:4.57重量%)110gを入れ、撹拌しながらトリメチルボレート[B(OMe)]29.0g(279mmol)を乾燥ベンゼン6.5mlに溶解させたものを、注射器を用いて加えた。次に、トリメチルシリルアミン[(CHSiNH]98.0g(837mmol)を、注射器を用いて加えた。これを160℃で反応させると、反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、淡黄色の固体が得られた。収率は95重量%であった。
【0064】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1,860であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図3に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、CH及びOCH(2960及び2850cm−1)、B−O及びB−N(1300〜1540cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:45.9;N:29.5;B:4.5;O:3.0;C:10.1;H:7.0であった。
【0065】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1600℃まで昇温させ、1600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:50.5;N:40.6;B:4.6;O:3.2;C:1.1であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは5.6MPaであった。
【0066】
実施例4
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのベンゼン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:4.57重量%)110gを入れ、撹拌しながらトリメチルボレート[B(OMe)]29.0g(279mmol)を乾燥ベンゼン6.5mlに溶解させたものを、注射器を用いて加えた。次に、ヘキサエチルジシラン[{(CSi}]192.5g(837mmol)を、注射器を用いて加えた。これを160℃で反応させると、反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、淡黄色の固体が得られた。収率は90重量%であった。
【0067】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1,750であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図4に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、CH及びOCH(2960及び2850cm−1)、B−O及びB−N(1300〜1540cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:45.0;N:28.1;B:4.4;O:4.5;C:11.1;H:6.9であった。
【0068】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:50.0;N:38.9;B:4.5;O:4.6;C:2.0であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは7.9MPaであった。
【0069】
実施例5
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザン2.93g及び乾燥o−キシレン80mlを入れ、撹拌しながらトリメチルボレート[B(OMe)]1.29g(12.4mmol)を加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]3.87g(37.2mmol)を、注射器を用いて加えた。これを200℃で反応させると、反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、淡黄色の固体が得られた。収率は92重量%であった。
【0070】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、2,100であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図5に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、CH及びOCH(2960及び2850cm−1)、B−O及びB−N(1300〜1540cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:35.5;N:20.5;B:3.3;O:3.0;C:31.5;H:6.2であった。
【0071】
得られたポリマーの一部をトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:47.6;N:36.8;B:3.9;O:3.2;C:8.5であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは5.0MPaであった。
【0072】
また、以下の方法で繊維状のセラミックスを得た。先に得られたポリマーの一部をキシレンに溶解し、ロータリーエバポレーターで溶媒を徐々に除去した。溶液が充分に曵糸性を示すようになったとき、減圧除去を中止した。この溶液を乾式紡糸装置の脱泡容器に移送して紡糸溶液とした。約2時間、60℃で静置、脱泡後、30℃で直径0.1mmのノズルから、130℃の乾燥空気雰囲気下の紡糸筒内に吐出し、300m/minの速度で巻取り、平均直径12μmの繊維を得た。次いで、前記紡糸繊維に500g/mmの張力を作用させながら、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で1時間焼成することにより、繊維状のセラミックスを得た。このセラミックス繊維の元素組成分析結果(重量%)は、Si:48.0;N:37.6;B:5.0;O:6.9;C:7.5であった。このセラミックス繊維の引張強度は、100〜390kgf/mm(平均180kgf/mm)であった。
【0073】
実施例6
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのベンゼン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:4.57重量%)110gを入れ、撹拌しながらチタンイソプロポキシド6.30g(22.2mmol)を乾燥ベンゼン6.5mlに溶解させたものを、注射器を用いて加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]14.3g(88.8mmol)を、注射器を用いて加えた。反応溶液は無色から淡褐色、紫色、黒色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、ポリヒドロチタノシラザンが得られた。収率は92重量%であった。
【0074】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、2100であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図6に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、(CHCH−(1365及び1335cm−1)、(C−O)Ti(1160,1125及び1000cm−1)、(C−O)Ti(950cm−1)、Ti−O(615cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:44.2;N:22.0;Ti:11.2;O:2.9;C:11.9;H:7.2であった。
【0075】
得られたポリマーの一部をトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:50.4;N:32.9;Ti:12.1;O:3.0;C:1.6であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは10.5MPaであった。
【0076】
また、以下の方法で繊維状のセラミックスを得た。先に得られたポリマーの一部をキシレンに溶解し、ロータリーエバポレーターで溶媒を徐々に除去した。溶液が充分に曵糸性を示すようになったとき、減圧除去を中止した。この溶液を乾式紡糸装置の脱泡容器に移送して紡糸溶液とした。約2時間、60℃で静置、脱泡後、30℃で直径0.1mmのノズルから、130℃の乾燥空気雰囲気下の紡糸筒内に吐出し、300m/minの速度で巻取り、平均直径12μmの繊維を得た。次いで、前記紡糸繊維に500g/mmの張力を作用させながら、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で1時間焼成することにより、繊維状のセラミックスを得た。このセラミックス繊維の元素組成分析結果(重量%)は、Si:48.5;N:37.1;Ti:11.0;O:5.4;C:1.5であった。このセラミックス繊維の引張強度は、100〜250kgf/mm(平均130kgf/mm)であった。
【0077】
実施例7
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザン2.93g及び乾燥o−キシレン80mlを入れ、撹拌しながらチタンイソプロポキシド3.46g(11.9mmol)を加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]7.67g(47.6mmol)を、注射器を用いて加えた。これを130〜135℃で反応させると、反応溶液は無色から黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、青色の固体が得られた。収率は80重量%であった。
【0078】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1,870であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図7に示す。Si−H(2120cm−1)とN−H(3380cm−1)の吸収以外に、(CHCH−(1365及び1330cm−1)、(C−O)Ti(995cm−1)、Ti−O(615cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:48.5;N:25.0;Ti:6.1;O:2.0;C:12.2;H:6.2であった。
【0079】
得られたポリマーの一部をトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:51.7;N:36.8;Ti:7.2;O:2.3;C:2.0であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは5.9MPaであった。
【0080】
また、以下の方法で繊維状のセラミックスを得た。先に得られたポリマーの一部をキシレンに溶解し、ロータリーエバポレーターで溶媒を徐々に除去した。溶液が充分に曵糸性を示すようになったとき、減圧除去を中止した。この溶液を乾式紡糸装置の脱泡容器に移送して紡糸溶液とした。約2時間、60℃で静置、脱泡後、30℃で直径0.1mmのノズルから、130℃の乾燥空気雰囲気下の紡糸筒内に吐出し、300m/minの速度で巻取り、平均直径12μmの繊維を得た。次いで、前記紡糸繊維に500g/mmの張力を作用させながら、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で1時間焼成することにより、繊維状のセラミックスを得た。このセラミックス繊維の元素組成分析結果(重量%)は、Si:46.5;N:35.1;Ti:7.0;O:5.0;C:3.5であった。このセラミックス繊維の引張強度は、130〜280kgf/mm(平均160kgf/mm)であった。
【0081】
実施例8
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコにアルミイソプロポキシド1.50g(7.34mmol)を入れ、参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのベンゼン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:40.72g/l)83mlを注射器を用いて撹拌しながら加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]3.55g(22.0mmol)を、注射器を用いて加えた。この溶液を、アルゴン雰囲気下で80℃で2時間撹拌しながら、還流反応を行なった。反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去すると、ポリヒドロアルミノシラザンが得られた。収率は92重量%であった。
【0082】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、2,150であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図8に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に、(C−O)Al(1380及び1200cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:51.1;N:25.6;Al:4.9;O:2.9;C:8.5;H:7.0であった。
【0083】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:51.7;N:38.9;Al:5.0;O:3.5;C:0.9であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは6.9MPaであった。
【0084】
実施例9
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコにアルミイソプロポキシド4.5g(22.0mmol)を入れ、参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザンのo−キシレン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:20.4g/l)300mlを、注射器を用いて撹拌しながら加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]10.6g(66.0mmol)を、注射器を用いて加えた。この溶液を乾燥窒素ガス雰囲気下で130℃で48時間撹拌しながら、還流反応を行なった。反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去するとポリヒドロチタノシラザンが得られた。収率は88重量%であった。
【0085】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1,920であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図9に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収が観測された。なお、SiO(1100cm−1)の吸収は見られなかった。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:41.7;N:20.5;Al:4.7;O:2.8;C:24.2;H:6.1であった。
【0086】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:45.6;N:42.2;Al:5.8;O:2.9;C:3.5であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは3.5MPaであった。
【0087】
実施例10
内容積200mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのo−キシレン溶液(ペルヒドロポリシラザン濃度:4.45重量%)63.4gを入れ、撹拌しながらジルコニウムイソプロポキシド4.00g(12.2mmol)を乾燥ベンゼン6.0mlに溶解させたものを、注射器を用いて撹拌しながら加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]7.86g(48.8mmol)を、注射器を用いて加えた。この溶液を乾燥窒素ガス雰囲気下で90℃に加熱した。反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。
【0088】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、2,440であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図10に示す。Si−H(2170cm−1)とN−H(3350cm−1)の吸収以外に(CHCH−(1365及び1335cm−1)、(C−O)Zr(1170cm−1)、ClOZr及び(C−O)Zr(950cm−1)の吸収が観測された。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:40.8;N:21.5;Zr:19.1;O:3.3;C:8.5;H:6.8であった。
【0089】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:45.0;N:28.5;Zr:22.5;O:3.5;C:0.5であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは6.6MPaであった。
【0090】
実施例11
内容積500mlの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラムキャップ、温度計及びマグネティックスターラーを設置した。反応器内部を乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザン7.33g及び乾燥o−キシレン溶液250mlを入れ、撹拌しながらジルコニウムイソプロポキシド11.4g(34.7mmol)を加えた。次に、ヘキサメチルジシラザン[{(CHSi}NH]22.3g(138.8mmol)を、注射器を用いて加えた。これを130℃〜135℃で反応させた。
【0091】
生成したポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、2,000であった。生成物のIRスペクトル(溶媒:乾燥ベンゼン)を図11に示す。Si−H(2120cm−1)とN−H(3380cm−1)の吸収以外に、(CHCH−(1360及び1340cm−1)、(C−O)Zr(1170及び1000cm−1)の吸収が観測された。生成物の元素組成分析結果(重量%)は、Si:33.0;N:18.1;Zr:15.2;O:2.1;C:25.5;H:6.1であった。
【0092】
得られたポリマーをトルエンに溶解し、濃度を調整した後、テフロン製成形型に流し込み、窒素気流下200℃で溶媒を除くことにより、透明な成形体を得た(20mmφ×10mm)。次に、NHガス雰囲気下で1℃/minの昇温速度で1,000℃まで昇温させ、続いて窒素ガス雰囲気中で10℃/minの昇温速度で1,600℃まで昇温させ、1,600℃で10時間焼成することにより、白色の円盤状セラミックスを得た。このセラミックスの元素組成分析結果(重量%)は、Si:47.4;N:29.2;Zr:14.9;O:2.3;C:6.2であった。
続いて、この試料をXRD測定したところ、非晶質であった。また、3点曲げ強さは10.2MPaであった。
【0093】
【発明の効果】
請求項1の窒化珪素質質セラミックス成形体は、有機又は無機ポリシラザンと、前記一般式(I)で表わされる金属アルコキシドとを、前記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、Si及びN以外に元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属成分Mを含有し、しかも(1)それらを原子比率でN/Si=0.05〜3、M/Si=0.05〜3、O/M≦1及びC/Si≦1の範囲で含み、(2)不活性ガス雰囲気中1,600℃で10時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、且つ(3)3点曲げ強度が2MPa以上であるものとしたことから、次のような卓越した効果を奏する。
(イ)珪素及び窒素成分以外にM成分を含有し、該M成分が窒化珪素の結晶化温度を高める効果を有するため、耐熱性及び機械的強度に優れている。
(ロ)酸素及び炭素含有量が少ないため、焼成時におけるSiOガス、CO、COガスとしての飛散量が少なく、耐熱性及び機械的強度に優れている。
【0094】
請求項2の窒化珪素質質セラミックス繊維は、有機又は無機ポリシラザンと、前記一般式(I)で表わされる金属アルコキシドとを、前記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、Si及びN以外に元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属成分Mを含有し、しかも(1)それらを原子比率でN/Si=0.05〜3、M/Si=0.05〜3、O/M≦1及びC/Si≦1の範囲で含み、(2)不活性ガス雰囲気中1,500℃で1時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、且つ(3)引張強度が100kgf/mm以上であるものとしたことから、次のような卓越した効果を奏する。
(ハ)珪素及び窒素成分以外にM成分を含有し、該M成分が窒化珪素の結晶化温度を高める効果を有するため、耐熱性及び機械的強度に優れている。
(ニ)酸素及び炭素含有量が少ないため、焼成時におけるSiOガス、CO、COガスとしての飛散量が少なく、耐熱性及び機械的強度に優れている。
【0095】
請求項3の窒化珪素質セラミックス成形体及び繊維の製造方法は、有機又は無機ポリシラザンと、前記一般式(I)で表わされる金属アルコキシドとを、前記一般式(II)で表わされる置換シラザン類又は/及び置換シラン類の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを前駆体ポリマーとして使用し、該ポリマーを成形し、これを加圧下又は加圧せずに400〜1,800℃に加熱し、この温度で更に48時間以内保持して熱分解するという構成としたことから、以下のような卓越した効果を奏する。
(ホ)上記前駆体ポリマーは有機溶剤への溶解性が高いので、成形が容易であり、本方法によると、比較的温和な温度、圧力下で自由な形状の機械的強度と耐熱性に優れた成形体を容易に得ることができる。
(ヘ)上記前駆体ポリマーは自己架橋性を有するため、酸化などによる不融化処理を施す必要がなく、本方法によると、低酸素且つ低炭素量の機械的強度と耐熱性に優れた成形体を容易に得ることができる。
(ト)上記前駆体ポリマーから合成されるため、高温まで結晶粒の成長を抑制でき、本方法によると、機械的強度と耐熱性に優れた成形体を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリボロシラザンのIRスペクトル図である。
【図2】実施例2で得られたポリボロシラザンのIRスペクトル図である。
【図3】実施例3で得られたポリボロシラザンのIRスペクトル図である。
【図4】実施例4で得られたポリボロシラザンのIRスペクトル図である。
【図5】実施例5で得られたポリボロシラザンのIRスペクトル図である。
【図6】実施例6で得られたポリチタノシラザンのIRスペクトル図である。
【図7】実施例7で得られたポリチタノシラザンのIRスペクトル図である。
【図8】実施例8で得られたポリアルミノシラザンのIRスペクトル図である。
【図9】実施例9で得られたポリアルミノシラザンのIRスペクトル図である。
【図10】実施例10で得られたポリジルコノシラザンのIRスペクトル図である。
【図11】実施例11で得られたポリジルコノシラザンのIRスペクトル図である。
【図12】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのIRスペクトル図である。
【図13】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのH−NMRスペクトル図である。
【図14】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザンのIRスペクトル図である。
【図15】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザンのH−NMRスペクトル図である。

Claims (3)

  1. 有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
    ( OR ) (I)
    (式中、Mは元素の周期表で II a及び III 〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、
    Figure 0003606900
    Si、N及びM各原子を必須成分とし、これらを原子比率で下記の範囲で含み、且つC及びO各原子を任意成分として下記の範囲で含み、しかも不活性ガス雰囲気中1,600℃で10時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、更に3点曲げ強度が2MPa以上であることを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス成形体。
    N/Si:0.05〜3
    M/Si:0.05〜3
    O/M :1以下
    C/Si:1以下
  2. 有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
    ( OR ) (I)
    (式中、Mは元素の周期表で II a及び III 〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを加熱することにより得られ、
    Figure 0003606900
    Si、N及びM(Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族から選ばれた少なくとも1種の金属元素を表わす)各原子を必須成分とし、これらを原子比率で下記の範囲で含み、且つC及びO各原子を任意成分として下記の範囲で含み、しかも不活性ガス雰囲気中1,500℃で1時間焼成後のX線回折測定で非晶質を示し、更に引張強度が100kgf/mm以上であることを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス繊維。
    N/Si:0.05〜3
    M/Si:0.05〜3
    O/M :1以下
    C/Si:1以下
  3. 有機又は無機ポリシラザンと、下記一般式(I)
    M(OR) (I)
    (式中、Mは元素の周期表でIIa及びIII〜V族の範囲にある金属元素を表わし、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表わし、少なくとも1個のRは上記のアルキル基又はアリール基である。また、nはMの原子価数を表わす。)で表わされる金属アルコキシドとを、下記一般式(II)で表わされるケイ素化合物の存在下に反応させることによって得られた低酸素ポリメタロシラザンを成形し、これを加圧下又は加圧せずに400〜1,800℃に加熱し、この温度で更に48時間以内保持して熱分解することを特徴とする低酸素窒化硅素質セラミックス成形体及び繊維の製造方法。
    Figure 0003606900
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