JP2018140318A - 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法 - Google Patents

固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018140318A
JP2018140318A JP2015144686A JP2015144686A JP2018140318A JP 2018140318 A JP2018140318 A JP 2018140318A JP 2015144686 A JP2015144686 A JP 2015144686A JP 2015144686 A JP2015144686 A JP 2015144686A JP 2018140318 A JP2018140318 A JP 2018140318A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
solidified product
compound
solidified
bond
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015144686A
Other languages
English (en)
Inventor
後藤 良孝
Yoshitaka Goto
良孝 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2015144686A priority Critical patent/JP2018140318A/ja
Priority to PCT/JP2016/068325 priority patent/WO2017013985A1/ja
Publication of JP2018140318A publication Critical patent/JP2018140318A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B09DISPOSAL OF SOLID WASTE; RECLAMATION OF CONTAMINATED SOIL
    • B09BDISPOSAL OF SOLID WASTE NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B09B3/00Destroying solid waste or transforming solid waste into something useful or harmless
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B33/00Silicon; Compounds thereof
    • C01B33/113Silicon oxides; Hydrates thereof
    • C01B33/12Silica; Hydrates thereof, e.g. lepidoic silicic acid

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、Si−N結合を有する化合物を、改質して固化し、無害化することで、臭気の発生がなく、安全に処理することができる固化物とその製造方法、及び製造した固化物を更に安定化するための固化物の安定化方法を提供することである。【解決手段】本発明の固化物は、Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bより構成されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、Si−N結合を有する化合物の固化物、その製造方法及び安定化方法に関する。より詳しくは、特に、Si−N結合を有する化合物を、安定して固化し、無害化することで、臭気の発生がなく、安全に処理することができる固化物とその製造方法、及び製造した固化物を更に安定化するための固化物の安定化方法に関する。
従来、シリカ質の膜は絶縁膜、誘電体膜、保護膜または親水化膜等として利用することが広く知られている。このようなシリカ質の膜は、例えば、LSI(Large Scale Integration)、TFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置等の半導体素子の層間絶縁膜、平坦化膜、パッシベーション膜、素子間分離絶縁体等として広く利用されている。
このようなシリカ質膜の製造方法としては、PVD法(Physical Vapor Deposition)、CVD法(Chemical Vapor Deposition)、塗布法が知られている。これらの製造方法の中でも、低温焼成によりシリカ質膜を形成する方法として、Si−N結合を有する化合物を含む溶液を基材上に塗布し、その塗膜を焼成等の方法によりシリカ質の膜に転化する方法が知られている。Si−N結合を有する化合物を用いた湿式塗布法によって形成されたシリカ質被膜は、膜質が優れていることから、近年特に注目を集めている。
一般的に、Si−N結合を有する化合物としては、アミノシラン、シラザン、シリルアセトアミド、シリルイミダゾール、トリメチルシリルアジド等があり、Si−N結合は主に有機ケイ素化合物とアミンの反応で得られ、オルガノシラザンとして知られているが、Si−N結合を有する化合物の合成法には、ハロゲノシランとアンモニア、アミンの反応、シランとアンモニア、アミンのアルカリ金属塩との反応、有機シリル金属化合物とアンモニアとの反応により形成される。
このようなSi−N結合を有する化合物は、水分に対しては通常の有機化合物より反応しやすく、そのため取り扱いに注意を要することが求められている。具体的には、Si−N結合は加水分解をすることで反応熱を伴うため、このような化合物を取り扱う時には、反応を極力抑えるため、水分(湿度)を遮断することや、耐熱性の高い容器を使用するなど、様々な対応が必要とされている。
また、Si−N結合を有する化合物を含む溶液は、水分や酸素に対し非常に活性な溶液のため、取扱いと同時に残液の廃液方法にも多くの課題を抱えていた。
Si−N結合を有する化合物は、大気中の水分や酸素と反応した場合、下記に示す式(1)及び式(2)のように進行し、シリカ(SiO)の生成と共に、NHガスやHガスが発生することになる。
Figure 2018140318
上記式(1)及び(2)で示すような反応が進行すると、Si−N結合を有する化合物のゲル化、過度な反応熱の発生、NHガスやHガスの発生等が生じるため、廃棄の際に、上記のような問題を抑制する必要がある。
このような問題に対し、Si−N結合を有する化合物の溶解性を向上させるため、ケトン類や炭化水素類等の有機溶媒を溶解及び希釈のため溶媒として大量に使用して、ポリシラザンを回収及び処理する方法が開示されている(例えば、特許文献1。)。しかしながら、ここで提案されている方法では、Si−N結合を有する化合物を含む多量の有機溶媒が生じるため、その処理に多大の費用と時間を費やすことになる。
上記のような多量の希釈溶媒を使用しない処理する方法としては、Si−N結合を有する化合物を含有する溶液中の溶媒を揮発及び乾燥させて固化させる方法が考えられる。
しかしながら、単に、乾燥手段のみで固化させる方法では、固化物全体が完全にシリカに改質せず、固化物になる際に固化物表面だけがシリカに改質し、内部に未反応のSi−N結合を有する改質前の化合物がそのまま残留することになる。その結果、廃棄中あるいは固化物の保管中に、温度、湿度条件、廃棄量の複合因子によって、内部に残存しているSi−N結合を有する化合物において、上記式(1)あるいは式(2)で示すような反応を徐々に進行し、生じた反応熱による火災や水素発生による爆発、アンモニアガス発生による臭気などの問題の発生が懸念されるため、実用化には至っていない。
Si−N結合を有する化合物の中でも、特に、ポリシラザンは、Si−N結合を基本ユニットとする高分子化合物であり、大型の設備を必要とせず、比較的簡単な構成の湿式塗布装置を用いて、狭い隙間にも品質のよいシリカ系絶縁膜を形成できる材料として知られている。
このSi−N結合を有するポリシラザンを用いて、湿式塗布法により形成されたシリカ質被膜は、膜質が優れ、高いガスバリアー性を実現することができることから、近年多く使用されてきているが、使用済みのSi−N結合を有するポリシラザン溶液も多量に発生し、これらのポリシラザン溶液は非常に活性な溶液のため、上記のような取扱いと同時にその廃液の処理方法には多くの課題を有していた。
すなわち、従来のSi−N結合を有する化合物の廃棄方法は、廃棄する際に多量の有機溶媒を必要とすること、また廃棄業者に廃棄処理を依頼するコストが膨大であり、かつ多量のドラム缶を保管する専用の場所の確保が必要であるため、多量のSi−N結合を有する化合物を含む廃液に対しては現実的でなかった。
従って、Si−N結合を有する化合物の廃棄に際し、多量の有機溶媒を必要とせず、改質固化して無害化することで、簡便、かつ安全に処理する方法の開発が要望されている。
特開2014−203858号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、Si−N結合を有する化合物を、改質して固化し、無害化することで、臭気の発生がなく、安全に処理することができる固化物とその製造方法、及び製造した固化物を更に安定化するための固化物の安定化方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bとを混合し、化合物Bを酸化触媒として用い、Si−N結合を有する化合物Aを酸化して、無害のSiOに改質乾燥して固化物を形成する方法により、Si−N結合を有する化合物を、改質して固化し、無害化することで、臭気の発生がなく、安全に処理することができる固化物を得ることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記問題は、下記の手段により解決される。
1.Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bより構成されていることを特徴とする固化物。
2.JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定した粒径が22.4mmを超える固化物片の含有比率が、試料固化物5.0gあたり20質量%以下であることを特徴とする第1項に記載の固化物。
3.前記Si−N結合を有する化合物Aが、ポリシラザンであることを特徴とする第1項又は第2項に記載の固化物。
4.前記化合物Bを構成する第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の固化物。
5.前記第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)であることを特徴とする第4項に記載の固化物。
6.Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bとを混合させて混合物を形成したのち、当該混合物に乾燥処理を施して固化物を形成することを特徴とする固化物の製造方法。
7.前記混合物に乾燥処理を施して固化物を形成する乾燥方法が、自然乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、超音波乾燥法及び吸引乾燥法から選択される少なくとも1つ方法であることを特徴とする第6項に記載の固化物の製造方法。
8.前記乾燥処理後の固化物を、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定される粒径が22.4mmを超える固化物片の含有比率が、試料固化物5.0gあたり20質量%以下とすることを特徴とする第6項又は第7項に記載の固化物の製造方法。
9.前記Si−N結合を有する化合物Aが、ポリシラザンであることを特徴とする第6項から第8項までのいずれか一項に記載の固化物の製造方法。
10.前記化合物Bを構成する第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする第6項から第9項までのいずれか一項に記載の固化物の製造方法。
11.前記化合物Bを構成する第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)であることを特徴とする第10項に記載の固化物の製造方法。
12.前記混合前のSi−N結合を有する化合物Aに含まれる溶媒が非極性溶媒であり、かつヘッドスペースGC法により測定される前記乾燥処理後の固化物に含まれる非極性溶媒含有量を、1.2質量%以下とすることを特徴とする第6項から第11項までのいずれか一項に記載の固化物の製造方法。
13.前記非極性溶媒として、ジブチルエーテル又はキシレンを用いることを特徴とする第12項に記載の固化物の製造方法。
14.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の固化物を安定化する固化物の安定化方法であって、
前記固化物を親水性溶媒中に投入して安定化することを特徴とする固化物の安定化方法。
本発明の上記手段により、ポリシラザン等のSi−N結合を有する化合物Aを、第2族、第13族又は第14族の金属元素を含む化合物Bにより酸化処理を行うことにより、SiOに改質固化し、無害化することで、臭気の発生がなく、安全に処理することができる固化物とその製造方法、及び製造した固化物を更に安定化するための固化物の安定化方法を提供することができる。
本発明において、上記のようなSi−N結合を有する化合物を安全に廃棄処理することができる理由としては、以下のように推察している。
はじめに、前述の繰り返しにはなるが、従来の使用済みのSi−N結合を有する化合物(代表的には、ポリシラザン)の廃棄方法とその問題点について説明する。
Si−N結合を有する化合物、とりわけ、ポリシラザンを含有する塗布液を用いた機能性膜の形成方法としては、対象とする基材上に、ポリシラザンを含む塗布液を塗布し、その塗膜を焼成等の方法によりシリカ質(SiO)の膜に転化する方法が知られている。このような方法でポリシラザンを用いた塗布法によって形成されたシリカ質被膜は、膜質が優れていることから、近年特に注目を集めている。
一方、ポリシラザンを用いた塗布においては、ポリシラザンを含む塗布液を基材上に塗布した際、基材の周縁部には、供給される塗布液により厚膜部が形成されるとともに、基板裏面に、当該塗布液がまわり込むという問題が発生する。この基材端部での塗膜の膜厚の不均一化を防ぐため、通常ポリシラザンを含む塗布液を塗布した後、基材の端部に形成されたポリシラザンを含む塗布液の厚膜部に処理用溶媒を塗布又は噴射して、周縁部に形成された塗布膜を除去するエッジビードリムーブ処理(以下、EBR処理とも称する)が行われ、これとともに基材の裏面側に周り込んで付着したポリシラザンを除去し、裏面を清浄にするため、バックリンスが行われる。
このようなポリシラザンを含む塗布液の洗浄液等の残液に関しては、いくつかの問題を抱えている。ポリシラザンは、大気中も含め非意図的に存在する汚染物質、すなわち、OH−供与化学物質である水、アルコール類、アルデヒド類などと反応する可能性がある。その反応により、前記式(1)及び式(2)で示したように、ポリシラザンが分解して水素ガスとアンモニアガスとシランガスとが生じる。更には反応熱により過熱により容器を腐食更には火災の懸念まで生じる。そのためポリシラザン廃棄物は、非意図的な汚染物質に接触した場合にさらに分解を受けないよう、安定化させなくてはならないという問題を抱えている。
現在の処理工程では、専用の廃棄物保持容器に、さらに分解を抑制するように有機溶媒を選択し希釈させることで分解を遅延させている。
そして、廃棄物保持容器にそれが満杯になるまで、不安定なポリシラザンを含む溶液を収集し、保持容器が一旦満杯になると、廃棄物の一時的な安定化のため、廃棄物は内圧が上がらないように排気口を有するドラムに移される。最終的にこのドラムは密封されて廃棄物処理に送られる。その間、不要で廃棄するものに対して大量の希釈溶媒を購入し使用しなければならないこと、且つ、廃棄溶媒を保管する専用倉庫を確保しなければならないことなど現実はコスト面や管理など大きな問題を抱えていた。
また、使用済みのポリシラザン溶液を単に加熱乾燥して固化物を形成しようとした場合には、加熱及び乾燥処理により、形成した固化物の表面領域(シェル部)は、ポリシラザンからSiOへ改質され無害化されるが、中心部領域(コア部)は改質処理が十分に進行せず、一部はポリシラザンのまま残留している状態になる。このような状態の固化物は、保存過程で内部のポリシラザンの改質が進行し、アンモニアガスや水素ガスが生じ、あるいは水中に投入した際にも、同様の問題が発生する。
本発明は、上記問題を踏まえてなされたものであり、その技術的特徴は以下のとおりである。
本発明の固化物の構成上の特徴は、Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bを、化合物Aの酸化触媒として構成されていることを特徴とするものである。
具体的には、溶媒、例えば、非極性溶媒を含むSi−N結合を有する化合物Aに、酸化触媒として周期型周期表の第2族、第13族、及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bを添加して混合液を調製した後、溶媒を揮発させることにより、Si−N結合を有する化合物を、SiOに改質して固化することで、無害化することができ、その結果、臭気の発生がなく、安全に廃棄処理することができる方法である。
すなわち、固化物を形成する過程で、周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bが、Si−N結合を有する化合物AのSiOへの転化反応を促進させる酸化触媒として作用し、固化物表面のみでなく深部も含め固化物全体に渡りほぼ均一に酸化反応を進行させることができ、その結果、未反応物(例えば、ポリシラザン)を著しく低減させることができ、後工程で固化物を粉砕したり、高温高湿環境下に曝されたり、あるいは活性な溶液中に固形物が投入されても、前記式(1)や式(2)で示すような反応を起こすことを著しく低減することができ、極めて安全性の高い固化物を実現することができた。
Si−N結合を含む化合物の固化物を製造する工程の概要を示すフロー図
本発明の固化物は、Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bより構成されていることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項14に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定した粒径範囲が22.4mmを超える固化物片の5.0gあたりの質量比率が、20質量%以下であることが、微細な固化物であり、表面から内部までSiOへの転化反応を進行させることができる点で好ましい。
また、前記Si−N結合を有する化合物Aが、ポリシラザンであることが、本発明の目的をより効果的に発現させることができる観点から好ましい。
また、化合物Bを構成する第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)から選択される少なくとも1種であること、更には、当該元素がアルミニウム(Al)であることが、より効果的にSi−N結合を有する化合物Aを、酸化することができ、無害化することができる観点から好ましい。
一方、本発明の固化物の製造方法は、Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bとを混合させたのち、乾燥固化して固化物を作製することを特徴とする。
また、混合物を乾燥固化する方法が、自然乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、超音波乾燥法及び吸引乾燥法から選択される少なくとも1つ方法であることが、Si−N結合を有する化合物Aと化合物Bを乾燥して固化物を形成することができる観点から好ましい。
また、前記混合前のSi−N結合を有する化合物Aに含まれる溶媒が非極性溶媒であり、かつヘッドスペースGC法により測定される前記乾燥処理後の固化物に含まれる非極性溶媒含有量を、1.2質量%以下とすることが好ましい。
また、非極性溶媒として、ジブチルエーテル又はキシレンを用いることが、ポリシロキサン等のSo−N結合を有する化合物Aを溶解することができる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《固化物の製造方法の全体フロー》
本発明の固化物は、Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bより構成されていることを特徴とし、具体的には、前記Si−N結合を有する化合物Aと、前記化合物Bとを、混合させたのち、乾燥固化して、固化物を製造することを特徴とする。
図1は、Si−N結合を含む化合物を改質処理して固化物を製造する代表的な工程の一例を示すフロー図である。
本発明の固化物の製造方法の主要プロセスとしては、図1に示すように、非極性溶媒に溶解したSi−N結合を有する化合物Aと、第2族、第13族又は第14族の元素から構成される酸化触媒である化合物Bを、例えば、攪拌機等を有する調整釜内で投入して、混合して混合物を調製する。この時の化合物Aと化合物Bの混合比率としては、特に制限はないが、おおむね、化合物Aを100質量%としたとき、化合物Bの添加量は0.1〜10質量%の範囲内であり、好ましくは0.1〜5.0質量%の範囲内である。
次いで、化合物A、非極性溶媒及び化合物Bで構成される混合物内において、化合物Bによる化合物Aの酸化処理が進行して、化合物AがSiOへと改質される。この時、前記式(1)及び(2)で示すように改質反応により、アンモニアや水素ガスが発生するが、回収装置等により安全に処理することができる。この時の処理温度としては、特に制限はなく、10〜80℃の温度範囲で選択できるが、好ましくは、室温近傍の温度で加熱せずに行うことが好ましい。
次いで、この混合物に対し、乾燥処理を施して、非極性溶媒を除去することにより、微細な固化物を形成する。この時、固化物においては、混合物の段階で改質反応がほぼ進行しているため、形成された固化物の表面から内部まで、SiOへ改質され、未反応のSi−N結合を有する化合物Aの残留率が極めて低くなるという特徴を有している。
この時、固化物の形状サイズとしては、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定した粒径が22.4mmを超える固化物片の含有比率が、試料固化物5.0gあたり20質量%以下である状態で製造することが好ましい。
本発明の固化物は、上記フローで形成することにより、上記で規定するサイズ分布を容易に形成することができる。
このような方法で製造した固化物は、そのまま固化物の状態で、処理(廃棄)してもよい。また、製造した固化物を、更に親水性溶媒中に投入して、わずかに残留している可能性のあるSi−N結合を含む化合物を完全に酸化して、SiO化した後、当該溶液の状態で処理を行ってもよい。
本発明でいう「固化物」とは、従来知られている樹脂フィルム等の基材表面に保持されているSi−N結合を含む化合物や改質されたSiOを含む「層」や「膜」の形態ではなく、Si−N結合を有する化合物やその改質物が、支持体に保持されていなく、独立して単独で存在している状態であると定義する。
〔固化物のサイズ〕
本発明の固化物としては、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定した粒径範囲が22.4mmを超える固化物片の5.0gあたりの質量比率が、20質量%以下であることが好ましい態様である。
以下、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法による具体的な測定方法について説明する。
本発明における固化物は、JIS Z 8815の「ふるい分け試験方法」に準拠した下記の方法により、その粒径分布を測定する。
ふるい分け方法:手動でふるい分け、ふるいを手で振動させながら行う方法。
製造した固化物5.0gを採取し、JIS Z 8815に準拠した方法で、測定する。予備ふるい分けにより測定される粒径範囲は、1)22.4mmを超えるもの、2)4mmを超え、22.4mm以下、3)1mmを超え、4mm以下、4)1mm以下、に分類され、本発明では、1)22.4mmを超えるものに分類される固化物の全質量に対する含有比率を求める。ここでいう粒径とは、測定上、固化物の長径サイズを表す。
固形物の大きさが22.4mmを超える固化物の比率が20質量%を超えると、固化物表面でなく内部に多くの溶媒が取り込まれやすい形状となる。即ち、表面のみ固化され、かつ固化物の内部は完全に改質反応(酸化反応)が完結していないために、固化物が衝撃で粉砕されたりすると、内部の反応していない部位が反応し始め、その際、外部環境によってはアンモニアが発生したり、反応熱が発生するという現象が生じる可能性がある。
〔乾燥処理〕
本発明の固化物の形成に適用可能な乾燥方法としては、特に制限はなく、一般に広く用いられている乾燥手段を適用することができ、特には、自然乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、超音波乾燥法及び吸引乾燥法から選択される少なくとも1つ方法、あるいは2つ以上の方法を組み合わせて行うことができる。
(乾燥固化手段)
主に、化合物A及び化合物Bより構成される混合物を乾燥固化する方法としては、自然乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、超音波乾燥法及び吸引乾燥法から選択される少なくとも1つ方法であることが好ましい。
(自然乾燥法)
本発明に適用可能な自然乾燥法とは、大気圧環境下で、10〜80℃の温度範囲で、相対湿度8〜80%RHの範囲内で、風速0〜5.0m/sの範囲内で乾燥処理を行う豊富尾である。
(加熱乾燥法)
本発明に適用可能な加熱乾燥法とは、大気圧環境下で、46〜200℃の温度範囲で乾燥する方法であり、適用する湿度条件や風速に関しては特に制限はない。
(真空乾燥法)
本発明に適用可能な真空乾燥法とは、特に制約はないが、温度範囲は40〜200℃の範囲内であり、圧力は1×10〜1×10Paの範囲内とすることが好ましい。
(超音波乾燥)
本発明に適用可能な超音波乾燥法の条件として、特に制約はないが、1〜10kHzの周波数を照射して乾燥する方法が好ましく、その時の処理温度や湿度に特に制限はない。
(吸引乾燥)
本発明に適用可能な吸引乾燥法の条件として、特に制約はないが、強力なファンで槽内の空気を吸い込み,循環させ,一部を排気して乾燥させる方法であり、その時の温度条件や湿度に特に制限はない。
《固化物の各構成材料》
次いで、本発明の固化物の構成材料の詳細について説明する。
[Si−N結合を有する化合物A]
本発明に係るSi−N結合を有する化合物Aとしては、特に制限はないが、ポリシラザンであることが、本発明の目的効果をより発揮することができる点で好ましい態様である。
本発明でいうポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
(一般式(I)で表される構造を有する化合物)
具体的には、本発明に係るポリシラザンは、好ましくは下記の一般式(I)で表される構造を有する化合物である。
一般式(I)
−〔Si(R)(R)−N(R)〕
上記一般式(I)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、R及びRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数が1〜8の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数が1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに、必要に応じて存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、必要により存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基又は3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(I)において、nは整数を表し、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが、150〜150000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(略称:PHPS)である。
(一般式(II)で表される構造を有する化合物)
また、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
一般式(II)
−〔Si(R1′)(R2′)−N(R3′)〕n′−〔Si(R4′)(R5′)−N(R6′)〕
上記一般式(II)において、R1′、R2′、R3′、R4′、R5′及びR6′は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1′、R2′、R3′、R4′、R5′及びR6′は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)で説明した定義と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記一般式(II)において、n′及びpは、各々整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n′及びpは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(II)で表されるポリシラザンのうち、
1)R1′、R3′及びR6′が各々水素原子を表し、R2′、R4′及びR5′が各々メチル基を表す化合物、
2)R1′、R3′及びR6′が各々水素原子を表し、R2′、R4′が各々メチル基を表し、R5′がビニル基を表す化合物、
3)R1′、R3′、R4′及びR6′が各々水素原子を表し、R2′及びR5′が各々メチル基を表す化合物、
が好ましい。
(一般式(III)で表される構造を有する化合物)
また、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
一般式(III)
−〔Si(R1″)(R2″)−N(R3″)〕n″−〔Si(R4″)(R5″)−N(R6″)〕p″−〔Si(R7′)(R8″)−N(R9″)〕q
上記一般式(III)において、R1″、R2″、R3″、R4″、R5″、R6″、R7″、R8″及びR9″は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1″、R2″、R3″、R4″、R5″、R6″、R7″、R8″及びR9″は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記一般式(III)において、n″、p″及びqは、各々整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが、150〜150000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n″、p″及びqは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R1″、R3″及びR6″が各々水素原子を表し、R2″、R4″、R5″及びR8″が各々メチル基を表し、R9″が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7″がアルキル基又は水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより、硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び/又は8員環を中心とする環構造とが共存する構造を有していると推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体又は固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
これらのポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されている。ポリシラザン溶液の市販品としては、例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
〈非極性溶媒〉
本発明の固化物の製造工程においては、本発明に係るSi−N結合を有する化合物A、特に、ポリシラザンは、非極性溶媒に溶解した状態で提供することが好ましい。
一般でいう非極性溶媒としては、
(イ)芳香族化合物:ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、およびデカヒドロナフタレン等、
(ロ)鎖状飽和炭化水素:n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、およびi−デカン等、
(ハ)環状飽和炭化水素:シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、およびp−メンタン等、
(ニ)環状不飽和炭化水素:シクロヘキセン、およびジペンテン(リモネン)、
(ホ)エーテル:ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、アニソール等が挙げられるが、
本発明で適用可能な非極性溶媒は、ポリシラザン等を安定して溶解することが特性を備えた溶媒であり、ジブチルエーテル、キシレン、ナフサが好ましく、その中でも、ジブチルエーテル又はキシレンを用いることが特に好ましい。
[周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物B]
本発明に係る化合物Bにおいて、第2族の元素としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが分類される。第13族の元素としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ウンウントリウムがこれに分類される。また、炭素及びケイ素を除く第14族の元素としては、ゲルマニウム、スズ、鉛、フレロビウムがこれに分類される。
本発明においては、その中でも、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特には、アルミニウム(Al)であることが好ましい。
Si−N結合を有する化合物Aに、周期型周期表の第2族、第13族、及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bを添加した後、溶媒を揮発させて、活性なSi−N結合を有する化合物を失活(酸化)させて、無害化して安全な固化物を得ることができる理由は、以下のように推測している。
周期型周期表の第2族、第13族、及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bが酸化触媒として作用し、Si−N結合を有する化合物AのSiO化反応を促進させ、固化物を形成した際に、表面のみでなく深部も含め固化物全体に渡りほぼ均一に反応を促進させることができ、その結果、未反応物を著しく低減させることができ、後工程で固化物が発熱等により粉砕したり、高温高湿環境下にさらされたり、活性な溶液中に固化物が投入されても再度反応をすることが著しく低減し、安全性の高い固化物を実現することができたものである。
〔化合物Bの具体例〕
本発明に係る化合物Bの例としては、その一例として、金属アルコキシド化合物が挙げられる。
(金属アルコキシド化合物)
金属アルコキシド化合物の具体例としては、例えば、ベリリウムアセチルアセトネート、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリn−プロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリn−ブチル、ホウ酸トリtert−ブチル、マグネシウムエトキシド、マグネシウムエトキシエトキシド、マグネシウムメトキシエトキシド、マグネシウムアセチルアセトネート、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリtert−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジn−ブチレート、アルミニウムジエチルアセトアセテートモノn−ブチレート、アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムオキサイドイソプロポキサイドトリマー、アルミニウムオキサイドオクチレートトリマー、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、カルシウムイソプロポキシド、カルシウムアセチルアセトネート、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、ガリウムアセチルアセトナート、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムイソプロポキシド、ゲルマニウムn−ブトキシド、ゲルマニウムtert−ブトキシド、エチルトリエトキシゲルマニウム、ストロンチウムイソプロポキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム、インジウムイソプロポキシド、インジウムn−ブトキシド、インジウムメトキシエトキシド、スズn−ブトキシド、スズtert−ブトキシド、スズアセチルアセトネート、バリウムジイソプロポキシド、バリウムtert−ブトキシド、バリウムアセチルアセトネート、タリウムエトキシド、タリウムアセチルアセトネート、鉛アセチルアセトネートなどが挙げられる。
これら金属アルコキシド化合物の中でも、反応性、溶解性等の観点から分岐状のアルコキシ基を有する化合物が好ましく、2−プロポキシ基、又はsec−ブトキシ基を有する化合物がより好ましい。また、安定した固化物を得ることができる観点から、エトキシ基を有する化合物が好ましい。
さらに、アセチルアセトナート基を有する金属アルコキシド化合物もまた好ましい。アセチルアセトナート基は、カルボニル構造によりアルコキシド化合物の中心元素と相互作用を有するため、取り扱い性が容易になり好ましい。さらに好ましくは上記のアルコキシド基、又はアセチルアセトナート基を複数種有する化合物が反応性や膜組成の観点からより好ましい。
また、金属アルコキシド化合物の中心元素としては、ポリシラザン中の窒素原子と配位結合を形成しやすい元素が好ましく、ルイス酸性が高いAl又はBがより好ましい。
本発明に係る化合物Bとしては、更には、前述のとおり、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する化合物であることが好ましく、好ましい金属アルコキシド化合物の具体例としては、マグネシウムエトキシド、ホウ酸トリイソプロピル、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、カルシウムイソプロポキシド、インジウムイソプロポキシド、ガリウムイソプロポキシド、アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジn−ブチレート、又はアルミニウムジエチルアセトアセテートモノn−ブチレートを挙げることができる。
金属アルコキシド化合物は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の具体的な例としては、例えば、AMD(アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート)、ASBD(アルミニウムセカンダリーブチレート)、ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、ALCH−TR(アルミニウムトリスエチルアセトアセテート)、アルミキレートM(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、アルミキレートD(アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)、アルミキレートA(W)(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、プレンアクト(登録商標)AL−M(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインケミカル株式会社製)、オルガチックスシリーズ(マツモトファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
なお、金属アルコキシド化合物を用いる場合は、ポリシラザンを含む塗布液と不活性ガス雰囲気下で混合することが好ましい。金属アルコキシド化合物が大気中の水分や酸素と反応し、激しく酸化が進むことを抑制するためである。
(金属アルコキシド以外の化合物B)
また、金属アルコキシド化合物以外では、下記に示すような化合物を使用することができる。
〈アルミニウム元素含有化合物〉
アルミニウム元素含有化合物としては、例えば、アノーソクレース、アルミナ、アルミノケイ酸塩、アルミン酸、アルミン酸ナトリウム、アレキサンドライト、アンモニウム白榴石、イットリウム・アルミニウム・ガーネット、黄長石、尾去沢石、オンファス輝石、輝石、絹雲母、ギブス石、サニディン、サファイア、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、臭化アルミニウム、十二ホウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、白雲母、水酸化アルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、杉石、スピネル、ダイアスポア、ヒ化アルミニウム、ピーコック(顔料)、微斜長石、ヒスイ輝石、氷晶石、普通角閃石、フッ化アルミニウム、沸石、ブラジル石、ベスブ石、Bアルミナ固体電解質、ペツォッタイト、方ソーダ石、有機アルミニウム化合物、リシア輝石、リチア雲母、硫酸アルミニウム、緑柱石、緑泥石、緑簾石、リン化アルミニウム、リン酸アルミニウム等を挙げることができる。
〈マグネシウム元素含有化合物〉
マグネシウム元素含有化合物としては、亜鉛緑礬、亜硫酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、カーナライト、過塩素酸マグネシウム、過酸化マグネシウム、滑石、頑火輝石、カンラン石、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、蛇紋石、臭化マグネシウム、硝酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル、普通角閃石、普通輝石、フッ化マグネシウム、硫化マグネシウム、硫酸マグネシウム、菱苦土鉱等。
〈カルシウム元素含有化合物〉
カルシウム元素含有化合物としては、アラレ石、亜硫酸カルシウム、安息香酸カルシウム、エジプシャンブルー、塩化カルシウム、塩化水酸化カルシウム、塩素酸カルシウム、灰クロム柘榴石、灰重石、灰鉄輝石、灰簾石、過酸化カルシウム、過リン酸石灰、カルシウムシアナミド、次亜塩素酸カルシウム、シアン化カルシウム、臭化カルシウム、重過リン酸石灰、シュウ酸カルシウム、臭素酸カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、普通角閃石、普通輝石、フッ化カルシウム、フッ素燐灰石、ヨウ化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨハンセン輝石、硫化カルシウム、硫酸カルシウム、緑閃石、緑簾石、緑簾、リン酸カルシウム等を挙げることができる。
〈ガリウム元素含有化合物〉
ガリウム元素含有化合物としては、酸化ガリウム(III)、水酸化ガリウム(III)、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ヨウ化ガリウム(III)、リン酸ガリウム等を挙げることができる。
〈ホウ素元素含有化合物〉
ホウ素元素含有化合物としては、酸化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ジボラン、ホウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ砂、ボラジン、ボラン、ボロン酸等を挙げることができる。
〈ゲルマニウム元素含有化合物〉
ゲルマニウム元素含有化合物としては、有機ゲルマニウム化合物、無機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム等を挙げることができる。
〈インジウム元素含有化合物〉
インジウム元素含有化合物としては、酸化インジウム、塩化インジウム等を挙げることができる。
[親水性溶媒]
本発明の固化物においては、固化物を形成した後、固化物を親水性溶媒中に投入して安定化処理を施すことが好ましい。
本発明でいう親水性溶媒とは、水に略均一に溶解する溶媒である。親水性溶媒としては、水の他に、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;酢酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。上記親水性溶媒は、好ましくは、水、又は、水と親水性溶媒の混合溶媒が用いられる。
本発明の固化物においては、親水性溶媒中に投入して、残留しているポリシラザン等を完全に酸化処理して、SiOに改質することにより、安全に廃棄することができる。
《固化物及びその製造方法の適用分野》
固化物及びその製造方法は、例えば、ガスバリアー性フィルムの製造において、ガスバリアー層の形成にポリシラザン溶液を用いる場合、製造時に回収したポリシラザン溶液排液、ポリシラザンを含む洗浄液、使用後のポリシラザン液等の廃棄処理を行う場合に、アンモニアや水素ガスの発生を抑制し、多量の有機溶媒を必要とせず、安全に無害化することができる固化物の廃棄処理等に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
《固化物の調製》
〔固化物1の調製〕
(混合液1の調製)
化合物A:無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(メルク株式会社製、NN120−20) 231.8g
非極性溶媒:ジブチルエーテル 1277.6g
上記2液を混合して、混合液1を調製した。
(乾燥処理による固化物の調製:自然乾燥法)
上記混合液1をシャーレ中に投入し、自然乾燥法として、23℃、55%RHの環境下で、風速0.5m/秒の条件で、48時間の乾燥処理を行い、非極性溶媒を揮発させて、固化物1を形成した。
〔固化物2の調製〕
(混合液2の調製)
化合物A:無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(メルク株式会社製、NN120−20) 231.8g
化合物B:ALCH(川研ファインケミカル株式会社製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート) 30.6g
非極性溶媒:ジブチルエーテル 1277.6g
上記3液を混合して、混合液2を調製した。
(乾燥処理による固化物の調製)
上記混合液2をシャーレ中に投入し、60℃、55%RHの環境下で、風速0.5m/秒の条件で、48時間の乾燥処理を行い、非極性溶媒を揮発させて、固化物2を調製した。
〔固化物3の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Bとして、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートに代えて、同量のインジウム(III)イソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は同様にして、固化物3を調製した。
〔固化物4の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Bとして、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートに代えて、同量のガリウム(III)イソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は同様にして、固化物4を調製した。
〔固化物5の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Bとして、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートに代えて、同量のマグネシウムエトキシド(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は同様にして、固化物5を調製した。
〔固化物6の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Bとして、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートに代えて、同量のカルシウムイソプロポキシド(SIGMA−ALDRICH社製)を用いた以外は同様にして、固化物6を調製した。
〔固化物7の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Bとして、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートに代えて、同量のゲルマニウム(IV)イソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は同様にして、固化物7を調製した。
〔固化物8の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Bとして、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートに代えて、同量のホウ酸トリイソプロピル(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は同様にして、固化物8を調製した。
〔固化物9の調製〕
上記固化物2の作製において、非極性溶媒として、ジブチルエーテルに代えて、同量のキシレンを用いた以外は同様にして、固化物9を調製した。
〔固化物10の調製〕
上記固化物2の作製において、化合物Aとして、無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液の単独構成に代えて、無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(メルク株式会社製、NN120−20)の185.44gと、アミン触媒を含むパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(メルク株式会社製、NAX120−20)の46.36gの混合液に変更した以外は同様にして、固化物10を調製した。
〔固化物11の調製〕
上記固化物2の作製において、乾燥方法として、自然乾燥法に代えて、下記の加熱乾燥法により乾燥を行った以外は同様にして、固化物11を作製した。
(加熱乾燥法)
シャーレに入れた固化物を、大気圧下、150℃で5時間の乾燥処理を行った。
〔固化物12の調製〕
上記固化物2の作製において、乾燥方法として、自然乾燥法に代えて、下記の真空乾燥法により乾燥を行った以外は同様にして、固化物12を作製した。
(真空乾燥法)
シャーレに入れた固化物を、1×10Paの減圧下で、100℃で2時間の乾燥処理を行った。
〔固化物13の調製〕
上記固化物2の作製において、乾燥方法として、自然乾燥法に代えて、下記の超音波乾燥法により乾燥を行った以外は同様にして、固化物13を作製した。
(真空乾燥法)
シャーレに入れた固化物を、大気圧下、45℃で5kHzNO超音波を5時間照射して乾燥処理を行った。
〔固化物14の調製〕
上記固化物2の作製において、乾燥方法として、自然乾燥法に代えて、下記の吸引乾燥法により乾燥を行った以外は同様にして、固化物13を作製した。
(真空乾燥法)
シャーレに入れた固化物を、大気圧下、60℃で15m/分の風速を4時間吸引排気させて乾燥処理を行った。
《固化物の測定及び評価》
〔固化物の粒径測定〕
JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠し、粒径範囲が22.4mmを超える固化物の含有比率を下記の方法により測定した。
上記調製した各固化物を測定試料として5.0g採取し、JIS Z 8815のふるい分け試験により、22.4mm超の含有比率(質量%)を測定した。
〔固化物中の非極性溶媒量の測定〕
固化物中に含まれる非極性溶媒の残留量を、ヘッドスペースGC法により測定した。
測定装置として、アジレントテクノロジー社製のGC/MS(型番:6890GC/5973A)を用いた。固化物100mgを精秤して10mLのメタノールを加えて超音波抽出を行った。上澄み液をクロマトディスクで濾過した後、上記GC/MSを用いて、非極性溶媒(ジブチるエーテル又はキシレン)の定量を行った。
〔アンモニア発生量の測定〕
23℃、100gの水を200mLのポリ瓶容器に入れ、固化物を5g採取し、投入した。次いで、ポリ瓶容器の蓋を閉めて5分間放置した後、蓋を開けのアンモニア発生量をアンモニア測定器として株式会社シロ産業社製の品番:M693−800XP(0.1ppmから50ppmで、解像度が、0.1ppm)を用いて測定した。
なお、測定値が50ppmを超えた場合には、株式会社ジコー製のGAXT−A−DL(測定レンジ0〜100ppm、分解能1ppm)を用いて測定した。
〔嗅覚評価〕
上記案のミア発生量の測定において、水中に投入後、蓋を開けた際のアンモニア臭を20人の一般モニターに嗅いでもらい、下記の基準によりランク付けし、20人の総点数を求め、これを嗅覚評価の尺度とした。
5:強烈な臭いである(アンモニア濃度:約40ppm程度)
4:強い臭いである(アンモニア濃度:約10ppm程度)
3:容易にアンモニア臭と感知できる臭いである(アンモニア濃度:約2.0ppm程度)
2:やっとアンモニア臭であると検知できる弱い臭い(アンモニア濃度:約0.6ppm程度)
1:ほとんどアンモニア臭が検知できない(アンモニア濃度:約0.1ppm程度)
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2018140318
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する化合物Aと、酸化触媒である化合物Bより形成した固化物は、固化物中での未反応の化合物Aに起因するアンモニアの発生量が極めて低く、固化物内部まで完全に改質処理が進行して固化し、無害化されていることが分かる。

Claims (14)

  1. Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bより構成されていることを特徴とする固化物。
  2. JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定した粒径が22.4mmを超える固化物片の含有比率が、試料固化物5.0gあたり20質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の固化物。
  3. 前記Si−N結合を有する化合物Aが、ポリシラザンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固化物。
  4. 前記化合物Bを構成する第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の固化物。
  5. 前記第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項4に記載の固化物。
  6. Si−N結合を有する化合物Aと、長周期型周期表の第2族、第13族及びケイ素と炭素を除く第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物Bとを混合させて混合物を形成したのち、当該混合物に乾燥処理を施して固化物を形成することを特徴とする固化物の製造方法。
  7. 前記混合物に乾燥処理を施して固化物を形成する乾燥方法が、自然乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、超音波乾燥法及び吸引乾燥法から選択される少なくとも1つ方法であることを特徴とする請求項6に記載の固化物の製造方法。
  8. 前記乾燥処理後の固化物を、JIS Z 8815 ふるい分け試験方法に準拠して測定される粒径が22.4mmを超える固化物片の含有比率が、試料固化物5.0gあたり20質量%以下とすることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の固化物の製造方法。
  9. 前記Si−N結合を有する化合物Aが、ポリシラザンであることを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の固化物の製造方法。
  10. 前記化合物Bを構成する第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)及びホウ素(B)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれか一項に記載の固化物の製造方法。
  11. 前記化合物Bを構成する第2族、第13族及び第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素が、アルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項10に記載の固化物の製造方法。
  12. 前記混合前のSi−N結合を有する化合物Aに含まれる溶媒が非極性溶媒であり、かつヘッドスペースGC法により測定される前記乾燥処理後の固化物に含まれる非極性溶媒含有量を、1.2質量%以下とすることを特徴とする請求項6から請求項11までのいずれか一項に記載の固化物の製造方法。
  13. 前記非極性溶媒として、ジブチルエーテル又はキシレンを用いることを特徴とする請求項12に記載の固化物の製造方法。
  14. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の固化物を安定化する固化物の安定化方法であって、
    前記固化物を親水性溶媒中に投入して安定化することを特徴とする固化物の安定化方法。
JP2015144686A 2015-07-22 2015-07-22 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法 Pending JP2018140318A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015144686A JP2018140318A (ja) 2015-07-22 2015-07-22 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法
PCT/JP2016/068325 WO2017013985A1 (ja) 2015-07-22 2016-06-21 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015144686A JP2018140318A (ja) 2015-07-22 2015-07-22 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018140318A true JP2018140318A (ja) 2018-09-13

Family

ID=57833890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015144686A Pending JP2018140318A (ja) 2015-07-22 2015-07-22 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2018140318A (ja)
WO (1) WO2017013985A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023282106A1 (ja) * 2021-07-09 2023-01-12 株式会社スリーボンド 硬化性組成物、硬化被膜および物品

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3606900B2 (ja) * 1994-04-06 2005-01-05 クラリアント ジャパン 株式会社 低酸素窒化硅素質セラミックス成形体、繊維及びその製造方法
JP4070828B2 (ja) * 1995-07-13 2008-04-02 Azエレクトロニックマテリアルズ株式会社 シリカ質セラミックス形成用組成物、同セラミックスの形成方法及び同セラミックス膜
JP3939408B2 (ja) * 1997-09-30 2007-07-04 Azエレクトロニックマテリアルズ株式会社 低誘電率シリカ質膜
JPH11105187A (ja) * 1997-09-30 1999-04-20 Tonen Corp 高純度シリカ質膜の形成方法及び高純度シリカ質膜
JP4450585B2 (ja) * 2003-08-29 2010-04-14 ソタジャパン有限会社 ゲルマニウム−シリカ複合体、これを用いた薄膜、装身具、積層体及びその製造方法並びにコーティング剤
JP2006265344A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Asahi Glass Co Ltd 酸化ケイ素系被膜形成用組成物及び酸化ケイ素系被膜付き基体の製造方法
US20070270625A1 (en) * 2006-05-18 2007-11-22 Joshua Gurman Treatment of Polysilazane Waste

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023282106A1 (ja) * 2021-07-09 2023-01-12 株式会社スリーボンド 硬化性組成物、硬化被膜および物品

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017013985A1 (ja) 2017-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI843035B (zh) 用於形成有機錫層之裝置及方法
TW379246B (en) Electronic coating materials using mixed polymers
KR102600795B1 (ko) 유기 금속 용액 기반의 고해상도 패터닝 조성물 및 상응하는 방법
EP0460868B1 (en) Amine catalysts for the low temperature conversion of silica precursors to silica
TWI792496B (zh) 不含n-h且富含si之全氫化聚矽氮烷化合物,其合成及應用
US11739220B2 (en) Perhydropolysilazane compositions and methods for forming oxide films using same
KR20120043770A (ko) 금속 산화물-함유 층의 제조 방법
KR20120051076A (ko) 산화 인듐을 함유하는 층의 제조 방법
JP6195916B2 (ja) 酸化インジウム含有層の製造法
WO2016169631A1 (en) Composition for forming coating film and method for forming coating film using same
WO2011158119A2 (ja) シリコンオキシナイトライド膜の形成方法およびそれにより製造されたシリコンオキシナイトライド膜付き基板
WO2012176291A1 (ja) シリコンオキシナイトライド膜の形成方法およびそれにより製造されたシリコンオキシナイトライド膜付き基板
US20210102092A1 (en) Perhydropolysilazane compositions and methods for forming nitride films using same
KR20210121310A (ko) 고성장률 규소-함유 필름을 위한 탄소 가교결합된 아미노실란 화합물
JP2018140318A (ja) 固化物、固化物の製造方法及び固化物の安定化方法
US20060264525A1 (en) Composition for photocatalyst coating and coating film
TWI639654B (zh) Use of polysilsesquioxane encapsulating material composition for UV-LED and metal alkoxide used therefor
WO2020007874A1 (en) Preparation of 2,2,4,4-tetrasilylpentasilane in the presence of lewis acids
JP2003124460A (ja) ゲート酸化膜、素子、ゲート酸化膜形成方法、ゲート酸化膜形成材料
US20190062916A1 (en) Lanthanide, Yttrium and Scandium precursors for ALD, CVD and Thin Film Doping and Methods of Use
TWI811203B (zh) 聚矽烷化合物、組合物、硬化物及基板之製造方法、以及陰離子聚合選擇促進劑
KR102626451B1 (ko) 백금 유기실록산 착물의 제조 방법
JP2006036889A (ja) 加水分解性金属化合物の硬化物の製造方法及び加水分解性金属化合物の硬化物
TWI244464B (en) Coated silica particles, their production method and uses
Larson Metal Trifluoromethanesulfonate Catalysis in Organic Synthesis