JP3605855B2 - α−デヒドロアミノ酸エステルの製造法 - Google Patents
α−デヒドロアミノ酸エステルの製造法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、O−アルキルヒドロキシルアミンを用いて、α、β−不飽和エステルから一段階でα−デヒドロアミノ酸エステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、α−デヒドロアミノ酸エステルは抗菌性、抗腫瘍性、抗ウィルス活性、酵素阻害作用など様々な生理活性を有するペプチド性抗生物質の中間体として極めて重要な化合物であることが知られている。また、この化合物は不斉還元や不斉付加反応のプロキラルな基質としても最適であって、種々の光学活性α−アミノ酸へ誘導することができるなど、その利用価値は非常に高い。従来、かかるα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法としては、アルデヒドとアシルグリシンの縮合により生成するアズラクトンを経由する方法、β−ヒドロキシ−α−アミノ酸誘導体などのβ−脱離反応による方法、α−ケトカルボン酸とアミンとの縮合反応による方法あるいはウィティヒ反応による方法など[Synthesis, 159(1988)]が知られている。
【0003】
しかし、これらの方法はいずれも多段階反応であり、反応基質が特定の化合物に限定されるなど多くの問題があり、工業的に有利な製造法とは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明者は、簡便にして幅広い反応基質を原料とするα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法について検討の結果、入手容易なα、β−不飽和エステルとO−アルキルヒドロキシルアミンを反応させることにより、1段階で一挙にα−デヒドロアミノ酸エステルが得られることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式化2
(式中、R1、R2は同一または相異なって水素原子、低級アルキル基またはアリール基を示し、R3は低級アルキル基を示す。ここで、低級アルキル基とは直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基を、アリール基とは反応を阻害しない置換基を有していてもよいフェニル基を意味する。)
で示されるα、β−不飽和エステルを、塩基の存在下に、一般式化3
(式中、R4は直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示されるO−アルキルヒドロキシルアミンと反応させることを特徴とする一般式化1
(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を有する。)
で示されるα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法を提供するものである。
【0006】
本発明において、原料として用いられる一般式化2で示されるα、β−不飽和エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸t−ブチル、3,3−ジメチルアクリル酸メチル、桂皮酸メチル、2−クロロ桂皮酸メチル、3−クロロ桂皮酸メチル、4−クロロ桂皮酸メチル、2−メトキシ桂皮酸メチル、3−メトキシ桂皮酸メチル、4−メトキシ桂皮酸メチルなどが挙げられる。
【0007】
また、本発明において用いられる一般式化3で示されるO−アルキルヒドロキシルアミンとしては、例えばO−メチルヒドロキシルアミン、O−エチルヒドロキシルアミン、O−t−ブチルヒドロキシルアミンなどが挙げられる。
かかるO−アルキルヒドロキシルアミンの使用量は、原料であるα、β−不飽和エステルに対して通常0.8〜5モル倍、好ましくは0.8〜2モル倍、より好ましくは1〜1.5モル倍である。
【0008】
反応は塩基の存在下に行われるが、かかる塩基としては、例えばアルキルリチウム化合物、アルカリ金属アミド、アルカリ金属アルコキシドなどが好適に使用される。このような塩基として、具体的にはn−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウム−t−ブトキシド等があげられる。塩基の使用量は、α、β−不飽和エステルに対して通常0.8〜5モル倍、好ましくは1〜3モル倍である。
【0009】
反応に際しては通常溶媒が使用され、かかる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられ、これらはそれぞれの単独あるいは2種以上の混合溶媒として用いられる。このような溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、α、β−不飽和エステルに対して1〜100重量倍である。
【0010】
反応温度は、通常−100〜100℃の範囲であり、好ましくは−80〜0℃である。
【0011】
かかる反応により生成する目的化合物は、反応終了後の反応混合物から通常の手段、例えば蒸留、抽出、再結晶あるいは各種クロマトグラフィーなどの操作により容易に単離、精製することができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、入手容易な各種のα、β−不飽和エステルから、一段階で一挙にα−デヒドロアミノ酸エステルを製造することができる。また、本発明でアミノ化剤として使用するO−アルキルヒドロキシルアミンはヒドロキシルアミンから容易にかつ比較的安価に得ることができるため、本方法は工業的にも極めて有利である。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれによって限定されるものでないことはいうまでもない。
【0014】
実施例1
十分に窒素置換したフラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン7mlおよびO−メチルヒドロキシルアミン118mg(2.5ミリモル)を入れ、−70℃まで冷却したのち、同温度下で1.6Mn−ブチルリチウムのヘキサン溶液1.56ml(2.5ミリモル)を加え、次いで乾燥テトラヒドロフラン3mlに溶解したクロトン酸メチル200mg(2.0ミリモル)を加えた。−70℃で30分間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、さらに塩化メチレンを加えて抽出処理を行なった。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で単離、精製して(Z)−2−アミノクロトン酸メチル127mg(収率 55%)を得た。
1HNMR(270MHz)スペクトル(CDCl3)
δ 1.87(d,3H,J=6.60Hz)、3.77(s,3H)、5.90(br.s,1H) 、6.96(m,1H)、 9.92(br.s,1H)
13CNMR(270MHz)スペクトル(CDCl3)
δ 17.9, 64.2, 121.2, 141.0, 164.5
マススぺクトル
m/z 115(M+), 69, 41, 39
【0015】
実施例2
桂皮酸メチル324mg(2.0ミリモル)およびO−メチルヒドロキシルアミン118mg(2.5ミリモル)を乾燥テトラヒドロフラン2mlに溶解し、−70℃に冷却したカリウム−t−ブトキシド673mg(6.0ミリモル)を含む乾燥テトラヒドロフラン8ml溶液に同温度下で5分間を要して滴下した。
滴下終了後、−70℃で20分間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、さらに塩化メチレンを加えて抽出処理を行なった。
得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で単離、精製して(Z)−2−アミノ−3−フェニルアクリル酸メチル47mgを得た。
1HNMR(270MHz)スペクトル(CDCl3)
δ 3.84(s,3H) 、6.55(br.s,1H) 、7.34(m,3H)、7.51(m,2H)、 7.76(d,1H,J=15.84Hz) 、9.28(br.s,1H)
13CNMR(400MHz)スペクトル(CD3OD)
δ 65.3, 118.8, 129.7, 130.8, 131.9, 136.8, 143.5, 166.8
マススぺクトル
m/z 177(M+), 176, 146, 131, 103, 77, 51
Claims (5)
- 一般式化2
(式中、R1、R2は同一または相異なって水素原子、低級アルキル基またはアリール基を示し、R3は低級アルキル基を示す。ここで、低級アルキル基とは直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基を、アリール基とは反応を阻害しない置換基を有していてもよいフェニル基を意味する。)
で示されるα、β−不飽和エステルを、塩基の存在下に、一般式化3
(式中、R4は直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で示されるO−アルキルヒドロキシルアミンと反応させることを特徴とする一般式化1
(式中、R1、R2およびR3は前記と同じ意味を有する。)
で示されるα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法。 - O−アルキルヒドロキシルアミンが、O−メチルヒドロキシルアミンである請求項1に記載のα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法。
- 塩基がアルカリ金属化合物である請求項1に記載のα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法。
- アルカリ金属化合物がアルキルリチウム化合物またはアルカリ金属アルコキシドである請求項3に記載のα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法。
- O−アルキルヒドロキシルアミンの使用量が、α、β−不飽和エステルに対して0.8〜2モル倍である請求項1に記載のα−デヒドロアミノ酸エステルの製造法。
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JP16418894A JP3605855B2 (ja) | 1994-07-15 | 1994-07-15 | α−デヒドロアミノ酸エステルの製造法 |
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