JP3605681B2 - 分解ガスを冷却するために使用される熱交換器 - Google Patents

分解ガスを冷却するために使用される熱交換器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を備えた分解ガスを冷却するために使用される熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
分解ガスは、炭化水素を分解炉のなかで熱分解することにより発生する。この分解炉は、多数の外部加熱される分解パイプを備えており、水蒸気を付加しながら使用される炭化水素が前記の分解パイプを通って導入される。発生した分解ガスは約800から850°Cの温度で分解パイプを出るが、分解ガスの分子的な組成を安定化するために冷却されなければならない。この冷却は、分解ガスから高圧のもとで蒸発した水に熱を伝達することにより分解ガス冷却器内で行われる。
【0003】
分解炉から延設された分解パイプが、共通のジャケットにより取り囲まれるかまたはダブル・パイプとして構成されている1つまたは複数のパイプを有する独立した分解ガス冷却器と接続されるよう構成された分解ガス冷却器は公知である。分解炉から延設された分解パイプは、一般に、比較的短い間隔をあけてリニヤーに配置されているので、分解ガス冷却器全体は、リニヤークーラーの形で1つのモジュールにまとめあげることができる。冷却媒体の供給と排出は、楕円形または円形に構成されているウオーター・チャンバーを使用してパイプの端部で行われる。ウオーター・チャンバーの内部スペースはパイプと接続されている。
【0004】
本発明の目的は、熱交換に関与する面の材料が過熱されることがなく、流入した冷却媒体の限定された流動を調節することができ、冷却媒体の高い圧力にかかわりなくウオーター・チャンバーをコスト的に有利に製作することができるよう構成された当初に挙げた種類の熱交換器を提供することである。
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1の特徴項の記載に従って構成された当初に挙げた種類の熱交換器が本発明に従って提供されたのである。本発明の有利な実施態様については、請求項2より請求項5までを参照されたい。
【0006】
【作用と効果】
本発明に係る熱交換器においては、冷却媒体の圧力は、キャビティの底部に相当する比較的狭いリング状の面に作用するが、この面の外径が外側のパイプの内径を上回ることはない。 冷却媒体の圧力を受ける底部の大きさはごく小さいため、 外側のパイプの肉厚を大きくすることを必要としない。 このように肉厚が小さいので、 温度の作用を受ける底部を冷却媒体により冷却することができるので、 材料が過熱することを回避することができる。 互いに間隔をあけて設けられているキャビティの外に、ウオーター・チャンバーはマッシブな部材本来の厚さを備えており、したがってウオーター・チャンバーは十分に丈夫であり、補足的な補強を必要とすることなく冷却媒体の高圧力に耐えることができる。キャビティは、中ぐりやフライス加工のごとき簡単な機械的加工によりマッシブな部材に設けることができ、これによりウオーター・チャンバーの製作コストを引き下げることができる。各冷却パイプには残りの冷却パイプとは別個にキャビティが設けられているので、各冷却パイプは冷却媒体により制御されるから、冷却媒体を冷却パイプにぐあいよく分配することができる。断面が円形のキャビティは、特に冷却媒体の接線状の供給と関連して回転する冷却媒体の流動を発生するが、これは底部をぐあいよく冷却する働きをするとともに、好ましくない粒子の堆積を許容しない。若干残った粒子は、回転流動におけるサイクロンの原理に従ってキャビティの壁体の近傍に保持され、外に向かって延設された穴を通って排出することができる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図解した添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0008】
分解炉では、水素を用いて炭化水素を分解することにより分解ガスが生成される。分解炉は、外側から加熱されるとともに、供給物質が貫流するようにされた分解パイプ2を備えている、800から850°Cの温度で分解パイプ2を出た分解ガスは、分解炉のすぐ上に配置されている分解ガス冷却器3に直接流入する。この分解ガス冷却器においては、分解ガスの分子的な組成は、高圧下で蒸発した水との熱交換のさいの急冷によりこの分解ガス冷却器3の中で安定状態となる。
【0009】
分解ガス冷却器3は、各冷却パイプ4が分解パイプ2に対応して配置されるとともに、分解パイプ2の軸方向に延設されるよう一列に並んで配置された1つまたは複数の冷却パイプ4から構成されている。分解パイプ2と冷却パイプ4の内径は、図示のごとく、通常同じ大きさに寸法ぎめされている。冷却パイプ4は、ガス捕集管路5で開口している。各冷却パイプ4は、リング状のスペースを形成しながら外側のパイプ6により取り囲まれている。外側のパイプ6の両端には、冷却媒体を供給、排出するためのウオーター・チャンバー7とが設けられている。
【0010】
各分解パイプ2の出口側の端部はフオーク状に広げられている。これにより、一方の端部で互いに接続されている分解パイプ2の延在部分を形成している内側のパイプ区画9と外側のパイプ区画10が得られる。外側のパイプ区画10は、下部のウオーター・チャンバー7に溶接されている。分解パイプ2の内側のパイプ区画9は、軸方向に若干の隙間をあけて冷却パイプ4と向かい合っている。内側のパイプ区画9と外側のパイプ区画10との間のスペースは、断熱材料より成る層17で充填されている。
【0011】
ウオーター・チャンバー7と8は、継ぎ目のない線条のマッシブな部材から作られている。この部材には互いに間隔をあけて断面が円形のキャビティ11が加工されており、該キャビティ11の数は冷却パイプ4の数に等しい。外側のパイプ6は分解パイプ2と反対の側でウオター・チャンバーに溶接されている。この場合、溶接箇所では外側のパイプ6の内径はキャビティ11の直径と一致している。キャビティ11は、全体にわたってこの直径に寸法ぎめされてさしつかえない。中間の領域では、キャビティ11は広げられてさしつかえなく、この場合、冷却パイプ4と外側のパイプ6との間のスペースの幅ぶんキャビティ11の直径は外側のパイプ6の内径より大きく寸法ぎめされることになる。
【0012】
キャビティ11は、ウオーター・チャンバー7と8を形成している部材に加工されていて、深さはリング状の底部12にわずかな残余肉厚が残るような深さに設定されている。冷却パイプ4はこの底部に溶接されている。リング状の底部の面は、冷却パイプ4の外径とキャビティ11の直径により限定されている。
【0013】
底部の高さに好適には接線状に穴13がキャビティ11に開口している。この穴13は、接続継手14を介して冷却媒体の供給管路15と接続されている。冷却媒体は穴13を通って高速度でキャビティ11の中に流入して、冷却パイプ4の回りで回転流動を発生する。この流動がキャビティ11の底部12を良好に冷却する働きをしており、これにより有害な局部的な過熱を引き起こすおそれのある底部12での粒子の堆積を阻止している。
【0014】
キャビティ11は、底部12の高さで外に向かって延設されている別の穴16を備えている。キャビティ11の中に所在しているが、分解ガス冷却器3が動作している間、冷却媒体の流動とともに回転する粒子が前記の穴16を通って排出される。この目的のため、別の穴16は管路18と接続されている。この管路18は、図示されていないスラッジ・バルブを備えている。スラッジ・バルブを衝撃を伴って短時間のうちに開放することとにより、冷却媒体をその中に含まれている粒子といしょに取り出すことができる。
【0015】
高圧のもとで冷却媒体として使用され、供給管路15を介して下部ウオーター・チャンバー7のキャビティ11の中に供給された水は、冷却パイプ4と外側のパイプとの間のスペースを通る。そのさい、冷却パイプ4を貫流する分解ガスとの熱交換により水が一部蒸発し、水と飽和蒸気の混合物として上部のウオーター・チャンバー8に流入する。水と飽和蒸気の混合物は、前記のウオーター・チャンバー8から供給管路15が接続された図示されていない水と蒸気の循環サイクルに供給される。
【0016】
上記の管路13と16は、運転が停止している間、該管路を通ってエンドスコープをキャビティ11の中に挿入することができるので、検査用の開口として使用することができる。このエンドスコープを使用することによりキャビティ11の状態を検査することができる。
【0017】
図1には3つの冷却パイプを備えた分解ガス冷却器が示されている。本発明の原理を逸脱することなく、分解ガス冷却器は3つより多くの冷却パイプを備えることができるとともに、冷却パイプを1つだけ備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】分解ガス冷却器の斜視図。
【図2】下部のウオーター・チャンバーの領域において分解ガス冷却器を長さ方向に切断した断面図である。
【図3】図2に示されている分解ガス・チャンバーの平面図である。
【符号の説明】
2 分解パイプ
3 分解ガス冷却器
4 冷却パイプ
5 ガス捕集管
6 外側のパイプ
7 ウオーター・チャンバー
8 ウオーター・チャンバー
9 内側のパイプ区画
10 外側のパイプ区画
11 キャビティ
13 管路
14 接続継手
15 接続管路
16 穴
17 断熱材料の層
18 管路

Claims (5)

  1. すくなくとも1つの外側のパイプ(6)により取り囲まれている冷却パイプ(4)を用いて分解ガスを冷却するために使用される熱交換器であって、冷却パイプ(4)と外側のパイプ(6)の両端が冷却媒体を供給して排出するために溶接されるよう構成された熱交換器において、ウオーター・チャンバー(7、8)がマッシブな線条状の部材から構成されいて、冷却パイプ(4)の個数に応じてたがいに間隔をあけて円形状のキャビティ(11)が設けられていることと、各キャビティ(11)が冷却パイプ(4)を取り囲んでいることと、キャビティ(11)の直径が外側のパイプ(6)の内径と等しいかまたはこれより大きいことと、キャビティ(11)が冷却パイプ(4)のパイプ端の領域で残余の肉厚がわずかな薄いリング状の底部(12)を備えていることとを特徴とする熱交換器。
  2. 各キャビティ(11)に冷却媒体を供給、排出するため、ウオーター・チャンバー(7、8)の側壁を通って延設された穴(13)がキャビティ(11)に開口していることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 穴(13)が接線状にキャビティ(11)に開口していることを特徴とする請求項2記載の熱交換器。
  4. すべての穴(13)が共通の供給管路(15)に接続されていることを特徴とする請求項1より3までのうちのいずれか1項記載の熱交換器。
  5. 各キャビティ(11)から別の穴(16)が延設されていることを特徴とする請求項1より4までのうちのいずれか1項記載の熱交換器。
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