JP3605236B2 - 燃料電池モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料電池モジュールの概略構成を図2に示す。
図2において、21は燃料電池本体であり、その内部が発電セル21cで仕切られ、燃料ガス室21aと酸化ガス室21bとに区分けされている。22aは燃料ガス供給ラインであり、上記燃料電池本体21の燃料ガス室21aに連結され、当該燃料ガス室21a内に水素ガスなどの燃料ガス20aを送給するようになっている。22bは酸化ガス供給ラインであり、上記燃料電池本体21の酸化ガス室21bに連結され、当該酸化ガス室21b内に空気などの酸化ガス20bを送給するようになっている。
【0003】
23aは燃料ガス排出ラインであり、上記燃料電池本体21の燃料ガス室21aに連結され、当該燃料電池本体21の前記発電セル21cで発電に供された上記燃料ガス20aを外部へ排出するようになっている。23bは酸化ガス排出ラインであり、上記燃料電池本体21の酸化ガス室21bに連結され、当該燃料電池本体21の前記発電セル21cで発電に供された上記酸化ガス20bを外部へ排出するようになっている。
【0004】
24aは燃料ガス圧力調節弁であり、上記燃料ガス排出ライン23aに設けられ、当該ライン23aを流通する上記燃料ガス20aを調節することにより、上記燃料電池本体21の前記燃料ガス室21a内の圧力を調節することができるようになっている。24bは酸化ガス圧力調節弁であり、上記酸化ガス排出ライン23bに設けられ、当該ライン23bを流通する上記酸化ガス20bを調節することにより、上記燃料電池本体21の前記酸化ガス室21b内の圧力を調節することができるようになっている。
【0005】
このような燃料電池モジュールでは、燃料ガス供給ライン22aから燃料電池本体21の燃料ガス室21a内に燃料ガス20aを送給して発電セル21cに供給すると共に、酸化ガス供給ライン22bから燃料電池本体21の酸化ガス室21b内に酸化ガス20bを送給して発電セル21cに供給すると、これらガス20a,20bが発電セル21cで電気化学反応を起こし、当該セル21cから電力が得られる。発電に供された燃料ガス20aは、燃料ガス排出ライン23aから外部へ排出され、発電に供された酸化ガス20bは、酸化ガス排出ライン23bから外部へ排出される。
【0006】
このようにして発電を行う際、前記燃料ガス室21a内の燃料ガス20aの圧力と前記酸化ガス室21b内の酸化ガス20bの圧力との差が大きいと、前記発電セル21cが損傷してしまい、発電ができなくなってしまう場合がある。このため、前記各調節弁24a,24bを調節することにより、前記各室21a,21b内の圧力を調節すると共に、当該各室21a,21b間の圧力差を所定の範囲内に保つようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の燃料電池モジュールでは、以下のような問題があった。
(1)燃料電池の起動や停止の際には、前記各室21a,21b間の圧力差を所定範囲内に常に保つように当該各室21a,21b内の圧力を調整しなければならないので、前記各調節弁24a,24bを高精度で操作しなければならず、非常に手間がかかってしまう。
(2)燃料電池の負荷の遮断の際には、燃料ガス20aの排出流量や組成が瞬間的に変化して、前記圧力差が大きくなるため、前記各調節弁24a,24bの調節を迅速的に行わなければならず、対応が非常に困難となっている。
(3)緊急停止の際には、前記圧力差を所定範囲内に保ちながら前記各ガス20a,20bの供給を速やかに停止しなければならないため、前記各調節弁24a,24bの調整が非常に困難となる。
(4)非常時には、前記各ガス20a,20bの供給が停止してしまい、前記圧力差を所定範囲内に保つことができなくなり、燃料電池本体1の発電セル1cが損傷してしまう。
【0008】
このようなことから、本発明は、燃料電池本体の燃料ガス室と酸化ガス室との圧力差を所定範囲内に保ちながら当該室内の圧力を迅速に変化させることが簡単にできる燃料電池モジュールを提供することを目的とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、本発明による燃料電池モジュールは、内部を燃料ガス室と酸化ガス室とに仕切るように発電セルが設けられた燃料電池本体と、前記燃料電池本体の前記燃料ガス室に連結され、当該燃料ガス室に燃料ガスを供給する燃料ガス供給ラインと、前記燃料電池本体の前記酸化ガス室に連結され、当該酸化ガス室に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと、前記燃料電池本体の前記燃料ガス室に連結され、発電に供された前記燃料ガスを外部へ排出する燃料ガス排出ラインと、前記燃料電池本体の前記酸化ガス室に連結され、発電に供された前記酸化ガスを外部へ排出する酸化ガス排出ラインとを備えてなる燃料電池モジュールにおいて、不活性ガスを送給する不活性ガス送給ラインに不活性ガス遮断弁を有する不活性ガス送給手段と、前記不活性ガス送給手段に連結され、当該不活性ガス送給手段からの前記不活性ガスが流通して外部に排出される燃料ガス側背圧ラインと、前記不活性ガス送給手段に連結され、当該不活性ガス送給手段からの前記不活性ガスが流通して外部に排出される酸化ガス側背圧ラインと、前記燃料ガス排出ラインと前記燃料ガス側背圧ラインとを連結すると共に当該ライン間を遮断できる燃料ガス側背圧遮断弁を有する燃料ガス側連絡ラインと、前記酸化ガス排出ラインと前記酸化ガス側背圧ラインとを連結すると共に当該ライン間を遮断できる酸化ガス側背圧遮断弁を有する酸化ガス側連絡ラインとを備えたことを特徴とする。
【0010】
上述の燃料電池モジュールにおいては、前記不活性ガス送給手段が、前記不活性ガスを貯蔵する不活性ガスタンクと、前記不活性ガスタンクに連結し、当該タンクから前記不活性ガスを送給する前記不活性ガスラインと、前記不活性ガス供給ラインに設けられ、当該ラインを流通する前記不活性ガスの圧力を一定の大きさに保持する減圧弁と、前記不活性ガス供給ラインに設けられ、当該ラインの前記不活性ガスの流通を遮断する前記不活性ガス遮断弁とを備え、前記不活性ガスを一定の圧力で送給できることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による燃料電池モジュールの実施の形態を図1を用いて説明する。なお、図1は、その概略構成図である。
【0012】
図1において、1は燃料電池本体であり、その内部が発電セル1cで仕切られ、燃料ガス室1aと酸化ガス室1bとに区分けされている。2aは燃料ガス供給ラインであり、上記燃料電池本体1の燃料ガス室1aに連結され、当該燃料ガス室1a内に水素ガスなどの燃料ガス20aを送給するようになっている。2bは酸化ガス供給ラインであり、上記燃料電池本体1の酸化ガス室1bに連結され、当該酸化ガス室1b内に空気などの酸化ガス20bを送給するようになっている。
【0013】
3aは燃料ガス排出ラインであり、上記燃料電池本体1の燃料ガス室1aに連結され、当該燃料電池本体1の前記発電セル1cで発電に供された上記燃料ガス20aを外部へ排出するようになっている。3bは酸化ガス排出ラインであり、上記燃料電池本体1の酸化ガス室1bに連結され、当該燃料電池本体1の前記発電セル1cで発電に供された上記酸化ガス20bを外部へ排出するようになっている。
【0014】
4aは燃料ガス圧力調節弁であり、上記燃料ガス排出ライン3aに設けられ、当該ライン3aを流通する上記燃料ガス20aを調節することにより、上記燃料電池本体1の前記燃料ガス室1a内の圧力を調節することができるようになっている。4bは酸化ガス圧力調節弁であり、上記酸化ガス排出ライン3bに設けられ、当該ライン3bを流通する上記酸化ガス20bを調節することにより、上記燃料電池本体1の前記酸化ガス室1b内の圧力を調節することができるようになっている。
【0015】
5は不活性ガスタンクであり、窒素ガスなどのような不活性ガス20cを貯蔵することができるようになっている。6は不活性ガス送給ラインであり、上記不活性ガスタンク5に連結し、当該タンク5から不活性ガス20cを送給できるようになっている。7は減圧弁であり、上記不活性ガス送給ライン6に設けられ、当該ライン6を流通する上記不活性ガス20cの圧力を一定の大きさに保持することができるようになっている。8は不活性ガス遮断弁であり、上記不活性ガス送給ライン6に設けられ、当該ライン6の前記不活性ガス20cの流通を遮断することができるようになっている。このような不活性ガスタンク5、不活性ガス送給ライン6、減圧弁7、不活性ガス遮断弁8などにより、本実施の形態では不活性ガス送給手段を構成している。
【0016】
9aは燃料ガス側背圧ラインであり、前記不活性ガス送給ライン6に連結され、前記不活性ガス20cが流通するようになっている。9bは酸化ガス側背圧ラインであり、前記不活性ガス送給ライン6に連結され、前記不活性ガス20cが流通するようになっている。10aは燃料ガス側連絡ラインであり、前記燃料ガス排出ライン3aの前記燃料ガス圧力調節弁4a下流側と上記燃料ガス側背圧ライン9aとを連結している。10bは酸化ガス側連絡ラインであり、前記酸化ガス排出ライン3bの前記酸化ガス圧力調節弁4b下流側と上記酸化ガス側背圧ライン9bとを連結している。
【0017】
11aは燃料ガス側背圧遮断弁であり、上記燃料ガス側連絡ライン10aに設けられ、前記燃料ガス排出ライン3aと前記燃料ガス側背圧ライン9aとの間を遮断することができるようになっている。11bは酸化ガス側背圧遮断弁であり、上記酸化ガス側連絡ライン10bに設けられ、前記酸化ガス排出ライン3bと前記酸化ガス側背圧ライン9bとの間を遮断することができるようになっている。
【0018】
このような燃料電池モジュールの作用を次に説明する。
燃料ガス供給ライン2aから燃料電池本体1の燃料ガス室1a内に燃料ガス20aを送給して発電セル1cに供給すると共に、酸化ガス供給ライン2bから燃料電池本体1の酸化ガス室1b内に酸化ガス20bを送給して発電セル1cに供給すると、これらガス20a,20bが発電セル1cで電気化学反応を起こし、当該セル1cから電力が得られる。発電に供された燃料ガス20aは、燃料ガス排出ライン3aから外部へ排出され、発電に供された酸化ガス20bは、酸化ガス排出ライン3bから外部へ排出される。
【0019】
なお、燃料ガス圧力調節弁4aと酸化ガス圧力調節弁4bとは、燃料ガス室1a内の燃料ガス20aの圧力と酸化ガス室1b内の酸化ガス20bの圧力との差が所定範囲内の大きさとなるように調節されている。
【0020】
このようにして運転している際に、例えば、非常事態が生じて緊急停止をしようとする場合には、前記各遮断弁8,11a,11bを開放すればよい。すなわち、不活性ガス遮断弁8を開放すると、不活性ガスタンク5から不活性ガス送給ライン6を介して前記背圧ライン9a,9bに不活性ガス20cが流通し、燃料ガス側背圧遮断弁11aと酸化ガス側背圧遮断弁11bとを開放すると、燃料ガス排出ライン3aと燃料ガス側背圧ライン9aとが連絡すると共に酸化ガス排出ライン3bと酸化ガス側背圧ライン9bとが連絡することから、燃料ガス排出ライン3aを流通する燃料ガス20aが燃料ガス側連絡ライン10aを介して燃料ガス側背圧ライン9aに急速に引き込まれて外部に排出されると共に酸化ガス排出ライン3bを流通する酸化ガス20bが酸化ガス側連絡ライン10bを介して酸化ガス側背圧ライン9bに急速に引き込まれて外部に排出されるので、燃料電池本体1の燃料ガス室1aと酸化ガス室1bとの内部が急速に減圧するようになる。
【0021】
このようにして減圧するにあたって、不活性ガス20cは、減圧弁7で所定の圧力に調整されてから燃料ガス側背圧ライン9aと酸化ガス側背圧ライン9bとに不活性ガス送給ライン6から均等に分かれるようにして流通するので、これら背圧ライン9a,9bの背圧力は、常に等しい大きさとなる。このため、前記排出ライン3a,3bを流通する前記各ガス20a,20bは、その時の圧力差のまま上記背圧ライン9a,9bに引き込まれるようになるので、燃料電池本体1の前記各室1a,1b内の圧力は、その差を維持しながら急速に減少していくようになる。
【0022】
したがって、燃料電池本体1の燃料ガス室1aと酸化ガス室1bとの圧力差を所定範囲内に保ちながら当該室1a,1b内の圧力を迅速に変化させることが簡単にできるので、運転中に緊急停止するような場合でも、燃料電池本体1の発電セル1cの損傷を防止することができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、緊急停止する場合を例に挙げて説明したが、燃料電池の負荷の遮断の際や非常時や停止の際でも、上述と同様にして操作すればよい。一方、起動の際には、上述した操作と逆の手順を行う、すなわち、前記遮断弁8,11a,11bを開放した状態で、燃料電池本体1の燃料ガス室1aと酸化ガス室1bとの圧力差が所定範囲内となるように前記調節弁4a,4bを調整した後、前記遮断弁8,11a,11bを閉鎖すれば、その圧力差を維持しながら上記各室1a,1b内の圧力を上昇させることができるので、上述した場合と同様な効果を得ることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の燃料電池モジュールによれば、燃料電池本体の燃料ガス室と酸化ガス室との圧力差を所定範囲内に保ちながら当該室内の圧力を迅速に変化させることが簡単にできるので、起動・停止の際や緊急停止の際などでも、燃料電池本体の発電セルの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による燃料電池モジュールの実施の形態の概略構成図である。
【図2】従来の燃料電池モジュールの概略構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池本体
1a 燃料ガス室
1b 酸化ガス室
1c 発電セル
2a 燃料ガス供給ライン
2b 酸化ガス供給ライン
3a 燃料ガス排出ライン
3b 酸化ガス排出ライン
4a 燃料ガス圧力調節弁
4b 酸化ガス圧力調節弁
5 不活性ガスタンク
6 不活性ガス送給ライン
7 減圧弁
8 不活性ガス遮断弁
9a 燃料ガス側背圧ライン
9b 酸化ガス側背圧ライン
10a 燃料ガス側連絡ライン
10b 酸化ガス側連絡ライン
11a 燃料ガス側背圧遮断弁
11b 酸化ガス側背圧遮断弁
20a 燃料ガス
20b 酸化ガス
20c 不活性ガス
Claims (2)
- 内部を燃料ガス室と酸化ガス室とに仕切るように発電セルが設けられた燃料電池本体と、
前記燃料電池本体の前記燃料ガス室に連結され、当該燃料ガス室に燃料ガスを供給する燃料ガス供給ラインと、
前記燃料電池本体の前記酸化ガス室に連結され、当該酸化ガス室に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと、
前記燃料電池本体の前記燃料ガス室に連結され、発電に供された前記燃料ガスを外部へ排出する燃料ガス排出ラインと、
前記燃料電池本体の前記酸化ガス室に連結され、発電に供された前記酸化ガスを外部へ排出する酸化ガス排出ラインと
を備えてなる燃料電池モジュールにおいて、
不活性ガスを送給する不活性ガス送給ラインに不活性ガス遮断弁を有する不活性ガス送給手段と、
前記不活性ガス送給手段に連結され、当該不活性ガス送給手段からの前記不活性ガスが流通して外部に排出される燃料ガス側背圧ラインと、
前記不活性ガス送給手段に連結され、当該不活性ガス送給手段からの前記不活性ガスが流通して外部に排出される酸化ガス側背圧ラインと、
前記燃料ガス排出ラインと前記燃料ガス側背圧ラインとを連結すると共に当該ライン間を遮断できる燃料ガス側背圧遮断弁を有する燃料ガス側連絡ラインと、
前記酸化ガス排出ラインと前記酸化ガス側背圧ラインとを連結すると共に当該ライン間を遮断できる酸化ガス側背圧遮断弁を有する酸化ガス側連絡ラインと
を備えたことを特徴とする燃料電池モジュール。 - 前記不活性ガス送給手段が、
前記不活性ガスを貯蔵する不活性ガスタンクと、
前記不活性ガスタンクに連結し、当該タンクから前記不活性ガスを送給する前記不活性ガスラインと、
前記不活性ガス供給ラインに設けられ、当該ラインを流通する前記不活性ガスの圧力を一定の大きさに保持する減圧弁と、
前記不活性ガス供給ラインに設けられ、当該ラインの前記不活性ガスの流通を遮断する前記不活性ガス遮断弁と
を備え、前記不活性ガスを一定の圧力で送給できることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
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JP26051096A Expired - Lifetime JP3605236B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 燃料電池モジュール |
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