JP3604931B2 - 画像読取装置、シェーディング補正方法及び記憶媒体 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置、シェーディング補正方法及び記憶媒体に係り、更に詳しくは、光源からの光で被写体を照明することで得られる画像情報をCCD等の画像読取センサを用いて読取り、光電変換及び画像処理を行った後に他の記録媒体へと出力するもので、更には、被写体の状態に応じて画像読取モードを変更可能で、具体的にはデジタル式複写機やデジタルスキャナ等に適用する場合に好適な画像読取装置、シェーディング補正方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に画像読取装置は、被写体をランプなどの光源を用いて照射した結果、画像の濃度に応じて得られる画像情報を、CCD等の画像読取センサでスキャンすることにより画像読取を行っている。使用する画像読取センサが、一方向に配列された複数の画素センサから構成されるラインセンサの場合、画素センサの配列方向(以下「主走査方向」と呼ぶ)は、画像読取センサ自身が一定期間内に各画素センサに対して与えられた光量に比例した電荷を画素センサの配列順にアナログ画像信号として出力することで、順次読取を行う。一方、被写体に平行かつ主走査方向に直交する方向(以下「副走査方向」と呼ぶ)の読取に関しては、機械的な動作により被写体と画像読取センサとの相対位置関係を順次変えることで行っている。
【0003】
主走査方向の画像読取動作に同期して、副走査方向への移動を行うことで、被写体全面の画像情報の読取を可能にしている。画像読取センサのアナログ信号出力は、一般に増幅などのアナログ処理の後にデジタル信号に変換され、デジタル的な画像処理を受けた後、画像読取装置から出力される。
【0004】
ところで、被写体を照射するランプの配光は一般に均一でなく、被写体の被照射部分には光量ムラがあり、この部分を読取る画像読取センサの出力にシェーディングとして現れる。また、一般にCCD等の画像読取センサの各画素センサの感度が等しくないため、等光量が入射した場合でも各画素センサの出力は一様にならない。
【0005】
上記二種類の要因による画像読取センサの出力不均一を補正するために従来の画像読取装置では、副走査画像読取範囲内の被写体の影響を受けない位置に設けられた標準白色板をランプで照射し、該標準白色板の被照射部分を画像読取センサで読取った時の出力データを補正データとしてメモリに保持し、画像読取センサのデータを該補正データで補正している。これをシェーディング補正と呼ぶ。
【0006】
また、ランプの配光や、画像読取センサの特性或いは画像信号を処理する部分の特性は、熱的な要因等により時間的に変動する場合がある。この時間的な変動を吸収するために一般的な画像読取装置では、画像読取動作毎にシェーディング補正のデータ取り込みを行っている。
【0007】
図14は一般的な画像読取装置(並びに後述する本発明の第2及び第3の実施の形態で説明する画像読取装置)の電気回路構成を示すブロック図である。図14において、31は画像読取装置の各部を駆動するための同期信号や駆動クロック信号を発生するためのタイミング信号発生部、32は画像読取センサ27の出力を増幅する増幅アンプ、33はアナログ信号処理部であり、増幅アンプ32から出力される画像信号に対してアナログ処理を行う、サンプルホールド回路・黒レベルクランプ回路・可変ゲインアンプ・黒レベルオフセット回路等を含む。34はアナログ信号処理部33から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0008】
35はシェーディング補正制御部である。シェーディング補正制御部35には画像信号記憶部36とシェーディング補正実行部37が接続されており、A/D変換器34から送られてくる画像信号に対して、シェーディング補正制御部35、画像信号記憶部36、シェーディング補正実行部37を用いてシェーディング補正を行う。尚、一般に画像信号記憶部36はRAMであり、シェーディング補正制御部35の制御に従い、画像読取センサ27が本図では不図示の標準白色板を読取った時の画像信号をシェーディング補正データとして記憶し、被写体の画像情報を読取る際にはシェーディング補正制御部35を介してシェーディング補正実行部37に対して出力する。
【0009】
一方、シェーディング補正実行部37は一般にROMもしくはRAMであり、シェーディング補正のためのLUT(Look Up Table)をデータとして保持している。シェーディング補正実行部37は、画像信号記憶部36から送られてくるシェーディング補正データを用いて、A/D変換器34からシェーディング補正制御部35を介して送られてくる画像信号に対してシェーディング補正を実行し、結果をシェーディング補正制御部35に出力する。38は画像処理部であり、シェーディング補正実行部37からシェーディング補正制御部35を介して送られてくるシェーディング補正後の画像信号に対して、エッジ強調や二値化等の画像処理を行い出力する。
【0010】
39は画像読取装置の制御を司る制御部であり、一般にはCPUである。尚、39aから39eはI/Oポートである。40は制御部39の動作プロブラムを保持するプロブラム保持部であり、一般にはROMである。41は各種設定値等を記憶するデータ保持部であり、一般にはRAMである。一般にデータ保持部41は画像読取装置の電源が切られた時にも、内部に書き込まれたデータを消失しないように構成されている。上記各部はバス42を介して直接或いは間接的に接続されている。一般に制御部39はプロブラム保持部40に書き込まれたプロブラムに従って動作し、他の各部は制御部39の指示に従って動作する。
【0011】
一方、43はランプ制御部であり、制御部39のI/Oポート39aに接続されている。ランプ制御部43は制御部39から与えられる指示に応じた電圧で、ランプ21を点灯するように動作する。また、44は副走査方向の読取りを行うための動力を発生する動力源であり、一般にはモータである。動力源44は動力源制御部45に接続されており、また動力源制御部45は制御部39のI/Oポート39bに接続されている。従って、制御部39の指示に従い動力源44が所定の動作を行い、結果的に、ランプ・リフレクタ・第一ミラーを固定した第一ミラー台や第二ミラー・第三ミラーを固定した第二ミラー台(以上図示略)がスキャン動作などを行う。
【0012】
46は画像読取装置の各所に設けられた検知部であり、一般にはフォトインタラプタ等のセンサである。検知部46は制御部39のI/Oポート39cと接続されており、検知部46の出力に応じて制御部39は制御シーケンスのステップを進めたり、切替えを行う。例えば検知部46は第一ミラー台の位置を検出するポジションセンサであり、制御部39は検知部46の出力に応じて動力源44を制御することにより、第一ミラー台を所定の位置に移動するように制御している。制御部39のI/Oポート39dには、操作部17が接続されている。使用者は操作部17から所望の動作を選択し、入力する。この入力信号は制御部39に伝達され、制御部39は画像読取装置が操作部17からの入力に応じた動作をするように、各部の設定や制御を行う。
【0013】
47は外部I/F(インタフェース)部であり、画像処理部38で処理された画像信号は外部I/F部47を介して外部へ出力される。また同様に同期信号等も、外部I/F部47を介して入出力される。更に、外部I/F部47は信号線を介して制御部39のI/Oポート39eに接続されており、制御部39が外部I/F部47に接続された外部機器を制御可能にしているだけでなく、時には外部機器からの指示に従い、画像読取装置が動作することも可能にしている。
【0014】
従来の一例として、上述したシェーディング補正データ取り込みを、画像読取指示が入力された後、画像読取動作(以下「JOB」と呼ぶ)を行う前に実行する「JOB前シェーディング」方式を採用している機種がある。図15はJOB前シェーディングを行う機種の画像読取動作を示すフローチャートである。
【0015】
ステップS1500にて、電源が投入されることでプロブラムがスタートする。ステップS1501では、画像読取装置各部に対して所定の値を設定する初期化ルーチンを実行する。ステップS1502では、初期化ルーチンの一環として、シェーディング補正データの取込を行う。ステップS1502が終了した段階で、画像読取動作の準備が終了し、ステップS1503にて、画像読取指示を待つ待機状態になる。ステップS1503で画像読取指示が入力されると、ステップS1504に進み、再度シェーディング補正データの取込を行う。次にステップS1505にて、画像読取が実行される。ステップS1506で画像読取動作が終了したと判断されるまで、ステップS1505の画像読取動作を継続して行う。ステップS1506で画像読取動作が終了したと判断されると、ステップS1503の待機状態に戻る。
【0016】
一方、電源投入後の初期化ルーチンと、各JOB終了後にシェーディング補正データを取込む「JOB後シェーディング」を行う機種がある。図16はJOB後シェーディングを行う機種の画像読取動作を示すフローチャートである。尚、上記図15と同一要素及び同一ステップには同一符号を付し、説明を省略する。
【0017】
ステップS1502でのシェーディング補正データ取込が終了し、ステップS1503にて画像読取指示が入力されると、ステップS1505に進み、画像読取が実行される。この時は、ステップS1502にて取込んだシェーディング補正データを使用する。ステップS1506にて画像取込動作が終了したと判断されると、ステップS1504に進み、シェーディング補正データの取込を行う。ステップS1504でのシェーディング補正データ取込が終了すると、ステップS1503に戻り、待機状態となる。ここで画像読取指示が入力されると、再びステップS1505に進み、画像読取を行うが、この場合に使用するシェーディング補正データは、前回のステップS1504で取込んだシェーディング補正データを使用する。
【0018】
更に、「特願平9−322030」に記載されているように複数のJOBモードを備え、必要に応じて「JOB前シェーディング」と「JOB後シェーディング」を切替える方法も提案されている。図17乃至図19はJOBモードの変更等の情報から判断してJOB前シェーディングとJOB後シェーディングの切替えを行い画像読取を行う画像読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。尚、上記図15と同一要素及び同一ステップには同一符号を付し、説明を省略する。
【0019】
ステップS1503にて画像読取指示が入力されると、ステップS1508に進み、画像読取モードの変更の有無等の情報からJOB前シェーディングを行う必要があるかどうかを判断する。JOB前シェーディングを行う必要があると判断された場合には、ステップS1504に進み、JOB前シェーディングでの画像読取を行う。一方、JOB前シェーディングの必要なしと判断された場合には、ステップS1505に進み、JOB後シェーディングによる画像読取を行う。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては下記の図20で説明するような問題があった。図20はJOB前シェーディング及びJOB後シェーディングでの画像読取シーケンスとその際のランプ光量の変化との関係を示すグラフである。周知のように、ハロゲンランプは同一電圧にて点灯した際に、点灯直後は明るく、その後徐々に光量が低下して最終的に所定の光量で安定するという特性を持つ。この点灯直後の光量が安定後の光量よりも多いことを、「(ランプ立ち上がり)光量オーバシュート」と呼ぶことにする。
【0021】
画像読取装置では、画像読取動作中に光量が変化すると、画像読取レベルが変化してしまうので、被写体に対する画像読取動作はランプ点灯の後、ランプ光量が安定した状態で行われる。図20の「JOB後シェーディング制御」からも判るように、JOB後シェーディングでは、シェーディング補正データの取込が画像読取動作の後で行われるため、画像読取中は勿論のこと、シェーディング補正データ取込もランプ光量が安定した状態で行われる。従って、シェーディング補正データ取込時と画像読取動作時でランプ光量の変化はない。一方、JOB前シェーディングでは、画像読取を行う前に必ずシェーディング補正データの取込を行う。
【0022】
本来、図20の「JOB前シェーディング制御(A)」で示すように、ランプ光量が安定した後でシェーディング補正データ取込を行い、その後画像読取動作を行うことで、両動作間の光量差を無くすことができる。しかしこの場合、ランプ点灯後光量が安定するまでの間、画像読取動作は勿論、シェーディング補正データの取込も行うことができない。その結果、コピー動作指示が入力されてから、コピー動作が実行され、最終的にコピー画像が完全に出力されるまでの時間(First Copy Time:以下「FCOT」と称す)が悪化してしまう。
【0023】
また、JOB前シェーディングのFCOTを半ば強制的に改善するため、「JOB前シェーディング制御(B)」に示すように光量が十分安定する前にシェーディング補正データの取込を行うようにすると、上述の光量オーバシュートの影響で、シェーディング補正データを取込む際の光量が、被写体の画像読取を行う際の光量よりも高くなる。
【0024】
図20に示した「JOB前シェーディング制御(A)」の場合、シェーディング補正データを取込む際の光量は、画像読取を行う際の光量(=安定期間の光量)のα倍であり、この結果取込まれたシェーディング補正データの値は、光量安定期間内にシェーディング補正データ取込を行うJOB後シェーディングでのシェーディング補正データに対して、α倍の値となる。
【0025】
ここで、シェーディング補正は、
(式1) Dout(n)=Din(n)/W(n)*TAR
Dout:シェーディング補正後の画像データ
Din :シェーディング補正前の画像データ
(n) :画像データの主走査方向順序番号
W :シェーディング補正データ
TAR :シェーディング補正出力目標値
で行われる。(式1)から明かなように、シェーディング補正データ取込時の光量が光量オーバシュートの影響を受けて、シェーディング補正データ:W(n)の値がα倍になると、シェーディング補正量が正規の値よりも低くなるために画像読取レベルが1/α倍となる。
【0026】
従来例で述べた画像読取装置のうち、JOB前シェーディングだけ、或いはJOB後シェーディングだけを行う画像読取装置では、シェーディング補正データ取込を行う際のランプ光量と、実際に画像読取を行う際のランプ光量との関係が一義的に決まるので、事実上問題にはならない。しかし、従来例で述べた画像読取装置のうち、JOB前シェーディングとJOB後シェーディングを切替える画像読取を行う画像読取装置においては、特にJOB前シェーディングでのFCOTを改善しようとした場合、上述の理由からJOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが異なる結果を招いてしまう問題があった。
【0027】
本発明は、上述した点に鑑みなされたものであり、JOB前シェーディング画像読取とJOB後シェーディング画像読取を切替え可能な画像読取装置において、両画像読取動作モードでの画像読取レベルを一致させると共に、JOB前シェーディング画像読取のFCOTを改善することを可能とした画像読取装置、シェーディング補正方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0028】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間に第1のシェーディング補正データ取込を行い、前記第1のシェーディング補正データに基づいて第1のシェーディング補正を行う第1のシェーディング補正手段と、前記ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間を経た後の光量が安定している安定期間で、画像読取の後に第2のシェーディング補正データ取込を行い、前記第2のシェーディング補正データに基づいて第2のシェーディング補正を行う第2のシェーディング補正手段と、前記第1及び前記第2のシェーディング補正データ取込時の前記ランプの所定の光量比を用いて、前記第1及び前記第2のシェーディング補正手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
請求項2の発明は、前記第1のシェーディング補正データを前記所定の光量比を用いて補正して、前記第1のシェーディング補正を行うことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする。
請求項4の発明は、ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間に第1のシェーディング補正データ取込を行い、前記第1のシェーディング補正データに基づいて第1のシェーディング補正を行う第1のシェーディング補正ステップと、前記ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間を経た後の光量が安定している安定期間で、画像読取の後に第2のシェーディング補正データ取込を行い、前記第2のシェーディング補正データに基づいて第2のシェーディング補正を行う第2のシェーディング補正ステップと、前記第1及び前記第2のシェーディング補正データ取込時の前記ランプの所定の光量比を用いて、前記第1及び前記第2のシェーディング補正ステップを制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
請求項5の発明は、前記第1のシェーディング補正データを前記所定の光量比を用いて補正して、前記第1のシェーディング補正を行うことを特徴とする。
請求項6の発明は、前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする。
請求項7の発明は、シェーディング補正方法を実行するプログラムを記憶したコンピュータにより読み出し可能な記憶媒体であって、前記プログラムは、ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間に第1のシェーディング補正データ取込を行い、前記第1のシェーディング補正データに基づいて第1のシェーディング補正を行う第1のシェーディング補正ステップと、前記ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間を経た後の光量が安定している安定期間で、画像読取の後に第2のシェーディング補正データ取込を行い、前記第2のシェーディング補正データに基づいて第2のシェーディング補正を行う第2のシェーディング補正ステップと、前記第1及び前記第2のシェーディング補正データ取込時の前記ランプの所定の光量比を用いて、前記第1及び前記第2のシェーディング補正ステップを制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
請求項8の発明は、前記プログラムは、前記第1のシェーディング補正データを前記所定の光量比を用いて補正して、前記第1のシェーディング補正を行うステップを有することを特徴とする。
請求項9の発明は、前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0050】
[1]第1の実施の形態
図2は本発明の第1の実施の形態並びに後述の第2及び第3の実施の形態に係る画像読取装置及び画像出力装置からなる複写装置の外観を示す斜視図である。本発明の第1乃至第3の実施の形態に係る複写装置は、画像読取装置11、画像出力装置12、プラテンガラス14、第一ミラー台15、圧板16、操作部17、信号ケーブル18を備えている。
【0051】
上記各部の構成を詳述すると、画像読取装置11の部分において、プラテンガラス14は、画像読取対象の被写体13が載置されるものであり、該被写体13を支持する。第一ミラー台15は、プラテンガラス14の下に設けられている。画像読取時には、第一ミラー台15が図中の矢印A方向に往復動作することで、被写体13の画像情報を副走査方向にスキャンする構成になっている。圧板16は、図中の矢印B方向に開閉動作が可能であり、被写体13をプラテンガラス14に圧接すると同時に、画像読取時に外光の影響を遮断するものである。操作部17は、使用者が画像読取装置11に対してモードの設定や画像読取の指示を与えるためのものである。尚、操作部17には、画像読取装置11からの情報を表示する表示手段も含む。画像出力装置12は、画像読取装置11の出力を印字する。画像読取装置11と画像出力装置12とは、信号ケーブル18によって電気的に接続されている。
【0052】
図3は上記図2に示した本発明の第1の実施の形態並びに後述の第2及び第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取系を示す図であり、(A)は画像読取系の平面図、(B)は画像読取系の側面図である。本発明の第1乃至第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取系は、ランプ21、第一ミラー22、第二ミラー23、第三ミラー24、第一ミラー台15、第二ミラー台25、レンズ26、画像読取センサ27、標準白色板28を備えている。
【0053】
上記各部の構成を詳述すると、ランプ21は、同図では不図示の被写体を照射する。画像読取センサ27は、被写体からの反射光に基づき画像読取を行う。第一ミラー22、第二ミラー23、第三ミラー24は、ランプ21によって照射された被写体からの反射光を画像読取センサ27へと導く。第一ミラー台15は、図中の矢印A方向に移動可能に構成されている。第一ミラー22は第一ミラー台15に固定されている。第二ミラー台25は、図中の矢印A方向に移動可能に構成されている。第二ミラー23、第三ミラー24は第二ミラー台25に固定されている。レンズ26は、第一ミラー22、第二ミラー23、第三ミラー24によって導かれた被写体の反射光を画像読取センサ27に結像するためのものである。標準白色板28は、一様に所定の反射率を持つものであり、シェーディング補正に用いられる。
【0054】
画像読取センサ27の読取動作に応じて、不図示のメカ機構の作用により第一ミラー台15と第二ミラー台25が図中の矢印A方向に移動することにより、画像読取センサ27は被写体の画像情報を読取ることができる。この時、被写体と画像読取センサ27との距離が変化しないように、第二ミラー台25は第一ミラー台15の半分の速度で同一方向に移動する。標準白色板28は上記のように所定の一様な反射率を持つように構成されており、動力源で第一ミラー台15及び第二ミラー台25を移動することにより、画像読取センサ27の画像読取位置を標準白色板28に合わせた時、画像読取センサ27からはランプ21による照度ばらつきと各画素センサの感度に応じた電圧が信号として出力される。この時の出力信号を基に、実際に画像読取を行う際の画像読取センサ27の各画素センサ間の出力を補正することで、シェーディングを補正することができる。
【0055】
一方、同図から判るように画像読取動作の間、ランプ21による被写体の照射位置と画像読取センサ27による画像読取位置の相対位置関係は変化しないため、標準白色板28を読取った時の画像読取センサ27の出力を用いて、画像読取動作中のシェーディング補正を行うことができる。
【0056】
図1は上記図2に示した本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の電気回路構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置は、操作部17、ランプ21、画像読取センサ27、タイミング信号発生部31、増幅アンプ32、アナログ信号処理部33、A/D変換器34、シェーディング補正制御部35、画像信号記憶部36、シェーディング補正実行部37A、画像処理部38、制御部39、プログラム保持部40、データ保持部41、バス42、ランプ制御部43、動力源44、動力源制御部45、検知部46、外部I/F部47を備えている。図中48は信号線(制御信号)「SEL_A/B」を示す。
【0057】
上記各部の機能を詳述すると、タイミング信号発生部31は、画像処理部の各部を駆動するための同期信号や駆動クロック信号を発生する。増幅アンプ32は、画像読取センサ27の出力を増幅する。アナログ信号処理部33は、増幅アンプ32から出力される画像信号に対してアナログ処理を行うものであり、サンプルホールド回路・黒レベルクランプ回路・可変ゲインアンプ・黒レベルオフセット回路等を含む。A/D変換器34は、アナログ信号処理部33から出力されるアナログ画像信号をデジタル信号に変換する。
【0058】
シェーディング補正制御部35には、画像信号記憶部36とシェーディング補正実行部37Aが接続されている。シェーディング補正制御部35は、制御部39の制御に基づき、JOB前シェーディング実行時のシェーディング補正データ取込みをランプ21の点灯後でランプ光量安定期間に達するまでの間に実行する。シェーディング補正実行部37Aは、シェーディング補正制御部35の制御に基づき、A/D変換器34から送られてくる画像信号に対してシェーディング補正を行う。尚、一般に画像信号記憶部36はRAMであり、シェーディング補正制御部35の制御に従い、画像読取センサ27が本図では不図示の標準白色板28(上記図3)を読取った時の画像信号をシェーディング補正データとして記憶し、被写体の画像情報を読取る際にはシェーディング補正制御部35を介してシェーディング補正実行部37Aに対して出力する。
【0059】
一方、シェーディング補正実行部37Aは、一般にROMもしくはRAMであり、シェーディング補正のためのLUT(Look Up Table)をデータとして保持している。シェーディング補正実行部37Aは、画像信号記憶部36から送られてくるシェーディング補正データを用いて、A/D変換器34からシェーディング補正制御部35を介して送られてくる画像信号に対してシェーディング補正を実行し、結果をシェーディング補正制御部35に出力する。シェーディング補正実行部37Aとシェーディング補正制御部35との間は、画像情報などのデータを受け渡しするためのバスの他に、シェーディング補正実行部37A内部のLUT領域を切替えるための信号線(制御信号)「SEL_A/B」48で接続されている。画像処理部38は、シェーディング補正実行部37Aからシェーディング補正制御部35を介して送られてくるシェーディング補正後の画像信号に対して、エッジ強調や二値化等の画像処理を行い出力する。
【0060】
制御部39は、画像読取装置11(上記図2)の制御を司るものであり、一般にはCPUである。制御部39は、プログラムに基づき図5乃至図7のフローチャートに示す処理を実行する。尚、39aから39eはI/Oポートである。プログラム保持部40は、制御部39の動作プロブラムを保持するものであり、一般にはROMである。データ保持部41は、各種設定値等を記憶するものであり、一般にはRAMである。一般にデータ保持部41は画像読取装置11の電源が切られた時にも、内部に書き込まれたデータを消失しないように構成されている。上記各部はバス42を介して直接或いは間接的に接続されている。一般に制御部39はプロブラム保持部40に書き込まれたプロブラムに従って動作し、他の各部は制御部39の指示に従って動作する。
【0061】
一方、ランプ制御部43は、制御部39のI/Oポート39aに接続されている。ランプ制御部43は、制御部39から与えられる指示に応じた電圧で、ランプ21を点灯するように動作する。また、動力源44は、第一ミラー台15や第二ミラー台25(上記図3)を動かすための動力を発生するものであり、一般にはモータである。動力源44は動力源制御部45に接続されており、また動力源制御部45は制御部39のI/Oポート39bに接続されている。従って、制御部39の指示に従い動力源44が所定の動作を行い、結果的に第一ミラー台15や第二ミラー台25(上記図3)がスキャン動作などを行う。
【0062】
検知部46は、画像読取装置11の各所に設けられており、一般にはフォトインタラプタ等のセンサである。検知部46は、制御部39のI/Oポート39cと接続されており、検知部46の出力に応じて制御部39は制御シーケンスのステップを進めたり、切替えを行う。例えば検知部46は第一ミラー台15の位置を検出するポジションセンサであり、制御部39は検知部46の出力に応じて動力源44を制御することにより、第一ミラー台15を所定の位置に移動するように制御している。制御部39のI/Oポート39dには、操作部17が接続されている。使用者は操作部17から所望の動作を選択し、入力する。この入力信号は制御部39に伝達され、制御部39は画像読取装置11が操作部17からの入力に応じた動作をするように、各部の設定や制御を行う。
【0063】
画像処理部38で処理された画像信号は、外部I/F部47を介して外部へ出力される。また同様に同期信号等も、外部I/F部47を介して入出力される。更に、外部I/F部47は信号線を介して制御部39のI/Oポート139eに接続されており、制御部39が外部I/F部47に接続された外部機器を制御可能にしているだけでなく、時には外部機器からの指示に従い、画像読取装置11が動作することも可能にしている。
【0064】
本発明の第1の実施の形態では、JOB前シェーディングでのシェーディング補正データ取込時の光量オーバシュートの影響による画像読取レベルの誤差を、シェーディング補正と同時に補正する構成及び方法について説明する。
【0065】
図4は本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置のシェーディング補正実行部37Aの内部構成を示す説明図である。本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置で用いるシェーディング補正実行部37Aは、図4に示すように、補正量の異なる2種類のLUTを領域として保持し、外部からの制御信号(SEL_A/B)48によって使用する領域を切替えるように構成されている。
【0066】
2つの領域を「領域A」「領域B」として、「領域A」にはJOB後シェーディングに対応するLUTを書き込んでおき、一方「領域B」にはJOB前シェーディングに対応するLUTを書き込んでおく。上述のようにJOB前シェーディングでは光量オーバシュートの影響によって、JOB後シェーディングに対して画像読取レベルが低下するので、「領域B」のLUTを、「領域A」のLUTによるシェーディング補正量よりも所定のレベルαだけ多くシェーディング補正を行うデータにしておく。
【0067】
上記シェーディング補正実行部37Aの制御信号(信号線)48はシェーディング補正制御部35に接続されている。制御部39はシェーディング補正制御部35に対して、JOB後シェーディングを実行するときには、シェーディング補正実行部37Aの「領域A」を選択するように指示を出し、JOB前シェーディングを実行するときには、シェーディング補正実行部37Aの「領域B」を選択するように指示を出す。シェーディング補正制御部35は、該指示に従ってシェーディング補正実行部37Aの使用する領域を切替える。
【0068】
尚、特許請求の範囲における各構成要件と、本発明の第1の実施の形態並びに後述の第2及び第3の実施の形態に係る画像読取装置における各部との対応関係は下記の通りである。特許請求の範囲における制御手段は制御部39及びシェーディング補正制御部35に対応し、第1のシェーディング補正手段、第2のシェーディング補正手段はシェーディング補正制御部35に対応し、第2のシェーディング補正はJOB後シェーディングに対応し、第1のシェーディング補正はJOB前シェーディングに対応する。
【0069】
次に、上記の如く構成された本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の動作を説明する。図5乃至図7は本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。尚、図5乃至図7のステップS500〜ステップS508は上記図17乃至図19のステップS1500〜ステップS1508と対応しており、ステップS509A、ステップS509Bが本発明の第1の実施の形態に特有の処理である。
【0070】
ステップS500では、電源が投入されることでプロブラムがスタートする。ステップS501では、画像読取装置各部に対して所定の値を設定する初期化ルーチンを実行する。ステップS502では、初期化ルーチンの一環として、シェーディング補正データの取込を行う。ステップS502が終了した段階で、画像読取動作の準備が終了し、ステップS503では、画像読取指示を待つ待機状態になる。ステップS503で画像読取指示が入力されると、ステップS508に進む。
【0071】
ステップS508では、画像読取モードに変更があるか否かを判定する。ステップS508で画像読取モードに変更なしと判断されると、JOB後シェーディングが実行される。この場合、ステップS509Aに進み、シェーディング補正実行部37Aの使用する領域をJOB後シェーディングに対応したLUTが保持されている「領域A」に切替える。この場合、ステップS505の画像読取動作でのシェーディング補正は、
D(out)=D(in)/W*Tar
に従い行われる。尚、上記式の各要素の内容は上述した如く下記の通りである。
【0072】
Dout:シェーディング補正後の画像データ
Din :シェーディング補正前の画像データ
(n) :画像データの主走査方向順序番号
W :シェーディング補正データ
Tar :シェーディング補正出力目標値
一方、ステップS508で画像読取モードに変更あり等の情報からJOB前シェーディングの必要ありと判断されると、ステップS509Bに進み、JOB前シェーディングが実行される。この場合、ステップS509Bにて、シェーディング補正実行部37Aの使用する領域をJOB前シェーディングに対応したLUTを保持している「領域B」に切替える。次に、ステップS504で、シェーディング補正データの取込が行われる。この場合、ステップS505の画像読取動作でのシェーディング補正は、
D(out)=D(in)/W*Tar*α
に従い行われる。
【0073】
この結果、JOB前シェーディングの場合の画像読取動作(ステップS505)での画像データは、シェーディング補正が実行された上で、シェーディング補正データ取込時の光量に対する画像読取時の光量低下分が補正されて出力される。
【0074】
上記のような画像読取シーケンスを組むことによってステップS505で行われる画像読取動作では、JOB前シェーディング、JOB後シェーディングに適したシェーディング補正量を得ることができるので、JOB前シェーディングで発生する画像読取レベルの低下を補正することができる。
【0075】
尚、本発明の第1の実施の形態では、シェーディング補正実行部37Aの内部に予めJOB後シェーディングとJOB前シェーディングのそれぞれに対応したLUTを持つ領域を設け、切替えて使用する構成及び方法で説明したが、シェーディング補正実行部37Aが書換可能な素子、例えばRAM等で構成されている場合は、シェーディング補正制御部35或いは制御部39が、JOB前シェーディングとJOB後シェーディングに応じて、シェーディング補正実行部37A内部のLUTを書き直すことでも対応可能であることは言うまでもない。
【0076】
更に、この場合には、シェーディング補正実行部37A内部のLUTを切替える必要がないため、切替信号(制御信号)「SEL_A/B」48は不要であり、シェーディング補正実行部37A自身も従来例で用いた切替領域を持たないシェーディング補正実行部37で構成できる。この構成は上述した図14であり、即ち、従来例の構成のままでもソフト的な変更を行うことで、本発明の第1の実施の形態が実現可能なことを示している。
【0077】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置によれば、JOB前シェーディング、JOB後シェーディングに使用するLUT(領域A、領域B)を格納したシェーディング補正実行部37Aと、画像読取モードに変更ありと判断した場合はシェーディング補正実行部37Aの領域Bに基づきJOB前シェーディングを実行し、画像読取モードに変更なしと判断した場合はシェーディング補正実行部37Aの領域Aに基づきJOB後シェーディングを実行し、また、JOB前シェーディングの実行時のシェーディング補正データ取込みをランプ21の点灯後で光量安定期間に達するまでの間に実行するようにシェーディング補正制御部35を制御する制御部39とを有するため、下記のような作用及び効果を奏する。
【0078】
上記構成において、画像読取装置の制御部39はシェーディング補正制御部35を制御し、画像読取動作を行う前にJOB前シェーディングを行うか、JOB後シェーディングを行うかを検知・認識することにより、JOB前シェーディング実行時には、シェーディング補正データ取込時と画像読取時のランプ光量変化を考慮して補正を行うことによって、従来例のJOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが異なるという課題を解決できる。従って、JOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが等しく、且つFCOT値が改善される。
【0079】
即ち、本発明の第1の実施の形態においては、シェーディング補正データ取込を画像読取動作前に実行するJOB前シェーディング画像読取と、シェーディング補正データ取込を画像読取動作終了後に実行するJOB後シェーディング画像読取を切替えて使用する画像読取装置において、両画像読取動作モードでの画像読取レベルを一致させることができるという効果がある。また、ランプ光量が十分に安定する前でもシェーディング補正データの取込を行うことができるので、JOB前シェーディングでの画像読取動作に必要な時間の短縮が可能となり、JOB前シェーディング画像読取のFCOTを改善することができるという効果がある。
【0080】
[2]第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置は、操作部17、ランプ21、画像読取センサ27、タイミング信号発生部31、増幅アンプ32、アナログ信号処理部33、A/D変換器34、シェーディング補正制御部35、画像信号記憶部36、シェーディング補正実行部37、画像処理部38、制御部39、プログラム保持部40、データ保持部41、バス42、ランプ制御部43、動力源44、動力源制御部45、検知部46、外部I/F部47を備えている(上記図14参照)。本発明の第2の実施の形態では、制御部39はプログラムに基づき図8乃至図10のフローチャートに示す処理を実行する。
【0081】
本発明の第2の実施の形態では、JOB前シェーディングを行う際には、取込んだシェーディング補正データに対して、シェーディング補正データ取込時の光量に対する画像読取時の光量低下分の補正処理を加えることによって、JOB前シェーディングでの読取レベルをJOB後シェーディングでの読取レベルと一致させる方法について説明する。
【0082】
次に、上記の如く構成された本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の動作を説明する。図8乃至図10は本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。尚、上記第1の実施の形態の図5乃至図7と同一要素及び同一ステップには同一符号を付し、説明を簡略化または省略する。
【0083】
ステップS508でJOB前シェーディングと判断された場合は、ステップS504に進み、シェーディング補正データ取込を行う。次に、ステップS509において、取込んだシェーディング補正データに対して、上述した光量オーバシュートによる影響を補正する処理を行う。制御部39はバス42とシェーディング補正制御部35を介して画像信号記憶部36から、ステップS504で取込んだシェーディング補正データ:W(n)を読み出す。制御部39は所定の補正係数:αを用いて、読み出したシェーディング補正データ:W(n)を1/α倍にする演算を行う。この演算は、読み出した全てのシェーディング補正データ:W(n)に対して順次行う。制御部39は、演算の結果得られる補正されたシェーディング補正データを画像信号記憶部36に書き込む。
【0084】
次に、ステップS505では、補正されたシェーディング補正データを用いて、画像読取を行う。上記演算により、シェーディング補正データ自体に補正を加えることで、JOB前シェーディングにおけるシェーディング補正データ取込時(ステップS504)の光量オーバシュートの影響を修正することができるため、ステップS505での画像読取動作で得られる画像データのレベルは、JOB後シェーディングで得られる画像読取レベルと等しくなる。
【0085】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置によれば、JOB前シェーディング、JOB後シェーディングに使用するLUT(領域A、領域B)を格納したシェーディング補正実行部37と、画像読取モードに変更ありと判断した場合はシェーディング補正実行部37の領域Bに基づきJOB前シェーディングを実行し、画像読取モードに変更なしと判断した場合はシェーディング補正実行部37の領域Aに基づきJOB後シェーディングを実行し、また、JOB前シェーディングの実行時は取込んだシェーディング補正データに対し、シェーディング補正データ取込時の光量に対する画像読取時の光量低下分の補正を加えるようにシェーディング補正制御部35を制御する制御部39とを有するため、下記のような作用及び効果を奏する。
【0086】
上記構成において、画像読取装置の制御部39はシェーディング補正制御部35を制御し、画像読取動作を行う前にJOB前シェーディングを行うか、JOB後シェーディングを行うかを検知・認識することにより、JOB前シェーディング実行時には、シェーディング補正データ取込時と画像読取時のランプ光量変化を考慮して補正を行うことによって、従来例のJOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが異なるという課題を解決できる。従って、JOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが等しく、且つFCOT値が改善される。
【0087】
即ち、本発明の第2の実施の形態においては、シェーディング補正データ取込を画像読取動作前に実行するJOB前シェーディング画像読取と、シェーディング補正データ取込を画像読取動作終了後に実行するJOB後シェーディング画像読取を切替えて使用する画像読取装置において、両画像読取動作モードでの画像読取レベルを一致させることができるという効果がある。また、ランプ光量が十分に安定する前でもシェーディング補正データの取込を行うことができるので、JOB前シェーディングでの画像読取動作に必要な時間の短縮が可能となり、JOB前シェーディング画像読取のFCOTを改善することができるという効果がある。
【0088】
[3]第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置は、操作部17、ランプ21、画像読取センサ27、タイミング信号発生部31、増幅アンプ32、アナログ信号処理部33、A/D変換器34、シェーディング補正制御部35、画像信号記憶部36、シェーディング補正実行部37、画像処理部38、制御部39、プログラム保持部40、データ保持部41、バス42、ランプ制御部43、動力源44、動力源制御部45、検知部46、外部I/F部47を備えている(上記図14参照)。本発明の第3の実施の形態では、制御部39はプログラムに基づき図11乃至図13のフローチャートに示す処理を実行する。
【0089】
本発明の第3の実施の形態では、画像読取センサ27からのアナログ画像読取に対してアナログ画像処理を行うアナログ信号処理部33内に設けられた可変ゲインアンプ(不図示)を用いて、JOB前シェーディングにおける画像読取レベルの低下を補正する方法について説明する。
【0090】
上記図14で示されるように、アナログ信号処理部33はバス42を介して制御部39と接続されている。制御部39はアナログ信号処理部33に対して指示を送ることで、該アナログ信号処理部33内部の設定を変更することができる。従って、制御部39からの指示に従い、アナログ信号処理部33の内部に設けられた可変ゲインアンプは、その増幅率を変えるようになっている。よって、JOB前シェーディングのシェーディング補正データ取込みの際に、該可変ゲインアンプの増幅率を所定量下げることにより、光量オーバシュートによるシェーディング補正データのずれを補正することができる。
【0091】
次に、上記の如く構成された本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の動作を説明する。図11乃至図13は本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。尚、上記第1の実施の形態の図5乃至図7と同一要素及び同一ステップには同一符号を付し、説明を簡略化または省略する。
【0092】
ステップS508において、「画像読取モードの変更あり」等の情報から、JOB前シェーディングを行う必要があると判断されると、JOB前シェーディングを実行するため、ステップS510へ進む。ステップS510では、JOB前シェーディングのシェーディングデータ取込時のランプ光量オーバシュートによる影響を排除するため、アナログ信号処理部33内の可変ゲインアンプのゲインを(G′=G/α)となるように変更する。ステップS510での処理により、次のステップS504で取込まれるシェーディング補正データは、ランプ光量安定状態で取込みを行うJOB後シェーディングでのシェーディング補正データと同レベルになる。
【0093】
次に、ステップS511にて、アナログ信号処理部33内の可変ゲインアンプのゲインを当初の値:G(=G′*α)に戻すので、ステップS505での画像読取は当初のゲイン設定値で行われ、またその際に使用されるシェーディング補正データも光量オーバシュートによる影響が排除されているので、JOB後シェーディング動作にて読取られた画像読取レベルと一致する。
【0094】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置によれば、JOB前シェーディング、JOB後シェーディングに使用するLUT(領域A、領域B)を格納したシェーディング補正実行部37と、画像読取モードに変更ありと判断した場合はシェーディング補正実行部37の領域Bに基づきJOB前シェーディングを実行し、画像読取モードに変更なしと判断した場合はシェーディング補正実行部37の領域Aに基づきJOB後シェーディングを実行し、また、JOB前シェーディングの実行時はシェーディング補正データ取込みの際にアナログ信号処理部33内部の可変ゲインアンプの増幅率を所定量下げることで画像データに補正を加えるようにシェーディング補正制御部35を制御する制御部39とを有するため、下記のような作用及び効果を奏する。
【0095】
上記構成において、画像読取装置の制御部39はシェーディング補正制御部35を制御し、画像読取動作を行う前にJOB前シェーディングを行うか、JOB後シェーディングを行うかを検知・認識することにより、JOB前シェーディング実行時には、シェーディング補正データ取込時と画像読取時のランプ光量変化を考慮して補正を行うことによって、従来例のJOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが異なるという課題を解決できる。従って、JOB前シェーディングでの画像読取レベルとJOB後シェーディングでの画像読取レベルが等しく、且つFCOT値が改善される。
【0096】
即ち、本発明の第3の実施の形態においては、シェーディング補正データ取込を画像読取動作前に実行するJOB前シェーディング画像読取と、シェーディング補正データ取込を画像読取動作終了後に実行するJOB後シェーディング画像読取を切替えて使用する画像読取装置において、両画像読取動作モードでの画像読取レベルを一致させることができるという効果がある。また、ランプ光量が十分に安定する前でもシェーディング補正データの取込を行うことができるので、JOB前シェーディングでの画像読取動作に必要な時間の短縮が可能となり、JOB前シェーディング画像読取のFCOTを改善することができるという効果がある。
【0097】
上述した本発明の第1乃至第3の実施の形態においては、JOB前シェーディング実行時とJOB後シェーディング実行時の画像読取レベルを一致させるために、原因がJOB前シェーディングにおけるシェーディング補正データ取込時の光量オーバシュートにあるため、JOB前シェーディングに対して補正を加えるように記載したが、同様の補正をJOB後シェーディング実行時に行うことでも当初の目的を達成できることは言うまでもない。
【0098】
尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0099】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0100】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0101】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
更に、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0103】
以上説明したように、本発明によれば、所定の光量比に基づいて、光量が変化している過渡期間にシェーディング補正データを取込んだ場合でも、光量が安定した後の画像読取後にシェーディング補正データを取込んだ場合でも、ばらつきの無いシェーディング補正を行うことができる。このために、ランプ点灯直後の光量が安定する前にシェーディング補正データを取得することができ、FCOTの短縮ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1乃至第3の実施の形態に係る画像読取装置及び画像出力装置からなる複写装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1乃至第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取系を示す図であり、(A)は画像読取系の平面図、(B)は画像読取系の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置のシェーディング補正実行部の内部構成を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の画像読取シーケンスを示すフローチャートである。
【図14】一般的な画像読取装置並びに第2及び第3の実施の形態に係る画像読取装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図15】従来例に係る画像読取装置の画像読取シーケンス(JOB前シェーディング)を示すフローチャートである。
【図16】従来例に係る画像読取装置の画像読取シーケンス(JOB後シェーディング)を示すフローチャートである。
【図17】従来例に係る画像読取装置の画像読取シーケンス(JOB前・後シェーディング切替)を示すフローチャートである。
【図18】従来例に係る画像読取装置の画像読取シーケンス(JOB前・後シェーディング切替)を示すフローチャートである。
【図19】従来例に係る画像読取装置の画像読取シーケンス(JOB前・後シェーディング切替)を示すフローチャートである。
【図20】ランプ光量の時間的推移と画像読取シーケンスの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
21 ランプ
27 画像読取センサ
33 アナログ信号処理部
35 シェーディング補正制御部
37A、37 シェーディング補正実行部
39 制御部
Claims (9)
- ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間に第1のシェーディング補正データ取込を行い、前記第1のシェーディング補正データに基づいて第1のシェーディング補正を行う第1のシェーディング補正手段と、
前記ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間を経た後の光量が安定している安定期間で、画像読取の後に第2のシェーディング補正データ取込を行い、前記第2のシェーディング補正データに基づいて第2のシェーディング補正を行う第2のシェーディング補正手段と、
前記第1及び前記第2のシェーディング補正データ取込時の前記ランプの所定の光量比を用いて、前記第1及び前記第2のシェーディング補正手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像読取装置。 - 前記第1のシェーディング補正データを前記所定の光量比を用いて補正して、前記第1のシェーディング補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
- 前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
- ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間に第1のシェーディング補正データ取込を行い、前記第1のシェーディング補正データに基づいて第1のシェーディング補正を行う第1のシェーディング補正ステップと、
前記ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間を経た後の光量が安定している安定期間で、画像読取の後に第2のシェーディング補正データ取込を行い、前記第2のシェーディング補正データに基づいて第2のシェーディング補正を行う第2のシェーディング補正ステップと、
前記第1及び前記第2のシェーディング補正データ取込時の前記ランプの所定の光量比を用いて、前記第1及び前記第2のシェーディング補正ステップを制御する制御ステップとを有することを特徴とするシェーディング補正方法。 - 前記第1のシェーディング補正データを前記所定の光量比を用いて補正して、前記第1のシェーディング補正を行うことを特徴とする請求項4に記載のシェーディング補正方法。
- 前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする請求項4に記載のシェーディング補正方法。
- シェーディング補正方法を実行するプログラムを記憶したコンピュータにより読み出し可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、
ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間に第1のシェーディング補正データ取込を行い、前記第1のシェーディング補正データに基づいて第1のシェーディング補正を行う第1のシェーディング補正ステップと、
前記ランプ点灯直後の光量が変化している過渡期間を経た後の光量が安定している安定期間で、画像読取の後に第2のシェーディング補正データ取込を行い、前記第2のシェーディング補正データに基づいて第2のシェーディング補正を行う第2のシェーディング補正ステップと、
前記第1及び前記第2のシェーディング補正データ取込時の前記ランプの所定の光量比を用いて、前記第1及び前記第2のシェーディング補正ステップを制御する制御ステップとを有することを特徴とする記憶媒体。 - 前記プログラムは、前記第1のシェーディング補正データを前記所定の光量比を用いて補正して、前記第1のシェーディング補正を行うステップを有することを特徴とする請求項7に記載の記憶媒体。
- 前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする請求項7に記載の記憶媒体。
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