JP3604833B2 - 感光材料処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の露光されたハロゲン化銀感光材料と、このハロゲン化銀感光材料と重ね合わせて加熱することによってハロゲン化銀感光材料上の画像を現像する処理シートとを用いてハロゲン化銀感光材料に画像を現像する感光材料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、新聞、雑誌等の印刷に用いられるリスフィルム(感光材料)は、写真フィルムと同様に現像、定着処理(湿式処理)等を行って画像を形成しており、現像のプロセスが煩雑であった。
【0003】
また、処理液等の薬剤を含む液体を使用するため、その管理が面倒であり、装置の汚れ等によって装置の劣化が早まる原因にもなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実に鑑み成されたものであり、現像のプロセスが簡単であり、且つメンテナンス性を向上することができ、さらに感光材料上に画像を現像するために用いられる処理シートを効率よく使用することができる感光材料処理装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の感光材料処理装置は、ハロゲン化銀感光材料上に露光された画像を熱現像するための薬剤を含むロール状の処理シートを巻き出すと共に、巻き出した前記処理シートを巻き戻す巻出巻戻手段と、前記巻出巻戻手段によって巻き出された前記処理シート及び前記ハロゲン化銀感光材料の少なくとも一方に画像形成用溶媒を塗布する塗布手段と、前記ハロゲン化銀感光材料と前記処理シートとを重ね合わせて熱現像する熱現像手段と、熱現像された前記ハロゲン化銀感光材料と前記処理シートとを分離する分離手段と、前記巻出巻戻手段によって巻き出されかつ一連の熱現像が全て終了した後の前記処理シート上に未使用領域が存在する場合に、該未使用領域が次に現像されるハロゲン化銀感光材料と重ね合わせ可能になるように、前記処理シートを巻き戻す制御を行う巻戻制御手段と、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の感光材料処理装置によれば、巻出巻戻手段によって巻き出された処理シート及び画像が露光されたハロゲン化銀感光材料の少なくとも一方に対し塗布手段により画像形成用溶媒が塗布される。
【0007】
その後、ハロゲン化銀感光材料と処理シートが重ね合わされ熱現像手段で熱現像される。ここで、処理シートには、ハロゲン化銀感光材料上に露光された画像を現像するための薬剤が含まれているので、重ね合わせたハロゲン化銀感光材料及び処理シートが加熱されることにより、ハロゲン化銀感光材料が現像され露光した画像が形成される。
【0008】
熱現像が終了すると、ハロゲン化銀感光材料と処理シートとが分離手段で分離される。その後熱現像に使用された処理シートは、巻戻制御手段及び巻出巻戻手段によって、一連の熱現像が全て終了した後の処理シート上に未使用領域が存在する場合のみ、該未使用領域が次に現像されるハロゲン化銀感光材料と重ね合わせ可能になるように巻き戻される。
【0009】
このように、本発明の感光材料処理装置によれば、画像が露光されたハロゲン化銀感光材料に対し、従来のように煩雑な現像、定着処理を行うことなく、簡易な方法で画像を形成することができる。また、処理液等の薬剤を含む液体を使用しないため、そのような液体の保管・補充管理や装置の清掃等に煩わされることがなくなり、画像形成に係る装置のメンテナンス性を向上することができる。さらに、熱現像の際に巻き出された処理シートは一連の熱現像が全て終了した後に巻き戻して使用することが可能であるので、熱現象処理に伴って発生する処理シートの未使用領域を少なくすることが可能となり、処理シートを効率的に使用することができる。
また、連続して熱現像を行う際の各加熱処理間には、処理シートの巻き戻しは行われない。従って、処理シートの巻き戻しに費やされる処理時間の増加を抑制することが可能となる。
【0010】
なお、本発明のハロゲン化銀感光材料は、支持体上に少なくとも塩化銀含有率70モル%以上の感光性ハロゲン化銀乳剤、親水性バインダー、水に難溶性の塩基性金属化合物を含有するものが好ましい。
【0011】
また、処理シートは、前記塩基性金属化合物を構成する金属イオンに対する錯形成化合物、物理現像核及びハロゲン化銀溶剤を含む薬剤を含有するものが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。
【0017】
図1にはこの感光材料処理装置10の内部構造が示されている。
図1に示すように、感光材料処理装置10の本体12は箱状に形成されている。なお、感光材料処理装置10の右側(矢印R方向側)には、フィルムFに画像を露光して排出する露光装置11が配設されている。
【0018】
本体12の右側面には未現像のフィルムFを挿入するスリット状の挿入口14が設けられ、上部には現像されたフィルムFが排出される排出口16が設けられている。なお、本体12の上部には、排出口16から本体12の外部へ排出されたフィルムFを受け取るトレイ18が形成されている。
【0019】
本実施形態の感光材料処理装置10は、例えば、新聞、雑誌等の印刷に用いる2値画像を形成するフィルムF(例えば、B5〜A0サイズ)の現像を行うものである。本実施形態におけるフィルムFは、本発明のハロゲン化銀感光材料に相当し、支持体上に少なくとも塩化銀含有率70モル%以上の感光性ハロゲン化銀乳剤、親水性バインダー、水に難溶性の塩基性金属化合物を含有している。
【0020】
本体12の矢印L方向側の左側面には、図示しない扉が設けられており、開閉することにより内部を露出できる。
【0021】
本体12の内部右側には、挿入口14から挿入されたフィルムFを一旦待機させることのできる挿入バッファ部24が設けられている。
【0022】
挿入バッファ部24には、搬送ローラ26、分岐ガイド28、搬送ローラ30が順に配置されている。搬送ローラ26はモータ32によってフィルムFの挿入速度に合わせた速度で回転され、搬送ローラ30はモータ34によって感光材料処理装置10の処理速度に合わせた速度で回転される。但し、搬送ローラ30の回転速度は、搬送ローラ26の回転速度に比べて遅い。
【0023】
また、分岐ガイド28は、ソレノイド36によって図1の実線で示す水平状態と、想像線で示す垂直状態とに切り換えられ、垂直状態に切り換えられた場合には、搬送ローラ30の回転速度が搬送ローラ26の回転速度に比べて遅いので、想像線で示すように搬送ローラ26と搬送ローラ30との間にフィルムFを弛ませることができる。
【0024】
なお、挿入口14と搬送ローラ26との間には、フィルムFの先端通過を検出する挿入センサ38が設けられている。
【0025】
この挿入バッファ部24により、感光材料処理装置10の処理速度(例えば、30mm/sec)と露光装置11の処理速度(例えば、100mm/sec)との速度差を吸収することができる。
【0026】
搬送ローラ30よりもフィルムFの搬送方向下流側には、感材搬入部40及び画像形成用溶媒として水が適用され、その塗布手段としての水塗布部42が設置されている。この際の水は、いわゆる純水に限らず、広く一般的に使用されている意味での水を含む。また、水とメタノール、DMF、アセトン、ジイソブチルケトン等の低沸点溶媒との混合溶媒でもよい。更に、画像形成促進剤、カブリ防止剤、現像停止剤、親水性熱溶剤、防腐剤、防カビ剤等を含有させた溶液でもよい。
【0027】
感材搬入部40には、挿入バッファ部24から搬送されてくるフィルムFを水塗布部42へ搬送するための複数の搬送ローラ44が設けられている。また、感材搬入部40のフィルム搬送経路の中間部には、フィルムFの先端通過を検出する待機用センサ46が設けられている。
【0028】
水塗布部42には塗布タンク48が配置されている。塗布タンク48は皿状に形成されており、内部には画像形成用溶媒としての水が充填されている。また、塗布タンク48には、フィルムFを水に浸漬するための円弧状のガイド51が設けられている。
【0029】
塗布タンク48の上側には、水平に配置されたローラ50A及びローラ50Bからなり、フィルムFに付着した余剰の水分を除去して上方向へ搬送するスクイズローラ50が配置されている。ローラ50Aの回転中心とローラ50Bの回転中心は同一水平面上にあり、スクイズローラ50はフィルムFを真上に搬送するようになっている。
【0030】
なお、水塗布部42は、塗布タンク48に水を補充するための補充タンク及びポンプ(共に図示せず)を備えている。
【0031】
本体12内部には、左側に巻出巻戻手段としての巻出巻戻部52が設けられており、巻出巻戻部52の上側には処理シート巻取部54が設けられている。
【0032】
巻出巻戻部52には、モータ56で回転される供給軸58が着脱可能に設けられており、供給軸58には長尺状の処理シート60がロール状に巻かれている。
【0033】
巻出巻戻部52には、更に巻き出した処理シート60を適宜巻き戻す処理の制御を行う巻戻制御手段としての巻戻制御部120が設けられている。なお、巻戻制御部120については、後述する。
【0034】
一方、処理シート巻取部54には、モータ62で回転される巻取軸64が着脱可能に設けられており、供給軸58から送り出された処理シート60を巻取軸64に巻き取るようになっている。なお、供給軸58及び巻取軸64は、本体12の左側面に設けられた図示しない扉を開けて本体12から取り外すことができる。
【0035】
なお、本実施形態における処理シート60は、支持体上に塩基性金属化合物を構成する金属イオンに対する錯形成化合物、物理現像核及びハロゲン化銀溶剤を含有する層を両面に塗布することによって構成されている。従って、1度熱現像処理に使用された後、処理シート巻取部54における巻取軸64に巻き取られた処理シート60は、巻取軸64を巻出巻戻部52に、供給軸58を処理シート巻取部54に装着し直すことによって、再度使用することができるようになっている。
【0036】
本体12の略中央には熱現像手段としての熱現像部66が設けられている。熱現像部66には、複数の熱板68A〜68Eが円弧状に配列されている。
【0037】
熱板68A〜68Eの各々には、図示しない平面状のヒータ及び温度センサが内蔵されており、ヒータによって所定温度に加熱されるようになっている。
【0038】
最下部の熱板68Aの下側には、一点鎖線で示すフィルムFの搬送経路の右側にローラ70が配置されている。熱現像部66の熱板68Eの側方には、さらにフィルムFの搬送経路に沿って熱板106が配置されており、この熱板106の右側には、フィルムFの搬送経路の下側にローラ72が配置されている。なお、この熱板106は、フィルムFの加熱乾燥に用いられるものである。
【0039】
ローラ70、熱板68A〜68E、熱板106及びローラ72には、フィルムFの裏面と接触するベルト74が巻き掛けられており、ベルト74はさらに、ローラ76,78に巻き掛けられている。ローラ70,72,76,78は、互いに図示しないタイミングベルト(又はチェーン等)によって連結され、モータ80によって回転される。
【0040】
ローラ70の下方には、ローラ82Aとローラ82Bとからなる貼合わせローラ82が配置されている。ローラ82Bはモータ84で回転されるようになっており、ローラ82Aは図示しないスプリングによってローラ82Bへ向けて付勢されている。
【0041】
供給軸58の下方には処理シート60を巻き掛けるローラ86が配置されており、供給軸58から送り出された処理シート60は、ローラ86に巻き掛けられた後、前述した貼合わせローラ82を介して、熱板68A〜68Eに沿って搬送される。
【0042】
熱板68A〜68Eと対向する位置には、付勢装置88が設けられている。付勢装置88は、ローラ90A,90B,90Cと、これらのローラ90A,90B,90Cに巻き掛けられて処理シート60を熱板68A〜68Eの外周面に向けて付勢するベルト92とを備えている。ローラ90A,90B,90Cは、互いに図示しないタイミングベルト(又はチェーン等)によって連結され、モータ94によって回転される。
【0043】
付勢装置88の上側には、処理シート乾燥部96が設けられている。処理シート乾燥部96は、処理シート60を加熱する熱板98A,98B、処理シート60に送風するファン100、処理シート60を熱板98A,98Bに接触又は近接させるための挟持ローラ102を備えている。
【0044】
熱現像部66よりもフィルムFの搬送方向下流側には、フィルム乾燥部104が設けられている。フィルム乾燥部104は、フィルムFを加熱する熱板106及びフィルムFに送風するファン108を備えている。
【0045】
フィルム乾燥部104よりもフィルムFの搬送方向下流側には、ローラ72に巻き掛けられたベルト74との間でフィルムFを挟持して送りだすローラ110、フィルムFの後端通過を検出する後端センサ118、略U字状の搬送ガイド112、搬送ローラ114、搬送ローラ116が順に配置されている。搬送ローラ114及び搬送ローラ116は互いに図示しないタイミングベルト(又はチェーン等)によって連結され、モータ119によって回転される。
【0046】
ローラ72に巻き掛けられたベルト74とローラ110とによって搬送されたフィルムFは、搬送ガイド112を介し、搬送ローラ114及び搬送ローラ116によって排出口16から本体12の外部へと排出される。
【0047】
本体12の最下部には、制御装置140が設置されており、感光材料処理装置10の熱現像処理全体の動作を制御する。
【0048】
ここで、貼合わせローラ82のローラ82Aの回転中心と、ローラ82Bの回転中心とは同一水平面上にあり、ローラ82Aとローラ82Bとの接線P1 は、スクイズローラ50のローラ50Aとローラ50Bとの接線P2 の真上にある。これにより、水が塗布されたフィルムFは、スクイズローラ50によって真上に搬送される。
【0049】
貼合わせローラ82のローラ82Aの回転中心と、ローラ82Bの回転中心とは同一水平面上にあるため、さらにフィルムFが搬送されてフィルムFの搬送方向後端がスクイズローラ50から離間しても、フィルムFの搬送方向後半部分は自重により垂直状態を保ちながら貼合わせローラ82によって搬送される。したがって、水の塗布されたフィルムFは、先端から後端まで常に処理シート60と一定の角度を保ちながら重ね合わされることになる。
【0050】
このように、フィルムFと処理シート60とは常に一定の角度を保ちながら重ね合わされるので、フィルムFに現像むらを生じることがない。なお、貼合わせローラ82に進入するフィルムFの方向は垂直方向が最も好ましいが、±15°以内であれば若干傾斜していても問題ない。フィルムFの進入角度が垂直方向に対して15°を越えて傾斜すると、スクイズローラ50からフィルムFの搬送方向後端が離れたときにフィルムFが自重で撓み、フィルムFと処理シート60との接触角が急激に変化して接触部分の状態が変化するためフィルムFに帯状の処理むらを生じる虞れがある。
【0051】
次に、図2を参照して、巻戻制御部120及びその周辺の構成を説明する。
なお、巻戻制御部120は巻戻制御プログラムを記憶したマイクロコンピュータで構成され、機能ブロックで表した場合、巻戻指示部124及び計数部122のふたつのブロックに分けられるものである。
【0052】
巻戻指示部124には、制御装置140、計数部122及びモータ56が接続されており、制御装置140から出力される処理シート60の巻き戻し開始指示信号に基づき計数部122の制御及びモータ56による処理シート60の巻き戻し処理の制御を行う。
【0053】
一方、計数部122には、ロータリエンコーダ57が接続されており、ロータリエンコーダ57の出力信号に基づいて、処理シート60の搬送長の計測を実行する。なお、ロータリエンコーダ57は処理シート60の搬送と連動している挟持ローラ102に取り付けられており、処理シート60の所定搬送長毎にパルス信号を出力するものであって、計数部122によりこのパルス信号の数を計数することによって処理シート60の搬送長を知ることができる。
【0054】
図3は制御装置140により行われる熱現像処理の流れを示すフローチャートであり、図4は巻戻制御部120により行われる処理シート60の巻き戻し処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
次に、図1乃至図4を参照して本実施の形態の作用を説明する。
上記構成の感光材料処理装置10では、露光装置11から排出された露光済みのフィルムFが挿入口14に挿入され、挿入センサ38によってフィルムFの先端が検出されると、ステップ202では、フィルムFの挿入速度に合わせた速度で搬送ローラ26を回転すると共に、感光材料処理装置10の処理速度に合わせた速度で搬送ローラ30を回転してフィルムFを内部へと搬送する。
【0056】
感光材料処理装置10でのフィルムFの処理速度(搬送ローラ30以降)は、フィルムFの挿入速度よりも遅いので、フィルムFの先端が搬送ローラ30に挟持されると、分岐ガイド28が想像線で示す垂直状態に切り換えられ、フィルムFの搬送方向後側が、例えば図1の想像線で示すように垂れ下がる。フィルムFが搬送ローラ30に挟持されたか否かは、フィルムFの先端が挿入センサ38によって検出された時点からの経過時間を計数することにより判断することができる。
【0057】
搬送ローラ30で搬送されたフィルムFは、感材搬入部40の搬送ローラ44で水塗布部42へ搬送される。フィルムFは、塗布タンク48に貯留された水に浸漬され、その後、余剰の水分がスクイズローラ50で除去されて真上に搬送される。
【0058】
フィルムFの先端が待機用センサ46で検出されて所定時間経過すると、即ちフィルムFの先端が貼合わせローラ82の入側直前に到達すると、ステップ204では、ベルト74、ベルト92及び処理シート60をフィルムFの搬送速度と同じ速度で搬送する。これにより水の塗布されたフィルムFと処理シート60とが貼合わせローラ82によって貼り合わされ、熱現像部66へと搬送される。なお、このとき同時に搬送ローラ114及び搬送ローラ116をフィルムFの熱現像部66での搬送速度と同じ速度で搬送できる速度にて回転させる。
【0059】
この後、フィルムFは処理シート60と重ね合わされた状態で熱現像部66の熱板68上を通過し、加熱されることによってフィルムF上に画像が形成される。なお、フィルムFには水が付着しており、ベルト92が処理シート60をフィルムFに押し付けているので、フィルムFと処理シート60とは密着した状態でむらなく熱現像される。
【0060】
フィルムF及び処理シート60が熱現像部66の後端に搬送されると、処理シート60は分離手段としてのローラ90CによってフィルムFから剥離され、処理シート乾燥部96で乾燥された後に巻取軸64に巻き取られる。
【0061】
一方、ステップ206では、ローラ90Cによって処理シート60から剥離され、フィルム乾燥部104で乾燥されたフィルムFの後端が後端センサ118により検出されたか否かの判断が行われ、検出されたとき肯定判断となってステップ208に処理が移行し、熱現像部66及び処理シート60の搬送駆動を停止する。このとき、搬送ローラ114及び搬送ローラ116は回転したままであるので、フィルムFは引き続き搬送される。
【0062】
ステップ210では、フィルムFが搬送ガイド112、搬送ローラ114及び搬送ローラ116を介して排出口16からトレイ18上へ排出されたか否かを判断する。なお、フィルムFがトレイ18上へ排出されたか否かの判断は、フィルムFの搬送時間に基づいて行われる。即ち、フィルムFの後端が後端センサ118で検出されてから、予め実験的に得られている所定時間経過した時、フィルムFはトレイ18へ排出されたと判断される。
【0063】
フィルムFがトレイ18上へ排出されたと判断されると、ステップ212では、フィルムFの搬送ローラ114及び搬送ローラ116による搬送駆動を停止する。
【0064】
フィルムFの搬送駆動が停止されると、ステップ214では、処理シート60の巻き戻しの開始指示信号が巻戻制御部120内の巻戻指示部124に対して出力される。
【0065】
以上で、制御装置140における熱現像処理の説明は終了し、次に図4を用いて巻戻制御部120における処理シート60の巻き戻し処理について説明する。
【0066】
ステップ302では、制御装置140から巻戻指示部124に対して出力される巻き戻し開始指示信号の有無を判断しており、巻き戻し開始指示信号を入力したときに肯定判断となって、その後ステップ304において、計数部122におけるカウンタ値Cに0が代入される。これにより、カウンタ値Cがクリアされる。
【0067】
カウンタ値Cがクリアされると、ステップ306では、モータ56による処理シート60の巻き戻しが開始される。制御装置140では、フィルムFの排出を完了した後に巻き戻し開始指示信号を出力するので、この時点から処理シート60の巻き戻しが開始されることになる。なお、処理シート60の巻き戻しは、巻戻指示部124によりモータ56を逆回転させることによって行われる。
【0068】
処理シート60の巻き戻しが開始されると、ステップ308では、ロータリエンコーダ57から計数部122に対して出力されるパルス信号の立上りの有無を判断しており、パルス信号の立上り入力時において肯定判断となって、その後ステップ310では、カウンタ値Cに対して1が加算され、引き続きステップ312では、カウンタ値Cが所定値と等しいか否かが判断され、カウンタ値Cが所定値と等しくなるまで上述のステップ308及びステップ310を繰り返し行う。なお、この際の所定値は処理シート60の未使用領域である処理シート60とフィルムFとの貼り合せ位置から後端センサ118までの距離に相当する長さだけ処理シート60を搬送する際のロータリエンコーダ57のパルス信号数であり、装置毎に固定的に与えられているものである。
【0069】
以上のステップ308乃至ステップ312の処理によって、ロータリエンコーダ57から出力される処理シート60の搬送長に対応するパルス信号数がカウンタ値Cとして計数され、カウンタ値Cが所定値に達するまでモータ56の逆回転が継続される。
【0070】
カウンタ値Cが所定値と等しくなると、ステップ314では、モータ56の逆回転を停止することにより、処理シート60の巻き戻し動作が停止される。
【0071】
以上の巻戻制御部120による挟持ローラ102の回転数を利用した処理シート60の巻き戻し処理によって、加熱処理には使用されていない未使用領域の長さ分だけ処理シート60を巻き戻すことになり、処理シート60上の未使用領域を、次回の熱現像処理時に使用可能とすることになる。
【0072】
図5(a)は処理シート60の巻き戻し動作を行わない場合の使用済みの処理シート60を示しており、図5(b)は本実施の形態に示した巻き戻し動作を行う場合の使用済みの処理シート60を示している。
【0073】
図5(a)に示す処理シート60では、各使用済み領域130の間には、処理シート60とフィルムFとの貼り合せ位置から後端センサ118までの距離に相当する、かなり幅の広い未使用領域131が存在するが、図5(b)に示す処理シート60では、フィルムF及び処理シート60の搬送誤差に相当する、わずかな幅の未使用領域131しか存在しない。
【0074】
以上説明した如く、本実施の形態に係る感光材料処理装置10を用いて画像(撮影された画像)が露光されたフィルムFを、還元剤及び水の存在下で支持体上に錯形成化合物、物理現像核及びハロゲン化銀溶剤を含む層を有する処理シート60と重ね合せることによって、従来のように煩雑な現像、定着処理を行うことなく、簡易に熱現像処理して画像を形成することができる。
【0075】
また、感光材料処理装置10では、フィルムFと処理シート60とを重ね合わせる前に、フィルムFに画像形成用溶媒としての水を塗布するので、金属イオンに対する錯形成化合物やハロゲン化銀溶剤などが拡散しやすくなり、フィルムFに画像を形成する処理をより効果的に行うことができる。
【0076】
さらに、感光材料処理装置10では、フィルムFを熱現像し、排出する毎に処理シート60の未使用領域に対応する量だけ処理シート60を巻き戻し、次回処理シート60を使用する際には、巻き戻した未使用部分から使用することができるため、処理シート60を無駄なく使用することができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、熱板68を使用した感光材料処理装置について説明したが、本発明はこれに限られず、たとえば熱板68の代りに加熱ドラムを用いた、所謂ドラム型の感光材料処理装置であってもよい。
【0078】
また、本実施の形態においては、画像形成用溶媒としての水をフィルムFに塗布するように構成したが、本発明はこれに限られず、処理シート60に塗布してもよいし、フィルムFと処理シート60の両方に塗布してもよい。
【0079】
さらに、本実施の形態では、フィルム1枚に対して熱現像処理した後、該熱現像処理毎に処理シート60を必ず巻き戻す場合について説明したが、本発明はこれに限られず、連続して露光装置11からフィルムFが排出されたときには連続して熱現像処理を行い、一連の熱現像処理が全て終了した後に処理シート60を1度だけ巻き戻すようにしてもよい。この場合は、連続して熱現像を行う際の各加熱処理間には処理シート60の巻き戻しは行われないので、処理シート60の巻き戻しに費やされる処理時間の増加を抑制することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像が露光されたハロゲン化銀感光材料に対し、従来のように煩雑な現像、定着処理を行うことなく、簡易に熱現像処理して画像を形成することができると同時に、熱現像処理に伴って発生する処理シートの未使用部分を、適宜処理シートを巻き戻すことによって使用可能とするので、処理シートの効率的な使用が可能となるという効果が得られる。
【0081】
さらに、処理液等の薬剤を含む液体を使用しないため、そのような液体の保管・補充管理や装置の清掃等に煩わされることがなくなり、装置のメンテナンス性を向上することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る感光材料処理装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態の感光材料処理装置の巻戻制御部及びその周辺の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態の感光材料処理装置の制御装置における熱現像処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態の感光材料処理装置の巻戻制御部における処理シートの巻き戻し処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】(a)は、処理シートの巻き戻し動作を行わない場合の使用済み処理シートを示す図、(b)は、処理シートの巻き戻し動作を行う場合の使用済み処理シートを示す図である。
【符号の説明】
10 感光材料処理装置
F フィルム(ハロゲン化銀感光材料)
42 水塗布部(塗布手段)
52 巻出巻戻部(巻出巻戻手段)
54 処理シート巻取部
60 処理シート
66 熱現像部(熱現像手段)
82 貼合わせローラ
90C ローラ(分離手段)
112 搬送ガイド
114 搬送ローラ
116 搬送ローラ
120 巻戻制御部(巻戻制御手段)
122 計数部
124 巻戻指示部
130 使用済み領域
131 未使用領域
Claims (1)
- ハロゲン化銀感光材料上に露光された画像を熱現像するための薬剤を含むロール状の処理シートを巻き出すと共に、巻き出した前記処理シートを巻き戻す巻出巻戻手段と、
前記巻出巻戻手段によって巻き出された前記処理シート及び前記ハロゲン化銀感光材料の少なくとも一方に画像形成用溶媒を塗布する塗布手段と、
前記ハロゲン化銀感光材料と前記処理シートとを重ね合わせて熱現像する熱現像手段と、
熱現像された前記ハロゲン化銀感光材料と前記処理シートとを分離する分離手段と、
前記巻出巻戻手段によって巻き出されかつ一連の熱現像が全て終了した後の前記処理シート上に未使用領域が存在する場合に、該未使用領域が次に現像されるハロゲン化銀感光材料と重ね合わせ可能になるように、前記処理シートを巻き戻す制御を行う巻戻制御手段と、
を有することを特徴とする感光材料処理装置。
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