JP3604528B2 - Cvd装置クリーニング方法、選択cvd方法、及びcvd装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、選択CVD反応を行うCVD装置のクリーニング方法、クリーニング後に行う選択CVD方法、及び、そのクリーニング方法を行えるCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属は、アルミニウム(Al)に比べるとエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションに対する耐性が高いことから、近年では、シリコンウェハー等の基板内に形成された素子間を電気的に接続し、集積回路を構成するための配線材料として使用されている。
【0003】
そのような配線材料の薄膜を形成する場合には、予め、基板上の絶縁性物質薄膜に配線用の溝や穴を形成しておき、その表面にグルー層を全面成膜した後、CVD装置の真空槽内に搬入し、高温に加熱した状態で配線材料の原料ガスを導入し、グルー層表面に配線材料を析出させる。溝や穴以外の部分に析出した配線材料を除去するため、配線材料薄膜が形成された基板を真空槽から搬出し、RIE装置等を使用してエッチバックを行い、配線を形成している。
【0004】
このように、配線材料薄膜を基板表面に全面成膜するCVD方法はブランケットCVD方法と呼ばれており、一般的に、グルー層には窒化チタン薄膜が用いられ、配線材料がタングステンである場合には、原料ガスとして、例えば六フッ化タングステンガスと水素ガス(還元性ガス)が用いられている。
【0005】
しかしながらブランケットCVD方法では、工程数が多いという欠点があり、グルー層の全面成膜を行う工程と、配線材料薄膜のエッチバックを行う工程とを省略したいという要求がある。
【0006】
それに対して、図4(a)に示すように、シリコン単結晶104上に絶縁性物質薄膜102が設けられた基板101に対し配線を形成する場合、絶縁性物質薄膜102に、底部に下層の導電性物質薄膜の表面や、導電性のシリコン単結晶104表面を露出するように溝や穴103を形成し、CVD装置の真空槽内に基板101を搬入し、比較的低温の状態で、配線材料の原料ガスを導入し、図4(b)に示すように、溝や穴103底部にだけ配線材料薄膜105を選択的に成長させ、溝や穴103を配線材料で埋め込む選択CVD方法が実施されてきた。
【0007】
このような選択性は、溝や穴底部に露出する導電性物質表面での配線材料の析出速度と、絶縁性物質表面での析出速度の相違によって得られており、グルー層の形成やエッチバックが不要なことから、低コスト、高歩留まりのプロセス技術として期待されている。
【0008】
ところで、選択CVD方法でも、通常のCVD方法を行う場合と同様に、多数の基板を処理すると真空槽の壁面に配線材料の薄膜が堆積してしまい、剥離した場合にはダストとなり、歩留まりが低下するという問題がある。
【0009】
そこで従来技術でも、所定量の基板処理を行う毎に真空槽内にクリーニング用ガスを導入し(クリーニング用ガスは、例えばアルゴンガス中にSF6ガスやNF3ガス、又はF2ガスが添加されたガス)、真空槽内にプラズマを発生させてクリーニング用ガスと真空槽内壁に付着した配線材料とを化学反応させ、配線材料をガス化し、真空排気によって除去していた。
【0010】
しかしながら上述のようなクリーニングを行った後で選択CVD方法を行うと、基板の絶縁性物質表面に不要な配線材料が析出し、島状の析出物106が多数生じてしまう。
【0011】
このような現象は、“選択性の破れ”と呼ばれており、絶縁性物質薄膜102の表面に活性点が存在した場合に生じやすいと言われている。析出物106が多数発生した場合には、エッチバックを行うことが必要になり、選択CVD方法の利点が失われてしまう。
【0012】
かかる場合、クリーニング終了後、選択CVD反応を行う前に、真空槽内を長時間真空排気をすると選択性の破れを減少させることができるが、CVD装置の稼働率が低下することから、その解決が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の不都合を解決するために創作されたもので、その目的は、選択性の破れを抑制できるCVD装置クリーニング方法、選択CVD方法、及びCVD装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者等は、上記課題を解決するため、クリーニング後、長時間真空排気しないと選択性の破れが多発する原因を研究した。
【0015】
選択CVDの反応機構は、例えば、六フッ化タングステンガスとモノシランガスとを原料ガスにしてタングステン薄膜を成長させる場合には、導電性物質表面で、
【0016】
WF6+(3/2)SiH4 → W+(3/2)SiF4↑+3H2
あるいは、
WF6+2SiH4 → W+2SiHF3↑+3H2
のような還元反応が生じていると考えられている。より詳細には、その還元反応は、先ず、モノシランガスが導電性物質表面と接触し、そこで電子の授受が行われ、モノシランガスが解離し、その際発生する活性な水素によって六フッ化タングステンガスが還元され、タングステンの析出が行われる。
【0017】
従って、電子の授受が行われる活性点が多いほどタングステンは析出し易く、また、析出したタングステンが“核”となり、その部分にタングステン薄膜が成長するので、核の発生速度が速いほどタングステン薄膜の成長速度が速いことになる。
【0018】
一般に、自由電子は導電性物質表面には多く存在するが、絶縁性物質表面には殆ど存在しないため、電子の授受は導電性物質表面では活発に行われるが、絶縁性物質表面では行われずらい。従って、導電性物質表面では、配線材料薄膜の成長に必要な“核”の発生速度が速いのに対し、絶縁性物質表面では遅い。このような核の発生速度の相違が選択性を付与していると考えられる。
【0019】
本発明の発明者等は、CVD装置の真空槽に質量分析器を設け、クリーニングが終了した真空槽内の雰囲気を分析した結果、クリーニング用ガスにSF6ガスやNF3ガスを用いた場合、クリーニング終了直後は、真空槽内にフッ素を含む化合物や珪素化合物が多量に検出され(例えばSiFR3(Rは炭化水素)のような構造のもの)、数十時間真空排気しないと、その量が減少しないことを見出した。
【0020】
このようなフッ素を含む化合物中には配線材料薄膜を構成する金属は含まれておらず、クリーニング用ガスと配線材料とが化学反応する際に、副生成物として生成されたものと考えられる。
【0021】
一般に、クリーニング用ガスにはフッ素等のハロゲンガスが含まれるが、分子量が小さいため、クリーニング用ガス自体は真空槽壁面に吸着しても直ちに脱離し、真空排気によって除去される。他方、クリーニング用ガス中のハロゲンを含む副生成物は分子量が大きいため、壁面に吸着した場合の脱離速度は遅く、徐々に脱離して基板表面に吸着されると、絶縁物質表面に活性点を形成してしまうと考えられる。
【0022】
従って、副生成物が真空槽壁面から脱離しないようにすれば、選択性の破れを抑制することができると考えられる。
【0023】
本発明は、上記知見に基づいて創作されたもので、その請求項1記載の発明は、配線材料の原料ガスを導入し、選択CVD反応によって基板表面に配線材料の薄膜を選択的に成長させるCVD装置の真空槽内にクリーニング用ガスを導入してプラズマを発生させ、前記真空槽内部に付着した配線材料と前記クリーニング用ガスとを化学反応させ、ガス化して除去するCVD装置クリーニング方法であって、前記プラズマの発生と前記クリーニング用ガスの導入を停止させた後、前記基板を搬入する前に、前記真空槽内に反応性ガスを導入し、前記化学反応の際に生じた副生成物と反応させ、前記真空槽内部からの前記副生成物の脱離量を減少させることを特徴とする。
この反応性ガスについては、請求項2記載の発明のように、OH基を有する化合物ガスを用いることができる。例えば、水、エタノール等のガスである。
また、珪素を有する化合物ガスを用いることができる。例えばシロキサン(Si−Oを含む化合物)等である。OH基を有し、更に珪素を有する化合物としては、例えばシラノール(H3SiOH、及びシラン類のアルキル置換体のヒドロキシ誘導体を含む)を用いることができる。
他方、請求項4記載の発明は選択CVD方法であって、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のCVD装置クリーニング方法を行った後、前記真空槽内に基板を搬入し、前記選択CVD反応を行い、前記基板上に露出した導電性物質表面に、選択的に前記配線材料の薄膜を成長させることを特徴とする。
【0024】
上述したように、真空槽内にクリーニング用ガスを導入してプラズマを発生させ、真空槽内部に付着した配線材料とクリーニング用ガスとを化学反応させ、ガス化して除去する際に、化学反応によって生じた副生成物が真空槽の壁面に吸着してしまう。
【0025】
このような状態の真空槽内に基板を搬入し、配線材料の原料ガスを導入して選択CVD反応を行わせると、真空槽壁面から徐々に脱離した副生成物が、搬入された基板の絶縁性物質表面に吸着され、活性点が生成されてしまう。
【0026】
本発明では、クリーニング後、副生成物と反応する反応性ガスを導入し、真空槽の壁面から脱離する副生成物量を減少させているので、基板表面に吸着される副生成物が少なくなり、その結果、選択性の破れが抑制される。
【0027】
反応性ガスを導入し、一定時間経過した後は、真空槽内の残留ガス中には、例えばSiR3OH(反応性ガスにトリエチルシラノールのガスを用いた場合)等のガスは検出されるが、クリーニング用ガス中のハロゲンを含む副生成物は検出されないので、長時間真空排気しなくても選択性の破れは発生しない。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のCVD装置を、その装置のクリーニング方法の発明と選択CVD方法の発明と共に図面を用いて説明する。
図1を参照し、符号2は、本発明の一実施形態のCVD装置であり、真空槽10を有している。
その真空槽10は、それぞれ金属材料で構成された容器部11、蓋部12と、絶縁性物質で構成された絶縁物13を有しており、容器部11と蓋部12とは、絶縁物13によって電気的に絶縁された状態で気密に固定されている。
【0029】
容器部11の底壁には排気口14が設けられており、図示しない真空ポンプを起動すると真空槽10内を真空排気できるように構成されている。他方、蓋部12にはガス管21の一端が接続されており、その他端は4本のガス管211〜214に分岐され、各ガス管211〜214には、バルブ221〜224がそれぞれ設けられている。
【0030】
一般的に、配線材料の原料ガスは、配線材料を含む化合物ガスと、その化合物ガスから配線材料を析出させる還元性ガスとで構成されており、分岐した1本目のガス管211の先端部分には、マスフローコントローラ231を介して、配線材料を含む化合物ガスが充填されたガスボンベに接続され、2本目のガス管212の先端部分は、マスフローコントローラ232を介して、還元性ガスが充填されたガスボンベに接続されている。また、3本面のガス管の先端は、マスフローコントローラ233を介して、クリーニング用ガスが充填されたガスボンベに接続されている。
【0031】
真空槽10の外部には、容器31が配置されており、その内部には、反応性ガスの原料である液体32が、密閉された状態で納められている。4本目のガス管214の先端部分は、容器31内に気密に挿入され、液体32の液面より上方に位置するようにされている。
【0032】
また、容器31内には、キャリアガス導入管36の一端が気密に挿入されており、その先端部分は液体32内に浸漬されており、他端は、バルブ37とマスフローコントローラ38とを介して、キャリアガスが充填されたガスボンベに接続されている。
【0033】
ガス管214に設けられたバルブ224とキャリアガス導入管36に設けられたバルブ37とを開け、液体32中に、マスフローコントローラ38で流量制御しながらキャリアガスを吹き込むと、液体32が少量気化して反応性ガスが発生し、キャリアガス中に少量添加される。
【0034】
容器31周囲には、図示しない加熱機構(ヒータ)が設けられており、反応性ガスを発生させる際に、予め液体32を一定温度に加熱しておくとキャリアガスに添加される反応性ガスの量は一定となり、ガス管214、21内を真空槽10側に向けて流れる。
【0035】
ガス管214、21には図示しない加熱機構(ヒータ)が巻回されており、キャリアガスが流れる際に、加熱機構によってガス管214、21を所定温度に加熱しておくと、キャリアガス中の反応性ガスが液化することはない。
【0036】
このCVD装置2では、真空槽10内に配線材料の原料ガスを導入し、選択CVD反応を行うと、真空槽10の内壁上にも配線材料が析出してしまい、基板の処理量が増加すると、壁面に不要な配線材料薄膜が厚く形成されてしまう。従って、配線材料が剥離してダストになる前に、例えば基板を所定枚数処理する毎に真空槽10内のクリーニングを行う必要がある。
【0037】
そのクリーニング方法は、先ず、各バルブ221〜224、37を閉状態にしておき、排気口14から真空槽10内を真空排気する。蓋部12内にはシャワー機構41が設けられており、真空槽10内が所定真空度に達した後、バルブ223を開状態し、マスフローコントローラ233で流量制御しながらガス管213、21内にクリーニング用ガスを流すと、クリーニング用ガスはシャワー機構41内に一旦導入され、真空槽10の内部に向けて多数設けられた孔から均一に散布される。
【0038】
真空槽10の容器部11は接地電位に接続され、蓋部12はRF電源に接続されており、真空排気しながら容器部11と蓋部12との間にRF電圧を印加して真空槽10内にクリーニング用ガスのプラズマを発生させる。
【0039】
そのプラズマによって、クリーニング用ガスと真空槽10の内壁に付着した配線材料とを化学反応させると配線材料がガス化し、排気口14から真空槽10外に排出される。
【0040】
このようなクリーニングを所定時間行った後、RF電圧の印加を終了させ、プラズマの発生を停止させると共に、バルブ223を閉じ、真空槽10内へのクリーニング用ガスの導入を停止させる。
【0041】
次いで、ガス管224のバルブ224と、キャリアガス導入管36のバルブ37とを開状態にし、マスフローコントローラ38によって流量制御した状態で、液体32中にキャリアガスを吹き込む。
【0042】
このとき、液体32とガス管214、21を予め一定温度に加熱しておき、真空槽10内を真空排気しながら、反応性ガスが一定量添加されたキャリアガスをシャワー機構41から真空槽10内に向けて散布する。
【0043】
その状態を数分〜10分程度維持した後、バルブ224、37を閉状態にし、真空槽10内を所定圧力まで真空排気し、次いで、真空槽10内に図示しない基板搬送機構によって基板7を搬入する。
【0044】
容器部11の底壁上には、冷却水循環経路44を内部に有するリング状のアルミブロック4が設けられ、そのアルミブロック4上に、ヒータ5とその表面の石英薄板6とで構成された基板ステージ3が配置されており、搬入した基板7は、その基板ステージ3の上方に静止される。
【0045】
基板ステージ3のヒータ5と容器部11の底壁との間には、空間17が形成されており(アルミブロック4の中央部分)、その中には上下移動可能に構成された基板昇降機構16が配置され、ヒータ5と石英薄板6とに設けられた貫通孔中に、基板昇降機構16のピン18が挿入されている。
基板昇降機構16を動作させ、ピン18を上方に移動させると、基板ステージ3の上方に位置している基板7はピン18の先端部分に乗せられる。
【0046】
次いで、ピン18の間から基板搬送機構を逃がし、基板昇降機構16を下方に移動させると、ピン18が貫通孔内に収納される際に、その先端に乗せられた基板7が石英薄板6上に載置される。
【0047】
ヒータ5は予め通電しておき、基板ステージ3を予備加熱しておく。その上に載置された基板7が所定温度に加熱された後、バルブ221、222を開け、マスフローコントローラ231、232によって流量制御した状態でシャワー機構41内に原料ガスを導入し、基板7表面に均一に散布する。CVD反応が行われると、基板7表面に露出した導電性物質表面に配線材料が析出する。このとき、基板7表面に露出した絶縁性物質表面にはクリーニングの際に生じた副生成物は吸着せず、活性点は形成されないので、配線材料は析出せず、配線材料薄膜の選択CVDが行われる。
【0048】
なお、基板7表面で選択CVD反応が行われている間、容器部11の底壁に設けられたパージガス導入口45から空間17内にパージガスが導入され、基板7裏面に向けて噴出されており、基板ステージ3の周囲に配置された防着板46によって、基板7と基板ステージ3の周囲では、そのバージガス濃度が高くなるように構成されている。従って、基板7表面で選択的に配線材料が析出する際に、基板7裏面や基板ステージ3表面及び周囲には配線材料は析出しない。
【0049】
【実施例】
クリーニング用ガスにNF3ガスを、キャリアガスにアルゴンガスを、液体32にエタノールとトリエチルシラノールを個別に用い、真空槽10内でクリーニング用ガスのプラズマを発生させた後、液体32中にキャリアガスを3sccmの流量で吹き込み、真空槽10内を真空排気しながら反応性ガス(エタノールガス又はトリエチルシラノールガス)が添加されたキャリアガスを導入し、その状態を10分間維持した。
【0050】
次いで、基板7として表面にSiO2薄膜を有する8インチのシリコンウェハー(SiO2薄膜には底面に導電性物質(シリコン単結晶)が露出した溝や孔が設けられている)を用い、真空槽10内に搬入し、基板ステージ3上に載置した。
【0051】
その基板7が所定成膜温度に達した後、配線材料の原料ガスとして六フッ化タングステンガスとモノシランガスとを、それぞれ30sccm、21sccmの流量で導入し、選択CVD反応を行った。
【0052】
所定時間の経過の後、基板7を真空槽10外に搬出し、SiO2薄膜表面に選択性の破れによって発生した析出物の数をダストカウンターを用いてカウントした。なお、このときのタングステン薄膜の成長速度は300nm/minであった。
【0053】
比較例として、上述のクリーニング用ガスのプラズマを発生させて真空槽10の壁面に付着する配線材料を除去した後、反応性ガスを導入せずに10分間真空排気を行い、基板7を真空槽10内に搬入し、選択CVD反応を行い、SiO2薄膜表面の析出物の数をカウントした。
【0054】
基板7を搬入する前にエタノールを導入した場合、シラノールを導入した場合、及び反応性ガスを導入しなかった場合について、配線材料薄膜の膜厚(nm)を横軸に、選択性の破れの個数を縦軸にとって、その関係を図2のグラフに示す。
【0055】
一般に、配線材料薄膜を厚く形成するほど選択性の破れは発生し易くなり、絶縁性物質薄膜の表面に発生する析出物は多くなるが、このグラフから分かるように、反応性ガスを用いない場合には、タングステン薄膜を約400nm程度成長させると析出物が数万個にもなってしまう。それに対し、上記各反応性ガスを導入した後で基板を搬入して選択CVD反応を行った場合は、析出物の個数は非常に少なくなり、選択性の破れの発生が抑制されるのが分かる。
【0056】
【実施例】
次に、トリエチルシラノールガスを反応性ガスとして用い、キャリアガスであるアルゴンガスと共に真空槽内に導入した時間を変化させ、選択性の破れの量との関係を調べた。アルゴンガス導入時間(分)を横軸に、選択性の破れの個数を縦軸にとり、その関係を図3のグラフに示す。10分〜20分の導入時間で選択性の破れを抑える効果があることが分かる。
【0057】
【実施例】
以上は、タングステン薄膜を配線材料に用いる場合について説明したが、本発明はその薄膜に限定されるものではない。例えばモリブデン薄膜等、選択CVD方法によって導電性物質表面に選択的に析出させる際に真空槽の内壁にも析出してしまう薄膜について広く適用することができる。
【0058】
上記実施例では、反応性ガスとしてエタノールのガス又はトリエチルシラノールのガスを用いたが、水(のガス)やシロキサンのガスを用いてもよい。要するに、クリーニング用ガスが配線材料と化学反応する際に生じた副生成物が真空槽内壁に吸着された場合、その副生成物と吸着や化学反応が生じ、真空槽内壁から脱離する副生成物の量を減少させる反応性ガスであれば広く用いることができる。
【0059】
その反応性ガスは、一種類のガスを用いる場合に限定されるものではなく、二種類以上の反応性ガスを混合して用いる場合も含まれる。混合された反応性ガスを用いる場合、原料である液体を混合して反応性ガスを発生させてもよいし、個別に発生させた後で混合してもよい。
【0060】
また、反応性ガスを用いて真空槽内をクリーニングした後、製品としないダミーの基板を搬入して配線材料薄膜の選択CVD反応を行い、その後で製品となる基板を搬入し、本発明の選択CVD方法を行う場合についても本発明に含まれる。
【0061】
なお、反応性ガスのキャリアガスはアルゴンガスに限定されるものではなく、種々の不活性ガスを用いることができる。原料ガス中の還元性ガスについても、上述のモノシランガスは一つの例であり、それに限定されるものではない。例えば水素ガス、その他のガスを用いることができる。また、必ずしも還元性ガスを用いる場合に限定されるものではなく、溝や穴の底部に露出するシリコンを還元剤に用いることもできる。
【0062】
溝や穴を形成する絶縁性物質の薄膜についてはSiO2薄膜に限定されるものではなく、SOG膜、窒化膜等、種々の絶縁性物質の薄膜が含まれる。
【0063】
【発明の効果】
選択性の破れが少なくなるので、エッチバック工程が不要になる。
グルー層を全面成膜する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCVD装置の一例
【図2】配線材料薄膜の膜厚と選択性の破れの関係を説明するためのグラフ
【図3】アルゴンガス導入時間と選択性の破れの関係を説明するためのグラフ
【図4】(a)、(b):選択性の破れを説明するための図
【符号の説明】
2……CVD装置 7……基板 10……真空槽 31……容器 32……液体
Claims (4)
- 配線材料の原料ガスを導入し、選択CVD反応によって基板表面に配線材料の薄膜を選択的に成長させるCVD装置の真空槽内にクリーニング用ガスを導入してプラズマを発生させ、前記真空槽内部に付着した配線材料と前記クリーニング用ガスとを化学反応させ、ガス化して除去するCVD装置クリーニング方法であって、
前記プラズマの発生と前記クリーニング用ガスの導入を停止させた後、前記基板を搬入する前に、前記真空槽内に反応性ガスを導入し、前記化学反応の際に生じた副生成物と反応させ、前記真空槽内部からの前記副生成物の脱離量を減少させることを特徴とするCVD装置クリーニング方法。 - 前記反応性ガスは、OH基を有する化合物ガスであることを特徴とする請求項1記載のCVD装置クリーニング方法。
- 前記反応性ガスは、珪素を有する化合物ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のCVD装置クリーニング方法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のCVD装置クリーニング方法を行った後、前記真空槽内に基板を搬入し、前記選択CVD反応を行い、前記基板上に露出した導電性物質表面に、選択的に前記配線材料の薄膜を成長させることを特徴とする選択CVD方法。
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