JP3603444B2 - 対向基板、その製造方法、液晶表示素子及び投射型液晶表示装置 - Google Patents

対向基板、その製造方法、液晶表示素子及び投射型液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対向基板、その製造方法、その対向基板を用いた液晶表示素子及びその液晶表示素子を用いた投射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の対向基板においては、透明基板上に画素電極間からの光漏れ及び周辺見切り部の光漏れ防止のために、Cr等の金属単層膜で、また、カラーフィルターが形成されるものではR・G・Bの着色層を積層させて遮光層を形成した後に透明電極を形成させた構造のものであった。
【0003】
また、従来の液晶表示素子は、前記従来の対向基板と液晶の電気光学効果を制御するための手段を具備した基板とを周辺のシール部材で保持せしめ、その間隙に液晶を封入した構造のものであった。
【0004】
さらに、従来の投射型液晶表示装置は、前記従来の液晶表示素子を用いて光源からの光をスイッチングし拡大投影系により拡大投影画像を得るものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術においては、対向基板の透明基板面の反射率と電極面の反射率を著しく変えることができないため、投射型液晶表示装置に用いた場合に液晶表示素子の温度上昇防止のために高反射率の金属膜を遮光膜に用いると、光学系からの戻り光で遮光膜が光って十分な遮光が得られず、戻り光での遮光膜の光りを防止するために低反射率の金属膜或いは樹脂膜を遮光膜とすると液晶表示素子が温度上昇して画質や信頼性の面で問題が生じるといった課題を有する。
【0006】
そこで本発明は、このような課題を解決するもので、その目的とするところは、対向基板の透明基板面の反射率を高くし、電極面の反射率を低くして、液晶表示素子の温度上昇を抑え、かつ戻り光による遮光レベルの劣化を防止し、その結果優れた画質と高い信頼性を得るところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、請求項1又は2記載のように光が入射する透明基板側を高反射率の膜として液晶表示素子の温度上昇を防止し、戻り光での遮光膜の光りを防ぐために透明電極側の遮光膜を低反射率の膜としている。
さらに、表示領域以外の見切り部分のみ高反射率の層と低反射率の層からなる遮光層にすると表示部分の段差が抑えられるため液晶の配向不良の影響が少なくなり、また、表示領域部に関しては、液晶の電気光学効果を制御するための配線等があるために遮光レベルが劣化することもない。
【0009】
請求項3記載の発明では、高反射率と低反射率の遮光層を同じ成分系からなる材料で形成したのち、1回のエッチングで両層ともにパターンニングするため、比較的安価に目的を達することができる。
【0011】
また、上記した本発明の対向基板と液晶の電気光学効果を制御するための手段を具備した基板とを周辺のシール部材で保持せしめ、その間隙に液晶を封入してなる液晶表示素子及びその液晶表示素子を用いて光源からの光をスイッチングし拡大投影系により拡大投影画像を得る投射型液晶表示装置は、優れた画質と高い信頼性が得られる。
【0012】
さらに、請求項5の発明のごとく、液晶の電気光学効果を制御するための手段を具備した基板がポリシリコンTFTを形成した基板である場合には、入射光量を増やすことができ、ポリシリコンTFTの小型・高精細ができる特徴を生かして1枚の基板から多数の液晶表示素子を作成することができ、大幅なコストダウンと明るい画像が同時に得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0014】
〔参考例1〕
図1は、参考例1の発明にかかわる対向基板の断面構造図である。
【0015】
透明基板1上に、まず、高反射率の遮光層2としてAlをスパッタ法にて成膜し、所定のパターンにフォトエッチを行いパターニングする。次に、低反射率の遮光層3として酸化Crをスパッタ法にて成膜し、所定のパターンにフォトエッチを行いパターニングする。
【0016】
ここで、参考例1の実施例の発明の場合には、低反射率の遮光層3として、黒色の顔料を分散した着色レジストをスピンコート法にて成膜して、同様にパターニングする。
【0017】
最後に透明電極4としてITOをスパッタ法にて成膜し、所定の形状に切断して本発明の対向基板を作成した。
【0018】
本実施例では、パターニングは高反射率の遮光層2と低反射率の遮光層3を共通のガラスマスクを使用し別々にフォトエッチを行ったが、フォト工程を減らすために高反射率の遮光層2と低反射率の遮光層3を成膜した後に、金属膜の場合はレジストを塗布し、着色レジストの場合は直接ガラスマスクを介して露光した後に現像して、まず低反射率の遮光層3をエッチングし、次に高反射率の遮光層2を低反射率の遮光層3をマスクとしてエッチングを行っても良い。
【0019】
また、本実施例では、低反射率の遮光層3を透明電極4の下側に形成したが、低反射率の遮光層3を透明電極4の上側に形成しても良い。
【0020】
本実施例の対向基板の反射率を測定したところ、透明基板1側の反射率は、95%以上が得られ、透明電極4側の反射率は、いづれも5%以下が得られた。
【0021】
〔実施例1〕
図2は、請求項1記載の発明にかかわる対向基板の断面構造図である。
【0022】
透明基板1上に、まず、高反射率の遮光層2としてAlをスパッタ法にて成膜し、所定のパターンにフォトエッチを行いパターニングして表示領域部5と周辺の見切り部6を形成する。次に、低反射率の遮光層3として、黒色の顔料を分散した黒色の樹脂をスピンコート法にて成膜して、見切り部6だけに膜が残るようにパターニングする。
【0023】
最後に透明電極4としてITOをスパッタ法にて成膜し、所定の形状に切断して本発明の対向基板を作成した。
【0024】
本実施例の対向基板の反射率を測定したところ、透明基板1側の反射率は、95%以上が得られ、透明電極4側の見切り部6の反射率は、感光性の樹脂を用いなかったため顔料を増やすことができ、その結果3%以下が得られた。
【0025】
〔参考例2〕
図3は、参考例2の発明にかかわる対向基板の断面構造図である。
【0026】
透明基板1上に、まず、高反射率の遮光層2としてAlをスパッタ法にて成膜し、所定のパターンにフォトエッチを行いパターニングする。
【0027】
次に、R・G・Bのカラーフィルター層7をそれぞれR・G・Bの顔料を分散した着色レジストを順次スピンコート法にて成膜し、順次所定のパターンにフォトエッチを行いパターニングして、カラーフィルターとしての機能をする表示領域部5と低反射率の遮光層として機能する見切り部6を形成する。
【0028】
最後にカラーフィルター層7の保護膜8をスピンコート法にて成膜した後、透明電極4としてITOをスパッタ法にて成膜し、所定の形状に切断して本発明の対向基板を作成した。
【0029】
本実施例の対向基板の反射率を測定したところ、透明基板1側の反射率は、95%以上が得られ、透明電極4側の見切り部6の反射率は、5%以下が得られた。
【0030】
〔実施例2〕
図4(a)〜(d)は、請求項2及び請求項3記載の発明にかかわる対向基板の主要工程の断面構造図である。
【0031】
透明基板1上に、まず、スパッタ法にて、高反射率の遮光層2として酸素分圧が低い状態でCrを成膜し(図4(a))、次に、低反射率の遮光層3として同じターゲット材を用いて酸素分圧を高くすることにより酸化Crを連続成膜する(図4(b))。
【0032】
次に、高反射率の遮光層2と低反射率の遮光層3を同時に1回のフォトエッチで所定のパターンにパターニングする(図4(c))。
【0033】
最後に透明電極4としてITOをスパッタ法にて成膜し(図4(d))、所定の形状に切断して本発明の対向基板を作成した。
【0034】
本実施例の対向基板の反射率を測定したところ、透明基板1側の反射率は、50%以上が得られ、透明電極4側の反射率は、Crで5%以下が得られた。
【0035】
〔実施例3〕
図5は、請求項4及び請求項5記載の発明にかかわる液晶表示素子の断面構造図である。
【0036】
まず、透明基板10上にスイッチング素子としてポリシリコンTFT、画素電極、データー線及び走査線をマトリックス状に形成する。
【0037】
次に、実施例1で作成した、(白黒用の)対向基板9とポリシリコンTFTが形成された透明基板10を配向処理したのちに、シール剤11を介して位置合わせを行いながら貼り合わせ、加圧して所定のセル厚が得られたところでシール剤を硬化させ、その間隙に液晶を封入し、所定の形状に切断する。
【0038】
次に、FPC12を異方性導電膜を介して透明基板10に接続し、無反射処理された偏光板13を透明基板10に貼り付ける。
【0039】
最後にガラス入りの樹脂ケース14に対向基板9側から見切り部分から光りが漏れないように位置合わせを行い、固定金具15で固定して液晶表示素子を得た。
【0040】
反射率を測定した所、従来のCrを用いた対向基板の1/5、Alを用いた対向基板の1/10の反射率が得られた。
【0041】
〔実施例4〕
実施例3で作成した(白黒用の)液晶表示素子16をR・G・Bの光のスイッチングに用いた投写型液晶表示装置を作成した。
【0042】
図6は、請求項6記載の発明にかかわる投写型液晶表示装置の光学系図である。 メタルハライドランプ17からの光をダイクロイックミラー18を用いて、R・G・Bの3色光に分離し、液晶表示素子16で光スイッチングさせ、再び合成プリズム19により3色光を合成し、投射レンズ20により拡大投影する。
【0043】
合成プリズム19及び投射レンズ20は、無反射処理をしたものを用いた。
【0044】
液晶表示素子16で光スイッチングされた光は、合成プリズム19及び投射レンズ20で反射して、戻り光21として再び液晶表示素子16の透明基板側から入射し、対向基板の遮光層で再反射し、再び再反射光22として合成プリズム19、投射レンズ20を透過して表示画像を劣化させるが、本実施例の投写型表示装置は、従来の対向基板を用いたものと比較して2倍以上の光量を液晶表示素子16に入射しても、液晶表示素子の温度上昇が抑えられ、かつ画質の劣化がない明るい投影画像23が得られた。
【0045】
〔実施例5〕
図7は、請求項4及び請求項5記載の発明にかかわる液晶表示素子の断面構造図である。
【0046】
まず、透明基板10上にスイッチング素子としてポリシリコンTFT、画素電極、データー線及び走査線をマトリックス状に形成する。
【0047】
次に、参考例2で作成した、(カラー用の)対向基板23とポリシリコンTFTが形成された透明基板10を配向処理したのちに、シール剤11を介して位置合わせを行いながら貼り合わせ、加圧して所定のセル厚が得られたところでシール剤を硬化させ、その間隙に液晶を封入し、所定の形状に切断する。
【0048】
次に、FPC12を異方性導電膜を介して透明基板10に接続し、無反射処理された偏光板13を透明基板10に貼り付ける。
【0049】
最後にガラス入りの樹脂ケース14に対向基板9側から見切り部分から光りが漏れないように位置合わせを行い、固定金具15で固定して液晶表示素子を得た。
【0050】
反射率を測定した所、実施例5と同様に従来のCrを用いた対向基板の1/5、Alを用いた対向基板の1/10の反射率が得られた。
【0051】
〔実施例6〕
実施例5で作成した(カラー用の)液晶表示素子25をR・G・Bの光のスイッチングに用いた投写型液晶表示装置を作成した。
【0052】
図8は、請求項6記載の発明にかかわる投写型液晶表示装置の光学系図である。 ハロゲンランプ26からの光を液晶表示素子25で光スイッチングさせ、無反射処理をした投射レンズ20により拡大投影する。
【0053】
液晶表示素子25で光スイッチングされた光は、投射レンズ20で反射して、戻り光21として再び液晶表示素子25の透明基板側から入射し、対向基板の遮光層で再反射し、再び再反射光22として、投射レンズ20を透過して表示画像を劣化させるが、本実施例の投写型表示装置は、従来の対向基板を用いたものと比較して2倍以上の光量を液晶表示素子25に入射しても、液晶表示素子の温度上昇が抑えられ、かつ画質の劣化がない明るい投影画像23が得られた。
【0054】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の対向基板は、表示領域部においては1層の高反射率の膜からなり、表示領域部周辺の見切り部分においては、透明基板側に設けられた高反射率の層と、透明電極側に設けられた低反射率の層との積層膜からなることにより、入射光側の反射率が高くでき、かつ出射光側の反射率を低くすることができた。さらに、表示領域以外の見切り部分のみ高反射率の層と低反射率の層からなる遮光層にすると表示部分の段差が抑えられるため液晶の配向不良の影響を少なくすることができ、また、表示領域部に関しては、液晶の電気光学効果を制御するための配線等による遮光レベルの劣化を防止することができた。
【0055】
したがって、本発明の対向基板を用いた本発明の液晶表示素子も、入射光側の反射率が高くでき、かつ出射光側の反射率を低くすることができた。さらに、表示領域以外の見切り部分のみ高反射率の層と低反射率の層からなる遮光層にすると表示部分の段差が抑えられるため液晶の配向不良の影響を少なくすることができ、また、表示領域部に関しては、液晶の電気光学効果を制御するための配線等による遮光レベルの劣化を防止することができた。
【0056】
その結果、本発明の液晶表示素子を用いた投射型液晶表示装置は、入射光による液晶表示素子の温度上昇を抑えて信頼性と画質を高め、かつ戻り光による画質の劣化を防止することができた。さらに、表示領域以外の見切り部分のみ高反射率の層と低反射率の層からなる遮光層にすると表示部分の段差が抑えられるため液晶の配向不良の影響を少なくすることができ、また、表示領域部に関しては、液晶の電気光学効果を制御するための配線等による遮光レベルの劣化を防止することができた。
【0057】
また、上述した温度上昇及び戻り光による画質の劣化が大幅に改善できたため、入射光量を上げることができ、非常に明るい画像を得ることができた。
【0058】
さらに、白黒の液晶表示素子の場合には、本発明の如く、高反射率の遮光層と低反射率の遮光層を同じ成分系からなる材料にした場合には、非常に安価に目的を達することができた。
【0059】
また、カラーの液晶表示素子の場合には、本発明の如く、低反射率の遮光層をR・G・Bのカラーフィルター層を重ねて合わせて作ることにより、新たなコストがまったく発生しないで、目的を達することができた。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1の対向基板の断面構造図。
【図2】本発明の実施例1の対向基板の断面構造図。
【図3】本発明の参考例2の対向基板の断面構造図。
【図4】本発明の実施例2の対向基板の主要工程の断面構造図。
【図5】本発明の実施例3の液晶表示素子の断面構造図。
【図6】本発明の実施例4の投写型液晶表示装置の光学系図。
【図7】本発明の実施例5の液晶表示素子の断面構造図。
【図8】本発明の実施例6の投写型液晶表示装置の光学系図。
【符号の説明】
1.透明基板
2.高反射率の遮光層
3.低反射率の遮光層
4.透明電極
5.表示領域部
6.見切り部
7.カラーフィルター層
8.保護膜
9.(白黒用の)対向基板
10.透明基板
11.シール剤
12.FPC
13.偏光板
14.樹脂ケース
15.固定金具
16.(白黒用の)液晶表示素子
17.メタルハライドランプ
18.ダイクロイックミラー
19.合成プリズム
20.投射レンズ
21.戻り光
22.再反射光
23.投影画像
24.(カラー用の)対向基板
25.(カラー用の)液晶表示素子
26.ハロゲンランプ

Claims (6)

  1. 透明基板上に少なくとも遮光層及び前記遮光層上に透明電極を有する対向基板において、
    前記遮光層は、
    表示領域部においては1層の高反射率の膜からなり、
    前記表示領域部周辺の見切り部分においては、前記透明基板側に設けられた高反射率の層と、前記透明電極側に設けられた低反射率の層と、
    の積層膜からなることを特徴とする対向基板。
  2. 透明基板上に少なくとも遮光層及び前記遮光層上に透明電極を有する対向基板において、
    前記遮光層を形成する工程においては、
    表示領域部及び前記表示領域部周辺の見切り部分に高反射率の層を形成する工程と、
    前記高反射率の層上のうち前記表示領域部周辺の見切り部分にのみ、低反射率の層を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする対向基板の製造方法。
  3. 透明基板上に少なくとも遮光層及び前記遮光層上に透明電極を有し、前記遮光層は、前記透明基板側が高反射率の層からなり、前記透明電極側が低反射率の層からなる対向基板の製造方法であって、
    前記遮光層を形成する工程においては、
    前記高反射率の層をスパッタ法により前記透明基板側に形成し、
    前記高反射率の層を形成する際の酸素分圧よりも高い酸素分圧によるスパッタ法により、前記透明電極側に前記低反射率の層を前記高反射率の層と連続的に形成する工程からなることを特徴とする対向基板の製造方法。
  4. 請求項1記載の対向基板と、液晶の電気光学効果を制御するための手段を具備した基板と、を周辺のシール部材で保持せしめ、その間隙に液晶を封入してなることを特徴とする液晶表示素子。
  5. 請求項4記載の液晶表示素子において、
    前記液晶の電気光学効果を制御するための手段を具備した基板が、ポリシリコンTFTを形成した基板であることを特徴とする液晶表示素子。
  6. 請求項4又は請求項5記載の液晶表示素子を用いて光源からの光をスイッチングし拡大投影系により拡大投影画像を得る投影型液晶表示装置。
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