JP5040389B2 - 透明基板およびそれを用いた電気光学装置、透明基板の製造方法 - Google Patents
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Description
図9(a)に示すように、透明基板1の遮光膜2が、基板であるガラス基板11の液晶ライトバルブ3側の面に設けられた構造配置と、遮光膜2の構造として、外部からの入射光200を反射する反射膜2aと液晶ライトバルブ3側からの戻り光400を吸収する吸収層2bとを積層してなる2層の遮光膜2の構造が知られている。尚、反射膜2aには、光源に向かって光を反射し、光を再利用する役目もある。
しかしながら、クロム膜は光を吸収し易いので反射率が低くなる問題があった(クロム膜の反射率:40〜50%程度)。
さらに、図9(b)において、アクリル系紫外線硬化型接着剤5と酸化クロム膜2bとの界面2dでは、反射光400aの反射を抑えて酸化クロム膜2bで戻り光400を吸収するよう構成しているが、戻り光400の波長帯域によっては、戻り光400を吸収しきれず界面2dで反射光400aを反射してしまい迷光となってしまうという問題があった。
さらに、前述の如き透明基板1の遮光膜2を構成する反射膜2aでの反射率の低下と吸収層2bで生じる迷光とに起因した透明基板1での透過光量の損失を補うため、投射型表示装置の光源(ランプ)のパワーを上げることによって生じる当該光源の過剰な温度上昇、並びに投射型表示装置内の温度上昇によって当該投射型表示装置に搭載された多数の光学部品の過剰な温度上昇により、各光学部品の寿命の短命化という問題があった。
本発明は、前述の如き様々な問題に鑑みてなされたものであって、光の漏れが少なく反射率の高い遮光膜を備え、かつ電気光学装置内の過剰な温度上昇を抑制することが可能な透明基板およびそれを備えた画質のよい電気光学装置、製造工程の少ない透明基板の製造方法を提供することを目的とする。
この発明では、層の反射率が85%以上、透過率が1%未満になり、より光の漏れが少なく反射率の高い遮光膜を備えた透明基板が得られる。
この発明では、樹脂層の反射率が1%未満になり、より光の漏れが少なく反射率の高い遮光膜を備えた透明基板が得られる。
さらに、電気光学装置内の過剰な温度上昇を防ぎ、発光管やその他の光学部品の黒化や失透、或いは破壊することを抑制した長寿命化を可能とする環境配慮型の光源装置を得ることができる。
この発明では、樹脂層の屈折率Nrと接着剤の屈折率Naとの差が少ないので、樹脂層と固定手段との界面での反射が抑えられ、いわゆる迷光が減少する。
この発明では、前述の効果に加え、レジストとして炭素粒子を含む樹脂層を利用しているので、よく知られたフォトリソ工程と比較してレジスト剥離工程が必要なくなり、工程が簡略化される。
更に、本発明は、前記レジストを剥離することなく当該レジストを遮光膜として用いるので、レジストを廃液等の廃棄物として処理する必要がなくなるため、環境負荷の低減に優れた効果を奏するものである。
図1は、実施形態にかかる電気光学装置100の平面図である。図2(a)は、図1に示した電気光学装置100におけるA−A断面図、図2(b)は、(a)の電気光学装置100の一部を円Bで囲んだ部分の拡大図である。図3は、電気光学装置100の分解斜視図である。
図2(a)に示すように、液晶装置60の外周部は、ケース110とフック130とによって挟持されている。そして、液晶装置60とケース110との間には、充填材19が充填されている。
また、液晶装置60には、フレキシブルプリント配線基板120が接続され、ケース110から引き出されている。
図2(a)において、入射光200は、紙面に対して上方向から電気光学装置100に入射し、下方向に出射光300となって出射する。図3では、入射光200は、紙面に対して下方向から液晶装置60に入射し、上方向に出射光300となって出射するように描かれている。
図2(a)および図3では、入射角が0°のように描かれているが、実際には少し斜めから入射する。例えば、入射角は0°〜15°の間である。
透過型液晶パネル150は、パネル基板90と対向基板80とを備えている。対向基板80はパネル基板90よりも小さく、パネル基板90の周辺部分は、対向基板80の外周縁よりはみ出た状態で貼り合わされている。
なお、接着剤81の屈折率を、ガラス基板11の屈折率及び透過型液晶パネル150の対向基板80の屈折率に近づけることにより、接着剤81との界面での反射を抑えることができる。接着剤81は、シリコン系接着剤やアクリル系接着剤などを用いればよい。
また、接着剤81の屈折率Naを、樹脂層13の屈折率Nrに近づけることにより、樹脂層13と接着剤81との界面での反射を抑えることができる。具体的には、樹脂層13の屈折率Nrと接着剤81の屈折率Naとの関係が、
0≦|Nr−Na|/Nr≦0.05
を満足するのが好ましい。
反射層12は、ガラス基板11の光出射面6の外周縁に設けられている。光出射面6は、図2(a)および図3に示したように、透過型液晶パネル150に対向する面である。 図4(a)に示すように、反射層12を光入射側から見た形状は、画像表示領域8を囲む矩形環状である。入射光200の多くは、光入射面7に入射し、ガラス基板11の画像表示領域8を透過して、光出射面6から出射し、図2(a)および図3に示したごとく透過型液晶パネル150の内部に入射する。入射光200の一部は反射層12で反射する。
まず、図4(c)において、ガラス基板11と反射層12との界面14での入射光200の反射特性について検討する。図7は、反射層12の材料をアルミニウムとした場合、反射層12の膜厚taと透過特性(透過率及び反射率)との関係についてシミュレーションした結果の図である。反射層12の材料をアルミニウムとした場合、taを40nm以上とすると透過率を1%未満とすることできるのがわかる。さらに、taを70nm以上とすれば透過率をほぼ0%とすることができ、反射効率が極めて良好になることがわかる。ゆえに、透過率を0%としたい場合、スパッタ装置や蒸着装置等の成膜手段の成膜バラツキを考慮して、反射層12の膜厚taは100nm程度とすることが好ましい。
図8は、樹脂層13へ入射した戻り光400が樹脂層13と反射層12との界面15で反射し樹脂層13の表面16から出射する反射特性(戻り光400の樹脂層13での反射率)と樹脂層13の厚みtbとの関係ついてシミュレーションした結果の図である。
tbを500nm以上とすると、戻り光400の反射率を1%未満とすることができるのがわかる。さらに、戻り光400の反射率を0.05%程度(戻り光400を樹脂層13でほぼすべて吸収させる)とするためには、tbを1000nm以上にするのが好ましく、製造バラツキを考慮して1000nm〜1500nmとするのが好ましい。
図5に透明基板10の製造のフロー図を示した。
透明基板10の製造方法は、反射層コーティング工程S1と樹脂層13を形成する工程とポストベーク工程S6と反射層エッチング工程S7とを含んでいる。
樹脂層13を形成する工程は、塗布工程S2とプレベーク工程S3と露光工程S4と現像工程S5とを含んでいる。
図6(a)において、反射層コーティング工程(S1)では、ガラス基板11の図1〜図3に示した透過型液晶パネル150に対向する面の全面に、アルミニウム、銀または銀を含む合金のうちいずれか1つを含む反射層102を形成する。反射層102の形成には、真空蒸着法、スパッタ法などの成膜手段を用いることができる。
ガラス基板11は、複数の透明基板10が得られる大型の基板であってもよい。この場合、全工程終了後、大型の基板に形成された個々の透明基板10を切り離す。
以上の工程によって、透明基板10が得られる。
(1)アルミニウム、銀または銀を含む合金のうちいずれか1つを含む反射層12は単層で形成してもピンホールが少なく、反射率が可視光領域で80%以上と高いことに加えて、透過型液晶パネル150へ入射する光のピンホールからの漏れに対しても樹脂層13に含まれた炭素粒子によって光を吸収できる。したがって、光の漏れが少なく反射率の高い遮光膜20を備えた透明基板10を得ることができる。
さらに、電気光学装置内の過剰な温度上昇を防ぎ、発光管やその他の光学部品の黒化や失透、或いは破壊することを抑制した長寿命化を可能とする環境配慮型の光源装置を得ることができる。
さらに、本発明は、前記レジストを剥離することなく当該レジストを遮光膜として用いるので、レジストを廃液等の廃棄物として処理する必要がなくなるため、環境負荷の低減に優れた効果を奏するものである。
例えば、塗布工程の塗布手段は、スピンコート法でなくスクリーン印刷法を用いてもよい。この場合、プレベーク工程と露光工程と現像工程とを省略することが可能である。
また、図6の露光工程ではネガタイプのレジストを用いたが、レジストはネガタイプに限定されず、ポジタイプの樹脂を用いてもよい。この場合、マスクはガラス基板11の遮光膜20に相当する位置の外周縁に施す。
Claims (5)
- 基板と、
前記基板の外周縁に設けた反射層と、当該反射層上に形成した樹脂層とが形成されている
透明基板の製造方法であって、
前記基板の全面に、アルミニウム、銀または銀を含む合金のうちいずれか1つを含む反射
層を形成する工程と、
ネガレジストとしてのモノマーおよび炭素粒子を含む液体を前記反射層上に塗布する工程
と、
前記液体に含まれる溶媒を熱処理により、揮発させ、可溶性半硬化膜を形成する工程と、
前記可溶性半硬化膜に光を照射し、さらに硬化させた未硬化樹脂層を形成する工程と、
前記可溶性半硬化膜を有機溶剤で洗浄し、除去する工程と、
前記未硬化樹脂層を熱処理により、硬化を進め、樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層をマスクとして前記反射層をエッチングする工程と、
を含むことを特徴とする透明基板の製造方法。 - 前記反射層は、厚みが40nm以上のアルミニウムである
ことを特徴とする請求項1に記載された製造方法により製造された透明基板。 - 前記樹脂層の厚みは500nm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載された製造方法により製造された透明基板。 - 表示パネルと、
当該表示パネルに固定した透明基板と、
を備える電気光学装置であって、
前記透明基板は、基板と、
前記基板の外周縁に設けたアルミニウム、銀または銀を含む合金のうちいずれか1つを含む反射層と、
当該反射層上に形成した炭素粒子を含む樹脂層とからなり、
請求項1に記載された製造方法により製造されたものであることを特徴とする電気光学装置。
- 前記透明基板と
前記表示パネルとは固定手段によって固定されており、
前記樹脂層の屈折率Nrと前記固定手段の屈折率Naとの関係が、
0≦|Nr−Na|/Nr≦0.05
を満足することを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
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