JP3800189B2 - 半透過反射基板、その製造方法、電気光学装置および電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気光学装置の一種である半透過反射型の液晶装置に関し、特に該液晶装置に含まれる半透過反射基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、半透過反射基板、電気光学装置および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる半透過反射型の液晶装置は、液晶層とバックライトユニットとの間に、光を透過させると共に、外光を反射させる半透過反射層を有する構成が一般である。この半透過反射層の一様態として、開口部を介して光を透過させる一方で、凹凸状の反射面(光反射部)により、外光を散乱させる構成が知られている。ここで、散乱特性を半透過反射層に付与するのは、半透過反射層における外光の鏡面反射を防止して、観察者が視認する画面に背景や室内照明等の写り込みを防ぐためである。
【0003】
この種の半透過反射層を形成するための技術のひとつとして、感光性樹脂などの造形材料を用いた手法が提案されている。具体的には、図11に示すように、ガラスなどの基板500上に、光透過用の開口部512を有するとともに、表面が凹凸状の下地層510を感光性樹脂により形成し、その後、下地層510のうち凹凸面のみに、アルミニウムなどの光反射性を有する材料を積層して、下地層510の凹凸形状が反映された半透過反射層520を形成する(例えば、特許文献1参照)。なお、仮に下地層510が光透過性を有していれば、下地層510については開口部512を形成しなくとも、透過型表示は実現可能である。しかし、この構成では、下地層510おいて光損失が生じるため、下地層510についても開口部512を形成することが望ましい。
【0004】
このような開口部512を有する下地層510は、例えば次のようにして製造される。まず、基板500上に、ポジ型の感光性樹脂を塗布して、図12に示すようなフォトマスク550にて露光する。このフォトマスク550のうち略中央に位置する透光部552は、下地層510の開口部512を形成するためのものであり、その周辺にランダム配置された微小な透光部554は、下地層510の凹凸面を形成するためのものである。このようなフォトマスク550にて感光性樹脂を露光した後、現像処理を施すと、前掲図11に示すような開口部512および凹凸面を有する下地層510が形成される。
【0005】
ところで、フォトマスク550においては、開口部512用の透光部552の縁に、凹凸面用の透光部554が近接配置されており、図12中の拡大図に示すように、それらの中には透光部552と連なった状態で光を透過させるものも含まれていた。このため下地層510のうち開口部512の側壁面512eは、図11の平面図に示すように襞状となるように形成されることとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−98955号公報(第5頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように側壁面512eが襞状となるように、感光性材料が露光されると、その現像工程において、側壁面512eから樹脂片が剥離し、この結果、現像液中に混合した樹脂片が樹脂層に再付着してしまい、液晶パネルに品質低下や不具合を生じさせる要因となっていた。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、剥離などが生じることなく下地層を形成することが可能な半透過反射基板の製造方法、該半透過反射基板の製造方法を含む電気光学装置の製造方法、半透過反射基板、該半透過反射基板を含む電気光学装置および電子機器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明にかかる半透過反射基板の製造方法は、光を透過させるための透光部を有すると共に、凹凸状の光反射部を有する半透過反射基板の製造方法であって、基板に感光性材料を塗布する塗布工程と、前記塗布工程において塗布された前記感光性材料に対する現像処理において、前記透光部となる開口部と、前記開口部の縁端と離間するように位置する凹凸面とが前記感光性材料に形成されるべく、前記感光性材料に対して露光する露光工程と、前記露光工程により露光された感光性材料を現像する現像工程と、前記現像工程により現像された感光性材料のうち、前記露光工程により形成された凹凸面上に光反射性を有する反射層を形成する反射層形成工程と、を有することを特徴とする。
かかる半透過反射基板の製造方法によれば、露光工程において、凹凸面が、開口部の縁端から離間するように露光されているため、開口部を形成する側壁面は、略平坦となるように露光される。この結果、感光性材料の現像処理時に、下地層となる感光性材料の一部が剥離、再付着するといった問題が解消される。
ここで、前記露光工程において、前記開口部の縁端と、前記凹凸面の縁端とが、5μm以上離間するように露光することが望ましく、さらに、前記開口部の縁端と、前記凹凸面の縁端とが12μm以下に離間するように露光することが望ましい。このように、開口部の縁端と、凹凸面の縁端とを5μm以上離すことにより、開口部を形成する側壁面の平坦性を十分に確保することができる。一方、開口部の縁端と、凹凸面の縁端との間隔を12μm以下とすることにより、半透過反射基板における散乱特性を十分に確保することができる。
【0010】
好ましい様態において、前記反射層形成工程は、前記感光性材料の前記凹凸面上に、該凹凸形状の一部を吸収する凹凸吸収層を形成する凹凸吸収層形成工程と、前記凹凸吸収層形成工程において形成された凹凸吸収層上に、光反射性を有する表面反射層を形成する表面反射層形成工程とを含む。
このように、凹凸面の凹凸形状を吸収する凹凸吸収層を形成することにより、表面反射層の凹凸形状を滑らかにすることができる。
くわえて、本発明は、上記半透過反射基板の製造方法を含む電気光学装置の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、光を透過させるための透光部を有すると共に、凹凸状の光反射部を有する半透過反射基板であって、感光性材料に対する現像処理により基板上に形成された下地層であり、前記透光部となる開口部と、前記開口部の縁端から離間するように位置する凹凸面とを含む下地層と、前記下地層のうち前記凹凸面上に位置するように設けられ、光反射性を有する反射層とを具備することを特徴とする半透過反射基板を提供する。
かかる半透過反射基板によれば、凹凸面が、開口部の縁端から離間するように露光されているため、開口部を形成する側壁面は略平坦となる。したがって、感光性材料の現像処理時に、下地層となる感光性材料の一部が剥離、再付着するといった不具合が生じない。
さらに、本発明は、上記半透過反射基板を含む電気光学装置、および該電気光学装置を表示部として有することを特徴とする電子機器を提供する。上述したように半透過反射基板は、その製造工程において下地層の一部が剥離、再付着するといった不具合が生じないため、半透過反射基板を備えた電気光学装置および電子機器の品質が改善される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態にかかる電気光学装置の一例として、アクティブマトリックス方式のカラー表示型液晶装置について説明する。
【0013】
<液晶装置の構成>
まず、本実施形態にかかる液晶装置の構成について説明する。図1は、本実施形態にかかる液晶装置の断面図であり、図2は、同液晶装置の大略構成を示す分解斜視図である。なお、図1は、図2におけるA−A’線からみた断面図に相当する。
これらの図に示されるように、液晶装置100は、電気光学物質の一種である液晶180(図2では図示略)を、第1基板110および第2基板120により狭持する液晶パネル102と、当該液晶パネル102の第2基板120側に配設されたバックライトユニット104とを含んで構成される。以下では、図1に示すように、液晶180に対して第1基板110側を「観察側」と表記する。すなわち、液晶装置100よる表示画像を視認する観察者が位置する側という意味である。これに対し、液晶180からみて第2基板120側を「背面側」と表記する。
【0014】
まず、バックライトユニット104に含まれる光源105は、例えば冷陰極管などであり、板状部材である導光板106の側端面に対して光を照射する。導光板106は、その側端面から入射した光源105による光を、液晶パネル102の第2基板120に対して一様に導く。特に図示はしないが、導光板106のうち液晶パネル102と対向する面には、当該導光板106からの光を液晶パネル102に対して一様に拡散させる拡散板などが貼着される一方、これと反対側の面には、導光板106から背面側に出射した光を液晶パネル102側に反射させるための反射板が貼着される。
【0015】
液晶パネル102において、第1基板110は、ガラスなどの光透過性材料からなる板状部材である。第1基板110の観察側の面には、コントラストを改善するための位相差板111(図2では図示略)と、入射光を偏光させるための偏光板112(図2では図示略)が、基板110側からこの順で積層されている。一方、第1基板110の液晶180側(背面側)の面には、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの画素電極114がマトリックス状に配置されており、各画素電極114の間隙には、一方向(図2に示すY方向)に延在する複数の走査線116が形成されている。
【0016】
図2に示すように各画素電極114と、当該画素電極114に隣接する走査線116とは、TFD素子115を介して接続されている。このTFD素子115は、非線形な電流−電圧特性を有する二端子型スイッチング素子である。図1に示すように、画素電極114、走査線116およびTFD素子115が形成された第1基板110の表面は、配向膜118(図2では図示略)により覆われている。この配向膜118は、ポリイミドなどの有機材料であり、電圧が印加されていないときの液晶180の配向状態を規定するためのラビング処理が施されている。
【0017】
一方、第2基板120は、ガラスなどの光透過性材料からなる板状部材であり、その背面側の面には、第1基板110と同様に、位相差板121(図2では図示略)および偏光板122(図2では図示略)が、基板側からこの順で積層されている。第2基板120の液晶180側(観察側)の面には、下地層130、半透過反射層140と、3色のカラーフィルタ150R、150G、150Bのうちいずれか1と、データ線152と、配向膜154(図2では図示略)とが基板側からこの順で積層されている。
【0018】
このうち配向膜154は、例えばポリイミドなどによって形成された有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶180の配向方向を規定するためのラビング処理が施されている。また、複数のデータ線152の各々は、ITOなどの光透過性導電材料により形成された帯状の電極であり、カラーフィルタ150R、150G、150Bの面上に形成されている。図2に示すように、データ線152は、上述した走査線116と交差する方向(図2中X方向)に延在し、第1基板110上に列をなす複数の画素電極114と対向するように位置する。かかる構成の下、第1基板110と第2基板120とにより狭持された液晶180は、画素電極114とこれに対向するデータ線152との間に電圧が印加されることにより、その配向方向が変化する。図2に示すように、この印加電圧に応じて液晶180の配向方向が変化する領域の最小単位160はマトリックス状に配列されており、その各々がサブ画素(ドット)として機能する。
【0019】
カラーフィルタ150R、150G、150Bは、各ドット160に対応して設けられた樹脂層であり、顔料などにより赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のいずれかにそれぞれ着色されており、その色に対応する波長の光を選択的に透過させる。なお、図2における「R」、「G」および「B」は、ドット160の各々が、いずれのカラーフィルタ150R、150G、150Bが配置されるドット160かを示している。また、遮光層151は、各カラーフィルタ150R、150G、150Bの間隙を埋めるように格子状に形成されており、隣接するカラーフィルタ150R、150G、150の測方を遮光する。この遮光層151は、例えばカーボンブラックが分散された黒色樹脂材料や、クロム(Cr)といった金属などにより形成される。また、遮光層151は、特定の材料によって形成されることに限られず、例えば、着色層を構成するカラーフィルタ150R,150G,150Bの各着色層を二色または三色重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。
【0020】
ここで、図3は、ひとつのドット160に対応する半透過反射層140の上面図と、その部分に対応する第2基板120、下地層130および半透過反射層140の部分断面図とを示す図である。断面図において、下地層130は、感光性材料が露光・現像処理により造形されたものであり、ドット160の中央付近に位置する光透過用の開口部125と、観察側に設けられた滑らかな凹凸状の面130b(以下、「凹凸面」と称する)とを有している。ここで、凹凸面130bは、開口部125の縁端(側壁面130e)から一定の距離d1(例えば「5μm」)だけ離れるように形成されており、開口部125と凹凸面130bとの間には、平坦性を有する平坦面130aが設けられている。なお、下地層130において、開口部125を形成する側壁面130eは平坦性を有しているが、この点については後ほど詳述する。
【0021】
図3の平面図および断面図に示されるように、半透過反射層140は、例えばアルミニウムなどの光反射性を有する材料が、下地層130のうち観察側の面上に略一定の膜厚にて薄膜形成されたものであり、その表面形状は下地層130の表面形状が反映されたものとなっている。具体的には、半透過反射層140は、滑らかな凹凸状の光反射部140b(以下「散乱反射面」と称する)と、この散乱反射面140bと、開口部125の縁端とを隔てるように位置する平坦な部分140a(以下「鏡面反射面」と称する。)とを有している。
【0022】
以上の構成のもと、半透過反射層140においては、バックライトユニット104(図1参照)から出射された光は、下地層130および半透過反射層140の開口部125を透過して観察側に出射する。一方、観察側から入射した外光は、鏡面反射面140aおよび散乱反射面140bの各々で反射するが、このうち散乱反射面140bでは、外光を散乱させつつ反射する。なお、説明の便宜上、以降の説明においては、第2基板120と、下地層130と、半透過反射層140とを含む半透過反射性を有する機能性基板を「半透過反射基板124」と称する。
【0023】
以上説明した第1基板110および第2基板120は、図1に示すように、シール材170を介して貼り合わされるとともに、両基板上の構造物と、シール材170とによって囲まれた領域に、例えばTN(Twisted Nematic)型などの液晶180が封止される。かかる構成のもと、観察側から液晶パネル102に外光が入射すると、外光は、半透過反射基板124により観察側に向けて散乱反射し、これにより反射型表示が実現される。一方、液晶パネル102の背面側から入射したバックライトユニット104の光は、下地層130および半透過反射層140の開口部125を通過して観察側に出射し、これにより透過型表示が実現される。
【0024】
<液晶装置の製造方法>
次に、液晶装置100の製造方法について説明する。以下では、液晶装置100のうち、特に半透過反射基板124の製造方法について重点的に説明する。なお、液晶装置100のうち半透過反射基板124以外の構成の製造方法については、本件発明と直接関係しないため、その説明は省略することとする。
【0025】
図4は、半透過反射基板124の製造工程を示すフローチャートである。また、図5は、同製造工程における処理内容を示す第2基板120の部分断面図である。なお、図5においては第2基板120のうち1つのドット160に対応する部分が示されている。この製造工程においては、まず、第2基板120上に感光性材料により下地層130を形成し、その下地層130の表面上に半透過反射層140を形成する。
はじめに、第2基板120を洗浄した後、乾燥する(図4:プロセスP1)。次に、図5(a)に示すように、第2基板120のうち観察側となる面に、例えばスピンコート法などにより、感光性材料の一種であるポジ型の感光性樹脂132を塗布する(図4:プロセスP2)。この感光性樹脂132としては、例えばPC405G(JSR株式会社製)などを用いることができる。その後、第2基板120に塗布した感光性樹脂132を減圧環境下において乾燥させ(図4:プロセスP3)、乾燥した感光性樹脂132を100℃から105℃の範囲にてプリベークする(図4:プロセスP4)。
【0026】
次に、プリベークした感光性樹脂132を、フォトマスクを用いて露光する(図4:プロセスP5)。ここで、図6は、露光に用いられるフォトマスク145のパターンを示す図である。この図に示されるように、フォトマスク145は、ガラスなどの光透過性を有する基板146に、図中斜線で示すクロムなどの遮光層147がパターンされたものである。フォトマスク145においては、液晶パネル102におけるドット160の各々に対応して、同一のパターンがマトリックス状に設けられている。したがって、以下、フォトマスク145のうち1つのドット160に対応する領域に着目して説明する。
【0027】
図6の拡大図に示されるように、フォトマスク145のうち1つのドット160に対応する領域には、下地層130を形成するための2種類の透光部(遮光層147が設けられていない部分)が含まれる。すなわち、中央に設けられた略長方形の開口用透光部146aと、その周辺に設けられる複数の凹凸用透光部146bとである。このうち開口用透光部146aは、下地層130の開口部125を形成するためのものであり、プリベークされた感光性樹脂132のうち開口部125に対応する部分に光を照射させるための透過領域である。なお、感光性樹脂132はポジ型であるため、光が照射されると、その部分は、後述の現像工程において現像液に溶解し除去される。
【0028】
一方、複数の凹凸用透光部146bの各々は、下地層130の凹凸面130bを形成するための微小な透過領域であり、開口用透光部146aの縁から距離「d2」以上離れた領域において分散するように設けられている。言い換えれば、フォトマスク145においては、開口用透光部146aの縁から距離「d2」だけ外側に離れた境界線145aを境界として、該境界線145aに囲まれる領域のうち、開口用透光部146aを除く領域は完全に遮光されている。この完全に遮光された領域145bは、下地層130の平坦面130aを確保するために設けられており、これ以降、便宜的に「平坦面形成用領域」と称することとする。
【0029】
このようなフォトマスク145にて露光すると、図5(b)に示すように、フォトマスク145の各凹凸用透光部146bを透過した光は、その強度に斑が生じた状態で、感光性樹脂132上面のうち下地層130の凹凸面130bに対応する領域まで到達する。これにより、感光性樹脂132においては、図中鎖線で示されるような滑らかな凹凸面まで光が作用する。なお、凹凸用透光部146bの透過光による強度斑は、フォトマスク145と感光性樹脂132とのギャップ(間隙)や、凹凸用透光部146bの形状(大きさ)、また、その数などを調整することにより制御することができる。
【0030】
一方、開口用透光部146aを透過した光は、感光性樹脂132のうち開口部125に対応する部分に到達し、その光は感光性樹脂132の最下部まで作用する。ここで、フォトマスク145には、平坦面形成用領域145bが設けられている。このため、開口用透光部146aを透過した光と、凹凸用透光部146bを透過した光とは、互いに干渉することなく、感光性樹脂132まで到達し、感光性樹脂132のうち下地層130の平坦面130aに対応する部分には光が照射されない。これにより、感光性樹脂132においては、開口用透光部146aによる透過光が作用する部分と、作用しない部分との境界面132fが略平坦となるように露光される。
【0031】
以上のようなフォトマスク145を用いた露光処理の後、感光性樹脂132に現像処理を施すと(図4:プロセスP6)、図5(c)に示すような感光性樹脂132が形成される。具体的には、開口部125の他、平坦性を有する平坦面132aと、凹凸を有する凹凸面132bとを含む感光性樹脂132が形成される。ここで、露光工程で使用したフォトマスク145には、平坦面132aを形成するための平坦面形成用領域145bが設けられていた。したがって、現像された感光性樹脂132においては、凹凸面132bは、開口部125を形成する側壁面132eから離間するように位置しており、該側壁面132eは平坦性を有している。
【0032】
このように本実施形態によれば、感光性樹脂132のうち開口部125の側壁面132eが略平坦となるように露光されているため、従来技術と比較して、現像時に側壁面132eの一部が剥離するといった問題が生じない。したがって、半透過反射基板124の品質が向上し、ひいては液晶装置100の品質を向上させることが可能となる。
【0033】
ここで、感光性樹脂132(下地層130)において、側壁面132eから凹凸面132bをどの程度離間させるべきかについて説明する。側壁面132eと凹凸面132b間の距離d1は、側壁面132eの平坦性を確保するという観点から見ると離れている方が好ましいが、逆に、半透過反射層140における散乱反射性を確保するという観点から見ると近い方が好ましい。本発明者によれば、距離d1がおおよそ「5μm」以上であれば、側壁面132eの平坦性を十分に確保できることが確認されており、さらに、距離d1がおおよそ「12μm」以下であれば、半透過反射層140の散乱反射性を十分に確保できることが確認されている。したがって、半透過反射層140の散乱反射性と、側壁面132eの平坦性との両方を確保するという観点からいうと、距離d1はおおよそ「5〜12μm」の範囲内であることが望ましい。なお、距離d1は、フォトマスク145(図6参照)における開口用透光部146aの縁から境界線145aまでの距離d2を調整することにより変更することができる。
【0034】
このようにして、感光性樹脂132の現像工程が終了すると、次いで、感光性樹脂132にUVを照射する。本実施形態で用いた感光性樹脂132(PC405G)は、黄色味を帯びており、UVを照射することにより黄色味が除去され光透過性が向上する。これは、もし仮に下地層130が着色されていたとすると、半透過反射基板124における外光の反射時に、その色が反射光に反映されてしまうため、その改善を目的としている。なお、この工程は、本実施形態で用いた感光性樹脂132についての特有の工程であり、半透過反射基板124の製造において必須の工程ではない。
この後、感光性樹脂132を、例えば「220℃」にて50分間焼成する(図4:プロセスP7)。これにより、開口部125と、凹凸面130bとを有する下地層130が形成される。
【0035】
次いで、図5(d)に示すように、第2基板120のうち下地層130が形成された面に、例えばスパッタリングなどにより、半透過反射層140となるアルミニウムまたはアルミニウム合金を略一定の厚みにて、下地層130を覆うように形成する(図4:プロセスP8)。次に、図5(e)に示すように、アルミニウム層のうち開口部分を除去すべく、マスク142形成する。具体的には、下地層130の開口部125に対応する部分以外の領域をマスク142で覆う。そして、アルミニウム層のうちマスク142で覆われていない部分をエッチングした後、マスク142を除去すると、図6(f)に示すように開口部125と、凹凸状の散乱反射面140bとを有する散乱反射型の半透過反射基板124が製造される。
【0036】
引き続き、半透過反射層140が形成された第2基板120上に構造物を形成する方法について前掲図1を参照して説明する。以上のようにして半透過反射層140が形成されると、続いて、第2基板120の反射面側(観察側)に、例えばクロムからなる薄膜を、例えばスパッタリング法などにより形成する。この後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて当該薄膜をパターニングすることにより、格子状の遮光層151を得る。また、遮光層151は、特定の材料によって形成されることに限られず、例えば、着色層を構成するカラーフィルタ150R,150G,150Bの各着色層を二色または三色重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。
【0037】
続いて、第2基板120における半透過反射層140上に赤色、緑色および青色のカラーフィルタ150R、150Gおよび150Bの各々を、マトリックス状に形成する。これらのカラーフィルタ150R、150G、150Bの形成方法としては、例えば、顔料により着色された感光性樹脂により形成することができる。
【0038】
次いで、カラーフィルタ150R、150G、150Bおよび遮光層151を覆うようにITOからなる薄膜を形成し、これをパターニングすることによってデータ線152を形成する。そして、これらのデータ線152を覆うように配向膜154を形成し、配向膜154の表面にラビング処理を施す。
【0039】
以上が第2基板120上に設けられる各構造物の製造方法である。この製造方法により得られた第2基板120と、画素電極114、走査線116、TFD素子115および配向膜118が形成された第1基板110とを、互いの配向膜118、154を対向させた状態でシール材170を介して貼り合わせる。次いで、両基板110、120とシール材170とによって囲まれた空間に液晶180を注入し、その後、図示せぬ封止材により液晶180が注入された空間を封止する。そして、一体化された第1基板110および第2基板120の各々の外側の面に、位相差板111、121と偏光板112、122とを貼着することによって、液晶表示パネルが完成する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法によれば、下地層130(感光性樹脂132)の現像処理時に樹脂片が剥離するおそれがないため、現像工程において、感光性樹脂132の側壁面132eの一部が剥離するといった問題や、一旦剥離した樹脂片が感光性樹脂132に再付着するといった問題などの不具合を解消することができる。この結果、下地層130の剥離を起因として、液晶装置100の品質低下や、不具合などが生じることがない。
【0041】
<変形例>
なお、上述した実施形態はあくまでも例示であり、上記実施形態に種々の変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考え得る。
【0042】
上述した実施形態においては、下地層130(半透過反射層140)に形成された開口部125は、各ドット160の略中央に位置するように形成されていたが、これに限らない。例えば、図7(a)に示すように、ドット160の四隅に、開口部125を1つずつ形成しても良いし、また、図7(b)に示すように、ドット160の両側に沿って開口部125を1列ずつ形成しても良い。このように開口部125がいずれの位置に形成された場合であっても、開口部125の縁端に沿って平坦面130aが形成されるように露光することにより、下地層130は、その側壁面130eが略平坦となるように不溶化される。これにより、上記実施形態と同様に、現像工程において、下地層130(感光性材料)の剥離が生じるおそれがない。
【0043】
また、上記実施形態にかかる半透過反射基板124は、第2基板120、下地層130および半透過反射層140の3層構造のものを示したがこれに限られない。例えば、図8は、4層構造の半透過反射基板126を示す部分断面図である。この図において、下地層130と、半透過反射層140との間に設けられた中間層135は、下地層130の凹凸面130bの傾斜変化を吸収する役割を果たす。このような中間層135を設けることにより、下地層130の凹凸面130bが急峻である場合に、その凹凸形状をなだらかにしつつ、下地層130の凹凸形状を半透過反射層140の散乱反射面140bに反映させることができる。これにより、半透過反射基板126における散乱反射面の形状を、散乱特性に応じて形成することができる。
【0044】
くわえて、上記実施形態においては、露光により溶解するポジ型の感光性材料を用いて半透過反射基板124を製造したが、露光により不溶化するネガ型の感光性材料を用いることも可能である。図9は、ネガ型の感光性樹脂を用いて形成された半透過反射基板128の断面図である。この図に示すように、半透過反射基板128は、第2基板120と、複数の下地層134と、中間層136と、半透過反射層140とを有する。このうち、下地層134の各々は、ネガ型の感光性樹脂により形成されたものであり、基板120上において、互いに離間した位置にて突出するように設けられている。中間層136は、感光性材料などであり、開口部125を除く領域に、第2基板120と下地層134とを覆うように薄膜形成されている。この中間層136の表面は、第2基板120の面と、下地層134の表面とによる凹凸が反映された凹凸状になっており、さらにその上方に、半透過反射層140が積層されている。
ここで、下地層134の各々は、その製造工程において、基板120面のうち、開口部125の端部近傍には形成されないように露光処理されたものである。したがって、開口部125と、下地層134が形成されている領域との間には、平坦面120aが設けられているといえる。ここで仮に、平坦面120aを考慮せずに露光したとすると、図13に示すように、下地層512が、開口部125の端部に近接配置されたり、下地層512が、開口部125の端部を跨ぐように形成されたりするため、中間層514の側壁面514e近傍と、基板120との密着性が低下するおそれがある。したがって、中間層514の形成工程において、開口部125を取り除くための現像時に、側壁面514eの一部が剥離してしまう可能性がある。
これに対し、図9に示す半透過反射基板128においては、平坦面120aには、下地層134が形成されていないため、その中間層136の現像時に、側壁面136eの一部が剥離するといった不具合が生じることがない。
【0045】
また、上述した実施形態では、電気光学装置として、液晶装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管、液晶シャッター等を用いた小型テレビ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
最後に、以上説明した液晶装置100を搭載した電子機器について説明する。例えば、図10は、液晶装置100を表示部として有する携帯電話機300の外観図である。この図において、携帯電話機300は、複数の操作ボタン310の他、受話口320、送話口330とともに、電話番号などの各種情報を表示する表示部として、上記液晶装置100を備えている。
また、携帯電話機300以外にも、液晶装置100(電気光学装置)は、コンピュータや、プロジェクタ、デジタルカメラ、ムービーカメラ、車載機器、複写機、オーディオ機器などの各種電子機器の表示部として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる液晶装置の断面図である。
【図2】 同液晶装置の分解斜視図である。
【図3】 同液晶装置に含まれる半透過反射基板の平面および断面を示す図である。
【図4】 同半透過反射基板の製造方法を示す工程図である。
【図5】 同製造方法における各工程の様子を示す図である。
【図6】 同半透過反射基板の製造に用いられるフォトマスクを示す平面図である。
【図7】 同実施形態の変形例にかかる下地層の形状を示す図である。
【図8】 同実施形態の変形例にかかる半透過反射基板の部分断面図である。
【図9】 同実施形態の変形例にかかる半透過反射基板の部分断面図である。
【図10】 同液晶装置を搭載した電子機器の一例を示す図である。
【図11】 従来の半透過反射層およびその周辺構成の図である。
【図12】 従来の半透過反射層の下地層の形成に用いられるフォトマスクを示す平面図である。
【図13】 同実施形態にかかる変形例の対比例を示す断面図である。
【符号の説明】
100 液晶装置、102 液晶パネル、104 バックライトユニット、110 第1基板、114 画素電極、115 TFD素子、116 走査線、118,154 配向膜、120 第2基板、124 半透過反射基板、125 開口部、130 下地層、130a,132a 平坦面、130b,132b 凹凸面、130e 側壁面、140 半透過反射層、140a 鏡面反射面、140b 散乱反射面、145 フォトマスク、145b 平坦面形成用領域、146a 開口用透光部、146b 凹凸用透光部、150R、150G、150Bカラーフィルタ、152 データ線、160 ドット、180 液晶、300携帯電話機。
Claims (10)
- 光を透過させるための透光部を有すると共に、凹凸状の光反射部を有する半透過反射基板の製造方法であって、
基板に感光性材料を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された前記感光性材料に対する現像処理において、前記透光部の縁端と離間するように位置する凹凸面が前記感光性材料により形成されるべく、前記感光性材料に対して露光する露光工程と、
前記露光工程により露光された感光性材料を現像する現像工程と、
前記現像工程により現像された感光性材料のうち、前記露光工程により形成された凹凸面上に光反射性を有する反射層を形成する反射層形成工程と、
を有することを特徴とする半透過反射基板の製造方法。 - 前記露光工程において、前記開口部の縁端と、前記凹凸面の縁端とが、5μm以上離間するように露光する
ことを特徴とする請求項1に記載の半透過反射基板の製造方法。 - 前記露光工程において、前記開口部の縁端と、前記凹凸面の縁端とが、12μm以下に離間するように露光する
ことを特徴とする請求項2に記載の半透過反射基板の製造方法。 - 前記反射層形成工程は、
前記感光性材料の前記凹凸面上に、該凹凸形状の一部を吸収する凹凸吸収層を形成する凹凸吸収層形成工程と、
前記凹凸吸収層形成工程において形成された凹凸吸収層上に、光反射性を有する表面反射層を形成する表面反射層形成工程とを含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半透過反射基板の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の半透過反射基板の製造方法を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 光を透過させるための透光部を有すると共に、凹凸状の光反射部を有する半透過反射基板であって、
感光性材料に対する現像処理により基板上に形成された下地層であり、前記透光部となる開口部と、前記開口部の縁端から離間するように位置する凹凸面とを含む下地層と、
前記下地層のうち前記凹凸面上に位置するように設けられ、光反射性を有する反射層と、
を具備することを特徴とする半透過反射基板。 - 請求項6に記載の半透過反射基板を含むことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項7に記載の電気光学装置を、表示部として有することを特徴とする電子機器。
- 透光部と、凹凸状の光反射部とを有する電気光学装置用基板であって、
基板と、
前記基板上に設けられていて表面に複数の凹部及び凸部を有する感光性樹脂層と、
前記感光性樹脂層上に形成された反射層とを有し、
前記反射層は、前記透光部に対応する領域には形成されておらず、
前記凹部は、前記透光部の縁端と交差しないように形成されている
ことを特徴とする電気光学装置用基板。 - 前記感光性樹脂層は、前記透光部の縁端の近傍の表面が平坦であることを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置用基板。
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