JP3602924B2 - Lcフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路に使用されるEMI(Electro Magnetic Interference:電磁波干渉)対策用のフィルタに係り、入出力インピーダンスに依存しない分布定数線路を用いたLCフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分布定数型のLCフィルタとしては、フィードスルー型のLCフィルタが主流であり、コネクタなどに用いたものが存在する。
図8は、従来の分布定数型LCフィルタの構成例を示すフィードスルー型のローパスフィルタであり、(a)は断面図、(b)は等価回路を示す。
図8(a)に示すLCフィルタでは、導電性の外皮11の中に、導電性の真線12が挿通されており、この真線12がフェライトなどの磁性体13に覆われ、その上から誘電体14によって被包されている。すなわち、真線12を磁性体13によって包むことにより、単位長当たりのインダクタンス誘導成分L1を分布的に増大させている。また、真線12と外皮11との間に介在する誘電体により、単位長当たりのキャパシタンス(容量)成分C1が分布的に形成される。よって、分布的に有する前記インダクタンス成分L1とキャパシタンス成分C1により、LCフィルタが形成されている。
【0003】
等価回路は、図8(b)に示されるように、始点から終点に向かう線路上において、真線12と磁性体13によって形成される単位長当たりの抵抗成分R1とインダクタンス成分L1とが直列に分布的に配される。さらに真線12と外皮11との間には、磁性体13および誘電体14により形成されるキャパシタンス成分C1および単位長当たりの漏れ抵抗G1が並列に分布的に接続されるものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8(b)に示される等価回路において、フィルタの始端(左端)側からパルス方形波などの進行波が入射された場合に、以下に示すような問題が起こる。
例えば、フィルタの特性インピーダンス(L/C)をZFとし、この回路に接続される負荷(他の線路又は回路)の特性インピーダンス(フィルタの出力インピーダンス)をZ0とした場合において、ZF≠Z0であるときには、フィルタ側に反射波および負荷側に透過波が発生することが知られており、(ZF−Z0)/(ZF+Z0)=mが反射係数である。
例えば、ZF=Z0/2とした場合には、反射係数mは−1/3である。この場合において、V0のパルス方形波がフィルタに入射されたとすると、負荷側に透過する透過波は(2/3)V0となり、(1/3)V0は反射波としてフィルタ側に反射される。
【0005】
すなわち、フィードスルー型のローパスフィルタでは、フィルタの減衰量を反射で稼ぐ構造となっており、出力インピーダンスが変わると、上記反射係数mの値も変化することとなる。以上のことは、フィルタの入力側に接続される場合にも同様であり、従来の分布定数型のフィルタでの減衰量は、入出力インピーダンスによる影響に大きく左右されていた。したがって、インピーダンスの異なる電子機器の線路どうしを接続した場合には、期待通りに減衰が行われないことがあった。また、これを防止するためには、その間に適当な特性インピーダンスの線路を付加して整合を取る必要があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、入出力インピーダンスに依存せず、その特性を維持することを可能とした分布定数線路を用いたLCフィルタ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
さらに本発明は、チップ型フィルタとして製造することで、その積層数を極力少なくして製造コストを押さえた分布定数線路を用いたLCフィルタを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるLCフィルタは、電極体と、前記電極体の上部に設けられた誘電体と、前記誘電体の上部に全体として非直線状のパターンで形成された導電部材と、抵抗成分を有し且つ前記導電部材のパターンに倣いながら前記導電部材の全長を直接覆う磁性部材とを備え、
前記導電部材と前記電極体との間の前記誘電体によって分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記磁性部材および導電部材に分布的に形成されるインダクタンス成分と、前記磁性部材によって前記分布的に形成されるインダクタンスのそれぞれの成分に対して並列に接続される抵抗成分とを有することを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成によるLCフィルタは、回路中に挿入したフィルタに入射する信号レベルが基準レベルから3dBの減衰を生じる周波数(遮断周波数)よりも低周波領域の信号に対しては、該信号が前記インダクタンス成分を通過するので、LCフィルタとして機能することにより信号を通過させることができる。また本発明のLCフィルタは、遮断周波数以降はRC分布定数線路となる。RC分布定数線路は、抵抗成分による損失を持つ分布定数線路であるから、高い周波数(短い波長)ほど線路の入り口から出口まで通るときの振動が多くなり、信号が減衰される。よって、高い信号ほど減衰され、フィルタとして機能することができる。
【0010】
このように、本発明の分布定数線路を用いたLCフィルタは、フィルタの特性インピーダンスと入出力インピーダンスとの差に依存することなく、遮断周波数よりも低周波領域の信号に対しては、LCフィルタとして機能し、一方、遮断周波数よりも高周波領域の信号に対しては、RCフィルタとして機能することができる。
【0011】
また、前記導電部材のパターンが蛇行した形状または渦巻きの形状であり、前記導電部材を覆う磁性部材が、隣り合う磁性部材間で互いに離れているものが好ましい。
かかる構成により、単位面積当たりの前記導電体の長さを大きく設定することができるので、LCフィルタによる信号の減衰量を大きくすることができ、減衰特性に優れたLCフィルタを提供することができる。
【0012】
また前記磁性部材の上に、前記蛇行または渦巻きに対して横設する抵抗バーが設けられているものが好ましい。
これにより、遮断周波数を低下させる方向で微調整することができる。
この場合、前記磁性部材が、Fe 16 Zr 12 O 27 であるものが好ましい。また、前記遮断周波数が500MHz以下の範囲にあるのが好ましい。LCフィルタの遮断周波数を大きくするためにインダクタンス成分とキャパシタンス成分との値を小さくすると、該インダクタンス成分、キャパシタンス成分の大きさに対して、前記磁性部材と導電部材とによる浮遊容量や前記電極部材によるインダクタンスが大きくなってしまい、その結果十分大きな減衰量が得られないので、上記範囲が望ましい。
【0013】
また本発明のLCフィルタの製造方法は、少なくとも、
(a)基板の表面に電極体を形成する工程と、
(b)前記電極体の表面に誘電体を形成する工程と、
(c)前記誘電体の表面に所定の形状からなる抵抗成分を有する下部磁性部材を形成する工程と、
(d)前記下部磁性部材上に導電部材を形成する工程と、
(e)抵抗成分を有する上部磁性部材を前記下部磁性部材に沿ってパターニングすることにより、前記導電部材の全長を被包する工程と、
(f)前記基板を真空中で磁界を印加した状態でアニールする工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0014】
上記においては、前記(c)および(e)の工程では、前記上部磁性部材および下部磁性部材がスパッタ法により形成されるものが好ましい。
【0015】
また前記上部磁性部材および下部磁性部材が、スパッタ成膜時にアモルファス状態にあり、アニール後に微結晶状態になるFe系酸化物であるものが好ましく、例えば前記磁性部材が、Fe16Zr12O27である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明におけるLCフィルタについて図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明における分布定数線路を用いたLCフィルタの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A線に沿った断面図、図2は、図1に示すLCフィルタの等価回路図である。
図1におけるLCフィルタでは、基板1の上面に下部電極体2および誘電体3が積層されている。また、下部磁性部材4と上部磁性部材6とによって被包された導電部材5が、誘電体3の上面にいわゆる蛇行した形状に積層されて形成されている。導電部材5としては、例えば銅薄などを使用することができる。
【0017】
下部磁性部材4および上部磁性部材6は、成膜時にアモルファス状態で熱処理後に微結晶材料となる鉄系微結晶材料、例えばFe−M−Oが使用される。なお、Feは鉄、Oは酸素、MはZr(ジルコニウム)などの金属元素であり、下部磁性部材4および上部磁性部材6に被包された導電部材5のインダクタンス値を大きなものとすることができる。
そして、これらの上部には、例えば感光性ポリイミドなどのレジスト材料を塗布した絶縁膜7が、所定の作業工程により所定の形に形成されている。
【0018】
また、前記導電部材5の端部5a,5bは図示上方に引き出され、絶縁膜7の表面に形成したバンプ電極8a,8bと電気的に接続されている。さらに、下部電極体2からは、下部磁性部材4および上部磁性部材6が形成されていない領域にて導電部材(図示せず)が図示上方に引き出され、絶縁膜7の表面に形成したバンプ電極9,9と電気的に接続されている。
【0019】
図1(a),(b)のLCフィルタでは、上記構成とすることにより、導電部材5のインダクタンス成分と、この導電部材5と下部電極体2との間に介在される誘電体3による容量Cとを各々分布的に存在することができる。また、チップ型フィルタとして製造することで、分布定数線路を用いたLCフィルタを小型化することが可能となり、回路基板などに容易に組み込むことができるものとなる。
【0020】
図2の等価回路では、導電部材5が本来潜在的に有するインダクタンス成分に加え、導電部材5を被包する磁性材料(下部磁性部材4および上部磁性部材6)により形成されるインダクタンス成分が重畳された合計値としてのインダクタンス成分L0が示されている。また、導電部材5には、前記インダクタンス成分L0と直列的に導電部材5による抵抗Rが存在するが、導電部材5を磁性材料(下部磁性部材4および上部磁性部材6)によって被包することにより、さらにこのインダクタンス成分L0と並列的に抵抗成分rを存在させることができるものとなっている。
【0021】
次に、本発明によるLCフィルタを基板上に形成する方法について説明する。まずガラスからなる基板1上に、スパッタ法により銅からなる電極体2を3μmの厚さで形成し、ついで電極体2の上にTa2O5からなる誘電体3を0.6μmの厚さで形成した。基板1としては、石英、ソーダガラスなどであってもよいが、加工性、コスト等の点からシリコン基板を用いるのが好ましい。また誘電体3としては、SiO2、Si3N4等が有効である。
【0022】
ついで、誘電体3の上にFeZrO膜をスパッタ法により2μmの厚さで形成した後、リフトオフ法により、蛇行した形状の下部磁性部材4を幅84μmの薄帯が94μmピッチで総長が9mmとなるように形成した。ここで、Fe系微結晶材料としては、Fe61Zr12O27(Feが61at%、Zrが12at%、Oが27at%のもの)を用いたが、スパッタ成膜時にアモルファス状態であり、その後加熱により微結晶状態となるFe系微結晶材料であれば大きな透磁率を有することから、インダクタンス成分を大きな値に設定するのに有効である。例えば、Fe系微結晶材料として、Hf,Y,CeおよびTiのうちの少なくともひとつの元素とを含有するFe系酸化物が好ましい。
【0023】
ついで、下部磁性部材4上に、スパッタ法により銅からなる導電層を0.7μmの厚さで形成した後、リフトオフ法により、下部磁性部材4の中心線に沿って幅32μmの導電部材5を形成した。ついで、この導電部材5の上にスパッタ法によりFe61Zr12O27膜を2μmの厚さで形成した後、上部磁性部材6が導電部材5を覆いかつ下部磁性部材4と完全に重なるようにパターンニングして形成した。このように導電部材5は、下部磁性部材4と上部磁性部材6とに埋設された構造となる。
このようにして得た基板1を真空中で磁界を印加した状態で300℃にて3時間アニールした。これにより、スパッタ成膜時にアモルファス状態であったFe61Zr12O27膜を微結晶状態とすることでインダクタンス値を大きくした。
【0024】
次に、基板1の全面にスピンコーティング法によりポリイミド(日産化学社製:サンエバーRN812)からなる絶縁膜7を5μmの厚さで形成した。ついでフォトリソ法により、下部磁性部材4および上部磁性部材6が形成されていない領域にて、絶縁膜7の表面から下部電極体2に至る2つの孔をΦ80μmで形成するとともに、導電部材5の両端部5a,5b上にて、絶縁膜7の表面から上部磁性部材6を通して導電部材5に至る2つの孔をΦ80μmで形成した。次に、これら4つの孔の中に電解メッキ法により銅を充填し、ついで該充填した銅の上に、外部端子と接続するためのバンプ電極8a,8b,9,9を形成して本発明のLCフィルタを作成した。
【0025】
ここで、下部磁性部材4を蛇行した形状に形成したが、この他に、渦巻きの形状としてもよい。ところで、LCフィルタのサイズを変えることなく減衰量を大きくするには、単位面積当たりの導電部材5の長さを大きくしなければならないことから、導電部材5を蛇行した形状または渦巻きの形状にて形成するのが好ましい。
【0026】
また本発明によるLCフィルタは、基板1上に電極体2、誘電体3、下部磁性部材4、導電部材5および上部磁性部材6が順に重なるように積層される構造とするのが好ましい。このような構造では、平坦な電極体2の上に誘電体3を形成できるので、誘電体3を絶縁耐圧不良を生ずることなくより薄い膜厚にて形成できる。したがって、電極体2および導電部材5の間の誘電体3により分布的に増量される誘導成分を大きな値に設定できるものとなるから、LCフィルタの遮断周波数をより低周波領域にまで設定することができる。
【0027】
また本発明は、前記遮断周波数が500MHz以下の範囲にあるのが好ましい。LCフィルタの遮断周波数を大きくするためにインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の値を小さくすると、該インダクタンス成分、キャパシタンス成分の大きさに対して、前記磁性部材と導電部材とによる浮遊容量や前記電極体によるインダクタンスが大きくなってしまい、その結果大きな減衰量が得られない。かかる構成により、遮断周波数を高周波領域に設定しても優れた減衰特性を有するLCフィルタを提供することができる。
【0028】
一方、基板1上に下部磁性部材4,導電部材5,上部磁性部材6,誘電体3および電極体2を順に積層してなるLCフィルタは、誘電体3の膜厚が上部磁性部材6のコーナー部で薄く形成されるものとなる。したがってこの構造によれば、誘電体3上に形成する電極体2と下部磁性部材4との間に絶縁不良を生じやすくなるので、誘電体3の膜厚をより厚く設定しなければならない。このため、電極体2と導電部材5との間の誘電体3により分布的に増量される誘導成分を大きくできないので、LCフィルタの遮断周波数を大きく設定することが困難となる。
【0029】
また、本発明によるLCフィルタをチップ部品に適用することを考慮すると、導電部材5を蛇行した形状とするのが好ましい。
一般には、チップ部品のバンプ電極の形成位置が図1(a)に示すバンプ電極8a,8b,9,9の位置にある。ここで、導電部材5が蛇行した形状の場合、基板1上にて導電部材5の両端部5a,5bを前記バンプ電極の直下に位置するように設定できるので、この位置関係をそのまま利用して、導電部材5の両端部5a,5bとバンプ電極8a,8bとを簡単に電気的に接続できる。これに対して導電部材5が渦巻きの形状の場合、電極を取り出すべき前記渦巻きの中心部を基板1上にてバンプ電極の位置にまで引き出すことができないので、この引き出しのための新たな工程、マスクおよび絶縁膜を追加する必要がある。
【0030】
次に、本発明のLCフィルタの電気的特性の測定結果を説明する。
まず、このLCフィルタについて挿入減衰量と周波数との関係をネットワークアナライザー(HP社製8753B)を用いて測定した。ここで、入力インピーダンスを50Ωおよび出力インピーダンスを50Ωとして測定するとともに、入力インピーダンスを50Ωおよび出力インピーダンスを3KΩとして測定した。また比較のため、従来のLCフィルタについても同じ条件で測定した。その結果を図3に示す。
【0031】
図3において、縦軸を挿入減衰量(dB)、横軸を周波数(MHz)とした。符号(1)(2)が従来のLCフィルタによる測定結果の一例を示し、符号(3)(4)が本発明によるLCフィルタの測定結果を示している。また、符号(1)、(3)が50Ω−50Ω、符号(2),(4)が50Ω−3KΩを示している。例えば、50Ω−50Ωとは、LCフィルタの入力インピーダンスを50Ω、出力インピーダンスを50Ωとして測定したものである。
【0032】
従来のLCフィルタは、入出力インピーダンスが50Ω専用のものであるので、符号(1)に示す入出力インピーダンスが50Ω−50Ωの場合には、優れた特性を示すものとなっている。しかし、符号(2)で示すように、出力インピーダンスが3KΩである場合には、点(ア)の位置(遮断周波数13MHz付近)でピークを持つものとなっている。すなわち、従来のフィルタは、所定の出力インピーダンス(この例では、50Ω)以外のものには対応できないものであり、入出力インピーダンスに依存してフィルタの特性が変化してしまっている。
【0033】
これに対し、本発明のフィルタでは、符号(3),(4)に示すように、例えば出力インピーダンスが50Ωであっても、また3KΩであっても従来のフィルタのように遮断周波数付近でピークを持つようなことはなく、多少のゲインの差はあるもののほとんど同じように減衰できるものとなっている。すなわち、本発明のフィルタは、出力インピーダンスに影響を受けないものとなる。
【0034】
図4は、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形の一例を示し、(a)は50Ω−50Ω系、(b)は50Ω−3KΩ系である。図4において、縦軸が電流(A)、横軸が時間(μsec)を示す。
図4では、フィルタ挿入前に2MHz,1Aの電流を出力インピーダンス側に流した場合の基本波(符号(7)および(10))に対し、従来のLCフィルタを挿入した場合((8)および(11))、本発明のLCフィルタを挿入した場合((9)および(12))の測定結果を示している。また、符号(8),(9)は出力インピーダンスが50Ωの場合、符号(11),(12)は出力インピーダンスが3KΩの場合をそれぞれ示している。
【0035】
図4(a)に示す(出力インピーダンス50Ω)において、基本波(7)に対し従来のフィルタの波形(8)は、50Ω専用のフィルタであるのでほとんど減衰がなく(約0.98A)と優れた特性を示している。これに対し、本発明のフィルタでは、約0.86Aとやや劣るものの、ゲインでは−20Log10(0.86)=−1.31dB程度であり、−3dB下がった遮断周波数には達しておらず、従来のフィルタに対しそれほど劣るものではない。
【0036】
しかしながら、図4(b)(出力インピーダンス3KΩ)では、基本波(10)に対し従来のフィルタは、信号の立ち上りおよび立ち下がりにともに振動を生じている。これに対し、本発明のフィルタでは、時定数の関係上、立ち上りおよび立ち下がりの時間に多少鈍りがあるものの、出力インピーダンス50Ωの場合よりも優れた特性を示すものとなっている。よって、本発明のフィルタは、異なる出力インピーダンスが接続された場合であっても、出力波形に変化を与えることがなく、入出力インピーダンスの影響を受けず機能できるものであることが測定結果よりわかる。すなわち、本LCフィルタを使用する際には、入出力インピーダンスを問わないということができる。
【0037】
(実施例2)
本実施例において実施例1と異なる点は、誘電体3の膜厚を1.2μmとしたことにある。その他の構成については、実施例1と同様の条件にてLCフィルタを作成しており、またLCフィルタの電気的特性の測定についても実施例1と同様の方法とした。
【0038】
図3は、本実施例によるLCフィルタの挿入減衰量と周波数との関係を示し、図5は、入力インピーダンスと出力インピーダンスとが異なる場合の信号応答波形の一例を示している。
図3において、(5),(6)は本実施例によるLCフィルタの挿入減衰量と周波数との関係を示す。また図5において、符号(13),(15)は20MHz、1Aの電流を出力インピーダンス側に流した場合の基本波であり、符号(14),(16)は本実施例によるLCフィルタを挿入した測定結果を示している。
【0039】
図3の(5),(6)から明らかなように、本実施例によるLCフィルタは、例えば出力インピーダンスが50Ωであっても、また3KΩであっても従来のフィルタのように遮断周波数付近でピークを持つようなことはなく、多少のゲイン差はあるもののほとんど同じように減衰できるのものとなる。
また図5から明らかなように、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形は、実施例1のLCフィルタと同様に、異なる出力インピーダンスが接続された場合であっても、入出力インピーダンスの影響を受けずに機能できるものであることが分かった。
【0040】
以上明らかなように、誘電体3によって分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記下部磁性部材4、上部磁性部材6および導電部材5に分布的に形成されるインダクタンス成分とを実施例1と異なった値に設定しても、本発明によるLCフィルタは実施例1と同様の効果を有することが分かった。
【0041】
(実施例3)
図6は、本発明におけるLCフィルタの他の構成例を示す。
図6において、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はB−B線に沿った一部拡大断面図である。また図7は、本実施例によるLCフィルタの等価回路である。本実施例において、実施例1と同じ構成部材については、実施例1と同じ符号を使用して示す。
本実施例によるLCフィルタの構造が実施例1によるLCフィルタと異なる点は、下部磁性部材4と上部磁性部材6上に、下部磁性部材4および上部磁性部材6が蛇行して延びる方向に横設するように抵抗バー10が形成されていることである。
【0042】
次に、本発明によるLCフィルタを基板上に形成する方法について説明する。
まず、ガラスからなる基板1上に、スパッタ法により銅からなる電極体2を3μmの厚さで形成し、ついで電極体2の上にTa2O5からなる誘電体3を0.6μmの厚さで形成した。次に誘電体3の上にFe61Zr12O27膜をスパッタ法により2μmの厚さで形成し、ついでリフトオフ法により、蛇行した形状の下部磁性部材4を幅84μmの帯が94μmピッチで総長が9mmとなるように形成した。
【0043】
ついで、下部磁性部材4上に、スパッタ法により銅からなる導電体層を2μmの厚さで形成した後、リフトオフ法により、下部磁性部材4の中心線に沿って幅32μmの導電部材5を形成した。次に、この導電部材5の上にスパッタ法によりFe61Zr12O27膜を2μmの厚さで形成し、さらにリフトオフ法により、下部磁性部材4と同一形状の上部磁性部材6が導電部材5を覆いつつ下部磁性部材4と完全に重なるように形成した。
このようにして得た基板1を、真空中で磁界を印加した状態で300℃にて3時間アニールした。これにより、スパッタ成膜時にアモルファス状態であったFe61Zr12O27膜を微結晶状態とすることでインダクタンス値を大きくした。
【0044】
次に、基板1の全面にわたってFe61Zr12O27膜からなる抵抗体層を厚さ0.2μmで形成した後、リフトオフ法により抵抗バー10を幅10μmにて形成した。この抵抗バー10は、図6に示すように、下部磁性部材4と上部磁性部材6上に、下部磁性部材4および上部磁性部材6が蛇行して延びる方向に横設するように形成した。
【0045】
次に、基板1の全面にスピンコーティング法により、ポリイミド(日産化学社製:サンエバーRN812)からなる絶縁膜7を形成した。ついでフォトリソ法により、下部磁性部材4および上部磁性部材6の形成されていない領域にて、絶縁膜7の表面から下部電極体2に至る2つの孔をΦ80μmで形成するとともに、導電部材5の両端部5a,5b上にて、絶縁膜7の表面から上部磁性部材6を通して導電部材5に至る2つの孔をΦ80μmで形成した。この後、これら4つの孔の中に電解メッキ法により銅を充填し、該充填した銅と電気的に接続するように、外部端子と接続するためのバンプ電極8a,8b,9,9を形成して本発明のLCフィルタを作成した。
【0046】
図7は、本実施例によるLCフィルタの等価回路を示している。
この抵抗バー10を挿入することにより、図2に示す等価回路上では抵抗rに並列的に抵抗が挿入されたものとなる。よって、インダクタンス成分L0と並列的な抵抗成分rの値が低下するので、遮断周波数を低下させることが可能となる。
【0047】
以上得られた本実施例によるLCフィルタの遮断周波数を測定したところ、25MHzであった。これに対して、抵抗バー10が形成されていないLCフィルタの遮断周波数が63MHzだった。
また、例えば抵抗バー10の長さを半分、1/4などに設定することにより、蛇行した形状に形成されている導電部材の抵抗rを任意に設定することが可能となり、さらに細かく遮断周波数を設定することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明のLCフィルタによれば、電極体と、該電極体上に設けた誘電体と、該誘電体上に設けた磁性部材と、該磁性部材に埋設した導電部材とからなる構成とすることにより、前記誘電体に分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記磁性部材および導電部材に分布的に形成されるインダクタンス成分と、磁性部材にて低周波領域から遮断周波数を超えた高周波領域において前記低周波領域に比較して分布的に増量される抵抗成分とを有するので、特定インピーダンスと入出力インピーダンスとの差に依存することなく、遮断周波数よりも低周波領域の信号に対しては、LCフィルタとして機能し、遮断周波数よりも高周波領域の信号に対しては、RCフィルタとして機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における分布定数線路を用いたLCフィルタの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A線に沿った断面図。
【図2】図1のLCフィルタの等価回路図。
【図3】本発明におけるフィルタと従来のフィルタの挿入減衰量を示す周波数特性図。
【図4】実施例1によるLCフィルタに関して、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形を示し、(a)は50Ω−50Ω系,(b)は50Ω−3KΩ系の信号応答波形図。
【図5】実施例2によるLCフィルタに関して、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形を示し、(a)は50Ω−50Ω系、(b)は50Ω−3KΩ系の信号応答波形図。
【図6】本発明のフィルタの遮断周波数を低下させるための一構成例を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のB−B線に沿った断面図。
【図7】図6のLCフィルタの等価回路図。
【図8】(a)は従来の同軸型の分布定数型フィルタの構成例を示すフィードスルー型のローパスフィルタの断面図、(b)は(a)の等価回路図。
【符号の説明】
1 基板
2 電極体(下部電極体)
3 誘電体
4 下部磁性部材
5 導電部材
6 上部磁性部材
7 絶縁膜
8a,8b,9 バンプ電極
10 抵抗バー
L 単位長当たりのインダクタンス成分
C 単位長当たりのキャパシタンス成分
R 単位長当たりの抵抗
G 単位長当たりの漏れ抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路に使用されるEMI(Electro Magnetic Interference:電磁波干渉)対策用のフィルタに係り、入出力インピーダンスに依存しない分布定数線路を用いたLCフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分布定数型のLCフィルタとしては、フィードスルー型のLCフィルタが主流であり、コネクタなどに用いたものが存在する。
図8は、従来の分布定数型LCフィルタの構成例を示すフィードスルー型のローパスフィルタであり、(a)は断面図、(b)は等価回路を示す。
図8(a)に示すLCフィルタでは、導電性の外皮11の中に、導電性の真線12が挿通されており、この真線12がフェライトなどの磁性体13に覆われ、その上から誘電体14によって被包されている。すなわち、真線12を磁性体13によって包むことにより、単位長当たりのインダクタンス誘導成分L1を分布的に増大させている。また、真線12と外皮11との間に介在する誘電体により、単位長当たりのキャパシタンス(容量)成分C1が分布的に形成される。よって、分布的に有する前記インダクタンス成分L1とキャパシタンス成分C1により、LCフィルタが形成されている。
【0003】
等価回路は、図8(b)に示されるように、始点から終点に向かう線路上において、真線12と磁性体13によって形成される単位長当たりの抵抗成分R1とインダクタンス成分L1とが直列に分布的に配される。さらに真線12と外皮11との間には、磁性体13および誘電体14により形成されるキャパシタンス成分C1および単位長当たりの漏れ抵抗G1が並列に分布的に接続されるものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8(b)に示される等価回路において、フィルタの始端(左端)側からパルス方形波などの進行波が入射された場合に、以下に示すような問題が起こる。
例えば、フィルタの特性インピーダンス(L/C)をZFとし、この回路に接続される負荷(他の線路又は回路)の特性インピーダンス(フィルタの出力インピーダンス)をZ0とした場合において、ZF≠Z0であるときには、フィルタ側に反射波および負荷側に透過波が発生することが知られており、(ZF−Z0)/(ZF+Z0)=mが反射係数である。
例えば、ZF=Z0/2とした場合には、反射係数mは−1/3である。この場合において、V0のパルス方形波がフィルタに入射されたとすると、負荷側に透過する透過波は(2/3)V0となり、(1/3)V0は反射波としてフィルタ側に反射される。
【0005】
すなわち、フィードスルー型のローパスフィルタでは、フィルタの減衰量を反射で稼ぐ構造となっており、出力インピーダンスが変わると、上記反射係数mの値も変化することとなる。以上のことは、フィルタの入力側に接続される場合にも同様であり、従来の分布定数型のフィルタでの減衰量は、入出力インピーダンスによる影響に大きく左右されていた。したがって、インピーダンスの異なる電子機器の線路どうしを接続した場合には、期待通りに減衰が行われないことがあった。また、これを防止するためには、その間に適当な特性インピーダンスの線路を付加して整合を取る必要があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、入出力インピーダンスに依存せず、その特性を維持することを可能とした分布定数線路を用いたLCフィルタ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
さらに本発明は、チップ型フィルタとして製造することで、その積層数を極力少なくして製造コストを押さえた分布定数線路を用いたLCフィルタを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるLCフィルタは、電極体と、前記電極体の上部に設けられた誘電体と、前記誘電体の上部に全体として非直線状のパターンで形成された導電部材と、抵抗成分を有し且つ前記導電部材のパターンに倣いながら前記導電部材の全長を直接覆う磁性部材とを備え、
前記導電部材と前記電極体との間の前記誘電体によって分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記磁性部材および導電部材に分布的に形成されるインダクタンス成分と、前記磁性部材によって前記分布的に形成されるインダクタンスのそれぞれの成分に対して並列に接続される抵抗成分とを有することを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成によるLCフィルタは、回路中に挿入したフィルタに入射する信号レベルが基準レベルから3dBの減衰を生じる周波数(遮断周波数)よりも低周波領域の信号に対しては、該信号が前記インダクタンス成分を通過するので、LCフィルタとして機能することにより信号を通過させることができる。また本発明のLCフィルタは、遮断周波数以降はRC分布定数線路となる。RC分布定数線路は、抵抗成分による損失を持つ分布定数線路であるから、高い周波数(短い波長)ほど線路の入り口から出口まで通るときの振動が多くなり、信号が減衰される。よって、高い信号ほど減衰され、フィルタとして機能することができる。
【0010】
このように、本発明の分布定数線路を用いたLCフィルタは、フィルタの特性インピーダンスと入出力インピーダンスとの差に依存することなく、遮断周波数よりも低周波領域の信号に対しては、LCフィルタとして機能し、一方、遮断周波数よりも高周波領域の信号に対しては、RCフィルタとして機能することができる。
【0011】
また、前記導電部材のパターンが蛇行した形状または渦巻きの形状であり、前記導電部材を覆う磁性部材が、隣り合う磁性部材間で互いに離れているものが好ましい。
かかる構成により、単位面積当たりの前記導電体の長さを大きく設定することができるので、LCフィルタによる信号の減衰量を大きくすることができ、減衰特性に優れたLCフィルタを提供することができる。
【0012】
また前記磁性部材の上に、前記蛇行または渦巻きに対して横設する抵抗バーが設けられているものが好ましい。
これにより、遮断周波数を低下させる方向で微調整することができる。
この場合、前記磁性部材が、Fe 16 Zr 12 O 27 であるものが好ましい。また、前記遮断周波数が500MHz以下の範囲にあるのが好ましい。LCフィルタの遮断周波数を大きくするためにインダクタンス成分とキャパシタンス成分との値を小さくすると、該インダクタンス成分、キャパシタンス成分の大きさに対して、前記磁性部材と導電部材とによる浮遊容量や前記電極部材によるインダクタンスが大きくなってしまい、その結果十分大きな減衰量が得られないので、上記範囲が望ましい。
【0013】
また本発明のLCフィルタの製造方法は、少なくとも、
(a)基板の表面に電極体を形成する工程と、
(b)前記電極体の表面に誘電体を形成する工程と、
(c)前記誘電体の表面に所定の形状からなる抵抗成分を有する下部磁性部材を形成する工程と、
(d)前記下部磁性部材上に導電部材を形成する工程と、
(e)抵抗成分を有する上部磁性部材を前記下部磁性部材に沿ってパターニングすることにより、前記導電部材の全長を被包する工程と、
(f)前記基板を真空中で磁界を印加した状態でアニールする工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0014】
上記においては、前記(c)および(e)の工程では、前記上部磁性部材および下部磁性部材がスパッタ法により形成されるものが好ましい。
【0015】
また前記上部磁性部材および下部磁性部材が、スパッタ成膜時にアモルファス状態にあり、アニール後に微結晶状態になるFe系酸化物であるものが好ましく、例えば前記磁性部材が、Fe16Zr12O27である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明におけるLCフィルタについて図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明における分布定数線路を用いたLCフィルタの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A線に沿った断面図、図2は、図1に示すLCフィルタの等価回路図である。
図1におけるLCフィルタでは、基板1の上面に下部電極体2および誘電体3が積層されている。また、下部磁性部材4と上部磁性部材6とによって被包された導電部材5が、誘電体3の上面にいわゆる蛇行した形状に積層されて形成されている。導電部材5としては、例えば銅薄などを使用することができる。
【0017】
下部磁性部材4および上部磁性部材6は、成膜時にアモルファス状態で熱処理後に微結晶材料となる鉄系微結晶材料、例えばFe−M−Oが使用される。なお、Feは鉄、Oは酸素、MはZr(ジルコニウム)などの金属元素であり、下部磁性部材4および上部磁性部材6に被包された導電部材5のインダクタンス値を大きなものとすることができる。
そして、これらの上部には、例えば感光性ポリイミドなどのレジスト材料を塗布した絶縁膜7が、所定の作業工程により所定の形に形成されている。
【0018】
また、前記導電部材5の端部5a,5bは図示上方に引き出され、絶縁膜7の表面に形成したバンプ電極8a,8bと電気的に接続されている。さらに、下部電極体2からは、下部磁性部材4および上部磁性部材6が形成されていない領域にて導電部材(図示せず)が図示上方に引き出され、絶縁膜7の表面に形成したバンプ電極9,9と電気的に接続されている。
【0019】
図1(a),(b)のLCフィルタでは、上記構成とすることにより、導電部材5のインダクタンス成分と、この導電部材5と下部電極体2との間に介在される誘電体3による容量Cとを各々分布的に存在することができる。また、チップ型フィルタとして製造することで、分布定数線路を用いたLCフィルタを小型化することが可能となり、回路基板などに容易に組み込むことができるものとなる。
【0020】
図2の等価回路では、導電部材5が本来潜在的に有するインダクタンス成分に加え、導電部材5を被包する磁性材料(下部磁性部材4および上部磁性部材6)により形成されるインダクタンス成分が重畳された合計値としてのインダクタンス成分L0が示されている。また、導電部材5には、前記インダクタンス成分L0と直列的に導電部材5による抵抗Rが存在するが、導電部材5を磁性材料(下部磁性部材4および上部磁性部材6)によって被包することにより、さらにこのインダクタンス成分L0と並列的に抵抗成分rを存在させることができるものとなっている。
【0021】
次に、本発明によるLCフィルタを基板上に形成する方法について説明する。まずガラスからなる基板1上に、スパッタ法により銅からなる電極体2を3μmの厚さで形成し、ついで電極体2の上にTa2O5からなる誘電体3を0.6μmの厚さで形成した。基板1としては、石英、ソーダガラスなどであってもよいが、加工性、コスト等の点からシリコン基板を用いるのが好ましい。また誘電体3としては、SiO2、Si3N4等が有効である。
【0022】
ついで、誘電体3の上にFeZrO膜をスパッタ法により2μmの厚さで形成した後、リフトオフ法により、蛇行した形状の下部磁性部材4を幅84μmの薄帯が94μmピッチで総長が9mmとなるように形成した。ここで、Fe系微結晶材料としては、Fe61Zr12O27(Feが61at%、Zrが12at%、Oが27at%のもの)を用いたが、スパッタ成膜時にアモルファス状態であり、その後加熱により微結晶状態となるFe系微結晶材料であれば大きな透磁率を有することから、インダクタンス成分を大きな値に設定するのに有効である。例えば、Fe系微結晶材料として、Hf,Y,CeおよびTiのうちの少なくともひとつの元素とを含有するFe系酸化物が好ましい。
【0023】
ついで、下部磁性部材4上に、スパッタ法により銅からなる導電層を0.7μmの厚さで形成した後、リフトオフ法により、下部磁性部材4の中心線に沿って幅32μmの導電部材5を形成した。ついで、この導電部材5の上にスパッタ法によりFe61Zr12O27膜を2μmの厚さで形成した後、上部磁性部材6が導電部材5を覆いかつ下部磁性部材4と完全に重なるようにパターンニングして形成した。このように導電部材5は、下部磁性部材4と上部磁性部材6とに埋設された構造となる。
このようにして得た基板1を真空中で磁界を印加した状態で300℃にて3時間アニールした。これにより、スパッタ成膜時にアモルファス状態であったFe61Zr12O27膜を微結晶状態とすることでインダクタンス値を大きくした。
【0024】
次に、基板1の全面にスピンコーティング法によりポリイミド(日産化学社製:サンエバーRN812)からなる絶縁膜7を5μmの厚さで形成した。ついでフォトリソ法により、下部磁性部材4および上部磁性部材6が形成されていない領域にて、絶縁膜7の表面から下部電極体2に至る2つの孔をΦ80μmで形成するとともに、導電部材5の両端部5a,5b上にて、絶縁膜7の表面から上部磁性部材6を通して導電部材5に至る2つの孔をΦ80μmで形成した。次に、これら4つの孔の中に電解メッキ法により銅を充填し、ついで該充填した銅の上に、外部端子と接続するためのバンプ電極8a,8b,9,9を形成して本発明のLCフィルタを作成した。
【0025】
ここで、下部磁性部材4を蛇行した形状に形成したが、この他に、渦巻きの形状としてもよい。ところで、LCフィルタのサイズを変えることなく減衰量を大きくするには、単位面積当たりの導電部材5の長さを大きくしなければならないことから、導電部材5を蛇行した形状または渦巻きの形状にて形成するのが好ましい。
【0026】
また本発明によるLCフィルタは、基板1上に電極体2、誘電体3、下部磁性部材4、導電部材5および上部磁性部材6が順に重なるように積層される構造とするのが好ましい。このような構造では、平坦な電極体2の上に誘電体3を形成できるので、誘電体3を絶縁耐圧不良を生ずることなくより薄い膜厚にて形成できる。したがって、電極体2および導電部材5の間の誘電体3により分布的に増量される誘導成分を大きな値に設定できるものとなるから、LCフィルタの遮断周波数をより低周波領域にまで設定することができる。
【0027】
また本発明は、前記遮断周波数が500MHz以下の範囲にあるのが好ましい。LCフィルタの遮断周波数を大きくするためにインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の値を小さくすると、該インダクタンス成分、キャパシタンス成分の大きさに対して、前記磁性部材と導電部材とによる浮遊容量や前記電極体によるインダクタンスが大きくなってしまい、その結果大きな減衰量が得られない。かかる構成により、遮断周波数を高周波領域に設定しても優れた減衰特性を有するLCフィルタを提供することができる。
【0028】
一方、基板1上に下部磁性部材4,導電部材5,上部磁性部材6,誘電体3および電極体2を順に積層してなるLCフィルタは、誘電体3の膜厚が上部磁性部材6のコーナー部で薄く形成されるものとなる。したがってこの構造によれば、誘電体3上に形成する電極体2と下部磁性部材4との間に絶縁不良を生じやすくなるので、誘電体3の膜厚をより厚く設定しなければならない。このため、電極体2と導電部材5との間の誘電体3により分布的に増量される誘導成分を大きくできないので、LCフィルタの遮断周波数を大きく設定することが困難となる。
【0029】
また、本発明によるLCフィルタをチップ部品に適用することを考慮すると、導電部材5を蛇行した形状とするのが好ましい。
一般には、チップ部品のバンプ電極の形成位置が図1(a)に示すバンプ電極8a,8b,9,9の位置にある。ここで、導電部材5が蛇行した形状の場合、基板1上にて導電部材5の両端部5a,5bを前記バンプ電極の直下に位置するように設定できるので、この位置関係をそのまま利用して、導電部材5の両端部5a,5bとバンプ電極8a,8bとを簡単に電気的に接続できる。これに対して導電部材5が渦巻きの形状の場合、電極を取り出すべき前記渦巻きの中心部を基板1上にてバンプ電極の位置にまで引き出すことができないので、この引き出しのための新たな工程、マスクおよび絶縁膜を追加する必要がある。
【0030】
次に、本発明のLCフィルタの電気的特性の測定結果を説明する。
まず、このLCフィルタについて挿入減衰量と周波数との関係をネットワークアナライザー(HP社製8753B)を用いて測定した。ここで、入力インピーダンスを50Ωおよび出力インピーダンスを50Ωとして測定するとともに、入力インピーダンスを50Ωおよび出力インピーダンスを3KΩとして測定した。また比較のため、従来のLCフィルタについても同じ条件で測定した。その結果を図3に示す。
【0031】
図3において、縦軸を挿入減衰量(dB)、横軸を周波数(MHz)とした。符号(1)(2)が従来のLCフィルタによる測定結果の一例を示し、符号(3)(4)が本発明によるLCフィルタの測定結果を示している。また、符号(1)、(3)が50Ω−50Ω、符号(2),(4)が50Ω−3KΩを示している。例えば、50Ω−50Ωとは、LCフィルタの入力インピーダンスを50Ω、出力インピーダンスを50Ωとして測定したものである。
【0032】
従来のLCフィルタは、入出力インピーダンスが50Ω専用のものであるので、符号(1)に示す入出力インピーダンスが50Ω−50Ωの場合には、優れた特性を示すものとなっている。しかし、符号(2)で示すように、出力インピーダンスが3KΩである場合には、点(ア)の位置(遮断周波数13MHz付近)でピークを持つものとなっている。すなわち、従来のフィルタは、所定の出力インピーダンス(この例では、50Ω)以外のものには対応できないものであり、入出力インピーダンスに依存してフィルタの特性が変化してしまっている。
【0033】
これに対し、本発明のフィルタでは、符号(3),(4)に示すように、例えば出力インピーダンスが50Ωであっても、また3KΩであっても従来のフィルタのように遮断周波数付近でピークを持つようなことはなく、多少のゲインの差はあるもののほとんど同じように減衰できるものとなっている。すなわち、本発明のフィルタは、出力インピーダンスに影響を受けないものとなる。
【0034】
図4は、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形の一例を示し、(a)は50Ω−50Ω系、(b)は50Ω−3KΩ系である。図4において、縦軸が電流(A)、横軸が時間(μsec)を示す。
図4では、フィルタ挿入前に2MHz,1Aの電流を出力インピーダンス側に流した場合の基本波(符号(7)および(10))に対し、従来のLCフィルタを挿入した場合((8)および(11))、本発明のLCフィルタを挿入した場合((9)および(12))の測定結果を示している。また、符号(8),(9)は出力インピーダンスが50Ωの場合、符号(11),(12)は出力インピーダンスが3KΩの場合をそれぞれ示している。
【0035】
図4(a)に示す(出力インピーダンス50Ω)において、基本波(7)に対し従来のフィルタの波形(8)は、50Ω専用のフィルタであるのでほとんど減衰がなく(約0.98A)と優れた特性を示している。これに対し、本発明のフィルタでは、約0.86Aとやや劣るものの、ゲインでは−20Log10(0.86)=−1.31dB程度であり、−3dB下がった遮断周波数には達しておらず、従来のフィルタに対しそれほど劣るものではない。
【0036】
しかしながら、図4(b)(出力インピーダンス3KΩ)では、基本波(10)に対し従来のフィルタは、信号の立ち上りおよび立ち下がりにともに振動を生じている。これに対し、本発明のフィルタでは、時定数の関係上、立ち上りおよび立ち下がりの時間に多少鈍りがあるものの、出力インピーダンス50Ωの場合よりも優れた特性を示すものとなっている。よって、本発明のフィルタは、異なる出力インピーダンスが接続された場合であっても、出力波形に変化を与えることがなく、入出力インピーダンスの影響を受けず機能できるものであることが測定結果よりわかる。すなわち、本LCフィルタを使用する際には、入出力インピーダンスを問わないということができる。
【0037】
(実施例2)
本実施例において実施例1と異なる点は、誘電体3の膜厚を1.2μmとしたことにある。その他の構成については、実施例1と同様の条件にてLCフィルタを作成しており、またLCフィルタの電気的特性の測定についても実施例1と同様の方法とした。
【0038】
図3は、本実施例によるLCフィルタの挿入減衰量と周波数との関係を示し、図5は、入力インピーダンスと出力インピーダンスとが異なる場合の信号応答波形の一例を示している。
図3において、(5),(6)は本実施例によるLCフィルタの挿入減衰量と周波数との関係を示す。また図5において、符号(13),(15)は20MHz、1Aの電流を出力インピーダンス側に流した場合の基本波であり、符号(14),(16)は本実施例によるLCフィルタを挿入した測定結果を示している。
【0039】
図3の(5),(6)から明らかなように、本実施例によるLCフィルタは、例えば出力インピーダンスが50Ωであっても、また3KΩであっても従来のフィルタのように遮断周波数付近でピークを持つようなことはなく、多少のゲイン差はあるもののほとんど同じように減衰できるのものとなる。
また図5から明らかなように、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形は、実施例1のLCフィルタと同様に、異なる出力インピーダンスが接続された場合であっても、入出力インピーダンスの影響を受けずに機能できるものであることが分かった。
【0040】
以上明らかなように、誘電体3によって分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記下部磁性部材4、上部磁性部材6および導電部材5に分布的に形成されるインダクタンス成分とを実施例1と異なった値に設定しても、本発明によるLCフィルタは実施例1と同様の効果を有することが分かった。
【0041】
(実施例3)
図6は、本発明におけるLCフィルタの他の構成例を示す。
図6において、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はB−B線に沿った一部拡大断面図である。また図7は、本実施例によるLCフィルタの等価回路である。本実施例において、実施例1と同じ構成部材については、実施例1と同じ符号を使用して示す。
本実施例によるLCフィルタの構造が実施例1によるLCフィルタと異なる点は、下部磁性部材4と上部磁性部材6上に、下部磁性部材4および上部磁性部材6が蛇行して延びる方向に横設するように抵抗バー10が形成されていることである。
【0042】
次に、本発明によるLCフィルタを基板上に形成する方法について説明する。
まず、ガラスからなる基板1上に、スパッタ法により銅からなる電極体2を3μmの厚さで形成し、ついで電極体2の上にTa2O5からなる誘電体3を0.6μmの厚さで形成した。次に誘電体3の上にFe61Zr12O27膜をスパッタ法により2μmの厚さで形成し、ついでリフトオフ法により、蛇行した形状の下部磁性部材4を幅84μmの帯が94μmピッチで総長が9mmとなるように形成した。
【0043】
ついで、下部磁性部材4上に、スパッタ法により銅からなる導電体層を2μmの厚さで形成した後、リフトオフ法により、下部磁性部材4の中心線に沿って幅32μmの導電部材5を形成した。次に、この導電部材5の上にスパッタ法によりFe61Zr12O27膜を2μmの厚さで形成し、さらにリフトオフ法により、下部磁性部材4と同一形状の上部磁性部材6が導電部材5を覆いつつ下部磁性部材4と完全に重なるように形成した。
このようにして得た基板1を、真空中で磁界を印加した状態で300℃にて3時間アニールした。これにより、スパッタ成膜時にアモルファス状態であったFe61Zr12O27膜を微結晶状態とすることでインダクタンス値を大きくした。
【0044】
次に、基板1の全面にわたってFe61Zr12O27膜からなる抵抗体層を厚さ0.2μmで形成した後、リフトオフ法により抵抗バー10を幅10μmにて形成した。この抵抗バー10は、図6に示すように、下部磁性部材4と上部磁性部材6上に、下部磁性部材4および上部磁性部材6が蛇行して延びる方向に横設するように形成した。
【0045】
次に、基板1の全面にスピンコーティング法により、ポリイミド(日産化学社製:サンエバーRN812)からなる絶縁膜7を形成した。ついでフォトリソ法により、下部磁性部材4および上部磁性部材6の形成されていない領域にて、絶縁膜7の表面から下部電極体2に至る2つの孔をΦ80μmで形成するとともに、導電部材5の両端部5a,5b上にて、絶縁膜7の表面から上部磁性部材6を通して導電部材5に至る2つの孔をΦ80μmで形成した。この後、これら4つの孔の中に電解メッキ法により銅を充填し、該充填した銅と電気的に接続するように、外部端子と接続するためのバンプ電極8a,8b,9,9を形成して本発明のLCフィルタを作成した。
【0046】
図7は、本実施例によるLCフィルタの等価回路を示している。
この抵抗バー10を挿入することにより、図2に示す等価回路上では抵抗rに並列的に抵抗が挿入されたものとなる。よって、インダクタンス成分L0と並列的な抵抗成分rの値が低下するので、遮断周波数を低下させることが可能となる。
【0047】
以上得られた本実施例によるLCフィルタの遮断周波数を測定したところ、25MHzであった。これに対して、抵抗バー10が形成されていないLCフィルタの遮断周波数が63MHzだった。
また、例えば抵抗バー10の長さを半分、1/4などに設定することにより、蛇行した形状に形成されている導電部材の抵抗rを任意に設定することが可能となり、さらに細かく遮断周波数を設定することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明のLCフィルタによれば、電極体と、該電極体上に設けた誘電体と、該誘電体上に設けた磁性部材と、該磁性部材に埋設した導電部材とからなる構成とすることにより、前記誘電体に分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記磁性部材および導電部材に分布的に形成されるインダクタンス成分と、磁性部材にて低周波領域から遮断周波数を超えた高周波領域において前記低周波領域に比較して分布的に増量される抵抗成分とを有するので、特定インピーダンスと入出力インピーダンスとの差に依存することなく、遮断周波数よりも低周波領域の信号に対しては、LCフィルタとして機能し、遮断周波数よりも高周波領域の信号に対しては、RCフィルタとして機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における分布定数線路を用いたLCフィルタの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のA−A線に沿った断面図。
【図2】図1のLCフィルタの等価回路図。
【図3】本発明におけるフィルタと従来のフィルタの挿入減衰量を示す周波数特性図。
【図4】実施例1によるLCフィルタに関して、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形を示し、(a)は50Ω−50Ω系,(b)は50Ω−3KΩ系の信号応答波形図。
【図5】実施例2によるLCフィルタに関して、出力インピーダンスを変えた場合の信号応答波形を示し、(a)は50Ω−50Ω系、(b)は50Ω−3KΩ系の信号応答波形図。
【図6】本発明のフィルタの遮断周波数を低下させるための一構成例を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のB−B線に沿った断面図。
【図7】図6のLCフィルタの等価回路図。
【図8】(a)は従来の同軸型の分布定数型フィルタの構成例を示すフィードスルー型のローパスフィルタの断面図、(b)は(a)の等価回路図。
【符号の説明】
1 基板
2 電極体(下部電極体)
3 誘電体
4 下部磁性部材
5 導電部材
6 上部磁性部材
7 絶縁膜
8a,8b,9 バンプ電極
10 抵抗バー
L 単位長当たりのインダクタンス成分
C 単位長当たりのキャパシタンス成分
R 単位長当たりの抵抗
G 単位長当たりの漏れ抵抗
Claims (9)
- 電極体と、前記電極体の上部に設けられた誘電体と、前記誘電体の上部に全体として非直線状のパターンで形成された導電部材と、抵抗成分を有し且つ前記導電部材のパターンに倣いながら前記導電部材の全長を直接覆う磁性部材とを備え、
前記導電部材と前記電極体との間の前記誘電体によって分布的に形成されるキャパシタンス成分と、前記磁性部材および導電部材に分布的に形成されるインダクタンス成分と、前記磁性部材によって前記分布的に形成されるインダクタンスのそれぞれの成分に対して並列に接続される抵抗成分とを有することを特徴とするLCフィルタ。 - 前記導電部材のパターンが蛇行した形状または渦巻きの形状であり、前記導電部材を覆う磁性部材が、隣り合う磁性部材間で互いに離れている請求項1記載のLCフィルタ。
- 前記磁性部材の上に、前記蛇行または渦巻きに対して横設する抵抗バーが設けられている請求項2記載のLCフィルタ。
- 前記磁性部材が、Fe16Zr12O27である請求項1ないし3のいずれかに記載のLCフィルタ。
- 前記遮断周波数が500MHz以下の範囲にある請求項1ないし4のいずれか記載のLCフィルタ。
- 少なくとも、
(a)基板の表面に電極体を形成する工程と、
(b)前記電極体の表面に誘電体を形成する工程と、
(c)前記誘電体の表面に所定の形状からなる抵抗成分を有する下部磁性部材を形成する工程と、
(d)前記下部磁性部材上に導電部材を形成する工程と、
(e)抵抗成分を有する上部磁性部材を前記下部磁性部材に沿ってパターニングすることにより、前記導電部材の全長を被包する工程と、
(f)前記基板を真空中で磁界を印加した状態でアニールする工程と、
を有することを特徴とするLCフィルタの製造方法。 - 前記(c)および(e)の工程では、前記上部磁性部材および下部磁性部材がスパッタ法により形成されるものである請求項6記載のLCフィルタの製造方法。
- 前記上部磁性部材および下部磁性部材が、スパッタ成膜時にアモルファス状態にあり、アニール後に微結晶状態になるFe系酸化物である請求項6または7記載のLCフィルタの製造方法。
- 前記上部磁性部材および下部磁性部材が、Fe16Zr12O27である請求項8記載のLCフィルタの製造方法。
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