JP3602247B2 - 電動車椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は手動による操作力に補助力を付加する電動機を有する電動車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動車椅子において、乗る人の手で車椅子を操作するためのハンドリングが付設された主輪を持ち、ハンドリングに加わった操作力の方向と大きさを検出し、所定値を超えた操作力に応じて主輪に補助力を付加する電動機と、この電動機を駆動制御する駆動制御手段をそれぞれ左右一対に備えた電動車椅子は知られている。
【0003】
図5に電動車椅子の全体ブロック構成図を示す。
図17に従来の電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図を示す。図5において、電動車椅子1は、右主輪回転速度センサ103、左主輪回転速度センサ106、右手動トルクセンサ11R、左手動トルクセンサ11L、電動機制御手段102、右電動機駆動手段115、左電動機駆動手段116、右電動機117、左電動機118から構成される。
【0004】
電動機制御手段102は、回転方向判別手段(107、112)、車速演算手段(108、111)、A/D変換器(109、110)、右制御信号処理手段120、左制御信号処理手段121、右駆動制御手段113、左駆動制御手段114を備える。
制御手段102はマイクロコンピュータ(以下マイコンと略記)等を備え、ここで行う各種の演算および制御はマイコンを中心にして行う。
【0005】
図17において、右制御信号処理手段160は手動トルク補正演算手段130、目標信号設定手段132から構成され、左制御信号処理手段161は手動トルク補正演算手段131、目標信号設定手段133を備える。
【0006】
右主輪回転速度センサ103は右主輪の回転速度を検出して右主輪回転速度信号Uを回転方向判別手段107と車速演算手段108とに出力する。
【0007】
回転方向判別手段107は右主輪回転速度信号Uから右主輪の回転方向をマイコン等で判別して右主輪回転方向判別信号Dを右制御信号処理手段120に出力する。
車速演算手段108は右主輪回転速度センサ103の右主輪回転速度信号Uから車速をマイコン等で演算して右車速信号Vを右制御信号処理手段120に出力する。
【0008】
右手動トルクセンサ11Rは右主輪に布設したハンドリングに操作した操作力の大きさと方向を検出して右手動トルクアナログ信号TPRをA/D変換器109に出力する。
A/D変換器109は右手動トルクアナログ信号TPRをデジタル信号に変換して右手動トルク信号Tを右制御信号処理手段120に出力する。
【0009】
左主輪回転速度センサ106、左手動トルクセンサ11L、および制御手段102の回転方向判別手段112、車速演算手段111、A/D変換器110は上述した右主輪回転速度センサ103、右手動トルクセンサ11R、および制御手段102の回転方向判別手段107、車速演算手段108、A/D変換器109と構成および作用が同一なので説明を省略する。
【0010】
図17に示すように右制御信号処理手段160(=120)は、右主輪回転方向判別信号D、右車速信号V、右手動トルク信号Tと、左車速信号Vおよび左手動トルク信号Tに応じた補助力を右の主輪に付加するための目標信号Sを右駆動制御手段113に出力し、また左制御信号処理手段161(=121)は、左主輪回転方向判別信号D、左車速信号V、左手動トルク信号Tと、右車速信号Vおよび右手動トルク信号Tに応じた補助力を左の主輪に付加するための目標信号Sを左駆動制御手段114に出力する。
【0011】
右駆動制御手段113は目標信号Sに基づいてパルス幅変調(PWM)の右駆動制御信号PWRを右電動機駆動手段115に出力し、また左駆動制御手段114は目標信号Sに基づいてパルス幅変調(PWM)の左駆動制御信号PWLを左電動機駆動手段116に出力する。
【0012】
右電動機駆動手段115は右駆動制御信号PWRに基づいて例えば4つの電界効果トランジスタ(FET)で構成するバイポーラ駆動回路で右電動機117を駆動し、また左電動機駆動手段116は左駆動制御信号PWLに基づいて例えば4つの電界効果トランジスタ(FET)で構成するバイポーラ駆動回路で左電動機118を駆動する。
【0013】
手動トルク補正演算手段130はRAMまたは書換え可能なROM等のメモリを有し、右手動トルク信号Tと、左車速信号Vに応じて左手動トルク信号Tとの混合の割合を決める図示しない係数KVRを設定して数1に示す演算を行い、手動トルク補正信号TCRを目標信号設定手段132に出力する。
係数KVRは左車速信号Vに応じ、低車速領域では小さな値に設定され、高車速領域では大きな値に設定される。
ただし、係数KVRは1以下とする。
【0014】
【数1】
CR=(T+KVR×T)/(1+KVR
【0015】
目標信号設定手段132はRAMまたは書換え可能なROM等のメモリを備え、メモリには手動トルク補正信号TCRと、右主輪回転方向判断信号Dと、右車速信号Vとのそれぞれの値に応じた目標信号Sがそれぞれの値に応じた番地に記憶されていて、手動トルク補正信号TCRと、右主輪回転方向判断信号Dと、右車速信号Vとのそれぞれの値をメモリの読出し番地として目標信号Sをメモリより読み出して右駆動制御手段113に出力する。
【0016】
手動トルク補正演算手段131はRAMまたは書換え可能なROM等のメモリを有し、左手動トルク信号Tと、右車速信号Vに応じて右手動トルク信号Tとの混合の割合を決める図示しない係数KVLを設定して数2に示す演算を行い、手動トルク補正信号TCLを目標信号設定手段133に出力する。
係数KVLは左車速信号Vに応じ、低車速領域では小さな値に設定され、高車速領域では大きな値に設定される。
ただし、係数KVLは1以下とする。
【0017】
【数2】
CL=(T+KVL×T)/(1+KVL
【0018】
目標信号設定手段133はRAMまたは書換え可能なROM等のメモリを備え、メモリには手動トルク補正信号TCLと、左主輪回転方向判断信号Dと、左車速信号Vとのそれぞれの値に応じた目標信号Sがそれぞれの値に応じた番地に記憶されていて、手動トルク補正信号TCLと、左主輪回転方向判断信号Dと、左車速信号Vとのそれぞれの値をメモリの読出し番地として目標信号Sをメモリより読み出して左駆動制御手段114に出力する。
【0019】
図18に車速信号V(VLW,VMD,VHI)をパラメータとした手動トルク信号(T)―目標信号(T)特性図(テーブル1)を示す。
図18において、車速信号VのVLW,VMDおよびVHIはそれぞれ低車速領域、中車速領域および高車速領域を示し、手動トルク信号Tが同じであっても、車速信号Vが増加(VLW→VMD→VHI)するに伴い、目標信号Tは減少するよう予め設定されている。
また、小さな操作力に電動機が追従して電動車椅子の車両の直進安定性を損なうことのないよう所定値以下の手動トルク信号Tに対する目標信号Tを零とする不感帯を設けてある。
【0020】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段は、左車速信号Vに応じた係数KVRと、右車速信号Vに応じた係数KVLを設定し、低車速領域では係数を小さくして電動車椅子の回転性を維持し、且つ車速の上昇とともに手動による左右のハンドリングに加える操作力のタイミングがずれやすい高車速領域では係数を大きくしてバランスのとれた補助力を付加し、また低車速領域(VLW)では手動トルク信号Tに対して大きな補助力が得られるよう大きな目標信号Tを出力し、一方、高車速領域(VHI)では手動トルク信号Tに対して補助力を抑えるように小さな目標信号Tを出力して車両の直進安定性が得られるよう構成されている。
【0021】
また、特開平7−136218号公報に片腕が全く利かない身障者であっても使用することができる電動車椅子が開示されている。
この電動車椅子は、車輪に補助力を付加する補助動力装置を備え、一方の車輪に加えられる人力による操作力を検出し、或は人力による操作力が加えられる車輪の回転を検出して車椅子が直進するようにその操作力の大きさ、或は車輪の回転に応じた補助力を他方の、または左右の両車輪に付加することにより、片腕が全く利かない身障者であっても電動車椅子を使用することができるとしている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
乗員の手によってハンドリングに加える操作力は一定の連続量ではなく、加速するための操作力をハンドリングに作用させ、作用させ終わった後、一旦ハンドリングへの操作力が零になり、再び加速するための操作力をハンドリングに作用させるという具合に一般にはパルス的な不連続量である。
ハンドリングに加えられるパルス的な不連続量である操作力を手動トルクセンサで検出した手動トルク信号Tは、パルス的な不連続信号となり、電動機による補助力もパルス的で不連続となる。
【0023】
図19は、パルス的な不連続量である手動トルク信号Tの波形と従来の電動車椅子における手動トルク信号Tに基づいて電動機による補助力の大きさと方向を決める目標信号Tの波形とそれぞれの関係を示したものである。
【0024】
図19に示すように、手動トルク信号Tは零より立上がり、これに応じて手動トルク信号Tの波形と略相似形をした目標信号Tも零より立上がり、手動トルク信号Tとこの目標信号Tに応じた補助力とによって車椅子は徐々に加速され、やがてほぼ一定の補助力に達してこの状態をある期間保ち、車椅子を加速する。
次に手動トルク信号Tは急激に減衰(立下がり)して零になり、これに応じて目標信号Tも急激に減衰(立下がり)して零になり、この目標信号Tに応じた補助力も急激に減衰(立下がり)して零になる。
【0025】
このように従来の電動車椅子はハンドリングに加える操作力が無くなると直に補助力が無くなるため車椅子の走行に滑らかなさが無いという課題がある。
【0026】
この発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は補助力の減衰の変化量が設定値以上にならないように制御して滑らかな走行ができる電動車椅子を提供することにある。
また、手動トルクセンサからの手動トルク信号を予測処理して手動トルク信号に混入するノイズ等による補助力への悪影響を軽減して操作感覚の良い電動車椅子を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段に目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段を備えたので、電動車椅子の走行安定性を向上させることができる。
【0029】
また、請求項2に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に閾値を設定する閾値設定手段と、この閾値と目標信号設定手段からの目標信号との大きさを比較する比較手段と、目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように目標信号を処理するためのホールド時間を比較手段からの信号に基づいて制御するホールド処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段に、閾値を設定する閾値設定手段と、この閾値と目標信号設定手段からの目標信号との大きさを比較する比較手段と、目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように目標信号を処理するためのホールド時間を比較手段からの信号に基づいて制御するホールド処理手段とを備えたので、電動車椅子の走行安定性をより向上させることができる。
【0031】
さらに、請求項3に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を処理するためのホールド時間を主輪回転速度センサからの信号に基づいた値によって制御するホールド処理手段を備えたことを特徴とする。
【0032】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段に、目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を処理するためのホールド時間を主輪回転速度センサからの信号に基づいた値によって制御するホールド処理手段を備えたので、電動車椅子の走行安定性をさらに向上させることができる。
【0033】
また、請求項4に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に手動トルクセンサからの手動トルク信号の変化率が所定値を超えた場合、過去の手動トルク信号から現時点の手動トルク信号を予測し、予測した手動トルク信号で手動トルクセンサから得られた現時点の手動トルク信号を置換して手動トルク補正演算手段に出力する予測処理手段を備えたことを特徴とする。
【0034】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段に、手動トルクセンサからの手動トルク信号の変化率が所定値を超えた場合、過去の手動トルク信号から現時点の手動トルク信号を予測し、予測した手動トルク信号で手動トルクセンサから得られた現時点の手動トルク信号を置換して手動トルク補正演算手段に出力する予測処理手段を備えたので、電動車椅子の走行安定性をなお一層良くすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
なお、図1から図4は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る電動車椅子の正面図であり、電動車椅子1(以下「車椅子1」と略記する)は、ステップ2を含む車体フレーム3に、左右の前部補助輪4,4及び左右の主輪5,5を回転自在に取付け、主輪5,5にハンドリング6,6を付設したもので、外観は普通の手動式車椅子と同形であるが、電動のためのモータを主輪5,5に内蔵(詳細は後述)し、バッテリ8、制御部9及びトルクセンサ11,11を備えた点が相違する。
【0036】
図2は本発明に係る車椅子の側面図であり、乗員Mは車体フレーム3に取付けたシート(図示せず)に座り、ステップ2に足を載せた状態で、手でハンドリング6を操作することができる。
主輪5はハブ5aとスポーク5bとタイヤリム5cとタイヤ5dとからなる。
【0037】
前部補助輪4はいわゆる自在輪であり、車体フレーム3のサブフレーム3aに取付けたブロック4aと、このブロック4aに縦軸廻りに揺動可能に取付けた揺動アーム4bと、この揺動アーム4bに軸支した補助輪4cとからなり、車椅子の前進方向に応じて揺動し、方向変換を円滑にする。
ブロック4aをサブフレーム3aに沿って位置を変更することもできる。
図示せぬシートの可能にバッテリ8及び制御部9が取付けれていることをも示す。
【0038】
図3は本発明に係るトルク検出機構の原理図であり、トルク検出機構20は、タイヤリム5cに8本のスプリング21で吊ったハンドリング6と、このハンドリング6に一端が係止され、他端が車輪中央に伸びたワイヤ22,22と、このワイヤを中継するタイヤリム5c側の中継プーリ23,23と、前記トルクセンサ11(図1参照)にワイヤ22,22の引き力を伝達する伝動部材(後述)と、トルクセンサ11とからなる。
【0039】
先に図3の作用を説明すると、スプリング21でニュートラル状態にあるハンドリング6を時計廻りに強制回動(矢印▲1▼)すると、ワイヤ22,22が引かれる(矢印▲2▼▲2▼)。
ワイヤ22,22が引かれる度合はハンドリング6を廻す力(トルク)が強いほど大きくなる。
【0040】
図4は本発明に係る主輪のハブの拡大断面図であり、ワイヤ22の他端とトルクセンサ11とを繋ぐ伝動部材を説明すると、この伝動部材は、ベアリング31のアウタレース32に形成した鍔33,33と、ベアリング31のインナレース34にナット35にて一端を係止したロッド36とからなり、ロッド36は回転せず、前記鍔33,33がワイヤ22,22とともに回転する。
ワイヤ22を引くことにより、ロッド36が引かれ、トリクセンサ11がその度合を検出する。
なお、トルクセンサ11は車体フレーム側のボス41にナット42、ブラケット43及びビス44にて固定する。
【0041】
次にハブに内蔵したモータ及び2段遊星減速機構の説明をする。
モータ50は、ホイルインモータと称するものであり、前記ボス41及びこのボス41に一体的に取付けたチューブ45に固定したモータハウジング51と、このモータハウジング51に取付けたコイル52と、このコイル52を取り囲むマグネット53と、これらのマグネット53を支えるロータ54とからなる。
詳しくは、ロータ54はマグネット53を直接支えるカップ54aとこのカップ54aを支えるシリンダ54bとからなる。
【0042】
前記シリンダ54bの一端に刻設した第1サンギヤ61と、前記ハウジング51の一端部に刻設した第1インナギヤ62と、これら第1サンギヤ61と第1インナギヤ62とに噛合する第1プラネタリギヤ63と、この第1プラネタリギヤ63から延びる第1キャリア64とで第1遊星減速機構60を構成し、第1キャリア64の一端に刻設した第2サンギヤ71と、前記ハウジング51の一端部に刻設した第2インナギヤ72と、これら第2サンギヤ71と第2インナギヤ72とに噛合する第2プラネタリギヤ73と、この第2プラネタリギヤ73から延びる第2キャリア(ハブ5aと兼用)とで第2遊星減速機構70を構成する。
第1・第2遊星減速機構60,70で数百〜数千分の一に減速することにより、モータの高回転を走行に適した低回転に変換する。
【0043】
図5は電動車椅子の全体ブロック構成図である。
図5に示した電動車椅子1は、電動車椅子の基本ブロック構成図であり、本発明は図5に示す電動車椅子1の全体ブロック構成図において、右制御信号処理手段120と、左制御信号処理手段121との構成および作用にある。
図5において、右制御信号処理手段120と左制御信号処理手段121以外のブロックの構成および作用は従来例として説明したので、ここでは説明を省略する。
【0044】
また、本発明に係る実施の形態例として図6と図8と図10と図12とに示す左右の制御信号処理手段は構成および作用が同一なので、以下右制御信号処理手段の構成および作用の説明を行い、左制御信号処理手段の説明は省略する。
また、本発明に係る実施の形態例として図6と図8と図10と図12とに示す制御信号処理手段を構成する手動トルク補正演算手段(130,131)および目標信号設定手段(132,133)は、従来例として図17に示した手動トルク補正演算手段(130,131)および目標信号設定手段(132,133)と構成および作用が同一なので、以下図6と図8と図10と図12とに示す手動トルク補正演算手段および目標信号設定手段の説明を省略する。
【0045】
制御手段102はマイクロコンピュータ(以下マイコンと略記)等を備え、本発明に係る右制御信号処理手段120と左制御信号処理手段121で行う各種の演算および制御はこのマイコンを中心にして行う。
【0046】
図6は請求項1に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図である。
図6において、右制御信号処理手段122は、手動トルク補正演算手段130と、目標信号設定手段132と、ホールド処理手段134とから構成する。
【0047】
目標信号設定手段132は手動トルク補正信号TCRと、右主輪回転方向判断信号Dと、右車速信号Vとのそれぞれの値に応じた目標信号TMRをホールド処理手段134に出力する。
ホールド処理手段134は目標信号TMRが急激に減少した場合、目標信号TMRをなだらかに減少させるように、減少する目標信号を一定時間ホールドして所定の減衰特性になるように処理をして電動機による補助力の大きさと方向を決める補正目標信号TMHRを右駆動制御手段113に出力する。
【0048】
図7は請求項1に係る電動車椅子の制御信号処理手段の動作説明図である。
図7は、パルス的な不連続量である手動トルク信号T(T)の波形(特性)と、目標信号設定手段132からホールド処理手段134に出力される目標信号T(TMR)の波形(特性)と、ホールド処理手段134から右駆動制御手段113に出力される補正目標信号TMHRの波形(特性)と、それぞれの関係を示したものである。
【0049】
図7に示すように、手動トルク信号Tは零より立上がり、やがてほぼ一定の振幅値に達してこの状態をある期間保持してから急激に減少(立下がり)して零になる。
目標信号Tの波形は手動トルク信号Tの波形と略相似形であり、手動トルク信号Tがある振幅値から急激に減少して零になると目標信号Tもある振幅値から急激に減少して零になる。
【0050】
図7において、目標信号Tの急激な立下がり部分では、現時点tの目標信号Tの振幅値をT(t)、現時点(t)より所定時間Δt前の目標信号Tの振幅値をT(t−1)、許容目標信号変化量をΔTとすると、ホールド処理手段134はD={T(t)−T(t−1)}を行いD<−ΔTの場合、所定時間Δt間で目標信号Tの減衰量を許容目標信号変化量ΔTとして補正して図7に示すようになだらかに減衰する補正目標信号TMHを右駆動制御手段113に出力する。
【0051】
図8は請求項1に係る電動車椅子のホールド処理手段の動作を示す流れ図である。
図8において、現時点tの目標信号Tの振幅値をT(t)、補正目標信号TMHの振幅値をTMH(t)とする。
現時点(t)より所定時間Δt前の目標信号Tの振幅値をT(t−1)、補正目標信号TMHの振幅値をTMH(t−1)とし、許容振幅変化の所定値をΔTとする。
【0052】
ステップP1は主輪に補助力を付加する電動機が稼働状態か否かを判断する。ステップP1で電動機が稼働状態(YES)と判断されればステップP2の処理へ進み、カウンタの値Cを零にセットする。
ステップP3はカウンタの値Cが零であるか否かを判断する。
【0053】
ステップP3でカウンタの値Cが零である(YES)と判断されればステップP4Aに、否(NO)と判断されればステップP4Bに進む。
ステップP4Aは現時点tの目標信号T(t)の絶対値と前時点t−1の目標信号T(t−1)の絶対値との差分演算を行い、その差分値Dを求める。
ステップP5は現時点tの目標信号T(t)と前時点t−1の目標信号T(t−1)との差分演算を行い、その差分値Dを求める。
【0054】
ステップP6は差分値Dの絶対値と差分値Dの絶対値とが等しいか否かを判断する。
ステップP6で差分値Dの絶対値と差分値Dの絶対値とが等しい(YES)と判断されればステップP7に進み、否(NO)と判断されればステップP13に進む。
【0055】
ステップP7は差分値Dが許容振幅変化の許容目標信号変化量ΔTの(−ΔT)より小さいか否かを判断する。
ステップP7で差分値Dが所定値(−ΔT)より小さい(YES)と判断されればステップP8に進み、否(NO)と判断されればステップP13に進む。
【0056】
ステップP8は前時点(t−1)の目標信号T(t−1)が零より大きいか否かを判断する。
ステップP8で前時点(t−1)の目標信号T(t−1)が零より大きい(YES)と判断されればステップP9Aに進み、否(NO)と判断されればステップP12に進む。
【0057】
ステップP9Aは前時点(t−1)の目標信号TM(t−1)から許容目標信号変化量ΔTを引く演算をして求めた値を現時点tの補正目標信号TMH(t)とする処理を行う。
ステップP12は前時点(t−1)の目標信号T(t−1)が零より小さいか否かを判断する。
ステップP12で前時点(t−1)の目標信号T(t−1)が零より小さい(YES)と判断されればステップP9Bに進み、否(NO)と判断されればステップP13に進む。
【0058】
9Bは前時点(t−1)の目標信号T(t−1)に許容目標信号変化量ΔTを加える演算をして求めた値を現時点tの補正目標信号TMH(t)とする処理を行う。
ステップP10は現時点tの目標信号T(t)を前時点t−1の目標信号T(t−1)とする処理を行い、また現時点tの補正目標信号TMH(t)を前時点t−1の補正目標信号TMH(t−1)とする処理を行う。
ステップP11はカウンタの値Cを1にセットする。
【0059】
ステップP13は現時点tの目標信号T(t)を現時点tの補正目標信号TMH(t)とする処理を行う。
ステップP14はステップP10と同様に現時点tの目標信号T(t)を前時点t−1の目標信号T(t−1)とする処理を行い、また現時点tの補正目標信号TMH(t)を前時点t−1の補正目標信号TMH(t−1)とする処理を行う。ステップP15はステップP11と同様にカウンタの値Cを1にセットする。
【0060】
ステップP16は電動機が稼働状態ではないか、否かを判断する。
ステップP16で電動機が稼働状態ではない(YES)と判断されれば、以上の一連の動作を終了し、否(NO)と判断すれば、ステップP3に戻る。
ただし、この流れ図において、立ち始めの時の目標信号T(t−1)は目標信号T(t)に等しいとし、補正目標信号TMH(t−1)は補正目標信号TMH(t)に等しいとする。
【0061】
このように、電動車椅子の目標信号設定手段からの目標信号が急激に零に収束した場合、目標信号をなだらかに零に収束させるように、変化する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段を制御信号処理手段に備えたので、電動車椅子の走行安定性を向上させることができる。
【0062】
図9は請求項2に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図である。
図9において、右制御信号処理手段124は、手動トルク補正演算手段130と、目標信号設定手段132と、ホールド処理手段140と、閾値設定手段136と、比較手段138とから構成する。
【0063】
目標信号設定手段132は手動トルク補正信号TCRと、右主輪回転方向判断信号Dと、右車速信号Vとのそれぞれの値に応じた目標信号TMRをホールド処理手段140に出力する。
目標信号TMRが急激に減少した場合は、閾値設定手段136によって設定した閾値Tと目標信号TMRとの大小を比較手段138で比較してホールド処理手段140に比較信号JTRを出力して、減少する目標信号をなだらかに減少させるように処理するためのホールド時間を制御する。
【0064】
ホールド処理手段140は減少する目標信号を所定の減衰特性になるように処理をして電動機による補助力の大きさと方向を決める補正目標信号TMHRを右駆動制御手段113に出力する。
【0065】
図10は請求項2に係る電動車椅子の制御信号処理手段の動作説明図である。図10において、目標信号設定手段132からホールド処理手段140に出力されるパルス的な不連続量である目標信号T(TMR)の波形(特性)と、ホールド処理手段140から右駆動制御手段113に出力される補正目標信号TMH(TMHR)の波形(特性)と、それぞれの関係を示したものである。
【0066】
図10に示すように、目標信号Tは零より立上がり、やがてほぼ一定の振幅値に達してこの状態をある期間保持してから急激に減少(立下がり)して零になる。
【0067】
目標信号Tの波形は手動トルク信号Tの波形と略相似形であり、手動トルク信号Tがある振幅値から急激に減少して零になると目標信号Tもある振幅値から急激に減少して零になる。
【0068】
図10において、目標信号Tの急激な立下がり部分では、現時点tの目標信号Tの振幅値をT(t)、補正目標信号TMHの振幅値をTMH(t)とし、現時点(t)より所定時間{Δt(H),Δt(L)}前の目標信号Tの振幅値をT(t−1)、補正目標信号TMHの振幅値をTMH(t−1)とし、目標信号Tの閾値をT、許容振幅変化の所定値をΔTとする。
【0069】
ホールド処理手段134はD={T(t)−T(t−1)}を行いD<−ΔTの場合であってT(t)>Tの場合、所定時間Δt(H)間で目標信号Tの減衰量を許容目標信号変化量ΔTとして補正して図10に示すようになだらかに減衰する補正目標信号TMHを右駆動制御手段113に出力すし、D<−ΔTの場合であってT(t)<Tの場合、所定時間Δt(L)間で目標信号Tの減衰量を許容目標信号変化量ΔTとして補正して図10に示すように、さらになだらかに減衰する補正目標信号TMHを右駆動制御手段113に出力する。
【0070】
図11は請求項2に係る電動車椅子のホールド処理手段の動作を示す流れ図である。
図11は図8の流れ図のステップ2とステップ3の間にステップ2−1とステップ2−2とステップ2−3とが挿入されており、ここではこれら挿入されたステップ2−1とステップ2−2とステップ2−3の説明のみを行い、その他は図8の流れ図と同じなので説明を省略する。
【0071】
図11において、ステップP2−1は目標信号T(t−1)の絶対値が閾値Tの絶対値より大きいか否かを判断する。
ステップP2−1で目標信号T(t−1)の絶対値が閾値Tの絶対値より大きい(YES)と判断されればステップP2−2に進み、否(NO)と判断されればステップP2−3に進む。
【0072】
ステップP2−2は所定時間ΔtをΔt(H)とし、ステップP2−2は所定時間ΔtをΔt(L)とする。
ただし、この流れ図において、図8に示す流れ図と同様に立ち始めの時の目標信号T(t−1)は目標信号T(t)に等しいとし、補正目標信号TMH(t−1)は補正目標信号TMH(t)に等しいとする。
【0073】
このように、電動車椅子の目標信号設定手段からの目標信号が急激に零に収束した場合、目標信号をなだらかに零に収束させるように、変化する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段と、閾値を設定する閾値設定手段と、この閾値と目標信号との大きさを比較して、ホールド処理手段でのホールド処理時間を制御する信号をホールド処理手段に出力する比較手段とを制御信号処理手段に備えたので、電動車椅子の走行安定性をより向上させることができる。
【0074】
図12は請求項3に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図である。
図12において、右制御信号処理手段126は、手動トルク補正演算手段130と、目標信号設定手段132と、ホールド処理手段142とから構成する。
【0075】
目標信号設定手段132は手動トルク補正信号TCRと、右主輪回転方向判断信号Dと、右車速信号Vとのそれぞれの値に応じた目標信号TMRをホールド処理手段142に出力する。
ホールド処理手段142は目標信号TMRが急激に零に収束した場合、零に収束する目標信号をホールドし、ホールド時間を右車速信号Vに基づいて制御して急激に零に収束する目標信号TMRをなだらかに零に収束するようにホールド処理を行い、これを電動機による補助力の大きさと方向を決める補正目標信号TMHRとして右駆動制御手段113に出力する。
【0076】
図13は請求項3に係るホールド処理手段の車速(V)−ホールド時間(△t)特性図である。
図13において、車速Vに対するホールド時間△t特性は、ある車速V(V)に達するまでホールド時間△tが零の不感帯を設け、車速Vが増加して不感帯を過ぎると車速Vの増加に伴ってホールド時間△tが増加し、またある車速Vに達してそれ以上の車速Vに対してホールド時間△tが一定値となる。
【0077】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段に、目標信号設定手段からの目標信号が急激に零に収束した場合、目標信号をなだらかに零に収束させるように、零に収束する目標信号を処理するためのホールド時間を図13に示すように車速信号に基づいた値によって制御するホールド処理手段を備えたので、電動車椅子の走行安定性をさらに向上させることができる。
【0078】
図14は請求項4に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図である。
図14において、右制御信号処理手段128は、手動トルク補正演算手段130と、目標信号設定手段132と、ホールド処理手段140と、閾値設定手段136と、比較手段138と、予測処理手段144とから構成する。
【0079】
手動トルク補正演算手段130と、目標信号設定手段132と、ホールド処理手段140と、閾値設定手段136と、比較手段138とは、図9に示した請求項2に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図における手動トルク補正演算手段130と、目標信号設定手段132と、ホールド処理手段140と、閾値設定手段136と、比較手段138と、構成および作用が同一なのでここでの説明は省略する。
【0080】
予測処理手段144は、右手動トルク信号Tの変化率が所定値を超えた場合、過去の右手動トルク信号Tから現時点の右手動トルク信号Tを予測し、予測した右手動トルク信号Tで右手動トルクセンサ11Rから得られた現時点の右手動トルク信号Tを置換することによって右手動トルク信号Tに混入して電動車椅子の走行安定性を損ねる恐れのある外乱を除去する。
【0081】
図15は手動トルク信号と外乱の模式図である。
図15において、手動トルク信号T(T)は実線で示し、外乱Tは破線で示した。
【0082】
図16は請求項4に係る予測処理手段の動作原理を説明するための手動トルク信号Tと外乱Tの模式図である。
現時点(t=t)の手動トルク信号Tの振幅値をT(t)、(t=t−1)時の手動トルク信号Tの振幅値をT(t−1)、(t=t−2)時の手動トルク信号Tの振幅値をT(t−2)、さらに(t=t−3)時の手動トルク信号Tの振幅値をT(t−3)とし、許容手動トルク変化量を△Tとする。
【0083】
図16において、手動トルク信号T(t−2)は手動トルク信号T(t−3)より△T(△T<△T)だけ増加し、さらに手動トルク信号T(t−1)は手動トルク信号T(t−2)より△T(△T<△T<△T)だけ増加しており、二次関数的に単調増加する手動トルク信号T(t)の一例を示した。
【0084】
現時点(t=t)のTNH、またはTNLは手動トルク信号T(t−1)からの増加分が許容手動トルク変化量△Tを超えており、このTNH、またはTNLを外乱とみなし、手動トルク信号T(t−3)、手動トルク信号T(t−2)および手動トルク信号T(t−1)から下記に示す演算によって予測された予測手動トルク信号T(t)で置換される。
手動トルク信号T(t)を数3に示す二次方程式で表わす。
【0085】
【数3】
T(t)=At+Bt+C
【0086】
数3の定数A,B,Cは既知の値である手動トルク信号T(t−1),T(t−2),T(t−3)より決まる。
手動トルク信号T(t−1),T(t−2),T(t−3)は数4のように表わすことができる。
【0087】
【数4】
T(t−1)=A(t−1+Bt−1+C
T(t−2)=A(t−2+Bt−2+C
T(t−3)=A(t−3+Bt−3+C
【0088】
よって、現時点(t=t)の予測手動トルク信号T(t)は数5によって予測することができる。
【0089】
【数5】
T(t)=A(t+Bt+C
【0090】
尚、本実施の形態では予測手動トルク信号T(t)は二次方程式を用いたがN次方程式による予測でも良い。
【0091】
このように、電動車椅子の制御信号処理手段に、手動トルクセンサからの手動トルク信号の変化率が所定値を超えた場合、手動トルク信号に外乱の混入ありとみなし、過去の手動トルク信号から現時点の手動トルク信号を予測した予測手動トルク信号で手動トルクセンサから得られた現時点の手動トルク信号を置換して手動トルク信号に混入した電動車椅子の走行安定性を損ねる恐れのある外乱を除去した予測手動トルク信号を手動トルク補正演算手段に出力する予測処理手段を備えたので、電動車椅子の走行安定性をなお一層良くすることができる。
【0092】
なお、上記実施形態は本発明の一実施例であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0093】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1に係る電動車椅子は、電動車椅子の制御信号処理手段に目標信号設定手段からの目標信号が急激に零に収束した場合、目標信号をなだらかに零に収束させるように、変化する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段を制御信号処理手段に備え、電動車椅子の走行安定性を向上させることができるので、安全性の高い、しかも手動走行性の良い電動車椅子を提供することができる。
【0094】
また、請求項2に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に、目標信号設定手段からの目標信号が急激に零に収束した場合、目標信号をなだらかに零に収束させるように、変化する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段と、閾値を設定する閾値設定手段と、この閾値と目標信号との大きさを比較して、ホールド処理手段でのホールド処理時間を制御する信号をホールド処理手段に出力する比較手段とを制御信号処理手段に備え、電動車椅子の走行安定性をより向上させることができるので、安全性の高い、しかも手動走行性のより良い電動車椅子を提供することができる。
【0095】
さらに、請求項3に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に目標信号設定手段からの目標信号が急激に零に収束した場合、目標信号をなだらかに零に収束させるように、零に収束する目標信号を処理するためのホールド時間を主輪回転速度センサからの信号に基づいた値によって制御するホールド処理手段を備え、電動車椅子の走行安定性をさらに向上させることができるので、安全性の高い、しかも手動走行性のさらに良い電動車椅子を提供することができる。
【0096】
また、請求項4に係る電動車椅子は、制御信号処理手段に、手動トルクセンサからの手動トルク信号の変化率が所定値を超えた場合、手動トルク信号に外乱の混入ありとみなし、過去の手動トルク信号から現時点の手動トルク信号を予測した予測手動トルク信号で手動トルクセンサから得られた現時点の手動トルク信号を置換して手動トルク信号に混入した電動車椅子の走行安定性を損ねる恐れのある外乱を除去した予測手動トルク信号を手動トルク補正演算手段に出力する予測処理手段を備え、電動車椅子の走行安定性をなお一層良くすることができるので、安全性の高い、しかも操作感覚の良い電動車椅子を提供することにある。
【0097】
よって、安全性の高い、しかも手動走行性の良い電動車椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動車椅子の正面図
【図2】本発明に係る車椅子の側面図
【図3】本発明に係るトルク検出機構の原理図
【図4】本発明に係る主輪のハブの拡大断面図
【図5】本発明に係る電動車椅子の全体ブロック構成図
【図6】請求項1に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図
【図7】請求項1に係る電動車椅子の制御信号処理手段の動作説明図
【図8】請求項1に係る電動車椅子のホールド処理手段の動作を示す流れ図
【図9】請求項2に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図
【図10】請求項2に係る電動車椅子の制御信号処理手段の動作説明図
【図11】請求項2に係る電動車椅子のホールド処理手段の動作を示す流れ図
【図12】請求項3に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図
【図13】請求項3に係るホールド処理手段の車速(V)−ホールド時間(△t)特性図
【図14】請求項4に係る電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図
【図15】手動トルク信号と外乱の模式図
【図16】請求項4に係る予測処理手段の動作原理を説明するための手動トルク信号Tと外乱Tの模式図
【図17】従来の電動車椅子の制御信号処理手段の要部ブロック構成図
【図18】車速信号V(VLW,VMD,VHI)をパラメータとした手動トルク信号(T)―目標信号(T)特性図(テーブル1)
【図19】手動トルク信号Tの波形と従来の電動車椅子における目標信号Tの波形
【符号の説明】
1…電動車椅子、2…ステップ、3…車体フレーム、3a…サブフレーム、4…前部補助輪、4a…ブロック、4b…揺動アーム、4c…補助輪、5…主輪、5a…ハブ、5b…スポーク、5c…タイヤリム、5d…タイヤ、6…ハンドリング、8…バッテリ、11R…右手動トルクセンサ、11L…左手動トルクセンサ、20…トルク検出機構、21…スプリング、22…ワイヤ、23…中継プーリ、31…ベアリング、32…アウタレース、33…鍔、34…インナレース、35…ナット、36…ロッド、41…ボス、42…ナット、 43…ブラケット、44…ビス、45…チューブ、50…モータ、 51…モータハウジング、52…コイル、53…マグネット、 54…ロータ、54a…カップ、54b…シリンダ、60…第1遊星減速機構、61…第1サンギヤ、62…第1インナギヤ、 63…第1プラネタリギヤ、64…第1キャリア、70…第2遊星減速機構、71…第2サンギヤ、 72…第2インナギヤ、73…第2プラネタリギヤ、102…制御手段、103…右主輪回転速度センサ、106…左主輪回転速度センサ、107…回転方向判別手段、108…車速演算手段、109…A/D変換器、110…A/D変換器、111…車速演算手段、112…回転方向判別手段、113…右駆動制御手段、114…左駆動制御手段、115…右電動機駆動手段、116…左電動機駆動手段、117…右電動機、118…左電動機、120…右制御信号処理手段、121…左制御信号処理手段、122…右制御信号処理手段、123…左制御信号処理手段、124…右制御信号処理手段、126…右制御信号処理手段、128…右制御信号処理手段、130,131…手動トルク補正演算手段、132,133…目標信号設定手段、134,140,142…ホールド処理手段、135…右係数設定手段、136…閾値設定手段、137…平均車速演算手段、138…比較手段、139…右電動機目標信号補正演算手段、144…予測処理手段、A,B,C…定数、D,D…差分値、D…左主輪回転方向判別信号、D…右主輪回転方向判断信号、FET…電界効果トランジスタ、JTR…比較信号、M…乗員、T…外乱、PDL…左電動機駆動信号、PDR…右電動機駆動信号、PWL…左動制御信号、PWR…右動制御信号、PWM…パルス幅変調器、S…左電動機補正目標信号、S…右電動機補正目標信号、T,TNH,TNL,T,T(t−1),T(t−2),T(t−3)…右手動トルク信号、TCR…手動トルク補正信号、T…閾値、T…左手動トルク信号、T,TMR,T(t−1),T(t)…目標信号、TMH,TMHR,TMH(t−1),TMH(t)…補正目標信号、T…外乱、T(t)…予測手動トルク信号、t…現時点、Δt…所定時間、Δt(H),Δt(L)…ホールド時間、ΔT…許容目標信号変化量、TML…左電動機目標信号、TMR…右電動機目標信号、TPR…右手動トルクアナログ信号、T…右手動トルク信号、△T…許容手動トルク変化量、△T…手動トルク変化量、U…右輪回転速度信号、V…車速信号、VHI…高車速領域、VLW…低車速領域、VMD…中車速領域、V…左車速信号、V…右車速信号。

Claims (4)

  1. 車体を人力で操作するためのハンドリングを付設した主輪と、この主輪の回転速度を検出する主輪回転速度センサと、前記ハンドリングに加える操作力を検出する手動トルクセンサと、前記主輪に補助力を付加する電動機と、前記電動機を駆動制御する駆動制御手段と、この駆動制御手段からの信号によって前記電動機を駆動する駆動手段と、をそれぞれ左右一対に備えると共に、左右ある内の一方の前記手動トルクセンサ、他方の前記手動トルクセンサおよび他方の前記主輪回転速度センサからの信号に基づいた値によって手動トルクを補正する手動トルク補正演算手段と、前記電動機による補助力の大きさと方向を決める目標信号を前記主輪回転速度センサおよび前記手動トルク補正演算手段からの信号に基づいた値によって設定する目標信号設定手段と、を有する制御信号処理手段をそれぞれ左右一対に備えた電動車椅子において、
    前記制御信号処理手段は、前記目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を一定時間ホールドして処理をするホールド処理手段を備えたことを特徴とする電動車椅子。
  2. 前記制御信号処理手段は、閾値を設定する閾値設定手段と、この閾値と前記目標信号設定手段からの目標信号との大きさを比較する比較手段と、前記目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を処理するためのホールド時間を前記比較手段からの信号に基づいて制御するホールド処理手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動車椅子。
  3. 前記制御信号処理手段は、前記目標信号設定手段からの目標信号が急激に減少した場合、目標信号をなだらかに減少させるように、減少する目標信号を処理するためのホールド時間を前記主輪回転速度センサからの信号に基づいた値によって制御するホールド処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動車椅子。
  4. 前記制御信号処理手段は、前記手動トルクセンサからの手動トルク信号の変化率が所定値を超えた場合、過去の手動トルク信号から現時点の手動トルク信号を予測し、予測した手動トルク信号で前記手動トルクセンサから得られた現時点の手動トルク信号を置換して前記手動トルク補正演算手段に出力する予測処理手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動車椅子。
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