JP3600869B2 - 投影光学系及び該光学系を備えた投影露光装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体素子等を製造するためのフォトリソグラフィー工程で用いられる投影露光装置及びその投影光学系に関し、特に例えばライン・アンド・スペースパターンのような周期的なパターンを感光基板上に転写する場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体集積回路、液晶ディスプレイ等の微細パターンをフォトリソグラフィー工程で形成する際に使用される投影露光装置の投影光学系には、レチクル(又はフォトマスク等)上の各種の異なったパターンをウエハ等の感光性の基板上に忠実に転写するために、極めて高い結像特性が要求される。
【0003】
一般に、投影光学系を介して微細なレチクルパターンを感光基板上へ忠実に転写するためには、投影光学系の解像度と焦点深度(DOF)とが重要なファクタとなっている。それらの内の解像度を向上するためには、投影光学系の開口数(NA)を大きくすればよい。
ここで、解像度と開口数との関係につき説明する。これに関して、通常の集積回路のパターンは直交する2方向、特にウエハ上のショット領域の各辺に平行な縦方向(短辺方向)又は横方向(長辺方向)に沿って配列されたパターンが主であり、斜め方向に沿って配列されたパターン(斜めパターン)は少ないか、又は斜めパターンを全く含まないような層(レイヤー)も存在する。ここで、例えばレチクル上の縦方向に沿って配列された周期性パターンに露光用の照明光を照射する場合を例に取り説明する。
【0004】
レチクルに照射された照明光はその周期性パターンによりその一部が遮られ、レチクルを通過する照明光にはそのまま通過する成分(0次光)だけでなく、その周期性パターンで回折され曲げられた成分(回折光)が含まれている。この2つの成分が投影光学系を通過し、感光基板上で互いに干渉しあって明暗の縞が形成されることにより、その周期性パターンが転写される。ここで、レチクルから発生する回折光の回折角θは照明光の波長λと周期性パターンのピッチPとの関数であり、n次(nは整数)の回折光については、下記の(1)式の関係が成立する。
【0005】
sin θ=nλ/P (1)
即ち、回折角θはパターンが微細であるほど大きいことになる。このため、解像度を高めて、より微細なパターンを高精度に転写すべく大きな開口数の投影光学系(投影レンズ系や投影ミラー系等)が開発されてきた。そして、投影光学系の瞳面(レチクルのパターン面に対するフーリエ変換面)にはその開口数を規定するための絞り(開口絞り)が配置されていた。従来の開口絞りの開口部の形状は円形であり、特に方向性を持たせたものは無かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、投影光学系の瞳面に円形の開口絞りが設けられている場合には、周期性パターンの配列方向に垂直な方向の入射角によって投影光学系を通過できる最大の回折角が異なることになる。即ち、垂直照明光(瞳通過位置が光軸)では開口数(これをNAとする)に見合った入射角の光まで投影光学系を通過できるが、入射角の正弦がパターンの配列方向に垂直な方向に入射側の開口数の0.7倍の場合では有効な射出角の正弦は光軸での値の0.7倍(=0.7NA)になってしまう。
【0007】
また、開口数が大きい場合にはウエハへの照明光の入射角の範囲も大きくなるため、デフォーカス時の入射角の差による結像光束の間の位相差も大きくなり、例えば明像の位置でも光が干渉して強め合う効果が小さくなり、結果として像のコントラストの低下の度合いが大きくなる。このため、十分な焦点深度を得るためには、過剰な開口数は不要であることが近年認識されつつある。
【0008】
以上のように、円形の開口絞りを有する投影光学系では、投影光学系に入射する照明光の入射角によって有効な射出角が異なり、入射角の正弦が例えば入射側の開口数の0.7倍程度の照明光に対して投影光学系の開口数を最適化した場合、垂直照明光については開口数が過大となってしまう。このため、高コストの大開口数の投影光学系を製造しても、投影光学系を通過できる光の射出角が入射角によって異なるような円形の開口絞りを有する場合には、その性能を充分に発揮できない不都合があった。
【0009】
また、通常の実際の集積回路のパターンは殆ど縦横方向のパターンにより形成されているが、斜め方向についても微細なパターンが存在することもある。このような場合には、斜め方向についても開口数が入射角によって変化しないことが望ましい。このため、必要に応じて斜め方向のパターンにも対応できる投影光学系が求められている。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑み、照明光の所定の方向に垂直な方向への入射角による有効な射出角の差が少なく、全体として適正な開口数を有する投影光学系、及びそのような投影光学系を備えた投影露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による投影光学系は、第1面(14)上に配され所定の方向(X方向又はY方向)に周期性を有するパターン(20)を第2面(17)上に結像投影する投影光学系において、その投影光学系内のその第1面(14)に対するフーリエ変換面(H)、又はこの近傍の面上に、その投影光学系の光軸(AX)を通りその所定の方向に直交する方向(Y方向又はX方向)に延びた対称軸(Y1,X1)に関して線対称であり、且つ輪郭(109)の少なくとも一部が直線部である開口(106)を有する絞り(16;16A)を配置したものである。
【0012】
この場合、その絞り(16;16A)の開口の輪郭(109)がその対称軸(Y1,X1)に平行な直線部を含むことが好ましい。
また、その絞り(16;16A)はそれぞれその開口(106)の輪郭(109)を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレード(101A,101B)を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明による投影露光装置は、その投影光学系(15)を備えた投影露光装置であって、その第2面に配置される感光基板(17)上に転写すべきパターン(20)がその第1面に配置されるマスク(14)を露光用の照明光でケーラー照明する照明光学系(1〜6,8a,8c,8d,9〜13)を備えるものである。
【0014】
この場合、その照明光学系の面光源の形状の一例は矩形の枠状(8d)である。
【0015】
【作用】
斯かる本発明の投影光学系によれば、例えばX方向に所定ピッチで配列されたパターン(20V)の投影時には、その投影光学系(15)のフーリエ変換面付近にX方向に垂直なY方向に平行な対称軸(Y1)に関して線対称で且つ直線部を有する絞り(図5(b))を配置する。これにより、Y方向に傾斜した照明光によるそのパターン(20V)からの回折光は垂直入射光による回折光とほぼ同じ量だけ投影光学系を通過する。即ち、有効な射出角の差が少ない。なお、開口絞りの開口部の形状が円形でない場合には、転写するパターンの方向によりパターンから発生する回折光の方向が異なるため、パターンの方向によって開口数が変化することになる。ここで、開口数が異なれば像を結ぶ回折光の像面への入射角度の範囲が異なることになるため、像のコントラストや焦点深度といった結像特性が異なることになる。このため、投影光学系の結像特性の調整時には、パターンの方向によって結像性能が異なるような四角形等の開口部を有する開口絞りは望ましくない。このため、投影光学系の調整時には円形の開口部を有する開口絞り、実際の露光時には四角形等の開口部を有する開口絞りが望ましいことになる。
【0016】
また、絞り(16;16A)の開口の輪郭(109;103a)がその対称軸に平行な直線部を含む場合には、入射角が異なっても、マスク上の所定の方向に配列されたパターンから発生する回折光がほぼ均等に投影光学系を通過するので、有効な射出角の差が殆どなくなり、開口数が最適化される。
また、絞り(16;16A)がそれぞれ開口(106)の輪郭(109)を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレード(101A,101B)を有する場合には、例えば実露光時及び投影光学系の調整時等に合わせて開口部の形を変えることができる。
【0017】
また、本発明によるその投影光学系(15)を備えた投影露光装置によれば、投影光学系(15)に入射する照明光の入射角が変化しても有効な回折角の範囲が変化せず、投影光学系(15)の開口数が最適化され、良好な結像特性が得られる。更にケーラー照明の場合には、投影光学系の瞳面に照明光学系の面光源の像が形成されるため、その瞳面付近の絞りの開口の形状に合わせてその面光源も輪郭の少なくとも一部を直線状とすることにより、有害な結像光束が減少して結像特性が向上する。
【0018】
また、その照明光学系の面光源の形状が矩形の枠状(8d)である場合には、通常の輪帯照明法を縦方向及び横方向のパターンに対して最適化した照明が行われる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明による投影光学系及び投影露光装置の一実施例につき図1〜図5を参照して説明する。本例は、レチクル上のパターンを投影光学系を介してウエハ上の各ショット領域に縮小して投影するステッパ型の投影露光装置に本発明を適用したものである。
【0020】
図1は、本例の投影露光装置の概略構成の斜視図を示し、この図1において、露光用の光源1から放射された照明光は楕円鏡2によって第2焦点に収斂した後、発散光となって照明光の通過、遮断を制御する不図示のシャッター、及び短波長カットフィルターを経て干渉フィルター3に入射し、ここで露光に必要とされる所望のスペクトル、例えば水銀ランプの場合にはi線のみが抽出される。干渉フィルター3から射出された照明光は、折り曲げミラー4によりほぼ直角に折り曲げれられて、インプットレンズ5により平行光束となってオプティカル・インテグレータとしてのフライアイレンズ6に入射する。
【0021】
なお、露光用の照明光はi線に限定されるものではなく、g線等を使用してもよい。また、露光用の光源1としては、水銀ランプの他、エキシマレーザー光源や、金属蒸気レーザー光又はYAGレーザー光の高調波発生装置等が使用できる。
そして、フライアイレンズ6の各レンズエレメントのそれぞれの射出面には2次光源(光源像)が形成される。従って、フライアイレンズ6の射出面にはレンズエレメントの数と同じ数の多数の光源像が形成され、これらにより面光源が作られる。フライアイレンズ6の射出面には、面光源の形状及び大きさを調整するための切り換え自在の複数の開口絞り8a〜8fが配置されている。これらの開口絞り8a〜8fは、ターレット状の円板7に固定され、回転駆動する駆動装置7aにより切り換えられるように配置されている。図1は、開口絞り8aが照明光路中に配置されている状態を示している。
【0022】
図2は、図1の開口絞り8a〜8fの具体的な構成の斜視図を示し、この図2において、開口絞り8a〜8fはターレット状の円板7の周辺にほぼ等角度間隔で固定されている。この6個の開口絞り8a〜8fは何れも照明光の一部を遮光するために設けられている。第1の開口絞り8aは、所謂変形光源法用の絞りで照明光の光軸近傍の光束を遮光し、4箇所のそれぞれの光軸から等距離に形成された矩形の開口部を照明光が通過する構成を有している。第2の開口絞り8bは、中心部に比較的小さな円形の開口部を設けたもので、第3の開口絞り8c及び第4の開口絞り8dはそれぞれ面光源の輪郭を直線状とした絞りである。また、第5の開口絞り8eは輪帯絞りであり、第6の開口絞り8fは通常の円形の絞りである。
【0023】
図1に戻り、開口絞り8aを通った照明光は、第1リレーレンズ9、レチクルブラインド10、第2リレーレンズ11を透過して折り曲げミラー12でほぼ直角に曲げられた後、コンデンサーレンズ13を介して、レチクル14を均一な照度分布で照明する。この場合、リレーレンズ9,11、折り曲げミラー12、及びコンデンサーレンズ13によって、フライアイレンズ6の射出面(面光源が形成される面)はレチクル14のパターン面に対するフーリエ変換面になっている。即ち、レチクル14は以上のような構成の照明光学系によりケーラー照明される。従って、投影光学系15の瞳面(レチクル14のパターン面に対するフーリエ変換面)には、開口絞り8aの像が形成される。
【0024】
また、レチクルブラインド10は、レチクル14に対して結像関係となっており、レチクルブラインド10の開口形状により、レチクル14上の照明領域を制限することができる。ここで、図1において、投影光学系15の光軸AXに平行にZ軸を取り、その光軸AXに垂直な平面内に互いに直交するようにX軸及びY軸を取る。
【0025】
図3は、レチクル14の概略構成の平面図を示し、この図3において、レチクル14のほぼ中央部の有効エリア(パターンエリア)PAは半導体集積回路の形状に合わせてY方向に長い長方形に形成されている。ここでは、レチクルパターン20の縦方向(短辺方向)のパターンをY方向に伸び、且つX方向に等間隔に並んだ均一な5本の遮光部からなる縦方向パターン20Vで代表させ、レチクルパターン20の横方向(長辺方向)のパターンをX方向に伸び、且つY方向に等間隔に並んだ均一な5本の遮光部からなる縦方向パターン20Hで代表させている。
【0026】
レチクルパターン20が描画されたレチクル14は、不図示のレチクルステージ上に真空吸着されている。
図1に戻り、レチクル14のパターン面を通過した照明光は、投影光学系15に入射する。投影光学系15は両側(又は片側も可)テレセントリックであり、投影光学系15内の瞳面には開口部の形状が可変の開口絞り16が配置されている。この開口絞り16については後で詳しく説明する。
【0027】
投影光学系15から射出された照明光は、フォトレジストが塗布されたウエハ17上に照射され、レチクル14上のレチクルパターン20の縮小像がウエハ17上に投影される。
ウエハ17は、ウエハホルダ18上に真空吸着により保持され、ウエハホルダ18はウエハステージ19上に載置されている。ウエハステージ19は不図示の駆動系によりX方向及びY方向にウエハ17を位置決めし、また光軸AXに平行なZ方向並びにXY平面上の回転方向にもウエハ17を微動することができる。ウエハステージ19の動作は、不図示の制御系により制御される。
【0028】
次に、開口絞り16の構成について図4及び図5を参照して詳細に説明する。図4は、図1の開口絞り16の拡大斜視図を示し、この図4に示すように開口絞り16を構成するL字型で板状の一対の可動式ブレード101A,101Bが投影光学系15の瞳面H上に光軸AXを中心として対称となる位置に配置されている。可動式ブレード101Aは、駆動モータ102A及び送りねじ108Aからなる駆動機構105Aにより駆動される。可動式ブレード101AのL字の角部のウエハ17に対向する裏面側には送りねじ108Aに螺合する不図示のナット部が光軸AXに向かう方向に固定されており、可動式ブレード101Aは、その角部が駆動モータ102Aの回転に伴って光軸AXを通る直線に沿うように移動する。同様に、可動式ブレード101Bは、駆動モータ102B及び不図示の送りねじからなる駆動機構105Bにより光軸AXを通る直線に沿って駆動される。
【0029】
図5は、可変の開口絞り16の拡大平面図を示し、図5(a)は開口部が最も大きく開いた状態、図5(b)は開口部が最も狭められた状態を示している。図5(a)において、開口絞り16の一対の可動式ブレード101A,101Bは、開口部が最も大きくなる位置に設定され、一対の可動式ブレード101A,101Bの内側のエッジに投影光学系15の開口数を規定する半径Rの固定の開口絞り22が内接している。L字型の可動式ブレード101A,101Bの光軸AXに対向する内縁109は直線状のエッジを形成し、それぞれX軸及びY軸に平行に形成されている。
【0030】
L字型の可動式ブレード101A,101Bは、光軸AXに垂直なXY平面に光軸AXに対して対称的に配置され、且つ可動式ブレード101A,101Bのそれぞれの内側のほぼ直角の角部を形成する2つの直線部(以下、「内縁直線部」という)はそれぞれX軸又はY軸に平行に配置される。従って、可動式ブレード101A,101BのそれぞれX軸に平行な内縁直線部同士は光軸AXを通りX軸に平行なX方向対称軸X1に対して対称的に配置される。同様に可動式ブレード101A,101BのそれぞれY軸に平行な内縁直線部同士は光軸AXを通りY軸に平行なY方向対称軸Y1に対して対称的に配置される。
【0031】
図5(a)の位置にある可動式ブレード101A,101Bを図4のそれぞれの駆動機構105A,105Bにより駆動して、矢印の方向に移動させると、最終的に可動式ブレード101A,101Bは図5(b)に示される位置に移動する。図5(b)は可動式ブレード101A,101Bによる開口部が最も縮小された状態を示し、半径Rの開口絞り22に内接するように正方形の開口部106が形成されている。
【0032】
本例の開口絞り16を構成する可動式ブレード101A,101Bによる開口部は、図5(a)に示す全開の位置から図5(b)に示す最少の位置まで、複数位置が選択できるようになっている。図5(a)の全開の位置は、例えば投影光学系15の調整時にも使用される。可動式ブレード101A,101Bの動作は、不図示の中央制御系により制御されるが、中央制御系には露光条件と可動式ブレード101A,101Bの設定位置との関係が予め露光条件設定ファイルとして記憶されており、露光条件が設定されると中央制御系からの指令に基づき図4の駆動機構105A,105Bの駆動により可動式ブレード101A,101Bが所定の位置まで移動する。
【0033】
以上のような構成を有する開口絞り16の開口部は、例えばホールレイヤーのような開口数が大きいほど良い層(レイヤー)については全開の位置に、比較的粗なラインからなるレイヤーについては開口部が最小になる位置に設定される。また、比較的微細なラインパターンについてはその中間に設定される。なお、可動式ブレード101A,101Bの位置については、不図示ではあるが、デジタルマイクロメータないしは駆動用のモータシャフトに取り付けたロータリーエンコーダ等によって求め、設定値との差を補正することができる。
【0034】
次に、本例の投影露光装置の動作につき説明する。
本例の投影露光装置の第1の特徴は、図1の投影光学系15の瞳面Hに従来の開口絞りと異なる開口絞り16を設けた点にある。この開口絞り16を構成する図5のL字型の可動式ブレード101A,101Bにより、開口部の大きさを可変とし、X方向対称軸X1に関して線対称なエッジ及びY方向対称軸Y1に関して線対称なエッジにより瞳を通過する回折光の通過領域を制限し、投影光学系15から射出される回折光の有効射出角を均一化することができる。先ず、図2の円形の開口絞り8bをフライアイレンズ6の射出面に配置した場合につき説明する。
【0035】
照明光学系をでた照明光により図3のレチクル14上のレチクルパターン20の横方向のパターン20H及び縦方向のパターン20Vが照明され、回折光が発生する。以下では横方向パターン20Hについてのみ説明する。縦方向パターン20Vについても同様である。この場合、可動式ブレード101A,101Bは図5(b)の状態に設定される。
【0036】
Y方向に周期的な横方向パターン20Hからの回折光は高次になればなる程上記(1)式により大きな回折角で投影光学系15に入射する。一般的に投影光学系のレンズ群は円形の広がりを有するものであり、特に高次の回折光は円形の広がりをもちながら瞳面に形成された開口絞りに入射する。
ところが、開口絞り16を構成するL字型の可動式ブレード101A,101Bは、X方向対称軸X1に関して線対称なX軸に平行なエッジを形成しているため、投影光学系15に入射した横方向パターン20Hからの広角度の回折光はそのX軸に平行なエッジにより一様に開口部の通過を妨げられる。このエッジはX方向に平行に形成されているため、照明光がX方向に傾斜している場合でも、横方向パターン20Hから発生して投影光学系15を通過する回折光の有効最大回折角は等しい。従って、横方向パターン20Hの像が高い解像度でウエハ17上に投影されると共に、投影像の焦点深度が向上する。
【0037】
以上、本例によれば、露光条件に合わせて投影光学系15内に設けられた開口絞り16の開口部の形状及び大きさを変化させるので、種々のパターンに対して最適な開口数による結像特性が得られ、最適な条件での露光を行うことができる。
次に、本発明の他の実施例について、図6〜図8を参照して説明する。本例は、図1の例と同じ可動式ブレード101A,101Bにほぼ円形の虹彩絞り103を組み合わせた開口絞り16Aを設けたもので、その他の構成は図1の例と同様である。この開口絞り16Aも図1の実施例と同様に投影光学系15の瞳面に配置される。
【0038】
図6は、本例の開口絞り16Aの構成を示し、この図6において、投影光学系15の瞳面Hに配置された開口絞り16Aは、可動式ブレード101A,101Bと虹彩絞り103とより構成されている。虹彩絞り103は開口部がほぼ円形状を形成し、不図示の駆動機構により大きさが自在に変化する可変の開口絞りであり、同じく駆動機構105A,105Bにより可変の可動式ブレード101A,101Bの上に滑らかに接して又は非常に接近して、且つ投影光学系15の光軸AXにその中心が位置するように配置されている。
【0039】
図7は、図6の開口絞り16Aの拡大平面図を示し、この図7において、可動式ブレード101A,101Bは開口部が最も小さくなる位置に設定されている。図5の例と同様にL字型の可動式ブレード101A,101Bの光軸AXに対向する内縁109は直線状のエッジを形成し、それぞれX軸及びY軸に平行に配置されている。また、虹彩絞り103の開口部の輪郭が円形の内縁103aで表されている。
【0040】
本例の開口絞り16Aを構成する可動式ブレード101A,101B及び虹彩絞り103のそれぞれの駆動機構は、不図示の中央制御系により制御されるが、中央制御系には露光条件と可動式ブレード101A,101Bの設定位置及び虹彩絞り103の開度との関係が予め記憶されており、露光条件が設定されると中央制御系からの指令に基づきそれらの駆動機構105A,105B等の駆動により可動式ブレード101A,101Bが所定の位置まで移動すると共に、虹彩絞り103の開度が調整される。
【0041】
次に、本例の投影光学系の動作につき説明する。
本例では、虹彩絞り103の開口により投影光学系15の開口数を変化させ、それと共に可動式ブレード101A,101Bの位置の移動により縦横方向の回折光の投影光学系15での通過角度を制御することができる。更に、本例によれば、前実施例の図5(b)に示す縦横方向(XY方向)だけでなく斜め方向(X軸及びY軸の両軸に対して例えば45°で交差する方向)に配列されたパターンからの回折角の範囲も制限することができる。このためには、図7に示すように虹彩絞り103の内縁103aの直径を可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の開口部の対角線の長さより短くなるように設定すればよい。このとき、開口絞り16Aの開口部は、可動式ブレード101A,101Bの内縁109により形成される正方形の4箇所の角部が虹彩絞り103により遮光された形の開口部107となる。これにより斜め方向のパターンからの回折光の回折角の範囲が制限され、投影光学系15の開口数が照明光の入射角によらずに均一化される。
【0042】
ここで、照明光学系の面光源の形状(即ち、開口絞り)と開口絞り16Aの開口形状との関係について図8を参照して説明する。
図8は、照明光学系の開口絞りの像の形状と開口絞り16Aとの関係を説明するための平面図を示し、図8(a)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さと虹彩絞り103の内縁103aの直径とがほぼ同じ長さに設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁103aの半径R1は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さとなる。また、図8(b)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さに対して虹彩絞り103の内縁103aの直径が短く設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁の半径R2は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さより短くなる。
【0043】
図8(a)及び図8(b)は照明光学系の開口絞りとして図2の開口絞り8bを光路上に配置した場合の例を示し、この図8(a)及び図8(b)において斜線を施した円形の光源像21Aが瞳面H上に投影されている。レチクル14上の縦横線(Y方向のみの線及びX方向のみの線)のみからなるパターンを転写する場合には回折光は縦横方向(Y方向又はX方向)にしか発生しないため、可動式ブレード101A,101Bによって絞る範囲は斜線部で示される光源像21Aの上下左右の範囲だけでよい。また、斜め方向については結像には影響しないため、図8(a)の開口絞り16Aの開口形状と図8(b)の開口絞り16Aの開口形状とにより同じ結像性能が得られる。
【0044】
ここで、照明光学系の開口絞りが本例の投影露光装置で得られる照明光学系の開口絞りと異なる3つの変形例について図9を参照して説明する。
図9は、それらの変形例における照明光学系の開口絞りの像の形状と開口絞り16Aとの関係を説明するための投影光学系15の瞳面の図を示し、この内図9(a)、9(c)、9(e)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さと虹彩絞り103の内縁103aの直径とがほぼ同じ長さに設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁103aの半径R1は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さとなる。また、図9(b)、9(d)、9(f)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さに対して虹彩絞り103の内縁103aの直径が短く設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁の半径R2は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さより短くなる。
【0045】
図9(a)及び図9(b)は、第1の変形例を示し、この図9(a)及び図9(b)において、照明光学系の開口絞りとして図2の四角形の開口絞り8cが用いられ、その像が光源像21Bとして形成されている。照明光学系を含めた最適化を行う場合には照明光学系の開口絞りは円形である必要はなく、全ての位置で照明光学系の開口の像の形状と開口絞り16Aの開口形状とが等しくなり、開口数の最適化が容易である点で、照明光学系の開口形状は本例のように四角形の開口絞り8cの方が望ましい。ここで、図9(a)及び図9(b)に示す開口絞り16Aの開口形状により得られる結像性能はレチクルのX方向及びY方向のパターンに関しては等しくなる。このため、開口絞り16Aの開口形状として図9(a)と図9(b)との間の何れの開口形状をも選択することができる。
【0046】
図9(c)及び図9(d)は、第2の変形例を示し、照明光学系の開口絞りとして図2の開口絞り8a、即ち特開平4−180612号公報に示されているような4つの四角の開口部を有する開口絞りを用いたものである。この図9(c)及び図9(d)に示すように、開口絞り8aの像が斜線で示される光源像21Cとして形成され、この光源像21Cに対応して開口絞り16Aの開口も円弧状でなく四角形をしていることが望ましい。対角方向については、図3のレチクル14上のレチクルパターン20からの回折光の発生がないため形状は任意であり、全体としては四角形でもよく、また、その四隅が切り落とされたような形状でもよい。即ち、レチクル14上の縦横パターンに関しては、虹彩絞り103の内縁103aの半径がR1〜R2の範囲にあれば得られる結像特性は変わらない。
【0047】
図9(e)及び図9(f)は、第3の変形例を示し、図2の照明光学系の矩形の枠状の開口絞り8dが使用されている。即ち、投影光学系の瞳面には斜線を施して示すように、比較的小さな四角形の枠状の遮光部を有する光源像21Dが形成されている。第1の変形例と同様、図9(e)及び図9(f)に示す開口絞り16Aの開口形状により得られる結像性能はレチクル14上の縦横パターンに関しては等しくなる。このため、開口絞り16Aの開口形状として図9(e)と図9(f)との間の何れの開口形状をも選択することができる。
【0048】
なお、上記のように照明光学系の開口絞りの外形は円形及び四角形等に限定されるものではなく、得られる最大の開口の範囲内で最適になる形状のものを選べばよく、例えば図11に示すような円形CRと正方形TRの中間の曲線MDで示されるような形状の開口絞りを用いても、正方形TRの開口絞りを用いる場合とほぼ同じ結像特性を得ることができる。
【0049】
上述実施例において、図5の開口絞り16を投影光学系15の瞳面Hに配置した投影露光装置を使用して実際に露光実験を実施した。照明光として水銀ランプによるi線を使用し、ウエハ17側の開口数が0.57の円形の開口絞り22を有する投影光学系を使用し、ウエハ17側での縦横方向のパターンからの回折光の入射角の正弦の最大値を0.40から0.57まで可動式ブレード101A,101Bにより制限できるようにした。照明光学系の開口絞りはウエハ17側に換算して開口数が0.40の円形のものを用いた。
【0050】
[実験例1]
本例の投影露光装置の他に、投影光学系及び照明光学系にそれぞれの開口数が0.57及び0.40の円形の開口絞りを用いた従来の投影露光装置を使用し、幅0.4μmのライン・アンド・スペースパターンを転写する実験を行った。
その結果、本例の投影露光装置において、投影光学系の円形の開口絞り22の開口数は0.57のまま、可動式ブレード101A,101Bにより縦横方向の回折角の正弦を0.50に制限し、更に照明光学系の開口絞りを開口数が0.40の円形の開口とし、縦横方向の入射角の正弦を0.30の正方形とすることにより従来のものに比較して大きな焦点深度が得られた。
【0051】
[実験例2]
本例の投影露光装置の他に、投影光学系及び照明光学系にそれぞれの開口数が0.57及び0.40の円形の開口絞りを用いた従来の投影露光装置を使用し、幅0.35μmのライン・アンド・スペースパターンを転写する実験を行った。その結果、本例の投影露光装置において、投影光学系の円形の開口絞り22の開口数は0.57のまま、可動式ブレード101A,101Bにより縦横方向の回折角の正弦を0.50に制限し、更に照明光学系の開口絞りを開口数が0.40の円形の開口とし、縦横方向の入射角の正弦を0.28の正方形とすることにより従来のものに比較して大きな焦点深度が得られた。
【0052】
なお、可動式ブレード101A,101Bの駆動機構105a,105bを投影光学系15の光軸AXを中心とする回転機構上に設ければ、斜め方向に配列された微細パターン(斜めパターン)に対してはそのパターンの周期方向に可動式ブレード101A,101Bを回転させ、回折光の入射角の制限を行うことができる。これにより、斜め方向の開口数を上下左右方向よりも小さくすることが可能となり、斜めパターンに対して焦点深度を増大させることができる。
【0053】
次に、図1の開口絞り16の変形例について図10を参照して説明する。
図10は、本例の開口絞り16Bを構成する可動式ブレードの平面図を示し、図10(a)は開口部が最も大きくなった状態、図10(c)は開口部が最も小さくなった状態、図10(c)はその中間の状態を示す。この図10(a)において、板状で矩形の4枚の同形状の可動式ブレード211A〜211Dからなる一組の可動式ブレード(以下「可動式ブレード211」という)と、同じく板状で矩形の4枚の同形状の可動式ブレード212A〜212Dからなる一組の可動式ブレード(以下「可動式ブレード212」という)とが組み合わされて開口絞り16Bの可動式ブレードが構成されている。可動式ブレード211は可動式ブレード212の上表面に接するようにか、又は極近傍に互いに平行に配置されている。
【0054】
可動式ブレード211のそれぞれ向かい合うエッジは光軸AXを中心にして対称位置に配置されており、可動式ブレード211の互いに隣り合うエッジは、XY方向ではほぼ直交するように配置され、Z方向では互いにその両端部分が摺り合うような形で配置される。また、可動式ブレード211の各可動式ブレード211A〜211Dの光軸AXに対向する内縁のエッジは、それぞれX軸及びY軸に平行な直線状に形成されている。可動式ブレード212も同様の構成である。但し、可動式ブレード211のように互いに隣り合うブレードの両端部分が常時重なることはなく、可動式ブレード212による開口部が狭められた場合に互いに隣り合うブレードが重なった状態となる。また、可動式ブレード211と可動式ブレード212とは、互いに45度の角度をもって配置され、共に不図示の駆動系により光軸AXに向かう線に平行に移動することにより可動式ブレード211と可動式ブレード212とにより光軸AXを中心に形成される開口部213の形状が変化するようになっている。
【0055】
前述のように、図10(a)は、開口部213が最も大きくなった状態を示し、この図10(a)において、可動式ブレード211及び可動式ブレード212の各可動式ブレードは光軸AXから最も離れた位置に配置され、それらの可動式ブレードによって形成される開口部213は正方形の開口部となる。図10(a)の可動式ブレード211をそのままの状態にしながら可動式ブレード212を光軸AXに向けて移動させると図10(b)のように図10(a)の開口部213の正方形の開口部の四方の角部がXY軸に対してほぼ45度の角度をつ斜めの線に切られた様な開口部となる。また、図10(c)は開口部213が最も小さくなった状態を示し、この図10(c)において、可動式ブレード211の各可動式ブレードは光軸AXから最も近い位置に配置され、それらの可動式ブレードによって形成される開口部213は正方形の開口部となる。なお、可動式ブレード211と可動式ブレード212との位置を調整することにより、例えば図10(a)と図10(c)との間で各種の大きさの異なる正方形の開口部を形成することができる。また、それらの正方形の角部が遮光されたような開口部も形成することができる。
【0056】
本例の開口絞り16Bは、4枚の可動式ブレード211A〜211Dからなる一組の可動式ブレード211と4枚の可動式ブレード212A〜212Dからなる可動式ブレード212とを組み合わせることにより、各種の大きさの異なる正方形の開口部又は斜めの部分が遮光された開口部を形成するようにしたものであり、レチクル14上の縦横パターンだけでなく斜めのパターンに対しても対応することができる。
【0057】
なお、上述の実施例において、例えば投影光学系はレンズ系に限定されるものではなく、ミラーを含む反射系又は反射屈折系であってもよい。
また、本発明はステッパ型の投影露光装置だけでなく、レチクルとウエハとを互いに同期して走査するステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置にも適用することができる。
【0058】
このように本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0059】
【発明の効果】
本発明による投影光学系によれば、投影光学系の第1面に対するフーリエ変換面又はその近傍の面に、その輪郭の一部が直線状の絞りを設けているため、所定の方向の回折光の通過角度範囲をほぼ一様に制限することができる。従って、その所定の方向に垂直な方向への照明光の入射角によらず、投影光学系からの射出光の射出角の最大値がほぼ均一化されると共に、過大な開口数が原因である焦点深度の低下を防ぐことができる。また、その所定の方向については回折光の通過する角度範囲が一定であるため、照明光の入射角度範囲を含んだ投影光学系の最適化を行い易いという利点がある。
【0060】
また、絞りの開口の輪郭が投影光学系の光軸を通りその所定方向に直交する対称軸に平行な直線部を含む場合には、その所定の方向に垂直な方向への照明光の入射角によらずに、回折光の有効射出角がほぼ完全に均一化され、その所定の方向への周期的パターンの結像特性が向上する。
また、絞りがそれぞれ開口の輪郭を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレードを有する場合には、絞りの開口部は直線状のエッジを有する可変の開口部となり、例えば投影するパターンの種類、又は例えば実露光時若しくは投影光学系の調整時等に合わせて開口部の形を変えることができる。
【0061】
また、本発明による投影光学系を備えた投影露光装置によれば、投影光学系に入射する照明光の入射角によって有効な回折角の範囲が変化し、投影光学系の開口数を有効に使えないような現象が低減でき、全ての照明光に対して最適な開口数による結像が得られる。また、照明光学系もケーラー照明で且つ面光源が直線部を有するため、有害な結像光束が減少して、結像特性が向上する。
【0062】
また、照明光学系の面光源の形状が矩形の枠状である場合には、マスク上のパターンの所定方向及びそれと直交する方向のパターンに対する結像特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影露光装置の一実施例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の6個の照明光学系の開口絞りを示す斜視図である。
【図3】図1のレチクルのパターンの一例を示す平面図である。
【図4】図1の投影光学系15に使用される開口絞り16を示す斜視図である。
【図5】図4の開口絞り16の動作を示す拡大平面図である。
【図6】本発明の投影光学系に使用される開口絞りの他の例を示す斜視図である。
【図7】図6の開口絞り16Aを示す拡大平面図である。
【図8】図6の開口絞り16Aを用いた場合の照明光学系の開口絞りの形状と投影光学系の開口絞りとの関係を示す平面図である。
【図9】図8において、照明光学系の開口絞りの形状を変えた場合の照明光学系の開口絞りの形状と、投影光学系の開口絞りとの関係を示す平面図である。
【図10】図1の開口絞り16の変形例を示す平面図である。
【図11】図1の照明光学系の開口絞りの他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
8a〜8f 開口絞り
14 レチクル
15 投影光学系
16,16A, 16B 開口絞り
17 ウエハ
20 レチクルパターン
20H 横方向パターン
20V 縦方向パターン
101A,101B 可動式ブレード
103 虹彩絞り
105A,105B 可動式ブレードの駆動機構
106 開口絞りの開口部
109 開口絞りの開口の内縁
X1 X方向対称軸
Y1 Y方向対称軸
H 瞳面
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体素子等を製造するためのフォトリソグラフィー工程で用いられる投影露光装置及びその投影光学系に関し、特に例えばライン・アンド・スペースパターンのような周期的なパターンを感光基板上に転写する場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体集積回路、液晶ディスプレイ等の微細パターンをフォトリソグラフィー工程で形成する際に使用される投影露光装置の投影光学系には、レチクル(又はフォトマスク等)上の各種の異なったパターンをウエハ等の感光性の基板上に忠実に転写するために、極めて高い結像特性が要求される。
【0003】
一般に、投影光学系を介して微細なレチクルパターンを感光基板上へ忠実に転写するためには、投影光学系の解像度と焦点深度(DOF)とが重要なファクタとなっている。それらの内の解像度を向上するためには、投影光学系の開口数(NA)を大きくすればよい。
ここで、解像度と開口数との関係につき説明する。これに関して、通常の集積回路のパターンは直交する2方向、特にウエハ上のショット領域の各辺に平行な縦方向(短辺方向)又は横方向(長辺方向)に沿って配列されたパターンが主であり、斜め方向に沿って配列されたパターン(斜めパターン)は少ないか、又は斜めパターンを全く含まないような層(レイヤー)も存在する。ここで、例えばレチクル上の縦方向に沿って配列された周期性パターンに露光用の照明光を照射する場合を例に取り説明する。
【0004】
レチクルに照射された照明光はその周期性パターンによりその一部が遮られ、レチクルを通過する照明光にはそのまま通過する成分(0次光)だけでなく、その周期性パターンで回折され曲げられた成分(回折光)が含まれている。この2つの成分が投影光学系を通過し、感光基板上で互いに干渉しあって明暗の縞が形成されることにより、その周期性パターンが転写される。ここで、レチクルから発生する回折光の回折角θは照明光の波長λと周期性パターンのピッチPとの関数であり、n次(nは整数)の回折光については、下記の(1)式の関係が成立する。
【0005】
sin θ=nλ/P (1)
即ち、回折角θはパターンが微細であるほど大きいことになる。このため、解像度を高めて、より微細なパターンを高精度に転写すべく大きな開口数の投影光学系(投影レンズ系や投影ミラー系等)が開発されてきた。そして、投影光学系の瞳面(レチクルのパターン面に対するフーリエ変換面)にはその開口数を規定するための絞り(開口絞り)が配置されていた。従来の開口絞りの開口部の形状は円形であり、特に方向性を持たせたものは無かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、投影光学系の瞳面に円形の開口絞りが設けられている場合には、周期性パターンの配列方向に垂直な方向の入射角によって投影光学系を通過できる最大の回折角が異なることになる。即ち、垂直照明光(瞳通過位置が光軸)では開口数(これをNAとする)に見合った入射角の光まで投影光学系を通過できるが、入射角の正弦がパターンの配列方向に垂直な方向に入射側の開口数の0.7倍の場合では有効な射出角の正弦は光軸での値の0.7倍(=0.7NA)になってしまう。
【0007】
また、開口数が大きい場合にはウエハへの照明光の入射角の範囲も大きくなるため、デフォーカス時の入射角の差による結像光束の間の位相差も大きくなり、例えば明像の位置でも光が干渉して強め合う効果が小さくなり、結果として像のコントラストの低下の度合いが大きくなる。このため、十分な焦点深度を得るためには、過剰な開口数は不要であることが近年認識されつつある。
【0008】
以上のように、円形の開口絞りを有する投影光学系では、投影光学系に入射する照明光の入射角によって有効な射出角が異なり、入射角の正弦が例えば入射側の開口数の0.7倍程度の照明光に対して投影光学系の開口数を最適化した場合、垂直照明光については開口数が過大となってしまう。このため、高コストの大開口数の投影光学系を製造しても、投影光学系を通過できる光の射出角が入射角によって異なるような円形の開口絞りを有する場合には、その性能を充分に発揮できない不都合があった。
【0009】
また、通常の実際の集積回路のパターンは殆ど縦横方向のパターンにより形成されているが、斜め方向についても微細なパターンが存在することもある。このような場合には、斜め方向についても開口数が入射角によって変化しないことが望ましい。このため、必要に応じて斜め方向のパターンにも対応できる投影光学系が求められている。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑み、照明光の所定の方向に垂直な方向への入射角による有効な射出角の差が少なく、全体として適正な開口数を有する投影光学系、及びそのような投影光学系を備えた投影露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による投影光学系は、第1面(14)上に配され所定の方向(X方向又はY方向)に周期性を有するパターン(20)を第2面(17)上に結像投影する投影光学系において、その投影光学系内のその第1面(14)に対するフーリエ変換面(H)、又はこの近傍の面上に、その投影光学系の光軸(AX)を通りその所定の方向に直交する方向(Y方向又はX方向)に延びた対称軸(Y1,X1)に関して線対称であり、且つ輪郭(109)の少なくとも一部が直線部である開口(106)を有する絞り(16;16A)を配置したものである。
【0012】
この場合、その絞り(16;16A)の開口の輪郭(109)がその対称軸(Y1,X1)に平行な直線部を含むことが好ましい。
また、その絞り(16;16A)はそれぞれその開口(106)の輪郭(109)を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレード(101A,101B)を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明による投影露光装置は、その投影光学系(15)を備えた投影露光装置であって、その第2面に配置される感光基板(17)上に転写すべきパターン(20)がその第1面に配置されるマスク(14)を露光用の照明光でケーラー照明する照明光学系(1〜6,8a,8c,8d,9〜13)を備えるものである。
【0014】
この場合、その照明光学系の面光源の形状の一例は矩形の枠状(8d)である。
【0015】
【作用】
斯かる本発明の投影光学系によれば、例えばX方向に所定ピッチで配列されたパターン(20V)の投影時には、その投影光学系(15)のフーリエ変換面付近にX方向に垂直なY方向に平行な対称軸(Y1)に関して線対称で且つ直線部を有する絞り(図5(b))を配置する。これにより、Y方向に傾斜した照明光によるそのパターン(20V)からの回折光は垂直入射光による回折光とほぼ同じ量だけ投影光学系を通過する。即ち、有効な射出角の差が少ない。なお、開口絞りの開口部の形状が円形でない場合には、転写するパターンの方向によりパターンから発生する回折光の方向が異なるため、パターンの方向によって開口数が変化することになる。ここで、開口数が異なれば像を結ぶ回折光の像面への入射角度の範囲が異なることになるため、像のコントラストや焦点深度といった結像特性が異なることになる。このため、投影光学系の結像特性の調整時には、パターンの方向によって結像性能が異なるような四角形等の開口部を有する開口絞りは望ましくない。このため、投影光学系の調整時には円形の開口部を有する開口絞り、実際の露光時には四角形等の開口部を有する開口絞りが望ましいことになる。
【0016】
また、絞り(16;16A)の開口の輪郭(109;103a)がその対称軸に平行な直線部を含む場合には、入射角が異なっても、マスク上の所定の方向に配列されたパターンから発生する回折光がほぼ均等に投影光学系を通過するので、有効な射出角の差が殆どなくなり、開口数が最適化される。
また、絞り(16;16A)がそれぞれ開口(106)の輪郭(109)を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレード(101A,101B)を有する場合には、例えば実露光時及び投影光学系の調整時等に合わせて開口部の形を変えることができる。
【0017】
また、本発明によるその投影光学系(15)を備えた投影露光装置によれば、投影光学系(15)に入射する照明光の入射角が変化しても有効な回折角の範囲が変化せず、投影光学系(15)の開口数が最適化され、良好な結像特性が得られる。更にケーラー照明の場合には、投影光学系の瞳面に照明光学系の面光源の像が形成されるため、その瞳面付近の絞りの開口の形状に合わせてその面光源も輪郭の少なくとも一部を直線状とすることにより、有害な結像光束が減少して結像特性が向上する。
【0018】
また、その照明光学系の面光源の形状が矩形の枠状(8d)である場合には、通常の輪帯照明法を縦方向及び横方向のパターンに対して最適化した照明が行われる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明による投影光学系及び投影露光装置の一実施例につき図1〜図5を参照して説明する。本例は、レチクル上のパターンを投影光学系を介してウエハ上の各ショット領域に縮小して投影するステッパ型の投影露光装置に本発明を適用したものである。
【0020】
図1は、本例の投影露光装置の概略構成の斜視図を示し、この図1において、露光用の光源1から放射された照明光は楕円鏡2によって第2焦点に収斂した後、発散光となって照明光の通過、遮断を制御する不図示のシャッター、及び短波長カットフィルターを経て干渉フィルター3に入射し、ここで露光に必要とされる所望のスペクトル、例えば水銀ランプの場合にはi線のみが抽出される。干渉フィルター3から射出された照明光は、折り曲げミラー4によりほぼ直角に折り曲げれられて、インプットレンズ5により平行光束となってオプティカル・インテグレータとしてのフライアイレンズ6に入射する。
【0021】
なお、露光用の照明光はi線に限定されるものではなく、g線等を使用してもよい。また、露光用の光源1としては、水銀ランプの他、エキシマレーザー光源や、金属蒸気レーザー光又はYAGレーザー光の高調波発生装置等が使用できる。
そして、フライアイレンズ6の各レンズエレメントのそれぞれの射出面には2次光源(光源像)が形成される。従って、フライアイレンズ6の射出面にはレンズエレメントの数と同じ数の多数の光源像が形成され、これらにより面光源が作られる。フライアイレンズ6の射出面には、面光源の形状及び大きさを調整するための切り換え自在の複数の開口絞り8a〜8fが配置されている。これらの開口絞り8a〜8fは、ターレット状の円板7に固定され、回転駆動する駆動装置7aにより切り換えられるように配置されている。図1は、開口絞り8aが照明光路中に配置されている状態を示している。
【0022】
図2は、図1の開口絞り8a〜8fの具体的な構成の斜視図を示し、この図2において、開口絞り8a〜8fはターレット状の円板7の周辺にほぼ等角度間隔で固定されている。この6個の開口絞り8a〜8fは何れも照明光の一部を遮光するために設けられている。第1の開口絞り8aは、所謂変形光源法用の絞りで照明光の光軸近傍の光束を遮光し、4箇所のそれぞれの光軸から等距離に形成された矩形の開口部を照明光が通過する構成を有している。第2の開口絞り8bは、中心部に比較的小さな円形の開口部を設けたもので、第3の開口絞り8c及び第4の開口絞り8dはそれぞれ面光源の輪郭を直線状とした絞りである。また、第5の開口絞り8eは輪帯絞りであり、第6の開口絞り8fは通常の円形の絞りである。
【0023】
図1に戻り、開口絞り8aを通った照明光は、第1リレーレンズ9、レチクルブラインド10、第2リレーレンズ11を透過して折り曲げミラー12でほぼ直角に曲げられた後、コンデンサーレンズ13を介して、レチクル14を均一な照度分布で照明する。この場合、リレーレンズ9,11、折り曲げミラー12、及びコンデンサーレンズ13によって、フライアイレンズ6の射出面(面光源が形成される面)はレチクル14のパターン面に対するフーリエ変換面になっている。即ち、レチクル14は以上のような構成の照明光学系によりケーラー照明される。従って、投影光学系15の瞳面(レチクル14のパターン面に対するフーリエ変換面)には、開口絞り8aの像が形成される。
【0024】
また、レチクルブラインド10は、レチクル14に対して結像関係となっており、レチクルブラインド10の開口形状により、レチクル14上の照明領域を制限することができる。ここで、図1において、投影光学系15の光軸AXに平行にZ軸を取り、その光軸AXに垂直な平面内に互いに直交するようにX軸及びY軸を取る。
【0025】
図3は、レチクル14の概略構成の平面図を示し、この図3において、レチクル14のほぼ中央部の有効エリア(パターンエリア)PAは半導体集積回路の形状に合わせてY方向に長い長方形に形成されている。ここでは、レチクルパターン20の縦方向(短辺方向)のパターンをY方向に伸び、且つX方向に等間隔に並んだ均一な5本の遮光部からなる縦方向パターン20Vで代表させ、レチクルパターン20の横方向(長辺方向)のパターンをX方向に伸び、且つY方向に等間隔に並んだ均一な5本の遮光部からなる縦方向パターン20Hで代表させている。
【0026】
レチクルパターン20が描画されたレチクル14は、不図示のレチクルステージ上に真空吸着されている。
図1に戻り、レチクル14のパターン面を通過した照明光は、投影光学系15に入射する。投影光学系15は両側(又は片側も可)テレセントリックであり、投影光学系15内の瞳面には開口部の形状が可変の開口絞り16が配置されている。この開口絞り16については後で詳しく説明する。
【0027】
投影光学系15から射出された照明光は、フォトレジストが塗布されたウエハ17上に照射され、レチクル14上のレチクルパターン20の縮小像がウエハ17上に投影される。
ウエハ17は、ウエハホルダ18上に真空吸着により保持され、ウエハホルダ18はウエハステージ19上に載置されている。ウエハステージ19は不図示の駆動系によりX方向及びY方向にウエハ17を位置決めし、また光軸AXに平行なZ方向並びにXY平面上の回転方向にもウエハ17を微動することができる。ウエハステージ19の動作は、不図示の制御系により制御される。
【0028】
次に、開口絞り16の構成について図4及び図5を参照して詳細に説明する。図4は、図1の開口絞り16の拡大斜視図を示し、この図4に示すように開口絞り16を構成するL字型で板状の一対の可動式ブレード101A,101Bが投影光学系15の瞳面H上に光軸AXを中心として対称となる位置に配置されている。可動式ブレード101Aは、駆動モータ102A及び送りねじ108Aからなる駆動機構105Aにより駆動される。可動式ブレード101AのL字の角部のウエハ17に対向する裏面側には送りねじ108Aに螺合する不図示のナット部が光軸AXに向かう方向に固定されており、可動式ブレード101Aは、その角部が駆動モータ102Aの回転に伴って光軸AXを通る直線に沿うように移動する。同様に、可動式ブレード101Bは、駆動モータ102B及び不図示の送りねじからなる駆動機構105Bにより光軸AXを通る直線に沿って駆動される。
【0029】
図5は、可変の開口絞り16の拡大平面図を示し、図5(a)は開口部が最も大きく開いた状態、図5(b)は開口部が最も狭められた状態を示している。図5(a)において、開口絞り16の一対の可動式ブレード101A,101Bは、開口部が最も大きくなる位置に設定され、一対の可動式ブレード101A,101Bの内側のエッジに投影光学系15の開口数を規定する半径Rの固定の開口絞り22が内接している。L字型の可動式ブレード101A,101Bの光軸AXに対向する内縁109は直線状のエッジを形成し、それぞれX軸及びY軸に平行に形成されている。
【0030】
L字型の可動式ブレード101A,101Bは、光軸AXに垂直なXY平面に光軸AXに対して対称的に配置され、且つ可動式ブレード101A,101Bのそれぞれの内側のほぼ直角の角部を形成する2つの直線部(以下、「内縁直線部」という)はそれぞれX軸又はY軸に平行に配置される。従って、可動式ブレード101A,101BのそれぞれX軸に平行な内縁直線部同士は光軸AXを通りX軸に平行なX方向対称軸X1に対して対称的に配置される。同様に可動式ブレード101A,101BのそれぞれY軸に平行な内縁直線部同士は光軸AXを通りY軸に平行なY方向対称軸Y1に対して対称的に配置される。
【0031】
図5(a)の位置にある可動式ブレード101A,101Bを図4のそれぞれの駆動機構105A,105Bにより駆動して、矢印の方向に移動させると、最終的に可動式ブレード101A,101Bは図5(b)に示される位置に移動する。図5(b)は可動式ブレード101A,101Bによる開口部が最も縮小された状態を示し、半径Rの開口絞り22に内接するように正方形の開口部106が形成されている。
【0032】
本例の開口絞り16を構成する可動式ブレード101A,101Bによる開口部は、図5(a)に示す全開の位置から図5(b)に示す最少の位置まで、複数位置が選択できるようになっている。図5(a)の全開の位置は、例えば投影光学系15の調整時にも使用される。可動式ブレード101A,101Bの動作は、不図示の中央制御系により制御されるが、中央制御系には露光条件と可動式ブレード101A,101Bの設定位置との関係が予め露光条件設定ファイルとして記憶されており、露光条件が設定されると中央制御系からの指令に基づき図4の駆動機構105A,105Bの駆動により可動式ブレード101A,101Bが所定の位置まで移動する。
【0033】
以上のような構成を有する開口絞り16の開口部は、例えばホールレイヤーのような開口数が大きいほど良い層(レイヤー)については全開の位置に、比較的粗なラインからなるレイヤーについては開口部が最小になる位置に設定される。また、比較的微細なラインパターンについてはその中間に設定される。なお、可動式ブレード101A,101Bの位置については、不図示ではあるが、デジタルマイクロメータないしは駆動用のモータシャフトに取り付けたロータリーエンコーダ等によって求め、設定値との差を補正することができる。
【0034】
次に、本例の投影露光装置の動作につき説明する。
本例の投影露光装置の第1の特徴は、図1の投影光学系15の瞳面Hに従来の開口絞りと異なる開口絞り16を設けた点にある。この開口絞り16を構成する図5のL字型の可動式ブレード101A,101Bにより、開口部の大きさを可変とし、X方向対称軸X1に関して線対称なエッジ及びY方向対称軸Y1に関して線対称なエッジにより瞳を通過する回折光の通過領域を制限し、投影光学系15から射出される回折光の有効射出角を均一化することができる。先ず、図2の円形の開口絞り8bをフライアイレンズ6の射出面に配置した場合につき説明する。
【0035】
照明光学系をでた照明光により図3のレチクル14上のレチクルパターン20の横方向のパターン20H及び縦方向のパターン20Vが照明され、回折光が発生する。以下では横方向パターン20Hについてのみ説明する。縦方向パターン20Vについても同様である。この場合、可動式ブレード101A,101Bは図5(b)の状態に設定される。
【0036】
Y方向に周期的な横方向パターン20Hからの回折光は高次になればなる程上記(1)式により大きな回折角で投影光学系15に入射する。一般的に投影光学系のレンズ群は円形の広がりを有するものであり、特に高次の回折光は円形の広がりをもちながら瞳面に形成された開口絞りに入射する。
ところが、開口絞り16を構成するL字型の可動式ブレード101A,101Bは、X方向対称軸X1に関して線対称なX軸に平行なエッジを形成しているため、投影光学系15に入射した横方向パターン20Hからの広角度の回折光はそのX軸に平行なエッジにより一様に開口部の通過を妨げられる。このエッジはX方向に平行に形成されているため、照明光がX方向に傾斜している場合でも、横方向パターン20Hから発生して投影光学系15を通過する回折光の有効最大回折角は等しい。従って、横方向パターン20Hの像が高い解像度でウエハ17上に投影されると共に、投影像の焦点深度が向上する。
【0037】
以上、本例によれば、露光条件に合わせて投影光学系15内に設けられた開口絞り16の開口部の形状及び大きさを変化させるので、種々のパターンに対して最適な開口数による結像特性が得られ、最適な条件での露光を行うことができる。
次に、本発明の他の実施例について、図6〜図8を参照して説明する。本例は、図1の例と同じ可動式ブレード101A,101Bにほぼ円形の虹彩絞り103を組み合わせた開口絞り16Aを設けたもので、その他の構成は図1の例と同様である。この開口絞り16Aも図1の実施例と同様に投影光学系15の瞳面に配置される。
【0038】
図6は、本例の開口絞り16Aの構成を示し、この図6において、投影光学系15の瞳面Hに配置された開口絞り16Aは、可動式ブレード101A,101Bと虹彩絞り103とより構成されている。虹彩絞り103は開口部がほぼ円形状を形成し、不図示の駆動機構により大きさが自在に変化する可変の開口絞りであり、同じく駆動機構105A,105Bにより可変の可動式ブレード101A,101Bの上に滑らかに接して又は非常に接近して、且つ投影光学系15の光軸AXにその中心が位置するように配置されている。
【0039】
図7は、図6の開口絞り16Aの拡大平面図を示し、この図7において、可動式ブレード101A,101Bは開口部が最も小さくなる位置に設定されている。図5の例と同様にL字型の可動式ブレード101A,101Bの光軸AXに対向する内縁109は直線状のエッジを形成し、それぞれX軸及びY軸に平行に配置されている。また、虹彩絞り103の開口部の輪郭が円形の内縁103aで表されている。
【0040】
本例の開口絞り16Aを構成する可動式ブレード101A,101B及び虹彩絞り103のそれぞれの駆動機構は、不図示の中央制御系により制御されるが、中央制御系には露光条件と可動式ブレード101A,101Bの設定位置及び虹彩絞り103の開度との関係が予め記憶されており、露光条件が設定されると中央制御系からの指令に基づきそれらの駆動機構105A,105B等の駆動により可動式ブレード101A,101Bが所定の位置まで移動すると共に、虹彩絞り103の開度が調整される。
【0041】
次に、本例の投影光学系の動作につき説明する。
本例では、虹彩絞り103の開口により投影光学系15の開口数を変化させ、それと共に可動式ブレード101A,101Bの位置の移動により縦横方向の回折光の投影光学系15での通過角度を制御することができる。更に、本例によれば、前実施例の図5(b)に示す縦横方向(XY方向)だけでなく斜め方向(X軸及びY軸の両軸に対して例えば45°で交差する方向)に配列されたパターンからの回折角の範囲も制限することができる。このためには、図7に示すように虹彩絞り103の内縁103aの直径を可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の開口部の対角線の長さより短くなるように設定すればよい。このとき、開口絞り16Aの開口部は、可動式ブレード101A,101Bの内縁109により形成される正方形の4箇所の角部が虹彩絞り103により遮光された形の開口部107となる。これにより斜め方向のパターンからの回折光の回折角の範囲が制限され、投影光学系15の開口数が照明光の入射角によらずに均一化される。
【0042】
ここで、照明光学系の面光源の形状(即ち、開口絞り)と開口絞り16Aの開口形状との関係について図8を参照して説明する。
図8は、照明光学系の開口絞りの像の形状と開口絞り16Aとの関係を説明するための平面図を示し、図8(a)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さと虹彩絞り103の内縁103aの直径とがほぼ同じ長さに設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁103aの半径R1は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さとなる。また、図8(b)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さに対して虹彩絞り103の内縁103aの直径が短く設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁の半径R2は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さより短くなる。
【0043】
図8(a)及び図8(b)は照明光学系の開口絞りとして図2の開口絞り8bを光路上に配置した場合の例を示し、この図8(a)及び図8(b)において斜線を施した円形の光源像21Aが瞳面H上に投影されている。レチクル14上の縦横線(Y方向のみの線及びX方向のみの線)のみからなるパターンを転写する場合には回折光は縦横方向(Y方向又はX方向)にしか発生しないため、可動式ブレード101A,101Bによって絞る範囲は斜線部で示される光源像21Aの上下左右の範囲だけでよい。また、斜め方向については結像には影響しないため、図8(a)の開口絞り16Aの開口形状と図8(b)の開口絞り16Aの開口形状とにより同じ結像性能が得られる。
【0044】
ここで、照明光学系の開口絞りが本例の投影露光装置で得られる照明光学系の開口絞りと異なる3つの変形例について図9を参照して説明する。
図9は、それらの変形例における照明光学系の開口絞りの像の形状と開口絞り16Aとの関係を説明するための投影光学系15の瞳面の図を示し、この内図9(a)、9(c)、9(e)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さと虹彩絞り103の内縁103aの直径とがほぼ同じ長さに設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁103aの半径R1は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さとなる。また、図9(b)、9(d)、9(f)は開口絞り16Aの可動式ブレード101A,101Bによるほぼ正方形の内縁109の対角線の長さに対して虹彩絞り103の内縁103aの直径が短く設定された場合の状態を示している。この場合、虹彩絞り103の内縁の半径R2は可動式ブレード101A,101Bにより形成される正方形の対角線の1/2の長さより短くなる。
【0045】
図9(a)及び図9(b)は、第1の変形例を示し、この図9(a)及び図9(b)において、照明光学系の開口絞りとして図2の四角形の開口絞り8cが用いられ、その像が光源像21Bとして形成されている。照明光学系を含めた最適化を行う場合には照明光学系の開口絞りは円形である必要はなく、全ての位置で照明光学系の開口の像の形状と開口絞り16Aの開口形状とが等しくなり、開口数の最適化が容易である点で、照明光学系の開口形状は本例のように四角形の開口絞り8cの方が望ましい。ここで、図9(a)及び図9(b)に示す開口絞り16Aの開口形状により得られる結像性能はレチクルのX方向及びY方向のパターンに関しては等しくなる。このため、開口絞り16Aの開口形状として図9(a)と図9(b)との間の何れの開口形状をも選択することができる。
【0046】
図9(c)及び図9(d)は、第2の変形例を示し、照明光学系の開口絞りとして図2の開口絞り8a、即ち特開平4−180612号公報に示されているような4つの四角の開口部を有する開口絞りを用いたものである。この図9(c)及び図9(d)に示すように、開口絞り8aの像が斜線で示される光源像21Cとして形成され、この光源像21Cに対応して開口絞り16Aの開口も円弧状でなく四角形をしていることが望ましい。対角方向については、図3のレチクル14上のレチクルパターン20からの回折光の発生がないため形状は任意であり、全体としては四角形でもよく、また、その四隅が切り落とされたような形状でもよい。即ち、レチクル14上の縦横パターンに関しては、虹彩絞り103の内縁103aの半径がR1〜R2の範囲にあれば得られる結像特性は変わらない。
【0047】
図9(e)及び図9(f)は、第3の変形例を示し、図2の照明光学系の矩形の枠状の開口絞り8dが使用されている。即ち、投影光学系の瞳面には斜線を施して示すように、比較的小さな四角形の枠状の遮光部を有する光源像21Dが形成されている。第1の変形例と同様、図9(e)及び図9(f)に示す開口絞り16Aの開口形状により得られる結像性能はレチクル14上の縦横パターンに関しては等しくなる。このため、開口絞り16Aの開口形状として図9(e)と図9(f)との間の何れの開口形状をも選択することができる。
【0048】
なお、上記のように照明光学系の開口絞りの外形は円形及び四角形等に限定されるものではなく、得られる最大の開口の範囲内で最適になる形状のものを選べばよく、例えば図11に示すような円形CRと正方形TRの中間の曲線MDで示されるような形状の開口絞りを用いても、正方形TRの開口絞りを用いる場合とほぼ同じ結像特性を得ることができる。
【0049】
上述実施例において、図5の開口絞り16を投影光学系15の瞳面Hに配置した投影露光装置を使用して実際に露光実験を実施した。照明光として水銀ランプによるi線を使用し、ウエハ17側の開口数が0.57の円形の開口絞り22を有する投影光学系を使用し、ウエハ17側での縦横方向のパターンからの回折光の入射角の正弦の最大値を0.40から0.57まで可動式ブレード101A,101Bにより制限できるようにした。照明光学系の開口絞りはウエハ17側に換算して開口数が0.40の円形のものを用いた。
【0050】
[実験例1]
本例の投影露光装置の他に、投影光学系及び照明光学系にそれぞれの開口数が0.57及び0.40の円形の開口絞りを用いた従来の投影露光装置を使用し、幅0.4μmのライン・アンド・スペースパターンを転写する実験を行った。
その結果、本例の投影露光装置において、投影光学系の円形の開口絞り22の開口数は0.57のまま、可動式ブレード101A,101Bにより縦横方向の回折角の正弦を0.50に制限し、更に照明光学系の開口絞りを開口数が0.40の円形の開口とし、縦横方向の入射角の正弦を0.30の正方形とすることにより従来のものに比較して大きな焦点深度が得られた。
【0051】
[実験例2]
本例の投影露光装置の他に、投影光学系及び照明光学系にそれぞれの開口数が0.57及び0.40の円形の開口絞りを用いた従来の投影露光装置を使用し、幅0.35μmのライン・アンド・スペースパターンを転写する実験を行った。その結果、本例の投影露光装置において、投影光学系の円形の開口絞り22の開口数は0.57のまま、可動式ブレード101A,101Bにより縦横方向の回折角の正弦を0.50に制限し、更に照明光学系の開口絞りを開口数が0.40の円形の開口とし、縦横方向の入射角の正弦を0.28の正方形とすることにより従来のものに比較して大きな焦点深度が得られた。
【0052】
なお、可動式ブレード101A,101Bの駆動機構105a,105bを投影光学系15の光軸AXを中心とする回転機構上に設ければ、斜め方向に配列された微細パターン(斜めパターン)に対してはそのパターンの周期方向に可動式ブレード101A,101Bを回転させ、回折光の入射角の制限を行うことができる。これにより、斜め方向の開口数を上下左右方向よりも小さくすることが可能となり、斜めパターンに対して焦点深度を増大させることができる。
【0053】
次に、図1の開口絞り16の変形例について図10を参照して説明する。
図10は、本例の開口絞り16Bを構成する可動式ブレードの平面図を示し、図10(a)は開口部が最も大きくなった状態、図10(c)は開口部が最も小さくなった状態、図10(c)はその中間の状態を示す。この図10(a)において、板状で矩形の4枚の同形状の可動式ブレード211A〜211Dからなる一組の可動式ブレード(以下「可動式ブレード211」という)と、同じく板状で矩形の4枚の同形状の可動式ブレード212A〜212Dからなる一組の可動式ブレード(以下「可動式ブレード212」という)とが組み合わされて開口絞り16Bの可動式ブレードが構成されている。可動式ブレード211は可動式ブレード212の上表面に接するようにか、又は極近傍に互いに平行に配置されている。
【0054】
可動式ブレード211のそれぞれ向かい合うエッジは光軸AXを中心にして対称位置に配置されており、可動式ブレード211の互いに隣り合うエッジは、XY方向ではほぼ直交するように配置され、Z方向では互いにその両端部分が摺り合うような形で配置される。また、可動式ブレード211の各可動式ブレード211A〜211Dの光軸AXに対向する内縁のエッジは、それぞれX軸及びY軸に平行な直線状に形成されている。可動式ブレード212も同様の構成である。但し、可動式ブレード211のように互いに隣り合うブレードの両端部分が常時重なることはなく、可動式ブレード212による開口部が狭められた場合に互いに隣り合うブレードが重なった状態となる。また、可動式ブレード211と可動式ブレード212とは、互いに45度の角度をもって配置され、共に不図示の駆動系により光軸AXに向かう線に平行に移動することにより可動式ブレード211と可動式ブレード212とにより光軸AXを中心に形成される開口部213の形状が変化するようになっている。
【0055】
前述のように、図10(a)は、開口部213が最も大きくなった状態を示し、この図10(a)において、可動式ブレード211及び可動式ブレード212の各可動式ブレードは光軸AXから最も離れた位置に配置され、それらの可動式ブレードによって形成される開口部213は正方形の開口部となる。図10(a)の可動式ブレード211をそのままの状態にしながら可動式ブレード212を光軸AXに向けて移動させると図10(b)のように図10(a)の開口部213の正方形の開口部の四方の角部がXY軸に対してほぼ45度の角度をつ斜めの線に切られた様な開口部となる。また、図10(c)は開口部213が最も小さくなった状態を示し、この図10(c)において、可動式ブレード211の各可動式ブレードは光軸AXから最も近い位置に配置され、それらの可動式ブレードによって形成される開口部213は正方形の開口部となる。なお、可動式ブレード211と可動式ブレード212との位置を調整することにより、例えば図10(a)と図10(c)との間で各種の大きさの異なる正方形の開口部を形成することができる。また、それらの正方形の角部が遮光されたような開口部も形成することができる。
【0056】
本例の開口絞り16Bは、4枚の可動式ブレード211A〜211Dからなる一組の可動式ブレード211と4枚の可動式ブレード212A〜212Dからなる可動式ブレード212とを組み合わせることにより、各種の大きさの異なる正方形の開口部又は斜めの部分が遮光された開口部を形成するようにしたものであり、レチクル14上の縦横パターンだけでなく斜めのパターンに対しても対応することができる。
【0057】
なお、上述の実施例において、例えば投影光学系はレンズ系に限定されるものではなく、ミラーを含む反射系又は反射屈折系であってもよい。
また、本発明はステッパ型の投影露光装置だけでなく、レチクルとウエハとを互いに同期して走査するステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置にも適用することができる。
【0058】
このように本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0059】
【発明の効果】
本発明による投影光学系によれば、投影光学系の第1面に対するフーリエ変換面又はその近傍の面に、その輪郭の一部が直線状の絞りを設けているため、所定の方向の回折光の通過角度範囲をほぼ一様に制限することができる。従って、その所定の方向に垂直な方向への照明光の入射角によらず、投影光学系からの射出光の射出角の最大値がほぼ均一化されると共に、過大な開口数が原因である焦点深度の低下を防ぐことができる。また、その所定の方向については回折光の通過する角度範囲が一定であるため、照明光の入射角度範囲を含んだ投影光学系の最適化を行い易いという利点がある。
【0060】
また、絞りの開口の輪郭が投影光学系の光軸を通りその所定方向に直交する対称軸に平行な直線部を含む場合には、その所定の方向に垂直な方向への照明光の入射角によらずに、回折光の有効射出角がほぼ完全に均一化され、その所定の方向への周期的パターンの結像特性が向上する。
また、絞りがそれぞれ開口の輪郭を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレードを有する場合には、絞りの開口部は直線状のエッジを有する可変の開口部となり、例えば投影するパターンの種類、又は例えば実露光時若しくは投影光学系の調整時等に合わせて開口部の形を変えることができる。
【0061】
また、本発明による投影光学系を備えた投影露光装置によれば、投影光学系に入射する照明光の入射角によって有効な回折角の範囲が変化し、投影光学系の開口数を有効に使えないような現象が低減でき、全ての照明光に対して最適な開口数による結像が得られる。また、照明光学系もケーラー照明で且つ面光源が直線部を有するため、有害な結像光束が減少して、結像特性が向上する。
【0062】
また、照明光学系の面光源の形状が矩形の枠状である場合には、マスク上のパターンの所定方向及びそれと直交する方向のパターンに対する結像特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影露光装置の一実施例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の6個の照明光学系の開口絞りを示す斜視図である。
【図3】図1のレチクルのパターンの一例を示す平面図である。
【図4】図1の投影光学系15に使用される開口絞り16を示す斜視図である。
【図5】図4の開口絞り16の動作を示す拡大平面図である。
【図6】本発明の投影光学系に使用される開口絞りの他の例を示す斜視図である。
【図7】図6の開口絞り16Aを示す拡大平面図である。
【図8】図6の開口絞り16Aを用いた場合の照明光学系の開口絞りの形状と投影光学系の開口絞りとの関係を示す平面図である。
【図9】図8において、照明光学系の開口絞りの形状を変えた場合の照明光学系の開口絞りの形状と、投影光学系の開口絞りとの関係を示す平面図である。
【図10】図1の開口絞り16の変形例を示す平面図である。
【図11】図1の照明光学系の開口絞りの他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
8a〜8f 開口絞り
14 レチクル
15 投影光学系
16,16A, 16B 開口絞り
17 ウエハ
20 レチクルパターン
20H 横方向パターン
20V 縦方向パターン
101A,101B 可動式ブレード
103 虹彩絞り
105A,105B 可動式ブレードの駆動機構
106 開口絞りの開口部
109 開口絞りの開口の内縁
X1 X方向対称軸
Y1 Y方向対称軸
H 瞳面
Claims (8)
- 第1面上に配され所定の方向に周期性を有するパターンを第2面上に結像投影する投影光学系において、
前記投影光学系内の前記第1面に対するフーリエ変換面、又はこの近傍の面上に、前記投影光学系の光軸を通り前記所定の方向に直交する方向に延びた対称軸に関して線対称であり、且つ輪郭の少なくとも一部が直線部である開口を有する絞りを配置したことを特徴とする投影光学系。 - 請求項1記載の投影光学系であって、
前記絞りの開口の輪郭が前記対称軸に平行な直線部を含むことを特徴とする投影光学系。 - 請求項1又は2に記載の投影光学系であって、
前記パターンが前記所定の方向及び該方向と直交する方向の両方に周期性を有するとき、前記絞りの開口は、前記投影光学系の光軸で前記対称軸と直交する別の対称軸に関しても線対称であり、かつ輪郭の少なくとも一部が直線部であることを特徴とする投影光学系。 - 請求項1又は2に記載の投影光学系であって、
前記絞りは、前記所定の方向に関する開口数を前記所定の方向と交差する方向に関する開口数と異ならせることを特徴とする投影光学系。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の投影光学系であって、
前記絞りはそれぞれ前記開口の輪郭を規定する直線状のエッジを有する複数枚の可動ブレードを有することを特徴とする投影光学系。 - 請求項1〜5の何れか一項に記載の投影光学系を備えた投影露光装置であって、
前記第2面に配置される感光基板上に転写すべきパターンが前記第1面に配置されるマスクを露光用の照明光でケーラー照明する照明光学系を備えることを特徴とする投影露光装置。 - 請求項6に記載の投影露光装置であって、
前記照明光学系は、前記絞りの開口の直線部に対応する輪郭部が直線状となる面光源から前記照明光を射出することを特徴とする投影露光装置。 - 請求項7記載の投影露光装置であって、
前記照明光学系の面光源の形状が矩形の枠状であることを特徴とする投影露光装置。
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