JP3600271B2 - 処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体製造工程においては、処理室内において、載置台に静電チャック手段により被処理体を吸着保持して、被処理体を所定の温度に制御しながら、その処理面に対して所定の処理を施すための処理装置が使用されている。たとえば、図10に示すようなエッチング装置100は、処理室101内に設置された載置台102の載置面に静電チャック103を介して半導体ウェハなどの被処理体Wを吸着保持し、その被処理体Wに対向配置された上部電極104より処理ガス、たとえばHFガスなどを流しながら、下部電極を兼ねる載置台102に高周波電源105よりたとえば13.56MHzの高周波を印加することにより、処理ガスをプラズマ化し所定のエッチングを施すものである。
【0003】
そして、上記載置台101には、冷却ジャケット106などの冷却手段やヒータ107などの加熱手段から成る熱源手段が内装されており、熱伝達により被処理体Wを所望の温度、たとえば−100℃にまで冷却し、高アスペクト比の異方性エッチングを行うことが可能である。その際に、図11に示すように、上記静電チャック103のチャック面とウェハW裏面との間には微視的な小隙Sが形成されており、上記処理室101内が減圧雰囲気に保持されているため、この小隙Sが断熱層として作用して、上記熱源手段から被処理体に至る伝熱経路を阻害するおそれがある。そこで、最近では、図12に示すように、静電チャック103のチャック面全体に分布する開口群108から上記小隙Sに対してヘリウムなどの伝熱ガスを、上記載置台101および上記静電チャック103を貫通して延びる伝熱ガス供給経路109を介して供給し、伝熱効率を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10〜図12示すような、従来の処理装置では、被処理体を所定の温度にまで冷却または加熱するためには、冷却手段や加熱手段などを内装する載置台からの熱伝達に頼らざる得ず装置構成が複雑となる上、被処理体を均一に冷却または加熱するための熱伝達経路の確保が困難であり、特に静電チャックと被処理体との間に供給される伝熱ガスの裏面圧力を均一に制御することは困難であるので、結果として被処理体の面内温度分布にばらつきが生じ、したがってエッチングレートおよび/またはエッチング形状の均一性を得ることができず問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記のような従来の処理装置の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被処理体の温度制御の精度を高めることにより、被処理体の面内温度分布を均一化し、したがってエッチングレートおよび/またはエッチング形状の面内均一性を向上させることが可能な、新規かつ改良された処理装置を提供することである。
【0006】
さらに本発明の別の目的は、引火性の強い伝熱ガスを使用した場合であっても、引火爆発の危険性を回避できるような防爆機構を備えた、新規かつ改良された処理装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の、減圧雰囲気の処理室内において、チャック手段によりチャック面に被処理体を保持して、被処理体を所定の温度に制御しながら、その処理面に対して所定の処理を施すための処理装置は、チャック面と被処理体との間に形成される微小空間に対して伝熱ガスを供給するための伝熱ガス供給経路に熱源手段と熱交換手段とを設け、熱交換手段が、伝熱ガスの単位行程あたりの熱源手段から伝熱ガスに対する伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段であることを特徴としている。
【0008】
この伝熱面積拡大手段は、伝熱ガス中に含まれる不純物を濾過可能なフィルタ手段として構成することができる。
【0009】
また請求項2に記載の処理装置は、上記伝熱ガス供給経路中に、さらに断面を拡大したバッファ空間を設けたことを特徴としている。このようにバッファ空間を設けた場合には、請求項3に記載のように、上記熱交換手段を、チャック手段とバッファ空間との間に介挿する構成を採用することが好ましい。
【0010】
また請求項4に記載のように、前記熱源手段と前記伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱媒体、たとえば熱伝達グリースなどを介在させることもできる。
【0011】
さらに本発明の別観点によれば、請求項5に記載のように、上記伝熱ガス供給経路が、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統から構成されることを特徴とする処理装置が提供される。そして、かかる構成の場合には、請求項6に記載のように、チャック手段のチャック面において、それぞれ同系統に属する伝熱ガス供給系統の供給口群が略同心円状または碁盤目の交点状に分布されるように構成することが好ましく、さらに請求項7に記載のように、チャック手段に吸着される被処理体のオリフラ部分および/またはオリフラを含む同心円範囲に対応するチャック面については、他の部分とは別系統に属する伝熱ガス供給系統の供給口群を分布することが好ましい。
【0012】
さらにまた、請求項8に記載のように、複数の伝熱ガス供給系統に、それぞれ別種のガスを供給する構成を採用することも可能であり、その場合に、請求項9に記載のように、使用する別種のガスとして、混合時に反応熱を生じる複数のガスを選択することも可能であり、あるいは、請求項10に記載のように、伝熱ガス供給経路により供給される伝熱ガスとして、処理室内に処理時に存在する少なくとも1のガスと同種のガス、または少なくともそのガスを含むガスを使用することも可能である。伝熱ガスとして、少なくとも、H2、CO、アルコール類、およびCnHmから成る群から選択される1または2以上の組合わせを含むガスを使用することが可能である。
【0014】
【作用】
請求項1に記載の処理装置では、静電チャック手段と被処理体との間に形成される微小空間に対して伝熱ガスを供給するための伝熱ガス供給経路中に熱源手段を設けているので、たとえば冷却時には、所望の温度にまで冷却された伝熱ガスを上記微小空間に供給することにより、載置台からの伝熱効率を高めることが可能である。さらにまた伝熱ガスにより直接被処理体を冷却または加熱することができるので、載置台に内装される熱源を省略する構成を採用することも可能となり、装置構成を著しく簡略化できる。
【0015】
さらに、上記伝熱ガス供給経路中にさらに熱交換手段を設置しているので、熱源手段から伝熱ガスに対して所望の熱量を効率的与えることが可能となり、温度制御の応答性を向上させることができる。
【0016】
さらに、上記熱交換手段として、伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段を用いている。
【0017】
上記伝熱面積拡大手段として、フィルタ手段を使用するので、温度制御の応答性を向上させるとともに、伝熱ガス中の微小塵芥などの不純物を除去することも可能となる。
【0018】
請求項2に記載の処理装置では、上記伝熱ガス供給経路中に、断面を拡大したバッファ空間を設けているので、被処理体の交換時に所定の圧力をバッファ空間内に蓄積可能となり、被処理体の交換後に所望の裏面圧力を応答性良く供給することが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の処理装置では、チャック手段とバッファ空間との間に熱交換手段を介装しているので、伝熱ガスとして可燃性ガスを使用した場合であっても、火花がチャック手段の開口部より吸入され、バッファ空間に到達し、爆発を生じる前に、上記熱交換手段により引火温度以下にまで低下し、バッファ空間の爆発を未然に防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の処理装置では、上記熱源手段と伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱グリースなどの伝熱媒体を介在させるので、伝熱ガスの加熱または冷却の応答性をさらに高めることができる。
【0021】
請求項5に記載の処理装置では、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統より上記伝熱ガス供給経路を構成しているので、上記微小空間に供給される伝熱ガスのより細やかな温度調整が可能となり、被処理体の裏面全面に均一の温度を有する伝熱ガスを供給することにより、あるいは載置台から伝達される熱量に応じて異なる温度の伝熱ガスを供給することにより、被処理体の面内温度分布の均一化を促進することが可能となる。
【0022】
一般に被処理体の面内温度分布は同心円状にばらつきが生じるので、請求項6に記載の処理装置のように構成することにより、同心円状に生じる面内温度分布のばらつきを補償することができる。
【0023】
また被処理体には位置決めのために切欠き部をオリフラとして設けることがあるが、かかる場合にはオリフラ部分またはオリフラを含む同心円範囲において面内温度分布にばらつきが生じることがあるが、請求項7に記載の処理装置によれば、このオリフラにより生じる温度むらについても補償可能である。
【0024】
さらに請求項8に記載の処理装置のように、それぞれの伝熱ガス供給系統に別種のガスを供給することにより、たとえば冷却時には、通常の部分にはヘリウムを供給し、より冷やしたい範囲により粒子径の大きなアルゴンを供給することにより、被処理体の冷却温度を微調整することが可能となる。
【0025】
また請求項9に記載の処理装置のように、たとえば混合時に冷熱または温熱を発するような複数のガスを被処理体の裏面に供給することにより、より積極的に被処理体を冷却または加熱することが可能となる。
【0026】
また請求項10に記載の処理装置のように、処理時に処理室内に存在する処理ガスやキャリアガスと同種のガス、または少なくともそのガスを含む伝熱ガスを供給することにより、上記微小空間より処理室内に伝熱ガスが逃げた場合にも、処理雰囲気を変えずに安定的に処理を行うことが可能である。
【0028】
【実施例】
以下に添付図面を参照しながら本発明に基づいて構成された処理装置を、低温エッチング装置に適用した一実施例について詳細に説明することにする。
【0029】
図1に示すエッチング装置1は、導電性材料、たとえばアルミニウムなどから成る円筒あるいは矩形状に成形された処理容器2を有しており、この処理容器2の底部にはセラミックなどの絶縁材3を介して、被処理体、たとえば半導体ウェハWを載置するための略円筒状の載置台4が収容される。この載置台4は、アルミニウムなどより形成された複数の部材をボルトなどにより組み付けることにより構成することが可能であり、その内部には、冷却手段5や加熱手段6などの熱源手段が内設され、被処理体の処理面を所望の温度に調整することができるように構成されている。
【0030】
この冷却手段5は、たとえば冷却ジャケットなどから構成され、この冷却ジャケット5には、たとえば液体窒素などの冷媒を冷媒導入管7を介して導入可能であり、導入された液体窒素は同冷却ジャケット5内を循環し、その間に核沸騰により冷熱を生じる。かかる構成により、たとえば−196℃の液体窒素の冷熱が冷却ジャケット5から載置台4を介して半導体ウェハWに対して伝熱し、半導体ウェハWの処理面を所望する温度まで冷却することが可能である。なお、液体窒素の核沸騰により生じた窒素ガスは冷媒排出管8より容器外へ排出される。
【0031】
さらに載置台4には温調用ヒータなどの加熱手段6が配置されており、この温調用ヒータ6は、たとえば窒化アルミニウムなどの絶縁性焼結体にタングステンなどの導電性抵抗発熱体をインサートした構成で、この抵抗発熱体が電力供給リード9によりフィルタ10を介して電力源11から所望の電力を受けて発熱し、半導体ウェハWの処理面の温度を所望する温度まで加熱し、温度制御を行うことが可能なように構成されている。
【0032】
上記載置台4は、上面中央部が凸状にされた円板状で、この中央上面には、被処理体を保持するためのチャック部として、たとえば静電チャック12が被処理体である半導体ウェハWと略同径大、好ましくはウェハWの径よりも若干小さい径で設けられている。この静電チャック12は、ウェハWを載置保持する面としてポリイミド樹脂などの高分子絶縁材料からなる2枚のフィルム12a、12b間に銅箔などの導電膜12cを挟持した静電チャックシートより構成されており、その導電膜12cは、電圧供給リード13により、途中高周波をカットするフィルタ14、たとえばコイルを介して可変直流電圧源15に接続されている。したがって、その導電膜12cに高電圧を印加することにより、静電チャック12の上側フィルム12aの上面にウェハWをクーロン力により吸着保持し得るように構成されている。なお図示の実施例では、被処理体を吸着保持するチャック手段として静電チャック12を例に挙げて説明するが、本発明はかかる構成に限定されない。たとえば、昇降運動自在の円環状のクランプ部材により被処理体を機械的に保持するメカニカル・チャック手段に対しても、本発明は当然に適用されるものと了解される。
【0033】
そしてこの静電チャックシート12には、図9に示すように、図示しないリフタピン用の孔16および伝熱ガス供給孔17が同心円状に穿設されている。これらの伝熱ガス供給孔17には、図1および図2に示すように、伝熱ガス供給管18が接続されており、ガス源19より、流量制御器20、バッファタンク21、バルブ22を介して、本発明に基づいて構成された温調ユニット23により所定の温度に制御されたヘリウムなどの伝熱ガスを、被処理体Wの裏面と静電チャック12のチャック面との間に形成される微小空間に供給し、上記載置台4から被処理体Wへの伝熱効率を高めることが可能である。
【0034】
上記温調ユニット23は、図3に示す熱源手段24と、図4〜図6に示す熱交換手段25とから構成されている。熱源手段24は、伝熱ガス供給管18の外周に設置され、伝熱により管路内を流通する伝熱ガスを所望の温度に調整するもので、たとえば被処理体を冷却して処理する場合には、図3に示すように、冷却ジャケット26を巻き付け、冷却ジャケット内に冷媒、たとえば液体窒素などを流通させることにより、伝熱ガスを所望の温度にまで冷却することが可能である。そして、上記冷却ジャケット26と上記伝熱ガス供給管18との接触部には伝熱効率に優れた媒体、たとえば伝熱グリース27などが塗布され、冷熱の伝達を促進するように構成される。なお、図3に示す実施例では、伝熱ガスを冷却する構成を示したが、被処理体を加熱して処理する場合には、伝熱ガスを加熱するために、上記冷却ジャケット26内に熱媒を循環させたり、あるいは上記冷却ジャケット26の代替としてヒータなどの加熱手段を伝熱ガス供給管18に巻き付ける構成を採用することも可能である。
【0035】
上記温調ユニット23の熱交換手段25は、図4に示すように、上記伝熱ガス供給管18の内部に針金28を束ねたものを挿入したり、あるいは図5に示すように、多孔性材料29を挿入したり、あるいは図6に示すように、複数のバッフル板30a、30bを設置することにより構成される。このように構成することにより、伝熱ガスが上記伝熱ガス供給管18を通過する際に、広い面積で上記熱交換手段25に接触することが可能となり、温度制御の応答性を高めることが可能となる。
【0036】
図2に示す実施例においては、上記伝熱ガス供給管18にはバッファタンク21が介装されているが、このバッファタンク21は伝熱ガスの供給圧力を調整するためのものであり、被処理体Wの交換時には、上記バルブ22を閉止することにより、上記静電チャック12からの伝熱ガスの吹き出しを停止するとともに、バッファタンク21内に伝熱ガスを所定の裏面圧力、たとえば10Torrでチャージしておくことにより、被処理体Wの交換後に、上記バルブ22を開放することにより、即座に所定の裏面圧力を確保することが可能となる。このようにバッファタンク21は、伝熱ガスの裏面圧力制御の応答性を確保する上で重要であるが、伝熱ガスとして可燃性ガスを使用した場合には、処理室内に生成するプラズマにより引火され爆発を起こすおそれがある。そこで、図2に示すように、上記温調ユニット23を、上記静電チャック12と上記バッファタンク21との間に介装することにより、万が一可燃性ガスに引火した場合であっても、上記温調ユニット23の上記熱交換手段25により伝熱ガスが引火温度以下にまで下げられるので、上記バッファタンク21の爆発という最悪の事態を回避することが可能となる。
【0037】
なお上記伝熱ガス供給管18により被処理体Wの裏面に供給する伝熱ガスとしては、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスの他に、CHF3ガス、あるいはCHF3+COガスやCHF3+H2ガスなどの処理ガスと同種のガス、または処理ガスと同種のガスを含むガスを使用することが可能である。このように処理ガスと同種のガス、または処理ガスと同種のガスを含むガスを伝熱ガスとして使用することにより、伝熱ガスが処理室内に漏洩した場合であっても、処理室内の処理雰囲気を変えずに安定的に処理を行うことができる。また如上のように、本発明によれば、上記静電チャック12と上記バッファタンク21との間に上記熱交換手段25が介装されるので、COガスのような可燃性ガスを使用した場合であっても、上記バッファタンク21に火が回り込むような事態を未然に防止することが可能である。
【0038】
再び図1に戻って、本発明に基づいて構成されたエッチング装置1の構成についての説明を続けると、上記載置台4の周囲には、静電チャック12上のウェハWの外周を囲むように環状のフォーカスリング31が配置されている。このフォーカスリング31は反応性イオンを引き寄せない絶縁性または導電性の材料からなり、反応性イオンを内側の半導体ウェハWにだけ効果的に入射せしめるように作用するものである。
【0039】
そして上記載置台4には、中空に成形された導体よりなる給電棒32が接続しており、さらに、この給電棒32にはブロッキングコンデンサ33を介して高周波電源34が接続されており、プロセス時には、たとえば13.56MHzの高周波電力を上記給電棒32を介して上記載置台4に印加することが可能である。かかる構成により上記載置台4は下部電極として作用し、被処理体Wに対向するように設けられた上部電極35との間にグロー放電を生じ、処理容器内に導入された処理ガスをプラズマ化し、そのプラズマ流にて被処理体にエッチング処理を施すことが可能である。
【0040】
上記上部電極35は、上記載置台4の載置面上方に、これより約10〜20mm程度離間させて配置されている。この上部電極は中空に形成され、その中空部に処理ガス供給管36が接続され、処理ガス源37より流量制御器(MFC)38を介して所定の処理ガス、たとえばCF4などのエッチングガスを導入することが可能である。さらに中空部の中程には、処理ガスの均一拡散を促進するための多数の小孔が穿設されたバッフル板39が配置され、このバッフル板39の下方には処理ガス噴出口として多数の小孔40が穿設された板部材からなる処理ガス導入部41が設置されている。
【0041】
さらに上記処理容器2の下方には真空ポンプなどからなる排気系に連通する排気口42が設けられており、処理室内を所定の圧力に、たとえば0.5Torrに真空排気することが可能である。また上記載置台4と上記処理容器2の内壁との間には複数のバッフル孔が穿設されたバッフル板43が、上記載置台4を囲むように配置されている。このバッフル板43は、プロテクトリングあるいは排気リングとも称されるもので、排気流の流れを整え、処理容器2内から処理ガスなどを均一に排気するためのものである。
【0042】
また上記処理容器2の側部には被処理体搬入出口44が設けられ、この搬入出出口44が図示しない駆動機構により自動開閉するゲートバルブ45を介してロードロック室46に連通している。そしてこのロードロック室46内には被処理体である半導体ウェハWを一枚ずつ処理容器2内に挿脱することが可能なハンドリングアーム47を備えた搬送機構48が設置されている。
以上のように本実施例にかかるプラズマエッチング装置は構成されている。
【0043】
次に本実施例にかかるプラズマエッチング装置の動作について簡単に説明する。被処理体Wは、上記ロードロック室46より上記ハンドリングアーム47により上記ゲートバルブ45を介して上記処理室2内に搬入され、上記載置台4上の上記静電チャック12のチャック面に載置され、上記直流高圧電源15より高電圧が上記静電チャック12の導電層12cに印加され、クーロン力により被処理体Wがチャック面に吸着保持される。その後、ガス源19よりヘリウムなどの伝熱ガスを上記温調ユニット23により所定の温度に冷却しながら、被処理体Wと上記静電チャック12との間に形成される微小空間に供給することにより、上記載置台4に内装された上記冷却ジャケット5からの冷熱の伝熱経路が確保され、被処理体を所望の温度にまで迅速に冷却することが可能である。
【0044】
その後、上記処理ガス源37より所定の処理ガスを上記処理室2内に上記上部電極35を介して導入し、高周波電源34より、たとえば13.56MHzの高周波を上記下部電極4に印加することにより、処理ガスをプラズマ化し、被処理体Wの処理面に対してエッチングを施す。所定のエッチングが終了した後、処理ガスの供給を停止して、処理室内をパージするとともに、被処理体の裏面に対する伝熱ガスの供給も停止し、上記静電チャック12を切って、処理済みの被処理体を、上記処理室2内から上記ハンドリングアーム48により上記ロードロック室46に搬出して一連の処理を終了する。
【0045】
以上のように、本発明によれば、被処理体Wの裏面と上記静電チャック12のチャック面との間に形成される微小空間に対して、最適に温度制御された伝熱ガスを供給するので、上記載置台4から被処理体Wに至る効率の良い伝熱経路を形成することが可能となり、被処理体Wを所定の温度に応答性良く制御することが可能となる。
【0046】
図7には、本発明に基づいて構成された伝熱ガス供給経路のさらに別の実施例が示されている。この実施例では、伝熱ガス供給経路が2系統、すなわち、静電チャック12の周辺部にガス供給孔17aを有し、ガス源19aより流量制御器20a、バッファタンク21a、バルブ22a、温調ユニット23aを介して、伝熱ガス供給管路18aにより伝熱ガスを静電チャック12の周辺部に供給するための第1の伝熱ガス供給系統と、静電チャック12の中央部にガス供給孔17bを有し、ガス源19bより流量制御器20b、バッファタンク21b、バルブ22b、温調ユニット23bを介して、伝熱ガス供給管路18bにより伝熱ガスを静電チャック12の中央部に供給するための第2の伝熱ガス供給系統とから構成されている。なお各系統を構成する部材の機能については、図2に示す実施例と同様であり、同じ機能を有する部材については同じ数字を参照番号として引用することにより、詳細な説明は省略することにする。
【0047】
上記静電チャック12のチャック面に開口する第1のガス供給孔17aと第2のガス供給孔17bとは同心円状に分布することが好ましい。すなわち、一般に被処理体の面内温度分布は同心円状にむらが生じるので、上記のように第1のガス供給孔17aと第2のガス供給孔17bとを同心円状に分布させ、それぞれのガス供給孔17a、17bから供給される伝熱ガスの供給温度を個別に調整することにより、上記載置台4から被処理体Wへの伝熱の均一化を図ることが可能となる。また図9に示すように、中央部に開口する第2のガス供給孔17bとリフタピン用の開口16とを兼用することにより装置構成をさらに簡略化することも可能となる。さらにまた、一般に被処理体Wには位置決めのためにオリフラと称される切欠き部50が形成されるが、被処理体Wの面内温度分布はこのオリフラ部分に大きな影響を受けるため、このオリフラ部分については、別のガス供給系統を用いて別個に温度制御することが好ましい。そこで、たとえば図8に示すように、オリフラを含む同心円範囲については、別の系統の伝熱ガス供給系を接続し別個に温度制御を行うことにより、被処理体Wの面内温度分布をさらに均一化することが可能となる。
【0048】
なお図7に示す実施例においては、伝熱ガス供給系統として2系統の構造を採用しているが、本発明はかかる実施例に限定されず、任意の数の伝熱ガス供給系統を配置することが可能である。また各系統に供給される伝熱ガスとして同種のガスを使用し、各系統の伝熱ガスの温度を個別に制御する構成を採用することも可能であれば、また各系統の伝熱ガスとして別種のガスを使用し、たとえば通常の伝熱経路についてはヘリウムガスを供給し、より積極的に温度制御したい伝熱経路については粒子径の大きなアルゴンガスを供給する構成を採用することも可能である。さらにまた、混合により反応熱を生じる別種のガス、たとえば第1の系統から一酸化窒素ガスを供給し、第2の系統から酸素をガスを供給して、被処理体の裏面で反応させ二酸化窒素ガスを形成し、その反応熱により被処理体を積極的に加熱する構成を採用することも可能である。あるいは負の反応熱を生じる別種のガスを供給して、その反応熱により被処理体を積極的に冷却する構成を採用することも可能である。
【0049】
さらにまた上記実施例においては、載置台に冷却ジャケットやヒータなどから構成される熱源手段を内設した場合を例に挙げて、温度制御された伝熱ガスにより上記載置台から被処理体に至る伝熱経路を効率化する構成を説明したが、本発明はかかる実施例に限定されない。本発明構成によれば、被処理体の裏面に供給される伝熱ガスにより被処理体を直接冷却することが可能なので、上記載置台に内設される熱源手段を省略し、温度制御された伝熱ガスによってのみ被処理体の温度制御を行う構成を採用することも可能である。その場合には、如上のように複数のガスを用いて、ガス混合時の反応時に生じる反応熱により被処理体の温度制御を行うことが好ましい。
【0050】
以上本発明の好適な実施例についてプラズマエッチング装置を例に挙げて説明をしたが、本発明はかかる構成に限定されない。本発明はこの他にも、処理室内に処理ガスを導入して処理を行う各種装置、たとえばCVD装置、スパッタ装置、アッシング装置などにも適用することが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理体と静電チャックとの間に形成される微小空間に供給される伝熱ガスの温度を積極的に制御するので、被処理体の温度をより効率的に制御可能であり、また面内温度分布の均一化を図ることが可能となる。
【0052】
すなわち、被処理体の裏面に供給される伝熱ガスの温度が積極的に制御されるので、載置台からの伝熱効率を高めることが可能である。また伝熱ガスにより直接被処理体を冷却または加熱することができるので、載置台に内装される熱源を省略する構成を採用することも可能となり、装置構成を著しく簡略化できる。
【0053】
さらに、上記伝熱ガス供給経路中に設置された熱交換手段により、熱源手段から伝熱ガスに所望の熱量を効率的与えることが可能となり、温度制御の応答性を向上させることができる。その際に、上記熱交換手段として、伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段を用いれば、装置構成を簡略化可能であり、上記伝熱面積拡大手段として多孔質材料を使用すれば、温度制御の応答性を向上させることができる。また、上記伝熱面積拡大手段としてフィルタ手段を使用すれば、温度制御の応答性を向上させるとともに、伝熱ガス中の微小塵芥などの不純物を除去することも可能となる。
【0054】
また、上記伝熱ガス供給経路中にバッファ空間を設けることにより、被処理体の交換時の裏面圧力の応答性を改善できる。その際に、チャック手段とバッファ空間との間に熱交換手段を介装することにより、伝熱ガスとして可燃性ガスを使用した場合であっても、火花がバッファ空間に到達し爆発を生じる前に、ガスの温度が引火温度以下にまで下がるので、バッファ空間の爆発を防止することができる。
【0055】
また、熱源手段と伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱グリースなどの伝熱媒体を介在させることにより、伝熱ガスの加熱または冷却の応答性をさらに高めることができる。
【0056】
また、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統より上記伝熱ガス供給経路を構成することにより、上記微小空間に供給される伝熱ガスのより細やかな温度調整が可能となり、被処理体の面内温度分布の均一化を促進することが可能となる。その際に、特に同心円状に生じる面内温度分布のばらつきを補償することができる。また、被処理体のオリフラに起因する面内温度分布のばらつきを補償することができる。
【0057】
さらに、それぞれの伝熱ガス供給系統に別種のガスを供給することにより、被処理体の冷却温度を微調整することが可能となる。その際に、たとえば混合時に冷熱または温熱を発するような複数のガスを被処理体の裏面に供給することにより、より積極的に被処理体を冷却または加熱することが可能となる。
【0058】
また、処理ガスと同種のガスを伝熱ガスとして使用することにより、微小空間より処理室内に伝熱ガスが逃げた場合にも、処理雰囲気を変えずに安定的に処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づいて構成された処理装置をプラズマエッチング装置に適用した一実施例の概略的な断面図である。
【図2】図1のプラズマエッチング装置に適用可能な伝熱ガス供給経路部分の一実施例を拡大して示す説明図である。
【図3】図2の伝熱ガス供給経路に介装される熱源ユニット部分を拡大して示す説明図である。
【図4】図2の伝熱ガス供給経路の熱交換ユニットの一実施例に関する拡大説明図である。
【図5】図2の伝熱ガス供給経路の熱交換ユニットの別の実施例に関する拡大説明図である。
【図6】図2の伝熱ガス供給経路の熱交換ユニットのさらに別の実施例に関する拡大説明図である。
【図7】図1のプラズマエッチング装置に適用可能な伝熱ガス供給経路部分の他の実施例を拡大して示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例の態様を示す被処理体が載置された静電チャック部分の平面図である。
【図9】本発明の一実施例の態様を示す静電チャック部分の平面図である。
【図10】従来のエッチング装置の概略的な断面図である。
【図11】被処理体の裏面と静電チャックのチャック面との間に形成される微小空間の態様を示す断面図である。
【図12】従来の静電チャックの一態様を示す平面図である。
【符号の説明】
1 処理装置
2 処理室
4 載置台
12 静電チャック
17 伝熱ガス供給孔
18 伝熱ガス供給管
19 伝熱ガス源
20 流量制御器
21 バッファタンク
22 バルブ
23 温調ユニット
24 熱源ユニット
25 熱交換ユニット
W 被処理体
【産業上の利用分野】
本発明は処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体製造工程においては、処理室内において、載置台に静電チャック手段により被処理体を吸着保持して、被処理体を所定の温度に制御しながら、その処理面に対して所定の処理を施すための処理装置が使用されている。たとえば、図10に示すようなエッチング装置100は、処理室101内に設置された載置台102の載置面に静電チャック103を介して半導体ウェハなどの被処理体Wを吸着保持し、その被処理体Wに対向配置された上部電極104より処理ガス、たとえばHFガスなどを流しながら、下部電極を兼ねる載置台102に高周波電源105よりたとえば13.56MHzの高周波を印加することにより、処理ガスをプラズマ化し所定のエッチングを施すものである。
【0003】
そして、上記載置台101には、冷却ジャケット106などの冷却手段やヒータ107などの加熱手段から成る熱源手段が内装されており、熱伝達により被処理体Wを所望の温度、たとえば−100℃にまで冷却し、高アスペクト比の異方性エッチングを行うことが可能である。その際に、図11に示すように、上記静電チャック103のチャック面とウェハW裏面との間には微視的な小隙Sが形成されており、上記処理室101内が減圧雰囲気に保持されているため、この小隙Sが断熱層として作用して、上記熱源手段から被処理体に至る伝熱経路を阻害するおそれがある。そこで、最近では、図12に示すように、静電チャック103のチャック面全体に分布する開口群108から上記小隙Sに対してヘリウムなどの伝熱ガスを、上記載置台101および上記静電チャック103を貫通して延びる伝熱ガス供給経路109を介して供給し、伝熱効率を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10〜図12示すような、従来の処理装置では、被処理体を所定の温度にまで冷却または加熱するためには、冷却手段や加熱手段などを内装する載置台からの熱伝達に頼らざる得ず装置構成が複雑となる上、被処理体を均一に冷却または加熱するための熱伝達経路の確保が困難であり、特に静電チャックと被処理体との間に供給される伝熱ガスの裏面圧力を均一に制御することは困難であるので、結果として被処理体の面内温度分布にばらつきが生じ、したがってエッチングレートおよび/またはエッチング形状の均一性を得ることができず問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記のような従来の処理装置の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被処理体の温度制御の精度を高めることにより、被処理体の面内温度分布を均一化し、したがってエッチングレートおよび/またはエッチング形状の面内均一性を向上させることが可能な、新規かつ改良された処理装置を提供することである。
【0006】
さらに本発明の別の目的は、引火性の強い伝熱ガスを使用した場合であっても、引火爆発の危険性を回避できるような防爆機構を備えた、新規かつ改良された処理装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の、減圧雰囲気の処理室内において、チャック手段によりチャック面に被処理体を保持して、被処理体を所定の温度に制御しながら、その処理面に対して所定の処理を施すための処理装置は、チャック面と被処理体との間に形成される微小空間に対して伝熱ガスを供給するための伝熱ガス供給経路に熱源手段と熱交換手段とを設け、熱交換手段が、伝熱ガスの単位行程あたりの熱源手段から伝熱ガスに対する伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段であることを特徴としている。
【0008】
この伝熱面積拡大手段は、伝熱ガス中に含まれる不純物を濾過可能なフィルタ手段として構成することができる。
【0009】
また請求項2に記載の処理装置は、上記伝熱ガス供給経路中に、さらに断面を拡大したバッファ空間を設けたことを特徴としている。このようにバッファ空間を設けた場合には、請求項3に記載のように、上記熱交換手段を、チャック手段とバッファ空間との間に介挿する構成を採用することが好ましい。
【0010】
また請求項4に記載のように、前記熱源手段と前記伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱媒体、たとえば熱伝達グリースなどを介在させることもできる。
【0011】
さらに本発明の別観点によれば、請求項5に記載のように、上記伝熱ガス供給経路が、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統から構成されることを特徴とする処理装置が提供される。そして、かかる構成の場合には、請求項6に記載のように、チャック手段のチャック面において、それぞれ同系統に属する伝熱ガス供給系統の供給口群が略同心円状または碁盤目の交点状に分布されるように構成することが好ましく、さらに請求項7に記載のように、チャック手段に吸着される被処理体のオリフラ部分および/またはオリフラを含む同心円範囲に対応するチャック面については、他の部分とは別系統に属する伝熱ガス供給系統の供給口群を分布することが好ましい。
【0012】
さらにまた、請求項8に記載のように、複数の伝熱ガス供給系統に、それぞれ別種のガスを供給する構成を採用することも可能であり、その場合に、請求項9に記載のように、使用する別種のガスとして、混合時に反応熱を生じる複数のガスを選択することも可能であり、あるいは、請求項10に記載のように、伝熱ガス供給経路により供給される伝熱ガスとして、処理室内に処理時に存在する少なくとも1のガスと同種のガス、または少なくともそのガスを含むガスを使用することも可能である。伝熱ガスとして、少なくとも、H2、CO、アルコール類、およびCnHmから成る群から選択される1または2以上の組合わせを含むガスを使用することが可能である。
【0014】
【作用】
請求項1に記載の処理装置では、静電チャック手段と被処理体との間に形成される微小空間に対して伝熱ガスを供給するための伝熱ガス供給経路中に熱源手段を設けているので、たとえば冷却時には、所望の温度にまで冷却された伝熱ガスを上記微小空間に供給することにより、載置台からの伝熱効率を高めることが可能である。さらにまた伝熱ガスにより直接被処理体を冷却または加熱することができるので、載置台に内装される熱源を省略する構成を採用することも可能となり、装置構成を著しく簡略化できる。
【0015】
さらに、上記伝熱ガス供給経路中にさらに熱交換手段を設置しているので、熱源手段から伝熱ガスに対して所望の熱量を効率的与えることが可能となり、温度制御の応答性を向上させることができる。
【0016】
さらに、上記熱交換手段として、伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段を用いている。
【0017】
上記伝熱面積拡大手段として、フィルタ手段を使用するので、温度制御の応答性を向上させるとともに、伝熱ガス中の微小塵芥などの不純物を除去することも可能となる。
【0018】
請求項2に記載の処理装置では、上記伝熱ガス供給経路中に、断面を拡大したバッファ空間を設けているので、被処理体の交換時に所定の圧力をバッファ空間内に蓄積可能となり、被処理体の交換後に所望の裏面圧力を応答性良く供給することが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の処理装置では、チャック手段とバッファ空間との間に熱交換手段を介装しているので、伝熱ガスとして可燃性ガスを使用した場合であっても、火花がチャック手段の開口部より吸入され、バッファ空間に到達し、爆発を生じる前に、上記熱交換手段により引火温度以下にまで低下し、バッファ空間の爆発を未然に防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の処理装置では、上記熱源手段と伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱グリースなどの伝熱媒体を介在させるので、伝熱ガスの加熱または冷却の応答性をさらに高めることができる。
【0021】
請求項5に記載の処理装置では、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統より上記伝熱ガス供給経路を構成しているので、上記微小空間に供給される伝熱ガスのより細やかな温度調整が可能となり、被処理体の裏面全面に均一の温度を有する伝熱ガスを供給することにより、あるいは載置台から伝達される熱量に応じて異なる温度の伝熱ガスを供給することにより、被処理体の面内温度分布の均一化を促進することが可能となる。
【0022】
一般に被処理体の面内温度分布は同心円状にばらつきが生じるので、請求項6に記載の処理装置のように構成することにより、同心円状に生じる面内温度分布のばらつきを補償することができる。
【0023】
また被処理体には位置決めのために切欠き部をオリフラとして設けることがあるが、かかる場合にはオリフラ部分またはオリフラを含む同心円範囲において面内温度分布にばらつきが生じることがあるが、請求項7に記載の処理装置によれば、このオリフラにより生じる温度むらについても補償可能である。
【0024】
さらに請求項8に記載の処理装置のように、それぞれの伝熱ガス供給系統に別種のガスを供給することにより、たとえば冷却時には、通常の部分にはヘリウムを供給し、より冷やしたい範囲により粒子径の大きなアルゴンを供給することにより、被処理体の冷却温度を微調整することが可能となる。
【0025】
また請求項9に記載の処理装置のように、たとえば混合時に冷熱または温熱を発するような複数のガスを被処理体の裏面に供給することにより、より積極的に被処理体を冷却または加熱することが可能となる。
【0026】
また請求項10に記載の処理装置のように、処理時に処理室内に存在する処理ガスやキャリアガスと同種のガス、または少なくともそのガスを含む伝熱ガスを供給することにより、上記微小空間より処理室内に伝熱ガスが逃げた場合にも、処理雰囲気を変えずに安定的に処理を行うことが可能である。
【0028】
【実施例】
以下に添付図面を参照しながら本発明に基づいて構成された処理装置を、低温エッチング装置に適用した一実施例について詳細に説明することにする。
【0029】
図1に示すエッチング装置1は、導電性材料、たとえばアルミニウムなどから成る円筒あるいは矩形状に成形された処理容器2を有しており、この処理容器2の底部にはセラミックなどの絶縁材3を介して、被処理体、たとえば半導体ウェハWを載置するための略円筒状の載置台4が収容される。この載置台4は、アルミニウムなどより形成された複数の部材をボルトなどにより組み付けることにより構成することが可能であり、その内部には、冷却手段5や加熱手段6などの熱源手段が内設され、被処理体の処理面を所望の温度に調整することができるように構成されている。
【0030】
この冷却手段5は、たとえば冷却ジャケットなどから構成され、この冷却ジャケット5には、たとえば液体窒素などの冷媒を冷媒導入管7を介して導入可能であり、導入された液体窒素は同冷却ジャケット5内を循環し、その間に核沸騰により冷熱を生じる。かかる構成により、たとえば−196℃の液体窒素の冷熱が冷却ジャケット5から載置台4を介して半導体ウェハWに対して伝熱し、半導体ウェハWの処理面を所望する温度まで冷却することが可能である。なお、液体窒素の核沸騰により生じた窒素ガスは冷媒排出管8より容器外へ排出される。
【0031】
さらに載置台4には温調用ヒータなどの加熱手段6が配置されており、この温調用ヒータ6は、たとえば窒化アルミニウムなどの絶縁性焼結体にタングステンなどの導電性抵抗発熱体をインサートした構成で、この抵抗発熱体が電力供給リード9によりフィルタ10を介して電力源11から所望の電力を受けて発熱し、半導体ウェハWの処理面の温度を所望する温度まで加熱し、温度制御を行うことが可能なように構成されている。
【0032】
上記載置台4は、上面中央部が凸状にされた円板状で、この中央上面には、被処理体を保持するためのチャック部として、たとえば静電チャック12が被処理体である半導体ウェハWと略同径大、好ましくはウェハWの径よりも若干小さい径で設けられている。この静電チャック12は、ウェハWを載置保持する面としてポリイミド樹脂などの高分子絶縁材料からなる2枚のフィルム12a、12b間に銅箔などの導電膜12cを挟持した静電チャックシートより構成されており、その導電膜12cは、電圧供給リード13により、途中高周波をカットするフィルタ14、たとえばコイルを介して可変直流電圧源15に接続されている。したがって、その導電膜12cに高電圧を印加することにより、静電チャック12の上側フィルム12aの上面にウェハWをクーロン力により吸着保持し得るように構成されている。なお図示の実施例では、被処理体を吸着保持するチャック手段として静電チャック12を例に挙げて説明するが、本発明はかかる構成に限定されない。たとえば、昇降運動自在の円環状のクランプ部材により被処理体を機械的に保持するメカニカル・チャック手段に対しても、本発明は当然に適用されるものと了解される。
【0033】
そしてこの静電チャックシート12には、図9に示すように、図示しないリフタピン用の孔16および伝熱ガス供給孔17が同心円状に穿設されている。これらの伝熱ガス供給孔17には、図1および図2に示すように、伝熱ガス供給管18が接続されており、ガス源19より、流量制御器20、バッファタンク21、バルブ22を介して、本発明に基づいて構成された温調ユニット23により所定の温度に制御されたヘリウムなどの伝熱ガスを、被処理体Wの裏面と静電チャック12のチャック面との間に形成される微小空間に供給し、上記載置台4から被処理体Wへの伝熱効率を高めることが可能である。
【0034】
上記温調ユニット23は、図3に示す熱源手段24と、図4〜図6に示す熱交換手段25とから構成されている。熱源手段24は、伝熱ガス供給管18の外周に設置され、伝熱により管路内を流通する伝熱ガスを所望の温度に調整するもので、たとえば被処理体を冷却して処理する場合には、図3に示すように、冷却ジャケット26を巻き付け、冷却ジャケット内に冷媒、たとえば液体窒素などを流通させることにより、伝熱ガスを所望の温度にまで冷却することが可能である。そして、上記冷却ジャケット26と上記伝熱ガス供給管18との接触部には伝熱効率に優れた媒体、たとえば伝熱グリース27などが塗布され、冷熱の伝達を促進するように構成される。なお、図3に示す実施例では、伝熱ガスを冷却する構成を示したが、被処理体を加熱して処理する場合には、伝熱ガスを加熱するために、上記冷却ジャケット26内に熱媒を循環させたり、あるいは上記冷却ジャケット26の代替としてヒータなどの加熱手段を伝熱ガス供給管18に巻き付ける構成を採用することも可能である。
【0035】
上記温調ユニット23の熱交換手段25は、図4に示すように、上記伝熱ガス供給管18の内部に針金28を束ねたものを挿入したり、あるいは図5に示すように、多孔性材料29を挿入したり、あるいは図6に示すように、複数のバッフル板30a、30bを設置することにより構成される。このように構成することにより、伝熱ガスが上記伝熱ガス供給管18を通過する際に、広い面積で上記熱交換手段25に接触することが可能となり、温度制御の応答性を高めることが可能となる。
【0036】
図2に示す実施例においては、上記伝熱ガス供給管18にはバッファタンク21が介装されているが、このバッファタンク21は伝熱ガスの供給圧力を調整するためのものであり、被処理体Wの交換時には、上記バルブ22を閉止することにより、上記静電チャック12からの伝熱ガスの吹き出しを停止するとともに、バッファタンク21内に伝熱ガスを所定の裏面圧力、たとえば10Torrでチャージしておくことにより、被処理体Wの交換後に、上記バルブ22を開放することにより、即座に所定の裏面圧力を確保することが可能となる。このようにバッファタンク21は、伝熱ガスの裏面圧力制御の応答性を確保する上で重要であるが、伝熱ガスとして可燃性ガスを使用した場合には、処理室内に生成するプラズマにより引火され爆発を起こすおそれがある。そこで、図2に示すように、上記温調ユニット23を、上記静電チャック12と上記バッファタンク21との間に介装することにより、万が一可燃性ガスに引火した場合であっても、上記温調ユニット23の上記熱交換手段25により伝熱ガスが引火温度以下にまで下げられるので、上記バッファタンク21の爆発という最悪の事態を回避することが可能となる。
【0037】
なお上記伝熱ガス供給管18により被処理体Wの裏面に供給する伝熱ガスとしては、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスの他に、CHF3ガス、あるいはCHF3+COガスやCHF3+H2ガスなどの処理ガスと同種のガス、または処理ガスと同種のガスを含むガスを使用することが可能である。このように処理ガスと同種のガス、または処理ガスと同種のガスを含むガスを伝熱ガスとして使用することにより、伝熱ガスが処理室内に漏洩した場合であっても、処理室内の処理雰囲気を変えずに安定的に処理を行うことができる。また如上のように、本発明によれば、上記静電チャック12と上記バッファタンク21との間に上記熱交換手段25が介装されるので、COガスのような可燃性ガスを使用した場合であっても、上記バッファタンク21に火が回り込むような事態を未然に防止することが可能である。
【0038】
再び図1に戻って、本発明に基づいて構成されたエッチング装置1の構成についての説明を続けると、上記載置台4の周囲には、静電チャック12上のウェハWの外周を囲むように環状のフォーカスリング31が配置されている。このフォーカスリング31は反応性イオンを引き寄せない絶縁性または導電性の材料からなり、反応性イオンを内側の半導体ウェハWにだけ効果的に入射せしめるように作用するものである。
【0039】
そして上記載置台4には、中空に成形された導体よりなる給電棒32が接続しており、さらに、この給電棒32にはブロッキングコンデンサ33を介して高周波電源34が接続されており、プロセス時には、たとえば13.56MHzの高周波電力を上記給電棒32を介して上記載置台4に印加することが可能である。かかる構成により上記載置台4は下部電極として作用し、被処理体Wに対向するように設けられた上部電極35との間にグロー放電を生じ、処理容器内に導入された処理ガスをプラズマ化し、そのプラズマ流にて被処理体にエッチング処理を施すことが可能である。
【0040】
上記上部電極35は、上記載置台4の載置面上方に、これより約10〜20mm程度離間させて配置されている。この上部電極は中空に形成され、その中空部に処理ガス供給管36が接続され、処理ガス源37より流量制御器(MFC)38を介して所定の処理ガス、たとえばCF4などのエッチングガスを導入することが可能である。さらに中空部の中程には、処理ガスの均一拡散を促進するための多数の小孔が穿設されたバッフル板39が配置され、このバッフル板39の下方には処理ガス噴出口として多数の小孔40が穿設された板部材からなる処理ガス導入部41が設置されている。
【0041】
さらに上記処理容器2の下方には真空ポンプなどからなる排気系に連通する排気口42が設けられており、処理室内を所定の圧力に、たとえば0.5Torrに真空排気することが可能である。また上記載置台4と上記処理容器2の内壁との間には複数のバッフル孔が穿設されたバッフル板43が、上記載置台4を囲むように配置されている。このバッフル板43は、プロテクトリングあるいは排気リングとも称されるもので、排気流の流れを整え、処理容器2内から処理ガスなどを均一に排気するためのものである。
【0042】
また上記処理容器2の側部には被処理体搬入出口44が設けられ、この搬入出出口44が図示しない駆動機構により自動開閉するゲートバルブ45を介してロードロック室46に連通している。そしてこのロードロック室46内には被処理体である半導体ウェハWを一枚ずつ処理容器2内に挿脱することが可能なハンドリングアーム47を備えた搬送機構48が設置されている。
以上のように本実施例にかかるプラズマエッチング装置は構成されている。
【0043】
次に本実施例にかかるプラズマエッチング装置の動作について簡単に説明する。被処理体Wは、上記ロードロック室46より上記ハンドリングアーム47により上記ゲートバルブ45を介して上記処理室2内に搬入され、上記載置台4上の上記静電チャック12のチャック面に載置され、上記直流高圧電源15より高電圧が上記静電チャック12の導電層12cに印加され、クーロン力により被処理体Wがチャック面に吸着保持される。その後、ガス源19よりヘリウムなどの伝熱ガスを上記温調ユニット23により所定の温度に冷却しながら、被処理体Wと上記静電チャック12との間に形成される微小空間に供給することにより、上記載置台4に内装された上記冷却ジャケット5からの冷熱の伝熱経路が確保され、被処理体を所望の温度にまで迅速に冷却することが可能である。
【0044】
その後、上記処理ガス源37より所定の処理ガスを上記処理室2内に上記上部電極35を介して導入し、高周波電源34より、たとえば13.56MHzの高周波を上記下部電極4に印加することにより、処理ガスをプラズマ化し、被処理体Wの処理面に対してエッチングを施す。所定のエッチングが終了した後、処理ガスの供給を停止して、処理室内をパージするとともに、被処理体の裏面に対する伝熱ガスの供給も停止し、上記静電チャック12を切って、処理済みの被処理体を、上記処理室2内から上記ハンドリングアーム48により上記ロードロック室46に搬出して一連の処理を終了する。
【0045】
以上のように、本発明によれば、被処理体Wの裏面と上記静電チャック12のチャック面との間に形成される微小空間に対して、最適に温度制御された伝熱ガスを供給するので、上記載置台4から被処理体Wに至る効率の良い伝熱経路を形成することが可能となり、被処理体Wを所定の温度に応答性良く制御することが可能となる。
【0046】
図7には、本発明に基づいて構成された伝熱ガス供給経路のさらに別の実施例が示されている。この実施例では、伝熱ガス供給経路が2系統、すなわち、静電チャック12の周辺部にガス供給孔17aを有し、ガス源19aより流量制御器20a、バッファタンク21a、バルブ22a、温調ユニット23aを介して、伝熱ガス供給管路18aにより伝熱ガスを静電チャック12の周辺部に供給するための第1の伝熱ガス供給系統と、静電チャック12の中央部にガス供給孔17bを有し、ガス源19bより流量制御器20b、バッファタンク21b、バルブ22b、温調ユニット23bを介して、伝熱ガス供給管路18bにより伝熱ガスを静電チャック12の中央部に供給するための第2の伝熱ガス供給系統とから構成されている。なお各系統を構成する部材の機能については、図2に示す実施例と同様であり、同じ機能を有する部材については同じ数字を参照番号として引用することにより、詳細な説明は省略することにする。
【0047】
上記静電チャック12のチャック面に開口する第1のガス供給孔17aと第2のガス供給孔17bとは同心円状に分布することが好ましい。すなわち、一般に被処理体の面内温度分布は同心円状にむらが生じるので、上記のように第1のガス供給孔17aと第2のガス供給孔17bとを同心円状に分布させ、それぞれのガス供給孔17a、17bから供給される伝熱ガスの供給温度を個別に調整することにより、上記載置台4から被処理体Wへの伝熱の均一化を図ることが可能となる。また図9に示すように、中央部に開口する第2のガス供給孔17bとリフタピン用の開口16とを兼用することにより装置構成をさらに簡略化することも可能となる。さらにまた、一般に被処理体Wには位置決めのためにオリフラと称される切欠き部50が形成されるが、被処理体Wの面内温度分布はこのオリフラ部分に大きな影響を受けるため、このオリフラ部分については、別のガス供給系統を用いて別個に温度制御することが好ましい。そこで、たとえば図8に示すように、オリフラを含む同心円範囲については、別の系統の伝熱ガス供給系を接続し別個に温度制御を行うことにより、被処理体Wの面内温度分布をさらに均一化することが可能となる。
【0048】
なお図7に示す実施例においては、伝熱ガス供給系統として2系統の構造を採用しているが、本発明はかかる実施例に限定されず、任意の数の伝熱ガス供給系統を配置することが可能である。また各系統に供給される伝熱ガスとして同種のガスを使用し、各系統の伝熱ガスの温度を個別に制御する構成を採用することも可能であれば、また各系統の伝熱ガスとして別種のガスを使用し、たとえば通常の伝熱経路についてはヘリウムガスを供給し、より積極的に温度制御したい伝熱経路については粒子径の大きなアルゴンガスを供給する構成を採用することも可能である。さらにまた、混合により反応熱を生じる別種のガス、たとえば第1の系統から一酸化窒素ガスを供給し、第2の系統から酸素をガスを供給して、被処理体の裏面で反応させ二酸化窒素ガスを形成し、その反応熱により被処理体を積極的に加熱する構成を採用することも可能である。あるいは負の反応熱を生じる別種のガスを供給して、その反応熱により被処理体を積極的に冷却する構成を採用することも可能である。
【0049】
さらにまた上記実施例においては、載置台に冷却ジャケットやヒータなどから構成される熱源手段を内設した場合を例に挙げて、温度制御された伝熱ガスにより上記載置台から被処理体に至る伝熱経路を効率化する構成を説明したが、本発明はかかる実施例に限定されない。本発明構成によれば、被処理体の裏面に供給される伝熱ガスにより被処理体を直接冷却することが可能なので、上記載置台に内設される熱源手段を省略し、温度制御された伝熱ガスによってのみ被処理体の温度制御を行う構成を採用することも可能である。その場合には、如上のように複数のガスを用いて、ガス混合時の反応時に生じる反応熱により被処理体の温度制御を行うことが好ましい。
【0050】
以上本発明の好適な実施例についてプラズマエッチング装置を例に挙げて説明をしたが、本発明はかかる構成に限定されない。本発明はこの他にも、処理室内に処理ガスを導入して処理を行う各種装置、たとえばCVD装置、スパッタ装置、アッシング装置などにも適用することが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理体と静電チャックとの間に形成される微小空間に供給される伝熱ガスの温度を積極的に制御するので、被処理体の温度をより効率的に制御可能であり、また面内温度分布の均一化を図ることが可能となる。
【0052】
すなわち、被処理体の裏面に供給される伝熱ガスの温度が積極的に制御されるので、載置台からの伝熱効率を高めることが可能である。また伝熱ガスにより直接被処理体を冷却または加熱することができるので、載置台に内装される熱源を省略する構成を採用することも可能となり、装置構成を著しく簡略化できる。
【0053】
さらに、上記伝熱ガス供給経路中に設置された熱交換手段により、熱源手段から伝熱ガスに所望の熱量を効率的与えることが可能となり、温度制御の応答性を向上させることができる。その際に、上記熱交換手段として、伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段を用いれば、装置構成を簡略化可能であり、上記伝熱面積拡大手段として多孔質材料を使用すれば、温度制御の応答性を向上させることができる。また、上記伝熱面積拡大手段としてフィルタ手段を使用すれば、温度制御の応答性を向上させるとともに、伝熱ガス中の微小塵芥などの不純物を除去することも可能となる。
【0054】
また、上記伝熱ガス供給経路中にバッファ空間を設けることにより、被処理体の交換時の裏面圧力の応答性を改善できる。その際に、チャック手段とバッファ空間との間に熱交換手段を介装することにより、伝熱ガスとして可燃性ガスを使用した場合であっても、火花がバッファ空間に到達し爆発を生じる前に、ガスの温度が引火温度以下にまで下がるので、バッファ空間の爆発を防止することができる。
【0055】
また、熱源手段と伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱グリースなどの伝熱媒体を介在させることにより、伝熱ガスの加熱または冷却の応答性をさらに高めることができる。
【0056】
また、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統より上記伝熱ガス供給経路を構成することにより、上記微小空間に供給される伝熱ガスのより細やかな温度調整が可能となり、被処理体の面内温度分布の均一化を促進することが可能となる。その際に、特に同心円状に生じる面内温度分布のばらつきを補償することができる。また、被処理体のオリフラに起因する面内温度分布のばらつきを補償することができる。
【0057】
さらに、それぞれの伝熱ガス供給系統に別種のガスを供給することにより、被処理体の冷却温度を微調整することが可能となる。その際に、たとえば混合時に冷熱または温熱を発するような複数のガスを被処理体の裏面に供給することにより、より積極的に被処理体を冷却または加熱することが可能となる。
【0058】
また、処理ガスと同種のガスを伝熱ガスとして使用することにより、微小空間より処理室内に伝熱ガスが逃げた場合にも、処理雰囲気を変えずに安定的に処理を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づいて構成された処理装置をプラズマエッチング装置に適用した一実施例の概略的な断面図である。
【図2】図1のプラズマエッチング装置に適用可能な伝熱ガス供給経路部分の一実施例を拡大して示す説明図である。
【図3】図2の伝熱ガス供給経路に介装される熱源ユニット部分を拡大して示す説明図である。
【図4】図2の伝熱ガス供給経路の熱交換ユニットの一実施例に関する拡大説明図である。
【図5】図2の伝熱ガス供給経路の熱交換ユニットの別の実施例に関する拡大説明図である。
【図6】図2の伝熱ガス供給経路の熱交換ユニットのさらに別の実施例に関する拡大説明図である。
【図7】図1のプラズマエッチング装置に適用可能な伝熱ガス供給経路部分の他の実施例を拡大して示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例の態様を示す被処理体が載置された静電チャック部分の平面図である。
【図9】本発明の一実施例の態様を示す静電チャック部分の平面図である。
【図10】従来のエッチング装置の概略的な断面図である。
【図11】被処理体の裏面と静電チャックのチャック面との間に形成される微小空間の態様を示す断面図である。
【図12】従来の静電チャックの一態様を示す平面図である。
【符号の説明】
1 処理装置
2 処理室
4 載置台
12 静電チャック
17 伝熱ガス供給孔
18 伝熱ガス供給管
19 伝熱ガス源
20 流量制御器
21 バッファタンク
22 バルブ
23 温調ユニット
24 熱源ユニット
25 熱交換ユニット
W 被処理体
Claims (10)
- 減圧雰囲気の処理室内において、チャック手段によりチャック面に被処理体を保持して、被処理体を所定の温度に制御しながら、その処理面に対して所定の処理を施すための処理装置において、
前記チャック面と被処理体との間に形成される微小空間に対して伝熱ガスを供給するための伝熱ガス供給経路に熱源手段と熱交換手段とを設け、
前記熱交換手段が、伝熱ガスの単位行程あたりの前記熱源手段から伝熱ガスに対する伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段であり、
前記伝熱面積拡大手段が、伝熱ガス中に含まれる不純物を濾過可能なフィルタ手段であることを特徴とする、処理装置。 - さらに前記伝熱ガス供給経路に、断面を拡大したバッファ空間を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
- 前記熱交換手段が、前記チャック手段と前記バッファ空間との間に介挿されることを特徴とする、請求項2に記載の処理装置。
- 前記熱源手段と前記伝熱ガス供給経路との接触部分に伝熱媒体を介在させることを特徴とする、請求項1、2または3のいずれかに記載の処理装置。
- 前記伝熱ガス供給経路が、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統から構成されることを特徴とする、請求項1、2、3または4のいずれかに記載の処理装置。
- 前記チャック手段のチャック面において、それぞれ同系統に属する前記伝熱ガス供給系統の供給口群が略同心円状または碁盤目の交点状に分布されることを特徴とする、請求項5に記載の処理装置。
- 前記チャック手段に吸着される被処理体のオリフラ部分および/またはオリフラを含む同心円範囲に対応するチャック面には、他の部分とは別系統に属する前記伝熱ガス供給系統の供給口群が分布されることを特徴とする、請求項5または6に記載の処理装置。
- 減圧雰囲気の処理室内において、チャック手段によりチャック面に被処理体を保持して、被処理体を所定の温度に制御しながら、その処理面に対して所定の処理を施すための処理装置において、
前記チャック面と被処理体との間に形成される微小空間に対して伝熱ガスを供給するための伝熱ガス供給経路に熱源手段と熱交換手段とを設け、
前記熱交換手段が、伝熱ガスの単位行程あたりの前記熱源手段から伝熱ガスに対する伝熱面積を拡大する伝熱面積拡大手段であり、
前記伝熱ガス供給経路が、それぞれ独立に温度制御可能な複数の伝熱ガス供給系統から構成され、
前記複数の伝熱ガス供給系統に、それぞれ別種のガスを供給することを特徴とする、処理装置。 - 前記別種のガスが、混合時に反応熱を生じる複数のガスから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の処理装置。
- 前記伝熱ガス供給経路により供給される伝熱ガスが、前記処理室内に処理時に存在する少なくとも1のガスと同種のガスであるか、少なくともそのガスを含むことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のいずれかに記載の処理装置。
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