JP3599818B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、主として水性インクを使用するインクジェット記録用紙に関し、特に画像の再現性、乾燥性に優れたインクジェット記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は騒音がなく、高速印字が可能であり、端末プリンターなどに採用され近年急速に普及している。また、さらに複数個のインクノズルを使用することにより、多色記録を行うことも容易であり、各種のインクジェット記録方式での多色インクジェット記録方式による多色インクジェット記録が検討されている。近年、特にコンピューターにより作成した文字や各種図形などの画像情報のハードコピー作成装置として、複雑な画像を迅速で正確に形成することができるインクジェットプリンターの利用が注目されている。また近年、特に注目されているインクジェットプリンターの利用分野としては、写真に近い画質が要求される印刷分野におけるカラー版下の用途やデザイン部門でのデザインイメージのアウトプットである。
【0003】
インクジェット記録用のインクとしては、安全性、記録特性の面から、主に水と多価アルコールを主成分とするインクが使用され、インクの目詰り防止および吐き出し特性の向上などが図られている。
【0004】
インクジェット記録方式に使用される記録用シートとしては、従来通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に多孔質のインク吸収層を設けてなる記録用シートが使用されてきた。
【0005】
しかし、これら従来の記録用シートを光沢と迅速な乾燥性が求められる版下原稿やデザイン原稿に用いた場合にはいくつかの大きな問題点があった。すなわち、支持体上に多孔質のインク吸収層を設けてなる従来の記録シートを用いて印字すると、多孔質インク吸収層の光散乱性のために光沢が低くて、使用に耐えるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第一の目的は、インクジェット記録を行った場合に、画像の再現性が良好で、インクの乾燥性が早い、優れたインクジェット記録用紙を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明のインクジェット記録用紙は、天然パルプを主体とする抄き合わせ法によって製造した多層抄き原紙であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の各層が異なったパルプ構成であるものである。
【0009】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の最上層の天然パルプとして、広葉樹漂白サルファイトパルプを50重量%以上含有するものである。
【0010】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の下層の少なくとも1層が、天然パルプとして広葉樹漂白サルファイトパルプを50重量%以上含有するものである。
【0011】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の最表層と隣合う下層とが、JIS P8122で規定されるステキヒトサイズ度で8秒以上異なるものである。
【0012】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の各層の少なくとも1層に顔料を含有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の少なくとも1層に含有する顔料が、炭酸カルシウムであることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の各層の少なくとも1層に含有する顔料が、コロイド状シリカであることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のインクジェット記録用紙は、多層抄き原紙の各層の少なくとも1層に含有する顔料が、二酸化チタンであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明でいう多層抄き原紙の最上層と隣合う下層のステキヒトサイズ度とは、各層のパルプスラリー配合を単層で絶乾100g/m2に抄き、スーパーカレンダーで処理してベック平滑度で100秒にした原紙で評価した値である。
【0017】
本発明の多層抄き原紙の隣合うステキヒトサイズ度が8秒以上の差があると、インクジェット用水性インクの吸収性が適当であり、上層が高いとインクの広がりが少なく、下層が高いとインクの色濃度が高いものが得られると予想される。
【0018】
ステキヒトサイズ度は、後述のサイズ剤や添加剤、パルプの種類や叩解度、原紙の密度などにより変化する。
【0019】
本発明の多層抄き原紙に含有する顔料としては、シリカ、コロイダルシリカ、酸化珪素、酸化亜鉛、アルミナ、カオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、亜鉛華など、またはそれらの変成物やポリスチレン系や尿素系などの有機顔料が挙げられる。
【0020】
顔料の平均粒子径としては、電子顕微鏡測定で0.05〜20μm程度のものであり、好ましくは0.2〜10μmである。
【0021】
特に、本発明で使用する炭酸カルシウム、コロイダルシリカや二酸化チタンがインク乾燥性、吸収性などで好ましい。
【0022】
炭酸カルシウムとしては、合成されたアラゴナイト系やカルサイト系の軽質炭酸カルシウム、天然の炭酸カルシウムを粉砕、分級した重質炭酸カルシウムがあるが、一般的に軽質炭酸カルシウムが吸収性からは好ましい。
【0023】
コロイダルシリカとしては、カチオン変性された非球状のコロイド状シリカが好ましく、カチオン変性剤として含水酸化アルミニウム、含水酸化ジルコニウム、含水酸化錫などの含水金属酸化物で被覆されて、カチオン変性された非球状のコロイド状シリカが好ましく用いられ、特に、含水酸化アルミニウムでカチオン変性されたものが好ましく用いられる。カチオン変性の方法としては、米国特許第3,007,878号明細書、特公昭47 −26959号公報などに記載の方法で行うことができる。
【0024】
カチオン変性された非球状のコロイド状シリカにおけるカチオン変性剤たる含水金属酸化物の被覆量としては、シリカ(SiO2換 算)に対して無水金属酸化物換算で1〜30重量%の範囲が有用である。カチオン変性剤の被覆量が少な過ぎると、インクジェット記録用シ−トのインク記録された画像の耐水性が顕著に悪化し、また光沢が低下するし、一方、多過ぎるとインク受容層の皮膜物性が脆弱となってヒビ割れを起こしたりして悪化し、また光沢が低下する傾向となるため、2.5〜25重量%の範囲が好ましく、5〜20重量%の範囲が特に好ましい。また、カチオン変性された非球状のコロイド状シリカの液中には、コロイド安定剤などの目的で酢酸、クエン酸、硫酸、リン酸などの酸成分を含有してもよい。また、カチオン変性された非球状のコロイド状シリカの具体例としては、日産化学株式会社製のST−特殊変性シリーズを挙げることができる。
【0025】
二酸化チタンとしては、ルチル型やアナターゼ型が使用され、電子顕微鏡測定での平均粒子径が0.05〜10μm程度が好ましく使用される。分散性などの向上のためにアルミナやシリカなどによる表面被覆処理、有機物による表面処理が可能である。
【0026】
本発明における多層抄き原紙の各層に含有せしめられる顔料量としては、含有される層のパルプに対して固形で5〜60重量%の範囲が有用である。顔料量が少ない場合には、インクの受容性が劣り、インク記録された画像の乾燥性が悪化し、また画像の鮮鋭性が低下するし、一方、顔料量が多過ぎる場合には、原紙強度が脆弱となる他、粉落ちなどが悪化する傾向となる。
【0027】
本発明における多層抄き原紙の各層には、インクの乾燥性、光沢、画像の鮮鋭性などを向上させる目的で各種のポリマーを含有せしめてもよい。それらのポリマーの具体例としては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、例えばフタール酸、マレイン酸、フマール酸などの二塩基酸の無水物と反応したゼラチンなどの各種のゼラチン、各種ケン化度の通常のポリビニルアルコール、カルボキシ変性、カチオン変性および両性のポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロ−ス誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸メタクリル酸共重合体塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体およびそれらの塩、ポリエチレンイミンなどの合成ポリマー、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体または共重合体のラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスなどあるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤およびポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルコーポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤をあげることができ、これらを単独あるいは併用して含有せしめることができる。これらのポリマーの使用量としては、原紙の添加する層のパルプの固形分100重量部に対して、0.5〜50重量部の範囲が有用であるが、5〜30重量部の範囲が好ましい。
【0028】
本発明における多層抄き原紙の各層には、画像の鮮鋭性を向上させる目的で各種の界面活性剤を含有せしめることができる。それらの界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプでもよく、また低分子のものでも高分子のものでもよい。1種もしくは2種以上の界面活性剤を併用して含有せしめてもよい。それらの界面活性剤の好ましい具体例としては、長鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩、長鎖、好ましくは分枝アルキルスルフォコハク酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、長鎖、好ましくは分枝アルキル基含有フェノールのポリアルキレンオキサイドエーテル、長鎖アルキルアルコールのポリアルキレンオキサイドエーテルなどのノニオン系界面活性剤、特公昭47−9303号、米国特許第3,589,906号などに記載のフルオロ化した界面活性剤などをあげることができる。界面活性剤の添加量としては、原紙最上層の乾燥固形重量に対して0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.5〜3重量%の範囲がさらに好ましい。
【0029】
本発明における多層抄き原紙の各層には、顔料、ポリマー、界面活性剤の他に各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ポリマーの硬膜剤として、活性ハロゲン化合物、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物、アクリロイル化合物、イソシアネート化合物などの硬膜剤、防腐剤として、特開平1−102551号に記載もしくは例示のp−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物、ベンズイソチアゾロン化合物、イソチアゾロン化合物など、特開昭63−204251号公報、特開平1−266537 号公報などに記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤など、黄変防止剤としてヒドロキシメタンスルフォン酸ソーダ、p−トルエンスルフィン酸ソーダなど、紫外線吸収剤として、ヒドロキシ−ジ−アルキルフェニル基を2位に有するベンゾトリアゾール化合物など、酸化防止剤として、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のポリヒンダードフェノール化合物など、特公平4−1337号公報などに記載もしくは例示のオルガノポリシロキサン化合物、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸など、オクチルアルコール、シリコン系消泡剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0030】
本発明のインクジェット記録用紙としては、多層抄き原紙であり、好ましくは多層抄き原紙の最上層、または下層の少なくとも1層には天然パルプとして広葉樹漂白サルファイトパルプ(以下、LBSPと略す)が50重量%以上用いられる。最上層および下層で用いるその他の天然パルプとしては、特開昭58−73642号、特開昭60−67940号、特開昭60−69649号、特開昭61−35442号などの公報に記載もしくは例示してあるような適切に選択された天然パルプを用いるのが有利であるが、必要に応じて合成パルプ、合成繊維または再生パルプを用いてもよい。天然パルプは塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが有利に用いられ、また、クラフトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものや針葉樹サルファイトパルプを用いることができる。
【0031】
本発明の多層抄き原紙の最上層に好ましくは広葉樹漂白サルファイトパルプを50重量%以上用いることにより、原紙表面が平滑で、最上層が均一になり、記録画像の再現性が向上する。さらに水性インクによる原紙最上層の膨潤が少ないため、インクジェット記録画像再現性が良好であると予想される。
【0032】
本発明の多層抄き原紙の下層の少なくとも1層に好ましくは広葉樹漂白サルファイトパルプを50重量%以上用いることにより水性インクが過度に浸透するのを防止してインクの色濃度発現が良好になると予想される。
【0033】
本発明の多層抄き原紙の絶乾重量は特に制限は無いが、30〜250g/m2が好ましく、特に最上層の絶乾重量は10〜100g/m2が好ましい。
【0034】
本発明の実施に好ましく用いられるインクジェット記録用紙中には、紙料スラリー調製時に各種の添加剤を含有せしめることができる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩あるいは脂肪酸、特公昭62 −7534号公報に記載、もしくは例示のアルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体など、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナンなど、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂など、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土などの水溶性アルミニウム塩など、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸などを、その他特開昭63−204251号、特開平1−266537号などの公報に記載もしくは例示の着色 顔料、着色染料、蛍光増白剤などを適宜組み合せて含有せしめるのが有利である。
【0035】
また、本発明の実施に好ましく用いられるインクジェット記録用紙中には、各種の水溶性ポリマー、帯電防止剤、添加剤をスプレーあるいはサイズプレスもしくはタブサイズプレスなどによって含有せしめることができる。水溶性ポリマーとして、特開平1−266537号に記載もしくは例示の澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルローズ系ポリマーなど、帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウムなどのアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカなどのコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩などの有機帯電防止剤など、エマルジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、エチレン―酢酸ビニル共重合体、特開昭55−4027号、特開平1 −180538号公報に記載もしくは例示のエチレンとアクリル酸(またはメタクリル酸)とを少なくとも構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテックスなど、顔料として、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、そのほか前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などの添加剤を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
【0036】
本発明の実施に好ましく用いられるインクジェット記録用紙としては、JISP8119により規定されるベック平滑度が50秒以上の平滑面を有するものが好ましく、100秒以上の平滑面を有するものがさらに好ましい。ベック平滑度100秒以上の用紙を製造する方法としては、短繊維で平滑性が出やすく、剛度の低下が少ない広葉樹サルファイトパルプを多く用い、叩解機により長繊維分がなるべく少なくなるように叩解したものを多層抄き原紙の最上層に用いるのが好ましい。具体的には、パルプの叩解は叩解後のパルプの繊維長として42メッシュ残分が15〜45%、濾水度150〜400CSFになるようにすることが好ましい。ついで、内添薬品を添加した紙料スリラーについて、特開昭58−37642号、特開昭61−260240号、特開昭61−284762号などの公報に記載もしくは例示してあるような適切な抄紙方法を採用して長網抄紙機、丸網抄紙機など通常用いられる抄紙機により均一な地合が得られるようにして多層抄きにより抄造し、さらに抄造後マシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダーなどを用いてカレンダー処理を施し、ベック平滑度100秒以上の基紙を製造することができる。
【0037】
【実施例】
次に本発明をさらに具体的に説明するために、実施例を述べる。
【0038】
実施例1〜7
広葉樹漂白サルファイトパルプと広葉樹漂白クラフトパルプ6:4の混合パルプをカナディアン・スタンダード・フリーネス320mlに叩解し、さらにパルプ100重量部に対して、顔料を20重量部、カオチン化澱粉3重量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2重量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.4重量部、ポリアミノポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4重量部を添加したパルプスラリーAと、パルプを広葉樹漂白クラフトパルプ単独にしてコロイド状シリカとアルキルケテンダイマー乳化物を抜いた以外はパルプスラリーA作成と同様にしてパルプスラリーBを作成した。長網抄紙機により連続で下層をパルプスラリーBで絶乾で50g/m2、上層としてパルプスラリーAを絶乾で50g/m2になるように2層抄造した。得られた湿紙を110℃で乾燥し、引き続きカルボキシ変性ポリビニルアルコール3重量部、蛍光増白剤0.05重量部、青色染料0.002重量部、塩化ナトリウム4重量部、クエン酸0.2重量部および水93重量部から成る含浸液を25g/m2含浸させ、110℃の熱風で乾燥し、さらに線圧90kg/cmでスーパーカレンダー処理してインクジェット記録用紙を製造した。下記、および表1に使用した顔料の種類を示す。
【0039】
軽質炭酸カルシウム(A);白石カルシウム社製Brt−30
コロイド状シリカ(A);シリカ(SiO2 換算)に対してAl2O3換算で約1.5重量%のアルミニウムで変性された球状のコロイド状シリカ(日産化学株式会社製)。
コロイド状シリカ(B);球状のコロイド状シリカをベースにして、シリカ(SiO2換算)に対してAl2O3換算で12.5重量%の含水酸化アルミニウム でカチオン変性された球状のコロイド状シリカ(日産化学株式会社製)。
コロイド状シリカ(C);針状のコロイド状シリカ(日産化学株式会社製)。
コロイド状シリカ(D);針状のコロイド状シリカ(C)をベースにして、シリカ(SiO2換算)に対してAl2O3換算で約6.2重量%の含水酸化アルミ ニウムでカチオン変性された針状のコロイド状シリカ(日産化学株式会社製)。
コロイド状シリカ(E);針状のコロイド状シリカ(C)をベースにして、シリカ(SiO2換算)に対してAl2O3換算で約11.7重量%の含水酸化アル ミニウムでカチオン変性された針状のコロイド状シリカ(日産化学株式会社製)。
【0040】
実施例8
実施例1の原紙作成で上層に使用の広葉樹漂白サルファイトパルプと広葉樹漂白クラフトパルプの比を4:6に代えた以外は実施例7と同様にしてコロイド状シリカ(E)を使用してインクジェット記録用紙を作成した。
【0041】
実施例9
実施例1の原紙作成で上層にはパルプスラリーAで使用の広葉樹漂白サルファイトパルプを抜いて広葉樹漂白クラフトパルプ単独とし、コロイド状シリカ(E)を用いたパルプスラリーCを用い、下層に上層で使用のパルプスラリーAを用いた以外は実施例7と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0042】
実施例10
実施例7の原紙作成で上層に使用のパルプスラリーAのコロイド状シリカ(E)をパルプ100重量部に対して50重量部にした以外は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0043】
実施例11
実施例1の原紙作成で上層にはパルプスラリーAで使用のアルキルケテンダイマー乳化物を抜き、顔料は炭酸カルシウム(Brt−30)を用い、下層はパルプスラリーBにアルキルケテンダイマー乳化物をパルプ100重量部に対して0.4重量部添加した以外は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0044】
実施例12
実施例1の原紙作成で上層には顔料として炭酸カルシウム(Brt−30)を用い、下層のパルプスラリーBにアルキルケテンダイマー乳化物をパルプ100重量部に対して0.4重量部添加した以外は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0045】
実施例13
実施例1の原紙作成で上層には顔料として炭酸カルシウム(Brt−30)を用い、アルキルケテンダイマー乳化物をパルプ100重量部に対して0.8重量部にした以外は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0046】
実施例14
実施例1の原紙作成で上層には顔料として炭酸カルシウム(Brt−30)を用い、アルキルケテンダイマー乳化物をパルプ100重量部に対して0.2重量部にした以外は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0047】
実施例15
実施例1の原紙作成で上層、下層共に顔料としてコロイド状シリカ(E)を用いたパルプスラリーAを用いた以外は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0048】
比較例1
実施例1の2層抄き原紙の代わりに、コロイド状シリカ(E)を用いたパルプスラリーAのみの単層で絶乾坪量100g/m2である湿紙を得、実施例6と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0049】
比較例2
実施例1で用いた基紙の代わりに、パルプスラリーAでコロイド状シリカ(E)を用い、広葉樹漂白サルファイトパルプを抜いたパルプスラリーCを単層で絶乾坪量100g/m2である湿紙を得、実施例6と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0050】
その後、得られた各インクジェット記録用紙について、Desk Writer C(HEWLETT PACKARD社)インクジェットプリンターを用いて画像を記録し、下記の品質試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0051】
光沢;インクジェット記録用シ−トの画像部および非画像部の光沢を目視で判定した。
【0052】
乾燥性;画像をインクジェット記録して30分後に画像部を指で擦って、画像の乾燥性を目視で判定した。
【0053】
画像再現性;画像をインクジェット記録して画像の再現性を目視で判定した。
【0054】
上記品質試験の評価基準は、以下の通りである。◎:問題点がなく、優れている。○:良好である。△:実用限界内である。×:劣る。
【0055】
【表1】
【0056】
表1の結果から、実施例1〜10の原紙が2層である本発明によるインクジェット記録用紙は、光沢、被膜性、乾燥性および画像再現性が良好で、特にカチオン変性された非球状のコロイド状シリカを原紙上層に含有したもの、および原紙上層に広葉樹漂白サルファイロパルプを多く含有したものは優れていることがわかる。
【0057】
一方、比較例1、2の基紙が単層であるインクジェット記録用紙は特に画像再現性が劣っていることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明により、光沢が高い、インクの乾燥性が早い、かつインク画像の再現性が良好な優れたインクジェット記録用紙を提供できる。
Claims (7)
- 天然パルプを主体とするインクジェット記録用紙において、該用紙が抄き合わせ法によって製造した多層抄き原紙の各層が、異なったパルプ構成であり、該多層抄き原紙の最上層の天然パルプとして、広葉樹漂白サルファイトパルプを50重量%以上含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 多層抄き原紙の各層が、異なったパルプ構成であり、多層抄き原紙の下層の少なくとも1層が、天然パルプとして広葉樹漂白サルファイトパルプを50重量%以上含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 多層抄き原紙の最表層と隣合う下層とが、JIS P8122で規定されるステキヒトサイズ度で8秒以上異なることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録用紙。
- 多層抄き原紙の各層の少なくとも1層に、顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
- 多層抄き原紙の少なくとも1層に含有する顔料が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録用紙。
- 多層抄き原紙の各層の少なくとも1層に含有する顔料が、コロイド状シリカであることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録用紙。
- 多層抄き原紙の各層の少なくとも1層に含有する顔料が、二酸化チタンであることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録用紙。
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