JP3598830B2 - 助手席用エアバッグカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の助手席用エアバッグカバーに関するものである。更に詳しくは、本発明は、自動車のダッシュボード(インストルメントパネル)に組み込んで設置された場合に、熱膨張や熱収縮による周辺部分からの盛り上がりや解離(隙間)を生じることがなく、かつ、展開安全性に優れた自動車の助手席用エアバッグカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衝突時の衝撃から自動車の搭乗者を保護するため、エアバッグを搭載する自動車が増加している。エアバッグは、通常時はエアバッグカバーに収納されている。近年、運転者のみならず、助手席に搭乗する者の安全性を確保するため、助手席用のエアバッグを設置する必要が重要視されている。ところで、助手席用のエアバッグ(カバー)は、通常ダッシュボードに組み込んで設置される。ところが、このように設置された場合に、エアバッグカバーが熱膨張により周辺部分から押されて盛り上がったり、熱収縮により周辺部から解離するといった問題がある。更に、一般にエアーバッグカバーは複雑な形状であり、射出成形品は多くのウェルドラインを有する。ウェルド部の強度が低い材料を用いたエアーバッグカバーでは、展開時にウェルド部から破断し、破片が飛び散る危険性、すなわち展開時の安全性に対する問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、自動車のダッシュボードに組み込んで設置された場合に、周辺部分からの盛り上がりや解離を生じることがなく、かつ展開時の安全性に優れた自動車の助手席用エアバッグカバーに関するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記の(A)及び(B)並びに(E)を含有し、(B)100重量部あたりの(A)の重量が25〜400重量部であり、(B)100重量部あたりの(E)の重量が10〜200重量%である熱可塑性エラストマー組成物の成型体であって、該成型体の厚さ2mmで温度−40〜120℃における線膨張率が13.5×10-5mm/mm℃以下であり、ウェルド破断伸びが100%以上であり、−50℃以上温度におけるIzod衝撃強度が35kg・cm/cm以上又はNon Breakである成形体からなる自動車の助手席用エアバッグカバーに係るものである。
(A):オレフィン系樹脂
(B):エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
(E):架橋系熱可塑性エラストマー
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)成分は、オレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン又はプロピレンと炭素数が2個以上のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。炭素数が2個以上のα−オレフィンとしては、たとえばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどがあげられ、好ましくはポリプロピレンであり、これらはランダム、ブロック及びホモのうちのいずれのタイプのものであってもよい。オレフィン系樹脂のメルトフローレートは通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは1〜70g/10分の範囲である。
【0006】
本発明の(B)成分は、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムである。エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及びエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムをあげることができる。また、(B)成分としては、油展エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムを用いてもよい。
【0007】
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムにおけるα−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、なかでもプロピレンが好ましい。また、非共役ジエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンのような鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリテン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエンのようなトリエンがあげられ、なかでも5−エチリデン−2−ノルボルネン又はジシクロペンタジエンが好ましい。
【0008】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムにおけるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、なかでもプロピレン、1−ブテン及び1−オクテンが好ましい。更に好ましい具体例として、α−オレフィン量が10〜40重量%、好ましくは20〜30重量%のエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム及びエチレン−オクテン共重合体ゴムをあげることができる。
【0009】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムは、100℃のムーニー粘度(ML1+4 100℃)が5〜150のものが好ましく、更に好ましくは10〜80である。該ムーニー粘度が過小であると機械的強度に劣ったり、ウェルド破断伸びが著しく低下することがあり、一方該ムーニー粘度が過大であると成形品の外観が損なわれたり、射出成形が困難になり、線膨張率が過大になることがある。なお、(B)として油展ゴムを用いた場合の(B)のムーニー粘度は伸展油を含めた値を基準とする。
【0010】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、(B)100重量部あたりの(A)の重量が25〜400重量部であり、更に好ましくは40〜150重量部である。(A)の含有量が過少((B)が過多)であるとウェルド破断伸びの低下を招き、一方(A)の含有量が過多((B)が過少)であると衝撃特性が低下したり、線膨張率が増大する
【0011】
なお、本発明において、(B)として油展ゴムを用いた場合の(B)の重量は、伸展油を含めた量を基準とする。
【0012】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必須成分である(A)及び(B)並びに(E)に加えて、下記(C)〜(D)のうちの少なくとも一種を含有してもよい。
(C):少なくとも2個の芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加芳香族ビニル−共役ジエン化合物ブロック共重合体
(D):ゴム用可塑
【0013】
(C)成分は、少なくとも2個の芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加芳香族ビニル−共役ジエン化合物ブロック共重合体であり、たとえばA−B−A、(A−B)[B末端でn本のA−Bジブロックがカップリングしたもの]などの構造を有する。ここで重合体ブロックBは非共役ジエンに水素添加して得られる重合体ブロックを示し、Aは芳香族のビニル化合物よりなる重合体ブロックを示す。(C)の芳香族ビニル化合物としては、工業的見地からスチレンが好ましい。また、(C)の共役ジエン化合物としては、工業的見地からブタジエン又はイソプレンでが好ましい。
【0014】
(B)がエチレン−プロピレン共重合体ゴムである場合には、(C)の数平均分子量10万以上であることが好ましい。(C)の分子量が10万より低いときには、熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度が低下することがあり、また(C)の溶融粘度が低下することにより、(B)の配向を抑制する効果が少なくなり、熱可塑性エラストマー組成物のウェルド部の引張伸びが低くなることがある。
【0015】
(C)の芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物の重量割合は、10/90〜50/50が好ましい。芳香族ビニル化合物が過少(共役ジエン化合物が過多)であると機械的強度が低下することがあり、一方芳香族ビニル化合物が過多(共役ジエン化合物が過少)であると弾性率が高くなり、熱可塑性エラストマーの衝撃特性が低下することがある。なお、水素添加芳香族ビニル−共役ジエン化合物ブロック共重合体中の芳香族化合物の含有量は、15〜38重量%の範囲がより好ましい。
【0016】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中における(C)の含有量は、(B)100重量部あたり500重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは10〜300重量部である。(C)の分子量が10万以上の場合、(C)が過少であるとゴムの配向を抑制する効果が不十分となり、熱可塑性エラストマーのウェルド部の引張伸びが低くなることがあり、一方(C)の含有量が過多であると流動性の低下を生じ、成形性の大きな低下を招いたり、成形品にフローマークが現れて外観を悪くすることがある。(C)の分子量が10万以下の場合、(C)が過少であると線膨張率が大きくなることがあり、一方(C)の含有量が過多であるとウェルド部の引張伸びが低くなることがある。
【0017】
(D)成分は、ゴム用可塑剤である。(D)の具体例としては、パラフィン系オイル、シリコーン系オイル、ポリイソブチレン系オイルなどをあげることができ、なかでも耐熱性及び耐候性の観点から、アロマ系化合物及びナフテン系化合物を極力排除したパラフィン系オイルが好ましい。
【0018】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中における(D)の含有量は、(B)100重量部あたりの100重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは5〜50重量%である。(D)の含有量が過少であると(C)の溶融粘度の高い水素添加芳香族ビニル−共役ジエン化合物ブロックの分散が不十分となり、衝撃特性の低下及び成形品表面へのブツの発生などを生じることがあり、一方(D)の含有量が過多であると低温での耐衝撃性が低下することがある。なお、(B)として油展ゴムを用いた場合、(D)成分の重量には伸展油の重量を含めないものとする。
【0019】
(E)成分は、架橋系熱可塑性エラストマーである。
【0020】
(E)としては、完全架橋及び/又は部分架橋オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。(E)はオレフィン系樹脂とオレフィン系ゴムを架橋剤及び/又は架橋助剤と一緒に混練機等を用いて混練しながら熱的処理を行って作製されたもので、オレフィン系樹脂中にオレフィン系ゴムが粒子を形成する構造である。ゴム粒子の直径は3μm以下であり、好ましくは1μm以下である。ゴム粒子の直径が過大であると低温での耐衝撃性が低下することがある。
【0021】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中における(E)の含有量は、(B)100重量部あたり10〜200重量%である。(E)の含有量が過少であるとウェルド部の引張伸びが低くなり、一方(E)の含有量が過多であると線膨張率が大きくなる
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体は、該成形体の厚さ2mmで温度−40〜120℃における線膨張率は13.5×10-5mm/mm℃以下であり、好ましくは8.0×10-5mm/mm℃以下であり、ウエルド破断伸びは100%以上であり、−50℃以上温度におけるIzod衝撃強度は35kg・cm/cm以上又はNon Breakであり、好ましくは50kg・cm/cm以上又はNon Breakである。線膨張率が過大であるとエアバッグカバーが周辺部分からの盛り上がったり、周辺部から解離(隙間)するといった問題が発生する。ウエルド破断伸びが過小であると展開時の安全性に劣る。Izod衝撃強度が過小であっても展開時の安全性に劣る。
【0023】
本発明においては、成形体ウェルド面周辺のゴム粒子の断面形状の平均離心率が0.40〜0.95であることが好ましく、更に好ましくは0.50〜0.95である。該平均離心率が過小であると線膨張率が過大となる場合があり、一方該平均離心率が過大であるとウェルド破断伸びが過小となる場合がある。ここで、該平均離心率は以下のとおり定義される値であり、下記のとおり測定される。
【0024】
ゴム粒子の断面形状が図1のように長円形又は楕円形と見なせる場合は、その長軸の長さ(2a)及び短軸の長さ(2b)を用い、離心率(ε)は下式(1)により求める(図1参照)。
Figure 0003598830
【0025】
ゴム粒子の断面形状が図2のように歪な場合は、該形状の最大長さ方向に長軸を設定し、該長軸に直交する短軸を設定する(図2参照)。該その後長軸及び短軸の長さを用い、離心率(ε)上式(1)により求める。
【0026】
また、単位面積当たりのゴム粒子の数をn個とし、各ゴム粒子の離心率をε(m=1,2,3…n)とし、下式(2)により平均離心率([ε])を求める。
Figure 0003598830
【0027】
なお、ゴム粒子の形状の観察は、次のとおり行う。成形体を切断して鏡面を作製する。鏡面とした試料を重クロム混酸(クロム酸カリウムと硫酸の混合液)に浸し、エッチングを行う。エッチングは水浴加熱で60℃に熱し、30分程度行う。エッチングした試料はスパッタリングで蒸着処理し、SEM(走査電子顕微鏡)でゴム粒子の形状を観察する。なお、平均離心率は単位面積当たりに存在するのゴム粒子の平均とする。
【0028】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記の各成分に加えて必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、難燃剤を配合してもよい。
【0029】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得る方法として、二軸押出機、バンバリーミキサーなどによる溶融混練をあげることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は混練により物性が異なることがある。粘度の高いゴム、分子量の大きなゴムを使用する場合は混練を強くするため小型の混練機を使用した方が物性が良好になる場合がある。また、(B)の一部と(C)、(D)及び(E)を混練し、混練物と(A)と(B)の残りを混練する多段混練を用いた方が物性が良好になる場合がある。
【0030】
【実施例】
以下に実施例によって、本発明をより詳細に説明する。
【0031】
〔I〕原料
実施例及び比較例の各組成物を得るにあたり、次に示す原料を使用した。
【0032】
(A)オレフィン系樹脂
C2inEP:エチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレンの重量%
EP含量 :エチレン−プロピレンランダム共重合体部分の全重合体に対する重量%
E含量 :全重合体のエチレンの重量%
A−1:C2inEP=40wt%、EP含量=17wt%、230℃、2.16kg荷重のMIが65(g/10min)であるブロックポリプロピレン
A−2:C2inEP=25wt%、EP含量=13wt%、230℃、2.16kg荷重のMIが30(g/10min)であるブロックポリプロピレン
A−3:E含量=3.2wt%、230℃、2.16kg荷重のMIが30(g/10min)であるランダムポリプロピレン
【0033】
(B)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
B−1:ムーニー粘度(ML1+4100℃)が52、プロピレン含量が27%であるエチレンプロピレンゴム
B−2:ムーニー粘度(ML1+4100℃)が48、ブテン含量が17%であるエチレンブテンゴム
B−3:ムーニー粘度(ML1+4100℃)が43、プロピレン含量が53%であるエチレンプロピレンゴム
B−4:ムーニー粘度(ML1+4100℃)が92、プロピレン含量が31%、エチリデンノルボルネンの沃素価が1.3であるエチレンプロピレンジエンゴム
【0034】
(C)水素添加芳香族ビニル−共役ジエン化合物ブロック共重合体
C−1:水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)シェル化学社製 クレイトンG1651
C−2:SEBS 旭化成社製 タフテックH1052
【0035】
(D)ゴム用可塑剤
D−1:鉱物油パラフィン系軟化剤 出光興産社製 ダイアナプロセスオイルPW−380
【0036】
(E)架橋系熱可塑性エラストマー
E−1:オレフィン系架橋TPE 住友化学社製 住友TPE 1500
【0037】
〔II〕添加剤処方
以下、いずれの実施例及び比較例においても、添加剤処方は下記のとおりで一定である。
樹脂部(オイルを含む)100重量部に対して
酸化防止剤:スミライザーBP−101(住友化学社製) 0.2重量%
光安定剤 :サノールLS770(チバ・ガイギー社製) 0.05重量%
光安定剤 :スミソーブ300(住友化学社製) 0.1重量%
滑剤 :オレイン酸アミド 0.1重量%
【0038】
[III] 評価・測定方法
得られた組成物については、シリンダー温度220℃、金型温度50℃にて射出成形を行い試験片を作製し物性評価を行った。
実施例及び比較例に記した諸特性は次の方法により測定した。
(1)アイゾット衝撃試験:(ASTM D256 試験片の厚みは12mm、ノッチ付きで試験を行った。)
(2)ウェルド部引張試験
対向2点ゲートの金型を用い射出成形にて、中央部に対向ウェルドができる平板を作製した。その平板より打ち抜きダンベルにて標線間の中央にウェルドラインがくるようにJIS3号引張試験片を打ち抜き作製した。その引張試験片をJIS K6301(3号ダンベルを用い、引張速度200mm/min)にて試験を行った。
(3)線膨張率の測定
厚さ2mmの成形体を12.7×12.7mmに打ち抜き、荷重2gでTMAで線膨張の測定を行った。測定範囲は−60〜130℃、温度上昇率は5℃/minでMD及びTD方向の測定を行った。得られたデータより−40〜120℃の線膨張率を算出し、MD及びTD方向の平均を試料の線膨張率とした。
【0041】
比較例1
A−1のブロックPP135重量部、B−1のEPR100重量部、C−1のSEBS53重量部、D−1のオイル24重量部及び添加剤を170ιバンバリー・ミキサーで170〜200℃で混練した後、押し出し機を用いてペレットを作製した。得られた組成物について、射出成形を行い試験片を作製し、物性評価を行った。Izod衝撃強度が悪くなった。
【0042】
実施例
A−2のブロックPP94重量部、B−1、2、3のEPR100重量%(B−1のEPR38重量%,B−2のEBR50重量%,B−3のEPR12重量%)、E−1の架橋系熱可塑性エラストマー47重量部及び添加剤を二軸混練押出機で200〜240℃で混練しペレットを作製した。得られた組成物について、射出成形を行い試験片を作製し、物性評価を行った。ウェルド部の引張伸びは100%を超え、線膨張率及びIzod衝撃強度も良好であった。
【0043】
実施例
の条件としたこと以外、実施例と同様に行った。結果を表に示した。
【0044】
比較例2
A−3のランダムPP100重量部、B−3,4のEPR100重量部、(BB−3のEPR20重量%、B―4のEPR80重量%)及び添加剤を170ιバンバリー・ミキサーで170〜200℃で混練した後、押し出し機を用いてペレットを作製した。得られた組成物について、射出成形を行い試験片を作製し、物性評価を行った。離心率が0.95より大きくなり、ウェルド破断伸びが50%以下となった。
【0045】
【表】
Figure 0003598830
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、自動車のダッシュボードに組み込んで設置された場合に、周辺部分からの盛り上がりや解離を生じることがなく、かつ展開時の安全性に優れた自動車の助手席用エアバッグカバーを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴム粒子の断面形状が長円形又は楕円形と見なせる場合の長軸の長さ(2a)及び短軸の長さ(2b)を示す図である。
【図2】ゴム粒子の断面形状が歪な場合のは、該形状の長軸の長さ(2a)及び短軸の長さ(2b)を示す図である。

Claims (12)

  1. 下記の(A)及び(B)並びに(E)を含有し、(B)100重量部あたりの(A)の重量が25〜400重量部であり、(B)100重量部あたりの(E)の重量が10〜200重量%である熱可塑性エラストマー組成物の成型体であって、該成型体の厚さ2mmで温度−40〜120℃における線膨張率が13.5×10-5mm/mm℃以下であり、ウェルド破断伸びが100%以上であり、−50℃以上温度におけるIzod衝撃強度が35kg・cm/cm以上又はNon Breakである成形体からなる自動車の助手席用エアバッグカバー。
    (A):オレフィン系樹脂
    (B):エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
    (E):架橋系熱可塑性エラストマー
  2. 下記(C)〜(D)のうちの少なくとも一種並びに請求項1記載の(A)及び(B)並びに(E)を含有する請求項1記載の助手席用エアバッグカバー。
    (C):少なくとも2個の芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加芳香族ビニル−共役ジエン化合物ブロック共重合体
    (D):ゴム用可塑
  3. 成型体のウェルド面周辺におけるゴム粒子の断面形状の平均離心率が0.40〜0.95である請求項1記載の助手席用エアバッグカバー。
  4. (A)がポリプロピレンである請求項1記載の助手席用エアバッグカバー。
  5. (B)がエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及び/又はエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムである請求項1記載の助手席用エアバッグカバー。
  6. (B)がエチレン−プロピレン共重合体ゴム及び/又はエチレン−ブテン共重合体ゴムである請求項1記載の助手席用エアバッグカバー。
  7. (C)の芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項2記載の助手席用エアバッグカバー。
  8. (C)の共役ジエン化合物がブタジエン又はイソプレンである請求項2記載の助手席用エアバッグカバー。
  9. (C)の芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物の重量割合が10/90〜50/50である請求項2記載の助手席用エアバッグカバー。
  10. (D)がパラフィン系オイルである請求項2記載の助手席用エアバッグカバー。
  11. (E)が完全架橋及び/又は部分架橋オレフィン系熱可塑性エラストマーである請求項記載の助手席用エアバッグカバー。
  12. (B)100重量部あたりの(C)の重量が500重量部以下であり、(B)100重量部あたりの(D)の重量が100重量部以下である請求項2記載の助手席用エアバッグカバー。
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