JPH06200086A - 水添ブロック共重合体エラストマー組成物 - Google Patents

水添ブロック共重合体エラストマー組成物

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JPH06200086A
JPH06200086A JP5000947A JP94793A JPH06200086A JP H06200086 A JPH06200086 A JP H06200086A JP 5000947 A JP5000947 A JP 5000947A JP 94793 A JP94793 A JP 94793A JP H06200086 A JPH06200086 A JP H06200086A
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茂 小田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ビニル芳香族化合物の末端重合体ブロックA
と共役ジエン化合物の中間重合体ブロックBとからなる
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体で数平均分子量が異なる2種ものを主体とした
もの、プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの
共重合体のうち熱変形温度が90℃以上のもの、パラフ
ィン系オイル、及びエチレン−α・オレフィン共重合体
ゴム若しくはエチレン−α・オレフィン−非共役ジエン
共重合体ゴムのうちガラス転移点が−30℃以下のもの
又は動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン共重合
体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体のうち脆化
温度が−50℃以下のものからなるエアバッグカバー用
水添ブロック共重合体エラストマー組成物。 【効果】 本発明の組成物により成形したエアバッグカ
バーは−40℃〜90℃間におけるエアバッグ展開時に
開裂部以外に亀裂が生じたりカバーが飛散することなし
に良好なエアバッグの展開が得られ、耐高温老化性、耐
候性等の長期信頼性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの安全装置
として用いられるエアバッグシステムのエアバッグカバ
ーにおいて、エアバッグの展開性、展開時の耐飛散性に
優れた水添ブロック共重合体エラストマー組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エアバッグカバーは中に補強用ナ
イロン系ネットを入れたウレタンが使用おり、内部に折
り畳まれて収納されたエアバッグの膨張展開によって、
補強用ナイロン系ネットのない薄肉部で破裂するように
なっている。しかし、このようなエアバッグカバーは補
強用ナイロン系ネットを使用しない場合では、破裂時に
薄肉の開裂部以外に亀裂が生じる、あるいはカバーが飛
散するといった問題が生じ、補強用ナイロン系ネットを
使用した場合では、エアバック展開時の開裂性の問題は
解決されるものの、エアバッグカバー成形時、補強用ネ
ットの位置合わせに時間がかかる、補強用ナイロン系ネ
ットの位置ズレによる不良率が高くなる或いはウレタン
RIM成形によるため生産性が低くなるといった欠点が
あった。また、補強用ナイロン系ネットをいれない熱可
塑性樹脂によるエアバッグカバーも数多く検討された
が、これらのものでは硬度が40〜90という自動車内
装部品として人間が不愉快に感じない柔らかさで温度−
40℃〜90℃において確実にエアバッグが展開し、エ
アバッグ展開時にエアバッグカバーが開裂部以外に亀裂
を生じたり、破片が絶対飛散しないことは非常に困難で
あった。その中でも、一部のポリオレフィン系熱可塑性
樹脂において、成形直後の状態では温度−40℃〜90
℃において良好な展開性能を有するものの高温老化試
験、あるいは耐候性試験後にポリオレフィン系熱可塑性
樹脂の結晶化度の変化などの相構造の変化に伴う物性の
変化により、これらの高温老化試験、耐候性試験後に温
度−40℃〜90℃におけるエアバッグの展開性、展開
時の耐飛散性が満足できない。このように、成形直後の
みならず高温老化試験、耐候性試験後においてもに優れ
た展開性能を有する硬度40〜90のエアバッグカバー
は開発されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題点を解決し、自動車などの安全装置として用いら
れるエアバッグシステムのエアバッグカバーにおいて補
強用ナイロン系ネットを入れたウレタンではできなかっ
た補強用ナイロン系ネットを必要としないJISK63
01のスプリング硬さ(硬度)40〜90のエアバッグ
カバーに用いられる新規な水添ブロック共重合体組成物
を提供するところにある。本発明者らは、種々の研究を
進めた結果、a成分の水添ブロック共重合体を主成分と
して使用し、低温側の展開性能をa成分より高分子量で
あるb成分の水添ブロック共重合体とe成分の共重合体
ゴムまたはf成分の熱可塑性エラストマーを添加アロイ
化することによって改善し、高温側の展開性はa成分よ
り高分子量であるb成分の水添ブロック共重合体組成物
とc成分のプロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィン
との共重合体を添加アロイ化することによって改善する
配合設計思想で、−40℃〜90℃という広い温度範囲
で展開性、展開時の耐飛散性に優れたエアバッグカバー
を得ることができ、かつこれらの最適な組み合わせによ
り、成形直後のみならず高温老化試験、耐候性試験後も
−40℃〜90℃という広い温度範囲で展開性、展開時
の耐飛散性に優れたエアバッグカバーを得ることを見い
だし、本発明を完成するに至ったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、下記に記
載の成分a、b、c、d、eまたは成分a、b、c、
d、fを溶融混練してペレット化したエアバッグカバー
用水添ブロック共重合体エラストマー組成物である。 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重合体ブロックA と、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロックB とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体 でスプリング硬度(JIS K6301) が99以下のもので、かつ数平均分子量が2 0000から100000のもの 100重量部 (b)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重合体ブロックA と、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロックB とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体 でスプリング硬度(JIS K6301) が99以下のもので、かつ数平均分子量が1 00001から200000のもの 10〜150重量部 (c)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの共重合体のうち熱変形温 度が90℃以上のもの 10〜300重量部 (d)パラフィン系オイル 2〜300重量部 (e)エチレン−α・オレフィン共重合体ゴム及びまたはエチレン−α・オレフ ィン−非共役ジエン共重合体ゴムのうちガラス転移点が−30℃以下のもの 2〜100重量部 (f)動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン共重合体ゴムとポリオレフィ ン系樹脂のブレンド体または、動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン −非共役ジエン共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体からなる 熱可塑性エラストマーのうち脆化温度が−50℃以下のもの 2〜100重量部
【0005】以下、本発明に関して詳細に説明する。本
発明で用いられる水添ブロック共重合体は、少なくとも
2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重合体ブロ
ックAと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体と
する中間重合体ブロックBとからなるブロック共重合体
を水素添加して得られるものであり、下記一般式で示さ
れる構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合
物ブロック共重合体の水素添加されたものである。 A−(B−A)n (1≦n≦5) この水添ブロック共重合体は、水添ブロック共重合体エ
ラストマー組成物を得るために硬度99以下、好適には
90以下のものを使用する必要があるので、ビニル芳香
族化合物を5〜50重量%、好ましくは10〜40重量
%含み、さらにブロック構造について言及すると、ビニ
ル芳香族化合物を主体とする末端重合体Aが、ビニル芳
香族化合物重合体ブロックまたは、ビニル芳香族化合物
を50重量%を越え好ましくは70重量%以上含有する
ビニル芳香族化合物と水素添加された共役ジエン化合物
との共重合体ブロックの構造を有しており、さらに、水
素添加された共役ジエン化合物を主体とする中間重合体
ブロックBが、水素添加された共役ジエン化合物重合体
ブロック、または水素添加された共役ジエン化合物を5
0重量%を越え好ましくは70重量%以上含有する水素
添加された共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との
共重合体ブロックの構造を有するものである。また、ビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック及び水素
添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロッ
クがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックは
それぞれが同一構造でもよく、異なる構造であっても良
い。水添ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合
物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1
種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好まし
い。また水素添加された共役ジエン化合物を構成する水
添前の共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、
イソプレン、2.3−ジメチル−1.3−ブタジエン等
のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジ
エン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
さらに水添ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分
岐状、放射状或いはこれらの任意の組み合わせのいずれ
であっても良い。
【0006】また、本発明で用いるa成分の水添ブロッ
ク共重合体の数平均分子量(Mn)は20000〜10
0000、好ましくは25000〜80000の範囲で
あり、分子量分布Mw/Mnは10以下(Mw:重量平
均分子量)、好ましくは5以下、さらに好ましくは2以
下である。数平均分子量が20000未満の場合、十分
な耐熱性を付与することができず、100000より大
きい場合はb成分と組み合わせた場合、成形時の流動性
を著しく阻害する。分子量分布が10をこえると強度、
耐熱性が低下する。
【0007】b成分の水添ブロック共重合体の数平均分
子量(Mn)は100001〜200000、好ましく
は110000〜150000の範囲で、分子量分布M
w/Mnは10以下であり(Mw:重量平均分子量)、
その配合量は、a成分100重量部に対して10〜15
0重量部で、好ましくは20〜100重量部である。数
平均分子量が100001未満の場合、a成分と組み合
わせた場合に、十分な耐熱性を付与することができず、
200000より大きい場合、成形時の流動性を著しく
阻害する。分子量分布が10をこえると強度、耐熱性が
低下する。b成分の配合量がa成分100重量部に対し
て10重量部未満では、−40℃でのエアバックカバー
展開時に良好な展開性能を発揮することができず、15
0重量部をこえると成形時の流動性を著しく阻害するも
のである。また、b成分の水添ブロック共重合体は、数
平均分子量が大きいため作業性改善のため、後述のd成
分のパラフィン系オイルの油展品を適宜用いることがで
きる。
【0008】次に、本発明の成分cとして用いられてい
るプロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの共重
合体、得られる組成物の加工性、耐熱性向上に有効であ
り、例えばプロピレンと他の少量のα−オレフィンのラ
ンダムまたは及びブロック共重合体、具体的にはポリプ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセ
ン共重合体、プロピレンー4ーメチルー1ペンテン共重
合体、及びポリ4ーメチルー1−ペンテン、ポリブテン
−1等があげられ、なかでもエチレン−プロピレンブロ
ック共重合体が好ましく、その中でもエチレン含有量が
2〜30重量%のものが好ましい。さらに高温老化試
験、耐候性試験での物性の変化を抑えるために造核剤が
添加されていることが好ましい。このプロピレンと炭素
数2〜8のα−オレフィンとの共重合体のメルトフロー
レート(ASTM-D-1238L条件、230℃)は0.1〜50d
g/min特に0.5〜30dg/minの範囲のもの
が好適に使用できる。メルトフローレートが0.1dg
/min未満では、成形時の流動性が悪化し、50dg
/minより大きいと耐熱性が低下するので好ましくな
い。また、ここで熱変形温度(JIS K7207 4.6kgf/cm2
を90℃以上に制限したのは、それ未満の場合は耐熱性
向上に効果がないためである。c成分の配合量としては
a成分100重量部に対して、10〜300重量部であ
り、好ましくは40〜150重量部である。c成分の配
合量がa成分100重量部に対して10重量部未満では
十分な耐熱性を付与することができず、300重量部を
こえるとと、−40℃でのエアバックカバー展開時に良
好な展開性能を発揮することができない。
【0009】本発明で用いるd成分のパラフィン系オイ
ルは、得られる組成物の硬度を調整し、柔軟性を与える
作用を持つ必須成分である。一般にゴムの軟化、増容、
加工性向上に用いられるプロセスオイルまたはエクステ
ンダーオイルとよばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は芳香族
環、ナフテン環、パラフィン鎖の3者が組わさった混合
物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素数の50%以
上占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素
数が30から45%のものがナフテン系、芳香環炭素数
が30%を越えるものが芳香族系とされる。本発明の成
分bとして用いられるオイルは上記区分でパラフィン系
のものが好ましく、ナフテン系、芳香族系のものは分散
性、溶解性の点で好ましくない。パラフィン系ゴム用軟
化剤の性状は37.8℃における動粘度はが20〜50
0cst、流動点が−10〜−15℃および引火点が1
70〜300℃を示す。d成分のパラフィン系オイルの
配合量はa成分100重量部に対して2〜300重量部
であり、好ましくは5〜100重量部である。d成分の
配合量がa成分100重量部に対して2部未満の配合で
は、得られる組成物が樹脂組成物に近くなるため、硬度
が増し、柔軟性を失う他に経済的観点からも好ましくな
い。d成分の配合量がa成分100重量部に対して30
0重量部をこえた配合のものは、軟化剤のブリードアウ
トを生じやすく最終製品に粘着性を生じる恐れがあり、
機械的性質を低下させる。
【0010】更に、本発明のe成分として用いられる共
重合体ゴムは、−40℃でのエアバッグ展開性を改善す
るための必須成分である。エチレン−α・オレフィン共
重合体ゴム及びまたはエチレン−α・オレフィン−非共
役ジエン共重合体ゴムにおけるα・オレフィンは炭素数
3〜15のものが適する。非共役ジエンとしてはジシク
ロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノ
ルボルネン、及びメチレンノルボルネン等が使用でき
る。本発明においては入手の容易さ、耐衝撃性改良の観
点からα・オレフィンとしてはポリプロピレンが適す
る。従って、e成分としてはいわゆるEPR、EPDM
が好適となる。共重合ゴムのエチレン/α・オレフィン
比は重量比で50/50〜90/10、さらに好ましく
は、60/40〜80/20が適する。ここで、ガラス
転移点を−30℃以下に規定したのは、−30℃をこえ
るガラス転移点を持つものは−40℃でのエアバッグ展
開性を改善できない為である。e成分の配合量はa成分
100重量部に対して2〜100重量部の範囲で選ぶこ
とができ、好ましくは5〜80重量部である。e成分が
a成分100重量部に対して2重量部未満では共重合体
ゴムを添加する効果としての−40℃でのエアバッグ展
開性の改善が認められず好ましくない。e成分がa成分
100重量部に対して100重量部をこえると得られる
エラストマー状組成物の高温での強度を保持できず、9
0℃でのエアバッグ展開性が好ましくないばかりか、高
温時の耐熱保形性が著しく悪化し成形物としての使用に
耐えない。
【0011】本発明のf成分として用いられる熱可塑性
エラストマーは−40℃でのエアバッグ展開性を改善す
るための成分であり、共重合体ゴムにおけるα・オレフ
ィンは炭素数3〜15のものが適する。非共役ジエンと
してはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、
エチリデンノルボルネン、及びメチレンノルボルネン等
が使用できる。本発明においては入手の容易さ、耐衝撃
性改良の観点からα・オレフィンとしてはポリプロピレ
ンが適する。従って、f成分中のエチレン−α・オレフ
ィン−非共役ジエン共重合体ゴムとしてはいわゆるEP
DMが好適となる。共重合ゴムのエチレン/α・オレフ
ィン比は重量比で50/50〜90/10、さらに好適
には60/40〜80/20が適する。加硫剤としては
通常のゴム用の加硫剤を用いる事ができ、とくに硫黄の
他にアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ジク
ミルペルオキシドのような有機過酸化物が特に好適に用
いられる。加硫剤の他に加硫助剤、酸化防止剤等を併用
しても良い。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹
脂の添加量は共重合体ゴム100重量部に対して、0.
5部〜15重量部の範囲が強度と加工性のバランスの点
で好ましい。有機過酸化物の場合、共重合体ゴム100
重量部に対して0.05重量部〜1重量部の範囲が強度
と加工性のバランスの点で好ましい。共重合体ゴム10
0重量部に対して、ポリオレフィン系樹脂を5重量部以
上含むことが加工性を保つために不可欠である。共重合
体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体を動的に溶
融混練させながら、加硫剤を加えて加硫させて本成分f
を得る事ができる。ここで熱可塑性エラストマーの脆化
温度を−50℃以下に規定したのは、それ以上の脆化温
度を持つものは−40℃でのエアバッグ展開性を改善で
きない為である。f成分の配合量はa成分100重量部
に対して2〜100重量部の範囲で選ぶことができ、好
ましくは5〜80重量部の範囲である。f成分がa成分
100重量部に対して、10重量部未満の配合では共重
合体ゴムを添加する効果としての−40℃でのエアバッ
グ展開性の改善が認められず好ましくない。f成分がa
成分100重量部に対して、100重量部をこえると得
られるエラストマー状組成物の高温での強度が保持でき
ず、90℃でのエアバッグ展開性が好ましくないばかり
か、高温時の耐熱保形性が著しく悪化し成形物としての
使用に耐えない。
【0012】上記した(a)〜(e)成分のほかに、本
発明の組成物はさらに必要に応じて、無機充鎮剤、ポリ
スチレン樹脂のような安価な樹脂を配合することも可能
である。これらは、増量剤として製品コストの低下をは
かることの利益があるばかりでなく、品質改良(無機充
填剤:耐熱保形、難燃性付与等 ポリスチレン樹脂:加
工性向上等)に積極的効果を付与する利点もある。無機
充鎮剤としては、例えば炭酸カルシウム、カーボンブラ
ック、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリ
ウム、天然ケイ酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、
酸化チタン等があり、カーボンプラックとしてはチャン
ネルブラック、ファーネスブラック等が使用できる。こ
れらの無機充填剤のうちタルク、炭酸カルシウムは経済
的にも有利で好ましいものである。また、この目的で使
用できるポリスチレン樹脂は、ラジカル重合法、イオン
性重合法で得られるものが好適に使用でき、その数平均
分子量は5000〜500000、好ましくは1000
0〜200000の範囲から選択でき、分子量分布Mw
/Mnは5以下のものが好ましい。さらに必要に応じて
造核剤、外滑剤、内滑剤、ヒンダードアミン系光安定
剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、着色剤、シリ
コンオイル等を添加しても良い。
【0013】本発明の組成物を製造する方法としては、
通常の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般
的な方法を採用できる。基本的には機械的溶融混練方法
であり、これ等には単軸押出機、二軸押出機、バンバリ
ーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が
用いられる。この際、各成分の添加順序には制限がな
く、例えば、全成分をヘンシェルミキサー、ブレンダー
等の混合機で予備混合し上記の混練機で溶融混練した
り、任意の成分を予備混合しマスターバッチ的に溶融混
練し、さらに残りの成分を添加し溶融混練する等の添加
方法を採用できる。また、この際溶融混練する温度は1
80℃〜300℃の中から好適に選ぶことができる。こ
こで得られた水添ブロック共重合体組成物はさらにエア
バッグカバーの金型を備えた射出成形機に供給し短時間
で射出成形しエアバッグカバーを得ることができる。ま
た、射出成形品の不要なバリ、ランナー部、およびスプ
ール部は本発明の組成物が熱可塑性であるため、リサイ
クル成形が可能であり、再度エアバッグカバーの素材と
して利用出来る長所を持つ。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明は、これら実施例に限定されるもので
はない。以下に示す実施例及び比較例において配合した
各成分は以下の通りである。 <成分a>旭化成工業製タフテックH1071:ポリス
チレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン
の構造を有し、結合スチレン量20重量%、数平均分子
量が約70000 [硬度:67(JIS K630
1)] <成分b>旭化成工業製タフテックH1272:ポリス
チレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン
の構造を有し、結合スチレン量35重量%、数平均分子
量が約120000(パラフィン系オイル〔出光興産製
ダイアナプロセスオイルPW−380[パラフィン系プ
ロセスオイル、動粘度:381.6cst(40℃)、
30.1(100℃)、平均分子量746、環分析値:
CA=0%、CN=27%、CP=73%]〕35重量%
油展品、) [硬度:40(JIS K6301)] <成分c−1>旭化成工業製エチレン−プロピレンブロ
ック共重合体:旭ポリプロM7646:メルトフローレ
ート15dg/min(ASTM D1238)、熱変
形温度120℃(ASTM D648[4.6 f/
2]) <成分c−2>旭化成工業製ポリプロピレン:旭ポリプ
ロM1700:メルトフローレート31dg/min
(ASTM D1238)、熱変形温度119℃(AS
TM D648[4.6 f/2]) <成分d>出光興産製ダイアナプロセスオイルPW−3
80[パラフィン系プロセスオイル、動粘度:381.
6cst(40℃)、30.1(100℃)、平均分子
量746、環分析値:CA=0%、CN=27%、CP=
73%] <成分e−1>日本合成ゴム製エチレンープロピレン共
重合体ゴムEP07P[プロピレン含量:25重量%
MFR(230℃)=0.7g/10分 Tg:−38
℃] <成分e−2>日本合成ゴム製エチレンープロピレン−
エチリデンノルボルネン共重合体ゴムEP57P[プロ
ピレン含量:28重量% MFR(230℃)=0.4g
/10分 ヨウ素価:15.0 Tg:−40℃] <成分f>住友化学製住友TPE3570[加硫剤:有
機過酸化物 脆化温度:−60℃>]
【0015】実施例1〜8及び比較例1〜5は表に示し
た配合割合のものを十分ドライブレンドした後、二軸混
練機を用いて樹脂温220〜270℃になるような条件
で溶融混練し押し出しペレタイズ化した。このペレット
を使用して以下の評価を行った。 (1) 硬度(JIS K6301):プレスシートを作成
し測定した。 (2) 外観:射出成形機により、エアバッグカバーの開裂
部の厚み0.5mm、エアバッグカバーの開裂部以外の
厚み2〜5mmのエアバッグカバーの成形品を作製し、
目視にてフローマーク、艶等の外観を観察をし、良好な
ものを○、やや不良なものを△、不良なものを×とし
た。 (3) 耐熱保形性:このエアバッグカバー成形品を温度1
10℃の環境で耐熱保形性試験を行った。24時間後保
形性が良好でへたり等を生じていないものを○、へたり
等を生じたものを×とした。 (4) 展開試験: (4)-1.常態:このエアバッグカバー成形品を環境温度9
0℃、23℃及び−40℃でエアバッグ展開試験を行っ
た。エアバッグカバーの開裂部より良好に展開したもの
を○、エアバッグカバーの開裂部以外に亀裂を生じた
り、カバーが飛散したもの、エアバッグが良好に展開し
なかったものを×とした。 (4)-2.高温老化試験後:このエアバッグカバー成形品を
温度110℃の環境で高温老化試験を行った。400時
間の高温老化試験後、環境温度90℃、23℃及び−4
0℃でエアバッグ展開試験を行った。エアバッグカバー
の開裂部より良好に展開したものを○、エアバッグカバ
ーの開裂部以外に亀裂を生じたり、カバーが飛散したも
の、エアバッグが良好に展開しなかったものを×とし
た。 その結果を実施例として表1、表2に示し、比較例とし
ては表3に示した。表中の組成の割合は重量部であり、
表中の成分bの()内の数値は成分b中の油展オイル成
分を除いた部数であり、表中の成分dの()内の数値は
成分b中の油展オイル成分の部数を成分dの部数に加え
た部数である。この結果から、本発明で得られた組成物
を成形したエアバッグカバーは、硬度40〜90であ
り、しかも−40℃〜85℃のエアバッグ展開性に優れ
ていることがわかる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の効果】本発明の組成物により成形したエアバッ
グカバーは−40℃〜90℃間におけるエアバッグ展開
時に開裂部以外に亀裂が生じたりカバーが飛散すること
なしに良好なエアバッグの展開が得られる。また、耐高
温老化性、耐候性等の長期信頼性にも優れている。しか
も従来のウレタンと補強用ナイロンネットに較べ、良好
な成形加工性がある、良好な生産性がある、色合わせが
簡単である、コストが安価である等利用価値は非常に大
きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分a、b、c、d及びe又はfか
    らなる水添ブロック共重合体エラストマー組成物。 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重合体ブロックA と、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロックB とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体 でスプリング硬度(JIS K6301) が99以下のもので、かつ数平均分子量が2 0000から100000もの 100重量部 (b)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とする末端重合体ブロックA と、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする中間重合体ブロックB とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体 でスプリング硬度(JIS K6301) が99以下のもので、かつ数平均分子量が1 00001から200000のもの 10〜150重量部 (c)プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの共重合体のうち熱変形温 度が90℃以上のもの 10〜300重量部 (d)パラフィン系オイル 2〜300重量部 (e)エチレン−α・オレフィン共重合体ゴム及びまたはエチレン−α・オレフ ィン−非共役ジエン共重合体ゴムのうちガラス転移点が−30℃以下のもの 2〜100重量部 (f)動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン共重合体ゴムとポリオレフィ ン系樹脂のブレンド体または、動的に加硫されたエチレン−α・オレフィン −非共役ジエン共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂のブレンド体からなる 熱可塑性エラストマーのうち脆化温度が−50℃以下のもの 2〜100重量部
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997031977A1 (fr) * 1996-02-27 1997-09-04 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Nouvelle composition elastomere thermoplastique et enveloppe pour dispositif air-bag
US6176510B1 (en) 1997-11-19 2001-01-23 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Air bag cover containing a block copolymer polypropylene resin blend
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WO2019159672A1 (ja) * 2018-02-14 2019-08-22 日本ゼオン株式会社 酸無水物基含有ブロック共重合体、樹脂組成物、樹脂シート、および合わせガラス

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