JP3598689B2 - 給紙装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等に用いられる給紙装置に関する。より詳しくは、用紙と接触して用紙を給送する給紙ローラと、この給紙ローラにより給送された用紙を挟圧して搬送する搬送ローラ対とを有し、用紙の先端が搬送ローラ対を僅かに通過した後、給紙ローラを一旦停止させるとともに搬送ローラ対を逆転させ、搬送ローラ対の挟圧部に用紙の先端を沿わせて用紙の斜行を防止して給送する給紙装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種給紙装置の基本構成およびその作動を図3に示す。
【0003】
同図において、1は給紙ローラであり、給紙ローラ軸2に固定されている。
【0004】
3,4は搬送ローラ対である。一方のローラ3は駆動ローラであり、他方のローラ4は駆動ローラ3に圧接されて従動する従動ローラである。
【0005】
給紙動作は次の通りである。
【0006】
(a) 待機状態においては、図(a)に示すように給紙ローラ1、搬送ローラ対3,4とも停止している。
【0007】
(b) 図示しない制御部より給紙指令信号が出力されると、図(b)に示すように、給紙ローラ1および搬送ローラ対3,4が紙送り方向に回転(正転)する。
【0008】
このとき用紙Pは図示しないホッパによって給紙ローラ1に向けて付勢されている。したがって、用紙Pは給紙ローラ1に接触し、搬送ローラ対3,4に向けて給送されることとなる。
【0009】
(c) 図(c)に示すように、用紙Pの先端P1が、搬送ローラ対3,4の挟圧部(両ローラの接触部)を僅かに通過した時点で、給紙ローラ1および搬送ローラ対3,4が一旦停止する。
【0010】
(d) 図(d)に示すように、給紙ローラ1が停止している状態のままで、搬送ローラ対3,4が逆転する。これによって用紙の先端P1が搬送ローラ対3,4の挟圧部の手前まで(挟圧部を逆に通過するまで)押し戻される。このとき、給紙ローラ1は停止したままであるから用紙に弛みP2が生じ、その復元力で用紙の先端P1が搬送ローラ対3,4の挟圧部に押し付けられ、用紙が斜めに送られている場合にはこれが矯正されることとなる。すなわち、用紙の先端P1が搬送ローラ対3,4の挟圧部に沿うこととなって、用紙の斜行が防止される。
【0011】
(e) 図(e)に示すように、給紙ローラ1および搬送ローラ対3,4が再び正転して用紙が送られる。
【0012】
なお、給紙ローラ1は、図示しない1回転クラッチ等の作動で丁度1回転した状態で停止し、搬送ローラ対3,4は引き続き必要に応じて回転し、用紙を搬送する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような給紙装置においては、小型化および低価格化を図るために、上述した動作を1つのモータで行なわせたいという要望がある。
【0014】
このような要望に応えるには、1つのモータからの歯車列等による動力伝達経路を、給紙ローラ1に向かう経路と搬送ローラ対3,4に向かう経路との2つに分け、これら2つの経路の分岐点に切換歯車を設ける。
【0015】
そして、上述した(a)〜(c)および(e)の動作では、上記2つの経路に動力が伝達されるように上記切換歯車を位置させ、(d)の動作では、搬送ローラ3,4に向かう経路には動力が伝達されるが、給紙ローラ1へ向かう経路には動力が伝達されないように上記切換歯車を位置させることによって、上記(a)〜(e)の動作を1つのモータで行なわせることが可能であると考えられる。
【0016】
しかしながら、このような構成によって上記(d)の動作を行なわせた場合、給紙ローラ1への動力伝達経路は断たれた状態、すなわち、給紙ローラ1への動力伝達経路に対しては切換歯車が噛み合っていない状態となるから、給紙ローラ1がフリー状態となる。このため、搬送ローラ対3,4が逆転して用紙が押し戻される際、給紙ローラ1が共回り(逆転)してしまって、用紙に弛みP2が形成されず、結果として、用紙の斜行が矯正されなくなるという事態が生じるおそれがある。
【0017】
すなわち、上記構成だけでは、(a)〜(e)の動作、特に(d)の動作を1つのモータで行なわせることは困難である。
【0018】
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、上記(a)〜(e)の動作を1つのモータで確実に行なわせることのできる給紙装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の給紙装置は、給紙ローラ軸に固定されて給紙ローラ軸とともに回転し、用紙と接触して用紙を給送する給紙ローラと、この給紙ローラにより給送された用紙を挟圧して搬送する搬送ローラ対とを有し、用紙の先端が搬送ローラ対の挟圧部を僅かに通過した後、給紙ローラを一旦停止させるとともに搬送ローラ対を逆転させることにより搬送ローラ対の挟圧部に用紙の先端を沿わせて用紙の斜行を防止する給紙装置であって、
前記給紙ローラ軸の端部に固定された、給紙ローラの位置検出のためのドラムであって、当該ドラムの周壁に、検出器によって検出されるべき穴が開けられているドラムと、このドラムに圧接される、前記穴よりも大きなブレーキパッドとを備えていることを特徴とする。
【0022】
【作用効果】
請求項1記載の給紙装置は、給紙ローラ軸に固定されて給紙ローラ軸とともに回転し、用紙と接触して用紙を給送する給紙ローラと、この給紙ローラにより給送された用紙を挟圧して搬送する搬送ローラ対とを有し、用紙の先端が搬送ローラ対の挟圧部を僅かに通過した後、給紙ローラを一旦停止させるとともに搬送ローラ対を逆転させることにより搬送ローラ対の挟圧部に用紙の先端を沿わせて用紙の斜行を防止する給紙装置であって、前記給紙ローラ軸の端部に固定されたドラムと、このドラムに圧接されるブレーキパッドとを備えているので、上記搬送ローラ対を逆転させる際に、給紙ローラへの動力伝達経路が断たれた状態となったとしても、給紙ローラ軸の端部に固定されたドラムにブレーキパッドが圧接されていることによって、給紙ローラには回動負荷が付与されることとなる。
【0023】
したがって、搬送ローラ対が逆転して用紙が押し戻される際、給紙ローラが共回りしてしまうということがなくなり、結果として、用紙の先端が搬送ローラ対の挟圧部に沿って用紙の斜行が防止されることとなる。
【0024】
すなわち、この請求項1記載の給紙装置によれば、前述した(a)〜(e)の動作を1つのモータで確実に行なわせることが可能となる。
【0025】
しかも、請求項記載の給紙装置によれば、前記ドラムは、給紙ローラの位置検出のためのドラムであるので、別途ブレーキパッドを圧接させるためのドラムを設ける必要がなく、結果として、部品点数の削減および装置の小型化が図られる。
【0026】
より詳しく説明すると、給紙装置によっては、その給紙ローラの位置を検出するために、給紙ローラ軸の端部に検出用のドラムを設けたものがある。
【0027】
この請求項の給紙装置によれば、この検出用のドラムにブレーキパッドを圧接させる構成としたので、ブレーキパッドを圧接させるためのドラムを別途設ける必要がなくなり、結果として、部品点数の削減および装置の小型化が図られる。
【0028】
しかも、給紙ローラへの動力伝達経路が断たれたときに、給紙ローラが何らかの理由(例えば振動等)によっていたずらに回転するのを防止し、給紙ローラの位置検出精度が劣化することを防止することもできる。
【0029】
さらに、請求項記載の給紙装置によれば、前記ドラムの周壁には検出器によって検出されるべき穴が開けられており、この穴よりも前記ブレーキパッドが大きいので、給紙ローラの円滑な回転が得られる。
【0030】
より詳しく説明すると、給紙装置によっては、その給紙ローラの位置を検出するためのドラムの周壁に穴を開け、この穴を適宜の検出器で検出するようにしたものがある。このような構成において、仮にブレーキパッドが上記穴よりも小さいものであるとすると、穴にブレーキパッドが引っかかってドラムの円滑な回転すなわち給紙ローラの円滑な回転が得られなくなってしまうおそれがある。
【0031】
これに対し、この請求項記載の給紙装置によれば、ドラムの周壁に開けられた穴よりもブレーキパッドが大きいので、ブレーキパッドが穴に引っかかるということがなくなり、結果として給紙ローラの円滑な回転が得られることとなる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0033】
図1は本発明に係る給紙装置の一実施の形態の要部を示す側面図、図2(a)は同じく部分分解斜視図、(b)はブレーキレバーの斜視図である。
【0034】
これらの図において、10は給紙ローラであり、断面十字型の給紙ローラ軸11に固定されて給紙ローラ軸とともに回転し、図示しない用紙と接触して用紙を給送するようになっている。
【0035】
20はドラムであり、給紙ローラ軸11の一端部に固定されている。なお、給紙ローラ軸11の他端部には図示しない歯車が固定されており、この歯車および図示しない動力伝達経路を介して、給紙ローラ軸11が、図示しないモータで回転駆動されるようになっている。
【0036】
30はブレーキパッド(以下単にパッドともいう)であり、ブレーキレバー31の先端31aに取り付けられている。パッド30は、適宜の摩擦部材、例えばフェルト、発泡ウレタンゴム等で構成されており、ブレーキレバー31の先端31aに貼付されている。このパッド30は、後述する穴22よりも大きく形成されている。
【0037】
ブレーキレバー31は、その貫通孔31bを、フレーム40の側壁41に突設された軸42に嵌め合わせることによって、フレーム40の側壁41に回動可能に取り付けられている。
【0038】
軸42には、側壁41とブレーキレバー31との間において、ねじりバネ50が介装されている。そして、ねじりバネ50の一端51が側壁41に設けられているフック43に係止され、他端52がブレーキレバー31に設けられたフック31cに係止されていることにより、ブレーキレバー31は、図1において時計方向すなわちパッド30をドラム20の周壁21に圧接させる方向に付勢されている。
【0039】
ドラム20の周壁21には、穴22が開けられている。一方、側壁41には、この穴22を検出することによって給紙ローラ10の位置を検出するための検出器60が取り付けられている。この実施の形態において、検出器60は、投光部61と受光部62とを有するフォトインタラプタが用いられている。検出器60は、給紙ローラ10の初期位置(待機位置)を検出するためのものである。
【0040】
以上のような装置は、例えばプリンタ等の本体(図示せず)に組み込まれ、本体に設けられている搬送ローラ対(図示はしないが、本体には、図3に示した搬送ローラ対3,4と同等の搬送ローラ対が設けられている)と協働して前述した(a)〜(e)の給紙動作(図3参照)、すなわち用紙を給送し、用紙の先端が搬送ローラ対の挟圧部を僅かに通過した後、給紙ローラ10を一旦停止させるとともに搬送ローラ対を逆転させることにより搬送ローラ対の挟圧部に用紙の先端を沿わせ用紙の斜行を防止して給送する動作を行なうようになっている。
【0041】
以上のような給紙装置によれば、次のような作用効果が得られる。
【0042】
(i)給紙ローラ軸11の端部に固定されたドラム20と、このドラム20に圧接されるブレーキパッド30とを備えているので、搬送ローラ対を逆転させる際に(図3(d)参照)、給紙ローラ10への動力伝達経路が断たれた状態となったとしても、給紙ローラ軸11の端部に固定されたドラム20にブレーキパッド30が圧接されていることによって、給紙ローラ10には回動負荷が付与されることとなる。
【0043】
したがって、搬送ローラ対が逆転して用紙が押し戻される(逆送される)際、給紙ローラ10が共回りしてしまうということがなくなり、結果として、用紙の先端が搬送ローラ対の挟圧部に沿って用紙の斜行が防止されることとなる。
【0044】
すなわち、この給紙装置によれば、前述した(a)〜(e)の動作を1つのモータで確実に行なわせることが可能となる。
【0045】
なお、ドラム20とパッド30との圧接による回動負荷(モーメント)はモータにより得られる駆動力よりも小さく、かつ、用紙の逆送時に給紙ローラ軸11回りに生じるモーメントよりも大きく設定されている。この回動負荷は、用紙の逆送時に給紙ローラ軸11回りに生じるモーメントよりも大きい範囲内において可及的に小さく設定することが望ましい。給紙ローラ10の回転動作時における負荷を極力小さくするためである。
【0046】
(b)ドラム20は、給紙ローラ10の位置検出のためのドラムであるので、別途ブレーキパッド30を圧接させるためのドラムを設ける必要がなく、結果として、部品点数の削減および装置の小型化が図られる。
【0047】
しかも、給紙ローラ10への動力伝達経路が断たれたときに、給紙ローラ10が何らかの理由(例えば振動等)によっていたずらに回転するのを防止し、給紙ローラ10の位置検出精度が劣化することを防止することもできる。
【0048】
(c)ドラム20の周壁21には検出器60によって検出されるべき穴22が開けられているが、この穴22よりもブレーキパッド30の方が大きいので、給紙ローラ10の円滑な回転が得られる。
【0049】
仮にブレーキパッド30が上記穴22よりも小さいものであるとすると、穴22にブレーキパッド30が引っかかってドラム20の円滑な回転すなわち給紙ローラ10の円滑な回転が得られなくなってしまうおそれがある。
【0050】
これに対し、この実施の形態の給紙装置によれば、穴22よりもブレーキパッド30の方が大きいので、ブレーキパッド30が穴22に引っかかるということがなくなり、結果として給紙ローラ10の円滑な回転が得られることとなる。
【0051】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、用紙の斜行防止動作を含む給紙動作を1つのモータで確実に行なわせることができる。
【0053】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給紙装置の一実施の形態の要部を示す側面図。
【図2】(a)は同じく部分分解斜視図、(b)はブレーキレバーの斜視図。
【図3】(a)〜(e)は従来技術の説明図。
【符号の説明】
3,4 搬送ローラ対
10 給紙ローラ
11 給紙ローラ軸
20 ドラム
21 周壁
22 穴
30 ブレーキパッド
60 検出器

Claims (1)

  1. 給紙ローラ軸に固定されて給紙ローラ軸とともに回転し、用紙と接触して用紙を給送する給紙ローラと、この給紙ローラにより給送された用紙を挟圧して搬送する搬送ローラ対とを有し、用紙の先端が搬送ローラ対の挟圧部を僅かに通過した後、給紙ローラを一旦停止させるとともに搬送ローラ対を逆転させることにより搬送ローラ対の挟圧部に用紙の先端を沿わせて用紙の斜行を防止する給紙装置であって、
    前記給紙ローラ軸の端部に固定された、給紙ローラの位置検出のためのドラムであって、当該ドラムの周壁に、検出器によって検出されるべき穴が開けられているドラムと、このドラムに圧接される、前記穴よりも大きなブレーキパッドとを備えていることを特徴とする給紙装置。
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