JP3596828B2 - 基体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、基体の製造方法に係る。より詳細には、安価で、かつ、不純物の少ない表面を有する基体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種機器の駆動エネルギー源や商用電力と系統連結させる電源として、太陽電池が広く研究されている。
【0003】
このような太陽電池は、コスト的要請から金属のように低価格で入手できる基体上に、光電変換素子が形成できることが望まれている。
【0004】
一方、太陽電池を構成する光電変換素子としては、一般にSiからなる半導体が用いられる。光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率の点からは、前記半導体としては、単結晶Siを用いるのが好ましい。しかし、太陽電池の大面積化および低コスト化の点から、アモルファスSiが有利である。また近年では、アモルファスSi並みの低コストと単結晶Si並みの高い光電変換効率とを同時に得る目的から多結晶Siの使用が検討されている。
【0005】
しかしながら、従来の単結晶Siや多結晶Siからなる太陽電池では、塊状の結晶をスライスし、板状体に加工して用いるため、その厚さを0.3mm以下にすることは困難であった。したがって、光量を吸収するのに必要十分な厚さ以上となっているため、材料の有効利用が不十分であった。すなわち、コストを下げるためには、さらなる薄型化を図る必要があった。
【0006】
最近では、上述した薄型化を解決する方法として、溶融したSiの液滴を鋳型に流し込むスピン法によりシリコンシートを形成する方法が提案されている。しかし、この方法によっても、厚さは最小0.1mm〜0.2mm程度であり、結晶Siとして光吸収に必要十分な膜厚(20〜50μm)に比べて、まだ薄型化が不十分である。また、このような薄型化によって、シリコンシート自体が基体としての強度を維持することが困難となる。その結果、必然的にシリコンシートを支持する別の安価な基体が要求される。
【0007】
このような別の安価な基体としては、例えば金属級Si(T.Warabisako, T.Saitoh, E.Kuroda, H.Itoh. N.Nakamura and T.Tokuyama, “Efficient Solar Cells from Metallurgical−GradeSilicon”, Proceedings of the 11th Conference on Solid State Devices, Tokyo, 1979; Japanese Journal of Applied Physics, 19 (1980) Supplement 19−1, p.539)が挙げられる。T.Warabisako 等は、前記金属級Siを用いて基体を形成し、その上に光吸収に必要十分な膜厚のSi層を形成して太陽電池とする試みを報告している。
【0008】
しかしながら、T.Warabisako 等の方法では、金属級Siを引き上げ法によって塊状結晶とした後、これをスライスして板状基板を作製している。ゆえに、従来の単結晶Siを基体として用いたプロセスと同じであり、安価な材料である金属級Siのメリットが生かされていないという問題があった。また、現状では、十分な特性を得るためには前記引き上げを2回行う必要があり、製造に多大な時間がかかるという問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安価で、かつ、不純物の少ない表面を有する基体の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の基体の製造方法は、半導体層を支持する基体の製造方法において、搬送される方向に対して垂直方向に板状の溝を有する鋳型が、前記板状の溝の内部に金属級Siからなる原料を注入される第1工程と、前記鋳型をSiの融点よりも高い温度に保ち、前記金属級Siからなる原料を融解させて前記板状の溝を満たす第2工程と、前記鋳型が搬送される方向に負の温度勾配の設けられた炉内を、前記鋳型が移動する第3工程と、前記鋳型が前記炉内を移動する間に、融解された前記金属級Siを固化させて形成した基体の進行方向と反対側の一主面側に不純物を偏析させる第4工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
また、前記鋳型の材質は、カーボン・グラファイト、シリコン・カーバイト、又は窒化珪素の中から選択され、前記Siからなる原料は、金属級Siである。
【0013】
さらに、前記板状の溝の内面には、少なくともSi3N4を含む離型剤が被膜されていることが望ましい。
前記基体は、光電変換素子用として好適に用いられる。
【0015】
【作用】
本発明に係る請求項1では、第1工程から第4工程を設けたため、以下に示す点の改善が図られた基体の製造方法が得られる。
【0016】
まず、搬送される方向に対して垂直方向に板状の溝を有する鋳型が、前記板状の溝の内部にSiからなる原料を注入される第1工程を設けたため、前記板状の溝の内部に、原料を均一に注入することができる。
【0017】
また、前記鋳型をSiの融点よりも高い温度に保ち、前記Siからなる原料を融解させて前記板状の溝を満たす第2工程を設けたため、注入された原料は十分に融解状態となる。
【0018】
さらに、前記鋳型が搬送される方向に負の温度勾配の設けられた炉内を、前記鋳型が移動する第3工程を設けたため、溶融した金属級Siが固化される際、前記負の温度勾配により、鋳型の搬送される方向を向いた面からSiの固化が始まり、これと反対側の面が最後に固化する。その結果、金属級Siに含まれる不純物は最後に固化する進行方向とは反対側の面付近に偏析する。したがって、鋳型の搬送される方向を向いた面が不純物の比較的少ない基板面として得られる。
【0019】
またさらに、前記鋳型が前記炉内を移動する間に、融解された前記Siを固化させる第4工程を設けたため、後加工無しに、金属級Siからなる板状の基板が得られる。したがって、従来行われていた引き上げ法のように基板形状をスライスするための工程が省略でき、時間的・コスト的に改善する。
【0020】
本発明に係る請求項2では、前記鋳型の材質が、カーボン・グラファイト、シリコン・カーバイト、又は窒化珪素の中から選択されるため、繰り返し使用に耐える鋳型が形成できる。その結果、低コスト化が図られ、安価な基体の製造方法が得られる。
【0021】
本発明では、前記Siからなる原料が、金属級Siであるため、高純度Si等で比べた場合、材料費が非常に安く抑えられる。その結果、通常のウエハと同等の強度を有する安価な基体の製造方法が得られる。
【0022】
本発明に係る請求項3では、前記板状の溝の内面には、少なくともSi3N4を含む離型剤が被膜されているため、固化後の金属級Siからなる板状基体の鋳型からの取り外しが容易となる。その結果、一度に多数枚の板状基体の処理が可能になる。
【0023】
本発明に係る請求項4では、前記基体が、光電変換素子用であるため、従来の単結晶Si基体や多結晶Si基体に比べ材料の有効利用が可能となる。その結果、製造コストの低い太陽電池を供給できる基体の製造方法が得られる。
【0025】
【実施態様例】
(基体)
本発明に係る基体に使用される金属級Siとしては、低純度、具体的には不純物元素を1ppm乃至2%含むものが安価で容易に用いられる。粉末状にしてから、溶融される前に、必要に応じて予め塩酸等の酸による処理を行い、不純物の量を軽減しておくことも可能である。
【0026】
(鋳型)
本発明に係る鋳型としては、縦方向に板状に溝を設けたものであって、溝の数は一つの鋳型に対して一つでも複数でもよく、またこのような溝を持った鋳型を複数個連結した構造のものでも構わない。鋳型の材質としては、加工の容易性や価格の点からカーボン・グラファイトが用いられる。しかし、溶融/固化したSiを離型させる材料が塗布でき、かつ、融点がSiのそれよりも高いものであれば何でも良く、シリコン・カーバイトや窒化珪素等も使用可能である。
【0027】
(離型剤)
本発明に係る鋳型内に塗布される離型剤としては、溶融したSiに対して反応を起こさず接触角の大きいものが選ばれる。具体的にはSi3N4を主成分としたものが用いられ、必要に応じてSiO2等が添加される。離型剤の鋳型内への被膜の仕方としては、粉末状のSi3N4を分散させた有機溶液あるいはシラノール溶液を鋳型内にスプレーし、400℃以上の熱処理をして被膜を形成する。
【0028】
(炉)
本発明に係る炉としては、電気炉が制御性の上から好ましい。また、同一炉内にSiを融解するためにSiの融点以上の温度一定に保たれた部位と、Siの融点以上の温度から融点以下の温度に至るまで負の温度勾配の設けられた部位とを有し、これらの部位の間を鋳型が移動できる構造のものが望ましい。
【0029】
炉内に設けられる温度勾配、及び、鋳型が温度勾配のある部位を移動するときの速度は、溶融させたSiの固化条件によって適宜決められる。しかし、固化したシートの結晶性や不純物の偏析効果の点から、鋳型が移動するときに受ける降温速度(=温度勾配×移動速度)は、およそ−30℃/min以下となるように設定されるのが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下実施例により、本発明に係る基体の製造方法および太陽電池について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
本例では、図1に示した基体の製造工程に基づき、金属級Siの溶融/固化によるシート基体の製造方法に関して説明する。図1の鋳型101は、縦方向に板状の溝を設けたカーボン製のものを用いた。また、溝の表面に固化したSiを容易に取り出す目的で、その内面にはSi3N4膜を塗布した。
【0032】
以下では、上記製造方法を工程に沿って説明する。
(1)粉末状の金属級Si103を、フィーダー102を通して鋳型内の溝に投入し、カーボン製の蓋104で溝の口を塞ぎ、図1に示すような電気炉内に置いた。
(2)Siの融点よりも高い一定温度に設定された電気炉内に、ある一定時間保持することによって、粉末状金属級Siを融液106にした。
【0033】
(3)同じ電気炉内に設けられた水平方向に温度勾配のある部位の中をゆっくりと一定速度で鋳型101を移動させた。このとき図1に示すように鋳型の進行方向に対して温度勾配が負となるように設定した。
(4)鋳型が融点付近に相当する炉の部位を通過した後、十分離れた所で温度を室温にまで落とした。
(5)固化した板状のシート基体を鋳型から取り出した。
【0034】
以下では、上記工程(1)〜(5)によって得られた、シート基体の表面付近の元素分析を行った結果に関して説明する。
【0035】
表1は不純物分析の結果である。表1において、「金属級Si」とは原料の分析結果であり、「進行方向側」及び「反対側」とは形成したシート基体の場合を示した。ここで、「進行方向側」とは、鋳型の進行方向を向いた側の面を意味する。一方、「反対側」とは、「進行方向側」の反対面である。
【0036】
表1から、溶融/固化という過程でかなりの不純物の移動があったことが分かった。特に、「進行方向側」は「反対側」に比べて、遥かに不純物の量が減少していることが確認された。
【0037】
【表1】
【0038】
表1の結果から、鋳型101が融点付近に相当する炉の部位を通過する際、融液106は進行方向を向いた側の面から固化が始まり、反対側の面は最後に固化したため、金属級Siに含まれる不純物は進行方向とは反対側の面付近に偏析することが分かった。またSeccoエッチングにより結晶粒界を顕在化させたところ、得られたシートの結晶粒径は数mm〜数cmまで拡大しており、通常のキャスティング法で得られるSiインゴットの場合と同等であった。
【0039】
(実施例2)
本例では、実施例1で得られたシート基体上に、CVD法によりSi層を結晶成長させた場合を説明する。
(1)シート基体の不純物が偏析した側の面をHF/HNO3系のエッチャントにより数十μmエッチバックした。
(2)原料ガスにSiH2Cl2を用いて、成長温度を1050℃とし、約0.8μm/minの成長速度で、不純物が少なかった側の面上にSi層を30μm形成した。
(3)成長終了後Si層表面を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察した。
【0040】
その結果、得られたSi層表面はシート基体の表面と同等であり、比較的平坦なSi層が形成された。また、結晶粒径も下地であるシートの大きさを受け継いでいた。さらに、得られたSi層表面のエッチピット密度は、約1×104個/cm2であった。
【0041】
(実施例3)
本例では、実施例2で作製したSi層を活性層として、その上に薄膜太陽電池を形成した場合を説明する。
【0042】
以下では、薄膜太陽電池の形成工程に沿って説明する。
(1)Si層の表面に、イオン打ち込み法により、Pを80keV、1×1015/cm2の条件で打ち込んだ。その後、アニール(温度800℃、時間30分)して、n+層を形成した。
(2)上記n+層の上に、集電電極(Cr(0.02μm)/Ag(1μm)/Cr(0.004μm))/透明電極(ITO(0.085μm))を、真空蒸着により形成した。
(3)シート基体の裏面に、A1を蒸着し、裏面電極とした。
【0043】
上記工程(1)〜(3)によって作製した薄膜結晶太陽電池に対して、AM1.5(100mW/cm2)光照射下でのI−V特性を測定した。その結果、セル面積2cm2の場合、開放電圧0.57V、短絡光電流29mA/cm2、曲線因子0.74となり、変換効率12.2%を得た。
【0044】
本例の結果から、金属級Siを溶融/固化したシート基体を用い、その上にSi層を積層することで、良好な特性を有する薄膜結晶太陽電池が形成できることが分かった。
【0045】
(実施例4)
本例では、金属級Siの溶融/固化によるシート基体の製造方法において、次に示す2つの点が実施例1と異なる。
(イ)粉末状の金属級Siとして、120℃に加熱した塩酸/過酸化水混合溶液に粉末状の金属級Siを通して不純物を浸出させた後、水洗/乾燥したものを用いた。
【0046】
(ロ)上記(イ)で作製した粉末状の金属級Siを、フィーダーを用いてカーボン・グラファイト製の鋳型内の溝に充填した。但し、鋳型の溝の内面には、予めSi3N4粉末を分散させたシラノール溶液を鋳型内に塗布し、400℃の熱処理をして離型用被膜を形成した。
他の点は、実施例1と同様とした。
【0047】
以下では、上記製造方法を工程に沿って説明する。
(1)図1に示す構造の電気炉内に鋳型を投入し、Siの融点よりも高い一定温度(1500℃)に保持した。
(2)一定時間(30分〜1時間)経過したところで、同じ炉内の別の部位に設定された負の温度勾配(1℃/mm)の中を、10mm/minの速度で移動させた。
(3)Siが完全に固化し終わってからもしばらく移動を続け、融点よりも十分低い温度領域に鋳型が来たところで電気炉のヒータを切り、鋳型の温度を室温まで下げた。
【0048】
以下では、上記工程(1)〜(3)によって得られた、シート基体の表面付近の元素分析を行った結果に関して説明する。
【0049】
表2は不純物分析の結果である。表2において、「進行方向側」とは、鋳型の進行方向を向いた側の面を意味する。一方、「反対側」とは、「進行方向側」の反対面である。
【0050】
【表2】
表2から、鋳型の進行方向を向いた側の面では、反対側の面に比ベて遥かに不純物の量が減少していることが分かった。
【0051】
また、Seccoエッチングにより結晶粒界を顕在化させたところ、得られたシート基体の結晶粒径は数mm〜数cmまで拡大しており、通常のキャステイング法で得られるSiインゴットの場合と同等であった。
【0052】
(実施例5)
本例では、金属級Siの溶融/固化によるシート基体の製造方法において、次に示す2つの点が実施例1と異なる。
(イ)図1に示すようなSiC製の鋳型を作製し、鋳型内の溝の内面にはSi3N4粉末を分散させたシラノール溶液を塗布し、600℃の熱処理をして離型用被膜を形成した。
【0053】
(ロ)120℃に加熱した塩酸/過酸化水混合溶液に粉末状の金属級Siを通して不純物を浸出させた後、水洗/乾燥してからフィーダーを用いて鋳型内の溝に充填した。
他の点は、実施例1と同様とした。
【0054】
以下では、上記製造方法を工程に沿って説明する。
(1)図1に示す構造の電気炉内に鋳型を投入し、1480℃の一定温度に保持した。
(2)40分程経過したところで、同じ炉内の別の部位に設定された−0.5℃/mmの温度勾配の中を、15mm/minの速度で移動させた。
(3)Siが完全に固化し終わってからもしばらく移動を続け、融点よりも十分低い温度領域に鋳型が来たところで電気炉のヒータを切り、鋳型の温度を室温まで下げた。
【0055】
(4)固化した板状のシートを鋳型から取り出し、シート基体の不純物が偏析した側の面をHF/HNO3系のエッチャントにより数十μmエッチバックした。(5)エッチバックした面をサンドブラストで荒らしてから、シート基体に対して1100℃、3時間のゲッタリング処理を行った。
【0056】
表3は、上記工程(1)〜(5)によって得られたシート基体において、鋳型の進行方向を向いた側の面に対して元素分析を行った結果である。
【0057】
【表3】
表3から、鋳型の進行方向を向いた側の面の不純物量は、ゲッタ処理後の方が処理前に比べて低減していることが分かった。
【0058】
(実施例6)
本例では、金属級Siの溶融/固化によるシート基体の製造方法において、次に示す2つの点が実施例1と異なる。その後、得られたシート基体上に、CVD法によりSi層を堆積して太陽電池を形成した。
【0059】
(イ)図1に示すようなSi3N4製の鋳型を作製して用いた。
(ロ)120℃に加熱した塩酸/過酸化水混合溶液に粉末状の金属級Siを通して不純物を浸出させた後、水洗/乾燥してからフィーダーを用いて鋳型内の溝に充填した。
他の点は、実施例1と同様とした。
【0060】
以下では、上述したシート基体の製造方法と太陽電池の形成を、工程に沿って説明する。
(1)図1に示す構造の電気炉内に鋳型を投入し、1480℃の一定温度に保持した。
(2)1時間経過したところで、同じ炉内の別の部位に設定された−0.3℃/mmの温度勾配の中を、30mm/minの速度で移動させた。
(3)Siが完全に固化し終わってからもしばらく移動を続け、融点よりも十分低い温度領域に鋳型が来たところで電気炉のヒータを切り、鋳型の温度を室温まで下げた。
【0061】
(4)固化した板状のシートを鋳型から取り出し、シート基体の不純物が偏析した側の面を、HF/HNO3系のエッチャントにより数十μmエッチバックした。
(5)エッチバックした面をサンドブラストで荒らしてから、シート基体に対して1100℃、3時間のゲッタリング処理を行った。
(6)不純物量が低減された側の面(鋳型の進行方向を向いた側の面)上に、SiH2Cl2を用い、成長温度l050℃、成長速度約0.8μm/minにて、Si層を40μm形成した。
【0062】
(7)Si層の表面に、POCl3を拡散源として900℃の温度でPの熱拡散を行い、n+層を形成した。その接合深さは、0.5μm程度であった。
(8)形成されたn+層表面のデッド層をエッチングにより除去した。その結果、約0.2μmの適度な表面濃度をもった接合深さを形成した。
(9)n+層の上に、ITOからなる透明導電膜(約0.1μm)を、電子ビーム蒸着法によって形成した。
【0063】
(10)透明導電膜の上に、集電電極(Cr(0.02μm)/Ag(1μm)/Cr(0.004μm))を真空蒸着により形成した。
(11)シート基体の裏面に、Alを蒸着して裏面電極を形成した。
【0064】
上記工程(1)〜(11)によって作製した薄膜結晶太陽電池に対して、AM1.5(100mW/cm2)光照射下でのI−V特性を測定した。その結果、セル面積2cm2の場合、開放電圧0.56V、短絡光電流31mA/cm2、曲線因子0.75となり、変換効率13.0%を得た。
【0065】
本例の結果から、金属級Siを溶融/固化したシート基体を用い、その上にSi層を積層することで、良好な特性を有する薄膜結晶太陽電池が形成できることが分かった。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インゴットからスライスする工程を省略可能な基体の製造方法がえられる。
【0067】
また、前記基体の製造方法により形成された基体を用いることで、量産性が高く、安価で、かつ良質の太陽電池がえられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る基体の製造工程を説明した概略図である。
【符号の説明】
101 鋳型、
102 フィーダー、
103 金属級Si、
104 蓋、
105 ヒータ、
106 融液Si、
107 固化Si、
108 不純物偏析領域、
109 炉管。
Claims (4)
- 半導体層を支持する基体の製造方法において、搬送される方向に対して垂直方向に板状の溝を有する鋳型が、前記板状の溝の内部に金属級Siからなる原料を注入される第1工程と、前記鋳型をSiの融点よりも高い温度に保ち、前記金属級Siからなる原料を融解させて前記板状の溝を満たす第2工程と、前記鋳型が搬送される方向に負の温度勾配の設けられた炉内を、前記鋳型が移動する第3工程と、前記鋳型が前記炉内を移動する間に、融解された前記金属級Siを固化させて形成した基体の進行方向と反対側の一主面側に不純物を偏析させる第4工程と、からなることを特徴とする基体の製造方法。
- 前記鋳型の材質が、カーボン・グラファイト、シリコン・カーバイト、又は窒化珪素の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の基体の製造方法。
- 前記板状の溝の内面には、少なくともSi3N4を含む離型剤が被膜されていることを特徴とする請求項1又は2記載の基体の製造方法。
- 前記基体が、光電変換素子用であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基体の製造方法。
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JPH0690013A (ja) * | 1992-09-08 | 1994-03-29 | Mitsubishi Electric Corp | 薄膜太陽電池及び太陽電池の製造方法並びに半導体インゴットの製造方法及び半導体基板の製造方法 |
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