JP3596762B2 - スクリーン印刷用メタルマスク板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば各種の電子部品等の実装のためにプリント配線板等(ワーク)にハンダペースト(レジスト等)をスクリーン印刷によって塗布形成するに際し、更には一般のスクリーン印刷に際し、高精度なパターン印刷を可能にさせるスクリーン印刷用メタルマスク板に係り、安全に取り扱うことができ、また所定のテンションを与えるよう弾撥拡開機構を組み込んであるメタルマスクフレームに対する支持固定も簡単に行えるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からスクリーン印刷によってプリント配線板等にハンダペースト等を塗布形成することが行われており、その精度の向上の要請に伴いスキージ印刷時に版が伸展しないメタルマスク板が一般的に使用されるようになっている。このメタルマスク板によって印刷用版を製作するには、ほぼ矩形状に構枠されたフレームに貼設したスクリーン紗の中央部に配置した後に、その配置部分のスクリーン紗の一部を切断除去し、その切断縁部にメタルマスク板の周縁部をカバーテープ、硬化性樹脂剤等によって一体状に連結することで構成するのである。ただこのようなスクリーン紗によって支持固定して形成することは、スキージ印刷時にメタルマスク板上を擦動するスキージ印圧等によってスクリーン紗自体の伸縮が完全には回避できない故に、メタルマスク板に形成されたパターンによる印刷に誤差が生じることがあった。またメタルマスク板のみを交換しようとしても、スクリーン紗の切断、除去等が必要であるから、その交換自体は面倒で、簡単には行えないものであった。
【0003】
これを解消すべく、フレームにメタルマスク板を直接に所定のテンションを付与した状態で連繋固定することが提案されている。例えば特開平7−242076号公報にあるようにメタルマスク板を固定した支持枠を、フレームである印刷版支持枠の内側に着脱自在に固定できるようにしたり、特開平11−268235号公報にあるように隣り合う2辺の枠部が伸縮するようにした印刷フレームの各枠部にメタルマスク板を係合すると共に、その伸縮する枠部によって所定のテンションを付与した状態で支持固定するようにしたり、特開平12−15777号公報にあるように支持枠内に張設した弾性シートの中央部に、マスク部を装着したマスク部装着枠を着脱自在に装着・固定するようにしたりすることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこうした従来のメタルマスク板の固定支持枠構造、固定支持方法によると、メタルマスク板の全域に亙るテンションが均一にならず、スクリーン印刷時にメタルマスク板上を擦動するスキージ印圧によってそのストローク方向に位置ずれを生じる可能性がある。しかも特開平7−242076号公報による支持枠への固定構造は、メタルマスク板に必要なテンションが付与されていない故にワークであるプリント配線板に対する追従性が悪く、それとの僅かな隙間が生じればハンダペーストの滲み現象が生じて精度の高いパターンを形成できないのである。特開平11−268235号公報によるマスク部に対するテンションの付与構造は、内装したシリンダーに対するエア圧の供給によって枠部の一部を伸縮させるから、別にエア圧源が必要であり、メタルマスク板の脱着作業には動力機構がある特別な専用的な制御機器が必要とされる。更に特開平12−15777号公報によるメタルマスク部の着脱は弾性シートに対する強制的な伸縮制御手段を必要とし、例えば弾性シートを強制的に支持枠内方に伸張させることでメタルマスク部の着脱を行うも、伸縮制御手段の操作は極めて面倒である。
【0005】
こうしたことから本出願人は、特願2000−168489としてメタルフレーム板及びその製作方法、製作用治具としてメタルマスク板に対して所定のテンションを付与する方法等を提案した。すなわち、ほぼ矩形枠状のメタルマスクフレーム内部に所定のテンション作用を付与させてメタルマスク板を着脱自在に連結支持して成るメタルマスクフレーム版において、メタルマスクフレームは、縮小作業孔が開口形成されていて、四隅に配されるコーナー体と、このコーナー体相互間で配装されて前後、左右で対向している辺枠と、コーナー体の側端面、辺枠の端面相互間に介装してコーナー体、辺枠相互を離反傾向に弾撥付勢させているテンション機構と、辺枠内側面、メタルマスク板の辺縁部相互間を連繋するジョイント手段とを備えているものとしたのである。そしてそのジョイント手段は、辺枠の内側面に固着した連結固定板(連結固定ブレード)と、メタルマスク板の辺縁部に固着した連結支持板(連結ブレード)と、これらの連結固定板、連結支持板相互の重ね合わせ当接面で連結する係止手段とから成り、係止手段は、上面が大きく、基部が小さい逆錐体状にして配列された係止ピンと、上方開口が大きく、下方開口が小さいラッパ孔状にして配列された係止孔とを備え、係止孔は係止ピンを係止孔自体内でスライド可能にさせる大きさに形成されていると共に、テンション作用が付与されるときに係止ピンの傾斜外周面と、係止孔の傾斜内周面とが当接するようにしてあるものである。
【0006】
これによると、メタルマスク板を所定のテンションを維持させた状態で支持固定でき、そのために印刷精度の向上に繋がり、またメタルマスク板自体を交換する際の着脱作業も特別な動力機構がある専用機器を使用せずとも面倒な手間を要せずに極めて簡単に遂行でき、取扱いも容易で安価に提供できるものとなっているのである。
【0007】
ただこのときのメタルマスク板自体は、矩形板状のメタル板本体の四辺夫々に帯状に長い矩形状の連結固定板を連結固定してあるから、四隅において角張っている故に取扱い等が面倒なものであった。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、例えばプリント配線板等に対するハンダペースト等の塗布形成に際し高精度なパターンを印刷可能とするよう、所定のテンションを維持させた状態で支持固定できるものとし、また四隅を角張ったものとしない平面的形状として取扱い操作を容易にすると共に、テンション機構を備えたメタルマスクフレームによって付与されるテンションによっても離反、延び等が生ぜずに所定のテンションによってきっちりとしたパターン印刷を可能として再現性に優れたものとするスクリーン印刷用メタルマスク板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、内蔵したテンション機構21によって内外方向に弾撥的に伸縮する辺枠15を備えたメタルマスクフレーム10内に係止手段6を介して着脱自在に取り付けられることでテンションが付与されるメタルマスク板1とし、このメタルマスク板1は、所定の印刷パターンが形成されるマスク板本体2と、このマスク板本体2の辺縁部夫々に外方に突出された状態で固着されていて、マスク板本体2の隅部分ではこの隅部分で隣接する相互が隅取り状に斜めに裁断形成されて連続配置される連結ブレード3とから成るものである。
連結ブレード3は、その端部をマスク板本体2自体の隅部分で斜め状に形成した端縁面夫々が突き合わせ状にされることで、配置して構成でき、より具体的には、帯板状の連結ブレード3の端部夫々を山形状に形成し、マスク板本体2の辺縁部に固着したときのマスク板本体2の内側に位置する内側傾斜縁4A相互は隅部で隣接するもの同士で突き合わせ状となり、同じく外側に位置する外側傾斜縁4Bは隣接するもの同士で連続した直線状の辺縁を形成するものとし、外側傾斜縁4B位置はマスク板本体2自体の隅部分の外側に位置しているものである。
係止手段6は、メタルマスクフレーム10の辺枠15の内側面に固着した連結固定ブレード12と、この連結固定ブレード12に重ね合わせられる前記連結ブレード3との重ね合わせ部分のいずれか一方に上面が大きく、基部が小さい逆錐体状にして配列された係止ピン13を、いずれか他方に上方開口が大きく、下方開口が小さいラッパ孔状にして配列された係止孔7を設け、係止孔7は係止ピン13を係止孔7自体内でスライド可能にさせる大きさに形成されていると共に、テンション作用が付与されるときに係止ピン13の傾斜外周面と、係止孔7の傾斜内周面とが当接するようにして構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスク板1にあって、マスク板本体2の辺縁部に固着した連結ブレード3は薄板状のマスク板本体2自体を補強し、またマスク板本体2の隅部分で交差状に隣接する相互が隅取り状に斜めに裁断形成されていることで、鋭角的なマスク板本体2の隅部分を鈍角化させ、取り扱う上での危険性を除去させる。
マスク板本体2の隅部分で隣接する連結ブレード3は、その山形状の端部においての内側傾斜縁4Aで突き合わせ状にされることで、マスク板本体2の辺縁部、隅部分である周囲を隙間を生じさせずに連続的に固着配置させられたものとし、また隣接する連結ブレード3の端部同士で連続して直線状となる外側傾斜縁4Bから外方には、マスク板本体2の隅部分を突出させない。
また係止手段6においての係止孔7は係止ピン13を係止孔7自体内でスライド可能にさせる大きさに形成され、メタルマスクフレーム10における弾撥的に作用するテンション機構21によってテンション作用が付与されるときには、係止ピン13の傾斜外周面と、係止孔7の傾斜内周面とを当接させる。またメタルマスクフレーム10の縮小状態時ではメタルマスクフレーム10に対してメタルマスク板1を位置合わせさせ、メタルマスクフレーム10の拡大状態時ではメタルマスク板1へのテンション付与状態の連繋結合を確実にさせる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の一実施の形態を説明すると、図において示される符号1は本発明に係るメタルマスク板であり、このメタルマスク板1は、スクリーン印刷に対応する所定の印刷パターンが開穿形成されるものとなっている例えば平面でほぼ矩形状のマスク板本体2と、このマスク板本体2の辺縁部に固着され、テンション機構21を備えた後述する枠組み構成状のメタルマスクフレーム10にマスク板本体2自体を着脱自在に連繋させる係止手段6を備えた連結ブレード3とから成っている。
【0012】
マスク板本体2自体は、パターンの開穿形成が可能となるよう従来同様に例えばリン青銅材にニッケルメッキを施したり、SUS304の鋼材としたり、ニッケル合金材としたり等の所定の材質によって例えば0.05〜0.20mm程度の適宜肉厚の薄板状に形成されているものである。
【0013】
連結ブレード3は、平面でほぼ矩形状を呈しているマスク板本体2における夫々の辺縁部に、この辺縁部の長さ方向に沿って辺縁部外方に突出された状態で部分的に重なり固着される所定幅員で、その辺縁部の長さにほぼ相当する長さになっている帯板状に形成されている(図3(A)、(B)参照)と共に、図示のようにマスク板本体2の四隅部分ではこの四隅部分で隣接する相互が隅取り状に斜めに裁断形成されていることにより、結果としてメタルマスク板1自体の平面形状はほぼ八角形状を呈するものとなっている。またこの連結ブレード3には、メタルマスクフレーム10内側に固着されている連結固定ブレード12にマスク板本体2の内外方向に沿って牽引可能にして係止させることで、着脱される係止手段6を連結固定ブレード12との間に設けてある。
【0014】
この連結ブレード3はマスク板本体2の辺縁部夫々に固着されていて、その端部は、マスク板本体2自体の四隅部分で斜め状に切り欠かれた端縁面夫々が突き合わせ状にされることで配置してある。すなわち帯板状の連結ブレード3の端部夫々は図2、図3に示すように、鋭角状の先端縁がほぼ90°となっている山形状(V字形状)に形成され、マスク板本体2の辺縁部に固着したときのマスク板本体2の内側に位置する内側傾斜縁4A相互は、四隅部で隣接するもの同士で突き合わせ状となり、同じく外側に位置する外側傾斜縁4Bは、隣接するもの同士で連続した直線状の辺縁を形成するものとなっている。またこの連続する外側傾斜縁4B位置は、マスク板本体2自体の四隅部分の外側に位置しているものとし、マスク板本体2自体の四隅部分である鋭角的な部分は切除されることで、外側傾斜縁4B外方には突出部分が形成配置されないようにしてある。もとよりマスク板本体2自体の四隅部分を切除することなく、その角部が外側傾斜縁4Bの内側に位置するように連結ブレード3夫々におけるマスク板本体2との重なり固着幅員を小さくすることも可能である(図示せず)。
【0015】
またこの連結ブレード3自体は、マスク板本体2に固着するに際し、図示のように例えばリベットピン材等によるリベット止め5としてあるも、後述のようにメタルマスクフレーム10のテンション機構21による弾撥力によってマスク板本体2と連結ブレード3とが分離されず、またその固着位置がずれないものであれば固着構造に特に限定されるものではなく、例えば両面接着テープ材、接着剤によることも可能である。
【0016】
前記係止手段6は、メタルマスク板1に対して所定のテンションを付与するように構成されているメタルマスクフレーム10のテンション機構21による弾撥力の付与時ではメタルマスクフレーム10と一体化され、その弾撥力の解除時ではメタルマスクフレーム10に対する着脱を可能にするようにしている。ここで、そのメタルマスクフレーム10につき説明すると、これの概略はメタルマスク板1を囲繞するような平面ほぼ矩形状に構枠され、自身の四隅に配設したコーナー体11夫々に内装されているテンション機構21によって辺部夫々に配置されている辺枠15が外方に向かって拡開傾向に弾撥付勢されるように構成されている。すなわちこのメタルマスクフレーム10に、所定の印刷パターンが形成されている本発明メタルマスク板1を所定のテンションを付与させた状態で係止手段6を介して支持固定するのであり、テンション機構21の弾撥力が強制的に縮小された状態ではメタルマスクフレーム10に対してメタルマスク板1を着脱させ、逆にテンション機構21の弾撥力によって拡開された状態ではメタルマスクフレーム10にメタルマスク板1をしっかりと支持固定させたものとするようになっている。
【0017】
係止手段6自体は、メタルマスクフレーム10の内方でメタルマスク板1に対してその四方で、また四方から牽引して所定の弾撥的なテンションを付与させた状態で着脱自在に連結支持するものであり、メタルマスクフレーム10の辺枠15の内側面に固着した連結固定ブレード12と、メタルマスク板1の辺縁部に固着した前記の連結ブレード3との相互の重ね合わせ当接面で例えば凹凸の嵌め合わせによって連結するものである。
【0018】
連結固定ブレード12は辺枠15において、スクリーン印刷時における被印刷物である例えばプリント配線板の如きワーク側に位置する下面側(スクリーン印刷時のスキージ面側の下方に位置する)で、辺枠15の下面側に沿って配される当接面と、辺枠15内側面に接合当接される接合面とを備えた断面でほぼL字形に形成されている(図1、図4(B)参照)。
【0019】
また係止手段6は重ね合わせられた連結ブレード3、連結固定ブレード12相互の接合面で、テンションが付与された後の連結時では抜脱されることがないような状態で、辺枠15の内側面、メタルマスク板1の辺縁に沿って配列された例えば複数のピン・孔による凹凸構造によって連結固定するものとしてある。図示にあっての係止手段6は、連結固定ブレード12の当接面におけるワーク面側(スクリーン印刷時において、印刷されるべきプリント配線板が配置される側)に、上面が大きく、基部が小さい逆錐体状にして配列された係止ピン13と、連結ブレード3の当接面におけるスキージ面側(スクリーン印刷時において、メタルマスク板1上を擦動するスキージが配置される側)に、上方開口が大きく、下方開口が小さいラッパ孔状にして配列された係止孔7とから成り、係止孔7は前記テンション機構21によるテンション作用が解除されているときのスライド可能範囲に対応して係止ピン13を係止孔7自体内でスライド可能にさせる大きさに形成されていると共に、テンション作用が付与されるときに係止ピン13の傾斜外周面と、係止孔7の傾斜内周面とが当接するようにしてあるものである(図4参照)。
【0020】
すなわち図4(B)中において一部が取り付け前として示されているように、メタルマスクフレーム10の辺枠15が内方にスライドして縮小状態となるようテンション機構21におけるテンション作用が解除されて、連結固定ブレード12及びその係止ピン13も内方にスライド移動しているときに、メタルマスク板1の連結ブレード3を、その係止孔7を係止ピン13に嵌め合わせることで位置決めさせるのである。このとき係止ピン13の上面大きさは係止孔7の下方開口大きさに比し小さく設定されていて、メタルマスクフレーム10が縮小状態にあるときにはそのままでメタルマスク板1が、係止手段6を介してメタルマスクフレーム10にセット連結されるものとしてある。また同図にあるようにテンション機構21によるテンション作用が付与されるときには、係止ピン13の傾斜外周面と、係止孔7の傾斜内周面とがしっくりと当接係止するよう、係止ピン13、係止孔7両者夫々の傾斜面角度はほぼ同一のものとしてあり、当接時ではしっかりと引っ掛かってメタルマスクフレーム10からメタルマスク板1が離反しないように保持するものとなっている。なお図示例にあっては係止ピン13高さは連結ブレード3の肉厚にほぼ等しくされているも、連結係止時に係止ピン13、係止孔7がしっかりと係止されるものとなればよいから、それらの高さ、肉厚等は特に限定されものではない。
【0021】
またメタルマスクフレーム10にメタルマスク板1が連結保持されたとき、メタルマスク板1におけるワーク側のワーク面(図4(B)における上方位置の面)と、メタルマスクフレーム10の辺枠15における同様のワーク側の側面とは面一状となる高さ位置に設定されている。すなわち辺枠15に対する連結固定ブレード12の取付高さ位置、メタルマスク板1及び連結ブレード3夫々の肉厚の合計等との相対的関係で辺枠15の側面とメタルマスク板1のワーク面とが面一状となり、印刷塗布時のスクリーン印刷機におけるメタルマスクフレーム10の位置決め調整設定を容易にするように配慮されている。
【0022】
なお係止ピン13、係止孔7夫々の配列はテンション機構21の弾撥的なテンション作用でメタルマスク板1の夫々の辺縁部分をメタルマスク板1自体の外方に牽引するときに、メタルマスク板1自体に平均的・均一的なテンションを付与するような間隔に設定されて、複数にして配列されることとなっているのは、勿論である。また図示を省略したが、連結固定ブレード12に係止孔7を、連結ブレード3に係止ピン13を夫々形成することも可能であり、更にはこうした凹凸構造によらずにメタルマスク板1に対してその外方に牽引することでテンションを付与させるものとなっていれば足りるから、場合によってはU字形等のループあるいはJ字形等のフックその他の係止構造に変更することも可能である。
【0023】
なおメタルマスクフレーム10の構造の詳細を説明すると、四隅夫々に配したほぼ直方体ブロック状で、縮小作業孔14が開口形成されているコーナー体11と、このコーナー体11相互間で、左右、前後で対峙状に配される左右、前後の角筒状の辺枠15と、コーナー体11側端、辺枠15端夫々の間で介装され、コーナー体11に対して辺枠15を離反傾向に弾撥させることで辺枠15を外側方に拡開付勢させているテンション機構21と、辺枠15の内側に設けた連結固定ブレード12とを備えており、パターン印刷するメタルマスク板1の大きさにほぼ対応した大きさ、すなわちメタルマスク板1を内部に支持するに足りる大きさで枠組構成されている。
【0024】
コーナー体11は例えば従来のこの種の版枠における角筒状の枠体におけるコーナー部分とほぼ同様な枠体自体の高さ、幅員等に対応させた高さ、幅員のものとして例えば合成樹脂にて形成されている。
【0025】
辺枠15は従来のこの種金属製の枠部と同様にアルミニウム製の角筒にて形成され、端部夫々には、コーナー体11の側端面との間で介装されるテンション機構21を設けるブロック状のコーナー連結体16を固着連結してある。すなわちこのコーナー連結体16は、コーナー体11の側端面に対峙する対峙面を一端側に備え、辺枠15の端部に固着連結する固着部17を他端側に備え、例えば合成樹脂にてブロック状に形成されている。図示にあってのコーナー連結体16のコーナー体11に対する対峙面幅員は、辺枠15の幅員に比し大きくしたコーナー体11における側端面幅員に対応するように大きくされ、固着部17は辺枠15端部内に嵌め入れられた状態で例えば辺枠15とねじ止めされる角棒状に形成されていると共に、メタルマスクフレーム10自体の内側で対峙面から固着部17に至るに伴い次第に狭幅となるようにテーパー面となっている。なお固着部17はコーナー連結体16本体部分とは段差を設けてその外形が辺枠15の内形にほぼ合致していて、辺枠15内に嵌め入れられたときに外面が面一状となるようにしてある。
【0026】
テンション機構21は図1、図5に示すように、コーナー体11、コーナー連結体16相互の対峙面間に介装され、コーナー体11、辺枠15相互を離反傾向に弾撥付勢させるコイルスプリング状の拡開バネ22と、コーナー体11、辺枠15相互を辺枠15の長さ方向に沿って案内スライドさせるガイド23と、コーナー体11、辺枠15相互間の弾撥離反間隔を規制するストッパー手段24とから成る。拡開バネ22はメタルマスクフレーム10自体によってメタルマスク板1に付与させるテンション力に対応する弾撥力を有しており、コーナー体11の側端面、コーナー連結体16の対峙面夫々に辺枠15の長さ方向に沿って穿設された長穴状の収納凹所に圧縮された状態で架け渡すことで収納されている。またガイド23は例えば拡開バネ22の両側に対状にして、コーナー体11、コーナー連結体16相互間に架け渡し状に配置されるピン・棒状に形成されており、コーナー体11の側端面、コーナー連結体16の対峙面夫々に辺枠15の長さ方向に沿って穿設された長穴状の収納凹所にスライド自在にして収納保持されている。もとよりこれらの拡開バネ22、ガイド23を収納するための収納凹所は開口部が適当に閉塞されるようにしてコーナー体11、コーナー連結体16の上下側面に溝状に形成されることもある。
【0027】
またストッパー手段24はメタルマスクフレーム10の外側面に位置するコーナー体11、コーナー連結体16の外側面に配置されており、図1に示すようにコーナー体11、コーナー連結体16相互間に掛けて窪み状に形成したストッパー凹所25内に、コーナー体11あるいはコーナー連結体16のいずれか一方にその一端を固着することで矩形片状のストッパー片26を配置すると共に、このストッパー片26の他端に形成した長孔状のスライド孔内にコーナー体11あるいはコーナー連結体16のいずれか他方に固着したストッパーピン27をスライド自在にして嵌め入れたものである。このストッパー手段24における規制するスライド長さは、拡開バネ22によってコーナー体11、コーナー連結体16相互間が離反拡開するときにストッパーピン27と衝接することで、メタルマスク板1に付与させるに足りる必要なテンションの範囲内に規制できるようにしてある。
【0028】
このように構成されたテンション機構21において、メタルマスクフレーム10の四隅に配置されているコーナー体11に対して拡開バネ22の弾撥力に抗して夫々の辺枠15がその長さ方向に沿ってスライドし、コーナー体11、コーナー連結体16相互間が当接することでメタルマスクフレーム10全体が縮小されるものとなっている。すなわち逆に言えばコーナー体11をこれに隣り合う前後の一方、左右の一方の辺枠15に対してスライドさせることで、前後あるいは左右に対峙状に配置されている辺枠15相互の間隔幅員が縮小され、係止手段6による連結固定ブレード12、連結ブレード3相互ないし係止ピン13、係止孔7相互の間隔が、テンションが付与されていないフリーなメタルマスク板1における連結ブレード3ないし係止孔7に対する係止支持位置に対応するようになっているのである。
【0029】
またメタルマスクフレーム10におけるテンション機構21のテンション作用を停止し、メタルマスクフレーム10全体を縮小させた状態を維持し、メタルマスク板1を取り付けさせるための製作用治具50が別に用意されている。この製作用治具50は図1に示すように、メタルマスクフレーム10の形状、大きさ等にほぼ対応した形状、大きさ等を備えている例えば平面で矩形状の適宜肉厚の盤体から成る治具ベース51と、メタルマスクフレーム10におけるコーナー体11の縮小作業孔14位置に対応して治具ベース51上に配列された錐体状の縮小操作支柱体52とから成り、隣接する縮小操作支柱体52において、治具ベース51上にセットされる拡大状態時のメタルマスクフレーム10における辺枠15の長さ方向に沿った縮小操作支柱体52自体の上部端側面相互の間隔はメタルマスクフレーム10の隣接する縮小作業孔14の孔縁相互間の間隔に比し大きくし、同じく縮小操作支柱体52自体の基部側面相互の間隔は隣接する縮小作業孔14の孔縁相互間の間隔に比しコーナー体11、辺枠15相互間の間隙を閉じさせるべく小さくしてあるものである。
【0030】
図示にあって縮小操作支柱体52自体は傾斜角度が小さくされた円錐柱状に形成されていて、治具ベース51における対角線上に沿う治具ベース51の内方側の外周側面部位に、メタルマスクフレーム10のコーナー体11における縮小作業孔14において同様にメタルマスクフレーム10の内方側の内周側面部位が当接するようにしてある。そしてその当接に際し縮小操作支柱体52の傾斜面に沿って次第に下降することで、コーナー体11は辺枠15に対して近接していき、テンション機構21における拡開バネ22の離反拡開力に抗してコーナー体11を隣接する辺枠15夫々側にスライドさせて辺枠15との間隙を狭め、これに伴い相互に対峙する前後あるいは左右相互の辺枠15同士の間隔が狭められ、拡開力を解除したものとするようになっている(図4、図5参照)。
【0031】
図示にあってはメタルマスクフレーム10の四隅にあるコーナー体11夫々をその対角線上に沿ってメタルマスクフレーム10の内方側に強制的にスライドさせることで、1個のコーナー体11のスライドでこのコーナー体11に連繋されている隣り合う辺枠15夫々をメタルマスクフレーム10内方側にスライドさせるものとしているも、場合によっては複数分割構成のコーナー体11によって辺枠15夫々を単独にスライド移行させるようにすることも可能である。更には対向する辺枠15相互においてのいずれか一方のみを他方に対してスライド移行させるようにすることも可能である。
【0032】
また縮小したメタルマスクフレーム10にメタルマスク板1をコンビネーション結合した後、縮小操作支柱体52からメタルマスクフレーム10を解放するための解放補助具55が、縮小操作支柱体52に嵌め合わせられて治具ベース51上に配装され、この解放補助具55上にメタルマスクフレーム10が配置されるようになっている。解放補助具55自体は図1に示すように、縮小操作支柱体52に嵌め合わせる嵌め合い孔56をほぼ中央に穿設した適宜肉厚の平面でほぼ円盤状を呈するものとして形成されており、縮小操作支柱体52に嵌め合わせられたときにその一部でも治具ベース51、メタルマスクフレーム10外方に外出する大きさを備えている。この解放補助具55は製作用治具50上に予め配装しておくことで、メタルマスクフレーム10に対するメタルマスク板5のセット終了後で製作用治具50に対して例えば製作用治具50からの外出部分を強制的にでも解放補助具55自体を傾斜させながらでも持ち上げることで、メタルマスクフレーム10を縮小操作支柱体52から解放し、テンション機構21の拡開バネ22の弾撥作用で対向する辺枠15相互を離反し、係止手段6を介してメタルマスク板1に所定のテンション作用を付与するものとしてある。
【0033】
次に以上の構成によるメタルマスクフレーム版の製作手順の一例を説明すると、先ず所定の印刷パターンが所定のエッチング処理等によって形成されるほぼ矩形状で、夫々の辺縁部に連結ブレード3を突出状に固着してあるメタルマスク板1を用意しておく。一方、製作用治具50における治具ベース51上にその縮小操作支柱体52に解放補助具55を嵌め合わせることで配装しておき、次いでスキージ面側を下方に向けた状態のメタルマスクフレーム10を、そのコーナー体11の縮小作業孔14を縮小操作支柱体52に嵌め合わせて製作用治具50上に位置決めすると共に、メタルマスクフレーム10全体を押し下げる。このときメタルマスクフレーム10においてはテンション機構21の拡開バネ22の弾撥力によって拡大されているから、その拡開バネ22の弾撥力に抗して強制的に押し下げるのであり、押し下げが終了すると同時にコーナー体11はメタルマスクフレーム10自体の内方にスライドする(図5参照)。この内方へのスライドに伴う対向する前後の辺枠15に沿うコーナー体11自体のスライドは対向する左右の辺枠15相互の間隔を狭め、また同様に対向する左右の辺枠15に沿うコーナー体11自体のスライドは対向する前後の辺枠15相互の間隔を狭めることによって、メタルマスクフレーム10全体を縮小する。
【0034】
縮小されたメタルマスクフレーム10に係止手段6を介して先のメタルマスク板1を連結するもので、縮小状態のメタルマスクフレーム10において辺枠15内側面に連結してある連結固定ブレード12の係止ピン13も同様に縮小位置にあるから、夫々の係止ピン13に合致させる係止孔7によって嵌め合わせることで、スキージ面側を下方に向けたメタルマスク板1をメタルマスクフレーム10にセットする。
【0035】
次いで解放補助具55を傾けながらも押し上げることによって製作用治具50からメタルマスクフレーム10を上方に持ち上げるのであり、この持ち上げによってテンション機構21の拡開バネ22が拡開し、拡大された原状態に復原するメタルマスクフレーム10においては対向する前後、左右の辺枠15相互の間隔が拡大し、係止手段6を介してメタルマスク板1に対して所定のテンション作用を付与した状態とする。このとき係止する係止ピン13、係止孔7相互間では係止ピン13の外周側面と係止孔7の内周側面とが噛み合い状に係合し、メタルマスク板1とメタルマスクフレーム10との離反、抜脱等を阻止している(図4(B)参照)。
【0036】
このようにコンビネーションとして製作されたメタルマスクフレーム版は、通常の用法に従いスクリーン印刷機にセットされるのであり、印刷パターンが異なる他のメタルマスク板5を交換、使用する場合には、製作用治具50にメタルマスクフレーム10をセットして縮小させたメタルマスクフレーム10から従前のメタルマスク板1を取り外し、別のメタルマスク板1を再度セットした後に持ち上げるのみで新たなメタルマスクフレーム版とすることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているため、メタルマスクフレーム10によって所定のテンションが維持された状態で支持固定されるメタルマスク板1を簡単にしかも安全に取り扱うことができるばかりでなく、メタルマスクフレーム10にしっかりと固定されることでスクリーン印刷時の印刷精度の向上に繋がり、またメタルマスクフレーム10に設けてあるテンション機構21による操作等は作業従事者自身の人力、簡単な手間で取扱うことができるから、複雑な動力機構の組み込みも必要でない等のために安価に提供できるのである。
【0038】
これは本発明において、内蔵したテンション機構21によって内外方向に弾撥的に伸縮する辺枠15を備えたメタルマスクフレーム10内に係止手段6を介して着脱自在に取り付けられることでテンションが付与されるメタルマスク板1において、マスク板本体2の辺縁部夫々に外方に突出された状態で固着される連結ブレード3が、マスク板本体2の隅部分ではこの隅部分で隣接する相互が隅取り状に斜めに裁断形成されて連続配置されるものとしたからであり、これによって、マスク板本体2の辺縁部、隅部分の補強ができ、また、鋭角的な隅部分を鈍角化できて取扱い上の安全性、容易性を向上できたからである。
【0039】
また連結ブレード3の端部夫々を山形状に形成し、マスク板本体2の辺縁部に固着したときのマスク板本体2の内側に位置する内側傾斜縁4A相互は隣接するもの同士で突き合わせ状となしてあるから、マスク板本体2の辺縁部、隅部分である周囲を隙間を生じさせずに連結ブレード3を連続的に固着配置させたものとして、マスク板本体2の周囲全域が補強されるのである。また連結ブレード3端部においての同じく外側に位置する外側傾斜縁4Bは、隣接するもの同士で連続した直線状の辺縁を形成して隣接する連結ブレード3の端部同士で連続して直線状となるから、マスク板本体2の隅部分を外方に突出させず、マスク板本体2自体の鋭角的な隅部分が除去されることによって、作業者が取り扱う際の危険性を著しく減少させることができる。
【0040】
更に係止手段6は、メタルマスクフレーム10側の連結固定ブレード12と、メタルマスク板1側の連結ブレード3とが重ね合わせられる部位において、上面が大きく、基部が小さい逆錐体状にして配列された係止ピン13と、上方開口が大きく、下方開口が小さいラッパ孔状にして配列された係止孔7とを設け、係止孔7は係止ピン13を係止孔7自体内でスライド可能にさせると共に、テンション機構21によるテンション作用が付与されるときに係止ピン13の傾斜外周面と、係止孔7の傾斜内周面とが当接するようにしてあるから、メタルマスクフレーム10の縮小状態時ではメタルマスクフレーム10に対してメタルマスク板1を簡単に位置合わせさせることができ、またメタルマスクフレーム10の拡大状態時ではメタルマスク板1へのテンション付与状態でメタルマスクフレーム10にメタルマスク板1を確実に連繋結合させることができ、適切なメタルフレームマスク版を構成できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す一部切欠斜視図であり、メタルマスクフレームへのメタルマスク板の連繋支持作業時における製作用治具その他の各部材の配置をも表す。
【図2】同じくメタルマスク板の一部切欠平面図である。
【図3】同じく連結ブレードを示すもので、その(A)は長辺に付設するタイプ、(B)は短辺に付設するタイプ、(C)は係止孔部分の断面図である。
【図4】同じくメタルマスクフレームに対するメタルマスク板の連繋支持時を示し、その(A)は要部平面図、(B)は一部を取り付け前として示した要部断面図である。
【図5】同じくメタルマスクフレームに対してメタルマスク板を連繋支持するときの一部切欠平面図である。
【符号の説明】
1…メタルマスク板 2…マスク板本体
3…連結ブレード 4A…内側傾斜縁
4B…外側傾斜縁 5…リベット止め
6…係止手段 7…係止孔
10…メタルマスクフレーム 11…コーナー体
12…連結固定ブレード 13…係止ピン
14…縮小作業孔 15…辺枠
16…コーナー連結体 17…固着部
21…テンション機構 22…拡開バネ
23…ガイド 24…ストッパー手段
25…ストッパー凹所 26…ストッパー片
27…ストッパーピン
50…製作用治具 51…治具ベース
52…縮小操作支柱体
55…解放補助具 56…嵌め合い孔
Claims (3)
- 内蔵したテンション機構によって内外方向に弾撥的に伸縮する辺枠を備えたメタルマスクフレーム内に係止手段を介して着脱自在に取り付けられることでテンションが付与されるメタルマスク板であって、このメタルマスク板は、所定の印刷パターンが形成されるマスク板本体と、このマスク板本体の辺縁部夫々に外方に突出された状態で固着されていて、マスク板本体の隅部分ではこの隅部分で隣接して連続配置される連結ブレードとから成り、連結ブレードは、その端部をマスク板本体自体の隅部分で斜め状に形成した端縁面夫々が突き合わせ状にされることで、配置してあることを特徴とするスクリーン印刷用メタルマスク板。
- 連結ブレードは、帯板状にしてその端部夫々を山形状に形成し、マスク板本体の辺縁部に固着したときのマスク板本体の内側に位置する内側傾斜縁相互は隅部で隣接するもの同士で突き合わせ状となり、同じく外側に位置する外側傾斜縁は隣接するもの同士で連続した直線状の辺縁を形成するものとし、外側傾斜縁位置はマスク板本体自体の隅部分の外側に位置している請求項1に記載のスクリーン印刷用メタルマスク板。
- 係止手段は、メタルマスクフレームの辺枠の内側面に固着した連結固定ブレードと、この連結固定ブレードに重ね合わせられる前記連結ブレードとの重ね合わせ部分のいずれか一方に上面が大きく、基部が小さい逆錐体状にして配列された係止ピンを、いずれか他方に上方開口が大きく、下方開口が小さいラッパ孔状にして配列された係止孔を設け、係止孔は係止ピンを係止孔自体内でスライド可能にさせる大きさに形成されていると共に、テンション作用が付与されるときに係止ピンの傾斜外周面と、係止孔の傾斜内周面とが当接するようにしてある請求項1または2に記載のスクリーン印刷用メタルマスク板。
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