JP3596648B2 - 構造物の保護構造および目地保護材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川や海岸等の場所に設置される砂防ダムや橋脚等のコンクリートによる構造物の表面に弾性材からなる板状の緩衝性耐摩耗保護材を取付具により締めつけて固定し、前記構造物の表面を砂や水等による浸食から保護するようにした構造物の保護構造並びにこの保護構造に使用する目地保護材及び緩衝性耐摩耗保護材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、河川や海岸等の場所に設置される砂防ダムや橋脚等のコンクリートによる構造物の表面には、弾性材からなる板状の緩衝性耐摩耗保護材を敷きつめて、砂や水等による浸食から保護するようにした構造物の保護構造が知られている。以下に、従来の構造物の保護構造を説明する。図8は従来の構造物の保護構造の要部断面図、図9は従来の緩衝性耐摩耗保護材の斜視図、図10は緩衝性耐摩耗保護材の構造物への敷設状態説明図である。なお、図9では、緩衝性耐摩耗保護材は、構造物への当接面を上にし、砂や水等の浸食物との接触面を下にして描いているものとする。
【0003】
図8に示すように、この構造物の保護構造では、構造物1の表面に緩衝性耐摩耗保護材2を配置し、構造物1に適宜設けてあるアンカーソケット3と緩衝性耐摩耗保護材2に適宜穿孔してあるボルト挿通孔4とにボルト5を螺合して、緩衝性耐摩耗保護材2を構造物1に締めつけて固定するようになっている。前記ボルト挿通孔4は、内側で段差を有しており、前記ボルト5の頭部がその段差に圧着するようになっている。前記ボルト5の頭部は、ゴムや合成樹脂等の弾性体で被覆されている。
【0004】
前記緩衝性耐摩耗保護材2は、外力に対して優れた耐衝撃性及び耐摩耗性を有するゴムや合成樹脂等の弾性体により形成されており、その内部には弾性変形を抑制するための鉄板6を埋設してあり、緩衝性耐摩耗保護材2の目地部分の保護のため、後述するように端面に形成する段差部位7,8同士を互いに重ね合わせて構造物1に敷設される。また、図9に示すように、緩衝性耐摩耗保護材2の形状は板状であり、上述した段差部位7が、図中上面の構造物1との当接面側に一つの頂点で隣り合う2辺の縁部分を凹ませて形成され、段差部位8が、図中下面の浸食物との接触面に一つの頂点で隣り合う2辺の縁部分を凹ませて形成されている。なお、前記当接面側の頂点と前記接触面側の頂点は、緩衝性耐摩耗保護材2の立体対角線上を通る点であり、それぞれの面に形成された段差は、緩衝性耐摩耗保護材2の体心で点対称になっている。ここで、体心は、緩衝性耐摩耗保護材2の立体対角線の交点とする。このため、図10に示すように、緩衝性耐摩耗保護材2の構造物1への敷設の際には、緩衝性耐摩耗保護材2同士の段差部位7,8を順次重ね合わせて敷設する。従って、緩衝性耐摩耗保護材2には、敷設方向性がある。ここでは、この敷設方向性は、図中下から上、かつ、左から右の順に敷設するものとしてある。なお、緩衝性耐摩耗保護材2の敷設の際には、図8及び図10に示す矢視方向に砂や水が流れるようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構造物の保護構造では、上述したように敷設方向性があるため、緩衝性耐摩耗保護材の現地での取付作業の際に手間がかかる問題がある。また、構造物に敷設固定された任意の緩衝性耐摩耗保護材を取り外すのには、重ね合わさった隣接する緩衝性耐摩耗保護材を全て撤去しなければならないため、構造物や緩衝性耐摩耗保護材等の補修の際に手間がかかる問題があり、特に、一枚の緩衝性耐摩耗保護材を複数のボルトで構造物に螺合させるようにしている場合には、その手間が大きなものとなるため、補修作業が困難である問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、砂防ダムや橋脚等のコンクリートによる構造物の表面に弾性材からなる板状の緩衝性耐摩耗保護材を取付具によって締めつけて固定し、前記構造物の表面を砂や水等による浸食から保護するようにした構造物の保護構造において、緩衝性耐摩耗保護材の端面に段差を形成し、その段差の形成面を構造物に向けてその段差に見合う厚さの弾性体からなる目地保護材の上に載せ、該緩衝性耐摩耗保護材を構造物に取付具で締めつけることにより、前記目地保護材を構造物に圧着して固定させるようにして緩衝性耐摩耗保護材を構造物に敷設することにより、連続する緩衝性耐摩耗保護材同士の目地と構造物との間に目地保護材を配置したことを特徴とする。
【0007】
なお、目地保護材を、緩衝性耐摩耗保護材の弾性変形に見合う厚さのシート状としてもよい。さらに、緩衝性耐摩耗保護材の形状よりも小さな穴を適宜配置して格子状に成形してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
図1は第1の実施の形態の構造物の保護構造の要部断面図、図2は第1の実施の形態の緩衝性耐摩耗保護材の斜視図、図3は目地保護材の配置パターンの説明図、図4は緩衝性耐摩耗保護材の構造物への敷設状態説明図、図5は拘束材埋設の状態説明図である。なお、図2では、緩衝性耐摩耗保護材は、構造物への当接面を上にし、砂や水等の浸食物との接触面を下にして描いているものとする。
【0009】
図1に示すように、この構造物の保護構造では、構造物9の表面に緩衝性耐摩耗保護材10を配置し、構造物9に適宜設けてあるアンカーソケット11と緩衝性耐摩耗保護材10に適宜穿孔してあるボルト挿通孔12とにボルト13を螺合して、緩衝性耐摩耗保護材10を構造物9に締めつけて固定するようになっている。前記ボルト挿通孔12は、内側で段差を有しており、前記ボルト13の頭部がその段差に圧着するようになっている。前記ボルト13の頭部は、ゴムや合成樹脂等の弾性体で被覆されている。
【0010】
前記緩衝性耐摩耗保護材10は、外力に対して優れた耐衝撃性及び耐摩耗性を有するゴムや合成樹脂等の弾性体により形成されており、その内部には弾性変形を抑制するための鉄板14を埋設してある。また、緩衝性耐摩耗保護材2の目地15を橋渡すように、隣り合う緩衝性耐摩耗保護材10の端面に形成した段差部位16を目地保護材17に当接させて構造物9と目地15とを隔てさせ、目地15において砂や水の浸食物から構造物を保護するようにしたものである。また、図2に示すように、緩衝性耐摩耗保護材10の形状は板状であり、上述した段差部位16が、図中上面の構造物1との当接面側に縁部分を凹ませて形成されている。なお、そのような段差部位は浸食物との接触面側には形成されていない。
【0011】
また、前記目地保護材17は、外力に対して優れた耐衝撃性及び耐摩耗性を有するゴムや合成樹脂等の弾性体により形成されており、構造物9上に緩衝性耐摩耗保護材10の形状よりも小さな囲みを作るように載せられる。例えば、図3に示すように、複数の長い目地保護材17aを間隔で構造物9上に適宜載せ、これら各長い目地保護材17aの間に橋渡すように短い目地保護材17bを適宜載せて上述のような囲みを作る。そして、図4に示すように、上述の囲みからなる目地保護材17の上に緩衝性耐摩耗保護材10の段差部位16を当接させて構造物9上に1枚ずつ載せ、ボルト13により構造物9へ締めつけ固定するようにした。このため、本実施の形態の場合には、緩衝性耐摩耗保護材10同士の重なり部分が存在しない。従って、本実施の形態の場合には、緩衝性耐摩耗保護材10に敷設方向性はなく、1枚毎に緩衝性耐摩耗保護材10が独立して取り付けられる。なお、長い目地保護材17aは砂や水等の浸食物の流れの方向に向けて配置するのが好ましいが、これに限らず、その流れの方向と無関係に配置するようにしてもよく、例えば、その流れの方向と直交する方向でもよい。
【0012】
また、図5に示すように、前記緩衝性耐摩耗保護材10に拘束材18、前記目地保護材17に拘束材19をそれぞれ埋設するのが好ましい。例えば、「拘束材」は、繊維や金網等である。拘束材18,19により緩衝性耐摩耗保護材10及び目地保護材17の弾性変形を抑制することができる。
ところで、前記ボルト13の頭部の被覆物、前記緩衝性耐摩耗保護材10及び目地保護材17は、ゴムや合成樹脂等の弾性体であるが、それぞれの材質は異質であっても同質であっても構わない。また、硬度に差があっても構わない。
【0013】
上記第1の実施の形態によると、緩衝性耐摩耗保護材の現地での取付作業の際に、従来のように敷設方向性を考慮しなくてもよくなる効果が得られ、その分作業員に手間が掛からなくなる効果が得られる。このため、構造物に敷設固定された任意の緩衝性耐摩耗保護材を取り外す際にも、従来のように重ね合わさった隣接する緩衝性耐摩耗保護材を全て撤去しなくてもよくなるため、構造物や緩衝性耐摩耗保護材等の補修の際にかかる手間が減り、作業員の作業効率が良くなる効果が得られる。特に、一枚の緩衝性耐摩耗保護材を複数のボルトで構造物に螺合させるようにしている場合には、作業員の作業効率の面でその効果が大きく、補修作業が容易なものとなる効果が得られる。さらにまた、構造物表面に不陸が生じていても目地保持材が追従するため目地に段差を生じさせない効果がある。また、緩衝性耐摩耗保護材に埋設している鉄板によって目地保護材を構造物に圧着させることができるので、目地での止水効果も期待できるため、寒冷地や冬季等で河川等が凍結した場合においても緩衝性耐摩耗保護材に対する凍上問題も解決される効果が得られる。
【0014】
第2の実施の形態
図6は、第2の実施の形態の構造物の保護構造の要部断面図である。なお、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を適宜省略するものとする。
図に示すように、この構造物の保護構造では、構造物9の表面に緩衝性耐摩耗保護材20を配置し、構造物9に適宜設けてあるアンカーソケット11と緩衝性耐摩耗保護材20に適宜穿孔してあるボルト挿通孔12とにボルト13を螺合して、緩衝性耐摩耗保護材20を構造物9に締めつけて固定するようになっている。前記ボルト挿通孔12は、上記第1の実施の形態の場合と同様であるので説明を省略する。
【0015】
前記緩衝性耐摩耗保護材20は、外力に対して優れた耐衝撃性及び耐摩耗性を有するゴムや合成樹脂等の弾性体により形成されており、その内部には弾性変形を抑制するための鉄板14を埋設してある。また、緩衝性耐摩耗保護材2の目地21を橋渡すように、隣り合う緩衝性耐摩耗保護材20の端面が目地保護材22に当接して構造物9と目地21とを隔てさせ、目地21において砂や水の浸食物から構造物を保護するようにしたものである。また、緩衝性耐摩耗保護材20の形状は、特に、構造物9との当接面側が平坦な板状であり、上記第1の実施の形態のような前記段差部位16は形成されていない(図2参照)。
【0016】
また、前記目地保護材22は、外力に対して優れた耐衝撃性及び耐摩耗性を有するゴムや合成樹脂等の弾性体により形成され、緩衝性耐摩耗保護材20の弾性変形に見合う厚さのシート状をしている。即ち、図6に示すように、緩衝性耐摩耗保護材20がボルト13により構造物9へ締めつけ固定して、緩衝性耐摩耗保護材20の端面が目地保護材22を押圧した場合に、緩衝性耐摩耗保護材20の構造物9の当接面側の弾性変形が、砂や水等の浸食物との接触面側に余り大きな変形を与えない程度の厚さのシート状のものである。その程度の厚さであることが必要なのは、接触面側に大きな変形が加わると目地21に浸食物の流れによる力が作用し、目地21を捲れさせてしまう恐れがあるからである。また、目地保護材21の構造物9への配置パターンは、上記第1の実施の形態の目地保護材17の配置パターンと同様であるので説明を省略する。
【0017】
なお、上記第1の実施の形態と同様に、前記緩衝性耐摩耗保護材20及び前記目地保護材22に拘束材をそれぞれ埋設するようにしてもよい。また、前記ボルト13の頭部の被覆物、前記緩衝性耐摩耗保護材20及び目地保護材22の材質の説明も上記第1の実施の形態と同様である。
上記第2の実施の形態によると、緩衝性耐摩耗保護材の現地での取付作業の際に、従来のように敷設方向性を考慮しなくてもよくなる効果が得られ、その分作業員に手間が掛からなくなる効果が得られる。このため、構造物に敷設固定された任意の緩衝性耐摩耗保護材を取り外す際にも、従来のように重ね合わさった隣接する緩衝性耐摩耗保護材を全て撤去しなくてもよくなるため、構造物や緩衝性耐摩耗保護材等の補修の際にかかる手間が減り、作業員の作業効率が良くなる効果が得られる。特に、一枚の緩衝性耐摩耗保護材を複数のボルトで構造物に螺合させるようにしている場合には、作業員の作業効率の面でその効果が大きく、補修作業が容易なものとなる効果が得られる。さらに、本実施の形態では、緩衝性耐摩耗保護材の形状が平坦な板状で良いので、その成形が容易であり、製造及び現地での取付作業がさらに容易に行うことができる効果が得られる。さらにまた、構造物表面に不陸が生じていても目地保持材が追従するため目地に段差を生じさせない効果がある。また、緩衝性耐摩耗保護材に埋設している鉄板によって目地保護材を構造物に圧着させることができるので、目地での止水効果も期待できるため、寒冷地や冬季等で河川等が凍結した場合においても緩衝性耐摩耗保護材に対する凍上問題も解決される効果が得られる。
【0018】
最後に、目地保護材の他の例を説明する。図7は、目地保護材の他の例示図である。上記第1の実施の形態では、目地保護材が、長い目地保護材と短い目地保護材とに分けたものとして説明したが、図に示すように、緩衝性耐摩耗保護材の形状に合わせて、この緩衝性耐摩耗保護材の形状よりも小さな穴を適宜配置した格子状の目地保護材23としてもよい。このようにすると、構造物への敷設作業が容易なものとなる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、緩衝性耐摩耗保護材の現地での取付作業の際に、従来のように敷設方向性を考慮しなくてもよくなる効果が得られ、その分作業員に手間が掛からなくなる効果が得られる。このため、構造物に敷設固定された任意の緩衝性耐摩耗保護材を取り外す際にも、従来のように重ね合わさった隣接する緩衝性耐摩耗保護材を全て撤去しなくてもよくなるため、構造物や緩衝性耐摩耗保護材等の補修の際にかかる手間が減り、作業員の作業効率が良くなる効果が得られる。特に、一枚の緩衝性耐摩耗保護材を複数のボルトで構造物に螺合させるようにしている場合には、作業員の作業効率の面でその効果が大きく、補修作業が容易なものとなる効果が得られる。また、構造物表面に不陸が生じていても目地保持材が追従するため目地に段差を生じさせない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の構造物の保護構造の要部断面図
【図2】第1の実施の形態の緩衝性耐摩耗保護材の斜視図
【図3】目地保護材の配置パターンの説明図
【図4】緩衝性耐摩耗保護材の構造物への敷設状態説明図
【図5】拘束材埋設の状態説明図
【図6】第2の実施の形態の構造物の保護構造の要部断面図
【図7】目地保護材の他の例示図
【図8】従来の構造物の保護構造の要部断面図
【図9】従来の緩衝性耐摩耗保護材の斜視図
【図10】緩衝性耐摩耗保護材の構造物への敷設状態説明図
【符号の説明】
9 構造物
10 緩衝性耐摩耗保護材
11 アンカーソケット
12 ボルト挿通孔
13 ボルト
14 鉄板
15 目地
16 段差部位
17 目地保護材
18,19 拘束材
20 緩衝性耐摩耗保護材
21 目地
22,23 目地保護材
Claims (3)
- 砂防ダムや橋脚等のコンクリートによる構造物の表面に弾性材からなる板状の緩衝性耐摩耗保護材を取付具によって締めつけて固定し、前記構造物の表面を砂や水等による浸食から保護するようにした構造物の保護構造において、
緩衝性耐摩耗保護材の端面に段差を形成し、その段差の形成面を構造物に向けてその段差に見合う厚さの弾性体からなる目地保護材の上に載せ、該緩衝性耐摩耗保護材を構造物に取付具で締めつけることにより、前記目地保護材を構造物に圧着して固定させるようにして緩衝性耐摩耗保護材を構造物に敷設することにより、連続する緩衝性耐摩耗保護材同士の目地と構造物との間に目地保護材を配置したことを特徴とする構造物の保護構造。 - 請求項1において、目地保護材を、緩衝性耐摩耗保護材の弾性変形に見合う厚さのシート状としたことを特徴とする構造物の保護構造。
- 請求項1または請求項2に記載の目地保護材において、
緩衝性耐摩耗保護材の形状よりも小さな穴を適宜配置して格子状に成形したことを特徴とする目地保護材。
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