JP3596057B2 - 生分解性カード - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数の生分解性を有する熱可塑性樹脂を混合し、機械強度、保存安定性などの物理特性を向上させてなる生分解性カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、カードには身分を証明するIDカード、会員カードや金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、通行券などとして幅広い分野で利用されている。
とくにカードで最も利用数が増加しているカードとして、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を記録した、いわゆるプリペイドカード(前払いカード)がある。このカードには読み取り・書き込み装置を介して価値情報、識別情報がカード基材に印字又は印刷表示した絵柄・文字情報として、またカード基材上に設けられた磁気記録部又は光学記録部に機械読み取り情報として記録されるため、この読み取り・書き込み装置での使用できるようにゲート特性と呼ばれる機械特性、例えば耐久性、耐折り曲げ性、剛度などが要求されている。このような条件を満たし、かつ製造が容易な素材として、一般的に、このプリペイドカードは、主にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のプラスチック、すなわち機械特性のみを満たす樹脂をカード基材として利用している。
【0003】
さらに、IDカード、会員カード、キャッシュカード、クレジットカード等の一般的なカード用の基材としてポリ塩化ビニル樹脂が用いられている。これらは通常、この種のカードは利用者に販売若しくは貸与された後は、利用者がそのカードを使い終われば廃棄されるものである。そして上述の素材のプラスチックカードは、その使用後の処理を、現在のところ焼却または廃棄物として埋め立て等によって処分されているが、プラスチック廃棄物は、後者の材質によれば焼却による燃焼温度の高熱化による焼却炉の耐久性の問題、燃焼ガスなどの公害問題を有しており、焼却の影響の少ない前者の材質との分別も完全に行なうことは不可能である。また廃棄物として埋め立てでは、埋め立て地において分解することなく原形のまま存在するため、半永久的にゴミとして残り、自然環境への影響が問題となっている。いずれにしても使用後の廃棄の問題が存在している。
【0004】
また従来から紙をカード基材として採用したカードが利用されており、とくに紙は焼却や埋め立てなどの廃棄が簡単であり、しかも製造コストが安価であることから、上記した近年議論されているゴミなど環境問題の解決に最適なカード材料と見られる。ところが紙をカード基材として用いた場合に耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、加工性等のカードとしての適性を考慮すると全ての点で機能が劣るため、紙の単独での使用は、通行券や入場券、乗車券など一時的な利用のみに限定され、一定期間、使用される上述のプリペイドカードには不向きであるとされてきた。この場合には紙基材にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂やアルミニウム箔などプラスチック以外の外層を保護層として積層することが考えられるが、これらは廃棄性に優れず、上記したプラスチックカードと大差がない欠点を有する。
【0005】
そこで特開昭57−150393号公報、特開昭59−220192号公報、特開昭51−93991号公報、特開昭63−260912号公報、特開昭57−150393号公報に記載されるように、光または地中など自然環境下で分解可能なプラスチックが開発され、とくに使い捨て型の商品パッケージに用いられ、現在では一部が商品化されている。カードの分野では特開平5−42786号や本出願人による特開平5−85088号において、カード基材に生分解性或いは光分解性のプラスチックを用いることが述べられている。
【0006】
さらに本出願人による特願平5−144738号による生分解性樹脂層を紙基材の片面または両面に設け、従来のプラスチックカードとしての特性を有するとともに、優れた廃棄性を有するカードがあるが、通常の使用では問題ないが、異常な環境、例えば洗濯など水に晒された場合、カードの端面から水分が染み込み、カードのカール・伸縮・エッジ部のめくれ等を生じることがあり、カードの損傷とこれにより読み取り・書き込み装置に使うとカード搬送路などに引っ掛かるなど故障の原因となるなどの問題を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現在、入手可能な生分解性樹脂の中から、単体でカードとして必要とされる耐折り曲げ性、剛度などの機械特性を満たす生分解性樹脂として、例えばポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸とのコポリマーを主成分とするポリマーシートが挙げられる。しかしながら、この生分解性樹脂は保存中に加水分解を生じ、脆くなるという欠点があり耐水性の面で問題となっていた。この加水分解の原因となる合成時に使用した残留触媒、未反応モノマーを除去することで解決できるが、このポリ乳酸系ポリマーは、その分解が初期の加水分解によりポリマー鎖が短くなり低分子量化した後に、生物分解されるので、加水分解を抑えると生物分解が極端に遅くなり、コンポスト機器の様な加熱条件下での分解を促進する必要があるなど、通常条件において生分解されにくくなる問題も生じる。
【0008】
一方、分解性では、例えばポリヒドロキシバリレート・ブチレートコポリマーや脂肪族系ポリエステルは土壌中、活性汚泥中において、高分子状態から酵素により生物分解を生じるもので、生物分解性に優れると言えるが、ポリエチレンに類似する機械特性を有し、柔らかさを有するものの、機械読み取り・書き込みの際の剛度等のゲート特性に適する剛度のような機械的強度の点で劣っている。
また微生物により重合される3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートとのランダム共重合ポリエステルは、コスト及び他の生分解性樹脂や無機添加剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫化カルシウム等)を添加しても、現用のカードに使用される素材と同等の耐折り曲げ性、剛度などの機械特性の点で劣っている。
【0009】
このように分解性を有する樹脂を単にカード基材として用いた場合、その樹脂の機能により廃棄後徐々に分解されていくと考えられるが、必ずしもカードに必要な性能として、例えば耐折り曲げ性、剛度という機械特性、或いは保存安定性を満たしているとは言えない問題を有する。
そこで、本発明は機械読み取り・書き込みにおいて要求される剛度等のゲート特性を有するとともに、通常の条件下で分解可能な生分解性カードを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべくなされた本発明は、
請求項1に記載の発明は、カードを構成する基材が、数平均分子量が10000〜100000であるポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートの両面に、数平均分子量が10000〜100000の一般式(1)で示される熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートを積層したものからなることを特徴とする生分解性カードである。
【化3】
Figure 0003596057
【0011】
請求項2に記載の発明は、 カードを構成する基材が、数平均分子量が10000〜100000であるポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートの両面に、数平均分子量が25000〜70000の一般式(2)で示される熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートを積層したものからなることを特徴とする生分解性カード。である。
【化4】
Figure 0003596057
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1、2に記載の生分解性カードにおいて、乳酸がD−乳酸、L−乳酸またはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2に記載の生分解性カードにおいて、オキシカルボン酸がグリコール酸、または6−ヒドロキシカプロン酸であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2に記載の生分解性カードにおいて、熱可塑性樹脂とフィラーを混練した後、二軸延伸してなることを特徴とする。
【0015】
【作用】
本発明の生分解性カードによれば、基材をポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂からなるシートの両面に、脂肪族系ポリエステル及びフィラーとを混練してなるシートを積層することにより基材の機械的強度と保存安定性を有し、とくに塩化ビニル製カードと同等の耐久性、耐折り曲げ性、剛度、成形加工性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性等のカード適性を示し、機械読み取り・書き込みに支障を生ることがない。さらに廃棄後放置されても十分に自然分解可能である。
【0016】
【実施例】
本発明の生分解性カードを図面を基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の生分解性カードの正面図であり、図2は図1のX−X線における断面図である。
本発明の生分解性カード1のコアシート層2の両面にオーバーシート層3が積層されている。このコアシート層2を構成する材料が乳酸等を主成分とする高分子材料である脂肪族ポリエステルからなる生分解性を有する樹脂を用いており、これらは上記したように分解性を有し、既に医用材料分野を中心に生体内吸収材料として縫合糸や骨接合として用いられている。
乳酸としてはD−乳酸、L−乳酸等があり、オキシカルボン酸は、グリコール酸、6−ヒドロキシカプロン酸等があり、本発明ではD−乳酸、L−乳酸またはそれらの混合物と、D−乳酸、L−乳酸またはそれらの混合物とグリコール酸、または6−ヒドロキシカプロン酸に代表されるオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性分解性ポリマーを用いている。このポリマーは数平均分子量10000〜1000000のものが好ましい。
【0017】
ところで、上記熱可塑性樹脂だけでは剛度は十分ではないため、上記熱可塑性樹脂にフィラーとして無機充填剤である炭酸カルシウム、マイカ、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、、石綿、陶土(焼成)、ガラス繊維等を添加(1〜30wt%、好ましくは5〜10wt%)し、混練させ、さらに二軸延伸加工を施すことにより、剛度をはじめとして、耐久性、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の機械特性と表面平滑性、光沢性、耐水性、防水性の点で従来のポリエステル材、塩化ビニル材と同等の特性を有することが可能である。
【0018】
この乳酸は、分子内に水酸基とカルボキシル基を有するため、重縮合が可能であるが、脱水縮合では分子量が4000未満の低重合度のオリゴマーしか得られないため、一旦乳酸のオリゴマーとしてから、開環重合する方法によりポリマーを得ることができる(間接法)。また触媒を用いる方法や特開昭59−96123号、特開昭63−289020号に開示される触媒を用いることなく、不活性ガス雰囲気中で加熱加圧により分子量が4000以上のポリ乳酸を得る方法(直接法)、乳酸とグリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ポリエチレングリコール等から共重合により熱可塑性ポリマーを得る方法がある。なお、乳酸の重合に関する製造方法は、米国特許第1995970号、同第2362511号、同第2683136号に示され、乳酸とグリコール酸のコポリマーの製造方法は、米国特許第3636956号、同第3797449号に示されている。なお、コポリマーの方が重合度を高め易い。
【0019】
またオーバーシート層3を構成する材料が数平均分子量が10000〜100000の一般式(1)で示される熱可塑性樹脂、
【化5】
Figure 0003596057
或いは、数平均分子量が25000〜70000の一般式(2)で示される熱可塑性樹脂、
【化6】
Figure 0003596057
【0020】
上記一般式(1)で示される脂肪族ポリエステルは脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと、脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(又はその酸無水物)を重縮合して得られるポリエステルをジイソシアナート又はポリイソシアネートの存在下で高分子量化させたウレタン結合を有する脂肪族ポリエステルであり、数平均分子量10000〜100000である。この樹脂の一般的な合成方法は、特開平4−189822号公報に開示されている。
【0021】
また上記一般式(2)で示される脂肪族ポリエステルは脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコール又はそれらの混合物と、脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(又はその酸無水物)又はそれらの混合物から合成されたものを、カップリング剤としてジイソシアネートを用いることなく高分子量化されたウレタン結合を含まない脂肪族系ポリエステルであり、数平均分子量25000〜70000である。この樹脂の一般的な合成方法は、特開平4−122205号公報に開示されている。
【0022】
さらに上記一般式(1)又は上記一般式(2)で示される樹脂にも、上記と同様にフィラーとして無機充填剤である炭酸カルシウム、マイカ、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、、石綿、陶土(焼成)、ガラス繊維等を添加(1〜30%、好ましくは5〜10%)し、混練させ、さらに二軸延伸加工を施すことにより、剛度をはじめとして、耐久性、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の機械特性と表面平滑性、光沢性、耐水性、防水性の点で従来のポリエステル材、塩化ビニル材と同等の特性を有することが可能である。なお、フィラー以外に混練された樹脂の特性を失わない範囲であれば、必要に応じて各種添加剤、例えば着色防止剤0.05〜3重量部、酸化防止剤0.05〜3重量部、滑剤0.05〜0.5重量部、有機顔料及び無機顔料などを添加することが可能である。ただし非分解性の物質を50%以上添加することは、分解性が著しく低下し、加工上の問題を生じるため、好ましくない。
【0023】
上記のそれぞれ熱可塑性樹脂を混練する方法は、ドライブレンド、溶融ブレンド等があり、また混練された樹脂の成形方法は、Tダイ押し出し、カレンダーロール成形等があり、適宜選択される方法により、コアシート層2、オーバーシート層3に用いられるシート状の基材が成形される。さらに上記したようにシート状の基材を加熱下で二軸延伸加工することにより、剛度、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性などの機械特性をさらに向上させることができる。
【0024】
コアシート層2とオーバーシート層3の各シートの積層方法は、ドライラミネート、ウェットラミネート、加熱溶融ラミネート等がある。
【0025】
また、本発明では基材を上記の積層構成以外にも、コアシートのみにフィラーの添加と二軸延伸加工、或いはその何れか一方だけを施してもよく、また用途に応じて配合比を変更してなるシート状の基材をそれぞれ作製し、積層した構成としてもよく、いずれも機械強度を保持することができる。なお、片面のみにオーバーシートを積層しても機械強度を有するがコアシートが露出するため、保存安定性は良いとは言えない。
【0026】
上記の方法で作製された基材は、従来の紙・プラスチックカードの場合と同様に印刷・加工を行なうことができ、基材上にオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法により、例えば文字、絵柄などの情報・デザイン5を印刷し、打抜機を用いてカードサイズに加工することで生分解性カードを製造することができる。
【0027】
さらに本発明の生分解性カード1には、図1、図2のように磁気記録層4や感熱記録層などのデジタル情報など機械的にデータの記録・再生が可能な情報記録層を形成することができる。また複数の異なる磁気記録層4と感熱記録層からなる情報記録層を同一カード上に積層することも可能である。
【0028】
磁気記録層4の形成方法は公知であり、磁気記録材料をバインダーなどに分散した塗液を塗布するか、磁気記録層を形成したシートを積層する等である。同様に感熱記録層の形成方法も公知であり、感熱記録材料、例えば感熱ロイコ染料、感熱ジアゾ染料等からなる塗液の塗布やスズ、アルミニウム等の低融点金属薄膜により形成することができる。
【0029】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。
<実施例1>
数平均分子量150000のL−乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸の3:2のコポリマー55wt%、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ158μmのコアシート層用シートを作製し、さらに数平均分子量10000の一般式(1)で示される脂肪族ポリエステル樹脂80wt%、添加剤としてマイカ15wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ15μmのオーバーシート用シートを作製し、これを先のコアシート層用シートの両面に張り合わせ、厚さ188μmの積層シートを作製した。このシートは曲げ弾性率が45000kgf/cmを示し、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シートに近い特性が得られた。
【0030】
このシートを40℃−湿度90%環境下に48時間放置したが、折り曲げ強度に変化はなく、異臭も生じなかった。すなわち、オーバーシートの積層によりポリ乳酸からなるコアシートに加水分解が生じず、機械強度を保持させることができるものである。
【0031】
このシートに下記の組成からなる磁気塗料をナイフコーティングにより約10μmの黒色磁気記録層を形成し、約3000ガウスの水平磁界中の磁場配向をかけた後、100℃の熱風で3分間乾燥させた。
Figure 0003596057
【0032】
このシートを縦57.5mm×横85.0mmのサイバネ規格のカードサイズに加工しカードを得た。
このカードを、カードの読み取り・書き込み装置を有するゲートに2m/secで通過させ、これを約500回繰り返したところ、カード詰まりなどのカードの異常は生じなかった。次にこのカードを水中に30秒間浸漬した後、水を拭き取り、同様にゲートを通過させたが、カード詰まりなどのカードの異常は生じなかった。この時の剛度は26gf/cm(短辺)であり、水への浸漬の前後において変化はなかった。さらにこのカードを畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、6ヶ月経過後には、磁気記録層を残して、形状も保持されてない状態まで分解されていた。
【0033】
また、通常の使用状態における保存安定性について、実施例のカードの機械強度を他の部材と比較した例を表1に示す。これはJIS P 8125に基づき、カードの短辺部の剛度(gf/cm)を測定し、さらに水浸漬試験は、水中に30秒間浸漬した後、水を拭き取り、測定を行った。
なお、比較例は実施例1で用いた数平均分子量150000のL−乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸の3:2のコポリマー55wt%、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ188μmのシートである。
【0034】
【表1】
Figure 0003596057
【0035】
とくに水浸漬試験では比較例のカードは加水分解により、機械強度が脆くなり、さらに分解による悪臭を生じたが、実施例1には変化は見られなかった。
【0036】
<実施例2>
数平均分子量150000のL−乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸の3:2のコポリマー55wt%と、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ158μmのコアシート層用シートを作製し、さらに数平均分子量10000の一般式(2)で示される脂肪族ポリエステル樹脂5wt%、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ15μmのシートを作製し、これを先のコアシート層用シートの両面に張り合わせ、厚さ188μmの積層シートを作製した。このシートは曲げ弾性率が25000kgf/cmを示し、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シートに近い特性が得られた。
【0037】
実施例1と同様に、このシートを40℃−湿度90%環境下に48時間放置したが、折り曲げ強度に変化はなく、異臭も生じなかった。すなわち、オーバーシートの積層によりポリ乳酸からなるコアシートに加水分解が生じず、機械強度を保持させることができるものである。
【0038】
このシートを縦57.5mm×横85.0mmのサイバネ規格のカードサイズに加工しカードを得た。
このカードを、カードの読み取り・書き込み装置を有するゲートに2m/secで通過させ、これを約500回繰り返したところ、カード詰まりなどのカードの異常は生じなかった。次にこのカードを水中に30秒間浸漬した後、水を拭き取り、同様にゲートを通過させたが、カード詰まりなどのカードの異常は生じず、水への浸漬の前後において変化はなかった。さらにこのカードを畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、約1年経過後には、形状も保持されてない状態まで分解されていた。
【0039】
<実施例3>
数平均分子量1000000のポリL−乳酸60%と、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ718μmのシートを作製し、さらに数平均分子量10000の一般式(2)で示される脂肪族ポリエステル樹脂60wt%、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ25μmのシートを作製し、これを先のコアシート層用シートの両面に張り合わせ、厚さ760μmのシートを得た。このシートは引っ張り強度5.1kg/mmを示し、柔軟温度は120℃で塩化ビニル製カードよりも高く、また150℃の流動パラフィン中に5分間浸漬させたが、シート間に剥離を生じず、塩化ビニル製カードと同等以上の耐熱接着性などの積層における特性を示した。
【0040】
このシートを温度40℃−湿度90%環境下に48時間放置したが、折り曲げ強度に変化はなく、異臭も生じなかった。
【0041】
このシートを縦57.5mm×横85.0mmのサイバネ規格のカードサイズに加工しカードを得た。
このカードを、カードの読み取り・書き込み装置を有するゲートに2m/secで通過させ、これを約500回繰り返したところ、カード詰まりなどのカードの異常は生じなかった。次にこのカードを水中に30秒間浸漬した後、水を拭き取り、同様にゲートを通過させたが、カード詰まりなどのカードの異常は生じず、水への浸漬の前後において変化はなかった。さらにこのカードを畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、6ヶ月経過後には、形状も保持されてない状態まで分解されていた。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の生分解性カードは、基材をポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂及びフィラーとを混練してなるシートと、脂肪族系ポリエステル及びフィラーとを混練してなるシートを積層することにより、保管時における材質劣化(とくに加水分解など)がなく保存安定性を示し、廃棄時には土壌。コンポスト処理槽等で確実に生物分解可能であり、さらに剛度、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の機械特性に優れ、機械読み取り・書き込み機に用いられることが可能なゲート特性を有するものである。すなわちカードとしての機械特性と保存安定性と生物分解性のいずれの条件を満たし、従来のプラスチックを用いたカードの代替を十分に可能とする生分解性カードである。
【0043】
また本発明のカードに用いられる生分解性樹脂は、従来のプラスチックに比べると物性、加工性で劣る面をその分解性を低下させない程度に添加剤や二軸延伸加工を施すことにより物性、加工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性カードの平面図である。
【図2】図1の生分解性カードのX−X線における断面図である。
【符号の説明】
1 生分解性カード
2 コアシート層
3 オーバーシート層
4 磁気記録層
5 情報・デザイン

Claims (6)

  1. カードを構成する基材が、数平均分子量が10000〜100000であるポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートの両面に、数平均分子量が10000〜100000の一般式(1)で示される熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートを積層したものからなることを特徴とする生分解性カード。
    Figure 0003596057
  2. カードを構成する基材が、数平均分子量が10000〜100000であるポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートの両面に、数平均分子量が25000〜70000の一般式(2)で示される熱可塑性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートを積層したものからなることを特徴とする生分解性カード。
    Figure 0003596057
  3. 前記乳酸がD−乳酸、L−乳酸またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1、2記載の生分解性カード。
  4. 前記オキシカルボン酸がグリコール酸、または6−ヒドロキシカプロン酸であるを特徴とする請求項1、2記載の生分解性カード。
  5. 前記熱可塑性樹脂とフィラーを混練した後、二軸延伸してなることを特徴とする請求項1、2記載の生分解性カード。
  6. 前記基材上に磁気記録層または/および感熱記録層が形成されてなることを特徴とする請求項1、2記載の生分解性カード。
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