JP2004230626A - 生分解性カード、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層で構成される生分解性樹脂を用いたカードである生分解性カードにおいて、ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層であって、該カードの厚さ方向の中央にある一対の層が、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けてあること、を特徴とする生分解性カード、及びその製造方法である。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ICカード、身分証明書、社員証、会員証、診療証等に用いる生分解性カードに関し、特にこのカードが、多層生分解性プラスチックシートで構成され、高級感があり、美麗なカードとなり、しかも、カード使用済後、土壌に埋め立て処理或いはコンポスト中で生分解が可能な生分解性カードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種カードは、身分を証明するIDカード、会員カードや金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード等の幅広い分野で利用されている。これらのカードは、通常、利用者に販売或いは貸与された後は、利用者がそのカードを利用し、使い終われば廃棄処理されるものである。例えば、今流通しているクレジットカード、キャッシュカード、IDカード等は殆ど700〜800μmの厚さの塩化ビニル製が多用されている。これらの塩化ビニル材によるカードは、約500μmの白色センターコアの両面に適宜な絵柄を印刷し、このセンターコアの両面に、約100μmの透明な塩化ビニルシートを熱プレス方法で貼り付けてカード基材を形成する。さらにこれらのカード基材に絵柄・文字情報等を印刷するとともに、可変情報はカード基材上に設けた磁気記録部又は光学記録部に記録していた。
【0003】
このカードは、センターコアに印刷した絵柄・文字情報に、透明なシートを貼り付けることにより、改ざんや偽造が困難となり、セキュリティー対策の一つでもあった。また、これら従来の塩化ビニル等によるプラスチックカードは、現在のところ使用済になった時、焼却又は廃棄物として埋め立て等によって処分されている。
【0004】
一方、従来より紙をカード基材として採用したカードが利用されており、特に紙は、焼却や埋め立て等の廃棄処理が容易であり、しかも製造コストが安価であることから、近年議論されているゴミ等環境問題の解決に最適なカード材料とされている。しかし、紙をカード基材として用いた場合に、耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性等、カードとしての適性を考慮すると、全ての点で機能が劣るため紙の単独での使用は、通行券や入場券、乗車券等の一時的な利用のみに限定され、一定期間使用されるカードには不向きとされてきた。この場合には、紙基材にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂や、アルミニウム箔等のプラスチック以外の外層を保護層として積層することが考えられるが、これらは廃棄性に問題があり、従来のプラスチックカードと大差のない欠点を有する。
【0005】
さらに、近年では光又は地中等の自然環境下で分解可能なプラスチックが開発され、特に使い捨て型の商品に用いられるようになり、現在一部で商品化されている。このカードの分野では、カード基材に分解性のプラスチックを用いることが提案されている。(特許文献1、2参照)
【0006】
上述したように、従来のカードは塩化ビニル、ABS樹脂等で構成され、優れた物性があり、しかも安価であるので広く使用されている。しかしながら、これらのカードは使用後の廃棄処理として、現在のところ焼却又は廃棄物として埋め立て等によって処分されているが、焼却処理の場合、焼却による燃焼温度の高熱化が起こり、焼却炉の耐久性の問題及び燃焼ガス等の公害問題があり、また、埋め立て処理においては、分解することなく原形のまま存在するため、半永久的にゴミとして地球に残り、自然環境への影響が問題となっている。
【0007】
そこで、近年提案されている生分解性カードは、殆ど単体の生分解性プラスチックで構成されているか、紙基材の両面にコーティングしたものである。これらのカードは材料本来の物性が制限され、カードの剛度、強度、耐性等が不十分であるので応用された例がまだ少なかった。また、紙基材の両面に生分解性樹脂をコーティングしたカードは、紙カードより耐性は改善されたが、耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、機械特性等の点で十分とは言えず、紙基材の制限により、使用範囲も制限されたものとなっていた。
【0008】
この単体の生分解性プラスチック材料は、ポリエチレンに類似するものが多く、軟らかさは有るが、機械読み取り・書き込みの際の剛度等のゲート特性に適するような機械的強度の点で劣っている。そして、これらの生分解性樹脂を用いたカードも提案されてはいるものの、それらの樹脂では経時による強度劣化が大きく、実用性という点においては未だカードとしての物性を持っていると言い難かった。
一方、カードが必要とする機械強度に近づいた生分解性樹脂として、例えば、ポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸とのコポリマーを主成分とするポリマーシートが挙げられる。しかしながら、これらの生分解性プラスチックは、生分解性を発現できる原因とでも云うべき性質として、普段普通に使用している間にも空気中の水分を吸収して加水分解が進行してしまう性質を有している為に、やがて機械的な耐久性が劣化してしまう結果、基本的には硬くて脆い樹脂と評することができる。即ち、例えば厚さ700〜800μm程度の単体カードにおいては、カードの曲げや捩れ等に対する柔軟性や耐久性に劣るという問題点がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−42786号公報(請求項1、第1図)
【特許文献2】
特開平5−85088号公報(請求項1−5、第1図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑みなされたものであり、生分解性をもちながら、機械読み取り・書き込みの際の剛度等のゲート特性に適するような機械的強度をもち、耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、又は、防水性を備えると共に、たとえ厚さが700〜800μmていどのカードであっても、適度な柔軟性や耐久性を備えていること、これらを満足する生分解性カードとその製造方法を提供すること、を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、すなわち、請求項1に係る発明は、多層で構成される生分解性樹脂を用いたカードである生分解性カードにおいて、
ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層であって、該カードの厚さ方向の中央にある一対の層が、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けてあること、を特徴とする生分解性カードである。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、前記一対の層を外側から挟み込むように、更に、
ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸してあり、前記のものとは別の一対の層が、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けてあること、を特徴とする請求項1に記載の生分解性カードである。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2のいずれかに記載の生分解性カードであって、前記多層は接着剤を介して積層してあること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする前記の熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層は、
1層の厚みは50〜250μmであり、且つ、延伸倍率は0.5〜4.0の範囲以内であること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生分解性カードである。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、前記多層を構成する層の樹脂には、フィラー及び添加剤が配合されていること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の生分解性カードである。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、磁気記録層、ICチップ、又は、感熱記録層のうち、少なくとも1以上を具備すること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性カードである。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、多層で構成される生分解性樹脂を用いたカードである生分解性カードを製造する方法であって、
ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層であって、該カードの厚さ方向の中央にある一対の層を、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けること、を特徴とする生分解性カードの製造方法である。
【0018】
<作用>
本発明の生分解性カードは、多層で構成される生分解性樹脂を用いたプラスチックカードにおいて、ポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーのいずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層のカードの厚さ方向の中央にある一対の層の配向の向きが同一にしてあることにより、従来の生分解性樹脂でできたカードよりも耐久性、特に耐折り曲げ性のあるカード基材ができる。このように、延伸を施して配向結晶化させたポリ乳酸を複合で構成したカード材であるので、機械に対する強度も向上し、特に従来カードと同等の機械に対する特性、物性を有し、廃棄処理後、環境に悪影響がないカードとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づき本発明の実施例を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の生分解性カードの断面図である。図に示すように、ポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性ポリマーのオーバーシート(11)と、生分解性を有するプラスチックのセンターコア(12)で構成された生分解性カード(10)である。
【0021】
このオーバーシート(11,11)の材料は、乳酸等を主成分とする高分子材料である脂肪族ポリエステルからなる生分解性を有する樹脂を用いており、これらは上記したように分解性を有し、既に医療用材料分野を中心に生体内吸収材料として用いられている。乳酸としては、D−乳酸、L−乳酸等があり、オキシカルボン酸は、グリコール酸、6−ヒドロキシカプロン酸等があり、本発明ではD−乳酸、L−乳酸又はそれらの混合物と、D−乳酸、L−乳酸又はそれらの混合物とグリコール酸、又は6−ヒドロキシカプロン酸に代表されるオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性の分解性樹脂を用いている。
【0022】
また、センターコア(12)の材料も、透明なオーバーシート(11)の材料と同様、乳酸等を主成分とする高分子材料である脂肪族ポリエステルからなる生分解性を有する樹脂を用いている。そして、これらの多層で構成される生分解性樹脂を用いたプラスチックカードにおいて、ポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーのいずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層のカードの厚さ方向の中央にある一対の層の配向の向きが同一にしてある。
【0023】
さらに、上述した樹脂だけではカードとして必要な機械強度及び物性が十分に得られないため、これらの樹脂に各種フィラー及び添加剤を添加、混練することにより、樹脂に対する強度の補強及び改質ができる。また、フィラーの増量によりコストの低減にも効果がある。これらの樹脂に添加するフィラーは、例えば、無定型フィラー内に、重質炭酸カルシューム、軽質炭酸カルシューム、膠質炭酸カルシューム、天然シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウムなどが添加・混練できる。また、板状フィラー内に、例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク等が添加・混練できる。また、針状フィラー内に、例えば、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウム等が添加・混練できる。また、球状フィラーも添加することができるが、引っ張り、曲げ、衝撃強度等には、繊維状フィラーと板状フィラーのような改良効果がない。
【0024】
前記フィラーは、樹脂に1〜50wt%、好ましくは5〜30wt%を添加・混練して、さらに2軸延伸加工を施すことにより、剛度をはじめとして、耐久性、耐熱変形性、成形加工性、耐衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の特性が改良できる。前述のフィラーは単体で添加することができるが、数種で同時に添加することもできる。このフィラーの添加により、従来の塩化ビニル、ABS樹脂材と同等の特性を有することが可能である。なお、フィラー以外に混練された樹脂の特性を失わない範囲であれば、必要に応じて各種の添加剤、例えば、着色防止剤を0.05〜3重量部、酸化防止剤を0.05〜3重量部、滑剤を0.05〜3重量部、有機顔料及び無機顔料等を添加することが可能であり、また、ポリマー等の非分解性の物質を添加することも可能である。しかし、非分解性の物質を30%以上添加することは、分解性が著しく低下し、加工上の問題が生じるため、好ましくない。
【0025】
上記の樹脂を混練する方法は、ドライブレンド、溶融ブレンド等があり、また、混練された樹脂の成形方法は、Tダイ押出し成形、カレンダーロール成形等があり、適宜選択される方法により、センターコアシート(12)、オーバーシート(11,11)に用いられるシート状の基材が成形される。さらに、上記したようにシート状の基材を加熱のもとで2軸延伸加工を施し、熱安定処理することにより、基材の剛度、成形性、耐衝撃性、寸法安定性、熱安定性、耐折り曲げ性等の特性をさらに向上させることができる。
【0026】
また、センターコアシート(12)にオーバーシート(11,11)を積層する方法は、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、加熱加圧溶融ラミネーション等がある。なお、センターコアシートに絵柄等を印刷してからラミネーションをすることにより、印刷の絵柄が明瞭に目視することができ、セキュリティ性も生じる。また、本発明では、上記の積層構成以外にもセンターコアシートのみにフィラーを添加することもできる。
【0027】
上記の方法で作製されたカード基材は、従来の紙・プラスチックカードの場合と同様に、印刷・加工を行うことができ、基材上にさらに他の絵柄、情報を印刷することができる。印刷方法は、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等の方法を用いることができる。最後にカードは抜き型により、86×54mmの大きさに打ち抜かれ生分解性カードが得られる。
【0028】
【実施例】
以下に具体的実施例を説明する。
【0029】
<実施例1>
熱可塑性の生分解性樹脂であるポリ乳酸(三井化学製、商品名「レイシア」)を、フィラーとして白艶華(白石工業(株)製、商品名R06)、酸化チタン8wt%を2軸式押出し混練機で混練した後、Tダイ溶融押出し機により、加工温度210℃で規定の厚さに押出し成形した後延伸倍率を3倍で2軸延伸加工を行い、さらにカレンダー処理を行って、厚さ280μmのコア用シートを作製した。また、同様に熱可塑性の生分解性樹脂であるポリ乳酸(三井化学製、商品名「レイシア」)を、Tダイ溶融押出し機により加工温度210℃で、Tダイ溶融押出し機により、加工温度210℃で規定の厚さに押出し成形した後延伸倍率を3倍で2軸延伸加工を行い、さらにカレンダー処理を行って、厚さ100μmのシートを成形しオーバーシートを作製した。この様にして出来たセンターコアシートにラミネート用の接着剤をロールコート法にて塗布し、その後シートカットを行い、更にカール防止の為、配向を揃える様に巻きの前後のシートがペアになる様に重ねた後、加熱プレス機にてラミネートを行い、その後オフセット印刷にて文字・絵柄の印刷をおこなった。さらに、得られたセンターコアの両面に接着剤を塗布し、先のオーバーシートをセンターコアシートの両面に貼り合わせ、厚さ760μmの生分解性カード用の複合材を作製した。オーバーシートを貼り合わせる際にはセンターコアを貼り合わせるのと同様に巻きの前後が合う様に結果的に配向の向きが合うよう合わせた。最後に、カード用の抜き型により大きさ86mm×54mmに打ち抜いて、生分解性カードを得た。
【0030】
<比較例1>
厚さ280μmのポリ乳酸の白色コアシートの代わりに、熱可塑性の生分解性樹脂であるポリブチレンサクシネート(昭和高分子製、商品名「ビオノーレ」)を、フィラーとして白艶華(白石工業(株)製、商品名R06)、酸化チタン8wt%を2軸式押出し混練機で混練した後、Tダイ溶融押出し機により、加工温度200℃で規定の厚さに押出し成形し、さらにカレンダー処理を行って厚さ280μmのコア用シートを作製した以外は実施例1と同様に行い、比較例1のカードを得た。
【0031】
<実施例2>
熱可塑性の生分解性樹脂であるポリ乳酸(三井化学製、商品名「レイシア」)を、フィラーとして白艶華(白石工業(株)製、商品名R06)、酸化チタン8wt%を2軸式押出し混練機で混練した後、Tダイ溶融押出し機により、加工温度210℃で規定の厚さに押出し成形した後延伸倍率を2.5倍で2軸延伸加工を行い、さらにカレンダー処理を行って、厚さ380μmのカード用シートを作製した。この様にして出来たシートにラミネート用の接着剤をロールコート法にて塗布し、その後シートカットを行い、更にカール防止の為、配向の向きを揃う様に巻きの前後のシートがペアになる様に重ねた後、加熱プレス機にてラミネートを行い、その後オフセット印刷にて文字・絵柄の印刷をおこない、厚さ760μmの生分解性カード用の複合材を作製した。さらに、カード用の抜き型により大きさ86mm×54mmに打ち抜いて、最後に得られたカード用基材の所定の位置を切削し、ICモジュールをシアノアクリレート系接着剤で接着しICカードを作製した。
【0032】
<比較例2>
厚さ380μmのポリ乳酸の白色シートの代わりに、熱可塑性の生分解性樹脂であるポリブチレンサクシネート(昭和高分子製、商品名「ビオノーレ」)を、フィラーとして白艶華(白石工業(株)製、商品名R06)、酸化チタン8wt%を2軸式押出し混練機で混練した後、Tダイ溶融押出し機により、加工温度200℃で規定の厚さに押出し成形し、さらにカレンダー処理を行って厚さ380μmのコア用シートを作製した以外は実施例1と同様に行い、比較例1のカードを得た。
【0033】
上記で得られた実施例1、及び2のカードを40℃90%雰囲気中に一ヶ月放置したが、強度保持率の低下はなく、ほとんど変わらないことが確認された。それに対し比較例1及び2のカードを40℃90%雰囲気中に一ヶ月放置したところ、強度保持率が大幅に低下し、初期強度の50%以下であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の生分解性カードにおいて、カード全体がポリ乳酸又は乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂を採用することにより、生分解性を有するにも拘わらず、保存環境性の高いカードを得ることができた。また、生分解性カードは、多層複合の方法で作製され、成形加工性、機械に対する強度、物性等の特性が優れ、しかも廃棄処理が、土壌中或いはコンポスト中で生分解可能となり、環境に悪影響を与えないカードとなる。また、本発明は複合材で構成されたカードであるため、機械に対する強度も向上し、特に塩化ビニル製カードと同等の機械特性、物性を有し、廃棄処理後、環境に悪影響を与えないカードとなる。さらに、センターコアシートに多量のフィラーを添加することができ、高価な生分解性樹脂材料の減量ができるので、生分解性カードのコストダウン等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性カードの一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10…生分解性カード
11…オーバーシート
12…センターコア
13…印刷層
Claims (7)
- 多層で構成される生分解性樹脂を用いたカードである生分解性カードにおいて、
ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層であって、該カードの厚さ方向の中央にある一対の層が、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けてあること、を特徴とする生分解性カード。 - 前記一対の層を外側から挟み込むように、更に、
ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸してあり、前記のものとは別の一対の層が、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けてあること、を特徴とする請求項1に記載の生分解性カード。 - 請求項1又は2のいずれかに記載の生分解性カードであって、前記多層は接着剤を介して積層してあること、を特徴とする。
- ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする前記の熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層は、
1層の厚みは50〜250μmであり、且つ、延伸倍率は0.5〜4.0の範囲以内であること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生分解性カード。 - 前記多層を構成する層の樹脂には、フィラー及び添加剤が配合されていること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の生分解性カード。
- 磁気記録層、ICチップ、又は、感熱記録層のうち、少なくとも1以上を具備すること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性カード。
- 多層で構成される生分解性樹脂を用いたカードである生分解性カードを製造する方法であって、
ポリ乳酸か、又は、乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーの、いずれかを主成分とする熱可塑性ポリマーを2軸延伸した層であって、該カードの厚さ方向の中央にある一対の層を、該層に沿った2次元方向で互いに配向の向きが同一になるように設けること、を特徴とする生分解性カードの製造方法。
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Cited By (2)
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2003
- 2003-01-29 JP JP2003019902A patent/JP2004230626A/ja active Pending
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