JPH08290692A - 生分解性カード - Google Patents

生分解性カード

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JPH08290692A
JPH08290692A JP7101422A JP10142295A JPH08290692A JP H08290692 A JPH08290692 A JP H08290692A JP 7101422 A JP7101422 A JP 7101422A JP 10142295 A JP10142295 A JP 10142295A JP H08290692 A JPH08290692 A JP H08290692A
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JP
Japan
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acid
card
lactic acid
filler
biodegradable
Prior art date
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Application number
JP7101422A
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English (en)
Inventor
Osahisa Matsudaira
長久 松平
Toshifumi Imai
敏文 今井
Kanshin Ri
漢森 李
Masayuki Taniguchi
谷口  正幸
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は機械読み取り・書き込みにおいて要求
される剛度等のゲート特性を有するとともに、通常の条
件下で分解可能な生分解性カードを提供する。 【構成】基材をポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸
のコポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂及びフィラー
とを混練してなるシートの両面に、混合体からなるヒド
ロキシアルカノエートユニットを有する生物合成の脂肪
族系ポリエステル及びフィラーとを混練してなるシート
を積層することにより、基材の機械的強度と保存安定性
を有し、とくに塩化ビニル製カードと同等の耐久性、耐
折り曲げ性、剛度、成形加工性、耐水性、耐薬品性、防
水性、表面平滑性、光沢性等のカード適性を示し、機械
読み取り・書き込みに支障を生ることがない。さらに廃
棄後放置されても十分に自然分解可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の生分解性を有す
る樹脂を積層し、機械強度、保存安定性などの物理特性
を向上させてなる生分解性カードに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、カードには身分を証明するIDカ
ード、会員カードや金銭的価値を有するキャッシュカー
ド、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、通
行券などとして幅広い分野で利用されている。とくにカ
ードで最も利用数が増加しているカードとして、一定単
位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を記録し
た、いわゆるプリペイドカード(前払いカード)があ
る。このカードには読み取り・書き込み装置を介して価
値情報、識別情報がカード基材に印字又は印刷表示した
絵柄・文字情報として、またカード基材上に設けられた
磁気記録部又は光学記録部に機械読み取り情報として記
録されるため、この読み取り・書き込み装置での使用で
きるようにゲート特性と呼ばれる機械特性、例えば耐久
性、耐折り曲げ性、剛度などが要求されている。このよ
うな条件を満たし、かつ製造が容易な素材として、一般
的に、このプリペイドカードは、主にポリエチレンテレ
フタレート(PET)樹脂等のプラスチック、すなわち
機械特性のみを満たす樹脂をカード基材として利用して
いる。
【0003】さらに、IDカード、会員カード、キャッ
シュカード、クレジットカード等の一般的なカード用の
基材としてポリ塩化ビニル樹脂が用いられている。これ
らは通常、この種のカードは利用者に販売若しくは貸与
された後は、利用者がそのカードを使い終われば廃棄さ
れるものである。そして上述の素材のプラスチックカー
ドは、その使用後の処理を、現在のところ焼却または廃
棄物として埋め立て等によって処分されているが、プラ
スチック廃棄物は、後者の材質によれば焼却による燃焼
温度の高熱化による焼却炉の耐久性の問題、燃焼ガスな
どの公害問題を有しており、焼却の影響の少ない前者の
材質との分別も完全に行なうことは不可能である。また
廃棄物として埋め立てでは、埋め立て地において分解す
ることなく原形のまま存在するため、半永久的にゴミと
して残り、自然環境への影響が問題となっている。いず
れにしても使用後の廃棄の問題が存在している。
【0004】また従来から紙をカード基材として採用し
たカードが利用されており、とくに紙は焼却や埋め立て
などの廃棄が簡単であり、しかも製造コストが安価であ
ることから、上記した近年議論されているゴミなど環境
問題の解決に最適なカード材料と見られる。ところが紙
をカード基材として用いた場合に耐久性、耐折り曲げ
性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、
加工性等のカードとしての適性を考慮すると全ての点で
機能が劣るため、紙の単独での使用は、通行券や入場
券、乗車券など一時的な利用のみに限定され、一定期
間、使用される上述のプリペイドカードには不向きであ
るとされてきた。この場合には紙基材にポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフ
タレート等の合成樹脂やアルミニウム箔などプラスチッ
ク以外の外層を保護層として積層することが考えられる
が、これらは廃棄性に優れず、上記したプラスチックカ
ードと大差がない欠点を有する。
【0005】そこで特開昭57−150393号公報、
特開昭59−220192号公報、特開昭51−939
91号公報、特開昭63−260912号公報、特開昭
57−150393号公報に記載されるように、光また
は地中など自然環境下で分解可能なプラスチックが開発
され、とくに使い捨て型の商品パッケージに用いられ、
現在では一部が商品化されている。カードの分野では特
開平5−42786号や本出願人による特開平5−85
088号において、カード基材に生分解性或いは光分解
性のプラスチックを用いることが述べられている。
【0006】さらに本出願人による特開平6−9788
号公報には生分解性樹脂層を紙基材の片面または両面に
設け、従来のプラスチックカードとしての特性を有する
とともに、優れた廃棄性を有するカードが開示されてい
るが、通常の使用では問題ないが、異常な環境、例えば
洗濯など水に晒された場合、カードの端面から水分が染
み込み、カードのカール・伸縮・エッジ部のめくれ等を
生じることがあり、カードの損傷とこれにより読み取り
・書き込み装置に使うとカード搬送路などに引っ掛かる
など故障の原因となるなどの問題を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、現在、入手
可能な生分解性樹脂の中から、単体でカードとして必要
とされる耐折り曲げ性、剛度などの機械特性を満たす生
分解性樹脂として、例えばポリ乳酸または乳酸とオキシ
カルボン酸とのコポリマーを主成分とするポリマーシー
トが挙げられる。しかしながら、この生分解性樹脂は保
存中に加水分解を生じ、脆くなるという欠点があり耐水
性の面で問題となっていた。この加水分解の原因となる
合成時に使用した残留触媒、未反応モノマーを除去する
ことで解決できるが、このポリ乳酸系ポリマーは、その
分解が初期の加水分解によりポリマー鎖が短くなり低分
子量化した後に、生物分解されるので、加水分解を抑え
ると生物分解が極端に遅くなり、コンポスト機器の様な
加熱条件下での分解を促進する必要があるなど、通常条
件において生分解されにくくなる問題も生じる。
【0008】一方、分解性では、例えばポリヒドロキシ
バリレート・ブチレートコポリマーや脂肪族系ポリエス
テルは土壌中、活性汚泥中において、高分子状態から酵
素により生物分解を生じるもので、生物分解性に優れる
と言えるが、ポリエチレンに類似する機械特性を有し、
柔らかさを有するものの、機械読み取り・書き込みの際
の剛度等のゲート特性に適する剛度のような機械的強度
の点で劣っている。また微生物により重合される3−ヒ
ドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートとのラ
ンダム共重合ポリエステルは、コスト及び他の生分解性
樹脂や無機添加剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、硫化カルシウム等)を添加しても、現用のカー
ドに使用される素材と同等の耐折り曲げ性、剛度などの
機械特性の点で劣っている。
【0009】このように分解性を有する樹脂を単にカー
ド基材として用いた場合、その樹脂の機能により廃棄後
徐々に分解されていくと考えられるが、必ずしもカード
に必要な性能として、例えば耐折り曲げ性、剛度という
機械特性、或いは保存安定性を満たしているとは言えな
い問題を有する。そこで、本発明は機械読み取り・書き
込みにおいて要求される剛度等のゲート特性を有すると
ともに、通常の条件下で分解可能な生分解性カードを提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべくな
された本発明は、請求項1に記載の発明は、カードを構
成する基材が、数平均分子量が10000〜10000
0であるポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポ
リマーを主成分とする熱可塑性樹脂およびフィラーとを
混練してなるシートの両面或いは周囲に、ヒドロキシア
ルカノエートユニットを有する生物合成による脂肪族ポ
リエステル樹脂およびフィラーとを混練してなるシート
を積層或いは被覆したものからなることを特徴とするで
ある。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の生分解性カードにおいて、乳酸がD−乳酸、L−乳酸
またはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の生分解性カードにおいて、オキシカルボン酸がグリコ
ール酸、または6−ヒドロキシカプロン酸であることを
特徴とする。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の生分解性カードにおいて、ヒドロキシアルカノエート
ユニットを有する生物合成による脂肪族ポリエステル樹
脂が3−ヒドロキシバリレート、3−ヒドロキシブチレ
ート、3−ヒドロキシカプロレート、3−ヒドロキシヘ
プタノエート及びそれらの側鎖に種々の官能基を有する
P(3HA)共重合体の1つ又は2つ以上の混合体から
なることを特徴する。
【0014】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の生分解性カードにおいて、熱可塑性樹脂とフィラーを
混練した後、二軸延伸してなることを特徴とする。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
の生分解性カードにおいて、基材上に磁気記録層または
/および感熱記録層が形成されてなることを特徴とす
る。
【0016】
【作用】本発明の生分解性カードによれば、基材がポリ
乳酸または乳酸とオキシカルボン酸のコポリマーを主成
分とする熱可塑性樹脂からなるシートの両面に、脂肪族
系ポリエステル及びフィラーとを混練してなるシートを
積層することにより基材の機械的強度と保存安定性を有
し、とくに塩化ビニル製カードと同等の耐久性、耐折り
曲げ性、剛度、成形加工性、耐水性、耐薬品性、防水
性、表面平滑性、光沢性等のカード適性を示し、機械読
み取り・書き込みに支障を生ることがない。さらに廃棄
後放置されても十分に自然分解可能である。
【0017】
【実施例】本発明の生分解性カードを図面を基づき詳細
に説明する。図1は、本発明の生分解性カードの正面図
であり、図2は図1のX−X線における断面図である。
本発明の生分解性カード1のコアシート層2の両面にオ
ーバーシート層3が積層されている。このコアシート層
2を構成する材料に乳酸等を主成分とする高分子材料で
ある脂肪族ポリエステルからなる生分解性を有する樹脂
を用いており、これらは上記したように分解性を有し、
既に医用材料分野を中心に生体内吸収材料として縫合糸
や骨接合として用いられている。上記の乳酸としてはD
−乳酸、L−乳酸等があり、オキシカルボン酸は、グリ
コール酸、6−ヒドロキシカプロン酸等があり、本発明
ではD−乳酸、L−乳酸またはそれらの混合物と、D−
乳酸、L−乳酸またはそれらの混合物とグリコール酸、
または6−ヒドロキシカプロン酸に代表されるオキシカ
ルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性分解性ポ
リマーを用いている。このポリマーは数平均分子量10
000〜1000000のものが好ましい。
【0018】この乳酸は、分子内に水酸基とカルボキシ
ル基を有するため、重縮合が可能であるが、脱水縮合で
は分子量が4000未満の低重合度のオリゴマーしか得
られないため、一旦乳酸のオリゴマーとしてから、開環
重合する方法によりポリマーを得ることができる(間接
法)。また触媒を用いる方法や特開昭59−96123
号、特開昭63−289020号に開示される触媒を用
いることなく、不活性ガス雰囲気中で加熱加圧により分
子量が4000以上のポリ乳酸を得る方法(直接法)、
乳酸とグリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ポリエチレン
グリコール等から共重合により熱可塑性ポリマーを得る
方法がある。なお、乳酸の重合に関する製造方法は、米
国特許第1995970号、同第2362511号、同
第2683136号に示され、乳酸とグリコール酸のコ
ポリマーの製造方法は、米国特許第3636956号、
同第3797449号に示されている。なお、コポリマ
ーの方が重合度を高め易い。
【0019】ところで、剛度を上記熱可塑性樹脂のみの
場合よりも向上させるため、上記熱可塑性樹脂にフィラ
ーとして無機充填剤である炭酸カルシウム、マイカ、珪
酸カルシウム、ホワイトカーボン、、石綿、陶土(焼
成)、ガラス繊維等を添加(1〜30wt%、好ましく
は5〜10wt%)し、混練させ、さらに二軸延伸加工
を施すことにより、剛度をはじめとして、耐久性、成形
加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折
り曲げ性等の機械特性と表面平滑性、光沢性、耐水性、
防水性の点で従来のポリエステル材、塩化ビニル材と同
等の特性を有することが可能である。
【0020】以上のようにして得られたコアシート層2
は機械特性に優れるものであり、生分解性にも優れるる
が、一方、耐湿性が弱く、その単体のみを高温多湿の状
態に曝すと加水分解を起こすものである。そこでこのコ
アシート層2の両面若しくは周囲全体を湿度を遮断する
オーバーシート層3により覆おうことにより、通常状態
での使用では機械特性に優れたカードとして利用でき、
廃棄時には土壌、活性汚泥、コンポスト中では、表面の
オーバーシート層3の生分解し、湿度を遮断しなくなる
と、コアシート層2は加水分解し、さらに生物分解によ
り完全に分解させることが可能となるものである。
【0021】上記のオーバーシート層3を構成する材料
は、3−ヒドロキシバリレート、3−ヒドロキシブチレ
ート、3−ヒドロキシカプロレート、3−ヒドロキシヘ
プタノエート及びそれらの側鎖に種々の官能基を有する
P(3HA)共重合体の1つ又は2つ以上の混合体から
なるヒドロキシアルカノエートユニットを有する生物合
成による脂肪族ポリエステル樹脂からなり、これらにフ
ィラーを混練してなるか、さらにこれらに二軸延伸加工
を施したシートをコアシート層2に積層若しくはコアシ
ート層2の周囲全体を被覆することにより、カード使用
時におけるオーバーシート層3の湿度遮断性によるコア
シート層2の加水分解を抑止することが可能となる。
【0022】上記の脂肪族ポリエステル樹脂は、微生物
により合成され、酵素分解性を備えているものである。
例えば、A.eutrophus(土壌中)に炭素源と
してグルコースとプロピオン酸を与えることにより、3
−ヒドロキシバリレート・3−ヒドロキシブチレートユ
ニットからなる共重合ポリエステル(3HB−3HV)
が得られ、また同様にしてブチロラクトンと1,4−ブ
タンジオール等を与えることにより、4−ヒドロキシブ
チレートユニットを含む共重合ポリエステルP(3HB
−4HB)が得られる。さらに3−ヒドロキシプロピオ
ン酸や1,5−ペンタンジオールを与えることにより、
3−ヒドロキシプロピオネートユニットを含むP(3H
B−3HP)が得られる。また、P.oleovora
ns(土壌中)に炭素数の異なる有機酸を与えることに
より,種々の鎖長のアルキル基を持つ3−ヒドロキシア
ルカノエートP(3HA)共重合体を発酵合成できる。
さらに使用する炭素源を代えることにより、側鎖に種々
の官能基を有する3−ヒドロキシアルカノエートP(3
HA)共重合体の発酵合成も可能であり、例えば二重結
合を有する有機酸、フェニル基を有する有機酸、ハロゲ
ン化アルカンをそれぞれ与えることにより、二重結合を
有する、またフェニル基、ハロゲンを側鎖に有する3−
ヒドロキシアルカノエートP(3HA)共重合体を発酵
合成することが可能である。
【0023】さらに上記樹脂にも、上記と同様にフィラ
ーとして無機充填剤である炭酸カルシウム、マイカ、珪
酸カルシウム、ホワイトカーボン、、石綿、陶土(焼
成)、ガラス繊維等を添加(1〜30%、好ましくは5
〜10%)し、混練させ、さらに二軸延伸加工を施すこ
とにより、剛度をはじめとして、耐久性、成形加工性、
機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性
等の機械特性と表面平滑性、光沢性、耐水性、防水性の
点を向上させることが可能である。なお、フィラー以外
に混練された樹脂の特性を失わない範囲であれば、必要
に応じて各種添加剤、例えば着色防止剤0.05〜3重
量部、酸化防止剤0.05〜3重量部、滑剤0.05〜
0.5重量部、有機顔料及び無機顔料などを添加するこ
とが可能である。ただし非分解性の物質を50%以上添
加することは、分解性が著しく低下し、加工上の問題を
生じるため、好ましくない。
【0024】上記の熱可塑性樹脂、脂肪族ポリエステル
樹脂にそれぞれフィラーを混練する方法は、ドライブレ
ンド、溶融ブレンド等があり、また混練された樹脂の成
形方法は、Tダイ押し出し、カレンダーロール成形等が
あり、適宜選択する方法により、コアシート層2、オー
バーシート層3に用いられるシート状の基材が成形され
る。さらに上記するシート状の基材を溶融押し出し後、
或いは加熱下で二軸延伸加工することにより、剛度、成
形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐
折り曲げ性などの機械特性をさらに向上させることがで
きる。コアシート層2の両面にオーバーシート層3を積
層を積層
【0025】コアシート層2とオーバーシート層3の各
シートの積層方法は、ドライラミネート、ウェットラミ
ネート、加熱溶融ラミネート等がある。またコアシート
層2の周囲に上記の脂肪族ポリエステル樹脂を被覆する
にはコアシート層2より一回り大きいオーバーシートの
間にコアシートを入れ、加熱・加圧溶融ラミネートによ
って行なうことができる。
【0026】また、本発明では基材は上記の積層構成以
外としてもよく、コアシートのみにフィラーの添加と二
軸延伸加工、或いはその何れか一方だけを施してもよ
く、また用途に応じて配合比を変更してなるシート状の
基材をそれぞれ作製し、積層した構成としてもよく、い
ずれも機械強度を保持することができる。なお、片面の
みにオーバーシートを積層しても機械強度を有するがコ
アシートが露出するため、加水分解を生じるため保存安
定性が良いとは言えない。
【0027】上記の方法で作製された基材は、従来の紙
・プラスチックカードの場合と同様に印刷・加工を行な
うことができ、基材上にオフセット印刷、スクリーン印
刷、グラビア印刷等の印刷法により、例えば文字、絵柄
などの情報・デザイン5を印刷し、打抜機を用いてカー
ドサイズに加工することで生分解性カードを製造するこ
とができる。
【0028】さらに本発明の生分解性カード1には、図
1、図2のように磁気記録層4や感熱記録層などのデジ
タル情報など機械的にデータの記録・再生が可能な情報
記録層を形成することができる。また複数の異なる磁気
記録層4と感熱記録層からなる情報記録層を同一カード
上に積層することも可能である。
【0029】磁気記録層4の形成方法は公知であり、磁
気記録材料をバインダーなどに分散した塗液を塗布する
か、磁気記録層を形成したシートを積層する等である。
同様に感熱記録層の形成方法も公知であり、感熱記録材
料、例えば感熱ロイコ染料、感熱ジアゾ染料等からなる
塗液の塗布やスズ、アルミニウム等の低融点金属薄膜に
より形成することができる。
【0030】以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、詳
細に説明する。 <実施例1>数平均分子量150000のL−乳酸と6
−ヒドロキシカプロン酸の3:2のコポリマー60wt
%、添加剤としてマイカ35wt%(HAR160 白
石工業社製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時
間乾燥)をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶
融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出
し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表
面平滑性を向上させた厚さ158μmのコアシート層用
シートを作製し、さらにバイオポール〔(商品名) D
610G(ゼネカ社製) 3HB−co−3HV共重合
体、バリレート比率12%〕を溶融押し出しして得た厚
さ15μmのオーバーシート層用シートをコアシート層
用シートの両面に積層し加熱溶融ラミネートにより基材
を作製した。この基材は曲げ弾性率は40000kgf
/cm2 を示し、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂シートとほぼ同等の特性が得られた。
【0031】このシートを40℃−湿度90%環境下に
48時間放置したが、折り曲げ強度に変化はなく、異臭
も生じなかった。すなわち、オーバーシートの積層によ
りL−乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸のコポリマー等
からなるコアシートに加水分解が生じず、機械強度を保
持させることができるものである。
【0032】このシートに下記の組成からなる磁気塗料
をナイフコーティングにより約10μmの黒色磁気記録
層を形成し、約3000ガウスの水平磁界中の磁場配向
をかけた後、100℃の熱風で3分間乾燥させた。 ○磁気塗料 磁性粉(1750Oe:バリウムフェライト) 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VAGF:ユニオンカーバイト社製) 20重量部 ポリウレタン樹脂(ニッポラン2304:日本ポリウレタン工業社製) 30重量部 ヘキサメチレンジイソシアネート (コロネートHX:日本ポリウレタン工業社製)2重量部 カーボンブラック(#3000:三菱化成社製) 5重量部 分散剤(ガーファック RE−610:東邦化学社製) 3重量部 希釈溶剤(トルエン/MEK/MIBK) 100重量部
【0033】このシートを縦57.5mm×横85.0
mmのサイバネ規格のカードサイズに加工しカードを得
た。このカードを、カードの読み取り・書き込み装置を
有するゲートに2m/secで通過させ、これを約50
0回繰り返したところ、カード詰まりなどのカードの異
常は生じなかった。次にこのカードを水中に30秒間浸
漬した後、水を拭き取り、同様にゲートを通過させた
が、カード詰まりなどのカードの異常は生じなかった。
この時の剛度は30gf/cm(短辺)であり、水への
浸漬の前後において変化はなかった。さらにこのカード
を畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、6ヶ
月経過後には、磁気記録層を残して、形状も保持されて
ない状態まで分解されていた。
【0034】また、通常の使用状態における保存安定性
について、実施例のカードの機械強度をコアシートのみ
からなる部材と比較した例を表1に示す。これはJIS
P8125に基づき、カードの短辺部の剛度(gf/
cm)を測定し、さらに水浸漬試験は、水中に30秒間
浸漬した後、水を拭き取り、測定を行った。なお、比較
例は実施例1で用いたコアシート層用シートと同じであ
り、数平均分子量150000のL−乳酸と6−ヒドロ
キシカプロン酸の3:2のコポリマー60wt%、添加
剤としてマイカ35wt%(HAR160 白石工業社
製)、酸化チタン5wt%(200℃ 24時間乾燥)
をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機
により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二
軸延伸加工、さらにカレンダー処理を行い、表面平滑性
を向上させた厚さ188μmのシートを用いた。
【0035】
【表1】
【0036】とくに24時間の水浸漬試験の結果では、
比較例のカードは加水分解により、機械強度が低下し脆
くなり、さらに分解による悪臭を生じたが、実施例1に
は変化は見られなかった。
【0037】<実施例2>数平均分子量1000000
のポリL−乳酸60wt%と、添加剤としてマイカ35
wt%(HAR160 白石工業社製)、酸化チタン5
wt%(200℃24時間乾燥)をベント式押出機にて
混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200
℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸加工、さらにカ
レンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ71
8μmのコアシート層用シートを作製し、さらにバイオ
ポール〔(商品名) D610G(ゼネカ社製) 3H
B−co−3HV共重合体、バリレート比率12%〕を
Tダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さ
に押し出し後、二軸延伸加工、さらにカレンダー処理を
行い、表面平滑性を向上させた厚さ25μmのオーバー
シート層用シートをコアシート層用シートの両面に積層
し張り合わせ、加熱溶融ラミネートにより厚さ760μ
mの基材を作製した。この基材は引っ張り強度5.1k
g/mm2 を示し、柔軟温度は120℃であり塩化ビニ
ル製シートよりも高く、また150℃の流動パラフィン
中に5分間浸漬させたところ、シート間に剥離を生じ
ず、塩化ビニル製シート(この場合は何で剥離するのか
?)と同等以上の耐熱接着性などの特性を示した。
【0038】実施例1と同様に、このシートを40℃−
湿度90%環境下に48時間放置したが、折り曲げ強度
に変化はなく、異臭も生じなかった。すなわち、オーバ
ーシートの積層によりポリ乳酸からなるコアシートに加
水分解が生じず、機械強度を保持させることができるも
のである。
【0039】このシートを縦57.5mm×横85.0
mmのサイバネ規格のカードサイズに加工しカードを得
た。このカードを、カードの読み取り・書き込み装置を
有するゲートに2m/secで通過させ、これを約50
0回繰り返したところ、カード詰まりなどのカードの異
常は生じなかった。次にこのカードを水中に30秒間浸
漬した後、水を拭き取り、同様にゲートを通過させた
が、カード詰まりなどのカードの異常は生じず、水への
浸漬の前後において変化はなかった。さらにこのカード
を畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、6か
月経過後には、形状も保持されてない状態まで分解され
ていた。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明の生分解性カー
ドは、基材をポリ乳酸または乳酸とオキシカルボン酸の
コポリマーを主成分とする熱可塑性樹脂及びフィラーと
を混練してなるシートと、混合体からなるヒドロキシア
ルカノエートユニットを有する生物合成の脂肪族系ポリ
エステル及びフィラーとを混練してなるシートを積層す
ることにより、機械特性に優れるが保存安定性に欠ける
基材を、機械特性は劣るが、基材の劣化要因である水分
を遮断してなるシートを積層することで、単体では使用
できなかった素材を基材材料として利用することができ
るようになり、カード基材の材料選択の幅を広げること
が可能となる。そして、これらカードは保管時における
材質劣化(とくに加水分解など)がなく保存安定性を示
し、廃棄時には土壌、コンポスト処理槽等で確実に生物
分解可能であり、さらに剛度、成形加工性、機械強度、
硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の機械特
性に優れ、機械読み取り・書き込み機に用いられること
が可能なゲート特性を有するものである。すなわちカー
ドとしての機械特性と保存安定性と生物分解性のいずれ
の条件を満たし、従来のプラスチックを用いたカードの
代替を十分に可能とする生分解性カードである。
【0041】また本発明のカードに用いられる生分解性
樹脂は、従来のプラスチックに比べると物性、加工性で
劣る面をその分解性を低下させない程度に添加剤や二軸
延伸加工を施すことにより物性、加工性を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性カードの平面図である。
【図2】図1の生分解性カードのX−X線における断面
図である。
【符号の説明】
1 生分解性カード 2 コアシート層 3 オーバーシート層 4 磁気記録層 5 情報・デザイン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06K 19/077 G06K 19/00 K (72)発明者 谷口 正幸 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カードを構成する基材である数平均分子量
    が10000〜100000であるポリ乳酸または乳酸
    とオキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱可塑
    性樹脂およびフィラーとを混練してなるシートの両面或
    いは周囲に、ヒドロキシアルカノエートユニットを有す
    る生物合成による脂肪族ポリエステル樹脂およびフィラ
    ーとを混練してなるシートを積層或いは被覆してなるこ
    とを特徴とする生分解性カード。
  2. 【請求項2】前記乳酸がD−乳酸、L−乳酸またはそれ
    らの混合物であることを特徴とする請求項1記載の生分
    解性カード。
  3. 【請求項3】前記オキシカルボン酸がグリコール酸、ま
    たは6−ヒドロキシカプロン酸であるを特徴とする請求
    項1記載の生分解性カード。
  4. 【請求項4】前記ヒドロキシアルカノエートユニットを
    有する生物合成による脂肪族ポリエステル樹脂が3−ヒ
    ドロキシバリレート、3−ヒドロキシブチレート、3−
    ヒドロキシカプロレート、3−ヒドロキシヘプタノエー
    ト及びそれらの側鎖に種々の官能基を有するP(3H
    A)共重合体の1つ又は2つ以上の混合体からなること
    を特徴する請求項1記載の生分解性カード。
  5. 【請求項5】前記熱可塑性樹脂とフィラーを混練した
    後、二軸延伸してなることを特徴とする請求項1記載の
    生分解性カード。
  6. 【請求項6】前記基材上に磁気記録層または/および感
    熱記録層が形成されてなることを特徴とする請求項1記
    載の生分解性カード。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998004412A1 (de) * 1996-07-26 1998-02-05 Wolff Walsrode Ag Kompostierbare trägerbahn
JP2001150850A (ja) * 1999-11-22 2001-06-05 Toppan Printing Co Ltd Ovd付きスクラッチカード
JP2001206959A (ja) * 2000-01-25 2001-07-31 Toppan Printing Co Ltd プラスチックシート及びカード及びカードの偽造防止方法
US7708513B2 (en) 2004-07-12 2010-05-04 General Binding Corporation Binding elements and plurality of binding elements particularly suited for automated processes
USD620977S1 (en) 2006-08-04 2010-08-03 General Binding Corporation Binding element

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