JP3580949B2 - カード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にプリペイドカードや入場券など使い切りタイプに用いられるカードに関し、とくにカード構成全体が生分解性を有するとともに、機械読み取りに伴う耐折り曲げ性、剛度等のゲート特性を備えるカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−39745号公報にも記載されているように、現在、カードには身分を証明するIDカード、会員カードや金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、通行券など幅広い分野で利用されている。とくにカードで最も利用数が増加しているものとして、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を記録した、いわゆるプリペイドカード(前払いカード)がある。このカードには読み取り・書き込み装置を介して価値情報、識別情報がカード基材に印字または印刷表示した絵柄・文字情報として、またカード基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部に機械読み取り情報として記録されるため、この読み取り・書き込み装置で使用できるようにゲート特性と呼ばれる機械特性、例えば耐久性、耐折り曲げ性、剛度などが要求されている。このような条件を満たし、かつ製造が容易な素材として、一般的に、このプリペイドカードは、主にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等のプラスチック、すなわち機械特性のみを満たす樹脂をカード基材として利用している。
【0003】
さらに、IDカード、会員カード、キャッシュカード、クレジットカード等の一般的なカード用の基材として、ポリ塩化ビニル樹脂が用いられている。これらのカードは通常、利用者に販売若しくは貸与された後は、利用者がそのカード使い終われば廃棄されるものである。そして上述の素材のプラスチックカードは、その使用後の処理を、現在のところ焼却または廃棄物として埋め立て等によって処分されている。しかしプラスチック廃棄物は、ポリ塩化ビニル樹脂などの焼却による燃焼温度の高熱化による焼却炉の耐久性の問題、燃焼ガスなどの公害問題を有しており、焼却の影響の少ない前者の材質(PET)との分別も完全に行うことは不可能である。また廃棄物の埋め立てでは、埋め立て地において分解することなく原形のまま存在するため、半永久的にゴミとして残り、自然環境への影響が問題となっている。いずれにしても使用後の廃棄の問題が存在している。
【0004】
また従来から紙をカード基材として採用したカードが作られ利用されており、とくに紙は焼却や埋め立てなどの廃棄が簡単であり、しかも製造コスト安価であることから、上記した近年議論されているゴミなど環境問題の解決に最適なカード材料と見られている。
【0005】
さらに特開昭57−150393号公報、特開昭59−220192号公報、特開昭51−93991号公報、特開昭63−260912号公報、特開昭57−150393号公報に記載されるように、光または地中など自然環境下で分解可能なプラスチックが開発され、とくに使い捨て型の商品パッケージに用いられ、現在では一部が商品化されている。カードの分野では、特開平5−42786号や特開平5−85088号おいて、カード基材に生分解性或いは光分解性のプラスチックを用いることが述べられている。
【0006】
また特開平7−9788号号公報には、生分解性樹脂層を紙基材の片面または両面に設け、従来のプラスチックカードとしての特性と優れた廃棄性を有するカードが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙をカード基材として用いた場合に耐久性、耐折り曲げ性、耐水性、耐薬品性、防水性、表面平滑性、光沢性、加工性等のカードとしての適性を考慮すると、全ての点で機能が劣るため、紙の単独での使用は、通行券や入場券、乗車券など一時的な利用のみに限定され、一定期間使用される上述したプリペイドカードには不向きである。この場合には紙基材にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、PET等の合成樹脂やアルミニウム箔などプラスチック以外の外層を保護層として積層することが考えられるが、これらは廃棄性に優れず、上記したプラスチックカードと大差がない欠点を有する。
【0008】
またカード基材そのものを分解性を有するプラスチックで構成するようにしたカードは、そのプラスチックの機能により、廃棄後徐々に分解されていくものである。ところが、このカードはカード自体が有する利便性及びカード製造上の問題を考慮して作成されるものであり、分解性を有するプラスチックを単にカード基材として用いた場合、耐折り曲げ性、剛度という機械特性を有しているとは言えず、またカードの強度や使い易さから一定の厚みとする必要があるため、一体形成した時に、カード面の反りの発生や厚さの分だけ分解性を有するプラスチックを使用されるので、分解に時間がかかる。さらに分解性を有するプラスチックが高価であるため、カード自体も高価格となってしまう問題を有する。
【0009】
さらに上記の問題の改善を目的とした生分解性樹脂層を紙基材の片面または両面に設けてなるカードは、通常の使用では問題ないが、異常な環境、例えば洗濯など水に晒された場合、カードの端面から水分が染み込み、カードのカール・伸縮・エッジ部のめくれ等を生じることがあり、カードが損傷し易く、また前記カールやめくれにより読取り・書き込み装置に使うと、カードの搬送路などに引っかかるなどの問題を有していた。
【0010】
このような問題に対して、前記特開平8−39745号公報には、機械読み取り・書き込みにおいて要求される剛度等のゲート特性を有するとともに、カード構成全体が分解性を有するカードが開示されている。しかし、得られるカードの生分解性の一層の向上が要求されている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記特開平8−39745号公報に開示されたカードの生分解性をより向上させるために鋭意検討したところ、ポリカプロラクトンを組成物の一成分として加えることが極めて効果的であることを見い出し、本発明を完成させることができた。すなわち本発明の第一によれば、数平均分子量10000から200000である下記一般式(1)で示される生分解性を有する樹脂(A1)、ポリカプロラクトン(B)および充填剤(C)とからなる樹脂組成物層を基材とすることを特徴とするカードが提供される。
【0012】
【化3】
【0013】
同様に本発明の第二によれば、数平均分子量25000から70000である下記一般式(2)で示される生分解性を有する樹脂(A2)、ポリカプロラクトン(B)および充填剤(C)からなる樹脂組成物層を基材とすることを特徴とするカードが提供される。
【化4】
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のカードによれば、前記一般式(1)または一般式(2)で示される生分解性樹脂にポリカプロラクトンおよび充填剤を混練することにより、カード基材が耐久性、剛度、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の機械特性を保持し、これにより読み取り・書き込み装置での機械読み取り・書き込みのためのゲート特性を示す。さらに廃棄後に自然界に放置されても、向上された生分解性により、十分に自然分解可能である。
【0015】
本発明の第一において、一般式(1)で示される生分解性を有する樹脂(A1)の数平均分子量は10000から200000の範囲、好ましくは40000から100000の範囲である。また式中の−(OR1O−COR2CO)m−は、好ましくは、α,ω−2官能脂肪族アルコールと、α,ω−2官能脂肪族カルボン酸の重縮合で得られるポリエステル樹脂鎖であり、例えばコハク酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステル樹脂鎖、コハク酸とエチレングリコールから得られるポリエステル樹脂鎖、シュウ酸とネオペンチルグリコールから得られるポリエステル樹脂鎖、シュウ酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステル樹脂鎖、シュウ酸とエチレングリコールから得られるポリエステル樹脂鎖がそれらに相当する好ましいものとして挙げることができる。これらの中では、コハク酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステル樹脂鎖が特に好ましい。
【0016】
また一般式(1)において、R3はジイソシアナートまたはポリイソシアナート残基であり、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等に由来するものが例示されるが、中でもヘキサメチレンジイソシアネートに由来するものが好ましい。
【0017】
同様に本発明の第二において、一般式(2)で示される生分解性を有する樹脂(A2)の数平均分子量は25000から70000の範囲、好ましくは40000から70000の範囲である。また式中の−(OR1O−COR2CO)m−は、好ましくは、前記本発明の第一の場合と同じである。
【0018】
一般式(1)で表される生分解性を有する樹脂(A1)は前記脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールと脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物、エステルを含む)を重縮合して得られるポリエステルをジイソシアナートまたはポリイソシアネートの存在下で高分子量化させたウレタン結合を有する脂肪族ポリエステルであり、数平均分子量は10000から200000である。この樹脂の一般的な合成方法は、特開平4−189822号公報に開示されている。
【0019】
また一般式(2)で表される脂肪族ポリエステルは脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコールまたはそれらの混合物と、脂肪族(環状脂肪族を含む)ジカルボン酸(またはその酸無水物、エステルを含む)またはそれらの混合物から合成されたものを、カップリング剤としてジイソシアネートを用いることなく高分子量化されたウレタン結合を含まない脂肪族系ポリエステルであり、数平均分子量25000から70000である。この樹脂の一般的な合成方法は、特開平4−122205号公報に開示されている。
【0020】
本発明で使用するポリカプロラクトン(B)は、例えばアルコールなどの活性水素を開始剤とし、ε−カプロラクトンを常法の開環重合を行うことにより得られるものである。前記開始剤の官能数は、特に制限はなく、2官能や3官能のものが好ましく使用できる。ポリカプロラクトンの分子量は、低分子量から高分子量まで使用できるが、低分子量のポリカプロラクトンを使用した場合は、混練樹脂の耐熱性や機械強度の低下が大きくなるので添加量が制限されるが、樹脂組成物の溶融粘度が低下し、成形性が向上する等のメリットが現れる。しかし高分子量のポリカプロラクトンを使用する方が配合率を多くすることができ、耐熱性、機械特性、生分解性をいずれも高くバランスさせることが可能であり、より好ましい。具体的には数平均分子量で1,000から200,000、更には5,000から100,000のポリカプロラクトンが好ましく使用できる。なお、200,000よりも高い数平均分子量をもつものも問題なく使用可能であるが、このような非常に分子量の高いポリカプロラクトンを得るのは難しく、現実的ではない。また、使用するポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの単独重合体以外に、バレロラクトンや、グリコリド、ラクチドなどのコモノマーを20モル%以下使用した共重合体も本発明で使用するポリカプロラクトン(B)に含まれる。
【0021】
また本発明に使用される充填剤(C)としては、好ましくは無機充填剤であり、例えば炭酸カルシウム、マイカ、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、石綿、陶土(焼成)、ガラス繊維等が例示される。充填剤が繊維状である場合は、延伸方向の折り曲げ強度が向上する。
【0022】
本発明の第一において、樹脂(A1)100重量部に対し、ポリカプロラクトン(B)5から100重量部、好ましくは20から70重量部、充填剤(C)10から300重量部、好ましくは30から200重量部を混練してなる樹脂組成物層を基材とする。混練条件は特別なものではなく、上記組成で配合した原料を押出機により両樹脂の融点温度以上の温度で混練し、押し出せばよい。
【0023】
同様に本発明の第二において、樹脂(A2)100重量部に対し、ポリカプロラクトン(B)5から100重量部、好ましくは20から70重量部、充填剤(C)10から300重量部、好ましくは30から200重量部を混練してなる樹脂組成物層を基材とする。
【0024】
次に本発明のカードを図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のカード1の断面図を示し、図2及び図3は、本発明の他の実施例によるカードの断面図を示す。
【0025】
図1の本発明のカード1は、カード基材2の主成分として、一般式(1)、または一般式(2)で表される脂肪族ポリエステルを含む生分解性を有する樹脂組成物を用いており、これらを構成する樹脂成分は完全生分解性を有する。なおポリエステル類は構造上から脂肪族および芳香族に分類され、本発明の脂肪族ポリエステルは生分解性を有することが既に知られている。(生分解性プラスチックのおはなし、日本規格協会P・59からP・66,1991)
なお、生分解性を有するとは、JIS K6950で規定する都市下水汚泥中での28日間培養後の分解率が20%、好ましくは60%を上回ることを示す。
【0026】
前記カード基材2は、本発明で規定する樹脂組成物を用いることにより、剛度、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性、表面平滑性、光沢性、耐水性、耐薬品性、防水性において、従来のポリエステル、塩化ビニル樹脂を素材とするものと同等の特性を有する。
【0027】
また本発明の組成の樹脂組成物を二軸延伸加工することにより、得られるシート状のカード基材2は、剛度、成形加工性、機械強度、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の特性が向上する。
【0028】
またこれら一般式(1)または一般式(2)で表される樹脂を含む組成物には、樹脂の特性を失うことのない範囲であれば、必要に応じて各種添加剤を樹脂成分100重量部に対し、例えば着色防止剤0.05から3重量部、酸化防止剤0.05から3重量部、滑剤0.05から0.5重量部、有機顔料及び無機顔料などを添加することが可能である。
【0029】
本発明のカード基材2の製造は、上記のように得られる熱可塑性の樹脂組成物を、通常、公知である押出法によりシート状に成形し、さらに二軸延伸加工した後、このシートをカレンダー処理する。なお、カード基材2は単層構成以外にも、同一の材料または異なる特性を有する樹脂材料からなるシート12、13をそれぞれ作製し、カード基材を図3に示すカード11のような多層構成としてもよい。
【0030】
上記のように得られたカードに対して、従来の紙・プラスチックカードの場合と同様な印刷・加工法を用いることができる。カード基材2にオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法により、文字、絵柄などの可視情報・デザイン部3を印刷し、打抜機を用いてカードサイズに加工することによりカードが製造される。
【0031】
さらに本発明のカードには、図1に示す磁気記録層4や、図2に示す感熱記録層5などの情報記録層を形成することができる。この磁気記録層4と感熱記録層5は同一カード上に形成することもできる。なお、磁気記録層4の形成方法は磁気記録材料をバインダーなどに分散した塗液を塗布するか、磁気記録層を形成したシートを積層する等である。同様に感熱記録層は5は公知の感熱記録材料、例えば感熱ロイコ染料、感熱ジアゾ染料等からなる塗液の塗布やスズ、アルミニウム等の低融点金属薄膜により形成することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて詳細に説明するが、これらによって本発明を限定するものではない。
【0033】
また、本発明に用いられる樹脂の数平均分子量の測定は、次のGPC法により行なった。
測定装置:Shodex GPC KF−804L(昭和電工株式会社製)、溶離液:CHCl3、サンプルカラム:Shodex No9506461 3本、ポリマー溶液:0.1wt%,200μl、操作条件:液流量1.0ml/分、カラム温度50℃、圧力30kg/cm2、検出器:ShodexRI、分子量スタンダード:標準ポリスチレン
【0034】
(実施例1)
上記の方法により測定された一般式(1)で表される数平均分子量90000の樹脂(コハク酸系ポリエステル樹脂,昭和高分子(株)製ビオノーレ#1003)100重量部と数平均分子量100000のポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製PLACCEL H7)43重量部、マイカ(HAR160白石工業株式会社製)50重量部、酸化チタン8重量部をベント式押出機にて混練後、得られた樹脂組成物をTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸、カレンダー処理を行ない、表面平滑性を向上させた厚さ190μmのシートを得た。このシートは曲げ弾性率が40000kgf/cm2を示し、ポリエチレンテレフタレート樹脂シートに近い特性が得られた。このシートの生分解性を測定するため、シートを微粉末に粉砕後乾燥し、JISK6950に準じて測定した。その結果、シート中のプラスチックスに換算し75重量%の良分解性であった。なお、比較のためPLACCEL H7とビオノーレ#1003について同様に生分解性を測定した結果、それぞれ81重量%、2重量%であった。
【0035】
このシートに下記の組成からなる磁気塗料をナイフコーティングにより約10μmの黒色磁気記録層を形成し、約3000ガウスの水平磁界中の磁場配向をかけた後、100℃の熱風で3分間乾燥させた。
【0036】
(磁気塗料の組成)
磁性分(17500e:バリウムフェライト)100部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VAGF:ユニオンカーバイト社製)20部、ポリウレタン樹脂(ニッポンラン2304:日本ポリウレタン工業)30部、ヘキサメチレンジイソシアネート(コロネートHX:日本ポリウレタン工業)2部、カーボンブラック(#3000:三菱化成社製)5部、分散剤(ガーファック RE−610:東邦化学社製)3部、希釈溶剤(トルエン/MEK/MIBK)100部。
【0037】
前記シートを縦57.5mm×横85.0mmのサイバネ規格の図1に示すカード1を作製した。このカード1を、カードの読み取り、書き込み装置を有するゲートに2m/secで通過させたところ、異常は生じなかった。このカードを水中に30秒間浸漬した後、水を拭き取り、同様にゲートを通過させたが、異常は生じなかった。この時の剛度は25gf/cmであり、水への浸漬の前後において変化はなかった。さらにこのカード1を畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、4カ月経過後には、磁気記録層を残して、形状も保持されてない状態であった。
【0038】
(実施例2)
一般式(2)で表される数平均分子量52000の樹脂(コハク酸と1,4−ブタンジオールとの脂肪族ポリエステル樹脂100重量部、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製PLACCEL H7)50重量部およびマイカ(HAR160 白石工業株式会社製)60重量部、酸化チタン10重量部をベント式押出機にて混練後、これをTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸、カレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ560μmのコアシートを作製した。このシートについて実施例1と同様にJIS K6950に準じて生分解性を測定した。その結果、シート中のプラスチックスに換算し80重量%の良分解性であった。
次に実施例1と同じ配合の組成物をTダイ溶融押出機により加工温度200℃で規定の厚さに押し出し後、二軸延伸、カレンダー処理を行い、表面平滑性を向上させた厚さ100μmのカバーシートを作製した。さらにコアシート12の両面にカバーシート13を積層し、図3に示すカード11とした。このカードの引っ張り強度は4.9kg/mm2を示し、軟化温度は100℃であり、塩化ビニル樹脂カードよりも高く、また150℃の流動パラフィン中に5分間浸漬させたが、シート間の剥離は生じることなく、全体として塩化ビニル樹脂カードと同程度以上の特性を示した。なお、このカード11を畑土壌中に埋設し、分解状態を観察したところ、4カ月経過後には、磁気記録層を残して、形状も保持されてない状態であった。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のカードは、分解性を有する樹脂(A1)または(A2)にポリカプロラクトン、さらには充填剤を添加することにより、剛度、成形加工性、機械強度、硬さ、衝撃強度、寸法安定性、耐折り曲げ性等の機械特性に優れ、機械読み取り・書き込み機に用いられることが可能なゲート特性を有するとともに、このカードが廃棄時に焼却されずに自然界に放置されても、微生物などによる生分解性が一層向上しているため、廃棄による環境への影響を少なくすることができるものである。
【0040】
また、機械特性に優れるため、使用する生分解性樹脂の厚さ、すなわち使用量を少なくすることができ、製造コストの低減が可能となり、しかも従来のプラスチックを用いた場合とほぼ同じ強度・耐性を有するため、現状の使い切りカードなどの用途における使用にも十分に耐えられるものである。
【0041】
また本発明のカードに用いられる生分解性樹脂は、従来のプラスチックに比べると物性、加工性で劣る面もあるが、その分解性を低下させない程度に添加剤や非分解性のプラスチックを混合することにより物性、加工性を向上させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカードの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明のカードの他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明のカードの他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,10,11:カード
2:カード基材
3:可視情報・デザイン部
4:磁気記録層
5:感熱記録層
12:コアシート
13:カバーシート
Claims (8)
- 樹脂(A1)100重量部に対し、ポリカプロラクトン(B)5から100重量部、充填剤(C)10から300重量部からなる樹脂組成物層を基材とすることを特徴とする請求項1記載のカード。
- 樹脂組成物層が二軸延伸されてなることを特徴とする請求項1記載のカード。
- 樹脂組成物層上に磁気記録層および/または感熱記録層が形成されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカード。
- 樹脂(A2)100重量部に対し、ポリカプロラクトン(B)5から100重量部、充填剤(C)10から300重量部からなる樹脂組成物層を基材とすることを特徴とする請求項5記載のカード。
- 樹脂組成物層が二軸延伸されてなることを特徴とする請求項5または6記載のカード。
- 樹脂組成物層上に磁気記録層および/または感熱記録層が形成されてなることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のカード。
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