JP3595475B2 - 移行型プラズマ加熱用陽極 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移行型プラズマ用陽極の改良に係り、特にタンディッシュ内溶鋼加熱用として適用するのが好適な移行型プラズマ加熱用陽極に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンディッシュ内溶鋼を加熱するための直流電流ツイントーチ型プラズマ加熱装置の概要は図1の様になっている。タンディッシュカバー2にはそれぞれ陽極3と陰極4である2本のプラズマトーチが挿入されており、それぞれのトーチ3,4と溶鋼5との間にプラズマアーク6を発生させ、溶鋼を加熱するものである。このとき電子の流れ7は、陰極4から溶鋼5を通り陽極3に向かう。
【0003】
上記陽極プラズマトーチの1例を図2に示す。同図は上記陽極トーチの先端部断面を示す。陽極3の材質として、例えば無酸素銅が用いられる。上記陽極トーチは外側を覆うステンレス又は銅製の外筒ノズル8と、内側の銅製の陽極本体3からなる。陽極3の先端部は平らな円盤状であり、陽極3及びノズル8はいずれも冷却構造となっており、冷却水入側と出側水路はそれぞれ円筒形の仕切版9,11で仕切られている(図中、10及び12は冷却水の流れを示す)。また、ノズル8と陽極3の間は隙間13があり、その隙間13からプラズマガスを吹き出す構造となっている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
上記直流電流陽極プラズマトーチの問題点の1つに、陽極先端が損傷し寿命が短いということがある。陽極はプラズマ加熱稼働時においては、電子の受け手となるために電子が陽極先端外表面に衝突し、先端外表面にかかる熱負荷が大きい。陽極先端にかかる熱負荷は数十MW/mと非常に大きく、陽極先端冷却側の熱伝達形態は強制対流核沸騰熱伝達にあると考えられる。強制対流核沸騰熱伝達の場合、その熱伝達率は10[W/mK]のオーダーと強制対流伝熱の熱伝達率の10倍程度大きいが、陽極先端外表面にかかる熱負荷が大きくなりすぎると冷却側伝熱面の温度は上昇し伝熱形態が膜沸騰伝熱へと移行するバーンアウトが生じる。膜沸騰伝熱へと移行する際に、伝熱面における熱伝達率は急激に低下し更に伝熱面の温度は上昇してしまい、最終的に陽極先端温度が融点を超え溶損してしまう危険性がある。
【0005】
図2で示される、従来陽極冷却水路構造の場合のバーンアウトを引き起こす熱負荷値−バーンアウト限界熱流束−を図21に示す。図21に示すグラフは、前記陽極3の先端冷却側が最大半径Rcool=22mmである陽極の先端冷却側における半径を横軸にとり、バーンアウト限界熱流束を縦軸にとったものである。なお、バーンアウト限界熱流束の見積りには、Zenkevichの式(Zenkevich et al, J. Nuclear Energy, Part B, 1−2, 137, 1959)を用い、バーンアウト限界熱流束wBO[W/m]は(1)式で表される。
Figure 0003595475
ここで、(1)式中のL,σ,G,ν,i及びicoolは冷却水の物理量であり、それぞれ、蒸発熱[J/kg]、表面張力[N/m]、重量速度[kg/ms]、動粘性係数[m/s]、エンタルピー[J/kg]及び主流のエンタルピー[J/kg]を表す。図21のグラフより、中心付近のバーンアウト限界熱流束が低いことがわかる。これは、陽極3を流れる冷却水の流速による起因が大きく、陽極中心上側から流れ込む冷却水は陽極先端に衝突し流速が低下するのでバーンアウト限界熱流束も低下する。陽極先端外表面にかかる熱負荷がバーンアウト限界熱流束を超えると、陽極先端冷却側においてバーンアウトが生じ伝熱面温度が上昇し溶損に至ると考えられ、バーンアウト限界熱流束が低い陽極先端中心部は溶損しやすい。
また、陽極先端中心部のバーンアウト限界熱流束は低いが、移行型プラズマ加熱の場合、陽極先端外表面中心部には熱が集中しやすい性質がある。また、陽極表面に一旦電流の集中ヶ所(アノードスポット)が形成されると、そのアノードスポットに更に電流が集中する性質がある。つまり、陽極先端外表面において、溶解によって損傷し始めると更に損傷が促進し、最終的に冷却水側まで溶損し寿命に至る。
【0006】
図3はプラズマにかかるピンチ効果を説明したものである。ノズルと陽極との隙間13から吹き出るプラズマに比べて十分温度の低いガスの流れ14により、プラズマ15は中心方向に集中しやすい性質(サーマルピンチ効果)をもっている。プラズマ中の電流密度は一般に温度に対する増加関数であり、プラズマ中心部16の電流密度は全体の平均に比べ大きいと言えるので、陽極先端外表面中心部17に入射する電流密度は大きくなる。従って、陽極先端外表面中心部17は先端外表面外周部18に比べ損傷の度合いが大きい。また、プラズマ中を流れる電流19が作り出す回転磁場20との相互作用によりプラズマ中を陽極に向かって運動する電子21は中心方向に向かう力22を受ける(磁気的ピンチ効果)。
【0007】
また、図4に示す様に、内部を流れる冷却水水圧、熱応力やクリープにより陽極先端は外側に凸型に変形をおこす。この凸型変形は陽極先端外表面中心部17に突起23を形成することとなり、電場32は前記突起部23へ集中する。プラズマ中を運動する電子21は電場32の方向に加速されるので、電流19は突起部23に集中しやすいことから、更に陽極先端外表面中心部への電流集中を招くことになる。つまり、陽極先端外表面中心部17は更に損傷を受けやすくなる。陽極先端外表面中心部17の損傷が進行すると、最終的に、陽極先端外表面中心部17において冷却水路25が破れ操業不能状態に陥る。このように、陽極先端外表面中心部への電流集中により陽極の耐用時間は著しく短縮されてしまう。
【0008】
図5aから図5dはアノードスポットへの電流集中について説明したものである。陽極先端外表面表面の清浄性が良好な初期状態(図5a)において、電子21は陽極先端外表面26に対しほぼ垂直に入射する。しかし、前述した様に、図4に示した陽極先端外表面中心部17には電流が集中しやすく、陽極先端外表面が高温になることで銅が融解・蒸発し外表面中心近傍に銅蒸気の雲27を形成する(図5b)。
電子21の衝突により、蒸発した銅原子28の中の電子は励起し、電離する。この時、銅原子より電離した電子29は質量が小さく移動度が大きいため、すぐに陽極先端外表面に入射する。しかし、銅イオン30は移動度が小さく蒸気雲27中に停滞するので、蒸気雲は正に帯電する(図5c)。
この蒸気雲27の正電荷ポテンシャルにより、プラズマアーク中の電子21は蒸気雲27へ向かう加速度を受ける(図5d)。
結果として、アノードスポット31が生じると、プラズマアーク中の電子は陽極先端外表面近傍において陽極先端外表面中心部に加速度的に集中する。このような機構により、陽極先端の損傷は加速度的に進行する。
本発明は、プラズマ加熱用陽極において、冷却のバーンアウト限界熱流束を向上させ、上記のような陽極先端の損傷速度を遅延させ、寿命を延長させるための、上記陽極先端形状及び材質に関するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の要旨とするところは、
(1)直流電流を容器内の溶融金属に通電し、Arプラズマを発生させながら溶融金属を加熱する移行型プラズマトーチであって、内部水冷構造を有する導電性金属からなる陽極と、前記陽極の外側に一定の間隔を設け内部水冷構造を有する金属製保護体と、前記陽極と前記保護体の間隙にArを含有する気体を供給する気体供給手段を有し、前記陽極先端冷却側の中央に突起を有することを特徴とする移行型プラズマ加熱用陽極。
(2)陽極先端外表面の中心部が内側に凹んでいることを特徴とする(1)に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
(3)陽極先端外表面の全体が内側に凹んでいることを特徴とする(1)又は(2)のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
(4)陽極先端冷却側にリブを有することを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載の移行型プラズマトーチ。
(5)陽極内部に第2の気体供給手段を有し、前記第2の気体供給手段は陽極先端外表面より気体を吹き出す機能を有することを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
(6)陽極先端外表面の全体及び/又は中心部が凹んでおり、かつ、前記陽極内部に円周方向に回転自在な1又は2以上の永久磁石を有することを特徴とする(1)から(5)のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
(7)陽極先端材質をCr又はZrを含む銅合金とする(1)から(6)のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
前述した様に、陽極先端中心部損傷を引き起こすものは、陽極先端冷却側伝熱面のバーンアウト、プラズマにかかるピンチ効果による電流集中、電流集中を加速させる陽極先端の凸変形やアノードスポットの形成である。本発明では、この様なバーンアウトの発生、電流集中、凸変形やアノードスポットの形成を防止するために、陽極先端形状を変更し、陽極先端に高強度合金を適用し、アノードスポット形成防止のための外乱発生装置を設置する。
冷却伝熱面におけるバーンアウトの防止するためには、陽極の有効面積を大きくすることが考えられる。しかし、設備の取り合い上の問題や、陽極を大きくすることでトーチの質量が増加するのでトーチ保持設備限界の問題等、陽極の有効面積を十分大きくできない場合がある。そのため、陽極先端部を適当な形状とすることでバーンアウトの発生を防止する必要がある。そのような形状の前記(1)に係る本発明例を図22に示す。
【0011】
図22において、陽極先端冷却側の中央に冷却水の流れ10を円滑にするための突起51を設置する。突起51はほぼ円錐形を成しており、その側面は冷却水の流れ10に対する流線型としている。この突起51により陽極先端冷却水側中心部における冷却水流速の低下を防ぐことができ、バーンアウト限界熱流束の向上が図れる。冷却水流速向上を効果的に狙うため、突起底面の半径Rp及び突起の高さHpはそれぞれ、仕切版9の内径Rinの1/1〜2/1及び1/1〜3/1であることが好ましい。
【0012】
陽極先端部を適当な形状とすることで陽極先端外表面中心部への電流集中を防止することを狙った前記(2)に係る本発明例を図6に示す。
図6において、陽極先端外表面中心部17を凹ませる。図7において、電場32は導体表面に対して垂直に入射するので、図16に示す比較例に比べ陽極先端外表面中心部を凹ませることにより陽極先端外表面中心部の電束密度を低下させ電流集中を防ぐことができる。
凹部の領域は、電流集中防止領域を確保するため、陽極先端中心から陽極先端半径Raの1/5〜3/4を半径とする円であることが望ましい。また、凹部の中心高さHdは、電流拡散効果を確保するため、凹部領域半径Rdの1/3〜2/1とすることが望ましい。凹部領域半径Rdは陽極先端外表半径Raの1/3〜3/4であることが好ましい。また、本発明において、気体供給手段から供給する気体は、Ar100vol%でも良いし、Ar75vol%以上で電圧上昇のためN0.1〜25vol%を含有し、残部不可避的不純物としても良い。また、陽極先端外表面中心部を凹ませることにより、突起51を設置したことによる先端中心部厚みの増加を低減でき冷却面からの距離を縮めることにもなるので、先端外表面の温度を低下させる効果も狙える。
【0013】
前記(3)に係る本発明において、陽極先端の凸型変形を防止するための陽極先端外表部形状の1例を図8に示す。図8において、陽極先端にかかる水圧と熱応力による凸変形をキャンセルするために陽極先端外表面全体33に内側に凹み(クラウン)を形成する。クラウンの高さHcは、プラズマ加熱時において陽極先端外表面が変形により水平面を保持するため、100〜500μmとすることが望ましい。
【0014】
陽極先端の凸変形を防止するために、陽極先端に高温状態においても陽極先端の剛性を高く保つ必要がある。前記(4)に係る本発明として、高剛性を保持するための手法の1つとして、陽極先端冷却面側においてリブを設置する。
図9は、陽極先端冷却面側の外周部にリブ34を設置した陽極の断面図を表す。リブは円周方向に1枚以上、好ましくは等間隔に4枚以上設置する。リブの高さHr、半径方向の長さLr及び幅Drはそれぞれ、高剛性を保ちかつ冷却水の流れを妨げないようにするため、陽極先端半径Raの1/5〜2/3、陽極先端半径Raの1/5〜2/3及び陽極先端冷却水路幅Dcの1/4〜1/1とするのが好ましい。しかし、冷却面内にリブを設置する場合、冷却水路や仕切版の形状を変更する必要があるので、高剛性を保持するためにはCr−Cu、Zr−Cu又はCr−Zr−Cu等の高強度材を適用することが望ましい。
以上のことから、陽極先端外表面中心部への電流集中を防止できるが、前述したように、アノードスポットが形成されるとそのアノードスポットに更に電流集中が生じるので、陽極先端外表面中心部以外にアノードスポットが形成されてもそのアノードスポットにやはり電流集中を生じる虞がある。そこで、アノードスポット形成防止用外乱発生装置の例を図10と図11に示す。
【0015】
前記(5)に係る本発明例を示す図10において、プラズマ作動ガスを陽極先端外表面26から吹き出し、陽極先端外表面近傍においてガス流れに擾乱や旋回を引き起こすための第2の気体供給手段43を設けることで、アノードスポット31を移動させることができる。第2の気体供給手段43は陽極先端外表面を貫通する円筒管とすることが好ましく、前記円筒管の外径は冷却水の流れを妨げることなく確実に気体を供給できるように1mm〜5mmとし、材質は腐食防止のためステンレス、銅又は腐食防止メッキを施した銅が好ましい。また、効果は1本でも得ることができ、好ましくは図10及び図20に示すように、陽極中心部に1本と陽極内部に設置された冷却水路仕切版9の内部に円周方向に等間隔に4〜10本設置することが好ましい。
【0016】
前記(6)に係る本発明例を示す図11において、陽極内部に永久磁石36を埋め込み、その永久磁石を回転させることで時間的に変動する外部磁場38(図19)を形成し、アノードスポットを移動させることができる。図13に示すように、永久磁石に繋がる羽46を冷却水路内に有し冷却水の流れにより永久磁石の回転を実施できる。
【0017】
高剛性を保持するための手段の1つとして、前記(7)に係る本発明では、高強度を保てる銅合金を陽極先端に適用する。但し、陽極先端外表面温度を低く保つために、前記銅合金の熱伝導率は従来材質である無酸素銅と同程度、若しくは、それ以上である必要がある。この様な条件を満たす銅合金の例として、Cr−Cu、Zr−CuとCr−Zr−Cuがある。例えば、Cr−Zr−Cuでは、市販されているCr0.5〜1.5%、Zr0.08〜0.30%、残部銅がある。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
図12、図13、図17及び図18はそれぞれ本発明の一実施例を示す断面図である。
図12及び図17で示される陽極の特徴は以下の(1)〜(6)の通りであり、図12は本発明の垂直断面図、図17は本発明の水平断面図を示す。
(1)陽極先端外表面半径Ra=25mm、陽極先端冷却側半径Rcool=22mm、陽極先端厚みDa=3mmである。
(2)陽極先端冷却側中心部に設置した円錐状の突起51は、底面半径Rp=15mm、高さHp=20mmであり、側面は冷却水の流れに沿うような流線型を成している。
【0019】
図23に示すグラフは、前記陽極の先端冷却側が最大半径Rcool=22mmである陽極の先端冷却側における半径を横軸にとり、バーンアウト限界熱流束を縦軸にとったものであり、図中破線52は従来型陽極(図2参照)の先端冷却側伝熱面におけるバーンアウト限界熱流束、図中実線53は本発明実施例の先端冷却側伝熱面におけるバーンアウト限界熱流束を示す。図23より、本発明実施例において、従来陽極に比べバーンアウト限界熱流束が向上し陽極先端半径方向においてバーンアウト限界熱流束が高いレベルで一定に保たれていることがわかり、バーンアウトの危険性が低下した。また、突起51を設置することで先端中心部の肉厚が増加し先端外表面中心部の温度が上昇することが考えられるが、突起51における冷却伝熱面積が大きいので問題ない。
【0020】
(3)陽極先端外表面全体の凹み(クラウン)は、曲率Rc=1041mmの球面であり先端中心における高さはHc=300μmである。このクラウンにより、プラズマ加熱操業時における陽極先端外表面は熱応力変形によりほぼ平面となる。
(4)陽極先端外表面中心部17に形成した半径rd=10mmの範囲における曲率Rd=15mmの球面状の凹部40を設置する。先端中心における凹部40の高さはHd=4mmである。図16に示すように凹部40がない従来型にくらべ陽極先端外表面中心部17に入射する電場32は分散し、電流密度は低下する。但し、陽極先端外表面の凹部とその外側との境界41は大きな凸部を形成しないように滑らかに繋げる必要がある。その境界41の曲率はRb=30mm以上が望ましく、本実施例の場合、Rb=50mmとした。
【0021】
(5)陽極先端外表面は500度以上の高温に曝されるので、従来の無酸素銅を用いた陽極ではクリープによる変形の虞がある。特に、陽極先端外表面の損傷が進行し先端厚みが減少すると、クリープ変形は大きくなり陽極先端は凸型に変形してしまう。そこで、陽極の材質にCr0.08%、Zr0.15%を含む銅合金を適用した。図14は、半径25mmの銅(又は銅合金)円盤の板厚に対する中心のクリープ変形変形量(図15で示されるhc[mm])を示したものである。図中◇直線49で示される無酸素銅に対して、図中○直線50で示されるCr−Zr−Cuはクリープ変形が小さく、特に、陽極先端厚み1.5mmにおいては3桁小さい。つまり、Cr−Zr−Cuは無酸素銅に比べクリープ変形しにくく、陽極先端の凸型変形を抑えることができる。
【0022】
(6a)陽極先端外表面に作動ガスを吹き出すための8個の吹き出し口42a〜42hを陽極先端外表面において円周上に、更に1個の吹き出し口42iを陽極先端外表面中心部に設置し、更に、吹き出し口42a〜42hに繋がる作動ガスを通すための内管43a〜43hを仕切版9の内部に、吹き出し口42iに繋がる内管43iを陽極中心軸上に有する。また、作動ガスの旋回を引き起こすために、内管42a〜42hは陽極下方において斜めになっている。吹き出し口42a〜42iから吹き出される作動ガスにより、陽極先端外表面近傍における作動ガスの流れに旋回をおこさせることで、アノードスポットを移動させることができる。
図2に示す従来の移行型プラズマ加熱用陽極に比べ、本発明による移行型プラズマ加熱用陽極の寿命は1.5〜2倍に増加した。
図13及び図18は図12及び図17で示される陽極の(1)〜(4)と同じ特徴を有し、更に5つめの特徴として以下の特徴を有し、更に5つめの特徴として以下の特徴を有し、図13は本発明の垂直断面図、図18は本発明の水平断面図を示す。
【0023】
(6b)陽極内部の仕切版9の中に永久磁石36を2個有する。この2個の永久磁石36a、36bは陽極対称軸に対して対称な位置に設置され、連結棒44によって繋がっており、連結棒44は陽極先端冷却側中心から垂直上方5mmに設置された回転軸45と連結しており、永久磁石36a、36bは回転軸を中心に円周方向に回転可能である。また、連結棒44に固定された羽46を冷却水路47内に設置することで、冷却水の流れ48により永久磁石36a、36bは円周方向に回転する。陽極先端外表面近傍において、永久磁石36a、36bによって形成される磁場38は永久磁石36a、36bが回転することで時間に対して周期的に変動する。磁場と運動する荷電粒子は相互作用するので、時間的に変動する磁場38により(図19参照)プラズマ中のイオンや電子の運動も変動の影響を受ける。そのため、陽極先端外表面においてアノードスポットが形成されても時間的に変動する磁場により荷電粒子は外乱を受け、アノードスポットを移動することができる。
図2に示す従来の移行型プラズマ加熱用陽極に比べ、本発明による移行型プラズマ加熱用陽極の寿命は1.5〜2倍に増加した。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、直流電流ツイントーチ型プラズマ加熱装置の陽極先端の損傷速度を遅延させ、寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンディッシュとプラズマトーチの概略図。
【図2】従来技術によるタンディッシュ内溶鋼加熱用移行型プラズマ陽極の概略図。
【図3】プラズマのピンチ効果の説明図。
【図4】陽極先端凸型変形による電流集中の説明図。
【図5】アノードスポット形成による電流集中の説明図。
【図6】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図7】図6で示す移行型プラズマ加熱用陽極の1例の先端から出る電場の概略図。
【図8】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図9】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図10】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図11】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図12】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図13】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図14】クリープ変形量の材質比較。
【図15】図14で示されるグラフの説明図。
【図16】図2で示される従来技術による移行型プラズマ加熱用陽極の先端から出る電場の概略図。
【図17】図12で示される移行型プラズマ加熱用陽極の水平断面図。
【図18】図13で示される移行型プラズマ加熱用陽極の水平断面図。
【図19】図13で示される本発明における、磁場の概略図。
【図20】図10で示される移行型プラズマ加熱用陽極の水平断面図。
【図21】従来陽極先端冷却側伝熱面におけるバーンアウト限界熱流束の分布。
【図22】本発明に係る移行型プラズマ加熱用陽極の1例の垂直断面図。
【図23】従来陽極と本発明に係る実施例の従来陽極先端冷却側伝熱面におけるバーンアウト限界熱流束の分布。
【符号の説明】
1 タンディッシュ
3 陽極
5 溶鋼
6 プラズマアーク
7 電子の流れ
9 仕切版
10 冷却水の流れ
17 陽極先端外表面中心部
19 電流
21 プラズマ中の電子
23 陽極先端凸変形部
26 陽極先端外表面
31 アノードスポット
29 陽極先端外表面クラウン
32 電場
34 リブ
36,36a,36b 永久磁石
38 磁場
40 陽極先端凹部
42 作動ガス吹き出し口
43 第2の気体供給手段(作動ガス吹き出し用小管)
51 突起

Claims (7)

  1. 直流電流を容器内の溶融金属に通電し、Arプラズマを発生させながら溶融金属を加熱する移行型プラズマトーチであって、内部水冷構造を有する導電性金属からなる陽極と、前記陽極の外側に一定の間隔を設け内部水冷構造を有する金属製保護体と、前記陽極と前記保護体の間隙にArを含有する気体を供給する気体供給手段を有し、前記陽極先端冷却側の中央に突起を有することを特徴とする移行型プラズマ加熱用陽極。
  2. 陽極先端外表面の中心部が内側に凹んでいることを特徴とする請求項1に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
  3. 陽極先端外表面の全体が内側に凹んでいることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
  4. 陽極先端冷却側にリブを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の移行型プラズマトーチ。
  5. 陽極内部に第2の気体供給手段を有し、前記第2の気体供給手段は陽極先端外表面より気体を吹き出す機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
  6. 陽極先端外表面の全体及び/又は中心部が凹んでおり、かつ、前記陽極内部に円周方向に回転自在な1又は2以上の永久磁石を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
  7. 陽極先端材質をCr又はZrを含む銅合金とする請求項1から6のいずれか1項に記載の移行型プラズマ加熱用陽極。
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