JP3595097B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁性又は導電性単結晶基板上に成長したGaN、AlN、InN、又はInGaAlN等の窒化物化合物半導体層、及びZnSe系II−VI族化合物半導体層からなる半導体装置に係り、特に化合物半導体層と成長基板との間、化合物半導体層と金属電極との間、成長基板と金属電極との間又は化合物半導体層の層間のいずれかに抵抗を大幅に低減するのに役立つ金属酸化物層を形成することにより、動作電圧を大幅に低減することができる半導体装置に関するもので、例えば長寿命の連続動作青色レーザ(以下LDと略称)、長寿命の高輝度青色発光ダイオード(以下LEDと略称)等に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、GaN系化合物からなる半導体装置には、サファイア等の単結晶絶縁基板上に前記GaN系化合物層を成長し、メサ加工した後、電流供給用の第1の電極をメサの頂上部に設け、電流供給用の第2の電極を前記メサの下部から絶縁基板上に横に引き出す構造を有するものが多く用いられてきた。同様な構造は、ZnSe系化合物からなる半導体装置にも用いられている。
【0003】
このような電極構造を有する半導体装置は、半導体層を導電性基板上に成長して第1の電極をその最上層に設け、第2の電極を前記導電性基板の下部に設けたもの比べて、構造上高抵抗になりやすい欠点があった。
【0004】
以下、前記第1の電極を上部電極、前記第2の電極を下部電極と呼ぶことにする。また簡単のため、混晶化合物半導体の組成を表すサフィックスは、特に必要な場合以外は省略することにする。
【0005】
半導体装置の電極のコンタクト領域が高抵抗となれば、装置の動作電圧が高くなり、長寿命の連続動作が不可能となる。また装置内部の電流密度分布にも影響を与えて装置の動作特性そのものに悪影響を及ぼす。
【0006】
図25はサファイア基板上に成長した、従来のGaN系LDの内部の電流密度分布を模式的に示した断面図である。多層構造の内部の曲線群は電流密度の分布状況をを示している。青色から紫色のGaN系LDまたはLEDは、InGaNからなる活性層7を有し、活性層7の上下にはそれぞれn型及びp型GaN(以下n−GaN、p−GaN等と略称)から成る光ガイド層6及び8が形成され、これに隣接してn−AlGaN、及びp−AlGaNから成る光閉じ込め用クラッド層5及び9が形成される。
【0007】
LDの主要部をなす上記のダブルヘテロ構造に対して、電極のオーミック抵抗を低減することを目的として、それぞれ上下にn−GaN、及びp−GaNから成るコンタクト層4及び10を形成する。動作電流を流す下部電極3はサファイア基板上に最初に成長するn−GaNコンタクト層4を横方向に引き出し、その上に形成される。なお図25において、ストライプ状に形成されたSiO2 膜11は、活性層7に供給する電流をその中央部に狭窄することにより、動作電流の低減を図るための電流阻止用絶縁膜である。
【0008】
n−GaNコンタクト層4は横方向にシート抵抗を有するため、装置のカソード面となる前記n−GaNコンタクト層4の横方向に沿って電位降下を生ずる。このため理想的には、電流密度分布は装置のアノード、カソード間で縦方向にほぼ一様でなくてはならないが、絶縁基板上に多層の化合物半導体を成長した図25に示す構造の装置では、下部引き出し電極3を設けたメサの裾野方向に向かって動作電流の流線が大きく曲げられる。
【0009】
この現象が装置の発光パターンに与える影響を図26に示す。横軸xは図25の横方向の距離、縦軸は発光の開口部に近接して測定した発光強度である。
図26の実線で示すように、前記電流密度分布の偏りによって発光強度分布にも偏りを生じ、LDの特性に悪影響を及ぼす。
【0010】
特に図25とは逆にサファイア基板上のGaN系多層構造をp−GaNから順に成長し、最初に成長したp−GaN層から電流を引き出す構造を有する場合には、正孔の移動度が小さいためLD、LEDの動作電圧が高くなり易く、また前記電流密度の偏りも大となる。
【0011】
従って低電圧で動作する理想的なLD、LEDを実現するためには、例えばSiCのように、GaN系化合物と格子整合する導電性基板を用いる方が優れている。しかし、SiC基板は高価であり、また量産性に優れた大口径の単結晶を得ることができない。またSiC基板上にGaN層を成長するとき、理論的には電子障壁が生じない筈であるにもかかわらず、実際上は電子の流れに対して界面が高抵抗になり易い。これはSiC基板とGaN層との界面反応により、高抵抗の界面層を生ずることによるものである。
【0012】
このため従来からGaN系半導体装置の製作には安価なサファイア基板が使用されてきたが、GaNとサファイア基板との間には約16%の格子不整が存在し、成長層に大きな格子歪を発生させる。従来実用的なGaN系のLD、LEDの製作が困難であった理由の一つは、格子歪により成長層中に格子欠陥が発生することによる。
【0013】
またサファイアが絶縁基板であるため、基板上に最初に成長するn−GaN層の上に電流供給用の下部電極を引き出さなければならないが、比較的比抵抗が低いn−GaN層を前記電流引き出しに用いる場合でも、サファイア基板上に下部電極を引き出す構造を有するLD、LEDは、導電性の基板を用いる場合に比べて装置の抵抗が大となり動作電圧を増加させる。
【0014】
上記のように下部電極の構造に問題があるばかりでなく、上部電極についても高密度の動作電流により、電極を形成する原子半径の小さい金属原子がGaN又はその混晶の中に容易にマイグレートし、装置の機能を劣化させるという問題を生じていた。この問題は必ずしも通常エレクトロマイグレーションに関与する原子半径の小さい金属原子のみならず、例えばバリアメタルのように原子半径の大きい金属電極材料を用いてエレクトロマイグレーションによる金属原子の移動を防止しようとしても良好な結果が得られず、解決が極めて困難な問題となっていた。
【0015】
GaN系の材料は転位密度が108 cm−2程度の高い値をもち、特に結晶の成長方向に沿って転位が増大するという欠点がある。図27に示すように、電極材料として例えばAuを用いる場合、Auイオンが電流によりマイグレートして、前記転位線に沿って堆積する。Auの堆積量が増加するとGaN系の多層構造を短絡し、装置の突発不良の発生要因となる。図28は短絡的不良を生じた装置の断面形状を示す略図である。図のような電流路に沿ってAuイオンが運ばれた状況を顕微鏡により観察することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来、下部電極を絶縁基板上に引き出す構造を有する半導体装置は、直列抵抗により過剰な動作電圧を生ずるという問題があった。また高密度の動作電流により、上部電極から金属原子が半導体層中にマイグレートするという問題があった。
【0017】
本発明は上記の問題点を解決すべくなされたもので、絶縁性又は導電性単結晶基板上に形成したGaN系又はZnSe系多層構造からなる半導体装置において、極めて低抵抗な導電性の酸化物層を電流供給用金属電極の下地とし、あるいはこれを前記多層構造と前記単結晶基板との界面、成長層相互の界面に形成することにより、前記半導体装置の動作電圧を大幅に低減することを目的とする。
【0018】
本発明の他の目的は、前記導電性の酸化物層を電流供給用金属電極の下地として用いることにより、GaN系又はZnSe系半導体装置の電極からの金属原子のマイグレーションを防止して、長寿命の半導体装置を得ようとするものである。
【0019】
また本発明の他の目的は、複数の導電性酸化物薄層とGaN系薄層からなる超格子構造等を活性層又は導波層として含むLD、LEDを形成し、これを前記動作電圧の低減に役立つ構造とすることにより、従来得られなかった波長領域で動作する高効率で長寿命な半導体装置を得ようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、多層構造の化合物半導体層が形成された基板と、GaN、ZnSeおよびZnS x Se 1-x (0.7<x<1)からなる群より選択される化合物半導体コンタクト層と、前記化合物半導体層を介して電流が流される第1及び第2の金属電極と、前記基板と前記化合物半導体コンタクト層との間、前記化合物半導体コンタクト層と前記第1の金属電極との間、又は前記第2の金属電極と前記基板との間、の少なくとも1つに上下両面が接するように形成された、Alを添加したZnO層とを具備することを特徴とする。
【0021】
また本発明の半導体装置は、絶縁性の単結晶基板、クラッド層、導波層、活性層、並びにGaN、ZnSeおよびZnS x Se 1-x (0.7<x<1)からなる群より選択される化合物半導体コンタクト層を含む多層構造と、前記多層構造上に形成された電流が流される第1の金属電極と、前記絶縁性の単結晶基板上において電流が横方向に流される第2の金属電極と、前記多層構造の上部の化合物半導体コンタクト層と前記第1の金属電極との間、前記絶縁性の単結晶基板と前記第2の金属電極との間、又は前記絶縁性の単結晶基板と前記多層構造の下部のコンタクト層との間、の少なくとも1つに上下両面が接するように形成された、Alを添加したZnO層とを具備することを特徴とする。
【0022】
また本発明の半導体装置は、導電性の単結晶基板、クラッド層、導波層、活性層、並びにGaN、ZnSeおよびZnS x Se 1-x (0.7<x<1)からなる群より選択される化合物半導体コンタクト層を含む多層構造と、前記多層構造の上部に形成された第1の金属電極と、前記導電性の単結晶基板の下部に形成された第2の金属電極と、前記導電性の単結晶基板と前記多層構造の下部の化合物半導体コンタクト層との間、又は前記多層構造の上部の化合物半導体コンタクト層と前記第1の金属電極との間、の少なくとも1つに上下両面が接するように形成された、Alを添加したZnO層とを具備することを特徴とする。
【0025】
本発明の半導体装置は、単結晶基板、クラッド層、導波層、活性層、化合物半導体コンタクト層、第1及び第2の金属電極を有し、活性層がInx Ga1−x N(0.1≦x≦0.3)であり、導波層が複数のZnO薄層と、複数のGaN薄層とが交互に積層された超格子であることを特徴とする。
【0026】
また本発明の半導体装置は、活性層が複数のZnO薄層と複数のInxGa1−xN薄層とが交互に積層された超格子であり、導波層がGaNであることを特徴とする。
【0027】
また本発明の半導体装置は、導波層が複数のZnO薄層と、複数のGaN薄層とが交互に積層された短周期超格子であることを特徴とする。
また本発明の半導体装置は、活性層が複数のZnO薄層と複数のInxGa1−xN(0.1<x<0.3又はx=1)薄層とが交互に積層された短周期超格子であることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態であるサファイア基板上に成長したGaN系LDの構造を示す断面図である。
【0029】
GaN系多層構造を形成するに当り、まずサファイア基板上にAlを多量に添加した低抵抗の導電性ZnO層2を成長した後、n−GaNコンタクト層4を成長する。この方法によりZnO層2とn−GaNコンタクト層4との間には良好なオーミックコンタクト形成される。図1に示すように、Auから成る前記多層構造の下部電極3は、サファイア基板1の上に引き出された前記ZnO層2の上に形成される。このとき電極3とZnO層2との電気的な接触は、高濃度のAl添加により前記ZnO層がメタリックとなるため極めて良好なものとなる。
【0030】
本発明の第1の実施の形態において、Auから成る上部電極13を形成するとき、その下地としてAlを多量に添加したZnO層12をp−GaNコンタクト層10の上に成長し、その上にAu電極13を形成する。このようにp−GaNコンタクト層の上に導電性のZnO層12を重ねることにより、ZnO層12が存在しない従来の場合に比べて、上部電極13の示すオーミック抵抗を大幅に低減することができる。
【0031】
上記したように、上部及び下部の電極形成にAlを多量に添加して低抵抗にした導電性ZnO(以下Al添加ZnOと略称)を用いることにより、サファイア基板上に形成したGaN系LD、LEDの動作電圧を大幅に低減することができる。図2はAl添加ZnO上のGaN系多層構造の成長を、図1とは逆にp側から始める場合を示す断面図である。
【0032】
図3は前記Al添加ZnOバッファ層2の導入による、GaN系発光装置内の電流密度分布の偏りの改善効果を示す断面図である。Al添加ZnOバッファ層2が極めて低抵抗であるため、これが装置のカソード側の等電位面に近い働きをし、従来の図25に比べて多層構造内の電流密度分布の偏りが大幅に改善される。
従って図4に示すように発光強度分布も従来の図26に比べて偏りのないものとなる。このように対称性に優れた発光強度分布を有するGaN系LDは、活性層内の光利得が大きく、また発光モードが安定し、非点収差等も小さいため高密度な光記録の書き込み、読み出し用として優れており、かつ長寿命の連続動作が可能である。
【0033】
図1、図2においては、サファイア基板上に直接Al添加ZnO層2を形成し、これを横方向に引き出して、その上に下部電極3を直接設けた例を示したが、必ずしも直接設ける必要はなく、多層構造をメサ形のストライプ形状に加工する際、サファイア基板上に最初に成長したn−GaNコンタクト層4を下部電極3の形成領域まで残すようにして、その上に前記電極3を設けることもできる。このようにすれば、下部電極3とn−GaNコンタクト層4とのコンタクト抵抗は高くなるが、GaNコンタクト層の下にはシート抵抗の小さいAl添加ZnO層2が存在するので、GaNコンタクト層のみを用いて下部電極を引き出す従来の方法に比べて、引き出し面に沿う方向の抵抗を低減することができる。
【0034】
次に図5、図6に基づき本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5は、SiC基板上に前記Al添加ZnOとGaNを引き続き成長したときのエネルギー帯の構造を示している。図に示すようにSiC、ZnO、GaNの禁制帯幅はそれぞれ3.0eV、3.2eV、3.4eVである。EC 、EV は伝導帯の底と価電子帯の頂上のエネルギーを与える。ZnOのエネルギー帯はSiC及びGaNに対して相対的に大きく下がり、ZnOの導電帯の底がGaNの価電子帯の頂上よりも約0.6eV高い位置で接続される。
【0035】
従ってもしp−ZnOが得られれば、前記p−ZnOからGaNへの正孔注入は、正孔に対する障壁が存在しないため容易に行うことができる。しかし、現在の技術ではp−ZnOを成長することは不可能であるため、通常ZnOをp−GaNに対するオーミックコンタクトの材料として用いることができない。
【0036】
しかしZnOに数%のAlを添加することにより、ZnOはメタリックなものとなり、通常n形のZnOから、p−GaNへ正孔を注入する場合に現れる障壁を生じない。すなわち、ZnOへの多量のAlの添加により、前記ZnOの導電帯の直下に、図5に示すような不純物帯を生じ、このとき前記不純物帯のエネルギー値が丁度GaNの価電子帯の頂上に近いので、正孔は前記不純物帯を通じてp−GaNに流れ、オーミックコンタクトを形成することができる。前記不純物帯とGaNの価電子帯の頂上には0.3〜0.4eVの障壁が残留するが、通常用いるGaNのp形添加量の値を考慮すれば、正孔は室温で容易にこの障壁を越すことができると考えられる。
【0037】
上記の議論から、逆にGaNの導電帯に対して2.5eV以上に及ぶ導電帯のエネルギー差を有するZnOを用いて、n−GaNに対するオーミックコンタクトを形成することは通常不可能と考えられる。しかしn−GaNには1019cm−3の桁の高濃度の不純物を添加することができる。このため空乏層が薄くなって前記障壁はトンネル効果により通過することができるので、ZnOを室温でn−GaNのオーミックコンタクトとして使用することができる。同様に前記ZnOは、SiCに対するオーミックコンタクトとして用いることができる。
【0038】
GaN及びSiCに対して金属電極を直接合金する方法でオーミックコンタクトを形成することも可能である。しかし合金の熱歪みにより合金部分に欠陥を生じ、GaN系多層構造の内部に向けて欠陥が増殖し装置の寿命を低下させる。Al添加ZnOをオーミックコンタクトの材料として用いる場合には、ZnOの成長温度が300℃程度と低いので、熱歪みによる欠陥を生ずることはない。またオーミック特性の安定化のための熱処理を行う必要もない。
【0039】
図6はAl添加ZnOオーミックコンタクトを有するn−SiC導電性基板上のGaN系LDの断面構造を示す図である。Al添加ZnO層2はn−SiC基板15とn−GaNコンタクト層4との間に形成され、Al添加ZnO層12はp−GaNコンタクト層10とAuから成る上部金属電極13との間に形成されている。
【0040】
Al添加ZnO層はウルツ鉱形の結晶構造を持ち、SiCやGaN系結晶に近い格子定数を有するため、SiC上にGaN層を成長するときのバッファ層としての役割を果たす利点がある。すなわちZnOという異種物質を介在させることにより、良好なオーミックコンタクトが得られると同時に、SiC上に直接GaNを成長する場合に比べて、欠陥の少ない良質の成長層を得ることができる。
【0041】
図5を見れば、GaNとSiCの導電帯の底のエネルギー差は0.4eVに過ぎないが、ZnOとGaNの導電帯の底のエネルギー差は2.5eV以上に達するので、通常GaNとSiCを直接結合する方がオーミック特性が得やすいように思われる。しかし、実際にはSiC基板上に直接GaNを成長すれば、サファイア上に成長した場合に比べて、みかけ上結晶性が良好な成長層が得られるが、成長層の界面が高抵抗になる欠点がある。これは気相成長の原料ガスの一つである窒素とSiC基板の構成元素であるSiとの反応性が、Gaとの反応性よりも高いために、界面にSiNx 等の絶縁性の界面層を生ずるためである。
【0042】
上記のように、Al添加ZnO層はSiC基板の表面清浄化、表面安定化に寄与し、SiCとGaNに対して共に格子整合した低抵抗なコンタクトを形成することができる。第2の実施の形態ではn−SiC基板上にGaN系多層構造をn側から成長する場合について述べたが、逆にp−SiC基板上にp側から成長して同様に良好な特性を示すGaN系発光装置を得ることができる。
【0043】
次に図7、図8を用いて本発明の第3の実施の形態を説明する。
図7は、GaN系多層構造から成るLD、LEDの上部Au電極13とp−GaNコンタクト層10との間にAl添加ZnO層を形成すれば、エレクトロマイグレーションにより、電極を構成するAu原子がp−GaN層の転位に取り込まれる現象が防止されることを示す部分拡大図である。Al添加ZnO層は、オーミック特性を改善すると同時に、GaN層中に多数存在する転位線による装置の劣化を防止する、金属イオンのマイグレーションバリアとして用いることができる。従って上部Au電極13とp−GaNコンタクト層10との間にAl添加ZnO層を形成すれば、装置の電流変化は従来の突発的なものから漸進的なものに改善される。
【0044】
図8は上部Au電極とGaNコンタクト層との間に、前記Al添加ZnO層が有るものと無いものについて、GaN系LDの劣化の状況を比較した略図である。
図の横軸は時間、縦軸は出力光が一定になるよう動作電流を制御するAPC(Automatic Power Control) の条件で求めた動作電流の経時変化である。Al添加ZnO層が有るものについては、直接Au電極をp−GaNに設けた従来のものに比べて、APC条件で求めた動作電流の経時変化が大幅に改善されていることがわかる。
【0045】
なお前記Al添加ZnO層の代わりに、Cr、Pt、Ti等の原子半径が大きくマイグレーションを生じ難い金属材料をバリアメタルとして用いることも有効と考えられるが、GaN系の材料の転位密度が非常に大きいため、前記バリアメタルでは、Al添加ZnO層のように金属イオンのマイグレーションを完全に防止することができない。
【0046】
次に図9に基づき本発明の第4の実施の形態を説明する。
図9はサファイア基板上に形成したGaN−MOSFETの構成を示す鳥瞰図である。サファイア基板1の上に前記Al添加ZnO層2を成長し、その上にGaN−MOSFETの基板となるp−GaN層20aを形成する。前記p−GaN層20には、ソースとドレインのn+ 領域を形成し、その上にAl添加ZnO層22を介してソースとドレインの金属電極25、27を設ける。前記ソースとドレインの金属電極間にゲート絶縁膜23を形成し、その上にチャネル24を制御するゲート電極26を設ける。ソース電極25を接地し、ゲート、ドレイン電極にそれぞれ電圧VG 及びVD を印加する。
【0047】
前記MOSFETの基板となるp−GaN層の一部をメサエッチングにより除去し、基板電圧制御電極28を前記Al添加ZnO層2の上に設ける。ソース、ドレイン電極の下に設けたAl添加ZnO層22は、前述のように金属電極からの金属原子がp−GaN基板中にマイグレートするのを防止する役割を果たす。
【0048】
またサファイア基板1の上に形成したAl添加ZnO層2は、p−GaN基板20aの結晶性を改善すると同時に、基板電圧−VBSがp−GaN−MOSFET基板20の全域にわたって一様に印加されるのに役立つ。p−GaN20aは比較的高抵抗であるため、基板電流によりp−GaN20a内に電位降下を生じ、MOSFETの正常な動作が妨げられる。
【0049】
すなわち、ゲート領域全体に均一な電位降下を生じなくなり、電位降下は主としてメサの終端部に近い下部電極28と上部電極25との間に生じるようになる。
導電性のAl添加ZnO層2をサファイア基板上に形成することによりp−GaNが等電位となり、MOSFETの正常な動作が保証される。
【0050】
次に図10〜図13に基づき本発明の第5の実施の形態を説明する。
これまでAl添加ZnO層及び他の関連する酸化物層をGaN系化合物からなる半導体装置に適用する手段についてのべたが、Al添加ZnO層の適用範囲は必ずしもGaN系化合物からなる半導体装置に限定されるものではない。
【0051】
Al添加ZnO層の他の適用対象としてZnSe系のII−VI族化合物からなる半導体装置があげられる。導電性のn−GaAs基板上に形成した最初のZnSe系半導体発光装置の断面構造を図10に示す。
【0052】
図10のZnSe系半導体発光装置は、CdZnSe活性層35、ZnSe導波層34、36、MgZnSSeクラッド層33、37、GaAs基板30と下部のMgZnSSeクラッド層33との間のバッファ層31,32からなっている。Al添加ZnO層12は、上部MgZnSSeクラッド37の上のp−ZnSe層38と上部Au電極13との間に形成される。
【0053】
ZnSe系発光装置を製造する際の主な問題点は、p−ZnSeに対して良好なオーミックコンタクトが形成されないことである。このため動作電圧が高くなり、これに伴う過剰発熱のために寿命時間が短くなる。良好なオーミック特性が得られない理由は、通常電極に用いる金属の仕事関数がZnSeの価電子帯よりも高いためである。
【0054】
このとき金属電極とp−ZnSeとの間に、中間層として作用し得る半導体材料はp型の不純物添加が困難であるか、又は価電子帯がZnSeの価電子帯よりも少なくとも1eV浅くなっているため、オーミック特性の改善に役立てることはできない。
【0055】
図11に示すように、Al添加ZnOを用いれば、上記の問題を克服することができる。図に示されているように、例えば導電性のSiC基板を用い、SiC基板とZnSeコンタクト層との間にAl添加ZnOを用いれば、ZnO中のAlの不純物帯とZnSeの価電子帯の上端とのずれは0.02eVと非常に小さい。このため室温でオーミック特性が得られる。
【0056】
図10に示すZnSe系発光装置において、最後に堆積したp−ZnSe層38の上に前記Al添加ZnO層12が形成され、その上にAu電極13を設けている。このようにすれば上記の理由により、良好なオーミックコンタクトを得ることができる。このときZnSeは立方晶系、Al添加ZnOはウルツ型、と結晶系が異なるため、p−ZnSe上には多結晶のAl添加ZnOしか堆積することができない。しかし、Al添加ZnOはp−ZnSeに対して金属的なコンタクトとして作用するため、その結晶性が良好でないことは製造上の妨げとはならない。
【0057】
図12は、サファイア基板上に形成したZnSe系LDに、前記Al添加ZnO層を適用する場合の構造を示す図である。ZnSSe活性層41の上下に隣接してZnS導波層40、42と、その上下に隣接してMgZnSSeからなるクラッド層33、37が形成される。
【0058】
さらにその上下に隣接してZnSSeからなるコンタクト層39、43が形成されるが、このとき下部のn−ZnSSeコンタクト層39とサファイア基板1との間、及び上部のp−ZnSSeコンタクト層43と上部Au電極との間に、Al添加ZnO層2、及び12が形成される。
【0059】
図12において、Al添加ZnO層2の上に単結晶のZnSSe層39を形成することは、前述の結晶系の相違の説明と矛盾するように思われるかもしれない。
【0060】
しかし、この場合前記ZnSx Se1−x 層のxの値は0.7<x<1と非常にSの組成比が大きいことに注目しなければならない。このとき、前記ZnSSe層の結晶系は立方晶系からウルツ型に変化し、同様にウルツ型のZnOと格子整合するので、Al添加ZnO層の上に単結晶のZnSSe層を形成することができる。図12に示すウルツ型II−VI族化合物からなる発光装置は、紫外領域の波長のLDとして動作することが確かめられた。
【0061】
このときAl添加ZnO層2は、下部のn−ZnSSeコンタクト層39に対して低抵抗のコンタクトを形成し、電流狭窄ストライプ領域全面にわたって均一なLD発光をすることがわかった。このような優れたLD発光特性はAl添加ZnO層を導入することにより始めて得られたものである。またn−ZnSSeは比較的抵抗が高いので、前記Al添加ZnO層の導入により装置全体の動作抵抗が低減し、低消費電力で長寿命の半導体装置が得られることはいうまでもない。
【0062】
図13に示すように、SiC基板とS組成の大きいZnSSe層との間に、Al添加ZnO層を低抵抗層として導入することが注目される。このとき価電子帶の端のエネルギー差は0.72eVであるが、Al添加ZnOの示す不純物帯伝導を利用すれば、このエネルギー差は約1/2にすることができる。SiC基板は導電性であるから、このことから引き出し電極を必要としない導電性基板上の縦型の低抵抗なII−VI族系発光装置が得られることが示される。
【0063】
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。
上記第1〜第5の実施の形態においては、半導体装置に動作電流を供給するための金属電極の下地として、又は単結晶基板上に化合物半導体からなるエピタキシャル層を成長する時のバッファ層として、前記Al添加ZnO層を用いることを説明したが、Al添加ZnO層の用途はこれに限られるものではない。
【0064】
図1、図2及び図6において、InGaN活性層7の上下に隣接するn−GaN層6とp−GaN層8からなる導波層を、それぞれAl添加ZnO層とn−GaN層からなるn型超格子導波層と、Al添加ZnO層とp−GaN層からなるp型超格子導波層とに置き換えることにより、LDのしきい値電流密度を低減し、発光効率の向上により最大出力を増加することができる。このときInx Ga1−x N活性層の組成を与えるxの値は、0.1≦x≦0.3の範囲である。図1、図2及び図6に示すように、Al添加ZnO層2、12を導入することによりさらに発光装置の直列抵抗を低減することができる。
【0065】
また、InGaN活性層7をアンドープZnO層とInx Ga1−x N層(0≦x≦0.3)からなる超格子活性層に置き換え、n−GaN層6とp−GaN層8とをそれぞれ導波層として用いることにより、発光効率を大幅に向上することができる。このときAl添加ZnO層2、12を導入することにより、さらに発光装置の直列抵抗を低減することができることはいうまでもない。
【0066】
次に図14〜24に基づき、本発明の第7の実施の形態について説明する。
前記第6の実施の形態において、活性層、及び導波層にZnOを含む超格子層を導入することをのべたが、ZnOの用途はこれに限られるものではない。次に示すように、超格子層の構成要素としてZnO薄層と組み合わせる化合物半導体薄層の種類を選定し、かつ超格子層を構成するの薄層の厚さを数nm以下と極度に小さくすることにより、超格子層をバンドフォールディング(ブリルアン帯域の折り返し)型とし、従来不可能であった長波長領域のGaN系発光装置を形成することができる。
【0067】
以下極度に薄い複数の層からなり、バンド構造が混成されてあたかも単一の半導体材料のように作用するバンドフォールディング型超格子を、短周期超格子とよぶことにする。
【0068】
第7の実施の形態においては、活性層としてZnOとInx Ga1−x N(0.1≦x≦0.3)又はInNからなる短周期超格子を用い、導波層としてZnOとGaNからなる短周期超格子を用いることにより、短波長側で得られる高効率の発光を維持しつつ、従来に比べて長波長領域の発光が可能なGaN系発光装置を得ることができる。また前記短周期超格子を導波層として用いることにより、より一般的な構造で従来困難であった高出力LDや、オーバフロー電流が抑制された高効率のLDを形成することができる。
【0069】
従来GaN系発光装置は、紫外から青色領域の可視LD、LEDとして開発されてきた。開発における問題点の1つは、LD発光が可能な波長領域が390nm〜420nmと極めて狭いことである。その主な理由は活性領域が理論的にはIn組成範囲xが0.1<x<1のInx Ga1−x Nで形成されるが、実際上はInの組成範囲に大きな制約があることによる。
【0070】
前記xの全範囲が許容されれば、GaN系発光装置は紫外から赤までの極めて広い可視領域でLD発光可能な発光装置となる。しかし、In組成が1に近付くに従い、次の2つの要素が発光可能な波長領域を厳しく制限する。
【0071】
その1は、前記InGaN活性層とGaN導波層との間の格子不整合により、歪みが次第に増加し、転位により前記活性領域が破壊するのを防止するために、活性領域の厚さを極めて小さくしなければならないことである。このため実際上、活性領域として許されるIn組成の範囲は0<x<0.3に限られる。
【0072】
その2は、Inx Ga1−x N系にはいわゆるミッシビリティギャップが存在することである。すなわち0.3<x<0.85のIn組成範囲では、高品質な混晶を得ることができず、従って活性領域の材料として前記ミッシビリティギャップに基づく制約がある。
【0073】
以上のべたように、InGaNはLD、LEDの活性領域材料としてIn組成範囲に制約があるが、このことから次の2つの問題点が生じる。
その1は、活性層として許容されるIn組成xの値が小さいため、導波層と活性層との間のバンドのずれ量が小さく、いわゆるキャリアオーバーフロー現象を生じて、発光効率が低下することである。実際問題として現在開発中のGaN系短波長LDにおいても、かなりのキャリアオーバーフローによる電流が含まれている。
【0074】
その2は、実用的な導波層の材料としてGaNか又はIn組成の極めて小さいInGaNに限定され、このためAlGaNクラッド層と導波層との間の屈折率差がある程度固定されることにある。この問題については、AlGaNクラッド層のAl組成を変化することによりある程度回避することができるが、成長温度の問題や格子不整合の問題が前記Al組成xの最大値を0.2に制限する。また前記In組成の最小値は、活性層からのキャリアオーバフローを防止するための条件から0.1程度に限定される。
【0075】
このように導波層とクラッド層との間の屈折率差の制御ができないため、高出力のLDを製造することができない。その理由は、現状においては屈折率の差が過大であるためLD発光が活性層に強く閉じ込められ、非常に小さい出力レベルにおいて、光を放射するLDの開口面に損傷を生じるからである。
【0076】
第7の実施の形態においては、上記のように活性層や導波層に極めて狭い混晶の組成範囲しか使用できないこと、このため発光の波長範囲が狭いこと、キヤリアオーバーフローによる発光効率の低下や、光閉込めが強すぎてLD開口面に損傷を生じること等の問題点を解決するために、GaN系LDにZnOとInGaNからなる短周期超格子層、及びZnOとGaNからなる短周期超格子層を導入する。
【0077】
図14、図16、及び図18は、通常のGaN系LD構造に本第7の実施の形態の種々の構成を適用した例を示す図である。図15、図17、及び図19は、Al添加ZnOをコンタクト層に適用した例を示す図である。
【0078】
図14ではZnOとInGaNからなる短周期超格子層17が活性層として用いられ、図16ではZnOとGaNからなる短周期超格子層19、20が導波層として用いられ、さらに図18では短周期超格子層17、19、20が活性層及び導波層として用いられた場合が示されている。
【0079】
図15、図17、図19では、上記の場合についてそれぞれコンタクト層にAl添加ZnO層を用いている。前記短周期超格子構造を活性層、及び導波層として用いる場合についてさらに詳細に説明する。
【0080】
図20、図21は、長波長の黄緑領域のGaN系LDを得ようとするとき、通常考えられる活性層及び導波層のバンド構造図である。このとき活性層となるInx Ga1−x NのIn組成は、x=0.8となるが、このように高いIn組成の層が高密度の転位や欠陥を生ずることなく形成できるとは考えられない。
【0081】
その理由は、前記In組成が大きいために隣接するGaN導波層との間に過大な格子不整合を生ずることと、Inと酸素との親和性が高いので、Inを介して酸素が不純物として活性層中に取り込まれるためである。
【0082】
この問題を解決するために、図21に示すように、ZnOとInNの短周期超格子活性層を用いた。このときZnO層の厚さは0.6nm、InN層の厚さは1.8nmであった。このような短周期超格子では、バンドフォールディング効果によりZnOとInNとのバンドが混成され、実効禁制帯幅2.26eVの半導体材料となる。
【0083】
このような活性層は超格子構造を有するため、InN層の合計した厚さはIn組成0.8のInGaN活性層の厚さに比べてずっと小さくなり、前記格子不整合の問題は回避することができる。またN組成の大きいInGaN活性層の発光効率は前記欠陥の導入により低くなるが、バンドフオールディング効果は、例えばGaPとAlPの場合、直接再結合過程をかなり高めるので、前記短周期超格子を用いれば、LDのしきい値電流密度を低減することができる。
【0084】
図22と図23は、短波長レーザに対してZnOとGaNからなる短周期超格子を導波層として用いた時のバンド構造図である。図22は、GaN導波層による光閉じ込めを用いた標準的なLD構造である。図23では、前記導波層の1つがZnOとGaNからなる短周期超格子導波層に置き換えられている。このときZnO層の厚さは0.3nm、GaN層の厚さは1.8nmであった。またサファイア基板は、表面がc軸に垂直なものを用いた。
【0085】
図23より、p−AlGaNクラッド層からInGaN活性層に注入された正孔が0.43eVの障壁に阻まれ、この障壁高さは図22に示す対応する部分の障壁高さ0.16eVに比べて大きいことがわかる。このため、活性層からn−AlGaNクラッド層への正孔のオーバーフローは完全に防止される。
【0086】
また、前記ZnOとGaNからなる短周期超格子導波層の使用により、前記導波層とクラッド層間の屈折率の差が低下し、このため活性層への光閉じ込め効果が弱められ、前記クラッド層への出力光の広がりを生じることにより、LD開口面における光出力密度が低減される。このことから、LD開口面の光出力による損傷が除去され、LD装置の破壊を防止することができる。
【0087】
図24は前記ZnOとGaNからなる短周期超格子導波層と、ZnOとInNからなる短周期超格子活性層を共に備えたGaN系LDのバンド構造を示す図である。この構造により、図21及び図23で説明した効果が相乗的に得られることはいうまでもない。
【0088】
次に第8の実施の形態として本発明のAl添加ZnO層を有する半導体装置の製造方法について説明する。
Al添加ZnO層の製造方法は、その用途により異なる。半導体装置の最上層の例えばGaNのようなp型層と、例えばAuのような金属電極との間に、前記Al添加ZnO層を形成する場合には、形成されたAl添加ZnO層が多結晶か又は単結晶であるかは製造上余り問題にしなくてもよい。
【0089】
例えば電子ビーム蒸着法を用いて、前記Al添加ZnO層を直接蒸着すればよい。このとき蒸着源としては、Zn0とAl2 03 を用い、基板を100℃〜300℃に加熱すれば良好な結果が得られる。
【0090】
前記Al添加ZnO層を形成した上に、引き続き単結晶の多層構造を成長する必要がある場合には、半導体装置の品質を確保するために、良好な単結晶を成長しなければならない。このときは、例えばMBEやMOCVD、又はLPE(Liquid Phase Epitaxy)のような高度なZnO層の形成技術を使用することにより、ZnO層の結晶性は大幅に向上する。
【0091】
MBE法を用いる場合には、酸素プラズマ中のZn源とO2 又はO3 源、及び不純物添加用のAl源を用いて、基板温度を600℃〜800℃としてエピタキシャル成長する。MOCVD法を用いる場合には、ZnソースとしてDMZ(di−methyl−zinc)又はヂエチルジンク(di−ethyl−zinc) 、酸素のソースとして純O2 ガス、不純物添加用のAlソースとしてTMA(tri−methyl−aluminum) 又はDMAH(di−methyl−aluminum−hydride)を用い、これらのソースガスの温度を全て室温としてエピタキシャル成長を行う。
【0092】
LPEの場合には、2000℃におけるAl添加ZnOのメルトを用いるか又は酸素過剰の雰囲気において温度450℃のAl添加Znのメルトを用いてエピタキシャル成長する。
【0093】
GaN層上にZnO層を形成する場合には、ウルツ型結晶系が強固であるため、単にZnOをスパッタし、その後熱処理すればよい。スパッタ法を用いるときにはAl添加ZnOのペレットをスパッタソースとして用いる。しかしこのようにして製造した半導体装置の品質はMBE、MOCVD、CVD、LPE法等を用いて製造したAl添加ZnO層を有する半導体装置に及ばない。
【0094】
なお本発明は上記の実施の形態に限定されることはない。例えば上記第1乃至第3の実施の形態において、化合物半導体材料はGaNに限らずAlN、InN、Inx Ga1−x N、Inx Al1−x N、Gax Al1−x N、Inx Gay Al1−x−y N、を用いることができる。また第5及び第6の実施の形態において、ZnSeに限らずZnS、Znx S1−x Se、Mgx Zn1−x Se、Cdx Zn1−x Se、Mgx Zny S1−x−y Se(0≦x≦1、0≦x+y≦1)を用いることができる。
【0095】
また導電性酸化物層としてAl添加ZnOに限らずInx Zn1−x O、Al添加Inx Zn1−x O、Snx Zn1−x O、Al添加Snx Zn1−x O、Inx Sny Zn1−x−y O、及びAl添加Inx Sny Zn1−x−y O(0≦x≦1、0≦x+y≦1を用いることができる。
【0096】
また上記第1乃至第4及び第6、第7の実施の形態において、前記導電性酸化物の下地となる化合物半導体材料は、GaNの他Inx Ga1−x N(0≦x≦0.2)を用いることができる。その他本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0097】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、p形及びn形の化合物半導体層に対してAlを高濃度に添加したZnOをオーミックコンタクトの形成材料として用いることにより、サファイヤ基板上又はSiC基板上に形成したGaN系又はZnSe系半導体装置の動作電圧を大幅に低減することができる。また前記ZnO層を用いて、電極からの金属原子のエレクトロマイグレーションを防止することにより、長寿命なGaN系半導体装置を実現することができる。
【0098】
このほかInGaNを活性層とする発光装置において、前記ZnO層を含む超格子層又は短周期超格子層を導波層として用いることにより、あるいは前記ZnO層を含む超格子層又は短周期超格子層を活性層とすることにより、動作電圧が低くかつ長寿命でかつ発光波長範囲の広い発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るサファイア基板上のGaN系LDの構造を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の変形例を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るGaN系発光装置の内部電流密度分布を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るGaN系発光装置の近接発光強度分布を示す図。
【図5】GaN、ZnO、SiCのバンド構造の相互関係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る導電性n−SiC基板上のGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るAl添加ZnO層の電極金属マイグレーションに対するバリア効果を示す部分拡大図。
【図8】Al添加ZnO層の寿命改善効果を示す図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係るサファイア基板上のp−GaNから成るMOSFETの構造を示す鳥瞰図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係るGaAs基板上のZnSe系発光装置の構造を示す断面図。
【図11】ZnSe、ZnO、SiCのバンド構造の相互関係を示す図。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係るサファイア基板上のZnSe系発光装置の構造を示す断面図。
【図13】ZnSSe、ZnO、SiCのバンド構造の相互関係を示す図。
【図14】ZnO/InGaN短周期超格子活性層を具備するGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図15】ZnO/InGaN短周期超格子活性層と、Al添加ZnO層とを具備するGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図16】ZnO/GaN短周期超格子導波層を具備するGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図17】ZnO/GaN短周期超格子導波層と、Al添加ZnO層とを具備するGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図18】ZnO/InGaN短周期超格子活性層と、ZnO/GaN短周期超格子導波層とを具備するGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図19】ZnO/InGaN短周期超格子活性層と、ZnO/GaN短周期超格子導波層と、Al添加ZnO層とを具備するGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図20】長波長GaN系発光装置のバンド構造図。
【図21】ZnO/InN短周期超格子活性層を具備するGaN系発光装置のバンド構造図。
【図22】短波長GaN系発光装置のバンド構造図。
【図23】ZnO/GaN短周期超格子導波層を具備するGaN系発光装置のバンド構造図。
【図24】ZnO/InN短周期超格子活性層とZnO/GaN短周期超格子導波層を具備するGaN系発光装置のバンド構造図。
【図25】従来のサファイア基板上のGaN系発光装置の構造を示す断面図。
【図26】従来のGaN系発光装置の近接発光強度分布を示す図。
【図27】従来のサファイア基板上のGaN系発光装置における転位とAu原子のマイグレーションとの関連を示す図。
【図28】従来のサファイア基板上のGaN系発光装置におけるAu原子のマイグレーションと電流分布との関連を示す図。
【符号の説明】
1…サファイア基板
2…Al添加ZnO導電層
3…Au電極
4…n−GaNコンタクト層
5…n−AlGaNクラッド層
6…n−GaN導波層
7…InGaN活性層
8…p−GaN導波層
9…p−AlGaNクラッド層
10…p−GaNコンタクト層
11…SiO2 電流阻止層
12…Al添加ZnO導電層
13…Au電極
14…Ti/Pt/Au電極
15…n−SiC基板
16…Ti/Au電極
17…ZnO/InGaN短周期超格子活性層
18…Ni/Au又はTi/Au
19、20…ZnO/GaN短周期超格子導波層
20a…p−GaN基板
21…n+ 領域
22…Al添加ZnO層
23…ゲート絶縁膜
24…チャネル層
25…ソース電極
26…ゲート電極
27…ドレイン電極
28…基板バイアス電極
Claims (7)
- 多層構造の化合物半導体層が形成された基板と、
GaN、ZnSeおよびZnS x Se 1-x (0.7<x<1)からなる群より選択される化合物半導体コンタクト層と、
前記化合物半導体層を介して電流が流される第1及び第2の金属電極と、
前記基板と前記化合物半導体コンタクト層との間、前記化合物半導体コンタクト層と前記第1の金属電極との間、又は前記第2の金属電極と前記基板との間、の少なくとも1つに上下両面が接するように形成された、Alを添加したZnO層と
を具備することを特徴とする半導体装置。 - 絶縁性の単結晶基板、クラッド層、導波層、活性層、並びにGaN、ZnSeおよびZnS x Se 1-x (0.7<x<1)からなる群より選択される化合物半導体コンタクト層を含む多層構造と、
前記多層構造上に形成された電流が流される第1の金属電極と、
前記絶縁性の単結晶基板上において電流が横方向に流される第2の金属電極と、
前記多層構造の上部の化合物半導体コンタクト層と前記第1の金属電極との間、前記絶縁性の単結晶基板と前記第2の金属電極との間、又は前記絶縁性の単結晶基板と前記多層構造の下部のコンタクト層との間、の少なくとも1つに上下両面が接するように形成された、Alを添加したZnO層と
を具備することを特徴とする半導体装置。 - 導電性の単結晶基板、クラッド層、導波層、活性層、並びにGaN、ZnSeおよびZnS x Se 1-x (0.7<x<1)からなる群より選択される化合物半導体コンタクト層を含む多層構造と、
前記多層構造の上部に形成された第1の金属電極と、
前記導電性の単結晶基板の下部に形成された第2の金属電極と、
前記導電性の単結晶基板と前記多層構造の下部の化合物半導体コンタクト層との間、又は前記多層構造の上部の化合物半導体コンタクト層と前記第1の金属電極との間、の少なくとも1つに上下両面が接するように形成された、Alを添加したZnO層と
を具備することを特徴とする半導体装置。 - 単結晶基板、活性層、クラッド層、導波層、化合物半導体コンタクト層、第1及び第2の金属電極を有し、
前記導波層が複数のZnO薄層と、複数のGaN薄層とが交互に積層された超格子であり、
前記活性層がInxGa1-xN(0.1≦x≦0.3)であることを特徴とする半導体装置。 - 単結晶基板、活性層、クラッド層、導波層、化合物半導体コンタクト層、第1及び第2の金属電極を有し、
前記活性層が複数のZnO薄層と複数のInxGa1-xN(0≦x≦0.3)薄層とが交互に積層された超格子であり、
前記少なくとも1つの導波層がGaNであることを特徴とする半導体装置。 - 単結晶基板、活性層、クラッド層、導波層、化合物半導体コンタクト層、第1及び第2の金属電極を有し、
前記導波層が複数のZnO薄層と、複数のGaN薄層とが交互に積層された短周期超格子であることを特徴とする半導体装置。 - 単結晶基板、活性層、クラッド層、導波層、化合物半導体コンタクト層、第1及び第2の金属電極を有し、
前記活性層が複数のZnO薄層と複数のInxGa1-xN(0.1<x<0.3又はx=1)薄層とが交互に積層された短周期超格子であることを特徴とする半導体装置。
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