JP4619512B2 - 光半導体素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光半導体素子に関し、特に、MgZnOをクラッド層として用いたGaN系発光ダイオード及びレーザーダオイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に、GaN系の材料を用いた発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)の基本構造を示す。
【0003】
図6に示すように、発光ダイオードXは、サファイヤ基板101と、その上に形成されているGaNバッファ層103と、n型GaNクラッド層105と、n型AlxGa1-xNクラッド層107と、InxGa1-xN活性層111と、p型AlxGa1-xNクラッド層113と、p型GaNクラッド層115との積層を含む。
【0004】
n型AlxGa1-xNクラッド層107、InxGa1-xN活性層111、p型AlxGa1-xNクラッド層113、p型GaNクラッド層115は島状に加工されて島状の積層構造SSをなし、n型GaN層105の一部表面が露出している。
【0005】
島状の積層構造SSの側壁は、絶縁膜121により被覆されている。絶縁膜121には、p型GaN層115の表面を露出する開口部122が形成されている。
【0006】
n型GaN層105の表面には、第1(n側)電極123が形成されている。p型GaN層115上に光を透過する第2(p型)電極125が形成されている。第2電極125は、好ましくは開口部122全面を覆うように形成されている。
【0007】
第1電極123に対して第2電極125に正の電圧を印加すると、p−n接合が順バイアスされ、n型GaNクラッド層105側から電子が、p型GaNクラッド層115側から正孔がInxGa1-xN活性層111に向けて移動し、活性層111内において電子と正孔との再結合が生じる。電子と正孔とが再結合する際に、活性層のバンドギャップのエネルギーに対応する波長の発光が起こる。発生した光は、第2電極125を透過して発光ダイオードXの光学面から出射する。
【0008】
n型及びp型のクラッド層であるAlxGa1-xN層107、113のAl組成xは、0≦x≦0.2の範囲が一般的であるが、必要に応じて組成xを変化させることができる。
【0009】
尚、レーザーダイオード(Laser Diode:LD)は、InxGa1-xN活性層111の2端面でキャビティを形成し、一方、端面(図6の紙面に垂直な方向)からの光を取り出す点でLEDと異なるが、構造は図6に示すLEDの構造と同様である。
【0010】
図7は、真空準位を基準(0eV)にした場合の、GaN系3元混晶系のInxGa1-xN活性層111とAlxGa1-xNクラッド層107との伝導帯の最小エネルギー値Ecと価電子帯の最大エネルギー値Evとの、In又はAlの組成xに対する依存性を示す図である。
【0011】
尚、Ecの値は、Ec=Eg+Evの式から求まる。ここで、Egはバンドギャップである。In、Alの組成xに対するバンドギャップEgの値は、次式より求めた。この式は、GaN系3元混晶で広く認められている式である。
【0012】
Eg(InxGa1-xN)=x × Eg(InN) + (1-x)× Eg(GaN)−b×x×(1−x) (1)
Eg(AlxGa1-xN)=x × Eg(AlN) + (1-x)× Eg(GaN)−b×x×(1−x) (2)
但し、Eg(GaN)=3.4(eV)、Eg(InN) = 1.95(eV)、Eg(AlN)=6.2 (eV)とした。
【0013】
bは湾曲パラメーターであり、InGaN、AlGaNともに、約1eVであることが知られている。
【0014】
図8は、GaN系LED又はLDのエネルギーバンド構造の例を模式的に示した図である。
【0015】
図6の構造は、サファイヤ(002)/n−GaN/n−Al 0.2Ga0.8N/n−In0.3Ga0.7N/p−Al0.2Ga0.8N/p−GaNの構造を有する。
【0016】
図8は、サファイヤ基板上の積層のエネルギーバンド構造を示す。横軸が基板上の高さを示し、縦軸がエネルギーを単位eVで示す。
【0017】
p−n接合に対して順バイアスを印加した時に、n型クラッド層から活性層へ向けて電子が注入され、p型クラッド層から活性層へ向けて正孔が注入される。
【0018】
活性層へ注入された電子がp型クラッド層ヘオーバーフローするのを防ぎ、活性層内で、有効に発光性再結合(radiative recombination)に寄与させる為に、p−AlGaNを設けている。
【0019】
特にLEDの場合には、光を取り出す側のp型電極として半透明電極を用いる。
【0020】
半透明電極としては、主にAu系の薄い電極を用いる。
【0021】
尚、光の取り出し効率を増大させる為に、In2O3、SnO2、ZnOなどの高い光透過率を有するn型酸化物半導体を用いた透明導電膜を用いることもできる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単一量子井戸(Single Quantum Well:SQW)や多重量子井戸(Multiple Quantum Well:MQW)などの数nmから数10nmの厚さを有する活性層を備えたLEDやLDの場合に上述の材料を用いると、n型クラッド層と活性層との接合領域におけるΔEvが小さいため(図8参照)、順方向バイアス時に、活性層からn型クラッド層に正孔がオーバーフローしてしまい、活性層内で放射再結合に寄与する割合が低下してしまう。いわゆる、正孔のn型クラッド層へのオーバーフローの問題が生じる。
【0023】
図9に、下側Ni(0.3nm)、上側Au(10nm)の半透明積層電極の透過率特性を示す。
【0024】
図9に示すように、InGaN系LEDの発光波長範囲、例えば約380nmから550nmまでの範囲において、Ni/Auは、50%から60%程度の透過率しか有していない。活性層内での発光成分のうち外部へ取り出すことができるのは約50%程度である。いわゆる、Au系の半透明電極による光取り出し効率の低下という問題が生じる。
【0025】
光の取り出し効率を増大させる為に、In2O3、SnO2、ZnOなどの高い透過率を有するn型酸化物半導体により形成される透明導電膜をp型電極として用いることも考慮される。
【0026】
しかしながら、In2O3、SnO2、ZnOなどを用いると、透明導電膜がn型であるため、これらの透明導電膜とp型クラッド層との間にp−n接合が形成されてしまう。素子に順バイアスを印加した場合、p型クラッド層とn型酸化物半導体よりなる透明導電膜との間には、逆方向バイアスが印加されることになる。逆方向バイアスが印加されると、p−n接合の界面において空乏層が拡がり、それに起因する駆動電圧の上昇や、発熱による発光効率の低下などの問題が生じる。いわゆる、n型酸化物半導体透明導電膜による素子の高抵抗化という問題が生じる。
【0027】
本発明の目的は、正孔のn型クラッド層へのオーバーフローと光取り出し効率の低下を防止することである。
【0028】
本発明の一観点によれば、n型MgxZn1−xOクラッド層と、前記n型MgxZn1−xOクラッド層上方に形成されたInyGa1−yN活性層と、前記InyGa1−xN活性層上方に形成されたp型MgzZn1−zOクラッド層と、前記n型MgxZn1−xOクラッド層に電気的に接続された第1電極と、前記p型MgzZn1−zOクラッド層に電気的に接続された第2電極と、を含み、順方向バイアス時に、前記p型Mg z Zn 1−z Oクラッド層から前記In y Ga 1−y N活性層へ注入される正孔に対して、前記n型Mg z Zn 1−z Oクラッド層が電位障壁を形成する光半導体素子が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態による光半導体素子について図1から図3までを参照して説明する。
【0030】
図1は、光半導体素子の構造断面図である。
【0031】
図1に示す発光ダイオードAは、(002)面を主表面とするサファイヤ基板1と、その上に形成されたバッファ層3と、n−MgxZn1-xOクラッド層5と、InyGa1-yN活性層11と、p−AlvGa1-vNクラッド層13と、p−MgzZn1-zOクラッド層15とを含む。p−MgzZn1-zOクラッド層のz値は、0≦z≦0.33である。
【0032】
バッファ層3としては、例えばMgZnO系のバッファ層(例:Mg0.05Zn0.95O)が用いられる。尚、バッファ層3とn−MgxZn1-xOクラッド層5との間に、n−ZnOクラッド層(図示せず)を挿入しても良い。
【0033】
また、各層のv、x、y及びzは、0から1までの間の値を取りうる。例えば、y=0.3、x=0.33、v=0.2などの値をとることができる。もちろん、n−MgxZn1-xOクラッド層5とp−MgzZn1-zOクラッド層15との間でx値およびz値と同じ値(x=z)であっても良いが、必ずしも同じ値である必要はない。
【0034】
上記の各層は、RS−MBE(Radical−Source Molecular Beam Epitaxy)法を用いて成長した。
【0035】
以下に、上記の各層の成長条件について説明する。
【0036】
例として、サファイヤ基板(002)上に、Mg0.05Zn0.95Oバッファ層、n−ZnOクラッド層、n−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層と、In0.3Ga0.7N活性層と、p−Al0.2Ga0.8Nクラッド層と、p−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層とを含む結晶構造の成長方法を示す。
【0037】
結晶成長時の圧力は、全層とも1×10-5Torr(1.33×10-3Pa)である。
【0038】
以下に各層の成長温度、膜厚及び成長原料の例を示す。尚、P(原子、分子名)との記載は、基板位置においたイオンゲージで測定した材料原子(または分子)の分子線強度を示す。RF(原子、分子名)との記載は、各材料原子(または分子)のRFラジカル源の出力を示す。FR(原子、分子名)との記載は、RFラジカル源に流す材料(原子、分子)ガスの流量を示す。
【0039】
Mg0.05Zn0.95Oバッファ層の成長条件は、成長温度が350℃、膜厚が50nmである。P(Mg)=5×10-8Torr(6.65×10-6Pa)、P(Zn)=1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)、RF(O2)=300W、FR(O2)=2sccmである。
【0040】
n−ZnOクラッド層の成長条件は、成長温度が500℃、膜厚が2μmである。P(Zn)=1.0×10-6Torr(1.33×10-4Pa)、RF(O2)=300W、FR(O2)=2sccm、P(Ga)=1×10-9Torr(1.33×10-7Pa)である。尚、Gaはn型のドーパントである。
【0041】
尚、本実施の形態においては、n−ZnOクラッド層を形成してはいないが、上記の条件で、Mg0.05Zn0.95Oバッファ層とn−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層との間にn−ZnOクラッド層を挿入しておいても良い。
【0042】
n−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層の成長条件は、成長温度が500℃、膜厚が100nmである。P(Mg)=5×10-7Torr(6.65×10-5Pa)、P(Zn)=1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)、RF(O2)=300W、FR(O2)=2sccm、P(Ga)=1×10-9Torr(1.33×10-7Pa)である。
【0043】
n−In0.3Ga0.7N活性層の成長条件は、成長温度が500℃、膜厚が3nmである。P(In)=5×10-7Torr(6.65×10-5Pa)、P(Ga)=1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)である。RF(NH3)=300W、FR(NH3)=2sccmである。
【0044】
p−Al0.2Ga0.8Nクラッド層の成長条件は、成長温度が600℃、膜厚が100nmである。P(Al)=5×10-7Torr(6.65×10-5Pa)、P(Ga)=1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)、RF(NH3)=300W、FR(NH3)=2sccm、P(Mg)=1×10-9Torr(1.33×10-7Pa)である。尚、Mgは、p型のドーパントである。
【0045】
p−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層の成長条件は、成長温度が500℃、膜厚が300nm、P(Mg)=5×10-7Torr(6.65×10-5Pa)、P(Zn)=1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)である。RF(O2)=300W、FR(O2)=2sccmである。
【0046】
尚、p−MgZnOの成長の際は、組成がGa:N=1:2になるように、P(Ga)とRF(NH3)を調節する。
【0047】
上記のように成長した積層構造を加工する。
【0048】
InyGa1-yN活性層11と、p−AlvGa1-vNクラッド層13と、p−MgzZn1-zOクラッド層15とが島状に加工されて島状積層構造SS1を形成している。これにより、n型MgxZn1-xO層5の表面の一部が露出する。
【0049】
島状積層構造SS1の側壁は、絶縁膜21により被覆される。絶縁膜21には、上部に開口22が形成されており、開口22からp−MgxZn1-xOクラッド層15の表面が露出している。
【0050】
尚、InxGa1-xN活性層11は、ダブルヘテロ構造(DH構造)、単一量子井戸又は多重量子井戸構造で形成される。
【0051】
InxGa1-xN活性層11を、n−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層とp−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層とで挟んだダブルヘテロ構造を形成する場合は、例えばInxGa1-xN活性層11の厚さが10nmから100nmである。GaN層とInN層との単一量子井戸構造(InNウェル層の両側をGaNバリアで挟んだ構造)では、例えば、InNウェル層の厚さは1nmから10nmである。GaN層とInN層との多重量子井戸構造を形成する場合は、井戸層と障壁層が多数形成されている。この場合、1井戸層と1障壁層との合計の膜厚が10nm以下であることが好ましい。但し、1井戸層の厚さは1障壁層の厚さよりも薄いの方が好ましい。これらの1井戸層と1障壁層とを1単位として、1単位を3周期から5周期繰り返して多重量子井戸層を形成するのが好ましい。
【0052】
n−MgxZn1-xOクラッド層5の表面には、第1の電極23が形成されている。p−MgzZn1-zOクラッド層15上に全面を覆う第2電極25が形成されている。第2電極25は、例えばZnO透明導電層により形成される。第2電極用材料としては、光学的には透明であり、かつ、電気的にはp−MgzZn1-zOクラッド層15と良好なオーミック接触を得られる材料が好ましい。
【0053】
p−MgzZn1-zOクラッド層15が、LEDの光学面を形成する。
【0054】
第1電極23に対して第2電極25に正の電圧を印加すると、p−n接合が順バイアスされ、n−MgxZn1-xOクラッド層5から電子がInyGa1-yN活性層11に向けて移動するとともに、p−MgzZn1-zOクラッド層15から正孔がInyGa1-yN活性層11に向けて移動する。活性層11内において電子と正孔との再結合が生じる。電子と正孔とが再結合する際に、活性層のバンドギャップエネルギーに対応する波長の発光が起こる。
【0055】
尚、n型MgZnOクラッド層5とInyGa1-yN活性層11との間に、n−AluGa1-uNクラッド層を挿入しても良い。
【0056】
また、上記構造は、活性層11の端面からレーザー光が発光するレーザーダイオード(Laser Diode:LD)にも適用可能である。
【0057】
尚、端面発光のLDに用いる場合には、第2電極における光の反射率が高くても良い。
【0058】
図2に、図1に示したGaN系LED(LD)のバンド構造の例を示す。
【0059】
図1に示した構造において、n−MgxZn1-xOクラッド層5のx値は、0.33、InyGa1-yN活性層11のy値は0.3、p−AlvGa1-vNクラッド層13のv値は0.2、p−MgzZn1-zOクラッド層15のz値は、0.33である。
【0060】
図2に示すように、In0.3Ga0.7N活性層11とp−Al0.2Ga0.8Nクラッド層13との間の価電子帯端におけるエネルギーバンドの不連続値ΔEvは、約0.235eVと小さいが、In0。3Ga0.7N活性層11とn型Mg0.33Zn0.67Oクラッド5層との間の価電子帯端におけるエネルギーバンドの不連続値ΔEvは、約1.999eVと大きい。
【0061】
従って、クラッド層としてn型Mg0.33Zn0.67Oクラッド層を用いることにより、In0.3Ga0.7N活性層11に注入された正孔のn型Mg0.33Zn0.67Oクラッド層5へのオーバーフローが防止され、InGaN活性層11内において有効に放射性再結合を生じさせることができる。
【0062】
p−Mg0.33Zn0.67Oクラッド層15上に形成されているp型電極は、p型のZnO透明導電膜からなる第2電極25である。
【0063】
p型ZnO透明導電膜は、例えば、Ga:N=1:2の比率の同時ドーピング法を用いて成長する。この成方法に関しては、例えば、吉田博らによる文献、最近の研究「半導体における第一原理計算からの物質設計」、"まてりあ"、Vol.38、No.2、(1999)、p134−p143に記載されている方法を用いることができる。
【0064】
この文献には、MBE法やMOCVD法などの低温での非平衡結晶成長中に、蒸気分圧を制御しながらn型ドーパントとp型ドーパントとをある一定の比を有する濃度で同時にドーピングする方法が記載されている。この方法でドーピングを行うと、アクセプター間には斥力が働き、アクセプターとドナー間には引力が働くので、アクセプター・ドナー複合体が形成される。複合体が形成されると、単独ドーピングの場合と比べて化学結合が強くなり形成エネルギーが減少するため、ドーパントの溶解度が大きく上昇する。キャリアの移動度も上昇する。加えて、ドナーやアクセプターの準位を単独ドーピングと比べて浅くすることができる。従って、p型のZnO透明導電膜を作りやすい。
【0065】
図3に、ZnO透明導電膜からなる第2電極25の光の透過率の波長依存性を示す。図3におけるZnO透明導電膜の厚さは420nmである。
【0066】
図3より、波長400nmから波長1000nmまでの範囲で、光の透過率はほぼ80%の高い値が得られている。図9に示すAu系の電極に比べて約2倍の光透過率を示す。p型ZnO透明導電膜を用いることにより、通常のAu系半透明電極を用いた場合と比べて約2倍の光をInGaN活性層から外部へ取り出すことができる。
【0067】
また、p型MgZnOクラッド層とp型ZnO透明導電膜とは、同じp型の導電体材料により形成されているため、光半導体素子に対して順方向バイアスを印加して駆動した場合にp型MgZnOクラッド層とp型ZnO透明導電膜との間に障壁が形成されない。光半導体素子の寄生抵抗(コンタクト抵抗)が高くなることによる駆動電圧の上昇、発熱による発光効率の低下などの問題は少ない。
【0068】
従って、高輝度LEDの作製が可能となる。
【0069】
尚、上記の構造を用いて面発光型のLDを形成した場合にも、同様の効果が得られる。面発光型のLDを形成する場合には、上部電極(第2電極)の光透過率は20から30%以下であっても良い。
【0070】
加えて、格子定数に関しては、GaN[1−100]とサファイヤ[11−20]との間の格子定数のずれが16%であり、この値とZnO[1−100]とサファイヤ[11−20]との間の格子定数のずれ18%は、ほぼ同じである。尚、上記の[ ]内の数字のうち"−1"や"−2"などの−の付いている数字は、"1"、"2"の反転(バー)を示している。
【0071】
従って、MgZnOをクラッド層として用いた場合、従来のInGaN系LEDやLDに比べて、格子不整合に起因する品質の低下は生じない。
【0072】
上記(1)式より、x=0.3におけるInxGa1-xNのEgは、2.695eVである。発光波長は460nmであり、青色の発光ダイオードが得られる。
【0073】
上述の青色発光素子は、種々の用途に用いることができる。
【0074】
尚、第2電極25としてZnO透明導電層のような透明導電層を用いる代わりに、第2電極25を、反射電極、例えばAgやAlなどを含む高反射率金属電極で形成しても良い。基板は透明基板を用いる。
【0075】
第2電極25を反射電極とした光半導体素子は、フリップチップ構造を有している。InxGa1-xN活性層11からの発光は、第2電極(高反射率金属電極)において反射し、活性層を挟んで第2電極とは反対側に形成されている透明基板側から光を出射させる。このようなフリップチップ構造においても、青色発光素子を実現することができる。
【0076】
図4及び図5を参照して青色発光素子の応用例について説明する。図4は、第1の実施の形態において説明したInGaN系の光半導体素子A(図1:LED)を用いたドットマトリックス表示器の構造を示す斜視図である。
【0077】
光半導体素子(LED)を用いたドットマトリックス表示器Bは、プリント基板又はセラミックス基板31と、その上に形成され一方向に平行に延びる3本のデータライン33と、データライン33とは電気的に絶縁されデータライン33と交差する方向に延びる複数本のコモンライン35と、データライン33とコモンライン35との交差部近傍のコモンライン35上に、各交点に3つずつ搭載されたLED37とを有している。
【0078】
各交点に配置されている3つのLED37は、赤色LED37a、緑色LED37b、青色LED37cである。これら3色のLEDにより1つのドットを形成している。
【0079】
青色LED37cは、第1の実施の形態による光半導体素子を用いることができる。発光波長は、x=0.3において約450nmである。赤色LED37aは、例えば活性層にAlGaAsを用いた発光波長670nmのLEDである。緑色LED37bは、例えばGaP系の半導体材料を活性層として用いたLEDであり、発光波長は約550nmである。
【0080】
各データライン33は、各色のLEDごとに独立したデータラインを3本有している。各LED37は、光学面とは反対側に設けられた電極が、コモンライン35に共通に接続されている。光学面側の電極は、赤色LED37a、緑色LED37b、青色LED37cのそれぞれが独立にデータライン33中の各色ごとのデータラインと電気的に接続されている。
【0081】
LEDが設けられている領域を除く領域上を覆って、基板31上に反射枠41が設けられている。LEDが設けられている領域上には、光を拡散させるための拡散フィルムが設けられている。
【0082】
図5に、ドットマトリックス表示器の回路図を示す。
【0083】
図5に示すように、コモンライン33−1から33−mまでと、コモンラインと交差するデータライン35−1から35−nまでが設けられ、それらの交点に、3色のLED37a、37b、37cが設けられている。データライン35−1から35−nまでの各々は、赤色用、緑色用、青色用のそれぞれのデータラインXnR、XnG、XnBを有している。ここでm、nは、正の整数である。尚、m、nが等しくても良い。
【0084】
赤、緑、青のLED37a、37b、37cで1ドットを構成したマトリックス回路を駆動するためには、33−1から33−nのコモンラインに接続されているドライバを順次オンさせ、33−1がオンしている間に、35−1から35−nの信号ラインに表示したい3色のいずれか、又は、3色中の2色の組み合わせ、3色全ての組み合わせのいずれかの信号を入力する。次にコモンライン33−2でも同じ動作を行い、33−nまで走査すると、33−1に戻る駆動動作を繰り返し実行する。
【0085】
以上の動作により、赤、緑、青の3原色を用いてフルカラーの表示を行うことができる。
【0086】
尚、面発光型LDの場合にも、LEDと同様にp型電極として高透過率のp型ZnO透明導電膜を用いるのが好ましい。但し、端面発光型のLDの場合には、p型電極として高透過率のp型ZnO透明導電膜を用いなくても良い。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態による光半導体装置を用いれば、短波長(紫外〜青)LED及びその応用製品(各インジケーター、LEDディスプレイ等)、白色LED及びその応用製品(照明器具、各インジケーター、ディスプレイ、各表示器のバック照明等)に適用することができる。ディスクやバーコード等の読取光源としても好適である。
【0088】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。
【0089】
【発明の効果】
MgZnOをn型クラッド層として用いることにより、光半導体素子を駆動する際に、活性層内に注入された正孔がn型クラッド層ヘオーバーフローするのを防ぐことができる。低しきい値のLD、高輝度のLEDの作製が可能となる。
【0090】
特にLEDや面発光型LDの場合、MgZnOをp型クラッド層として用い、p型電極として高透過率のp型ZnO透明導電膜を用いることができ、光の取り出し効率が、従来のAu系電極の約2倍に増大する。
【0091】
従って、高輝度のLEDや面発光型LDの作製が可能となる。青色LED(LD)と赤色、緑色LED(LD)とを組み合わせることにより、フルカラーの表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態によるInGaN系LEDの構造断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態によるInGaN系LEDのバンド構造を示す模式的な図面である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態によるInGaN系LEDに用いられるZnO導電性透明電極の光透過率の波長依存性を示す図である。
【図4】 第1の実施の形態によるInGaN系LEDを用いたドットマトリックス表示器の構造図である。
【図5】 第1の実施の形態によるInGaN系LEDを用いたドットマトリックス表示器の回路図である。
【図6】 従来のInGaN系LEDの構造断面図である。
【図7】 GaN系3元系結晶の伝導帯及び価電子帯のバンド端のエネルギー値の組成依存性を示す図である。
【図8】 従来のInGaN系LEDのバンド構造を示す模式的な図面である。
【図9】 InGaN系LEDにAu系の電極を用いた場合の光透過率の波長依存性を示す図である。
【符号の説明】
1 サファイヤ基板(002)
3 バッファ層
5 n−MgxZn1-xOクラッド層
11 InyGa1-yN活性層
13 p−AlvGa1-vNクラッド層
15 p−MgzZn1-zOクラッド層
SS1 積層構造
21 絶縁膜
22 開口
23 第1の電極
25 第2の電極(透明電極)
31 基板
33 データライン
35 コモンライン
37a 赤色LED
37b 緑色LED
37c 青色LED
Claims (7)
- n型MgxZn1−xOクラッド層と、
前記n型MgxZn1−xOクラッド層上方に形成されたInyGa1−yN活性層と、
前記InyGa1−xN活性層上方に形成されたp型MgzZn1−zOクラッド層と、
前記n型MgxZn1−xOクラッド層に電気的に接続された第1電極と、
前記p型MgzZn1−zOクラッド層に電気的に接続された第2電極と、を含み、
順方向バイアス時に、前記p型Mg z Zn 1−z Oクラッド層から前記In y Ga 1−y N活性層へ注入される正孔に対して、前記n型Mg z Zn 1−z Oクラッド層が電位障壁を形成する光半導体素子。 - 前記第2の電極は、p型ZnO透明導電膜である請求項1に記載の光半導体素子。
- 前記第2の電極は、反射電極である請求項1に記載の光半導体素子。
- 前記xは、0から0.33までの間であり、前記yは、0から0.3までの間であり、前記zは、0から0.33までの間である請求項1から3までのいずれか1項に記載の光半導体素子。
- 前記In y Ga 1−y N活性層は、量子井戸構造を形成し、InNウェル層の両側をGaNバリアで挟んだ構造を含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の光半導体素子。
- さらに、前記InyGa1−yN活性層と前記p型MgzZn1−zOクラッド層との間にp型AlvGa1−vNが配置された請求項1から4までのいずれか1項に記載の光半導体素子。
- 前記vは、0から0.2までの間である請求項5に記載の光半導体素子。
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