JP3594077B2 - 取付用部材付き窓用板材の製造方法 - Google Patents

取付用部材付き窓用板材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窓用板材を窓開口部に取り付ける際に用いる取付用部材を備えた取付用部材付き窓用板材の製造方法に関し、特に取付用部材を設置する台座を樹脂成形用金型を用いて窓用板材に一体成形する取付用部材付き窓用板材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車輌の窓開口部には、ガラス板(窓用板材)がウレタン等のシーラント(接着剤)を介して取り付けられている。
このようにして取り付けられるガラス板の車内側面には、窓開口部に取り付ける際にそのガラス板の位置決めをしたり、接着剤が硬化するまでの間、窓開口部の所定の位置にそのガラス板の仮止めをしたりするクリップ等の取付用部材が、周方向に間隔を隔てて配置されている。さらに、ガラス板の車内側面の周縁部には、前述した取付用部材等が透明なガラス板を透して車外側から見えないようにするためや、太陽光の紫外線による接着剤等の劣化を防止するために、暗色隠蔽層が設けられている。
また、このようなガラス板には、窓の水密性を確保するために、ガラス板の周縁部に樹脂製の枠体を一体成形した樹脂枠体付きガラス板がある。このような樹脂枠体付きガラス板では、樹脂枠体の内周側に接着剤が塗布され、さらに接着剤の内周側に取付用部材が配置されている。
【0003】
このような取付用部材付き窓用板材は、例えば特許掲載公報第2554537号に記載された方法により得ることができる。この方法は、まず、樹脂成形用金型(以下成形型)内に形成された収納部に取付用部材を収納し、この成形型を用いてガラス板の周縁部付近を狭持する。ガラス板を狭持した成形型は、ガラス板周縁部に枠体用キャビティ空間を形成し、ガラス板面上に収納部と取付用部材とで台座用キャビティ空間を形成する。さらに、成形型はガラス板面上に、台座用キャビティ空間と枠体用キャビティ空間とを連通する橋渡し状の樹脂の誘導路を形成する。次に、枠体用キャビティ空間内に樹脂材料を射出することで、その樹脂材料の一部を誘導路を介して台座用キャビティ空間内に流入させる。そして、樹脂材料を固化させることで、ガラス板の周縁部に枠体を成形するとともに、ガラス板面上に取付用部材が接合された台座および連結部を一体に成形する。次に、枠体と台座と連結部とが一体に成形されたガラス板を成形型から取り出す。最後に、連結部をガラス板から引きちぎって除去する。
【0004】
また、取付用部材付き窓用板材は、例えば特開平7−308939号公報に記載された方法により得ることもできる。この方法は、まず、成形型内に形成された収納部に取付用部材を収納し、この成形型を用いてガラス板に面して形成される台座用キャビティ空間と枠体用キャビティ空間とにゲート(樹脂流路)を個別に接続し、樹脂材料をそれぞれの樹脂流路を介して各キャビティ空間内に射出する。そして、樹脂を固化させることで、ガラス板の周縁部に枠体に成形するのと同時に、ガラス板の面上に取付用部材が接合された台座を一体に成形する。最後に、枠体と台座とが一体に成形されたガラス板を、成形型から取り出す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特許掲載公報第2554537号に記載された方法では、ガラス板を成形型から取り出した後に、連結部をガラス板から引きちぎって除去している。連結部が残存していると、連結部の表面がガラス板の表面より一段高くなっているため、ガラス板を窓開口部に取り付けた際の窓の密封性、水密性が低下するからである。
しかし、連結部の除去作業は煩雑で、作業中にガラス板、特にガラス板の車内側面に配置された暗色隠蔽層を傷つけることがある。暗色隠蔽層に傷がつくと外観の低下や紫外線による接着剤等の劣化を招く。また、ガラス板に傷がつくとガラス板の強度が低下する。
【0006】
一方、前述の特開平7−308939号公報に記載された方法によれば、ガラス板面上に連結部が形成されていないので、連結部の除去作業が必要である。
ところが、台座用キャビティ空間が、ガラス板の周縁部の略全周にわたって配置されている枠体用キャビティ空間に比べて極端に狭いため、それぞれのキャビティ空間に射出される樹脂材料の圧力を個別に調節する必要があるが、このような調節は煩雑である。例えば、それぞれの樹脂流路の形状や径を調節することが考えられるが、そのときの台座用キャビティ空間および枠体用キャビティ空間に見合った最適な樹脂流路に組合わせを得るために試行錯誤が必要とされる。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、窓用板材表面を傷つけることなく、取付用部材が接合された台座を窓用板材に容易に一体成形可能な取付用部材付き窓用板材の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するために、第1型と第2型とを有する成形型に窓用板材を装着し、該窓用板材の周縁部と第1型および第2型の内面とで枠体用キャビティ空間を形成して、該枠体用キャビティ空間に樹脂材料を射出して窓用板材の周縁部に枠体を一体化するとともに、該枠体よりも窓用板材の内周側に間隔を隔てた位置に取付用部材を一体化する取付用部材付き窓用板材の製造方法であって、第1型の前記枠体用キャビティ空間よりも内周側に凹部を設け、該凹部内に取付用部材を装着して該取付用部材とそれに相対する窓用板材の表面と凹部内面とで台座用キャビティ空間を形成して、該台座用キャビティ空間と前記枠体用キャビティ空間とを連通しかつ窓用板材から離れるように第1型の内部に彫り込まれた連通路を介して、前記枠体用キャビティ空間に射出された樹脂材料を台座用キャビティ空間に流入させた後、樹脂材料を固化させて枠体を窓用板材の周縁部に一体化するとともに窓用板材の枠体よりも内周側の表面と取付用部材とを台座を介して一体化する取付用部材付き窓用板材の製造方法を提供する。また、この場合において樹脂材料を固化させた後に第1型と第2型とを型開きして、連結部を台座から引きちぎり、枠体と台座とが一体化された窓用板材を成形型から取り出すとともに、前記連結部を前記枠体から除去することが好ましい。
【0009】
本明細書においていう「窓用板材」としては、透明ないし半透明のガラス板や樹脂板を例示できる。充分な透視性を有していれば、有彩色のガラス板や樹脂板でもよい。ガラス板としては、単板のガラス板や合わせガラスを例示できる。さらに、ガラス板としては強化処理がなされたものや熱線反射膜等の機能コートが設けられたものでもよい。
また、「樹脂材料」としては、熱可塑性樹脂等を例示できる。熱可塑性樹脂としては塩化ビニル樹脂や、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリウレタン系のエラストマー等から選択された一般の熱可塑性樹脂を例示できるがこれに限定されない。
「取付用部材」とは、窓用板材の窓開口部での取り付け固定を担うものや、窓用板材の窓開口部への取り付けの際に、窓用板材の位置決めや、窓用板材に配置されたウレタン等のシーラントが固化するまでの仮止めを担うものであれば良く、その形状は限定されない。
【0010】
このような取付用部材付き窓用板材の製造方法によれば、枠体用キャビティ空間内に射出された樹脂材料を連通路を介して台座用キャビティ空間内に充填するので、樹脂材料の射出圧力の調整が容易である。そして、型開きと同時に、窓用板材に接していない連結部を台座から引きちぎることができる。このとき、連結部が窓用板材から離れているため、連結部が窓用板材に残存することがない。すなわち、連結部の除去は窓用板材からではなく枠体からであるため、窓用板材を傷つけることがない。なお、第1型と第2型とを開く順序は、第1型と第2型との上下関係に依存する。第1型を上に配し第1型を上昇させて型開きすることは、第1型の上昇時(すなわち型開き時)に同時に連結部を台座から引きちぎることができるので好ましい。この場合、窓用板材が第2型にある状態で連結部を枠体から除去しても、窓用板材を第2型から取り出してから連結部を枠体から除去してもよいが、連続生産の効率の良さの観点から、第2型から窓用板材を取り出してから連結部を枠体から除去することが好ましい。第2型を上に配し第2型を上昇させて型開きする場合には、型開き後第1型から窓用板材を取り出す際に連結部を台座から引きちぎることになる。
【0011】
この場合において、連通路の台座用キャビティ空間側の開口面積を枠体用キャビティ空間側の開口面積より小さくすることが好ましい。
このような取付用部材付き窓用板材の製造方法によれば、型開きの際に、連結部を台座から円滑に引きちぎることができる。したがって、型開き時に取付用部材と一体の台座が窓用板材から剥がれてしまうことがない。一方、枠体は台座より接着強度が強いため、型開きの際に枠体が窓用板材から剥がれることはない。そして、連結部の枠体との接続部分を太くしたことで、連結部が枠体から引きちぎられることがなく、型開きによって連結部を第1型から引き抜くことができる。したがって、第1型から連結部を除去する作業も不要である。
【0012】
また、この場合において、連通路を、枠体用キャビティ空間の窓用板材の端面よりも内周側の箇所に開口させることが好ましい。
枠体用キャビティ空間で成形される枠体には、窓用板材の端面よりも外周側で肉厚が厚くなるものがある。厚肉の部分には、一般にひけが生じ易いが、このような肉厚の部分に連通路を接続すると、樹脂がさらにリッチになり、ひけがより生じ易くなる。そこで、連通路を枠体用キャビティ空間の窓用板材の端面よりも内周側の箇所に開口させることで、ひけの発生を防止できる。
【0013】
このような取付用部材付き窓用板材の製造方法においては、窓用板材と樹脂枠体との接着性の向上のために、窓用板材の周縁部には予めウレタン系や、フェノール系、ナイロン系、アクリル系、エポキシ系、シラン系等の接着剤を用いてプライマー処理を施してもよい。
本発明は、第1型の第2型との対向面に取付用部材を装着可能な凹部が形成されており、窓用板材を前記第1型と第2型とで狭持した際に、前記窓用板材の周縁部に枠体用キャビティ空間を形成できるとともに、該枠体用キャビティ空間より前記窓用板材の内周側に前記凹部内の前記取付用部材とそれに相対する窓用板材の表面との間に台座用キャビティ空間を形成できる成形型であって、前記第1型の内部に、前記枠体用キャビティ空間と台座用キャビティ空間とを連通するとともに窓用板材には面していない連通路が形成された成形型によって実施できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1に本発明の実施形態である取付用部材付き窓用板材の製造方法を実施するための成形型の第1例の要部断面図を示す。図1は、取付用部材と窓用板材とをセットした成形型内に樹脂材料が充填された様子を示す。
成形型10は、上型(第1型)11と下型(第2型)12とで構成されている。上型11および下型12の対向面の一部は、ガラス板(窓用板材)21の周縁部付近を狭持している。ガラス板21の周縁部には枠体用キャビティ空間13が形成されている。また、枠体用キャビティ空間13からガラス板21の内周側(図では左側)に間隔を隔てて、ガラス板21の図中上面(ガラス板21を車輌窓開口部に取り付けた際の車内側面)21a上に台座用キャビティ空間14が形成されている。
【0015】
上型11は、枠体用キャビティ空間13を形成する内面11a、台座用キャビティ空間14を形成する凹部11b、ガラス板21を支持する支持面(対向面の一部)11c、枠体用キャビティ空間13および台座用キャビティ空間14を連通する断面視略円弧状の連通路15備えている。連結路15は上型11内に彫り込まれたものであり、ガラス板21には面していない。すなわち、連結路15は、上型11の対向面11cに露出していない。
枠体用キャビティ空間13の内面11aには、連通路15の枠体側開口部15aが形成されている。枠体側開口部15aは、枠体用キャビティ空間13内のガラス板21の端面21bよりもガラス板21の内周側に位置する内面11aの箇所に形成されている。
【0016】
凹部11bは、深さの深い部分14aと深さの浅い部分14bとから構成され、図1の縦断面視において略階段状に形成されている。また、凹部11b内に装着されたクリップ(取付用部材)16は、弾性を有する樹脂で構成され、平板状の底部16bと、その底部16b上に設けられた鈎状の先端部16aとを有している。図1に示すように、クリップ16はその先端部16aが上型11の内部を向く方向(図では上方向)に向けられて凹部11b内に装着されている。台座用キャビティ空間は、底部16bとガラス板21との間に形成されている。
浅い部分14bの底面14cには、連通路15の台座側開口部15bが形成されている。台座側開口部15bは、クリップ16の底部16bよりもガラス板21側(図では下側)に形成されている。
こうして、連通路15は、内面11aに形成された枠体側開口部15aと浅い部分14bの底面14cに形成された台座側開口15bとを介して、枠体用キャビティ空間13と台座用キャビティ空間14とを連通している。さらに、台座側開口15bの開口面積は枠体側開口15aの開口面積よりも小さくなっており、連通路15は、その断面積が枠体側から台座側へ向かうにつれて漸減している。
【0017】
下型12は、枠体用キャビティ空間13を形成する内面12aと、上型11の支持面11cおよび凹部11bに対向する位置に配置されて、ガラス板21を支持する支持面12cとを備えている。以上のような構成の成形型10において、枠体用キャビティ空間13と台座用キャビティ空間14と連通路15内に樹脂材料が充填されることで、それぞれの空間に枠体22と台座23と連結部24とが成形される。
【0018】
次に、本発明の取付用部材付きガラス板(取付用部材付き窓用板材)20の製造方法について説明する。
取付用部材付きガラス板を製造するには、まず、図2に示すように上型11と下型12とを開いた状態において、上型11に形成された凹部11bの深い部分14a内にクリップ16をその先端部16aを上型11の内部を向く方向(図では上方向)に向けて装着する。このとき、クリップ16の底部16bの外周面は、凹部11bの深い部分14aの内周面に密着するように装着される。
さらに、ガラス板21の周縁部が下型12の内面12a上に位置するように、ガラス板21の下面21cを下型12の支持面12c上に載置する。
【0019】
そして、図3に示すように上型11と下型12とを閉じ、上型11の支持面11cをガラス板21の上面21aに当接させ、上型11および下型12の支持面11c,12cでガラス板21の周縁部付近を狭持する。このとき、ガラス板21の周縁部には、枠体用キャビティ空間13が形成され、ガラス板21の周縁部から間隔を隔てた内周側の上面21a上には、凹部11bとクリップ16の底部16bとで区画された台座用キャビティ空間14が形成される。更にそれらを連通するように連通路15が、枠体側開口部15aおよび台座側開口部15bを介して、枠体用キャビティ空間13および台座用キャビティ空間14を連通する。
【0020】
次いで、枠体用キャビティ空間13に連通している樹脂流路(図示せず)を介して枠体用キャビティ空間13内に樹脂材料を射出する。このとき、図1に示すように、枠体用キャビティ空間13内に射出された樹脂材料の一部は、連通路15を介して台座用キャビティ空間14に充填される。
充填された樹脂材料が固化することで、枠体用キャビティ空間13内には枠体22が成形され、台座用キャビティ空間14内にはクリップ16と一体の台座23が成形され、連通路15内には連結部24が成形される。
連結部24は、枠体側接続部分24aを介して枠体22と接続し、台座側接続部分24bを介して台座23と接続している。
【0021】
次に、枠体22、台座23、連結部24が一体に成形されたガラス板21を成形型10から取り出す。まず、図4に示すように、上型11がガラス板21から外される。上型11をガラス板21から引き離していくと、連結部24と台座23とを接続している台座側接続部分24bが引きちぎられる。そのまま上型11をガラス板21から引き離していくと、弾性を有する樹脂材料で構成されている連結部24は、枠体側接続部分24aを介して枠体と連結されたまま、その形状を変形させながら連通路15内から引き出される。こうして、上型11は、クリップ16を有している台座23および連結部24を有した枠体22を一体に成形された状態のガラス板21から取り外される。そして、下型12からガラス板21を取り出す。
【0022】
最後に、図5に示すように連結部24を枠体側接続部分24aで切断し、連結部24を枠体22から除去することで、取付用部材付きガラス板20が形成される。
【0023】
以上説明したような取付用部材付きガラス板20の製造方法によれば、枠体用キャビティ空間13内に射出された樹脂材料を連通路15を介して台座用キャビティ空間14内に充填するので、樹脂材料の射出圧力の調整が容易である。そして、型開きと同時に、ガラス板21に面していない連結部24を台座23から引きちぎることができる。このとき、連結部24がガラス板21から離れているため、連結部24がガラス板21に残存することがない。したがって、連結部24の除去はガラス板21からではなく枠体22からであるため、ガラス板21を傷つけることがない。
なお、このように製造された取付用部材付きガラス板20においては、連結部24を除去した跡が枠体22の車内側面(ガラス板21の上面21a側)に残ることがある。しかし、この取付用部材付きガラス板20を車輌等に装着した際に、この跡が車外側から見えて外観を低下させることがない。
さらに、台座用キャビティ空間14を縦断面視において略階段状に形成し、底面14cに連通路15の台座側開口部15bを設けることで、台座用キャビティ空間内14内の樹脂材料の流動性を良好にしている。
【0024】
図6に本発明の実施形態である取付用部材付き窓用板材の製造方法を実施するための成形型の第2例の要部断面図を示す。
なお、以下に説明する例において、すでに第1例で説明した部材等と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
本実施形態において、成形型30は、上型31と下型12とからなる。上型31は、枠体用キャビティ空間13を形成する内面11a、クリップ16を収納するための凹部31b、連通路15を備えている。凹部31bは、縦断面視において略矩形形状である。台座用キャビティ空間14は、上型31内の凹部31b内に装着されたクリップ16の底部16bとガラス板21の上面21aとで区画された空間に形成される。また、凹部31bと連通路15とは、凹部31bの側壁14dに形成された台座側開口部15bを介して連結されている。このとき、台座側開口部15bはクリップ16の底部16bよりもガラス板21側に設けられている。さらに、枠体用キャビティ空間13の内面11aと連結部15とは、枠体側接続部15aを介して接続されている。
【0025】
以上のような構成の上型31を用いて、取付用部材付きガラス板を製造するには、前述した第1例と同様に、まず上型31の凹部31b内に、クリップ16を装着する。このとき、取付用部材16の底部16bの外周は、凹部31bの内周面に密着している。次いで、ガラス板21の周縁部を上型31および下型31の支持面11c,12cで狭持する。
次いで、樹脂流路(図示せず)を介して枠体用キャビティ空間13内に樹脂材料を射出する。枠体用キャビティ空間13内に充填された樹脂材料の一部は、連通路15を介して、台座用キャビティ空間14に充填される。こうして、枠体用キャビティ空間13および台座用キャビティ空間14内に枠体22および台座23がガラス板21に一体に成形される。連結路15内には、連結部24が形成される。
この後、前述した第1例と同様に、第1型31をガラス板21から引き離すことで、台座側接続部分15bがひきちぎられた状態でガラス板21を上型31から取り出すことができる。さらに、下型12からガラス板21を取り外し、最後に、枠体22から連結部24を除去することで、取付用部材付きガラス板20が成形される。
【0026】
以上説明したような取付用部材付きガラス板の製造方法によれば、取付用部材の台座部分が縦断面視において、略階段状に構成されていないので、枠体22と台座23との間のガラス板面上のスペースが有利に確保することができ、接着剤等を配置するスペースを確保することができる。
【0027】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
本発明は、クリップと樹脂材料との結合を良好にするためにクリップの底部にリブや孔を有したリブを備えたクリップを採用しても良い。
また、本発明では、クリップの底部が、上型の台座用キャビティ空間を構成する凹部の内周面に密着することで、樹脂材料の流入を防止していたが、凹部にクリップの底部を載置するための段差を設けて、樹脂材料の流入を防止しても良い。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の取付用部材付き窓用板材の製造方法によれば、枠体用キャビティ空間内に射出された樹脂材料を連通路を介して台座用キャビティ空間内に充填するので、樹脂材料の射出圧力の調整が容易である。そして、型開きと同時に、窓用板材に面していない連結部を台座から引きちぎることができる。このとき、連結部が窓用板材から離れているため、連結部が窓用板材に残存することがない。したがって、連結部の除去は窓用板材からではなく枠体からであるため、窓用板材を傷つけることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための第1例の成形型10の要部断面図である。
【図2】本発明を実施するための第1例の成形型10の要部断面図である。
【図3】本発明を実施するための第1例の成形型10の要部断面図である。
【図4】本発明を実施するための第1例の成形型10の要部断面図である。
【図5】本発明により製造された取付用部材付き窓用板材20の断面図である。
【図6】本発明を実施するための第2例の成形型30の要部断面図である。
【符号の説明】
10,30 成形型
11,31 上型(第1型)
11a,12a 内面
12 下型(第2型)
13 枠体用キャビティ空間
14 台座用キャビティ空間
14a 深い部分
14b 浅い部分
15 連通路
16 取付部材
20 取付用部材付き窓用板材
21 窓用板材
22 枠体
23 台座
24 連結部

Claims (4)

  1. 第1型と第2型とを有する成形型に窓用板材を装着し、該窓用板材の周縁部と第1型および第2型の内面とで枠体用キャビティ空間を形成して、該枠体用キャビティ空間に樹脂材料を射出して窓用板材の周縁部に枠体を一体化するとともに、該枠体よりも窓用板材の内周側に間隔を隔てた位置に取付用部材を一体化する取付用部材付き窓用板材の製造方法であって、第1型の前記枠体用キャビティ空間よりも内周側に凹部を設け、該凹部内に取付用部材を装着して該取付用部材とそれに相対する窓用板材の表面と凹部内面とで台座用キャビティ空間を形成して、該台座用キャビティ空間と前記枠体用キャビティ空間とを連通しかつ窓用板材から離れるように第1型の内部に彫り込まれた連通路を介して、前記枠体用キャビティ空間に射出された樹脂材料を台座用キャビティ空間に流入させた後、樹脂材料を固化させて枠体を窓用板材の周縁部に一体化するとともに窓用板材の枠体よりも内周側の表面と取付用部材とを台座を介して一体化すること特徴とする、取付用部材付き窓用板材の製造方法。
  2. 前記樹脂材料を固化させた後に第1型と第2型とを型開きして、前記連結部を前記台座から引きちぎり、前記枠体と前記台座とが一体化された窓用板材を成形型から取り出すとともに、前記連結部を前記枠体から除去する、請求項1に記載の取付用部材付き窓用板材の製造方法。
  3. 前記連通路の前記台座用キャビティ空間側の開口面積を前記枠体用キャビティ空間側の開口面積より小さくする請求項1または2記載の取付用部材付き窓用板材の製造方法。
  4. 前記連通路を、前記枠体用キャビティ空間の前記窓用板材の端面よりも内周側の箇所に開口させる請求項1〜3のいずれかに記載の取付用部材付き窓用板材の製造方法。
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