JP3592880B2 - パッケージ型電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップの部分を合成樹脂製のモールド部にてパッケージして成るいわゆるパッケージ型電子部品を製造する方法と、この方法によって製造されたパッケージ型電子部品とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この形式の電子部品は、従来から良く知られているように、概略、帯状リードフレームの左右両端縁における両フレーム枠の各々から内向きに突出した複数本のリード端子のうち少なくとも一つのリード端子の先端に半導体チップをマウントすると言うダイボンディング工程、次いで、前記半導体チップと他の各リード端子の先端との間をリードフレームの長手方向に延びる金属線を介して電気的に接続すると言うワイヤボンディング工程、次いで、前記半導体チップの部分をこれに接続した各金属線の部分を含めてパッケージするための合成樹脂製のモールド部を成形する工程を経て製造される。
【0003】
また、この製造方法において、前記モールド部の成形は、リードフレームを下金型と上金型とで挟み付け、この両金型の合わせ面に凹み形成したキャビティー内に、溶融状態の合成樹脂をゲート口から充填することによって行われるのである。
【0004】
このモールド部の成形に際して、従来は、前記キャビティー内に溶融合成樹脂を充填するためのゲート口を、前記キャビティーにおいてリードフレームの長手方向と平行な一つの辺のうち前記半導体チップをマウントした一つのリード端子に隣接した部分に設けることによって、溶融合成樹脂を複数個のキャビティー内に同時に充填できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来においては、前記各キャビティーへのゲート口を一つに構成していることにより、各キャビティー内への溶融合成樹脂の流入速度が早く、この流れが、前記一つのリード端子にマウントされている半導体チップから他の各リード端子に向かってリードフレームの長手方向に延びる各金属線に対して、これと略直角方向に当たって、各金属線にその横方向に大きい外力のダメージを及ぼすことになるから、各金属線に倒れ及び断線が発生するおそれが大きいから、モールド部の成形に際して不良品の発生率が高いと問題があった。
【0006】
この場合において、前記ゲート口における断面積を大きくすれば、キャビティー内への溶融合成樹脂の流入速度が遅くなるから金属線に及ぼすダメージを小さくできるが、ゲート口における断面積を大きくすると、このゲート口内で硬化したロス樹脂をモールド部から折って除去するときに大きい力を付与しなければならないから、前記ロス樹脂を除去することの作業性が大幅に低下するばかりか、モールド部の側面のうち前記ゲート口付近に欠けが多発すると言う別の問題を招来するのであった。
【0007】
特に、リード端子の数が多い場合には、各リード端子の間に設けるゲート口の断面積を大きくすることができないから、前記不良品の発生率がより高くなるのであった。
【0008】
本発明は、モールド部の成形に際して不良品の発生率を確実に低減できることを、別の問題を招来することなく達成できるようにした方法を提供することを技術的課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の製造方法は、
「少なくとも、帯状リードフレームの左右両端縁における両フレーム枠の各々から内向きに突出した複数本のリード端子のうち少なくとも一つのリード端子の先端に半導体チップをマウントすると言うダイボンディング工程と、前記半導体チップと他の各リード端子の先端との間をリードフレームの長手方向に延びる金属線を介して電気的に接続すると言うワイヤボンディング工程とから成り、次いで、前記リードフレームを挟み付けた両金型の合わせ面に凹み形成したキャビティー内に、溶融合成樹脂を、当該キャビティーにおけるリードフレームの長手方向と平行な一つの辺のうち前記少なくとも一つのリード端子の左右両側の部分に当該リード端子と平行に延びるように設けた二つのゲート口から注入して前記半導体チップをパッケージする合成樹脂製のモールド部を成形する。」
ことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の電子部品は、
「帯状リードフレームの左右両端縁における両フレーム枠の各々から内向きに突出した複数本のリード端子のうち少なくとも一つのリード端子の先端に半導体チップをマウントすると言うダイボンディング工程と、前記半導体チップと他の各リード端子の先端との間をリードフレームの長手方向に延びる金属線を介して電気的に接続すると言うワイヤボンディング工程と、前記リードフレームを挟み付けた両金型の合わせ面に凹み形成したキャビティー内に、溶融合成樹脂を、当該キャビティーにおけるリードフレームの長手方向と平行な一つの辺のうち前記少なくとも一つのリード端子の左右両側の部分に当該リード端子と平行に延びるように設けた二つのゲート口から注入して前記半導体チップをパッケージする合成樹脂製のモールド部を成形する工程を経て製造して成る。」
ことを特徴としている。
【0011】
【発明の作用・効果】
半導体チップをパッケージするモールド部を、両金型の合わせ面に凹み形成したキャビティー内に溶融樹脂を注入することによって成形するに際して、前記したように、前記キャビティーに対して溶融合成樹脂を注入するためのゲート口を、半導体チップをマウントした少なくとも一つのリード端子の左右両側に設けた二つにしたことにより、溶融合成樹脂がキャビティー内に流入するときの流れ速度は、従来の半分に遅くなるから、この流れが、前記一つのリード端子にマウントした半導体チップからリードフレームの長手方向に延びる各金属線に対して及ぼすダメージを、各ゲート口における断面積を大きくすることなく、半分以下に小さくすることができるのである。
【0012】
従って、本発明によると、パッケージ型電子部品の製造に際して、そのパッケージ用モールド部を成形するときにおける不良品の発生率を、ロス合成樹脂を除去することの困難性を増大したりモールド部部に欠けが発生したりすることなく、リード端子の数が多い場合であっても、確実に抑制することができるから、製造コストの低減を図ることができると言う効果を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図5の図面について説明する。
【0014】
この図において、符号1は、薄い金属板にて帯状に形成したリードフレームを示し、このリードフレーム1は、左右両端縁における両フレーム枠2,3と、この両フレーム枠2,3の相互間を長手方向に沿って適宜ピッチPの間隔で一体的に連結するセクションバー4とによって構成され、前記両フレーム枠2,3のうち各セクションバー4の間の部分には、一つのリード端子5と複数本の他のリード端子6とが内向きに突出するように一体的に設けられている。
【0015】
このリードフレーム1を、図1に矢印Aで示すように、その長手方向に移送する途中における第1のステージにおいて、前記一つのリード端子5の先端に設けたマウント部5aに、半導体チップ7をマウントすると言うダイボンディングを行う。
【0016】
次いで、前記第1のステージより前方に位置する第2のステージにおいて、前記半導体チップ7と、前記他の各リード端子6の先端との間の各々を、前記リードフレーム1の長手方向に延びる金属線8を介して電気的に接続すると言うワイヤボンディングを行う。
【0017】
そして、この第2のステージより更に前方に位置する第3のステージにおいて、前記半導体チップ7の部分をパッケージする合成樹脂製のモールド部9を成形する。
【0018】
このモールド部9の成形するための装置は、図2〜図4に示すように構成されている。
【0013】
すなわち、前記リードフレーム1を上下から挟み付ける上下一対の金型10,11を備え、この両金型10,11の合わせ面には、モールド部成形用のキャビティー12,13の複数個(図面は、4個の場合を示す)が、リードフレーム1における一つのピッチ間隔Pで凹み形成されている。
【0019】
また、前記両金型10,11のうち下金型10には、原料タブレットBを装填するための原料装填室14が設けられ、この原料装填室14内には、プランジャ15が往復動可能に挿入されている。
【0020】
更にまた、前記両金型10,11のうち上金型11の下面には、前記原料装填室14内に連通する分配室16が凹み形成されていると共に、この分配室16に連通するランナー溝17が、前記リードフレーム1に沿ってその長手方向に延びるように刻設されている。
【0021】
これに加えて、前記上金型11の下面には、前記各キャビティー13におけるリードフレーム1の長手方向と平行な一つの辺のうち前記各一つのリード端子5の左右両側の部分の各々に、当該リード端子5と平行に延びて前記キャビティー13内に開口するゲート口18a,18bを、当該両ゲート口18a,18bが前記ランナー溝17に連通するように刻設されている。
【0022】
そして、この構成において、ワイヤボンディング工程を完了したリードフレーム1を両金型10,11にて挟み付けると、両金型10,11のうち下金型10における原料装填室14内に装填した原料タブレットBを加熱溶融し、この状態で前記原料装填室14内にプランジャ15を押し込むことにより、前記溶融合成樹脂を、分配室16からランナー溝17を通り、各キャビティー12,13内にゲート口18a,18bより高い圧力で注入して、前記モールド部9を成形するのである。
【0023】
この場合において、各キャビティー12,13に対しては二つのゲート口18a,18bが各々設けられていることにより、溶融合成樹脂が各キャビティー12,13内に流入するときの流れ速度は、従来の半分に遅くなるから、この流れが、前記一つのリード端子5にマウントした半導体チップ7から他の各リード端子6に向かってリードフレーム1の長手方向に延びる各金属線8に対して及ぼすダメージを、各ゲート口18a,18bにおける断面積を大きくすることなく、半分以下に小さくすることができるのである。
【0024】
なお、前記したようにしてモールド部9を成形すると、図5に示すように、リードフレーム1から切り離したのち、各リード端子5,6の先端を適宜折り曲げることにより、電子部品の完成品とする。
【0025】
また、前記実施の形態は、両金型10,11のうち下金型10に原料装填室14を、上金型11にランナー溝17及びゲート口18a,18bを各々設けた場合であったが、これに限らず、上金型11に原料装填室14を、下金型10にランナー溝17及びゲート口18a,18bを各々設けるとか、いずれか一方の金型に対して原料装填室14、ランナー溝17及びゲート口18a,18bを設けると言う構成にしても良いのであり、更にまた、モールド部9を成形するためのキャビティー12,13を、両金型10,11の両方に設けることに限らず、一方の金型にのみ設けると言う構成にしても良いのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に使用するリードフレームの斜視図である。
【図2】モールド部の成形用金型を示す縦断正面図である。
【図3】図2のIII −III 視平面図である。
【図4】前記金型のうち上金型を下面を下から見たときの斜視図である。
【図5】電子部品の完成品を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 リードフレーム
2,3 フレーム枠
4 セクションバー
5 一つのリード端子
6 他のリード端子
7 半導体チップ
8 金属線
9 モールド部
10 下金型
11 上金型
12,13 キャビティー
14 原料装填室
15 プランジャー
16 分配室
17 ランナー溝
18a,18b ゲート口
Claims (2)
- 少なくとも、帯状リードフレームの左右両端縁における両フレーム枠の各々から内向きに突出した複数本のリード端子のうち少なくとも一つのリード端子の先端に半導体チップをマウントすると言うダイボンディング工程と、前記半導体チップと他の各リード端子の先端との間をリードフレームの長手方向に延びる金属線を介して電気的に接続すると言うワイヤボンディング工程とから成り、次いで、前記リードフレームを挟み付けた両金型の合わせ面に凹み形成したキャビティー内に、溶融合成樹脂を、当該キャビティーにおけるリードフレームの長手方向と平行な一つの辺のうち前記少なくとも一つのリード端子の左右両側の部分に当該リード端子と平行に延びるように設けた二つのゲート口から注入して前記半導体チップをパッケージする合成樹脂製のモールド部を成形することを特徴とするパッケージ型電子部品の製造方法。
- 帯状リードフレームの左右両端縁における両フレーム枠の各々から内向きに突出した複数本のリード端子のうち少なくとも一つのリード端子の先端に半導体チップをマウントすると言うダイボンディング工程と、前記半導体チップと他の各リード端子の先端との間をリードフレームの長手方向に延びる金属線を介して電気的に接続すると言うワイヤボンディング工程と、前記リードフレームを挟み付けた両金型の合わせ面に凹み形成したキャビティー内に、溶融合成樹脂を、当該キャビティーにおけるリードフレームの長手方向と平行な一つの辺のうち前記少なくとも一つのリード端子の左右両側の部分に当該リード端子と平行に延びるように設けた二つのゲート口から注入して前記半導体チップをパッケージする合成樹脂製のモールド部を成形する工程を経て製造して成るパッケージ型電子部品。
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JP04046797A JP3592880B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | パッケージ型電子部品及びその製造方法 |
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